災害や置かれた条件で、取るべき行動の正解はかなり変わってきます。
同じ災害でも、いる場所や置かれた条件によっては、正解が真逆になっていることもありますので、置かれた状況を判断する力をつけておく必要があると思います。
例えば、非常用持ち出し袋。
水害や台風など、災害が起きることが予測される状況であれば、必ず持って避難すべきですが、地震に伴う津波がくるような状況だと、非常用持ち出し袋を持つよりも高台への避難行動が優先されます。
また、地震の時に机の下にもぐるのは、落下物が少ない場所なら有効ですが、建物が崩れそうなら屋外への避難を最優先にしないといけません。
どれが正解かなのではなく、いる場所と置かれた状況によって正解が変わってくるのです。だから、判断を間違えないためには、普段想定している状況ではなく、今遭遇している現状を受け入れることが大切です。
今優先すべきはなんなのかをしっかりと考えたうえでの行動となりますが、優先度の判断というのは慣れていないと非常に困難を伴います。
普段の生活のちょっとした判断を求められる状況で、判断とそう考えた根拠を意識する練習をしておきましょう。
この判断というのはなかなか難しいものですが、正しくても違っていても、よくわからなくても、判断をする練習をしておくことで、いざというときの判断も的確になる可能性があがります。
災害時に優先されることは常に同じではなく、いる場所や状況で変わるということ。
そしてそれを踏まえたうえで、自分の命がどうやったら守れるのかを常に考えるようにしてくださいね。
カテゴリー: 気象
【活動報告】防災研修会の講師をさせていただきました
9月7日に益田市市民学習センターにおいて、NPO-MASUDA様主催のけやき学園の防災講座の講師をさせていただきました。
このけやき学園は年齢を重ねた方がさまざまなことを学習する機会の場として提供されているもので、今回はその一コマとして、防災に関する研修会をしました。
初めて防災の話を聞く方向けということで、あまり深い内容についてはできませんでしたが、約1時間半に渡って受講生の皆様が熱心に聞いてくださいました。
今回は展示物の一つとしてエマージェンシーシートを実際に身に着けてみてもらうものをやってみました。
最近何かと話題になるエマージェンシーシートですが、実際に使ったことのない方がほとんどでしたので、実際に使ってみて、どうやって使うのかやどんな感じになるのかについて体験してみることは大切だなと感じています。
また、こういう研修会は「知らないということを知る」というものでもありますので、気の付いた部分からいろいろと動いて準備してもらえればいいなと思っています。
今回研修に参加してくださった皆様、そしてこの研修の機会をくださいましたNPO-MASUDAの皆様に感謝します。
台風に対する事前予測をしておこう
台風のシーズンになりましたが、あなたのおうちの台風対策は万全ですか。
台風の場合、ある程度事前に針路が予測できるので、早めの対応を取ることで、少なくともあなたの命を守ることは可能です。
台風で怖いのは風と水。強風の中、水があふれてきたからと言って避難することはできません。
少なくとも、周囲と比べて自分の家の高さはどうなのか、それくらいは地図や家の周辺をみるとわかると思いますので、周りよりも低い場所や、全体から見て低地の場合には、台風が来る前に安全な場所へ移動しておくことをお勧めします。
また、背後に山がある場合には、その山の傾きや土質、どのような木が生えているのか、普段の水の出具合はどんな感じかなどを調べておきましょう。
少なくともハザードマップなどの防災マップでイエローゾーンやレッドゾーンに指定されている場所にお住いの方は、これも早めの避難が大切です。
避難先ですが、台風の影響のない場所に逃げるのが一番いいのですが、かなりの長距離移動になることが多いので現実的ではない場合もあります。
高台でなるべく風の当たらない場所というちょっと矛盾した表現になりますが、そういった場所を普段から探して見つけておくか、もしくは安全な場所に立っているホテルなどの宿泊施設に宿泊するのもいいと思います。
台風では、どうしても避難所の開設が遅れがちです。避難所が開設される頃には台風の真っただ中といった場合も想定されますので、なるべく早く安全な場所への移動を自己判断で行ってください。
また、家は安全だという方は、窓ガラスが割れないような補強や、屋根の点検、雨どいや排水路の掃除などをしっかりとしておきましょう。
台風は事前に予測できる災害です。報道機関や行政機関が発表する情報を丹念に集めて、どのタイミングで何をしておくことが適切なのかを、しっかりと考えておきましょう。
リアルタイム被害予測ウェブサイト cmapを知っていますか
これからの時期、秋の大雨や台風による被害が予測されますが、現在進行形で被害予測をしているウェブサイトがあるのをご存じですか。
あいおいニッセイ同和損保が提供している「リアルタイム被害予測ウェブサイト cmap」がそれです。
本来、このシステムは台風、大雨、そして地震の建物被害を予測して迅速に損害保険の調査や支払いの体制を組むために作られたそうですが、建物被害の予測ができるということは早めの避難を促すことにもつながるのではないかということで、現在無料で情報が提供されています。
このシステムで被害が想定される場所にいた場合には、しっかりとした対策を取り、場合によっては域外避難も考えながら早めの命を守るための行動をとることができると思います。
もちろんAIによる予測なので、実際には被害が出ない可能性もありますが、台風などは最大で7日前からの予測ができるそうなので、それを見ながらさまざまな備えをしていくことも可能だと思います。
ハザードマップも表示でき、アプリもあるので、興味のある方は一度試してみてください。
リアルタイム被害予測ウェブサイト cmap(あいおいニッセイ同和損保のウェブサイトへ移動します)
避難は日のあるうちにする
予測できないような突然の大雨というのもありますが、最近は結構高精度で振り出す前に大雨の予報が出ています。
特に夜間に大雨が予測されるような場合には、夕方までの日のあるうちのところで大雨に関する情報が出されることが多いです。
これは早めの避難のために行われるもので、低地や水害の発生が予測されるような場所に住んでいる人は、自分のいる場所でこういった情報があったら、早めに避難を開始することを検討してください。
夜間の避難は非常に危険です。特に大雨の場合には視界が全く効きませんので、徒歩の避難もかなり難しいです。
指定避難所の開設は自治体が行いますので、ひょっとすると開設がされていないかもしれませんが、そういったときには高台にあるホテルや旅館といった宿泊施設や知り合いの家などを確保して避難するといいでしょう。
また、どうにもならない場合には、車中泊ということで高台の駐車場に移動し、車で一晩過ごすという方法もあります。健康に不安のある方にはお勧めできませんが、危険を回避するという点では一つの選択肢です。
避難方法や避難先はいろいろとありますが、可能な限り日のある明るいうちに避難を完了しておくことが肝心です。
夜間はまったく見えない、移動はできないという前提で、自分の行動計画を考えるようにしたいですね。
面と点
大雨に関する警報があちこちで出ていますが、あなたのお住まいの地域は大丈夫ですか。
あなたがお住いの場所の危険をハザードマップなどで確認し、何に対して備えておけばいいかについてしっかりと確認しておくことをお勧めします。
ところで、もしもお住いの場所が浸水するような地域の場合、避難する基準は自分で準備しているでしょうか。
というのも、避難情報の「高齢者等避難」や「避難指示」はお住いの地域の自治体が発表するもので、あくまでも地域という面で考えられています。
ただ、自分が住んでいる場所という点がどうかは考慮されていませんので、避難情報が出る前に家が浸水しているといった事態は十分に考えられます。
安全に避難するためには、普段から家の周りの雨や水の様子を確認しておいて、どれくらい雨が降るとどんな感じになるのかを知っておきましょう。
そして、ちょっと危険だなと思ったら、自治体の避難情報を待つことなく避難を開始してください。
ひょっとすると、自治体が開設する指定避難所はまだできていないかもしれませんが、その場合には自分が安全だと思える場所に退避しておいてください。
例えば、ハザードで見る限り安全だと思えるような日帰り入浴施設や図書館といったような時間が過ごせるような場所に移動して様子を見てもいいでしょう。
自分の安全を自分で確保することが、災害に対する備えとしては非常に重要になります。
何もなければそれでよし。
万が一に備えて、早め早めの行動をとるようにしてくださいね。
あふれた水には触らない
あちこちで大雨が続きさまざまな被害が出ているようですが、あなたのお住いの場所はいかがですか。
洪水時には、基本は早めの避難ですが、外に出ることができないくらいの激しい雨が降っているケースも増えてきていますから、そんなときには二階以上に避難する垂直避難も避難時の検討に加えておいたほうがいいと思います。
よく、あふれた水の中を避難する人たちの映像が出ていますが、このあふれている水は普通の川の水とはかなり異なることを知っておいてほしいと思います。
一番の違いは、汚水が混じっているということ。あちこちが浸かると、浄化槽や下水管などの汚物も一緒にあふれてきます。こういった汚物が混じった水は、雑菌が繁殖しやすく、破傷風菌などもかなり増えていますので、万が一怪我をしたり、傷口が浸かるようなことがあればそこから化膿することや死に至る場合があります。
よく防災講演会などでは水の中を歩くときには杖を使ってなどと説明されますが、どうしても避難が必要な場合を除いては、水があふれてきたら水の中は歩かないという風にしたほうが安全です。
サンダル履きではなく、靴を履けといった話がありますが、それ以前に汚れた水の中は歩かないこと。
それを前提にしてどのような避難ができるのかを検討してほしいと思います。
車の移動と低地走行
あちこちで大雨が続いています。
大きな被害が出ないことを願っていますが、報道を見ると、車で移動していて動けなくなり救助要請という事態が起きているようです。
大雨でも普段使っている道が冠水して池になっているというのは考えにくいようで、いつものように走っていて水没し、動けなくなるということのようです。
人間というのは不思議なもので、普段から慣れ親しんでいるところが急激に変化するとはあまり考えないようになっているらしく、多くの方がひどい目にあって、「こんなはずではなかった」と言うことが多いです。
ほんのちょっとしたことなのですが、緊急時に安全な場所まで逃げるための避難路の点検と同じように、普段使いしている道路の高低差や経路で土地が低かったり排水がうまくできないような場所を確認しておいたなら、こういった事態にはならなかったかもしれません。
アンダーパスでの浸水の危険性はかなり周知されてきていますが、アンダーパスだけでなく、周囲から見て一段低い場所も水が溜まって危険です。
大きな水たまりに見えていても深いことがありますから、基本はそういった水たまりはできるだけ避けて運転することです。
雨の日にちょっと気を付けていると、水のたまりやすいところや掃けにくいところがわかると思いますので、普段と比べて水の量がどうなのかがイメージできれば、そこまでひどい目に遭うことはないのではないかと思います。
実際に現地を歩いてみたり、国土地理院の地図などで周囲の確認をしたりして、大雨の時にはできるだけ水たまりとなるような場所を通らない。
できれば普段からそういった場所を避けるような経路を作って、それを常に移動するような癖をつけておくといいと思います。
垂直避難で気を付けること
あちこちで大雨が降っていますが、あなたのお住いの地域ではどのような状態でしょうか。
ここのところの雨の降り方は数時間で河川氾濫や内水越水が起きるような強烈なものになっているため、行政の避難情報が間に合わない事態も起きているようです。
自分の命を自分で守るためには、自分で避難すべき基準を作り、確認しておく必要がありそうです。
ところで、こういった雨の降り方をすると、場合によっては安全な場所に逃げるための水平避難が間に合わない場合が想定されますので、いざというときに備えてご自宅の二回以上に避難する垂直避難も逃げる選択肢に入れておいたほうがよさそうです。
垂直避難では、基本的に二階以上に避難したら、水が引くまではそこで過ごすことが原則となります。地域によっては水防団などが救助に来てくれる可能性もありますが、基本は避難した場所から移動ができません。
そのため、そこで過ごすために必要なあれこれをあらかじめ備え付けておくようにしてください。
水、携帯トイレ(もしくは簡易トイレ)、食料、着替え、布団、ポータブル電源、テレビやラジオなどの情報が確認できるもの、そして暇つぶしのできるものなどを用意しておくといいと思います。
ただし、垂直避難できるのはその地域の水没する水の高さが1階の高さ以内に収まることが前提となりますので、二階以上が水没するようなハザードマップが出ている場合には、危険だと思ったらすぐに域外へ避難することです。
一番いいのは安全な場所にいますぐに引っ越しをすることですが、それができない人は、雨には十分に警戒するようにしましょう。
最近は精度の高い雨雲レーダーの情報(リンク先は日本気象協会)や気象庁のキキクルなどもありますので、自分できちんと情報を集めてどうするかの判断をするようにしてください。
そして、自分で判断が難しい場合には、そういったことが得意な人に注意を促してもらうようにしておくといいでしょう。
いずれにしても、垂直避難は決して安全な避難ではありません。
もし垂直避難するのなら、避難後に困らないような準備を、二階以上に備えておいてくださいね。
地震とそれ以外の災害の違い
災害に関する講習会をするとき、地震とそれ以外とに分けて説明することが割とあります。
というのも、地震は予知できませんが、それ以外の災害は予測できること、そして発生する被害が違うことが挙げられるからです。
例えば、大雨や台風はある程度被害の発生は予測できると思いますが、地震の発生場所や被害を正確に予知できたケースは存在しません。
また、大雨や台風では水や土砂でものが埋まったりえぐれたりという被害が多いですが、あらかじめ被害が発生するであろう場所は予測ができます。
でも、地震では発生エリアの地中、地表問わずにあちこちが動いて予測できない被害が起きるのです。もちろん液状化現象など、地勢的に被害が予測できるものもありますが、何が起きるのかは起こってみないとわからないのが地震の怖いところです。
そのため、地震とそれ以外については説明を分けておく必要があるのです。
地震以外の災害は徐々に被害が予測できるので、災害発生前に自分の命を守るための手が打てますが、地震はいきなり襲っていますので、起きたときには終わっています。
何も起きない平時に対策を講じていない限り、地震は命を守るための手の打ちようがないのです。
災害をひとまとめにして説明をすると、聞いた人は地震のときにでも「起きることが予想できて、かつ起きてから避難の判断ができる」ような誤ったイメージに繋がります。
災害を考えるときには、いきなりやってくる地震と予兆のある地震以外の災害に分け、それぞれに対策をするようにしてください。