職場からの避難場所を知っていますか?

 あなたは自分の家以外で災害にあったとき、例えば勤務先の周囲の避難場所や避難所を意識してみたことがありますか?
 災害を意識している人でも、家以外で災害に遭遇したときどこへ避難するのかは決まっていないということが多いです。
 自治会や自主防災組織の訓練でも自宅から避難することがほとんどで、それ以外の場合の訓練や避難先の確認というのはされていないことが殆どです。
 また、お勤め先で防災訓練をされるとき、どこへ避難するか、どこが避難場所なのかということは意識されていないと思います。
 これは別にお勤め先の防災担当者がサボっているわけではなく、その地域に住んでいる人以外は基本的に避難所に待避することは考えられていないことに原因があるからです。
 最近騒がれている首都直下型地震や東海・東南海地震に備えている自治体からは、地域の職場に対して職場を避難所にするため備蓄などを行うように依頼を行っています。
 お勤め先の建物が災害に耐えられれば、そこでとりあえずしのぐことは可能です。ただ、飲料食や排泄処理、環境がその場で待機できるようになっていないと、そこから避難所へ人が流出し、本来は地元の住民に対して準備されているさまざまなものを消費してしまうことが十分に予測されます。
 東日本大震災時、大規模な被害は受けなかった首都圏で、職場で飲料食を持っていなかった人たちがコンビニエンスストアに群がって店舗が空っぽになったことを思い出してみてください。
 また、大量の帰宅者が路上にあふれて交通が麻痺し、これからの防災対策に不安を残す結果になったこともありました。
 本来は雇用主が従業員の生命を維持するためのインフラを整備すべきだと思いますが、残念ながら職場の準備は進んでいないのが現状です。
 そうなると、自分で準備するしかありません。
 首都直下型地震や東海・東南海地震では、職場に3日間はいるようにという政府の依頼が出ていますが、そこまで行かなくても、せめて1日分くらいは職場で立てこもれるような飲料食やトイレの準備はしておいた方がよさそうです。
 また、家に帰る際にも大規模な災害の場合には自分の足に頼ることになります。
そのことも考えて、安心して歩ける運動靴を一緒に備えておいてくださいね。

電気は何に使う?

 災害時に備えて、さまざまな施設では自家発電機や蓄電池を持っています。
 では、そこで準備した電気は何に使うかということはきちんと整理されているでしょうか?
 何に電気を使うのかによって、必要とされる発電機や蓄電池の種類、発電量や蓄電量、備蓄しなければならない燃料量などが決められます。
 パソコンや医療機械などの精密機械を使うのであれば、発電機は正弦波タイプでなければ使えませんし、電子レンジやエアコンを動かすのであれば瞬間出力に耐えうるだけの蓄電量が必要です。
 そして、照明に使う程度であれば発電機の能力が大きすぎるということもあり得るでしょう。
 逆に利用する機材に比べて発電量が小さいと言うことも起こりうるかもしれません。
 電気がないと機能が維持できない施設はたくさんあります。どこに使う電気を止めるわけにいかないのかをあらかじめ確認しておくことで必要な電力量を把握することができます。
 その電力量をカバーできる発電機を準備しておけば、貴重な燃料を無駄にせずにすみます。
 もちろん、定期的に発電機や蓄電池の運転試験を行って、その電気を使ってみることも大切です。
 最近は発電機や蓄電池も小型化してきていて家庭用として使えるようなものもたくさんあります。また、太陽光発電などで電気を供給することも可能になっています。
 でも、準備した電気を何に使うのかをきちんと決めておかないと、結局無駄になってしまうことも多いです。
 あなたのところでは何に電気が必要なのか、そしてその発電量はどれくらい必要なのか。時間のあるときにでも洗い出しておくといいかもしれませんね。

要支援者と域外避難

 災害が発生すると、国の計画では発生後3日以内に必要と思われる物資を被災地に送り込むことになっています。
 この物資は命をつなぐためのものが最優先であるため、主に食料と水が中心となります。
 それから日用品に移行していきますが、全ての人が必要としない物資についてはどうしても遅れてしまう、または届かないという特性があります。
 たとえば、大人用おむつや乳児用ミルク、生理用品、アレルギー対応食などがこれに該当し、必要とする人の数が少なければ少ないほど支援物資として届く優先順位は下がります。
 これは医療現場でも同じで一般的でない病気や資機材のいる病気などへの対応はやはり遅くなってしまいます。
 東日本大震災では酸素吸入や透析が必要な方への手配が問題となりました。
 さまざまな理由で特殊な資機材や物資の支援が必要な人、つまり要支援者が一定数存在することを考えると、災害時には被災地以外の場所へ一度待避してしまったほうが支援が受けやすいのではないかと思います。
 受け入れの問題もありますが、都道府県や市町村といった行政機関や病院でお互いに受け入れ体制を作り輸送手段の確保さえすれば、要支援者への対応を被災地で考える必要がなくなり安全性も増すのではないでしょうか。
 復旧や復興にどれくらいかかるのか、いつ地元へ戻れるのかがわからない不安はありますが、資機材不足、物資不足による命の危険と併せて考える必要があると思います。
 行政機関同士では対口支援(たいこうしえん)と呼ばれる行政職員の相互支援協定が作られて、平成30年の西日本豪雨でも活用されました。
 行政職員を被災地へ送り込む制度ができるのですから、要支援者を被災地外へ搬出する制度もできるのではないか。
 いろいろと問題はあると思いますが、検討しておく重要なことの一つではないかなと考えます。

「BCPを作成している」の意味

 何社かの法人様のBCPを見せていただく機会があったのですが、内容を見てちょっと考えてしまいました。
 BCPとは、文字通り「事業を継続させるための計画」のことです。
 自社の備蓄量や生産量、さまざまな流通や生産が止まった場合にはどうするのかまで検討しておかないといけないものなのですが、作られているBCPは自社のみが被災してるという想定で作られているものが非常に多い気がします。
 他社のBCPを組み込んでいる場合でも「○○社のBCPでは最短2日後には生産が再開されるため~」などといった感じで、そこが稼働できなくなった場合や道路、鉄道、船舶、航空といった流通がインフラの破壊により動かない場合にどうするのかが考えられていない感じです。
 例えば、平成30年に起きた西日本豪雨では、山陽側の幹線道路や鉄道が寸断され、あっという間流通が麻痺してしまいました。今現在も完全に復旧しているとはいえない状態です。熊本地震や東日本大震災では機械の製造ラインは使えるのに、たった1つの部品を作る工場が被災して稼働できなくなったために生産ができなくなったというようなことが起きています。
 そうなった場合にどのように部品を手当てするのか、どのように自分のところまで運んでくるのか、そしてどこへどのような手段で誰がというところまで詰めておくことが必要です。
 他社に頼る部分は、他社のBCPを当てにするのでは無くそこが稼働できなくなった場合にどのようにするのかというところまで検討しておかないといけません。
また、自社の強みを手持ちの資材でどこまで発揮できるか、そして最悪の場合閉店も含めてどんな手段が考えられるのかを検討しておくことがBCPなのです。
  BCPは業者にお任せで作るものではなく、自社の強みや弱みをしっかりと把握し、どこまでやるのかをしっかりと詰めること。
 そこまでやった上で、外注するのであればノウハウを持つ業者と一緒になって作るものなのです。
 「BCPはできてます」ではなく、「このBCPがあるので、我が社は少々のことなら生き残れます」といえるようになっていなければなりません。
 経営者の方は、災害時に最悪の状態でも生き残れることができるような内容かどうかについて、自社のBCPを見直した方がいいのではないかと思っています。

足下に気を遣おう

 災害時には「徒歩」による移動が大原則ですが、歩くための足回りになっているでしょうか?
 都会だろうと田舎だろうと、道路が寸断されてしまえば自分の足以外に頼る移動手段はありません。
 自分の足で歩くためには、歩くための体力はもちろん必要ですが、歩けるような足下であるかどうかも大切になります。
 普段から運動靴を履いておられる方であれば問題はないのですが、革靴やハイヒールなど営業を担当される方は歩きにくい靴を普段使いしないといけない場合があるでしょう。しかし、数kmしか歩けないような靴では困りますし、歩くことによって足を痛めては何にもなりません。
 そのために、普段使いの靴とは別に「歩きやすい靴」を準備してカバンにいれておきましょう。
 運動靴をカバンの中に入れておくだけで、安全性は格段に上がります。仮に何かあって歩かないといけない状況に追い込まれても、運動靴に履き替えれば少々の距離なら平気で歩くことが可能でしょう。
 持って歩くのは結構面倒くさいのですが、安全安心を備えると言うことで、持ち歩くものの中に運動靴を忍ばせておいてくださいね。
 また、ほぼ男性用に限定されてしまうのが難点ですが、一見革靴風のトレッキングシューズ、トラベルシューズなどもありますので、それらを活用するのもよいのではないでしょうか。
 いずれにしても、災害時に靴が原因で動けなくなると言うことがないようにしたいものですね。

体を濡らしたままにしない

 雨天時や洪水時の避難では、いくら雨具をつけていても濡れてしまうものです。
 特に避難路が冠水している状態で避難を実施する場合には、足下が靴ということもあって必然的に体のどこかは濡れてしまいますので、避難が完了したら速やかに着替えて乾かすことをおすすめします。
 夏場に夕立ちにあって全身ずぶ濡れになって、寒い経験をしたことはありませんか。 あれと同じで、体が濡れたままにしておくと、濡れた服が体温で乾いていくときに体温を持って行かれてしまい、場合によっては夏でも低体温症になることがあります。
 それを考えると、非常用持ち出し袋には靴下や下着を含めた着替えを最低1組、それにフェイスタオルを一枚入れておく必要がありますよね。
 濡れたら体から水分を拭き取って着替える、それにより体の保温を維持することができます。
 海難事故の映画などで海から引き上げられた遭難者がそのまま毛布を着て震えているようなシーンがありますが、毛布が暖かいのは毛の間に空気が貯まっていて、その空気を体温で暖めるから暖かくなるわけで、濡れたままでは毛布もびちょびちょになってしまい、保温はできません。
 同じことが災害時にもいえます。毛布では無く、最近はやりのアルミ蒸着シートなら大丈夫という人もいましたが、薄く軽く熱を逃がさない特性を持っているアルミ蒸着シートであっても、熱の発生源である人間の体が冷えているのでは、決して暖かくはありません。
 濡れた服は脱ぐ。そして乾いた服を着て毛布やアルミ蒸着シートをかぶせて保温する。
 災害時には体調を崩すことも多いです。ともかく濡れたままにしないこと。これを徹底しましょう。
 ちなみに汗をかいても同じことが起こりますので、普段から体温調節や室温調整には気を遣ってくださいね。

避難場所の憂鬱

 テレビの映像などに映し出される避難所では、避難している方がそれなりにいろいろなものを持っていて生活している様子が映し出されることが多いです。
 これは避難所が開設されて運営されているから。
 でも、災害直後や事前避難の映像では、大概の場合「不安そうにテレビを見ている図」しか映像になっていないと思います。
 これは何故かというと、「他に絵になるものがない」からです。
 災害直後や事前避難で避難するのは、「避難所」ではなく「避難場所」。以前にもちょっと触れましたが、避難場所は「一時的に危険から身を守るために避難を行う場所」とされており、行政機関などは場所の提供のみを義務づけられていることになります。
 つまり「基本的には何もない」のが避難場所なのです。
 「行政機関の防災計画書では食料や水、毛布の備蓄はあることになっているじゃないか!」と言われるかもしれませんが、避難場所に対しては資材を提供する義務はありません。
 あくまでも場所の提供だけなのです。もちろん避難所を開設すれば備蓄資材を使うことも可能になりますが、行政機関が備蓄している資材は、対象人口に比べるとないに等しい量しか確保されていないのが現状です。
 自治会や自主防災組織が避難場所の管理者になっている場合にはその判断により避難所を開設して資材を解放することも可能ですが、大概の場合は自治会や自主防災組織が調達した資機材の提供となるはずです。
 この事はあまり知られていないのか、「避難所に身一つで行っても、とりあえず快適な避難生活ができる」と勘違いしている方が非常に多いのが現実です。
 災害が起きてから慌てて身一つで避難場所に移動し、何も物資がないと知って避難場所を運営している行政職員に対して文句をつけるというのが、残念ながら現在の避難所のパターンとなっています。
 繰り返しになりますが、避難場所はあくまでも「場所の提供」です。
 自分の食べ物や飲み物、避難所で過ごすために必要なものは、大原則として自分で準備しておかなければなりません。
 避難してから途方に暮れずにすむように、自分が避難中に使うものについては自分できちんと準備して避難の時にさっと持ち出せるようにしておきたいものです。

災害時に子どもを迎えに行くための準備をしておこう

 災害時には、保育園や幼稚園、小学校などの開設時間内だった場合には、原則として「子どもは迎えに行く」というルールになっているところがほとんどではないでしょうか。
 そのためには、迎えに行く側も迎えに来てもらう側もお互いに準備をしておかなければなりません。
 今回は、双方の立場に立って何をしておいたらいいのか、どのようにしたほうがいいのかを考えてみたいと思います。

1.迎えに行く側の準備

1)迎えに行く人を決めて優先順位をつけておく
 「迎えに行く」と一口に言っても、その災害が発生したときに誰が迎えに行けるのかという問題があります。
 そのため、保護者以外にお願いできる誰かを準備しておく必要があります。祖父母や親戚、近所の人や子どもをよく知っている友人など、いくつかお願いをしておくと、いざというときに頼りにできます。

2)歩いて迎えに行けるかどうか試してみる
 災害時には原則として徒歩による移動となります。そのため、自分がいる場所から子どものいる場所まで歩いて迎えに行けるか、時間はどれくらいかかるのかを確認しておく必要があります。

3)子どもが歩けるかを試してみる
 子どもをどのように移動させるのかについては、子どもの年齢や大きさによってかなり変わってきます。子どもは歩けるのか、歩けないとしたら、どうやって移動させるのかを考えて、試してみる必要があります。

4)子どもの預かり先の対応を確認しておく
たとえば大雨などの場合、道路が冠水するなど、ある時点でお迎えを断念しなければならない場合が出てきます。その場合に、預かり先はどのような対応をとっているのか、とれるのかを確認しておく必要があります。

5)避難先を確認しておく
子どもの預かり先の建物などに何か問題が生じた場合に避難する先を確認しておきます。状況によっては、預かり先ではなく避難先に直接お迎えに行くこともあり得ますので、預かり先だけでなく、避難先までの経路を確認し、歩いてみることが大切です。

2.迎えに来てもらう側の準備

1)誰が迎えに来るのかを確認しておく
「迎えに来る」と言っても、誰にでも引き渡すわけにはいきません。そのため、あらかじめ誰が迎えに来る可能性があるのかについて保護者に確認し、リストを出してもらう必要があります。
できれば3名以上の名前と連絡先を教えてもらっておきましょう。

2)どの時点で避難または籠城するかを決めておく
各種災害において、お迎えを強行した場合に保護者が遭難してしまうような場合が想定されるとき、どの時点で引き渡しを打ち切って避難または籠城するのかについて明示しておきます。
その際に、その時点で引き渡しを待っている子どもおよび保護者の扱いについてもあらかじめ決めておくようにします。

3)避難所への移動手段および避難にかかる時間および避難先の資機材の確認
避難する場合、避難先にどの時点でどうなったら、どのように移動するかを決めます。その上で、移動時間がどれくらいかかるのかを計測しておきます。
また、避難先にはどのような資機材があるのかを確認します。

4)避難または籠城時に利用できる資機材について定期的に確認し、きちんと使えるようにしておく。
 避難所で足りない資機材や籠城時に使う資機材について確認し、いつでも使えるようにしておきます。避難所への輸送手段についても決めておきます。

5)保護者との情報共有
 お迎えに来る保護者と情報共有をしておきます。災害時にお互いの動きを確認しておくことでトラブルを防ぐことができます。
 よくあるケースなのですが「どうなるかわからないから」と情報を内部で留めることのないように注意してください。仮にお知らせしている条件と変わったとしても、伝わっていないことは保護者の不安と疑心を招きます。
また、携帯電話やメール、ホームページなど、災害時の情報提供方法についてもお互いに確認しておいた方がいいでしょう。

 いかがでしょうか? 一言で「災害時にはお迎え」と言っていても、事前準備をしっかりしておかないと無用の混乱が起きることになります。
 災害時には、そうでなくても手が足りなくなります。事前準備をしておくことで、機械的に対応できる部分を増やしておくことで、突発的な出来事への対応がしやすくなるということを忘れないようにしてください。

通学路を確認しておこう

 新年度に入り、そろそろぴかぴかの一年生が入学する時期になりました。
 小学生から高校生に至るまで、徒歩あるいは自転車、一部はバスや汽車で登下校をすることになるのですが、入学する前に、登下校路を確認しておくことをお勧めします。
 学校が指定している通学路は結構前に決められていてその後「問題が起きていない」ことを理由に変更されていないことが殆どです。
 実際に歩いてみることで、通学路の危険な場所や安全な場所、いざというときに逃げ込めるところなどが確認できます。
 登下校する子どもだけで無く、親も一緒に歩いて確認しておくことで、もし何かあったときにある程度場所を絞り込むことが可能にもなります。
 その時に、以下の点に注意してみてください。

1.瓦やエアコンの室外機、看板などが落ちてこないか、ブロック塀や自動販売機が倒れるような場所は無いかを確認します。

落ちたり倒れたりするものは無いか、どうすれば安全を確保できるかを考えます。

2.人の死角になる場所は無いかを確認します。

人目につかない裏道や物陰がないかをチェックし、どこに気をつけるかを確認します。

3.交差点で待つ位置や道路のどこを歩くべきかを確認しておきます。

どのように車や自転車に気をつけたらいいかを確認しておきましょう。

5.いざというときに逃げ込むことのできるお店やおうちを確認します。

こういうステッカーが貼ってあるところは、それなりに頼りになるはず。

6.公衆電話の位置を確認します。

公衆電話の位置の確認にあわせて、公衆電話の使い方もきちんと教えておく必要があります。

 以上の点を注意してみておくことで、子どもにもある程度の注意を促すことができます。
 できれば、天気が変わっている時に複数回確認しておくと、防犯・防災にかなり役立ちます。
 新しい年度が無事に進められるように、あらかじめ準備しておくといいですね。

責任は誰が取る?

 災害対策を考えるとき、地域での「自主防災組織」の整備が脚光を浴びていますが、ちょっと考えさせられることがあります。
 それは、そもそもの自主防災組織の位置づけのことです。
 自主防災組織が立ち上げられた地域では、災害が発生しそうなときにはこの自主防災組織が組織のある地区の住民に避難を呼びかけることになっているところが非常に多いと感じます。
 新聞などで災害特集を見ると、自主防災組織が住民に避難を呼びかけるためにどうしたらよいかという記事が非常に多い気がしますが、私自身はこの考えはちょっとおかしいのではないかと思っています。
 そもそも、自分の命は誰が守らないといけないのでしょうか?
 今行われている災害への対応をどうするかという議論では、避難の実行役が自主防災組織や消防団が担わされるような方向付けになっていないかと気になります。
 本来は、「自分の命は自分で守ること」が大前提となるはずです。
 避難が難しい人や支援が必要な人に対して支援を行うというのが、自主防災組織の位置づけだったのではないでしょうか?
 通常時の避難訓練や、避難所の開設や運営などが本来の自主防災組織の仕事だと思います。
 住民に避難を呼びかけることや避難させることが設置の目的ではないはずです。
 自分が避難するためにどれくらいの時間がかかり、避難するためにはどのようなものを準備しておかないといけないのか。
 そしてどのタイミングで自分が避難を開始しないといけないのかということは、本来自分自身で考えて決めて、準備しておかないといけないことのはずです。
 ですが実際には、自主防災組織に判断を丸投げし、自分は自主防災組織に声をかけられるまでは知らん顔という人があまりにも多いような気がします。
 自主防災組織は決してその人のためにだけ作られた組織ではありません。
「自分の命は自分で守る」
 そのために自分が避難の判断をする情報の集め方や避難の仕方、そして避難所での自分の役割などを周囲の人と共有し、お互いに助け合って災害を乗り切るために作られているのが自主防災組織なのではないでしょうか。
 最近のさまざまな報道や行政の動きを見ていると、どうも何か勘違いしているような気がして、この先うまく行かなくなるのではないかと、余計な心配をしてしまいます。
 繰り返しになりますが、自分の命に対する責任は自分自身が取らなければいけません。
 「大丈夫だろう」ではなく「危ないかもしれない」という考え方で災害が起きるかもしれない時の行動を決める癖を付けておきましょう。
 何か起きたとき、悪いのは自治会でも行政でも自主防災組織でもなく「自分自身」なのだということを肝に銘じて、災害への備えをしたいものだと思います。