ちょっとしたぼやき

 今発生している新型コロナウイルスについての記事がなぜ少ないのかと聞かれることがあります。
 確かに、ここまで広がると新型コロナウイルスも十分に災害だといえるとは思いますが、新型コロナウイルスが大規模に蔓延しているからといって、その間地震や津波、大雨と言った災害が起きなくなるわけではありませんから、当研究所は割と平常運転で災害対策に関するあれこれを発信しています。
 災害は一度にひとつしか起きない、というわけではありません。例えば、新型コロナウイルスで医療機関がパンクしたその時に大きな地震が起きないとも限らないのです。
先の見えない新型コロナウイルスではありますが、他の災害対策に手を抜いていいわけではありませんし、善し悪しはありますが、マスメディアが騒ぎたてていろいろな情報を流している現在、わざわざ弱小規模のところまで情報提供を行う必要性もないと思っています。
 当研究所のモットーは「命を守る、命を繋ぐ」です。その視点から新型コロナウイルスを見れば「とにかく出歩くな、家でじっとして嵐が過ぎるのを待て」ということに尽きます。
 緊急事態宣言が出されて都市封鎖についてもいろいろと言われていますが、食料や消耗品はきちんと流通しており、ライフラインも生きている以上は命が危険にさらされる状態というのは考えにくいです。
 漠然とした不安ではなく、自分にとって何が問題でそれはどうすれば解決するのかをしっかりと考えて整理してみてください。
 人間というのは先が分からないと言うことを非常に不安に感じるもののようです。それに乗じてさまざまなデマや便乗商法に載せられてしまうことが多々あります。
 新型コロナウイルスに限らず、あらゆる災害時には同じような問題が発生します。今回の新型コロナウイルスでの自分の対応をしっかりと記録し、次の災害が起きたときにどのような対応をすべきかを考えられるようにしておかなくてはいけないのではないかと思います。また、組織においてはBCPをきちんと手入れし、こういった場合に受ける被害を最低限にするための方法をしっかりと考えておくようにしてください。

施設利用者の緊急連絡先を確認しておこう

 4月に入りました。教育機関やスポーツクラブ、介護施設などさまざまな施設の利用者がいろいろと入れ替わる時期でもありますが、利用者の緊急連絡先についてきちんと確認が取れていますか。
 通常、申込書などの緊急連絡先を記入する場合には、電話番号を一つという場合が殆どなのですが、災害対策で考えるのであれば二つ以上、できれば第3順位までの緊急連絡先を確認しておいた方が確実です。また、緊急連絡先は電話連絡先だけでなく、メールなど連絡手段も複数確保しておくことが必要です。
 一般的にはメールやSNSということになるのだと思いますが、これらの手段を利用者から全て記入した上で提出してもらっておきましょう。気をつけないといけないのは、緊急連絡先なのですから常に連絡がつかないものは駄目だということです。例えば仕事中は携帯電話を離しているということであれば、その携帯番号は緊急連絡先にはなり得ませんので、そのことを意識して記入してもらうようにしましょう。
 また、緊急連絡先を教えてもらうのにあわせて、施設から緊急連絡先にかけるであろう電話番号もお知らせするようにしてください。緊急時にはどの番号から電話するかわかりません。もしも代表番号しか書いていなかったら、他の番号から電話をかけた場合にはくん急連絡先になっている人が不審電話と思って電話に出てくれないことも想定されます。
 ところで、災害発生後の施設の状況を知らせるのはメーリングリストやSNSが最適です。全員に知っておいて欲しいことをそれらで流すようにしておくと、電話対応に忙殺される可能性は低くなります。
 施設は利用者の安全を確保する義務が存在します。ただ、災害発生後、永続的に利用者を預かり続けることが難しいことも確かですから、相互に混乱しないような連絡体制作りをきちんと行っておきましょう。

引っ越し後には避難所と避難経路の確認を忘れずに

 新年度になりました。巷では新型コロナウイルスであれこれと騒ぎになっていますが、それでも4月には引っ越しして新しい生活を送る人がたくさんいらっしゃいます。
 引っ越し後に是非確認しておいて欲しいことは、自分の住んでいる場所のハザードマップの確認と、避難所、避難経路のチェックです。
 引っ越したばかりは右も左もよくわからないという場合が殆どです。自分の住んでいる場所や普段いる職場や学校がどのような災害に弱いのか、避難するならどこか、どういうコースで避難すれば一番安全かなどを早く確認しておくことで、いざというときに慌てずに行動することができます。
 災害発生時に一番怖いのは、自分のいる場所や周囲の状況、逃げる場所がわからないことです。
 もしあなたが引っ越しをしたのであれば、できるだけ早くハザードマップを入手して、今いる場所の災害の危険度と避難場所、避難経路について確認をしておいてください。
 新生活の最初は災害対策から。面倒くさいと思うかもしれませんが、命を守るために必要なことだと割り切って備えてくださいね。

マスクを作ってみませんか

布マスクを制作中の写真
思ったよりも簡単に作れる布マスク。凝ることもできて作り出すと奥が深い。

 コロナウイルス対策でということなのか、増産しているという発表はあっても、なかなか市中にはマスクがないのが現状です。使い捨てタイプだけではなく、布タイプも見当たりません。いつ頃手に入るようになるのかもよくわからないというのが現状なのかなと思います。
 そんな状況ではありますが、4月から始まる各学校の新学期はどうやら通常通り行われる気配です。そして、感染予防策として出されているものの一つが、マスクの着用です。
 どこに出かけていっても手に入らないのなら、家や学童保育で暇をもてあましているこの時期に自分で手作りしてみるのはどうでしょうか?
 ガーゼやゴム紐など、布マスクの素材は一時期手に入りにくい状態でしたが、現在は思ったよりも手に入りやすくなっています。
 作るのにもさほど手間はかかりませんし、自分のお気に入りの柄のマスクをつけることができるというのも素敵ではないでしょうか。マスクが手に入らない現状では、状況を理解せずに「マスクは白でなければいけない」などという方はいないと思いますし、手作りマスクなら、気に入った形にできることも魅力です。
現在の状況を受けて、さまざまなウェブサイトで作り方が紹介されています。また、手芸店などでも作り方の紙を配布しているところもあるみたいです。
いつ供給されるかわからないマスクを待つよりも、自分であれこれ考えながら作ったマスクで新学年を迎えるというのも楽しいのではないかと思います。
器用な人、不器用な人、いろいろな人がいると思いますが、お気に入りの一枚を作ってみませんか?

簡単ガーゼマスクの作り方(警視庁警備部災害対策課様のTwitterに飛びます)

立体ガーゼマスクの作り方(無料型紙と布の通販サイト nunokotofabric様のウェブサイトへ飛びます)

被災体験演習をしてみよう

 非常用持ち出し袋や備蓄品を準備しても、使い方がわからなければ宝の持ち腐れです。そこで、ゆっくりできる日に家族で被災体験をしてみるのはいかがでしょうか。
 ちょうど今はコロナウイルスの騒動でなかなか屋内での遊びが難しいときですので、おうちで、家族で準備してある非常用持ち出し袋や備蓄品だけで一日過ごしてみてください。
 電気やガス、水道は使わず、お風呂やトイレも、このときは非常用アイテムだけを使ってみます。食事も寝るのも全て非常時想定で生活してみるのです。
 平常時にやるのであれば、万が一何か困ったことが起きても普通に生活ができる環境がありますから困ることはありません。衣食住、全て非常用持ち出し袋や備蓄品で過ごしてみて、その後で実際にどうだったかを家族で話してみてください。
 よく問題が出てくるのはトイレと就寝ですが、それ以外にもさまざまな問題が発生すると思います。また、意外と余ったものや足りなかったものが出てくると思いますので、それに対しての解決策を考えてください。
 冬と夏では準備しておくものが異なりますし、体験できることも違います。慣れてきたら、四半期に一回やってみてください。そうすれば、わざわざ高い非常用食料を買わなくても普通のインスタント食品やレトルト食品で代替できますし、普段の生活と差補と違うご飯を食べることもないと思います。
 被災体験は、繰り返すほど困ることが減ってきます。そして、いざ本番の時にはそれまで体験した成果がありますので、生活の質をさほど落とさなくても被災生活を送ることができるようになっていると思います。
 せっかくやるのですから、家族で楽しみながら被災体験演習をしてみてくださいね。

緊急防災放送装置を点検しておこう

 津和野町と吉賀町で各家庭に配布されている緊急防災放送装置にはないのかもしれませんが、益田市の緊急防災放送装置は定期的に電池を交換する必要があります。個人的にはなぜ充電池式ではないんだろうかと思いますが、ともかく電池を交換していないと停電時に防災無線を受信することができず、「肝心な時に役に立たない」ということになりますので、きちんと交換をしておくことをお勧めします。
 確認するポイントは緑のランプです。このランプが点滅していたり消えている場合には電池を速やかに交換しておきましょう。


 詳しい電池交換のタイミングや方法については、益田市役所のウェブサイトをご確認ください。
 寿命は概ね一年だそうですから、非常用持ち出し袋や備蓄品の点検をするついでに電池交換してしまうようにするといいかもしれませんね。

防災訓練は子どもも積極的に活動してもらう

 地域の防災訓練で主体となって活動しているのはどのような人でしょうか。多くの場合、自治会の方や地域対策を考えている方が中心となると思いますが、その中に子ども達は交じっていますか。
 防災訓練では、子ども達は仕事ができない「お客様」として扱われていることが多いのですが、実際の被災地の復旧では、子ども達がかなりの戦力として活躍しています。炊き出し、話の聞き役、衛生管理など、子ども達はありとあらゆる場面で復旧支援の手伝いをしてくれます。大人同士であれば大げんかが始まるようなぴりぴりとした状況を子どもが仲裁するというようなこともしばしば起きたりしています。歩いて会話ができる子であれば、それなりの仕事はできます。ただ、残念ながら子ども達は経験が不足しているため、最初に指示がないと動けないのです。そして、指示を出している大人達はそれを見て子ども達をお客にしてしまう。悪循環です。
 防災訓練でも子ども達に積極的に参加してもらい、さまざまな仕事のお手伝いをしてもらう。そうすることで、大人とは違った目線での意見ももらえますし、いざというときに頼れる戦力としても育成ができます。
 実際のところ、被災地の復旧が始まると働ける人達はほとんど働きに出てしまい、避難所には高齢者と子ども達が残されてしまいます。子ども達が避難所運営を手伝ってくれることで、大人達にも余裕が生まれてきます。
 もちろん、大人の思ったようにならないことは当然ありますが、子ども達も仕事があることで自分たちが活躍しているという満足感を得ることができ、精神的に安定することも期待できます。災害本番だけでなく、普段の防災訓練でも活躍ができるように、地域の子ども達にも打ち合わせに参加してもらい、守ってもらう側から守る側に変わってもらう。そうすると、地域も社会も変わってきます。
 最初は大変だと思いますが、子ども達も彼らなりにいろいろと考えていますから、防災訓練を企画される際には、ぜひ地域の子ども達を加えてみることを考えてみてください。

自助・共助のすすめ

 広域災害が発生すると、自衛隊や消防、警察と言った公助による救助はほぼあてにならないと思ってください。
 広域災害では救助を求める人の連絡で、公的機関の電話はパンク状態になりまずつながりません。つながっても、現場に出ることのできる戦力には限りがあることと、その機関にしかできない業務を持っているため、副次的な業務である個人の救助活動まで手が回らないというのが現実です。
 例えば、阪神淡路大震災のとき、倒壊した家屋から救出された人の実に95%が家族や友人・知人といった面識のある人に助けられており、警察や消防、自衛隊といった公的機関の救助隊による救助はわずか1.7%だったそうです。(出典元:平成28年度防災白書
 つまり、自分たちで救助しなければ助からない命が出てくるということです。
 自助でできる一番大切なことは、家屋を倒壊させないことです。例えば住家や建物の耐震補強や耐震強化を行えば建物の全壊を防ぐことは可能です。一部が崩れているのを片付けるのと、全部が崩れているのを片付けるのと、どちらの作業が早いかは想像がつくと思います。
 倒壊しないための処理が難しいのであれば、シェルターなどを使って倒壊建物に潰されないように備えておくということも重要です。
 全ての準備が諸事情でできないとしたら、少なくとも自分が生きていることを知らせるホイッスルくらいは身につけておいてください。。脱出時に怪我をしないように、着替えや靴を枕元に用意しておくことも重要だと考えます。
 後は「共助」として、ご近所と顔つなぎをしておくことです。ご近所づきあいは面倒くさいという話も聞きますが、こと災害に関してはつきあって顔見知りになっておくことが自分に取って不利になることはありません。高齢化や都市流出が続いていて、田舎では空き家が馬鹿みたいに増えています。倒壊した家屋全てに人がいるわけではありませんから、いることを知っておいてもらわなければ、そもそも救助にすら来てもらえないのです。ですので、そこに住んでいることを知っている人をたくさん作っておくことが大切なのです。別に濃厚なつきあいをしなくてもいいと思います。顔を見たらあいさつしておくだけでも、そこに人がいるという証拠になりますから、倒壊したときに気にかけてもらえる可能性が高くなるわけです。また、あいさつすることで周囲の人の顔がある程度はわかるようになりますから、状況によっては自分が助ける側に回ることもできるでしょう。
 人口減少や公務員削減などで、災害時に動員できる災害対応要員は年々減り続けています。いざというときに役所がなんとかするということは、もはや幻想でしかありません。都会であれ田舎であれ、それぞれの理由で公助は当てになりません。隣近所の人と顔見知りになっておき、いざというときにお互いに救助をすることができるようにしておくようにしたいものですね。

地震が来たらどうすればいいか?

地震対応訓練の一コマ。安全な場所で身を守ることが大事。

 3月13日の夕方、島根県西部地方を震源とする地震がありました。最大震度が3、時間は数秒という短いものでしたのでびっくりした程度のものでしたが、揺れを感じたときにあなたはどんな行動を取りましたか?
 ガタドン! 程度でしたのでなんだろうと思っているうちに終了したわけですが、地震はこういった音や揺れが激しく続きます。長くても1分程度と言われてはいますが、関東大震災では数分にわたって揺れ続けたという記録もあるようですので、一概にはいえません。
 地震の時に安全が確保できるかどうかは、普段から安全場所を意識して見つけておくようにすることです。天井、壁、床など、揺れが来たときにどこなら安全にやり過ごすことができるか、どのようなポーズだったらより安全かを考えながら行動をすることで、いざというときに速やかに安全な場所へ待避が可能になります。
地震の揺れそのもので死ぬことは殆ど無いと思いますが、立ったままだと転倒する可能性がありますから、まずはしゃがむこと。重心をとにかく低くすることで転ばないようにします。
 そして頭部を守ること。周囲に崩れたり倒れたりするものがあれば、しゃがんだ状態でできる限り安全な場所へ避難します。動けなければ、運を天に任せてその場で揺れが収まるまではじっとしていましょう。
 揺れが収まったら情報収集です。ラジオやスマートフォン等で地震情報を確認し、津波などに備える必要があるのかや避難すべきかどうかの判断もします。
慌てず、騒がず、確実に。まずはあなたの安全確保。命を守るための基本となりますので、忘れないようにしておいてくださいね。

東日本大震災

 今日は東日本大震災が起きた日です。復旧・復興が進んでいるとはいえ、さまざまな問題が今もあちこちに残っていて、さまざまな人がなんとか解決しようと活動を続けています。
 新型コロナウイルス騒動で慰霊祭も自粛扱いになっているようですが、1.17の阪神淡路大震災と併せて、自分にとっていろいろと考えさせられる日です。
 一人でも災害で命を落とす人が減るように、災害後に災害関連死をする人が減るように、本当に微力ではありますが、当研究所は活動を続けていきたいと考えています。
 亡くなった大勢の方のご冥福をお祈りします。