被災地支援を考えたら

一般の人はボランティアセンターが設置されてから支援に入るのが無難です。

 大きな災害が起きて甚大な被害が出ると、被災地の状況がどのようになっているのか、そして何か手伝いはできないかと考える方も多いと思います。
 被災地では、発災後しばらくの間はかなり情報が錯綜します。
 また、行政機関は状況の把握と生存者救助に全力を挙げている状態なので、行政機関へのお問い合わせは絶対にやめてください。
 支援ではなく、ものすごく邪魔になります。
 ではどのように情報を集めるのかというと、行政機関や報道による現在の状況の発表、または信頼できるウェブサイトからのものを確認するようにします。
 SNSでは、かなり情報が錯綜するので、客観的な状況把握は相当難しくなります。
では、ある程度落ち着いてからはどうするかというと、衣食住そして情報の全てを自己完結できる人は被災地応援に入ってもいいと思います。
 例えば災害支援のNGOやNPOなどはこのジャンルに入ります。被災地入りし、自ら情報を収集して対処をしていくのは、普通の人ではかなり難しいと思います。
 言い換えると、衣食住及び情報が自己完結できない人はこの時点ではまだ支援に出るのは早いということです。
 状況がさらに落ち着くと、社会福祉協議会などが被災地復旧ボランティアセンターを立ち上げることになります。
 ボランティアセンターが立ち上がったら、そこから被災地の状況や必要なボランティアについてはネット上で情報発信されますので、それを確認して判断をすることになります。
 状況が不明だからと言って、行政機関やボランティアセンターに直接電話することは絶対にやめましょう。
 ここまでくるとお気づきだと思いますが、被災地支援を行う上で状況確認の電話は絶対に避けてほしいです。電話での対応は一件に一人しか対応できない上、たいていの場合話が長くなります。現地対応に追われている職員の手をかけてまでさせるものではありません。
 結局、被災地支援の情報は、基本的にはインターネットで集めることが正解となります。ボランティアの申し込みもインターネットで行われることが殆どになってきていますので、そちらで申し込むことになります。
 ちなみに、SNSはボランティアに出かけた人が発信している情報を見るのには有効です。どのような状況で何が必要で、どのようなことをしたのかがわかれば、ある程度の目安がつけられると思います。
 賛否あるマスメディアからの情報も、被災地以外の人が被災地の状況を確認するのには有効ですので、それらも上手に使ってほしいと思います。ただ、マスメディアは全体的に「ひどい状況である」ということを強調しがちなので、その辺を割り引いて考えないといけないのが悩ましいところです。
 ともあれ、被災地に支援を行うためには支援に入るための情報収集は絶対に必要です。それを行ったうえで、被災地に行って支援をするのか、それとも寄付など現地以外で支援を行うのかについて判断してもらえればいいと思います。

ボランティアでの怪我対策

 現地に出かける災害ボランティアというと、泥やがれきを片付けるイメージが非常に強いと思います。
 実際にはさまざまなボランティアがあって、中にはボランティアを支えるボランティアというのもあったりしますが、誰にでもできて、人手がたくさん必要であることから「ボランティア=片付け」というイメージが持たれているのではないかと思います。
 ところで、この災害ボランティアは基本的に全て自己完結する必要があります。飲み物、食べ物、おやつなど、自分が必要とするものは全て現地に持参します。道具は被災地にあるボランティアセンターの備蓄基地で借りることができますが、ない場合にはそれも持ち込みです。
 さすがにトイレは行政等によって仮設が設置されることが多いですが、そういったものが無い場合には、トイレも持参する必要がありますので、現地の事前情報はしっかりと入れておきましょう。

現地に設置された簡易トイレ。


 格好ですが、長袖長ズボンは絶対必要です。片付けをすると、どうしても腕やすねなどに泥や石などが当たります。そのとき、擦り傷や切り傷ができてしまうことがあり、そこから破傷風菌などの雑菌が入ってしまうことがあるため、肌を露出させないことが基本になります。
 次に手袋はできるだけ刃物を通さない防刃タイプの丈夫なものにすること。割とお手軽に軍手を使うことが多いですが、軍手は編み目が粗いため釘や木のささくれなどが刺さることがあります。
 軍手が必要な場合には、防刃手袋の上からつけるようにするといいでしょう。
 そして、足回りは長靴やマリンシューズ、スパイク長靴などで踏み抜き防止処置がしてあるものを選びます。踏み抜き防止インソールなどもありますので、普段お使いの長靴にそういったインソールを入れてもよいと思います。
 頭部にも守るためのアイテムを着けます。ヘルメットが理想ですが、帽子でも構いません。大切なのは露出させないことなので、頭部をカバーできるものを頭に被るようにしてください。
 万が一怪我をした場合に備えては、防水タイプのカットバンと傷口を洗うためのきれいな水を用意します。カットバンは大きさの違うものをいくつかセットし、水は500mlペットボトル1本あれば大丈夫だと思います。
 流水で傷口を洗い流し、傷口がきれいになってから防水タイプのカットバンを貼り、傷口を保護します。また、大きい怪我の場合には速やかに救急車を呼んでください。
 最後に、感染してもっとも恐ろしい破傷風菌についてはワクチンがありますので、被災地に災害ボランティアに出かけるときには破傷風ワクチンを事前に打っておくとより安心です。
 破傷風ワクチンの効果は概ね10年程度とされていますが、主治医の先生と相談した上でどのような接種をするのかを決めることをお勧めします。
 せっかく被災地支援に出かけたのに自分が怪我をして現地の医療体制に負荷をかけてしまっては何にもなりません。できる限りの怪我をしない準備をして、現地に赴くようにしてください。