震災報道で思うこと

 今日は3月11日で、2011年に東日本大震災が起きた日です。
 地震と津波、そして原子力災害と、ここで得られたさまざまな教訓は後世に語り継ぐ義務があると思っています。
 ただ、人の記憶は風化していきます。数十年も経つと記憶の彼方に消えてしまう内容はとても多いので、記憶ではなくて記録を残していかなくてはなりません。
 当事者にとっては思い出したくない内容もたくさんあるのですが、それでも体験したことや経験したことを語らなければ、その事実を知るものは誰もいなくなってしまい、後世ではまた同じ事が繰り返される、この繰り返しになってしまいます。
 記憶に残すためには、災害の事実や教訓が人の目につくようにしておかなければいけないのですが、時間の経過とともに被災地で何が起きたのかという情報は、災害発生当日やその前後の日に集約してしまい、普段はまったくノータッチとなってしまうのは、記憶の風化とも言えるのかなと思います。
 これではいけないのではないかとも思うのですが、さりとて毎月災害報道をされたのでは、聞く方も辟易してしまうのではないでしょうか。
 恐らくこれで大丈夫といった正解はない世界なのだと思いますが、その日だけ、報道がその災害一色になるのは、かえってやるせない気もします。
 報道では、読んでもらえる、見てもらえる、聞いてもらえるという数字が第一ですので、こういったことになるのは仕方の無いことだとは思うのですが、毎年この時期の報道を見ると、なんとなく複雑な気持ちになってしまいます。
 亡くなられた方の冥福と、現地に住む人の生活が安定することを切に願っています。

災害とパニック

 火災や緊急事態を題材にした映画やドラマでは、ほぼ100%パニックが起きる描写がされていますが、実際のところはどうなのでしょうか。
 試しに、大きな地震の場面、または大規模な火災に遭遇した人達を撮影した映像を探して見てみて下さい。
 そこに映っているのは、パニックになって我先に逃げ出す人では無く、お互いに顔を見合わせたり状況を確認するために周囲を見回したりする人が殆どだと思います。言い方を変えると、ほぼ100%パニックは起きていないことがわかります。
 個別には、出入り口に人が殺到したりすることはありますが、概ね落ち着いた雰囲気で避難を行っているものが殆どで、どちらかというと、その場で地震の感想やお互いの   安否確認が始まったりして、すぐに安全確保をしないことが問題になりそうです。
 もちろん地震が起きると怖くて泣いてしまう人はいると思います。
 ただ、それも全体から見るとごく少数。多くは冷静に状況を見ているか、もしくは茫然自失、あるいはちょっとした興奮状態になっています。
 施設管理者や避難誘導担当は、パニックになるかもと情報を規制してしまうことが多いみたいですが、実際には正しい情報を伝えても案外と冷静な判断をしてくれるものです。
 逆に正しい情報が与えられない方が混乱を生み出すことになると思います。
 怖いのはパニックでは無くて情報不足による判断の停止ですので、パニックを本当に防ごうと考えているのであれば、積極的に正しい情報を提供することをお勧めします。
 ちなみに、正しい情報というのは「現在は状況がわからない」というのも含みます。
 今、施設管理者や避難誘導担当者が把握している情報はさまざまだと思いますが、憶測では無く現在把握できている範囲の情報をきちんと整理できるような、そういった訓練をしておくといいと思います

広域避難の受入先を準備する

 大規模災害により被災地域での生活が困難になると、生活に支援のいる人達は被災地外へ広域避難をすることになります。
 ただ、田舎から大都市へ避難する場合には都市にある様々な施設で人を受け入れることが可能なのですが、その逆が起きた場合、田舎では都会の被災者を受け入れる能力がありません。
 食料にしても、住居にしても、その他の物資にしても、そもそも流通線が細いので被災者を受け入れても共倒れになってしまうのがオチです。
 まったく影響のない地域まで分散避難できればいいのかもしれませんが、輸送手段を考えるとかなり厳しい気がします。
 広域避難の想定は、現在は主に原子力発電所が被災して放射性物質が漏れ出した場合のものとなっていて、多くても数万人程度の避難計画ですが、訓練の結果、これでもかなり問題が起きることがわかっています。
 広域避難するなら、とにかく早く避難して落ち着き先を確保することが大切です。
 例えば、どこかの田舎と交流してみるとか、知り合いを作っておくとか、もし自分が広域避難することになったとき、受け皿となってもらえるような場所の準備をしておくようにすると、いざというときに安心できます。

【活動報告】第2回外遊びごはんの会を開催しました

 コロナ禍で知らない子ども達との遊び方や身体を動かした外遊びの楽しみ方、ご飯づくりや人との一緒に食べるご飯の楽しさを思い出してもらおうと企画したこのイベントも第2回目になりました。
 前日に生じたとある事情から参加できなくなった子ども達のキャンセルが相次ぎましたが、総勢12名で無事に開催にこぎ着けることができました。
 当日は、ご挨拶の後でビニール袋を使ったご飯を炊き、それからブルーシートと木がらを使った秘密基地づくりとレトルト野菜とサバ缶で作ったサバカレーに別れて活動を行いました。


 子ども達は合間を見て野球のようなものをしたり、おにごっこをしたり、出来上がった秘密基地で寝転がったりと思い思いに時間を過ごしてくれていました。
 カレーに添えるサラダとして、お菓子のじゃがりこを使ったサラダを各自で作ってお昼ご飯に食べましたが、意外においしかったという感想をたくさんいただきました。


 昼からも野球のようなものや鬼ごっこなどをして過ごし、中には木がらと紐、それに養生テープを組み合わせて弓矢を作る人まで現れて、ちょっとしたアイデアでいろいろなことができるんだと感心しました。
 少し肌寒い中ではありましたが、今回も無事に終了することができました。
 参加できなくなった子ども達、事情で参加できなくなった子ども達、保護者の皆様、スタッフの皆様に厚くお礼申し上げます。
 次回は3月13日、今回の外遊びごはんの会の最後になりますが、怪我がなく無事に終わることができることを願っています。

【終了しました】【お知らせ】島根県庁で防災に関する展示が行われます

島根県庁では令和4年3月9日から3月18日まで、県庁1階ロビーで東日本大震災の記録映像や防災に関する展示を行うそうです。
東日本大震災の映像の他にも、ガラス飛散防止フィルムや家具転倒防止装置などの地震対策用品や非常用持ち出し袋、避難所で使う段ボールベッドなどの展示があります。
また、今回は島根大学教育学部附属義務教育学校の生徒さん達が作った防災新聞や防災パンフレットも展示されるそうです。
お近くにお出かけの際は、少し足を伸ばして見学してみてはいかがでしょうか。

島根県報道発表資料「防災意識の普及・啓発を図るため、防災に関する展示を行います」(島根県のウェブサイトへ移動します)

災害時に胸を張って助けてもらうには

 災害が起きたとき、さまざまな理由から自分一人では自分の命を守ることができない人がいます。
 そういった人達を災害死から守るため、災害時要支援者個別対応計画を策定する努力義務が災害対策基本法に明記されました。
 法律に書かれていなかったとしても、可能な限り人の命は守られないといけませんが、災害時に助けてもらうのは抵抗があるという人もいると思います。
 でも、災害時に自分一人で何とかしようとして結局命が失われると、さまざまな場所にそれが影響してきます。
 助ける側はただ助かって欲しいと思って手をさしのべるので、助けてもらう人が卑屈になる必要はまったくないのですが、かといってふんぞり返ってもよくありません。
 安心して助けてもらう、安心して助けることができる、そういった関係を作らないといけないのです。
 では、どうすれば災害時に自分が胸を張って助けてもらうことができるのか。
 まずは助けてもらう人は自分の命を何が何でも守るという意識を持つことです。
 助けてくれる人はなんとかして助けようとしますが,助けてもらう側が助けることに抵抗すると、それだけで貴重な時間が失われてしまいます。
 「死ぬ」という行為はその人の権利だとは思うのですが、原因が災害なのは駄目です。災害では死んではいけません。何が何でも助かって生き抜いて下さい。
 次に、助けてもらう人が自分にできることを自分でやることです。自分にできない部分を助けてもらうのです。
 例えば、歩けない人でも家の中で移動して玄関口までは出られるかもしれません。それなら、助ける人に玄関まで迎えに来てもらえばいいので、お互いに時間を無駄にしなくて済みます。
 助ける人は何を助けて欲しいのかがわかりません。だから、助けてもらう側が助けて欲しいことをきちんと伝えないと、一から十まで助ける人がすることになります。
 もしも自分で何もできないことがわかっていれば、助ける人を増やすとか、来てもらう優先度を上げてもらうとか、やりようはいろいろとありますので、できることとできないこと、やってほしいことをきちんと助けてくれる人に伝えておきましょう。
 助ける人に段取りがあることはみんなわかっていると思いますが、助けられる側こそ事前の段取りをしっかりとしておく必要があるのです。

避難口の表示の有無

避難口や避難経路を示す誘導灯。
いざというときにあなたが屋外に逃げ出すのを手助けしてくれる大切なものですが、この誘導灯、ある場所とない場所があることをご存じですか。
例えば、大きなホテルには必ずついていますが普通のおうちで見ることはあまりないと思います。
この誘導灯は火災などの非常事態が発生したとき、その場にいる人を安全に屋外へ誘導するための装置です。
誘導灯は避難口誘導灯、通路誘導灯、階段通路誘導灯、そして映画館などでよく見る客席誘導灯があり、それぞれに設置基準が作られています。
今回は避難口誘導灯と通路誘導灯に絞って考えてみたいと思います。

廊下から避難口誘導灯が見えないので通路誘導灯がついている。

1.避難口誘導灯

 避難口誘導灯はその場所から外部に通じる扉や開口部に設置されているもので、避難すべき出口を表していて、基本的には緑地に白色の開口部が描かれています。
 不特定多数の人が利用する場所では100㎡以上、また、特定の人が使う場合でも400㎡を超える部屋の場合には設置する必要があります。
 どこからでも目立つように高い位置についていて、誘導音が出るタイプのものもあります。

2.通路誘導灯

通路誘導灯はいまいる場所から避難口がどこにあるのかを指し示すための誘導灯で不特定多数の人が利用する施設の場合には、この表示が見えないところを作ってはいけないことになっています。
また、停電時にも消えることがないように、照明を維持するためのバッテリーがセットされていて、最低20分は点灯するようになっています。
白地に緑で避難方向を示す矢印と避難口のマークが書かれています。場所によっては文字で「避難口」や「非常口」と書かれているものもあります。
煙に紛れてもしっかり見えるように床や壁の低い位置につけられていることが多いです。

避難口誘導灯と通路誘導灯の関係図

この基準を満たしていない場合には、避難口誘導灯や通路誘導灯をつけなくてもいいということになります。
そこに普段から住んでいれば、どこに出入口があるのかはわかっているでしょうし、出入口が目視できる場所であるなら、わざわざ誘導灯がなくてもたどり着けるだろうということです。
普段あまり意識していないと思いますが、知っておくと何かの役に立つかもしれませんので、出かけた場所で確認してみてください。

ボランティアでの怪我対策

 現地に出かける災害ボランティアというと、泥やがれきを片付けるイメージが非常に強いと思います。
 実際にはさまざまなボランティアがあって、中にはボランティアを支えるボランティアというのもあったりしますが、誰にでもできて、人手がたくさん必要であることから「ボランティア=片付け」というイメージが持たれているのではないかと思います。
 ところで、この災害ボランティアは基本的に全て自己完結する必要があります。飲み物、食べ物、おやつなど、自分が必要とするものは全て現地に持参します。道具は被災地にあるボランティアセンターの備蓄基地で借りることができますが、ない場合にはそれも持ち込みです。
 さすがにトイレは行政等によって仮設が設置されることが多いですが、そういったものが無い場合には、トイレも持参する必要がありますので、現地の事前情報はしっかりと入れておきましょう。

現地に設置された簡易トイレ。


 格好ですが、長袖長ズボンは絶対必要です。片付けをすると、どうしても腕やすねなどに泥や石などが当たります。そのとき、擦り傷や切り傷ができてしまうことがあり、そこから破傷風菌などの雑菌が入ってしまうことがあるため、肌を露出させないことが基本になります。
 次に手袋はできるだけ刃物を通さない防刃タイプの丈夫なものにすること。割とお手軽に軍手を使うことが多いですが、軍手は編み目が粗いため釘や木のささくれなどが刺さることがあります。
 軍手が必要な場合には、防刃手袋の上からつけるようにするといいでしょう。
 そして、足回りは長靴やマリンシューズ、スパイク長靴などで踏み抜き防止処置がしてあるものを選びます。踏み抜き防止インソールなどもありますので、普段お使いの長靴にそういったインソールを入れてもよいと思います。
 頭部にも守るためのアイテムを着けます。ヘルメットが理想ですが、帽子でも構いません。大切なのは露出させないことなので、頭部をカバーできるものを頭に被るようにしてください。
 万が一怪我をした場合に備えては、防水タイプのカットバンと傷口を洗うためのきれいな水を用意します。カットバンは大きさの違うものをいくつかセットし、水は500mlペットボトル1本あれば大丈夫だと思います。
 流水で傷口を洗い流し、傷口がきれいになってから防水タイプのカットバンを貼り、傷口を保護します。また、大きい怪我の場合には速やかに救急車を呼んでください。
 最後に、感染してもっとも恐ろしい破傷風菌についてはワクチンがありますので、被災地に災害ボランティアに出かけるときには破傷風ワクチンを事前に打っておくとより安心です。
 破傷風ワクチンの効果は概ね10年程度とされていますが、主治医の先生と相談した上でどのような接種をするのかを決めることをお勧めします。
 せっかく被災地支援に出かけたのに自分が怪我をして現地の医療体制に負荷をかけてしまっては何にもなりません。できる限りの怪我をしない準備をして、現地に赴くようにしてください。

生活ゴミをどうするか

訓練で出された大量の生活ゴミ。

 防災訓練などで炊き出しを受けたことがある方は、使用後の使い捨て容器の山を見たことがあるのではないでしょうか。
 普段の生活の中での一コマなので別に構わないとは思うのですが、防災訓練という看板をつけての訓練の光景だと、少しだけ違和感を感じることがあります。
 災害時にはさまざまなゴミが大量に発生します。そして、そのゴミの処分先も被災していることが多く、ゴミ処理は結構大きな問題になってきます。
 特に生活ゴミは、人が生活する以上は必ず発生するものですし、できることはせいぜい発生するゴミを減らすか、大きさを小さくするかという方法しかありません。
 食事に関するゴミは、食中毒対策として使い捨て容器を使うことが一般的なので、短い期間でも大量に発生します。
 分別し、重ねたり圧縮したりすればしばらくはなんとかなりますが、各自が勝手に捨てていては、あっという間にゴミ屋敷状態になります。
 現在のコロナ禍ではあまり炊き出し訓練はされないと思いますが、本当は食べた後のゴミをどう処理するかまでを訓練項目に加えておかないといけないのではないでしょうか。
 さまざまな防災テクニックでゴミの嵩を減らす方法は宣伝されていますが、実際にやってみないとイメージがわかないと思います。
 実際に一回のゴミの量を確認し、ゴミをどのように区分してどこへどのように保管し、どうやって処分するのか。
 大規模災害の現場を見ると、そういった衛生環境の維持についてもしっかりと取り決めておいた方がいいのではないかと思っています。

窓ガラスとカーテン

 窓ガラスからの光などを遮るために、カーテンやブラインドなどが設置されているおうちは多いのではないでしょうか。
 地震や台風などで窓ガラスが割れたとき、破片が室内に飛び散らないように、できるだけ窓の室内側にはカーテンやブラインドなどをしめておいたほうが安心です。
 採光が気になるようなら、レースカーテンやブラインドの波根の角度の調整などをとり、ガラス単体で居住空間に面することがないようにしておいてください。
 もちろん、窓に飛散防止フィルムも貼ることも重要です。

窓にフィルムを貼る。外側の場合と内側の場合があるので説明書をよく読んでおくこと

 断熱フィルムや遮光フィルムでは、ガラスの飛散防止に充分な効果は得られませんので、貼るときには注意が必要です。
 予算が無かったり、採光がどうしても欲しいという方は、大きめのビニールハウス用シートなどを窓ガラスの室内側に天井から一枚垂らしておくとよいとも思います。
 地震や台風などで起きる怪我のうち、ガラスによる怪我というのは割とよく発生するようです。
 怪我をすると動きが取れなくなることもありますので、窓ガラスの飛散防止対策については気をつけておいて欲しいです。