避難判断は自分で決めておく

 大雨や台風であちこちで浸水や土砂災害の被害が起きています。
 被害に遭われた方にお見舞い申し上げるとともに、一刻も早い復旧復興を願っております。
 普段であれば災害支援ボランティアとして出動するところですが、昨今のコロナ禍でそういうわけにもいかず、ただ願うだけとなってしまっているのが少しだけ歯がゆいところがあります。
 ところで、災害が起きると毎回問題にされるのが行政からの避難指示です。
 マスコミ報道やSNSで「避難指示が早い、遅い、出ない、出ても何も無かった」と、自治体が何をしても叩かれてしまっている現状を見て、なぜ自治体が避難を判断しないと個人が避難しなくていいと考えられるのか、正直なところ理解に苦しむところがあります。
 避難指示はその地域に住んでいる該当の災害で危険な場所に住む人に対してその場から避難するようにという指示ですが、避難指示が出るまで対象地域で災害が起きないという保障はありません。
 地域という「面」では異常が無くても、あなたの家という「点」では事態が異なっているかもしれないのです。
 言ってしまえば、行政の出す避難レベルがどうあれ、危険かどうかは自分で判断基準を持っておくしかないということです。
 判断基準を作るためには、ハザードマップや過去の伝承、地域の地形や普段の天気での変化など、さまざまなことを知っておかないといけません。また、自治体が避難情報を出すために参考としている気象情報や土砂災害警戒情報、河川情報といった基礎情報は、今はインターネット上で誰でも見ることができますから、情報がないから判断できないという話はできないと思っています。
 逆に、現在は読み込めないくらいさまざまな情報が提供されていますから、その中から自分がどのような状態であれば被災するのか、そして避難しなければいけないのかを考え、そして避難が必要であれば避難開始の鍵をきちんと決めておくことは事前に準備ができることです。
 あなたの命はあなたが守るのです。自治体や町内会が守ってくれるわけではありません。避難するかどうかの判断は、あくまでもあなたの中にあります。
 避難しないのなら避難しないという選択をしても構いません。ただ、災害に巻き込まれたときに「想定外だった」とか「思ってなかった」という台詞が出ないようにしておいて欲しいと思います。