各自治体ではハザードマップを作成して自治体内の世帯に配布していますが、あなたは見たことがありますか。
ハザードマップは特定の条件下での被災状況を図化したもので、自治体や地域の避難計画作成の基礎となる資料の一つです。
これには地震や浸水害、土砂崩れの危険性が色分けで表示されていて、とりあえずの危険な場所がわかるようになっており、あなたが避難計画を作るときには必ずこれを見ているはずです。
ハザードマップの検証では、自宅からの避難だけでは不十分です。勤務先や通学先、途中の経路、よく買い物や遊びに行くところ、そして自分が避難すべき避難所の災害対応状況といったものも確認しておかなければいけません。
避難所は災害から身を守るために避難するところなので、避難すべき避難所がどのような災害に対応しているのかを正確に把握しておかなければ、避難した避難所で被災したと言うことになりまねません。
想定される災害のハザードマップに、地域の災害伝承の情報を追加すると、より安全な避難を行うことができるようになりますので、分かる範囲で確認して追加しておきましょう。
避難経路は状況や環境の変化によって常に見直しが必要ですし、地域としての防災マップ作りも必要となるでしょう。
今住んでいる場所だけでなく、自分が行きそうな場所の経路と安全性を確認しておいて、いざというときに備えたいですね。
カテゴリー: 情報
パーソナルカードを作っていますか
自分の情報や家族を始めとする大切な連絡先、家族の写真などをまとめて一枚のカードにしたものをパーソナルカードと言いますが、あなたはパーソナルカードを持っていますか。
被災して動揺すると、知っているはずのことが思い出せなかったりすることがあります。そのとき、このパーソナルカードを確認することで非常時の連絡先や家族の集合場所、かかりつけ医などの情報を確認することができます。
また、子どもやお年寄りに持たせておけば、非常時にそれを確認することで安否確認などの連絡を取ったり身元の確認をすることができます。
こういった書式で作る、という指定されたものはありませんが、自分の名前、住所、血液型、家族構成、家族の連絡先、災害時の集合場所、持病や常備薬、かかりつけ医やかかりつけ薬局などの情報、そして家族写真を一緒にしておくと非常に役立ちます。
とはいえ、このパーソナルカードは個人情報の塊ですから、いざというとき以外人に見られたくない方もおられると思います。
そのため、作ったものをラミネートパウチしておいて、使うときにははさみで切って中を確認するといった方法をとることもあります。
大切なことは、非常時に自分が誰で家族が誰で、どこへ連絡すればいいのかなどがわかることですから、作ったものを普段持ち歩くカバンや財布にいれて、いざというときに使えるようにしておきたいですね。
72時間の意味
エーゲ海で大きな地震が起きました。マスコミでは地震発生から72時間を過ぎると建物などに閉じ込められた要救助者の生存が殆ど絶望のような報道もされていますが、なぜ72時間なのか考えたことがありますか。
今日はこの72時間という時間について考えてみたいと思います。
72時間以内にできるかぎりの救助をしなければ生存者が極端に減ってしまうと言われています。これは阪神淡路大震災で倒壊した建物などから救助できた生存者の割合が、初日は74.9%だったのが2日目には24.2%、3日目、すなわち72時間後には5.4%となり、72時間を過ぎるとかなり下がってしまうことが示されたためです。(出典:「阪神・淡路大震災の経験に学ぶ」 国土交通省近畿地方整備局作成)
もっとも検死報告書では死者の殆どは圧迫死による即死状態ともあるためこの数値をそのまま鵜呑みにすることもよくないようですが、被災後早ければ早いほど助かる人が増えるのは事実です。(出典:阪神・淡路大震災教訓情報資料集【02】人的被害 内閣府作成)
また、水は3日飲めないと脱水症状を起こして死に至るからだという話もあります。これも72時間以内の救助が言われている原因でしょうが、通俗的に言われているものなので何か確証があるようなものでもなさそうです。
最終的に生存できるかどうかは本人の体力や閉じ込められた環境、天候などにかなり左右されるので、72時間を超えたから生存者がいないというわけでもありません。
ただ、救命率を表す72時間という表現は要救助者がいる人にとっては一つの目安になる数値です。さまざまな要因でこの時間内に救助が間に合わない場合には、あきらめがつくという効果もあります。
マスコミは大規模震災が起きたときに批判的に使われることもありますが、これも数値があることで起きる一つの現象ではあります。
ちなみに、この数値は人命救助以外に備蓄品の目安や自助でなんとかすべき時間の目安にもなっているので、いろいろな意味で災害対策とは切り離せない数字なのだと思います。
消防の緊急消防援助隊や警察の広域緊急援助隊、自衛隊などの救助のプロ達は生存者がいると思われる場所で重点的に救助活動をします。
つまり、生存者がいないと判断されてしまえば、そこに救助隊が来るのは72時間よりもずっと後になってしまいますから、閉じ込められたときに備えてホイッスルを準備しておくことをお勧めします。
また、一番良いのはそもそも倒壊に巻き込まれたり閉じ込められたりしなくてもすむような環境を整えておくことです。おうちや周囲の地震対策をしっかりとやっておいてくださいね。
避難所のニーズと避難者のニーズ
災害で開設される避難所は、災害で住む場所を失った人にとって生活の核となる場所です。
また、支援物資や情報の集積地であり、場合によっては復旧支援の拠点ともなる、非常に多機能な場所でもあります。
最近はコロナ渦で在宅避難が推奨されていますが、それでもさまざまな事情で住むところを失い、避難所へ逃げ込む人がいなくなるということは考えにくいことです。
その時に少し注意をしなければいけないことは、避難所における支援物資の要求を始めとするさまざまな支援要請の仕方です。
避難所での避難者が多いほど必要とされる物資やサービスは多岐におよぶことになりますが、その際にその避難所でそれを必要とする人が多いほど要求の優先順位があがるということが起こります。
逆に言うと、そのアイテムがないと生活が立ちゆかなくなる人であっても、そのアイテムを必要とする人が少数であれば、避難所としての優先順位は下がると言うことです。例えば、乳児用のおむつが欲しいと思っても、その避難所で多くの人が必要としているのが大人用おむつであれば、届くのは大人用おむつが優先されて乳児用はいつまでも届かないことになります。
また、避難所では避難所を運営するための運営委員会が結成されますが、その委員達が不要と判断すれば支援物資の要求さえされないということになり、過去には生理用品を始めとする衛生用品が運営委員により不要とされてしまってその避難所で生活する人達が困ったというようなことが起きています。
こういった隠れてしまうさまざまな要求を発掘するためには避難者から直接意見を確認できる場が必須となりますが、行政はどうしても平等という部分に拘って後手に回ってしまうため、NPOや支援団体がそれぞれに立ち入ってそれぞれの対象者からニーズを引き出すという作業を行っています。
これはどちらがいいというわけではなく、避難所としてのニーズと、避難者としてのニーズが異なっているだけですから、対応が異なってくるのも仕方が無い部分があります。
最近ではSNSで避難所で不足しているものの支援要求をすることも増えていますが、そのSNSでの発信は「避難所のニーズ」なのか「避難者個人のニーズ」なのかをしっかりと見極めないと、SNSを見た人が一斉に支援に動くと避難所に同じものが大量に届いて逆に困ったと言った事態も起きます。
支援要求をする際には、それが誰のニーズなのか、いつ時点のニーズなのかをはっきりさせ、具体的に必要とする数量もあわせて発信する必要があるということを情報を出す側も受け取る側もしっかりと考えておく必要があると思います。
一番いいのは、できるだけ避難者のニーズは自分の非常用持ち出し袋に詰めておき、ある期間は自分のニーズを出さなくても大丈夫なようにしておくことです。わかっているものはあらかじめ避難所にある程度ストックしておくことも一つの方法でしょう。
避難所のニーズと避難者のニーズは異なり、それぞれに分けた対応が必要なのだと言うことを前提にして、支援物資やサービスを届けたいですね。
余談になりますが、避難所の支援でもっとも問題となってくるのが水です。避難した時点では確かに不足しているものなのですが、給水車や行政の支援物資として真っ先に供給されるのも水ですから、遠方で飲料水を買って宅配便などで送ったとしても届く頃には充足していることが殆どです。
もし送るのであれば、それが本当に支援になるのか、現地の場所取りになってしまうのではないかを充分に考えた上で送られることをお勧めします。
また、避難所支援といって古着を大量に送る人もいますが、被災者はほとんど着ません。逆の立場になってもらえればわかると思うのですが、さまざまな形で新品が供給されることが多いので、古着はただのゴミです。
災害ゴミを処分しなければならない環境にさらなるゴミを追加することは絶対に止めましょう。
台風の進路予想図の見方
近づいてきている台風14号は進路予測がちょっと難しいようで、かなり大きな予報円が描かれていますが、この予報円を始めとする台風の進路予想図について、あなたはご存じですか。
恐らく、なんとなくのイメージはあると思うのですが、それを言葉にしようとすると結構難しいものです。
今日はこの台風の進路予想図の見方を再確認しておきたいと思います。もしご存じでない方がおられたら、せっかくなので覚えていただけるとうれしいです。
1.台風の進路予想ってなんのため?
台風が発生すると、被害や事故を防止するために台風情報が発表されます。
これは台風が発生し、どのような状態なのか、そしてどこへ向かうのかを予測するもので、最近では気象庁を始め世界各国の気象担当機関がさまざまな予測を出しており、矢印のたくさんついた進路予想図を見たことのある方もおられるのではないでしょうか。
この台風情報、台風が発生すると発表時点から24時間後までの予想は3時間ごとに、120時間先までは6時間ごとにそれぞれ提供されます。また、日本列島に近づいて災害などが予測される事態になると、1時間ごとに現在位置と1時間後の推定位置が発表されるようになっていて、その台風の影響域から日本連騰が抜けるまではいずれかの方法で情報提供が続きます。
台風に備えるためにはいつ頃来るのか、自分の住んでいる地域はどうなるのかという情報が必要なので、この進路予想は非常に重要なものです。
2.台風の進路予想図
台風の進路予想図は次のような図面になっています。
青線は今までの進路です。
赤い円はその台風の「暴風域(風速25m/s以上)」です。
かなり見にくい状態になってしまったのですが、黄色の円はその台風の「強風域(風速15m/s以上)」です。
黒い丸印(わかりにくいですが破線です)の部分は、その時間にその円の中に台風の中心が来る確率が70%とされる予報円で、黒線(これも破線です)は予報円を結んでいるものです。
気をつけておいて欲しいのは、台風の中心は予報円の真ん中にくるのではないということです。台風の中心が予報円内のどこかに来る可能性があるというになっており、その確率は70%とされています。そして、予報円の外側にある赤線は、台風が予報円の中に来たときに暴風警戒域となる可能性のある範囲を表しています。
台風の中心位置によっては、暴風域にはいらない可能性があるということです。また、暴風域がなくなると予測されている時点でこの赤線は消えて予報円だけとなります。上のサンプルでも3日目には赤線が消えた状態になっています。
3.台風のサイズ
台風は10分間平均風速が17.2m/s以上の風を伴うものだということはご存じだと思いますが、その大きさや勢力を表す表現というのも、気象庁発表では決められています。
その用語は次のとおり。
例えば「大型で非常に強い」と書かれると強風域の半径が500km~800km未満で最大風速が44m/s~54m/sの勢力があることになります。
最近の台風は迷走するものも多く、進路の予測がかなり難しい状態のようです。
最初の予測で範囲ではなかったから安心するのではなく、定期的に気象情報を確認して予報円や暴風警戒域に変化がないかを確認し、もし影響がありそうな予報に変わったら、しっかりとした対策を取るようにしてくださいね。
【活動報告】防災マップ作りを開催しました
去る9月26日に益田市高津町の連理松センター(旧高津児童館)で防災マップ作りの研修会を開催しました。
去年に引き続き2回目の開催で、本来は夏休みの開催を企画していたのですが、猛暑とコロナ禍ですこしずれ込みました。今回は最初に災害時に「危険なもの」「安全なもの」「役に立つもの」を子ども達とスタッフで考えてリスト化し、連理松センター周辺を調べてみました。
去年は地図や写真は全て手書きで行ったのですが、今年は「第17回ぼうさい探検隊マップコンクール」応募する条件で、日本損害保険協会ぼうさい探検隊マップ作り事務局様から防災マップ作成用のタブレットの貸し出しを受けることができましたので、それを使ってやってみることにしました。
また、万が一に備えて(株)ゼンリンが提供している「まちたんけんキット」を使った書き込み用の地図も用意。万全の体制で地域の点検を行いました。
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当日は雨が降ったり晴れたりまた大降りになったりするめまぐるしい天気でしたが、フィールドワークの間だけは天気が安定してくれて、無事に点検をすることができました。
昼食は空き缶コンロを使ってご飯を炊こうと考えていたのですが、天候が安定しないために断念。前回と同じアルファ米食べ比べとなりました。ただ、使うお皿は新聞紙を折って作った物を使い、大きさや折り方についていろいろと試行錯誤してもらいました。
また、防災食として市販されている缶入りの乾パン、クラッカー、ビスケットの差し入れをいただき、それを見た子ども達は昼食休憩中は雨のやんだ連理松センターの庭で、自主的にお茶会を始め、お互いの交流を深めていました。
午後からは地図を製作しましたが、タブレットでは完成までさほど時間もかからず電子機器の威力を感じました。
手書きの地図の方は、地図に場所を落とし込む作業までで時間となってしまい、今回は完成まで至りませんでしたので、後日完成させてみたいと思います。
今回会場提供をしていただきました連理松センター職員の皆様、参加してくれた子ども達、そしてボランティアスタッフや差し入れをくださった皆様に厚くお礼申し上げます。
常備薬をどうするか?
さまざまな持病を持っていて、普段の生活で薬が必要な人はそれなりにいるのではないでしょうか。
大規模な災害が起きると、医療設備が破壊されたり使えなくなったりします。
医療者はいても資機材がなければ医療処置はできませんから、本格的な医療行為は資機材がそれなりに手当てされてからのことになります。
さまざまな薬の流通が再開されるまではそれなりに時間がかかるので、その間に薬により病気の重篤化が防げていた人の病状はどんどん悪化していくことになります。
そんなことにならないように、持病を持っている人は自分が避難するときに備えて薬を1週間程度備蓄しておくことと、万が一に備えてお薬手帳のコピーを持っておくことをお勧めします。
筆者も持病を持っていますが、あらかじめかかりつけ医に相談をして、1回だけ1週間分多めに処方してもらっておき、薬をもらうたびに入れ替えていくローリングストックで使用期限を維持しています。
もしも薬が切れた場合でも、お薬手帳を見ればどのような薬が処方されていたかわかるので、逆説的にその人の病気がわかることになり、医師であれば適切な処方をすることが可能になります。
最近ではスマホなどのアプリでも電子お薬手帳がありますから、そういうのを利用すれば荷物を増やさずに自分の医療情報を持ち歩くこともできます。
特殊な薬が必要だったり、特定の医師が診た方がよい病気だったりするなら、平時にかかりつけ医以外でその病気を見ることのできそうな医師をかかりつけ医に確認しておくことが大切です。
持病のある人やさまざまな理由で医療支援が生活の一部になっている人は、被災したら速やかに被災地域外に広域避難して、自分の病気が悪化しないために被災していない医療機関に支援をしてもらってください。
そうすることで、自分の命を守ることができるだけでなく、被災で医療体制が悪化している被災地の病院の負荷を減らすことができます。
今の日本ではなかなか広域避難という発想にならないかもしれませんが、万が一に備えて、準備だけはしておくようにしたいですね。
被災写真はしっかり撮っておこう
台風10号は北の方に去って行きましたが、あちこちで大きな被害を残していったようです。全容把握はこれからといったところでしょうが、被災された方にはお見舞い申し上げます。
今回の台風10号に限らず、大規模な災害が起きるたびに書いていることではあるのですが被災した後は復旧が待っています。
少なくとも、自宅が被災したらその片付けと掃除、消毒、乾燥、そして修繕と、復旧が完了するまでにはかなりの労力と時間を投入しなくてはいけないのですが、それらの作業に入る前に必ずやっておいて欲しいことがあります。
それは、
被災したことをはっきりさせるための写真をたくさん撮っておくこと
です。
自宅の被災では、自分の生活環境を取り戻すために片付けをすぐに開始したいところなのですが、行政の罹災証明書にしても、保険会社への保険請求にしても、基本的には被災した状況を現地で確認するという原則があります。勝手に片付けを始めてしまうと、行政や保険会社が調査に来たとき、そこまで大きな被災はしていないと判定されてしまって後で困ることがよく起きます。
また、大規模災害だと調査そのものがいつ来るか分からないという状況になることもあります。そのため、被災状況が確認できる写真をなるべくたくさん撮影しておいて一致調査しなくても手続きをすることができるようにしておく必要があるのです。
遠景、近景、被災箇所の確認できる写真など、こんなにたくさんと思うくらい撮影しておいても困ることはありません。
被災状況が撮影されていないことの方が問題になるのですから、無駄になってもいいので、とにかくいろいろな角度からいろいろわかる被災状況写真を撮っておくことです。被災状況をどのように撮影したら良いのかについては、「浸水した家屋の片付けと掃除のしかた」(NHKウェブサイト・災害列島)を参考にしていただければと思います。
それから復旧に際して意識しておいた方がいい点については、以前「被災後の段取りあれこれ」で書いておりますので、よかったら参考にしてください。
いずれにしても、自宅など生活や仕事をする空間は調査を待っているわけにもいきません。行政や保険会社に了解を得た上で、さっさと復旧作業に入るようにしましょう。また、最近立て続く災害のせいで、復旧を始めたら次の災害を受けたという地域も出てきています。手早く全てを行うことはできませんが、何から手をつけるのかをしっかりと決めた上で作業に入り、できるだけ早い復旧ができますことを願っています。
参考情報
「浸水した家屋の掃除と片付けのしかた」(NHKウェブサイト「災害列島」へ移動します)
台風の勢力を知ろう
大きな台風10号が近づいていますが、あなたのおうちの台風対策は完了していますか。
地震と違って、あらかじめ来ることが分かっている災害ですので、周囲に被害が出ないように、そしてあなたが遭難しないように状況を見て命を守るための行動を取ることが大切です。
家を守れない、または被災するかもしれないと心配であれば、お近くの丈夫な宿泊施設に宿を取って待避するか、もし行政が避難所を開設しているようであれば、そちらへ避難することをお勧めします。
ところで、今更ながらなのですが台風の勢力はどのように見るのかご存じですか。
今回の台風10号では、令和2年9月6日16時時点で「大型で非常に強い」という表現がされています。
この台風の表現、予報官がノリと勢いで勝手に決めているわけでは無く、気象庁が定めるルールに従って発表されていますが、そのルールは以下の表になります。
この表で考えると、今回の台風10号は「大型で非常に強い」なので「風速15m/sの範囲が500~800kmで、最大風速44m/s以上54m/s未満の風が吹いている台風」ということになります。
ただ、そう聞いてもピンと来ない方もいると思いますので、イメージがつきやすいように気象庁が作成した「風の強さと吹き方」を見てみてください。
この表で見ると、瞬間最大風速44m/s以上54m/s未満なので、一番右側の「おおよその瞬間最大風速」の欄の「40」のところを見ます。
すると、人への影響は「屋外での行動はきわめて危険」、屋外・樹木の様子は「細い木の幹が折れたり、根の張っていない木が倒れ始める。看板が落下・飛散する。道路標識が傾く」、走行中の車では「走行中のトラックが横転する」、建造物では「固定の不十分な金属屋根の資材がめくれる。養生の不十分な仮設足場が崩落する」となっています。
もっともひどい54m/sくらいになるといろいろなものが飛散し、倒壊していくように書かれています。
このような状況下で、家が壊れそうだから避難所へ避難しようとしても、その避難がかえってあなたの命の危険を招くことになってしまいます。
避難経路をハザードマップで確認しておくのはもちろんですが、家に不安があるようなら、早めに近くのしっかりした宿泊施設に自腹で宿泊するか、行政の開設する自主避難所に避難することをお勧めします。
もしも家で待機するのであれば、風の強い場所にある窓は割れないように補強をしっかりとしておいてください。
また、今回の台風では雨のことはあまり触れられていませんが、雨を表現する用語も決まっていて、それは次の表のとおりになります。
台風が襲来すると、抜けるまでは何もできませんので、運を天に任せる状況になる前に早めに自分の命を守るための行動を取ってください。
余談ですが、自主避難所は場所貸しだけですので、自分の食料や就寝具といった生活に必要なアイテムは自分で持ち込む必要があります。生活に自信の無い方は、自腹で安全と思われる宿泊施設に宿泊避難されることをお勧めします。
上記の表が見づらい場合には、下記リンク先から内容をご確認ください。
気圧配置・台風に関する用語(気象庁のウェブサイトへ移動します)
風の強さと吹き方(気象庁のウェブサイトへ移動します)
雨の強さと降り方(気象庁のウェブサイトへ移動します)
明日は防災の日です
大正12年9月1日に発生した関東大震災にちなんで、毎年9月1日は防災の日となっています。
そしてこの日を挟んで毎年8月30日から9月5日までを防災週間として防災に関するさまざまな行事が全国的に行われています。
今年はコロナ渦で人の集まるイベントは軒並み中止になっていますが、こんなときだからこそそれぞれが自分の防災グッズや避難計画などを見直し、確認しておく時間にしたいですね。
ちなみに、普段は1日と15日しか体験利用ができない災害用伝言ダイヤル171番は、この防災週間中は体験利用することができるようになっていますので、web171番と併せて使い方をしっかりとマスターしておいて欲しいなと思います。
折しも大きな台風が近づきつつあります。週の中程にかけて西日本に影響が出るような予報が出ていますので、対策についてしっかりと確認しておいてくださいね。
当研究所記事「災害時伝言ダイヤルを使ってみよう」