水は昔の流れを覚えている

 ずいぶん昔のことになりますが、昭和58年7月に起きた島根県西部水害で氾濫した益田川の氾濫部分と、どんなものだったのかは忘れてしまったのですが昔の絵図面とを比較してみたことがあります。
 すると、川から氾濫した水は絵図面にあるような場所に沿って流れていることがわかりました。
 度重なる河川改修で流れが変わっていても、氾濫したときには昔流れていた場所を流れていくのだなと妙に感心したことを覚えています。
 もっともそういう場所は、以前は田しか作られておらず、万一河川が氾濫したときに遊水池として被害を防ぐような作りになっていました。
 益田川と高津川の二本の川に挟まれた益田平野は、そのため河口に田の多い土地となっています。
 ただ、今の益田平野を見ると、元は河川敷だった場所や遊水池にかなりの建物や道路ができており、もしも河川が氾濫したらこれらの地域は氾濫した水に浸かってかなりの被害がでそうな気がします。
 あなたがお住まいの地域は水に浸からないくらいの高さが確保されていますか?
 万が一の時には、きちんと避難先が決めてありますか?
 少なくとも昔の川や遊水池だった場所に住んでいる場合には、水による被害は考えておかないといけないことだと思います。
 水は昔の流れを覚えています。
 そのことを忘れないように備えをしておきましょう。

避難の率先者になろう

 先日、ラジオの番組の中で「災害が起きそうなとき、あなたは避難をいつしますか?」という質問を町ゆく人たちにしていました。
 その中でちょっと気になったのが「周りが避難したら避難する」と答えた人がいたことです。
 日本人の特性なのか、周囲を伺って同じように行動するという考えの人は思った以上に多いみたいですが、こと災害に関していえば、周囲の人にあわせていると一緒に遭難してしまいかねません。
 「自分の命は自分で守る」ということを原則に、自分で自分の避難を決める必要があるのです。
 例えば、あなたがいつのタイミングで避難しようかと周囲を見ていると考えてください。実はあなただけではなく、あなたの周りの人もみんな同じように様子を見ています。その中で、もしあなたが早めに避難を始めたなら、それを見ていた周りの人も一斉に避難を開始することになりますから、あなたが避難することで周囲の人も助けることができるということになります。

避難するときに園児達は「おはしも(おさない、はしらない、しゃべらない、もどらない)」を教わるのだけれど、津波からの避難の時には大声で逃げることを知らせながらというのもありかもしれない。

 東日本大震災で「釜石の奇跡」と呼ばれる避難も、率先者となった中学生の「逃げろ!」の声に押されて多くの人が避難して助かりました。
 仮に、避難して何も無かったところで、誰も困りません。そう、「何も無くて良かったね」なのです。
 また、自分の足だと避難するのにどれくらいかかるのかを確認しておくことは非常に重要なことです。それがわかっていると、いつまでに避難を開始しないといけないのかがわかり、より安全な避難が可能になります。
 人の動きを見てから避難するのではなく、自分ならいつ避難すべきなのかを決めておいて、自分だけで無く、周りの人たちも助けることができるといいですね。

やっていないことはできない

ポンチョ着用
豪雨の中を非難するときには傘は役に立たない。帽子と雨合羽、それに運動靴を身につけての避難となることに注意しよう。

 梅雨に入ってからあちこちで集中豪雨の情報が出ています。
 今この瞬間にも、避難勧告や避難指示といった避難レベル4の情報が出ている地域があります。
 もしもそれがあなたのお住まいの地域だったとして、あなたのお住まいの場所は水害や土砂災害に強い地域ですか?
 避難が必要だとしたら、どの段階で何を持って誰とどこへ避難するかを決めてありますか?
 それが昼間でなく、夜だったとしたらどうでしょうか? 家にいるときだけで無く、仕事先や出かけた先でそうなったら?
 その状況になってからでも間に合うと、もしもあなたが思っておられるとしたら、それは大きな過ちです。
 災害が起きそうになったとき、通常時と非常時の切り替えというのはなかなかできないもので、あらかじめ決めておかないと、判断に迷っているうちに手遅れになってしまうことがよくあります。
 周囲に水がやってくる前に避難を開始しなければ、安全な避難はできません。
 もしも家の周囲に水があふれ出したなら、域外避難を諦めて、二階や屋根の上に逃げ出す垂直避難をするしかありませんが、垂直避難した後、水が引くまで待てるだけの備えがあるでしょうか?
 避難をするとしたら、どの経路をたどってどこへ避難しますか? そしてその経路は水に対して安全ですか?
 低地だったり、川になるような場所は通っていませんか?
 避難をしなくてはいけないときというのは、いつもとは異なる状況になっていることが殆どです。
 そして、いざ避難となって歩こうとしても、普段歩き慣れていない経路だと、どこに危険があるのかもわかりませんからどうしても動きが遅くなり、避難が間に合わなくなる可能性だってでてきます。
 いざというときに備えた避難の練習や避難場所の選定、そして避難するときに持参するものを収めた非常用持ち出し袋。
 これらを繰り返し確認し、練習しておくことでいざというときにも考えずに行動ができます。
 人間、やっていないことはできません。
 避難が必要の無い場所にお住まいならともかく、そうでない場合には、年に1~2回は避難の練習をしておきましょう。
 馬鹿馬鹿しいと思うかもしれませんが、その積み重ねが結局自分の命を守ってくれるのです。

避難所では生活音に気をつける

 災害で自宅が壊れたので避難所に避難すると、見ず知らずの人と一緒に避難生活を送ることになります。
 老若男女の生活習慣が異なる人たちが集まって集団生活をすることになるため、さまざまな問題が発生することがよくあります。
 その中でも一番良くトラブルになるのが、ビニール袋などのカサカサ音。
 ビニール袋はとても便利なものなので、ちょっとしたものを入れておくのによく使うわけですが、その中からものを取り出すときに耳障りなカサカサ音がします。
 お年寄りなどはこの音があまり気にならないようですが、気になる人は気になって寝られない状態になり、けんかの元になってしまいます。
 とはいえ、しまってあったものを取り出すために出る音ですので、必要悪の部分もあるでしょう。
 これを防ぐには、あらかじめ音の出ない布袋によく使うものを入れておくことで、本来は非常用持ち出し袋を作るときに意識しておかなくてはいけない部分だと思います。
 また、これに限らず夜中の足音や声、ラジオやテレビの音など、人が普段の暮らしで発生している音は、自分と生活リズムの違うだれかが不快に感じる音でもあるのです。
 避難所で自治運営組織が立ち上がると、こういった生活音にも配慮して避難所で生活する人たち全員が守るべきルールというのが設定されます。
 消灯時間、起床時間、食事や掃除の時間など、基本的にはある程度規則正しい生活を送ることになるわけですが、今度はそれが苦手という人も出てきます。
 本来長期的に避難するのであれば個別に入居できる部屋を持つ施設が望ましいのでしょうが、現在の災害関係法ではそのような考え方は取り入れられていません。
 そうすると、考えるべきは可能な限り自宅が避難場所として使えるように準備しておくことです。食事や各種支援は避難所で受けることにして、普段の生活場所は今までと同じ自宅にしておけば、さほど生活習慣を変えなくてもなんとかなります。
 建物の耐震化と、飲料食、燃料とそれを使う道具の備蓄をしっかりと整えて、そのうちに来るかもしれない災害に備えておきましょう。

避難の時の逃げ道を検討する・水害編

ここ数年、高津川は上流域の大雨により危険水位まで上昇することが増えている。写真は2018年
7月に撮影したもの。

 当研究所を始めるに当たって、研究所の所在地である益田市高津町上市で水害が起きた場合、もしくは起きると想定した場合、どの時点でどこへ避難するかについて研究員達と検討したことがあります。
 先日、益田市のハザードマップが更新されたことに伴って情報が追加されましたので、この情報を元にどのように避難を考えたらいいのかをもう一度考えてみたいと思います。
 考えてみたら、災害時の避難というのはさまざまな判断が求められ、その上住んでいる場所によっても判断が変わるものです。
 以前に避難経路を考えてみる必要があることについては触れていましたが、今回は、地元の地区を例に挙げて、水害対策についてどのように検討したらいいのかについて考えてみます。

1.ハザードマップの限界

  いきなりなのですが、行政の製作するハザードマップには限界があります。
 今回は時期的に水害対策で検討をしたのですが、ここで予測されているのは「想定された氾濫時に最大でどこまで浸水するか」というものを示した図でしかありませんので、どのあたりから越水して堤防が切れ、どのように浸水するのかについては当然ですがわかりません。
 でも、避難をするに当たってはどこからどのように水が流れてくるのでどこへどんな風に避難すればいいかということが大切な検討材料になります。

2.水の特性を考える

 水は必ず高いところから低いところへと流れていきます。つまり、流れている川のカーブでは、カーブから見て上流側の堤防よりも下流側の堤防に力がかかります。
 そのため、同じような堤防であればより力のかかる側の堤防が決壊する可能性が高いと考えられるわけです。

国土地理院の地図を3m刻みで着色したもので、川は図の下から上に向けて流れている。川の合流点から変電所の脇を抜け、奥の田に向けて低地があるため、水害発生時にはここが最初の水の道になりそう。

3.地域の特性を考える

上市地区の少し上流部には川の合流点があり、ここで本流と支流がぶつかります。大雨が降って水量が増しているときには、支流の水は本流にはじかれてしまうので、合流点で水が滞留しやすくなります。バックウォーターと呼ばれるこの現象が起きると、逃げ場を失った水は堤防を越水して低地に向けて流れ込んでいきます。

 また、排水路が一カ所堤防の中腹に抜けていて、ここには逆流防止装置がついていないことから、排水路を越える水が流れてきた場合、ここから水が噴き出してきます。昭和47年7月の水害では、この付近から水が越水し、家屋流出の被害も出たことをお住まいの方からも伺っています。

4.水がどこを通って流れていくかを考える

 バックウォーターで越水すると、水の流れは人麻呂神社の駐車場から翔陽高校の実習田がある方へ流れていくことになりそうです。また、神社前から下流に向けても角度がついていますので、水は二手に分かれて流れていくことが予測できます。

最初の地図に水の流れる方向を落とし込んだもの。郵便局の周りが上市地区になるが、高手に避難しようとすると、どうやっても水の道を突破しなくてはならないことがわかる。

 また、蟠竜湖停車場線は翔陽高校方面に向けてゆるやかに下降しているので、ここも水の道になることが予測されます。また、排水路からの逆流水もここを流れていくことになりますので、殆ど川状態になりそうです。
 どちらにしても、この場合には側溝が溢れる内水面越水ではなく、川を流れる濁流ですので、一度氾濫すると流れてくる水の勢いは歩ける状態ではなさそうだということも予測できます。

5.避難する先はどこになるかを考える

 上市地区の近傍の避難所である「高津小学校」は水没地域のど真ん中、「高津公民館」は家屋倒壊等氾濫想定地域のど真ん中にあり避難所としては不適切です。おまけに上市地区と各避難所を結ぶ避難路がもろに水の通り道になってしまうのでどちらにしても避難することは現実的ではありません。

柿本神社は土石流警戒区域になっているため、荒天時の避難には注意が必要。ただ、柿本神社を抜けて万葉公園の管理センターに避難するのが一番無難そうではある。

 水に浸かる可能性のない「万葉公園」「翔陽高校」「希望の里」そして画像では切れていますが「高津中学校」が避難の選択肢となりますが、避難するのであれば越水する前という条件がついてきます。

6.結論

 上市地区はハザードマップ上の浸水域は2~3mとなっています。最悪の場合には、住家内で2階への垂直避難を行えば助かることはできそうです。
 ただ、より安全を考えるのであれば、国土交通省が出す高津川氾濫情報の氾濫危険水位到達時に避難を開始することが必要で、避難先との調整をしておく必要があるということになります。また、高齢者が非常に多い地域なので、親戚や知り合いが高手に住んでいるようなら、気象庁の「Lv.3発表」時点や、高津川氾濫情報のはん濫警戒水位に達した時点で域外に移動してしまうことも検討すべきでしょう。

 以上、簡単に地区の水害に対する分析を行ってみました。
 この分析結果をどのように使うのか、使わないのかはそれぞれの判断となりますが、これからの季節、お住まいの地域やおつとめの地域のハザードマップと国土地理院の地図を使って、もし水害が起きそうな状態になったら自分のいる場所ではどのようにしたら安全が確保されるのかについて検討してみてはいかがでしょうか。

最初は自宅の耐震強化から

 災害対策としていろいろと備えをしなくてはと言われることが多いですが、一番最初にしないといけないことは、建物の耐震補強で、以前にも少し触れたことがあります。
 あなたのお住まいの耐震補強は大丈夫ですか? そして、お勤め先はどうでしょうか?
 他の災害と異なり、地震だけはいきなりやってきます。そしてその時に一番多い死因は「建物や家具の下敷きによる圧死」なのです。
 建物の耐震補強と家具の転倒防止。これをしておくだけで、生き残れる確率はかなり高くなります。現に大雪に耐えられるように強固に作られた家の多かった東日本大震災では地震における建物の倒壊は殆ど無く、死因の第一位も津波であることがわかっています。また、先頃震度6強の地震に見舞われた新潟や山形でも、家屋の倒壊はほとんど無かった結果、死者も出ていません。
 そのため、災害対策の一番最初に建物の耐震補強を行うことがあげられているのです。
 一般的な話になりますが、住家の場合、1981年以前の建物であれば、まず耐震診断を受けておきましょう。
 1981年以降の建物であればより厳しくなった耐震基準を元に建てられていますのでそこまで急ぐ必要はないのですが、1981年以前に建築された建物の場合は地震に対しての備えがさほど考えられていなかったですので、建物の補強は必須となります。
 石西地域の各自治体には比較的古い建物が多いので、耐震診断や耐震補強に関する補助が用意されています。
 災害対策を行うのであれば、まずは建物の耐震診断、そして耐震補強を行うことです。
 益田市役所津和野町役場吉賀町役場の実施内容へのリンクをしておきますので、まずは内容を確認してみてください。
 もしも高額になって困った場合には、例えば寝室や居間だけ耐震補強するやり方や、建物倒壊の時に逃げ込めるシェルターなどもあります。
 まずは生き残ること。そこから災害対策を考えてみてください。

ダーマトグラフは便利な筆記具

 先日、とある防災用品セットを見る機会があったのですが、その中でちょっと興味を引かれた道具がありました。
 それは「ダーマトグラフ」と呼ばれる筆記具なのですが、これ、どれくらいの人がご存じでしょうか?
 イメージとしてはクレヨンに近いのですが、あんな感じの太めの芯に紙でできた軸が巻き付けてあり、芯がちびると、軸をひもで裂いて新しい芯を取りだして書く構造になっています。

ダーマトグラフの黄色。つるつるした面に書けるため、印刷屋さんや眼鏡屋さんなどで見ることがある。

 このダーマトグラフ、割とどんなものにでも文字や絵が描けて非常に便利なのですが、芯が太いためにノートなどに書き込むには不向きです。
 ただ、小さく文字が書けないということは誰にでも読めるサイズの文字を書くということにもなり、これで書いた文字は簡単に読み取ることができるというのは、非常に災害対策向きだなと思いました。
 よく、防災の本などには油性ペンを入れるように書いたものがありますが、油性ペンでは苦手な濡れている面やすべすべしたところにもこれなら書くことができます。
 逆にしっかりと定着はしないので、こすれたりすったりするような場所に使うには不向きです。
 窓ガラスやつるつるした壁に文字が書けて、ティッシュペーパーなどで簡単に消せるので、一本あるといろんなことに使えそうです。
 インクは使っていないので乾燥を気にする必要はありませんし、色もそれなりにあるので、使い分けも簡単です。
 あまり知られてはいない筆記具だと思いますが、非常用持ち出し袋の中にいれる筆記具の一つとして、これを準備してみてはどうでしょうか。

災害後は子どもが過ごせる場所を作っておく

子どもの笑顔が復旧の第一歩のような気がします。

 災害が起きて社会的なインフラが動かなくなると、まっさきに困るのが子ども達の扱いです。
 通常は保育園、幼稚園や学校などに行っている子ども達は、それらの施設が被災したり避難所になったりすると日中の行き場が無くなってしまいます。
 そうなると、子ども達の面倒を見るために親がついていなければいけないことになり、そのぶんの人手が不足して復旧が進まないという事態が起こります。
 ちょっと前に「避難所では使っては行けない場所を決めておく」ということを書きましたが、例えば学校などが避難所になった場合には、子ども達が日中過ごすための場所もあらかじめ確保しておく必要があると思います。
 子ども達は退屈すると大騒ぎを始めます。その声や音が、避難で殺気立っている大人の神経を逆なでして大喧嘩になることも、過去にはさまざまな避難所で起きていた問題です。せめて日中だけでも両者を切り離すことで、お互いが安心した時間を過ごせるのでは無いでしょうか。
 また、子ども達だけでは何が起きるかわかりません。手の空いている大人達が子ども達を見守ることで、復旧に当たらなければいけない人たちがそちらの仕事に向かうことができるようになります。
 そういう視点で見ると、保育園や幼稚園、学童保育などの再開というのはかなり優先度の高い復旧対象になるのではないかと思います。
 子ども達が可能な限り早く普段の生活に近い状態に環境を整えていければ、自然と大人達も普段の生活に近い生活リズムを取り戻すことができるようになるのではないかと考えるのですが、あなたはどう考えますか?

応急手当をwebで学ぼう

 応急手当については先日ちょっとご紹介したところですが、消防庁のサイトに「応急手当web講習」というのがあります。
 インターネットで応急処置の流れを映像で見ることができ、非常にわかりやすく作られています。
 終了後は修了証がインターネットから印刷することも可能になっており、いつでも見ることができて便利です。
 実地講習は各消防署や日本赤十字社が行う講習を受けなければ体験できませんが、どんな感じでどんな風に判断すればいいのかだけでも理解していると、万が一の時に活用できます。
 普段忙しくてなかなか講習会に参加できない方も、この「応急手当web講習」で応急処置について学んでみてください。

避難所は立入禁止エリアをあらかじめ決めておく

 避難所を開設するに当たっては、どこを使おうかというところから話が始まると思いますが、大規模な災害の場合には収容能力を超える人が避難してくる可能性があります。
 その時に避難所として使える場所を決めている状態だと、最終的にどこもかしこも避難者だらけになって通常業務どころか避難所運営すらおぼつかなくなってしまいます。
 そのため、避難所を開設する際には最低限使っては行けない部屋と、その理由をはっきりとさせておく必要があります。
 例えば、学校なら職員室や事務室は避難者が入ってくるといろいろな不都合が生じるでしょう。体調不良者や妊産婦、授乳などのことを考えると、保健室も避難者が使ってはいけない場所となります。また、水が止まっているようであればとりあえずトイレも使用禁止にしておかないと、水を持ってきた頃には汚物で溢れて大惨事になっているかもしれません。

テープで出入口を閉鎖したトイレ
水が止まったら、とりあえず最初にトイレを閉鎖しないと汚物で大惨事となります

 次に、避難所運営のための本部の位置を確保します。
 大規模になればなるほど、ここがちゃんと確保されていないと、あとで揉めることになってしまいます。
 また、駐車場となる場所では、仮設トイレや給水支援などが受け入れられる場所を確保しておく必要があります。
 忘れがちですが、ゴミ置き場についても臭いが避難所に入りにくく、収集のしやすい場所というのを考えておかなくてはなりません。
 こうして考えていくと、避難所の設営準備というのは災害発生時では無く、平常時に決めておかなければいけないということが分かると思います。
 もちろん、実際の災害時には決めたように動かないかもしれませんが、少なくとも「使えない・使っては行けない場所」をあらかじめ決めておくだけで避難者の誘導がずいぶんとやりやすくなります。
 逆に考えれば「使えない・使っては行けない場所」以外は使えるわけですから、最悪、あらかじめ決めておいた場所以外全ての場所に避難者を入れることが可能になります。
 理想としては避難所として設定したエリアで収まるのが一番ですが、避難所が必要になってくる災害では、殆どの場合総定数を上回る避難者が来るものです。
 避難所開設を訓練するときには、そういった考え方を取り入れて行うとよいのではないかと思います。