まずは生き残ること

 いざというときに備えて、防災ポーチや非常用持ち出し袋非常用備蓄品などを準備していても、災害から生き残ることができなければ全ては無駄になってしまいます。
 例えば、政府が推奨する備蓄が完全に行われていても、地震で家の下敷きになってしまえばそれを使うことはできません。
 どのような災害であれ、まずは自分が生き残ること。
 そのためには、自分が生き残れる確率を上げるための工夫をしておかなければいけないのです。
 例えば、水没したり山や崖が崩れたりするようなところに住んでいるのであれば、何かあったときにどういう風にどこへ逃げるのかを決めておくだけでも生き残れる確率は上がります。
 また、地震で亡くなった多くの人は家屋や家具の下敷きになっていますから、家屋の耐震補強や家具の固定をしておけば、地震で生き残る確率は上がります。
 また、寝室からは家具を無くしたり、屋根の下敷きになりにくい場所に作ることも有効です。
 ガラスが飛び散らないように窓ガラスにフィルムを貼ったり、長めのカーテンを取り付けたり、照明器具を固定したりすることも大切ですよね。
 日頃からのちょっとした工夫を重ねることで、ちょっとずつ生存確率をあげることが可能になります。
 災害対策は一気にはできないかもしれませんが、少しずつでも対策しておけば、その分だけ生き残れる可能性は高くなります。
 今からでも気がついたところから災害対策を始めて、生き残る手法を考えてみてくださいね。

【活動報告】保育園の避難訓練に参加しました

 2019年5月30日に益田市のすみれ保育園様が実施されました地震及び津波による避難所までの避難訓練に参加させていただきました。

避難所までの避難訓練では避難経路の中に崩れたり倒れたりするものがないか確認しておくことも必要になってくる。

 今回の訓練では、地震により津波警報が発令されたという想定で保育園から近隣の避難所である益田東中学校まで実際に避難するということで、当研究所はその避難訓練の内容を見させていただき、後日具体的なアドバイスをさせていただく立場での参加です。
 訓練は午前10時に始まり、避難完了が10時25分。地震で動けない時間が3分程度ありましたから、幼児の足で1km弱の道のりを20分強で移動完了したのはかなり素早い避難だったのではないかと思います。
 今回の訓練に当たっては、ガラスでできた階段下の防煙板が落ちて散乱している想定を当日サプライズで作成させてもらい、床に卵パックやペットボトルの蓋を撒いてブルーシートで覆ってみました。

ブルーシートの上側にはガラス製の防煙板がある。もしも床に何かが散らかっていた場合には、お昼寝用の布団を上にかぶせて移動するようにとアドバイスを行った。

 ですが、廊下を覆うブルーシートにこそ躊躇したものの、子ども達は床のでこぼこやガラスを踏むようながしゃがしゃといった音はまったく気にならずに素早く移動をしていました。ちなみに避難訓練完了後に大きい子達に素足で踏んでみてもらいましたが、痛がる子よりも気持ちいいという子の方が多く、子ども達は足裏マッサージが必要な状況なのかと思わず笑ってしまいました。

道幅が狭く、軽自動車とすれ違うのがやっとというような場所もある。避難計画を立てる場合には、このような狭い道路や交差点で車をどうやり過ごすのかが鍵となる。

 今回、快晴で気温が高かったこともありどうなるかとも思いましたが、子ども達は避難所である益田東中学校までは一生懸命歩き、到着後にほっとした顔でそれぞれに持参した飲み物を飲んでいました。避難の際に水分を持って出られるというのは非常に重要な部分ですので、今後も継続してほしいなと思います。

園児と先生達が避難完了したところ。パニックも起きず、統制が取れた状態で避難が完了している。
毎月の避難訓練が子ども達にもきちんと浸透していることがわかる。

 毎回さまざまなことに気づかせていただけるこの避難訓練の見学、後日気づいた点やアドバイスを報告書で提出させていただいていますが、すみれ保育園様ではそのたびに避難訓練の内容をアップデートされ、正直なところ毎回驚かされています。

アドバイスによる変化の一例。避難所に避難する場合に保育園に掲げられる看板。道路からでも見えるように作られている。保護者へ避難先を知らせる表示をするようにアドバイスしたら、これが作られた。大きな紙に書いて窓に見えるように貼ればと思っていたが、こちらの方が時間が短縮できることを教えてもらった。

 この保育園では保育士様向けの研修会もさせていただいているのですが、その際にこちらの説明が足りない部分がいろいろとあることも、こういう訓練に参加させていたくおかげで気づかせていただきました。
 何事も無いのが一番ですが、万が一に備えて訓練をきちんとしておくことはとても大切です。そしてその訓練を第三者の目でチェックし、訓練参加者にフィードバックしていくことが大切なのかなと感じています。
 避難訓練の参加について許可いただきましたすみれ保育園の園長先生、理事長先生始め先生方、そして園児の皆様にお礼申し上げます。

【活動報告】「防災ポーチ作り講座」に参加しました

 2019年6月1日に益田市の吉田公民館様主催による「防災ポーチ作り講座」が開催され、当研究所からは所長とS研究員が受講者として参加させていただきました。
 今回の講師である防災士の黒澤様のお話では「災害を想像すること」が非常に大切であり、各地で起きる災害がもし自分の住んでいる地域で発生したらどのようにするかを、先日各世帯に配布されたハザードマップを確認しながら想像してみるとよいというお話がありました。
 そして、防災リュックと防災ポーチの違いについて「防災リュックは備えておくもの」であり「防災ポーチは日常使いでき、かつ被災時に使える最低限のものを持ち歩くためのもの」との説明がありました。

幅20.5cm、高さ15.5cmの百円均一のポーチ。ものはたくさん収まるが、重くすると持たなくなるという問題をどう解決するかが鍵。講師の方は、普通のポーチで自分の防災ポーチを作り上げていた。

 それから基本的な防災ポーチということで、今回は「絆創膏5枚」「個別包装されたマスク1枚」「ポリ袋2枚」「ウエットティッシュ1組」「ホイッスル&小型ライト1組」「飴2個」「マジックペン1本」「付箋紙10枚」をポーチに入れてみました。

今回作成した防災ポーチの中身を並べてみた。コンパクトだが、基本的に必要なものは揃っている。

 各シーズンによってこれに汗ふきシートやカイロ、保湿クリームなどが加わったり外れたりと、普段使いすることで自然とアイテムが更新できる仕組みになっていることを伺うことができました。また、手ぬぐいを一枚入れているとさまざまなことに使えて便利というような話もありました。
 その後、このポーチに「自分に必要なものを足してみよう」ということでグループ討議が行われ、エコバッグやソーイングセット、歯磨き用シートやガム、カード型拡大鏡、ポケットティッシュ、輪ゴム、新聞紙など、その人にとって必要だと思われるアイテムがいろいろと出てきました。
 ただ、あれこれと欲張るとポーチに収まらなくなって結局持ち運びしなくなるという問題が発生するため、ポーチに収めるものの最低ラインをどのように設定すれば良いのかということで参加者がいろいろと首をひねっていました。
 講師の方からは、これに家族やペットの写真、保険証のコピー、スマートフォンの充電器、衛生用品などが良く追加されるアイテムだという話がありました。
 他にも「ポリ袋は何枚程度あればよいのか?」や「刃物を加えるのはどうだろうか?」などといった質問も出され、非常に和やかな空気で講義時間を過ごすことができました。

参加者の発言を黒板にまとめたもの。予想もしなかったものがたくさんでて、確かに必要だと思わせるものがいろいろと出ている。

 講座の最後にはこの講座からどのようなことを考えたかという主催者からの問いがあり、「習ったことを持ち帰って周囲の人に伝えていく」「持ち歩くことが大切」「被災しても年数が経つと忘れてしまうのでこういう機会にそれが思い出せて良かった」などという意見や「避難にはスニーカーが必要で、ベッドの下にはいつも置いてある」「避難して一番困るのはトイレットペーパーの在庫」というようなお話もありました。
 いずれにしても、十人いれば十通りのセットができるというこの防災ポーチ。
 自分なら何をセットするかを考えて作ってみてはいかがでしょうか。
 最後になりましたが、講師の黒澤様、そして主催された吉田公民館の皆様にお礼申し上げます。

会場には市販の避難セットも展示されていた。文具メーカーのコクヨが出している防災バッグで、いろいろなものが収められている。ただ、普段持ち歩くには笠があるかも。

離れて住む家族のために「逃げなきゃコール」を活用しよう

 住民避難は各自治体ともに悩ましい問題となっています。なかなか全戸に声をかけて回れるだけの人手がありませんし、声をかけたからと言ってスムーズに避難してもらえるというわけでもないからです。
 ただ、さまざまな災害で避難を判断した理由の上位には、毎回「家族・近所の人の声かけ」が入っており、知っている人による「避難しよう」という声かけが判断に対する重要な要素を占めていることがわかっています。
 そこで、このたび国土交通省が中心となって「逃げなきゃコール」を登録しようというキャンペーンを実施することになりました。
 これは、「NHKニュース・防災」 「Yahoo!防災」 「au登録エリア災害・避難情報メール」で可能になっている地域指定を利用し、離れた場所に住んでいる家族の地域を指定しておくことで、いざ避難情報が発令されたときに家族から避難を呼びかけてもらおうという取り組みで、家族間でお互いを気にかけることにより、早めの声かけと避難を促そうというものです。
また、「避難して!」と言われて避難したら「避難したよ」と返事をするでしょうから、被災後の混乱の最中にわざわざ生存確認をしなくても済むことになり、関係する全ての人が助かります。
もし離れて住む家族がおられるなら、お好みの上記の3つのアプリをスマートフォンに入れておいて、家族同士でいざというときに備えておくといいですね。

トイレと水と体温維持

 災害が起きて困るのは、最初がトイレ、そして渇きであり、体温を維持するための何らかの仕掛けも必要です。
 困る順番はいろいろ変わりますが、最初にトイレをあげてみます。トイレについては、くみ取り式以外は停電時には使えないですから、大量の人が避難してくる避難所だと、自分で使う携帯トイレは必須の道具です。
 大小兼用のものを持ち歩ければ一番よいのですが、せめて小用だけでも数回分は準備しておきたいですよね。

用途にあわせていろいろな携帯トイレがある。百円均一店でも扱っているので、少なくとも複数個は携行しておきたい。

 そして、トイレが収まると次は喉の渇き対策です。正直なところ被災時に一番大変なのは「飲料に適した水の入手」だと考えています。
 日本は安全な飲料水を意識することなく手に入れることのできる世界でも珍しい国ですが、災害が起きると安全な飲料水を手に入れるのが至難の業となります。
 張り巡らされた水道設備は損壊して止まり、コンビニやスーパーなどで手に入れられる水はあっという間に売り切れ、酒やコーヒー、ジュース類では喉の渇きは収まらず、という困ったことが発生します。
 そうなったとき、あなたならどのようにして安全な飲用水を手に入れますか?
 浄水器を使うのも手ですし、簡易濾過器を作ったり蒸留装置を作るのもありですが、いずれにしてもかなりの労力が必要ですし、できあがった水の安全性が完全に担保はされていないのが実際です。
 いろいろ試行錯誤はしてみるのですが、結局のところ数日分の飲料水はペットボトルなどであらかじめ準備しておいた方が安全で早いなと考えています。
 もちろん、清浄な井戸やわき水で災害後でも安定したきれいな水を手に入れられるようなところなら、そんな準備は不用かもしれません。
 ただ、出かけている先や仕事中に被災したときにどうすればいいのかを考えると、普段持ち歩く鞄にちょっとした水筒やペットボトルを忍ばせておいた方が安心です。

お水のペットボトルはなぜか容器が弱いものが多いので注意。
気をつけないと、カバンの中でべこべこになる。

 水は重たいですから大量に持ち歩くことも難しいですので、200ml~250mlくらいで充分。渇きを凌げればよいのです。
 防災セットによっては、15mlくらいのちょっとした水をレトルト加工した小さな袋に詰めてあるものもありますが飲んだ気がしないという難点もあります。
 普通の水のペットボトルで構わないと思いますが、余裕があれば毎日詰め替えることで水道水でも問題なくできます。
 また、地震を除く災害では大抵の場合準備するための時間が確保できます。その間にポリタンクや鍋、風呂桶などに清潔な水を貯めておくという方法も採れそうです。
子どもや高齢者のいるおうちでは、特にしっかりとした準備をしておく必要があります。
 1人一日3リットル。ここまでは難しいかもしれませんが、せめて喉の渇きを癒やせるくらいの水は普段から身につけておきたいものですね。
 最後に体温維持。これはとにかく濡れないことです。できれば薄手でいいので着替えがあると、濡れたままでいるよりは遙かにましですし、重ね着すれば寒さ対策にもなりますのでいいと思います。
 また、フェイスタオルかバスタオルが一枚あると汗や体についた水気の拭き取り、肩にかけて気休めの防寒などにも使えますので準備しておくといいでしょう。
 そして風に当たらないこと。暑いときには風で涼を取りたくなるものですが、汗をかいた状態で風に吹かれると必要以上に体温が下がってしまい、低体温症になる危険性があります。
 以上、いろいろと書きましたが、普段から持って歩くものとして
1.携帯用トイレ数個
2.飲料水
3.着替え、タオル
を意識しておくと、いざというときにあなたの身を助けてくれますよ。

直管式蛍光灯の飛散防止対策

 直管式の蛍光灯。
 ちょっとした広い部屋では普通に見ることができた照明器具でしたが、省エネルギーで長寿命、環境負荷の軽減、ちらつき無く安定した光量が確保できる、軽量などといった理由で、順次LED照明に切り替わってきていますし、メーカーの生産も縮小や終了といった状態になっているようです。
 でも、少し前の事務所や倉庫、納屋などではまだまだ普通に使われていたりします。
 この直管式の蛍光灯、管が長いために管にかかる力に弱いという弱点があり、地震などの災害が起きたときには割れて飛散してしまう危険があります。

 LEDに変えてしまえという話もありますが、引き続き使いたいという方は、安全確保のために蛍光灯カバーをつけるか、飛散防止用チューブやフィルムを貼り付けたものを使ってみてはいかがでしょう。
 先では蛍光灯は無くなるかもしれませんが、それでも使っている間安全を確保することが可能です。
リンク先は蛍光灯カバーです。検索エンジンで「蛍光灯」「飛散防止」と入力するといろいろと出てきますので、気になったら調べてみてくださいね。

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感想(3件)

避難所が対応している災害を確認しておこう

 「災害発生→避難所」が一般的なイメージになりつつありますが、避難所でも災害によって使えたり使えなかったりすることがあることをご存じですか?
 あらゆる災害に対応できる万能な避難所があればいいのですが、そんな場所は実際のところ殆ど無いといっていいでしょう。
 避難所のある場所によって、水没したり土石流に襲われたりする危険があったり、火事や津波に襲われたりする危険など、何らかの問題があることが殆どです。
 そのため、避難所に「避難所として使える災害」を明記することが求められています。
 石西地域では吉賀町がこのルールに従った表示をしており、その避難所の性格がその場でわかるようになっています。

吉賀高校に掲示されている避難所の適用表示。この表示に従えば、土石流や崖崩れ・地すべりのときにはここは避難所として使えないと言うことが一目で分かる。

 益田市と津和野町では「災害避難場所」「避難所」という表示しかされていないため、住んでいる地域の避難所がどのような災害に対応しているのかを役所が作成した防災計画により事前に確認をしておかなければなりません。

津和野町と益田市の避難所表示。どのような災害にその避難所が使えるのかが、この表示ではわからないため、現在の吉賀町のような表示が標準化された。余談だが、益田市→津和野町→吉賀町と避難所表示の変遷が分かるのは面白い。

 例えば、当研究所のある場所の避難所は「高津小学校」と指定されていますが、ここは水害では思い切り水に浸かってしまうことがハザードマップからわかっています。

益田市作成のハザードマップより該当部分を抜き出し。凡例は該当部分のみ抜き出した。これによると高津小学校と高津地区振興センターはともに1.0m未満の水没が予測されている。

 では、実際に防災計画の中の避難所の種類を確認してみましょう。

「平成30年度益田市避難所開設予定場所」より該当部分を抜粋。

 あれ? 「水害」のところにはなぜか「○」がついています。同じ状況の高津地区振興センター(高津公民館)は「水害」の欄が空欄です。なんでだろう???
 周囲が完全に泥地と化した中、1メートル水没している校舎の中に1,000人の避難者が押し合いへし合い・・・。
 あまり考えたくないので、この際行政の計画はあてにしないで自主的に避難先を「高津中学校」に設定することにしました。
 こんな風に、避難計画がきちんと検証されていない場合も想定されますので、市町の避難所開設予定一覧だけを鵜呑みにするのではなく、平時にハザードマップや地形を見ながら「どの災害はどこへ避難する」をあらかじめ決めておくようにしたいですね。
その際には、避難所までの避難経路も複数設定し、あわせて確認しておくようにしましょう。

救急箱の作り方

 非常用持ち出し袋の中にいれる救急箱にはどのようなものを入れますか?
 一般的なセットだと、ばんそうこう、包帯、滅菌ガーゼ、三角巾、消毒液といったところだと思います。

 防災用品として売られているDr.Kの巾着型救急袋。コンパクトにまとまっていて外傷用品が一通り入ってはいるが、これだけだと心細い。

 ちょっとした怪我だとこれで対応ができるのですが、被災時にはなかなか治療部分のケアが難しいものです。
 例えば、やけどや擦り傷などにはキズパワーパッドなどハイドロコロイド素材の絆創膏や包帯があると、傷口のケアのあと、一度貼れば直るまでそのまま放置できて助かります。

キズパワーパットだけでなく、さまざまな大きさや形のハイドロコロイド素材のアイテムが出ている。
大きいものがあると、擦り傷からやけどまでいろいろと使えて便利。医薬品なので、使用期限は定期的にチェックが必要。

 また、状況によってはかなりの出血を伴う怪我をする可能性もありますので、傷口を圧迫止血し続けることのできるエマージェンシーバンテージ(イスラエルバンテージ)があれば、応急救護所までの命をつなぐことが可能です。
 これらのアイテムを使うためには傷口のケアができないといけませんので、ピンセットやはさみ、とげ抜き、綿棒といったアイテムを収めたケアセットも入れておいた方が無難です。
 内服薬としては、自分が普段使っている薬のある方は最低3日分準備します。また、ビタミン剤や目薬などが入っていると体調の維持管理に使えます。
 ただ、ケアセット以外はいずれも使用期限が設定されていますので、1年に1度くらい点検し、使用期限が切れないように注意をしておきましょう。
 そして、せっかく用意した救急箱ですから使いこなせた方がいいですよね?
 日本赤十字社がやっている救急法講習の「救急法救急員養成講習」を受講すると怪我の手当の仕方を正しく身につけることができますから、時間を作って、是非受講してください。

防災マップを作ろう・自分の部屋編

 防災研修会をやると必ずといっていいほど出てくる防災マップ。
 地域の危険な場所やものを調べて地図に書いていき、安全な場所や安全な避難経路を確認するために大切なものです。
 ただ、地域をどんなに点検しても外に出ることができなければ、せっかく作った地域の防災マップは何の役にも立ちません。
 自分のいる場所から外に出るまでの経路もきちんと点検しておかないといけませんよね。
 そこで、今回は自分の部屋の防災マップを作ってみようと思います。

 まず、準備するものは方眼紙。書きやすく、部屋の見取り図が書きやすいものを用意してください。
 次にメジャー。5m計れれば十分だと思います。
 この二つを使って、部屋の見取り図を作っていきます。
 記入をする方眼紙は一マスのサイズが何cmかを決めておかないといけませんが、ここではとりあえず1マス10cmとして作成をすることにしましょう。
 まずは部屋の大きさを方眼紙に黒色で落とし込みます。外枠だけ書いてあれば大丈夫です。扉やガラス窓の位置がわかるようにしておきましょう。
 次に、家具の大きさを測って記入していきます。テレビ等も記入します。
 見取り図には幅と奥行きだけを書いていきますが、高さもメモしておいてください。

所長が試しに書いてみた部屋の間取り。四角一つが10cmで作成している。

 書き終わったら、今度は赤色を使って先ほど記入した家具のうち、安定の悪い面に倒れたと想定して、メモしておいた高さに従って倒れた部分を書いていきます。
 中には倒れないものや動かないものもあると思いますが、それはそのままで大丈夫です。
 次にガラス窓が割れたことを想定して飛散する区域を斜め線で書きます。窓から30cm程度斜め線を入れておいてください。
 そして、その状態で出入り口の扉が動かせるかどうかを確認してみます。
 さて、ここまで書いてもらったのは、地震に遭ったときに最悪どのような被害が出るのかを試しに書いてみたものです。
 その絵の中に、普段自分が寝ているであろう場所に青色でマークをつけると、現在のこの部屋とあなたの危険度を教えてくれる図のできあがり!

ざっくりとだが部屋の中の危険な状態はこれでわかる。あとはいかに赤い部分を減らすことに力を入れるかだ。

 どうですか? 寝ているときに地震に襲われたとき、あなたは何かの下敷きになっていませんでしたか?
 もし下敷きになっていたり脱出路が塞がれていたのであれば、どういう風にすれば安全が確保できるかを考えてください。
 例えば、家具の向きを変えてみたり、寝る場所を変えてみたり、より低い家具に変えて転ばないようにするというのもできますよね。
 一番の理想は部屋の中に寝具以外何も無い状態ですが、それが困難であるなら「落ちない」「壊れない」「倒れない」を考え方の基本にして考えてみてください。
 また、ここまでは触れていませんでしたが、部屋の照明にも注意が必要です。天井直付けの照明器具なら大丈夫ですが、釣り下げ式のものだと激しく揺れたときにはどこかにぶつかって割れてしまう可能性があります。
 例えば笠を固定して動かないようにすれば、破片で怪我をしなくてもすみます。
部屋に限らず、自分が長く過ごす場所の安全は非常に大切です。
 一度「部屋の防災マップ」を作って、どういう風にしたら自分の身が守れるのかについて考えてみてはいかがでしょうか。

広域避難の受け入れ計画は大丈夫ですか?

 平成31年3月末時点の「原子力災害に備えた島根県広域避難計画」の付属資料が公開されました。
 それによると、島根原子力発電所で何らかの大規模放射能漏れが発生した場合には、島根原子力発電所から30km圏内の住民は全て避難対象となっているようです。
 その数、121,460人。
 その中で、県内避難先として益田市、津和野町、吉賀町も入っており、益田市が17,950人、津和野町が1,970人、吉賀町が1,430人を受け入れる計画になっています。
 原発事故による避難はほぼ着の身着のままで生活物資も殆ど持たずに逃げ出すことになることが多いので、この数の人がもし避難してきたとしたら、その人達に対する支援はどうなるのでしょうか?
 現在の人口の2割から4割くらいの人が避難してくるわけですから、それまでの生活物資の流れのままでは、そこに住む住人達の通常の生活ですら破綻することになってしまいます。
 東日本大震災で広域避難自体がそこまで大きな騒ぎにならなかったのは、背後に首都圏という超巨大な物資集積地があり、避難者の数も避難先の住人の数に比べれば少なく、太い物流を活用できたためで、中国地方では岡山市や広島市も含めて首都圏ほどの太い物流網はありませんから、避難先の土地でさまざまな物資が不足することが簡単に予測できます。
 居住民の物資が欠乏するとその恨みは物資を消費する避難者に向けられるわけで、これに対する対策も事前に決めておく必要があります。
 どうしたら物流を滞らせずに増えた人口を安定して食べさせることができるのか? 避難所のトイレやライフラインの問題はどうすればいいのかなど、検討し、決めておかなければいけない問題は 山積みのはずです。
 もちろん行政機関だけの問題ではありません。受け入れ先として予定されている学校などの各施設は、避難者を収容するとその間授業などの通常業務はできなくなると考えた方がよさそうです。
 渋滞や犯罪の問題も起きるでしょう。自治会や自主防災組織、学校、企業など、それぞれに検討しておく課題は存在します。
 今現在、去年くらいからようやく広域避難の訓練が始まりましたが、受け入れ側の受け入れ訓練はまともにされているとは言えません。
 いざというときにトラブルが起きないように、付属資料の避難受入候補地を確認していただいて、受け入れた後どうしたら地域に問題が起きずにすむのかを考えておく必要があると思います。