地震が起きたらまずどうする?

机の下でダンゴムシ
地震の際の定番「ダンゴムシのポーズ」。訓練しないととっさにはできないポーズでもある。

 地震が起きたらまず何をするのかについては、年とともに変わってきていることはご存じですか。
 ちょっと前でしたら「地震だ、火を消せ!」でしたが、炊飯での直火がほぼ無くなり、ガスや電気の制御装置に揺れを感じると供給を止める感震装置が配備されてきていることから、火を消すことは最優先ではなくなりました。
 では、今は何が最優先なのかというと「自分の命を守るための行動をとる」ことです。具体的に言うと、怪我しそうなものがあるところから安全なところに逃げること、安全なところなら、転倒などで怪我しないようになるべく低い姿勢になることです。
もっと書くと、頭を守ることが最重要になります。
 頭は案外と重たいもので、人間の場合は成人で4~6kg程度の重さがあります。
 重心が高いほど不安定になりますので、揺れに備えるのであればできるだけ低い姿勢をとることが重要になるのです。
 また、「頭を守ること=意識を保つこと」なので、仮にけがをしたとしても、意識がはっきりしていれば対処することは可能です。
 逆に五体満足でも頭を怪我して意識がなくなると、その後に起きるかもしれない二次災害への対応ができなくなります。
 ですから、「安全確保、重心下げて」といった標語になるのかなという気がしています。
 ちなみに、地震の発生を教えてくれる緊急地震速報ですが、スマートフォンなどから警報音がなると、ほとんどの人が何が起きたのか画面で確認するのではないでしょうか。でも、本当は自分の安全確保をし、転倒しない姿勢を確保してから画面を確認したほうが安全です。
 筆者自身もできるかどうかは自信がありませんが、そういった訓練をすることも大切なのではないかと思っています。

地震に備える

 昨日トルコで大きな地震が二連続で起きたようで、大勢の方ががれきの下敷きになっているようです。現地では救助活動が続いているようですが、一人でも多くの方が助かることを願っています。
 あまり知られていないようですが、実はトルコも日本と同じように周囲を複数の大陸プレートで押し合っている地震の多い地域です。
 ただ、あまり耐震化は進んでいないようで、ひどい地震になると建物が崩れてしまう状況があります。
 耐震化が進んでいる日本ですが、同じ規模の地震が起きたら、恐らく同じように倒壊する建物が多いのではないでしょうか。
 特に昭和の高度成長期に建てられた家屋は柱の大きさに比べて屋根が重い構造になっているものが多いので、衝撃や揺れで柱が重さを支えきれずに折れたり倒れたりしてしまうようです。
 家具などの地震対策をしていても、肝心の建物が耐震化されていない場合には、家具もろともつぶれてしまう可能性がありますので、建物が地震に耐えられるのかどうか、市町村が行っている耐震診断で確認してみてください。
 もしも耐震性がない場合には、いざというときにすぐ動けない場所、寝るところと、お風呂、そしてトイレだけでも地震に耐えられるようにしておきましょう。
 中にいる人がすぐに動くことができる店舗などでは、脱出路を確保したうえで揺れたら外へ逃げるというのも手です。ただし、外の安全が担保されているという条件になるのでご注意ください。例えば、その店舗の屋根が瓦だったりする場合には、屋根から落ちてくる危険性があるので対策が必要となります。
 地震は発生するまでにどれくらいの手を打てているかが勝負です。
 地震が起きた時には、それまでの準備で勝負がつきます。そして、地震は起きないと思っていても、日本という地域の特性上、地震はどこでも起こりえます。
 地震への備えは、内閣府防災をはじめさまざまなウェブサイトで紹介されていますので、自分の備えがどうなっているのか、そしていざというときに命を守り、生き残ることができるのかをしっかりと確認しておいてください。

車中泊を考える

実際に車中泊した翌日の朝の車内。お外は雪で真っ白でした。

研修のご質問の中で、災害からの避難時に車中泊になった場合の寒さのしのぎ方について聞かれることがあります。
雪降る中でやってみた体験談としては、
1.窓の断熱
2.床の断熱
3.電気毛布の準備
といった感じでマイナス3度くらいまでは快適に眠ることができました。
車中泊の場合、寒いときには車内からどれだけ熱を逃がさないかがカギとなります。
もともと鉄の箱なので熱が逃げるのは仕方がないのですが、窓ガラスからは無視できないくらいの熱量が簡単に逃げていきます。
これは断熱ガラスなどを使っている場合でもあまり変わりませんので、窓には断熱効果のあるものを貼り付けることが大切です。
もしも難しい場合には、布などでもよいので、熱が逃げないような工夫をしておきましょう。
床からはかなり冷気が上がってきますので、エアーマットなどを寝る場所の下に敷いて空気の層で断熱します。
最後は熱量を発生するもので、蓄電池+電気毛布などで温めるようにし、体の上には空気を多く含むことのできる毛布をかけると、やってみた限りでは快適に眠ることができました。
ペットや何らかの問題で災害時の避難で車中泊の可能性がある人は、寒い時期に自分の車で試してみるとよいと思います。

【お知らせ】緊急地震速報に長周期地震動階級が追加されます

 本日2月1日から、緊急地震速報の発表基準に長周期地震動階級が追加されることになりました。
 これと同時に、緊急地震速報のうち、震度6弱以上が予測されるときに発表される特別警報に長周期地震動階級4が予測される場合が追加になりました。
 地震では様々な周期の揺れが発生します。規模の大きな地震ほど周期の長いゆっくりとした大きな揺れが起きますが、これを長周期地震動といいます。
 また、建物には高さなどに応じて固有の揺れやすい周期があります。地震の長周期地震動と建物の揺れやすい周期が一致すると、共振が起きて建物が大きく揺れます。
 特に高層ビルは低い建物に比べて固有周期が長いため、大きな地震の長周期地震動の揺れと共振しやすく、長く大きく揺れる傾向があり、震源から離れているところでも高層ビルが大きく揺れている場合が起きます。
 その中でも特に高層階に危険が生じるような大きな揺れがある場合に緊急地震速報の一つとして長周期地震動階級が発表されるようになりました。
 とはいえ、緊急地震速報については現状と何ら変わりはありません。
 高層ビルにいる人たちにより注意を促すための警報基準が追加になったと考えればよさそうです。
 長周期振動ってなんだという方は、気象庁の「長周期地震動とは?」をご確認ください。また、長周期地震動の様子についてはこちらをご覧ください。

長周期地震動とは?」(気象庁のウェブサイトへ移動します)

長周期振動実験模型(youtubeの(株)共立模型チャンネルに移動します)

【終了しました】研修会「調理師が教える簡単・おいしい非常食づくり」を開催します

 災害後に大きな問題の一つとなるのが温かいおいしい食事です。
 今回は調理師である秋田瑞穂様を講師にお招きし、カセットコンロを使って、簡単に複数の料理を同時に衛生的に作ってみます。
 災害などに限らず、日常生活でもちょっとした節約になるアイデアがありますので、興味のある方は是非お申し込みください。事前申し込みで先着順となります。
 なお、今回の会場には駐車場がありませんので、車でお越しの方はお近くの有料駐車場をご利用ください。
 詳しくはチラシをご覧いただき、不明な点は事務局までお問い合わせください。
 小学校3年生未満のお子様は、保護者の方とご参加をお願いします。

どんな備えがいるのかを知っておこう

その場所を知ることで適切な備えをすることもできる。写真は防災マップ作りの一コマ。

日本に住んでいる限り、災害が起きると大小はありますが、自分の生活に影響を受ける人がほとんどだと思います。
例えば、低地にお住いであれば大雨や洪水に備えておかないといけませんし、山の周囲にお住いであればがけ崩れや地すべりに気を付けておく必要があります。
また、直接なんの影響もない場所に住んでいる人でも、災害によるライフラインや道路などの寸断による影響は必ず出てきます。
どのような災害でどのような影響が出るのかは、過去の例や予測、推測するしかない部分もありますが、影響を受ける災害を認識することが災害に備えることの第一歩になるとおもいます。
ハザードマップや過去の伝承などを参考に、あなたがいる場所にはどのような災害が起きる危険性があって、どのような備えが必要なのかを確認し、そのうえで災害対策を進めるようにしてください。

被災後の中高生の居場所をどうするか

 大災害になると、障がい者や高齢者、乳幼児は割と早い段階から救援や支援の手が届きます。
 そして、それよりは遅れても、小学生まではいろいろなNPO団体などが被災地に入って預かりや学習支援、あそび場作りなど、さまざまな支援をしてくれるのですが、置き去りになっているのが中学生、高校生の処遇です。
 大人ではないので仕事に出るわけではなく、かといってどこかに預かってもらうこともなく、学習ができる体制があるわけでもない。
 何かしようと思っても、その場所が確保されていないことが非常に多いです。
 自治会や自主防災組織などで事前に検討される避難所の設営マニュアルにも、ペットの取り扱いについては記載がされているところも出てきましたが、中高生が学習したり息抜きができるような場所の確保はされていないのが現実です。
 目立たず、声を上げるわけでもないのであまり意識されていないと思いますが、中高生も被災者であり、学習支援や心のケアが必要なのではないかと思います。
 乳幼児や小学生、高齢者や障がい者と同じような時期に支援体制が作れるのなら非常にいいのですが、とりあえずは避難所の一角に最初からそう言った場所を設定しておくことができれば、その後の支援も随分と変わってくるのではないかと思います。
 大人ではないが子供というにはちょっと大きい中高生。
 彼らの日中の居場所についても、しっかりと検討しておきたいものです。

防災は科学です

 災害対策でいろいろなお話をしていると、災害対策は科学だよなと思うことがよくあります。
 例えば、暖かい空気は上昇するということがわかったいれば、避難用シェルターの屋根の高さはできるだけ低くすることを考えるでしょう。
 また、風は熱を奪う、ということがわかっていれば、冬であれば防風対策、夏であれば風通しのよさを考えて避難所の設置を考えるのではないでしょうか。
 濡れたものが乾いていくときには熱を奪うということがわかっていれば、濡れたまま体温で服を乾かすのはかなり無謀だということが想像できるでしょうし、汚い水しかなくても、毛細管現象を知っていればある程度きれいな水を手に入れる方法もわかると思います。
 災害対策は気合や根性だけでやるものではありません。
 最後に必要なのは気合や根性かもしれませんが、まずは科学的、論理的に筋を通して考え、そして準備しておくこと。
 できるだけそのために、いろいろなことに興味を持ち、できることなら実際に体験してみて、考えてみてほしいと思います。

マニュアルをどう活かすか

 災害時に対応するためのマニュアルというのは、多くの組織に備えられていると思います。
 ただ、残念なことにどんなに良いマニュアルを作っても、その組織の人のほとんどはそのマニュアルを知らないのが現実です。
 ないのは困るし、あっても読んでもらえない。そして何か起きたらマニュアルを知らなかったといわれて怒られたりもします。
 実際のところ、分厚いマニュアルは作っても誰も読んでくれません。
 読んでもらえないマニュアルは存在しないのと同じなので、なんとか見てもらえるような状態に落とし込む必要があります。
 効率的なのはその人が取るべき行動についてのみをまとめた一枚紙を配ってしまうことです。
 一枚紙なら読んでもらえますし、お財布などに入れておいてもらうこともさほど難しくはないと思います。
 また、防災担当者がいなくてもやっておいてほしいことをファイルにまとめておき、いざというときにはファイルの手順通りに動いてもらう方法もあると思います。
 せっかくマニュアルを作ったのであれば、そのマニュアルを基にした、誰もが理解できて行動できるようなわかりやすい手順書も作成しておくといいと思います。

体の保温で気を付けること

体が冷える前に毛布を使うことで、周りは冷えていても体温がしっかり保持できる。

 寒波が続きますが、あなたの体調は大丈夫ですか。
 寒さは体にさまざまな変調を起こしますので、調子がおかしいなと思ったら、早めに病院を受診するようにしてください。
 特にお風呂と脱衣場では温度差がひどくてヒートショックといわれる症状を引き起こすことがあります。あまり寒いようなら、お風呂ではなく足湯で体を暖める方法を考えてもいいと思います。
 ところで、身体の保温で気をつけないといけないことが二つあり、一つは体から出る熱を逃がさないこと、そしてもう一つはできる限り体を濡らさないことです。
 足湯で体全体がぽかぽかしたら、お湯につかっていた足は水気をしっかりと拭き取ってください。そうしないと、今度は濡れた足から体の熱が逃げていくことになります。
 他にも、例えば寝るときに使う布団は、できるなら入る前に暖めておきます。温めることによって、冷えた布団で体温が奪われるのを防ぎますし、しっかりとした睡眠をとることもできます。
 また、暖かいからと言ってこたつで寝るようなことは避けてください。
 汗などをかいて体が濡れてしまうとその水分が蒸発するときに体の熱を奪っていき、体が冷えるのと同時に脱水症状になってしまうことがあります。
 こたつなどで暖を取る時には、心地よい温度を維持するようにし、絶対に中で寝ないようにしてください。
 それから、今回の寒波でも出てきたエマージェンシーブランケットは、体の体温を反射してブランケット内の空気を温め、体を冷やさないようにするものです。
 体が冷えてから羽織っても温かくはなりませんので、停電したり、車のエンジンを切ったら、空気が温まっているうちに体を覆うように羽織ってください。また、頭から熱が逃げていきますので、ニット帽などをかぶっておくことも有効です。
 繰り返しますが、体が冷える前に熱を逃がさない工夫をすることが、体の保温のためにはとても重要になります。
 まだまだ寒い時期が続きますので、体の上手な保温をするように意識してください。