虫除けとかゆみ止め

便利なスプレータイプの虫除け。苦手な人も居る。

 避難所ではよほど天気が悪くならない限りは窓や扉は開けられていることが多いです。特にここ最近の新型コロナウイルス感染症対策を考えると、換気用の開口部が設けられていることはほぼ絶対条件です。
 その開口部に網戸がきちんと準備されていればいいのですが、体育館や学校の講堂などには虫除けの網戸が設けられていないケースが結構あります。
 そこで登場するのが虫除けなのですが、蚊取り線香や忌避剤は定番ですが喘息持ちやアレルギー持ちにとってはつけることが命に関わるケースもありますので、あちこちで焚くというわけにはいきません。
 虫除けスプレーや虫除けリングなど、各個人で虫除けをするしかないという事態になります。
 非常用持ち出し袋には、虫の忌避剤を入れておくのを忘れない方がよさそうです。
 そして、もし咬まれたり刺されたりしたときに備えて、虫刺され用かゆみ止めも救急箱に入れておくようにしましょう。
 体質的に合う合わないや好みの問題もありますので、自分にあったかゆみ止めを持参して下さい。
 最近は夏場だけで無く、通年で蚊やダニがあちこちにいますから、標準装備として非常用持ち出し袋に入れておくようにしておくと安心です。
 大規模な避難所では、案外と個人を守るべき装備はおろそかになっているものですから、できるだけ自分にあった虫除けやかゆみ止めを準備しておいてくださいね。

同じ正解のない世界

 災害対策ではいろいろなことが終わってから言われるわけですが、それは災害が収まって落ち着いて、全ての結果がわかっているから言えることで、災害時に常に正しい答えが導き出せるとは限りません。
 同じ状況下でも、前回正解だと思っていた行動が今回は命の危険を招くこともあり得るわけで、過去の経験則がそのまま当てはまらないのが災害の特徴と言えるかもしれません。
 そういった事態をなるべく避けるため、避難訓練や研修会を重ねていくわけですが、問題が起きないようにやろうとすると、実はあまり意味の無いものになってしまいます。いざ本番でトラブルが起きても対処できるように、訓練ではより意地悪な環境や設定を行うといいと思います。
 もっとも、現実としてはそんな設定をすると関係者や上司にボロっかすに言われたりするのですが。
 ともあれ、災害対策は同じ正解のない世界です。あるとすれば、とにかく早めに避難することくらい。ただ、普段の生活や行動から、災害時のあなたにとっての正解を予想することはある程度できるので、普段の生活でちょっとだけ災害対策を意識してもらえると、よりあなたの命が安全になると思います。

常時と非常時の判断

台風や大雨など、ある程度早めから被害が想定される場合には、どのように対処するか悩ましいときがあります。
公共交通機関では基本的にBCPが準備されていて、その計画に従って計画運休することも増えてきました。
ただ、結果として何も起きなかった場合には、公共交通機関は計画運休したことを責められます。
困ったことに、何も無かったという事実は存在していますから、運休で困った人達だけでは無く、専門家という人達もマスメディアも喜んでバッシングをするわけです。
災害が起きたかもしれないという予測は、そういったときには完全に無視されます。
ただ、公共交通機関の場合、もし災害に伴って事故が起きるとその被害はけっして許容できるレベルではありません。
どのタイミングで常時と非常時のスイッチを切り替えるのかは、本当に判断に迷うと思います。
実はこの判断を迷わせずに実行するためにBCPが存在しているのですが、あまりバッシングすると、今度は現場の判断でBCPに従わないという選択肢が登場してしまうことになります。
そうすると、非常時に備えた計画そのものが破綻してしまいます。
公共交通機関は常に安全確実に利用者を目的地に連れて行くのが仕事です。
その目的を考えれば、災害時により安全な対応を判断することはおかしいことではないと思います。
計画運休は、数日前から予告されるものですから、それに従ったそれぞれの対応を取ることが正しい姿なのではないでしょうか。
日常生活を非常時にシフトすることは難しいものです。
特に通勤通学している人達にとっては、その所属する組織が「非常時とは」という定義をきちんと示しておく必要があります。
以前、大阪北部地震では、鉄道が止まったにもかかわらず会社や学校が通常どおり活動しようとして、あちこちで問題が発生しました。
判断に迷うときに日常を継続するのか、それとも非常時にシフトするのか。この判断、公共交通機関だけではなく、それぞれの組織や個々人もできるように準備しておきたいですね。
あっても、やっぱり判断には迷うのでしょうが。

【活動報告】高津小学校防災クラブを開催しました。

 去る9月22日、益田市立高津小学校のクラブ活動の一つとして、防災クラブを開催しました。
 今回は「揺れに強い形って何だろう?」というテーマで、ストローとクリップを使った立体模型比較をしてみました。
 三角錐はみんな上手にできていたのですが、四角柱になった途端、自立できずに倒れるものが続出し、面の斜めに一本支柱を入れることで安定して自立することを試して見ました。
 今回の内容は、一般にはストローハウスと呼ばれているものですが、50分という時間では家を作るところまでできないことがわかっていましたので、三角と四角という形を作ってその強度を確かめるところまでを一つのプログラムとしてみました。
 担当していただいた先生からは、図工でもできそうだということで、興味深そうに子どもの指導をしていただけました。


 結果だけ書くと、できるだけ角の数が少ない方が安定しやすいので、面は三角形を基本に作ると言うことだったのですが、わかっていてもなかなか難しかったようです。
 首をひねりながらストローとクリップに悪戦苦闘してくれた子ども達と、的確な指導で子ども達をサポートして下さった担当の先生に感謝いたします。

台風の時の窓対策

 台風が来るとき、窓に養生テープや布テープを「×」や「米」の形に貼り付けておくことがあります。
 巷ではいろいろといわれているようですが、これは窓ガラスが割れたときに飛散するガラスをできるだけ減らすことを目的としたもので、やったから割れないというのは迷信ですので注意してください。
 窓ガラスの内側にテープを貼ることで、何らかの原因でガラスが割れたときに大きな破片が飛び散ることをある程度防いでくれるので、何もしないよりは安全度が確実に上がると考えればいいと思います。


 当研究所では、大きな窓ガラスには飛散防止フィルムを貼っていますが、そうでない窓については屋内側に養生テープを米の形に貼り付けて飛散対策をしています。
 ガムテープや布テープもあるのですが、ガムテープは剥がすときに非常に大変ですし、布テープは窓にのりが残ってやはり剥がすのが大変でした。強度と剥がす手間を考えて、うちでは養生テープが一番いいという結論に達しています。
 ちなみに、窓の内側に養生テープを貼ったら、窓の外側にはプラ段ボールや段ボールでガラスの上に蓋をしています。窓枠に養生テープで貼り付けることで、衝撃からガラスを守ってくれると期待しているのですが、幸いにしていまのところ活躍したことはありません。


 窓の保護と飛散対策を考えるとガラスの内側と外側の両方を段ボールで覆うといいのでしょうが、手間の問題から外だけにしてます。
 代わりに、内側はカーテンをしっかりと閉めて、飛散対策としています。
 窓ガラスにテープを貼ると強度が落ちるというような研究もあるそうですが、何か当たったときにガラスが飛び散って怪我したり、そこから入ってきた風で屋根や壁が壊れても嫌だなと思って養生テープとプラ段ボール張りはやっているのですが、するもしないも好みだと思っています。
 どう考えるのかも人それぞれですから、やる人もやらない人も、お互いに全否定せずに対策ができるといいですね。
ちなみに、一番効果があるのは雨戸やシャッターを窓の外に設置することですから、それらの対策が可能であるなら、そちらで対策することをお勧めします。

お店にハザードマップを貼っておこう

 あなたのお宅では、ハザードマップは壁に貼ってありますか。
 家だけでなく、避難経路についても赤線などでわかるように書いて、避難先まで問題ないかを確認するようにしてください。
 ところで、不特定多数の人が集まる食堂やレストランなどの飲食店では、災害が起きたときにどこへ避難すべきか知らない人が多くやってきて利用します。
 いざというときに安全な避難先がわからないとパニックになってしまいますし、少ない従業員の方で完全な誘導をすることも難しいですから、お店の位置と近くの避難所がわかるハザードマップを貼っておくといいと思います。
 貼る場所は、トイレの中。
 小便器を使っているときに目線がある場所や、個室の場合には扉の内側。用を足しているときは案外としっかり見てくれますから、そこへ掲示しておくとかなり効果的です。飲食店に限らず、不特定多数の人が利用する施設では掲示するようにしておくと、ある程度の混乱を避けることができると思います。
 ハザードマップは大事にしまっておくものではありません。活用してこそ作った意味があります。
 掲示したからといってお客様に何かが訴求できるわけではありませんが、いざというときに少しでもお客様の生存確率を上げることができる簡単な取組です。
 広告に混じっていても構いませんので、お店のどこかにお店の位置と避難場所を記載したハザードマップを貼り出してみませんか。

災害になって慌てても遅い

 台風や大雨による越水、氾濫などによって自宅などが浸水したときになってから、慌てて市町村や消防、警察などの行政機関に救援を求める人が相変わらず多いです。
 特に「水に浸かるはずがない」とか「うちは絶対大丈夫」といった根拠に基づかない楽観論で構えていた人ほど慌てるようです。
 そういった災害時には、行政機関は被災地域での被害をできる限り小さくすべく頑張っているわけですが、その中で避難遅れによる「助けてくれ」の連絡はあらゆる仕事の邪魔になります。
 自分の住んでいる場所は自分で選択しているわけですから、本来はその場で発生することが予測される危険性は知っておかないといけないですし、いざというときの対応もきちんと考えておかないといけません。
 助けてもらおうと電話する人は、被災者が自分だけと思っているのですが、そういった人達が大量に発生することが殆どですので、救助の手は非常に遅くなると考えてください。
 身の安全は自分で確保しておく必要があるのです。
 そのためのハザードマップであり、避難訓練や防災研修会だったりするのです。
 災害時に慌てて避難先を行政機関に電話して聞くような愚かなことはしないでください。
 もしも避難が必要な場所に住んでいるのであれば自分の避難先や避難方法、避難開始判断の鍵はきちんとわかるようにしておいて、災害が発生してから慌てることがないようにしておきたいですね。

制御された危険で体験をする

 新型コロナウイルス感染症のせいか、ここ最近アウトドアがはやりのようですが、それに伴ってさまざまな怪我や事故も増えているようです。
 刃物やたき火など、普段の生活で出てこないものを使うのがアウトドアの醍醐味ではあるのですが、それらは危険だということを知ってはいても経験がないため、引き起こされるトラブルも多いのですが、大きな事故や怪我を防ぐためには、制御されている状態で危険を体験することが大切です。
 二昔前くらいまでは日常生活でさまざまな体験ができていたのですが、現在は安全が最優先されて危ない目に遭うことがほとんどない状態ですから、さまざまな野外活動などで擬似的に危険を経験するしかありません。
 危険とは失敗ですが、指導者が見ているところで体験する危険は、命にかかわるものは殆どありません。怪我はするかもしれませんが、その代わりに危険について学習することができるのです。
 危険をしらないということは、どこで危険に遭遇するのかという予測もできないということです。危険を経験することで、他の部分でも危険を予測する力になり、災害時に自分が生き残ることのできる力になるのです。
 これから秋で過ごしやすい時期になってきます。
 屋外でのアウトドア教室ではさほど密にもなりませんし、個別に活動することも多いですから、そういったイベントに参加して危険に対する感覚を身につけ、生き残るための勘を養えるといいなと思います。

防災アプリを使ってみよう

 ちょっと前になりますが、益田市が防災アプリの提供を始めました。
 鹿足郡は地元のケーブルテレビ局であるサンネットにちはらが提供しているアプリ内で防災情報の提供がされていますので、これで益田・鹿足郡の防災情報がスマホアプリで提供されることになりました。
 いずれのアプリもその地域に住んでいる人であれば非常に使い勝手がいいと思いますので、気になる方はリンク先からご確認ください。
 ただし、鹿足郡のサンネットにちはらのアプリは、iOSはリンク先は出していますがアプリのバージョンなど、内容は未確認ですので、申し訳ありませんが、ダウンロードされる際には自己責任でお願いします。
 また、防災アプリがセットできない方向けに、島根県の防災メールサービスのご案内もしておきます。
 以下のリンク先から内容をご確認ください。

益田市防災アプリのご案内(益田市のウェブサイトへ移動します)

サンネットにちはらアプリ(津和野町・吉賀町(アンドロイド向け:GooglePlayへ移動します))

サンネットにちはらアプリ(津和野町・吉賀町(iOS向け:AppleStoreへ移動します))

島根防災メール登録のご案内(島根県のウェブサイトへ移動します)

避難所に入る順番

 災害では避難者が二種類にわかれます。
 一つは元気で避難後の生活の復旧も早い人。もう一つは年齢や障がいなど何らかの理由で生活再建に支援の居る人、いわゆる生活弱者といわれる方です。
 自主防災組織や自治会が機能している地域だと、水害や台風と言った予測される災害時には事前に生活弱者の方を避難所あるいは福祉避難所に搬送して事前に安全を確保する光景が見られます。
 地域のつながりがしっかりとしているところも、比較的早めに生活弱者の方の避難は早いような気がしています。
 おおざっぱになりますが、事前に予測できる災害の場合だと、生活弱者→健常者の流れで避難所に人が増えていく構図です。
 ですが、これが地震になると光景が逆転します。
 発災後、まず最初に避難してくるのは健常者の方。そしてこういった人達が避難所を埋めたころ、生活弱者の人達が避難してくるといった光景になります。
 それがいけないというわけではないのですが、避難所に避難できる、または入れる順番を決めて地域で共有しておかないと、元気で声のでかいおっさんが避難所の一番いい場所で多くの面積を確保し、支援のいる人は避難所に入れないという光景が発生してしまうことになります。
 こういった光景は、田舎よりも都会で見られることが多いような気がします。
 顔見知りであればそれなりに遠慮や譲り合いもありますが、見知らぬ人であれば何の関係もありませんので、お互い様という意識も沸いてこないかもしれません。
 災害時にその場に居た人は誰もが被災者です。その被災者の中でも、生活への支援がないと生きていけない人もいて、そういう人達が避難所に優先して入れるような環境が作れるといいのですが。