スポーツドリンクと経口補水液

スポーツドリンクと経口補水液の代表例。薄めて飲むと効果も薄まるので注意。

 暑い季節になりました。猛暑日や熱中症という言葉が飛び交っていますが、あなたの体調は大丈夫ですか。
 屋外や狭い場所、高温になる環境などで作業をしなければならない方は、体温管理と水分補給には充分に気をつけてください。
 さて、そのときに気になるのがスポーツドリンクと経口補水液の違いです。
 両方とも汗をかいたときに、その汗に含まれる水分だけでなく塩分やミネラル分などを補給するように作られている飲み物なのですが、この違い、ご存じですか。
 簡単に言うと、糖分とナトリウムなどの塩分(電解質)の量が異なっています。
 スポーツドリンクは水分、ミネラル、塩分、糖分をバランスよく配合したもので、経口補水液と比較すると塩分は少なく、糖分は多めに作られています。
 スポーツドリンクの名前のとおり、激しい運動での水分や栄養補給であれば向いていますが、単に汗をかいているだけの場合には、糖分過多になりやすいです。
 経口補水液は脱水症状の時に塩分や水分を補うために作られていて、身体への吸収を考えて糖分は控えめです。塩分が高いので、飲み過ぎると塩分過多になってしまうことがありますので、塩分やカリウムなどに摂取制限がある場合にはかかりつけ医に飲む前に相談してください。
 どちらにも一長一短があり、対象とする人や飲み方によって飲んだ方がいいものは異なってきます。
 スポーツドリンクにも経口補水液にもさまざまな種類があってそれぞれ向いている用途がありますから、悩んだときには医師や薬剤師などに相談してみるといいと思います。
 どちらを使うにしても、のどが渇いたと感じたときには脱水症状が始まっていますので、こまめに少しずつ飲むことをお勧めします。
 また、アルコールやカフェインが入った飲み物は利尿作用によりかえって脱水症状を助長してしまうことがありますので注意してください。
 ちなみに、経口補水液は家庭でも作ることができますので、レシピを紹介しておきます。

材料

水1リットル
砂糖40g(大さじ4と1/2杯)
塩3g(小さじ1/2杯)

作り方

上の材料を混ぜる。しっかり混ぜたら出来上がり。
※酸味が好きな方は、レモン汁を小さじ1杯加えるとさわやかになります。

コロナウイルスと災害報道

 今年も大雨による災害が全国的に起きたわけですが、その後被災した地域はどうなっているのでしょうか。
 テレビやラジオでは新型コロナウイルスの話で持ちきりですが、今現在被災地がどうなっているのかについての報道は殆ど見ることがありません。
 災害ボランティアも自粛状態で情報がうまく伝わらず、現地の状態がいったいどうなっているのか気になるところですが、当事者以外のマスメディアにとってはすでに終わったこととして扱われているのかなと感じます。
 災害報道というのはこういった感じで大きなセンセーショナルな間は盛んに報道されますが、大きく目を引く動きがなくなると途端になかったことにされてしまっています。
 新型コロナウイルス対策+復旧作業は梅雨明けした炎天下で行うには非常に厳しいと思うのですが、そう言った報道は地味なのかあまり見ることがありません。
 地元の報道でも確認することができればいいのですが、全く関係ない地域で情報を得ようとするとほぼインターネットに頼り切りになってしまいます。
 現在何が困っていてどのような支援が必要なのか。新型コロナウイルスの影響で労働力としての災害ボランティアが現地に入れないのですが、他に何か支援できることは無いのかといった情報発信がこれから必要なのではないかと思いますが、何をどうすればいいのかといった情報が手に入らないのが現状です。
 被災者に寄り添うということは、被災した事実があることとそこでも多くの人が生きているのだということを伝え続けることなのではないかと思っています。
 被災地の今を伝え続けること。東日本大震災や熊本地震では、マスメディアはそのことを声高に言い続けていましたが、今現在、災害発生日以外にそれらの報道をみることは殆どありません。
 新型コロナウイルスの情報の確かに大切なのですが、それ以上に今困っている人達がいることを伝える必要があるのではないかと思っています。

■災害でもっとも怖いこと

 災害が発生したとき、個人的にもっとも怖いのは、何も知らず、知ろうともせず、なんの備えもされていない状態で不意打ちを受けることだと思っています。
 大抵の災害では何らかの形で予告や予兆がありますから、該当するのは地震になるのだと思いますが、台風や大雨にしても、日頃から気象情報を確認する習慣が無ければ、同じような不意打ちになるのではないかとも思います。
 備えが無いということは、不意打ちを受けても為す術が何も無いという状態になるわけで、これはどんな被害が着るかわからない非常に恐ろしい状況だと思っています。
 備えというのは、災害が起きてからでは何もできません。備えが平時にこそしなくてはいけないものだからです。
 そして、災害対策で行う備えというのは、場所や人、備える基準によって個人ごとに異なるのが普通です。乳児からお年寄りまで同じ非常用持ち出し袋や備蓄品で備えることはできません。その人ごとの状況に合わせ、備えをする時点でもっとも適したものを準備することになります。
 何も無いのに準備することは非常に面倒くさいですし、なんとなく縁起が悪い気もする人がいるみたいですが、準備したから起きるのではなく、起きるから準備するのだと考えて欲しいです。
 被災すると、どうすればいいのか分からずに途方に暮れます。そして対策を考えているうちにどんどん被害が大きくなっていきます。
 被害を可能な限り最小限にするためにも、平時の備えをしっかりとしておきたいですね。

防災教育と優先順位

 防災の普及啓発活動をしていると、どうしても気になってくるのが参加してくれている人達の中の防災に対する優先順位です。
 防災の普及啓発活動に参加してくださっているくらいなので普通の方よりは意識が高いはずなのですが、それでも災害対策の優先順位はあまり高くないのかなと感じることがよくあります。
 災害対策はいつ起きるか分からない、ひょっとしたら起きないかもしれない出来事に備えることですから、起こることが確実に分かっている日常生活に比べると優先順位が低くなるのはしたかの無いことだと思います。
 ただ、せっかくいろいろな話や体験をしているのに、それだけで終わったのではちょっとさみしい気がするのです。
 備えることは大変なことですが、一度準備が完了してしまえばあとはそれを更新していくだけなので思ったよりも手間はかかりません。
 最初が一番大変なのですが、そこまで頑張ろうという雰囲気が感じられないのです。
 備えていても備えていなくても被災したら結局同じという意識がそうさせているのかなと思いますが、備えがあるのとないのでは被災後の対応が全く異なります。
 大規模災害が同時に複数箇所で起きるようになっていることを考えると、無事だった地域から物的支援が送られてくるようになるまでには今まで以上に時間がかかることは予測できますから、これから先は1週間程度は自力でなんとかできるような備えをしておかないと、下手をすると飢え死にしてしまうことが起きるのではないかと思っています。
 普段は優先順位が低くても構わないと思いますが、最初の準備をするまでと、年に一度のいろいろな備えの点検のときだけは優先順位をあげてもらって、災害に備えるようにして欲しいなと思います。
 あなたの災害対策は、最初の準備が完了していますか。まだなら、準備までは優先度をあげて対応をしてください。
そうすることで、いざというときにその準備が必ずあなたを助けてくれるはずですよ 。

地震と噴火の発生確率

わかりにくいが、島根県内で観測対象となっている活火山の三瓶山。
普段は観測されておらず、何らかの異常が確認された時点で観測が開始される。

 さまざまな災害が起きるかどうかを表すものに「発生する確率」というものです。
 南海トラフ地震や首都直下地震、富士山など火山の噴火の予測でよく週刊誌などに出てくるのですが、この数値は一般的に私たちが考えるような数値ではないことに注意が必要です。
 例えば、2016年に発生した熊本地震。これを起こしたのは布田川断層の布田川区間だと言われていますが、国の地震調査研究推進本部地震調査委員会の出していた主要活断層等で発生する地震の長期評価では、今後30年以内に起きる確率は0~0.9%とされていたそうです。
 最大で0.9%と聞いてあなたはどう感じましたか。起こる確率は高いと感じましたか、それとも低いと感じましたか。
 おそらくこの数値を聞いた人は、あまり心配しなくてもいいと感じたのではないでしょうか。ただ、主要活断層等の長期評価では、0.1%を超えると「やや高い」となるそうなので、実際には起きるかもしれないという数値を表していたことになります。なんとなくすっきりしない気はするのですが、そんなものと割り切るしかありません。
 ちなみに宮城県沖地震は今後30年以内に発生する確率は99%、東海地震は87%(参考値)となっており、こちらの数字はよく週刊誌やスポーツ新聞等で騒がれているものです。
 何が言いたいのかというと、地震にしても火山にしても、その災害が起きる可能性が0%なのかそうでないのかを確認しておくということ。0.1%でも発生確率がやや高いとされているわけですから、0%でないならば、基本的にはいつ起きてもおかしくないということを教えていると思えばよさそうです。
 「いつ」というのは、現在の技術では確実なことはわかりません。火山の場合には、低周波地震や山体の膨張などで数日前には予測ができるとも聞きますが、専門の研究家も少なく、観測態勢が脆弱ですので有名な山以外では観測がされていないのが実情ですから、こちらも突然来ると考えておいた方が精神衛生上は良さそうです。
 地震が起きたらどれくらいの揺れが来そうなのか、身近に火山がある場合、噴火するとどれくらいの影響が出るのかを知ることは、災害対策を考える上で非常に大切なことだと思います。
 大切なのは平時の準備です。もしかしたら30年経っても何も起きないかもしれませんが、ひょっとすると次の瞬間に災害が発生しているかもしれません。
 起こりうる災害を考えて、しっかりとした備えをしておきたいものですね。

避難所とコロナウイルス対策

 梅雨前線が暴れています。今回は東北の方で大きな水害が起きたようですが、無事に避難ができたでしょうか。
 人命第一。命があれば何でもできる。何はさておき、命を守るための行動を取ってください。
 ところで、避難をする先として真っ先に思い浮かぶのは避難所です。学校の体育館や公民館、もしくは公営の施設が指定されていると思うのですが、例年と異なるのは、新型コロナウイルス対策として密を避けなければならないという問題が起きています。
 従来の避難所では詰め込めるだけ詰め込めという考え方で押し込んでいたのですが、ソーシャルディスタンスを守ると言うことで、十分な間隔を取って避難者を収容することになりました。
 その結果として、避難所に避難してきたのに受け入れてもらえない人が続出するという事態になっています。
 これは避難者に問題があるわけでも避難所の指定をした行政に問題があるわけでもなく、誰もが今まで漫然と「災害が起きたら避難所に避難」としか考えていなかった結果だと思います。
 現在国は避難所以外の安全な場所への避難を呼びかけていますが、例えばホテルなどに避難しろと言われても、緊急時にいつでも避難対応してもらえるのかという疑問がありますし、経済的にもかなりきついと考えます。また、普段から避難所へ避難という指導がされてきたわけですから、多くの人は今まで通り避難所に避難し、収容してもらえなくて困るという事態になるのです。
 避難所の考え方を根本的に変えない限りこのような事態は今後も続くと思われますので、避難所の定員をきちんと定めて、避難者を収容するための方法をきちんと考えなければならないのではないでしょうか。
 自治会や自主防災組織などで収容先と収容人員を決定し、避難者をきちんと決めておくことで、収容時のトラブルを避けることができます。
 公民館や学校、公的施設だけで無く、高手にあって安全な空き家があれば、自治会などで交渉して避難所として整備することもできるのではないでしょうか。
 かなり皮肉な話ではありますが、新型コロナウイルスのソーシャルディスタンスのおかげで、初めてまともに避難所の収容方法やパーソナルスペースについて真面目に考えられるようになりました。
 災害に遭ったら長期避難になるかもしれません。そのことを前提にして避難計画を組む時期に来ているのでは無いかと思います。

災害と自治組織

 今年もあちこちで大雨による水害が発生しています。今までと異なるのは、今年は新型コロナウイルスの流行で人的支援の受け入れがかなり困難になっていること。
災害派遣で被災地に入った行政の派遣する支援チームからでさえ新型コロナウイルスの陽性者が出てしまったのですから、一般の支援ボランティアの受け入れに躊躇することは確かです。
 ものとお金はそれまでとさほど変わらず支援が入ってきているみたいなのですが、それを使う人がいないという状態です。
 熊本県などでは県内に限定して災害支援ボランティアを受け入れていますが、いつもは他県から支援が受けられるボランティアセンターの運営要員が足りないのと、ボランティアセンターが密になるのを避けるため、一度に動員できる数はかなり規制されている状態です。
 地元にいる人達で何とかやっていくしかないのですが、高齢化が進んでいる地域では重量物の搬出さえできないような有様で、復旧がなかなか進まないという現実があります。
 そうすると、何をどこまでやるのかそして支援に入ることのできる少数のボランティアに何を優先して頼むべきなのかをあらかじめしっかりと決めておかないと、せっかく支援に来てくれたのに全て中途半端で支援が終了するようなことになってしまいます。
 そういったことの調整をするのが自主防災組織であり自治会なのですが、これがきちんと機能しているかどうかで復旧の速度も変わってきます。
 ものや金の支援は行政でもできますが、被災地の復旧の優先順位は行政ではうまく決められません。そのため、自主防災組織や自治会が地元の被災者の間を上手に調整して支援を送り込む仕事をしなければいけません。
 それがうまくいっているところは復旧が早いですし、そうでなければい被災者全員が平等に恩恵を受けられるようになるまで一切手がつけられないことになります。
 負担金や会費を取って飲み食いするだけが自治会ではありません。定型的な訓練ばかりしているのが自主防災組織なのではありません。
 いざというときの地域の利害関係を調整できるような機能をしっかりと持たせて、自主防災組織や自治会の構成員でよかったと思ってもらえるような内容にしていきたいですね。

手洗いと衛生概念

 災害時に避難所で衛生的な環境を維持するのは非常に困難です。
 ですが、通常時よりも人が密集して集団生活を行う環境であることから、災害時の避難所は通常時以上に衛生的な環境を維持するための努力をしなければなりません。
 ただ、こういった非常時にはその人の行動が先鋭化してくることに注意が必要です。
 特に衛生的な環境を維持するための基本である手洗いを見るとよくわかります。普段あまり手洗いしていない人はこれ幸いと手洗いをしなくなりますし、これでもかと手洗いする人は消毒液を持ち歩くような状態になってきます。
 衛生的な環境を維持することで、避難所内での感染症の流行をできるかぎり押さえるようにすることは、避難所運営の中でかなり上位に位置する仕事です。地域医療に過度な負担をかけないためにも、衛生管理は徹底しなければなりません。
 清潔な水を確保することはもちろんですが、石けんや消毒液の準備、ドアノブや手すりなどの定期的な消毒、トイレ掃除など、衛生管理はいろいろとあるのですが、手洗いという点で考えると、どんな人でも手洗いをしなければならないような仕掛けを作っておく必要があります。
 例えば、避難所に出入りする動線上に必ず手洗い場があるように設計しておくことや、出入り口に大きな手洗いの掲示をしておくこと、館内放送で手洗いをするように働きかけることなど、その避難所に応じてさまざまな方法があると思います。
 一つ有効なのは、子ども達に手洗いをしっかりとさせること。大人というのは不思議なもので、子どもが正しいことをやっているとなぜかそれをまねする人がたくさん出てきます。
 それを利用して手洗いを習慣づけるようにしていくのです。
 最近はやっている新型コロナウイルス対策でも、手洗いは最上位にくるような感染対策になっていますし、手洗いをしっかりするだけでかなりの感染症を減らすことが可能だと言うことを、マスクの入手が困難となった今回のコロナウイルス騒動は教えてくれました。
 避難所において感染症の大流行を防ぐためにも、手洗いだけは徹底しておきたいものです。

【参考】上手な手洗いの方法(厚生労働省のウェブサイトに移動します)

抗菌・殺菌・滅菌・除菌

 昨日の「紛らわしい」つながりになりますが、今回はよく出てくる抗菌、殺菌、滅菌、除菌の違いについて説明してみたいと思います。
 結構混同や誤解をしていることが多い内容なのでよかったら参考にしてください。

1.抗菌

 抗菌は菌を増やさない状態を言います。手すりやドアノブ、便座などによく「抗菌仕様」と書かれているのは、菌を増やさないという効果を謳っているだけで、菌はそこにいます。繁殖しにくいだけと考えてください。

2.殺菌

 文字通り菌を殺すことです。煮沸や消毒液、界面活性剤などを使ってウイルスや細菌を物理的に殺すことを言います。

3.滅菌

 全ての菌やウイルスが死滅もしくは除去された状態を指し、日本薬局方では標準状態と比較して100万分の1以下の量にまで殺菌処理されたものを言っています。
 ただ、滅菌処理されたものに滅菌をする効果は無いことに注意してください。

4.除菌

 ある特定の場所やものから最近やウイルスを除去することです。除去することが目的なので、殺菌や滅菌されているかどうかは問われません。

 似たような言葉なのですが、強さとしては「抗菌<除菌<殺菌」となり「滅菌」は別枠となります。
 また、殺菌にきちんとした定義はないようなのですが、薬事法により表示できるものが医薬品及び医薬部外品に限定されているため、殺菌効果があるものでも除菌となっているものが存在します。
 現在新型コロナウイルス騒動で消毒が注目されていますが、言葉の違いを意識しておかないと思ったのと異なることが起きてしまうことがあります。
 表示されている内容を確認し、自分の目的に合った製品を選べるようにしてくださいね。

消毒あれこれ

 消毒薬についてはいろいろとあるのですが、今回のコロナウイルス騒動を見ていると、かなりあちこちで混乱が起きているような気がします。
 今回は間違いやすい消毒液についてちょっとだけ触れてみたいと思います。

1.エタノールとメタノール

 学生時代に理科や科学の授業で教わったと思いますが、アルコールにも大きく分けると二種類のものが存在します。
 一つはエタノール。これはエチルアルコールで、「消毒用アルコール」「消エタ」と呼ばれています。一定濃度でウイルスや細菌を殺傷できる能力があることから、今回の新型コロナウイルス騒動では店頭から消えて無くなってしまい、普段から医療ケアが必要とされている方に届かなくなってしまいました。
 消毒に使えるのは60%から95%の濃度のエタノールです。濃度が95%以上ある無水エタノールというものがありますが、こちらは濃度が高すぎで薄めないと消毒効果がありませんので気をつけてください。
 もう一つはメタノール。これは工業用アルコールで、アルコールランプなどの燃料用として使われるものです。人体に使うのは危険です。戦後、アルコールの無かった時期にこのメタノールを飲んで失明や亡くなった方もたくさんいたそうで、呑むと目が散るアルコール、つまりメチルアルコールと覚えろと筆者は教わりました。

2.次亜塩素酸ナトリウム液と次亜塩素酸水

 同じような名前なのですが、効果は全く異なります。
 次亜塩素酸ナトリウムは、ハイターなどの塩素系漂白剤を希釈すると作ることができ、主に食器やドアノブ、テーブルやいすといった「物の消毒」に使います。
 強アルカリ性ですので、手指の消毒など人体に直接使用することは厳禁です。また、霧吹きやスプレーで空気中に散布することも止めてください。
 次亜塩素酸水は塩化ナトリウム水溶液を電気分解したりして得られるもので、基本的な用途は次亜塩素酸ナトリウムと同じく「物の消毒」に使うようにしてください。
 次亜塩素酸ナトリウムと比較すると使用期限や濃度など気をつけないといけないことがかなり多いです。時間による劣化が早いこと、有機物や紫外線によって分解されてしまうこと等、取り扱いには気をつける必要があります。
 いろいろと騒動になっているのですが、製品評価技術基盤機構、通称(NITE)の試験結果では次亜塩素酸水での殺菌はかなり量が必要だということでしたので、空気中に散布することは止めた方が無難かなと、筆者は考えています。
 ともあれ、この二つは名前はよく似ていますが作り方や性質はかなり異なるので混同しないようにしてください。
 ちなみに次亜塩素酸ナトリウムはアルカリ性、次亜塩素酸水は酸性です。

 消毒液にはいろいろとあっていずれも一長一短があります。
 手の消毒で一番確実なのは流水を使って石けんでしっかりと手洗いすることみたいですが、消毒液を手配するときには事故が起きないように、消毒の目的にあった消毒液を準備すること、そしてまぎらわしいものがあるので充分気をつけてください。

【参考資料】
新型コロナウイルスに対する消毒方法の有効性評価について最終報告をとりまとめました。~物品への消毒に活用できます~(製品評価技術基盤機構のウェブサイトへ飛びます)