食材管理はしっかりとしておこう

思いついて備蓄庫の片づけをしてみた。使っているようでも、期限切れを起こしてしまっていた。

 非常用持ち出し袋や防災ポーチの中に入っているものは割とよく点検するのですが、備蓄庫に入っている食料品はあまり点検していません。
 というのも、我が家では備蓄庫のものはローリングストックということで普段の生活の中で管理しているということになっていて、期限切れは起こさないと考えていたからです。
 もちろん、長期保存できるものばかりなので、あまり気にしていないということもありますが、先般、久しぶりに中の片づけをしてみたら、期限間近、期限切れのものがごろごろと出てきてびっくりしました。
 普段ローリングストックをしていると考えていても、日ごろの調理ではあまり使わないものは、そのまま備蓄され続けます。魚などは普段は生のものを普通に使っているので、なかなか缶詰の出番がないということもあります。
 また、大好きだけど高価でなかなか食べられなかったというのもありました。
 缶詰はともかく、他のものは劣化が進んでいくので、思い付きで消費のディキャンプをすることに。
 「これ、どうやって使う気だったっけ?」と買った当時のことを思い出しながら、調理しておいしくいただきました。

温めて食べるより常温のほうがおいしかったりするものもある。使ってみないとわからない。


 非常用持ち出し袋や防災ポーチの中身は意識することが多いと思いますが、普段使いしているはずの備蓄品も、時にはチェックすることが必要だなと思いました。

「保険が使える」にはご注意ください

 台風14号が日本列島を縦断しましたが、被災された方にはこころからお見舞い申し上げます。
 一刻も早い復旧・復興ができることをこころから願っております。
 さて、災害が起きると出てくるのが国の被災者生活再建支援法や都道府県、市町村など行政機関からの支援金と、掛けていれば損害保険の保険金など、復旧に必要となるお金の手続きのことです。
 災害からの復旧であれこれとかなりやらなければいけないことがたくさんあるときに、手続きのよくわからない支援金や保険金を申請するというのは精神的にかなりの負担です。
 そして途方に暮れているそういうときに、自分の住んでいるところまでやってきて、建物を修繕し、お金の申請手続きも代行してくれると聞くと、ついお願いしたくなるのもわかります。
 ただ、これらの業者はさまざまなトラブルを起こすことが多いですので注意が必要です。
 代行手数料として支払われる額の半分以上を持っていくことはざらですし、建物修繕が必ず保険適用になるかどうかもわかりません。
 手続きの方法は行政機関の窓口や保険代理店の方が丁寧に説明してくれますので、自分でやるのはさほど難しくはありません。
 また、弁護士、司法書士あるいは行政書士が無料相談窓口を開くこともあります。
 普段面識のない人や見知らぬ建築業者などが手続き代行の話を持ち込んでくるときにはほぼ100%トラブルが起きますので、申請手続きは必ず自分でするようにしてください。
 なお、日本損害保険協会でもチラシを作っていますので、よかったらご確認ください。

被災者生活再建支援法」(内閣府防災のウェブサイトへ移動します)

「保険が使える」にご用心」(日本損害保険協会のウェブサイトに移動します)

被災家屋のお片付けで気を付けること

昭和58年島根県西部水害の後の復旧の様子

 災害で被災した家屋をお片付けするのは生活再建の第1歩になります。
 ただ、お片付けをする前にしっかりとした準備をしていないとお片付けが原因の感染症などにかかってしまうことがありますので、気を付けてください。
 まずはできる限り肌を露出しないこと。
 長袖、長ズボン、長靴にゴム手袋、帽子かヘルメットを頭にかぶって、マスクとゴーグルをつけることが原則です。
 特にマスクとゴーグルはのどや鼻、目の粘膜を守るために必須です。
 また、手袋や長靴は防刃性能のあるものが適切です。破片や釘などで刺し傷や切り傷ができると、そこから菌が入って炎症を起こします。
 特に破傷風にかかると最悪の場合死んでしまいますので、できる限り怪我をしないような対策をしておきましょう。

災害復旧支援ボランティアが被災した場所のお片付けの格好の一例(政府広報オンラインから)

 また、洪水や水害などで被災した場合には、しっかりとした換気も必要です。
 放っておくとカビが発生し、そのカビで呼吸障害を起こすこともありますので、窓や扉は全て開け、できれば扇風機や送風機などで床下や壁といった場所をできるかぎり乾燥させましょう。
 最後に、全体にしっかりと消毒をしておくこと。
 床下や建物につかう消毒はいろいろと違いますので、確認したうえて適切な消毒薬を使うようにしてください。
 お片付けのときの換気と消毒をサボると、せっかく片付いた後でさまざまな問題が発生します。
 家とあなたの生活を守りたいのであれば、お片付けのときに徹底的にされることをお勧めします。

家屋が浸水したら感染症に注意 水害後の清掃で気を付ける3つのポイント(ウェザーニュースのウェブサイトに移動します)

トイレについて考える

手作りの簡易トイレ。便器が使えなければ、こういった感じで作る方法もある。

 災害時にもっとも最初に困るのは、おそらくトイレです。
 日本トイレ研究所のデータによると、地震後にどれくらいでトイレに行きたくなったかを被災者に確認したら、3時間以内という人が3割以上いたそうです。
 実は、水道が止まったり下水管が破断したりするとトイレは使えません。特に下水管の破断の調査はすぐにはできませんから、はっきりとわかる汲み取り式や簡易水洗でない限り、トイレは使えないと思ったほうがいいでしょう。
 でも、出るものは止められません。
 安心して使えると思われる仮設トイレが避難所に届くのが、早くても3日はかかるので、被災してから最低3日分のトイレを何とかしないといけないわけです。
 ちなみに、自宅のトイレが使えない場合にはどうするかというと、4割の人が公園などの公衆トイレ、1割強の人がコンビニのトイレを使うと回答しています。
 自宅のトイレが使えないときには、公園もコンビニもトイレは使えません。
 つまり携帯トイレや簡易トイレで仮設トイレが届くまではしのぐ必要があるのです。
 この携帯トイレや簡易トイレは、災害が起きてからでは準備が間に合いません。災害が起きる前に準備しておく必要のあるものです。
 自宅や避難先のトイレの構造や、自分が準備している携帯トイレや簡易トイレが自分で使えるかどうか実際に使ってみること、そして何より大切なのは、使えないトイレを使わないこと。
 つまり、被災後はすぐにトイレを封鎖しなくてはいけないということで、すぐにでも自分の準備した携帯トイレや簡易トイレの出番がやってくるわけです。
 さて、そのときあなたはトイレ問題をどのように解決しますか。

【お知らせ】防災研修会を開催します【終了しました】

 2022年9月17日(土)10時から益田市民学習センター103会議室で防災研修会を開催します。
 今回のテーマは「災害と損害保険」。災害時に適用される火災保険について、当研究所の理事で現役の損害保険担当者でもある大谷一樹様が、わかりやすくお話をしてくれます。
 参加費は、一般300円、当研究所会員様は100円となっております。
 普段あまり聞くことのない災害時の損害保険について知るよい機会だと思いますので、興味のある方のご参加をお待ちしております。
 なお、当日参加を予定してくださる方につきましては、準備の都合がありますので、可能であれば事前に連絡をいただけると助かります。

食べたいものは季節によって変化する

 大雨が続き、あちこちで避難をされている方、そして被災された方には心からお見舞い申し上げます。
 早く天気が落ち着き、自宅に帰ったり復旧作業が進むことを願っています。
 さて、そんな災害の状況が悪化しない限り、指定避難所では行政からの食糧配給がある場合が多いようです。
 多くはパンやおにぎり、ちょっとしたお弁当になるようですが、それも長期になると飽きてくるものですが、自分の非常用持ち出し袋に自分が食べたい、食べるとご機嫌になる食べ物が入っていると、それだけで気持ちが落ち着くものです。
 ただ、この食べたいものというのが曲者で、季節の移り変わりによって食べたいものが変わっていくことが多いです。
 夏場だったら冷たいものやあっさりとしたもの、冬場なら、体の温まるものやこってりしたものが好まれるようですが、あなたの非常用持ち出し袋はそういった季節の変化に対応した入れ替えがされているでしょうか。
もちろん、季節を問わずにご機嫌になる食べ物があればそれが一番いいのですが、季節の変化とともにちょっとずつ非常用持ち出し袋の食料を入れ替えていくことで、どんな季節に避難をすることになっても、とりあえずの食べたいものが確保されている状態になります。
なかなか難しいかもしれませんが、季節によって変動する食べたいものも追加しておくと、防災食のレパートリーが広がって、避難所でもご機嫌で過ごすことができるかもしれませんね。
一つ注意しておきたいのは、温める際にはその避難所のルールに従うこと。
火気厳禁のエリアでは、たとえカセットコンロであっても利用はできません。
自分が避難する予定の避難所ではどういった状況で、どこでどんなものが使えるのかについても、避難訓練のときなどに確認しておくといいかもしれませんね。

【お知らせ】救急救命講習会を開催します【終了しました】

 来る10月23日に益田市市民学習センター多目的ホールで、今年度第2回目の救急救命講習会を開催します。
 講師には日本赤十字社島根県支部の方をお招きし、心肺蘇生法やAEDの使い方、怪我の応急処置や水の事故の防ぎ方など、前回同様盛りだくさんの内容となりました。
 募集定員は10名となっており、先着順で定員になりしだい締め切りとしますので、 ご希望の方はお早めにお申し込みください。
 詳細につきましては、チラシをご確認ください。
 皆様のご参加をお待ちしております。

避難は日のあるうちにする

 予測できないような突然の大雨というのもありますが、最近は結構高精度で振り出す前に大雨の予報が出ています。
 特に夜間に大雨が予測されるような場合には、夕方までの日のあるうちのところで大雨に関する情報が出されることが多いです。
 これは早めの避難のために行われるもので、低地や水害の発生が予測されるような場所に住んでいる人は、自分のいる場所でこういった情報があったら、早めに避難を開始することを検討してください。
 夜間の避難は非常に危険です。特に大雨の場合には視界が全く効きませんので、徒歩の避難もかなり難しいです。
 指定避難所の開設は自治体が行いますので、ひょっとすると開設がされていないかもしれませんが、そういったときには高台にあるホテルや旅館といった宿泊施設や知り合いの家などを確保して避難するといいでしょう。
 また、どうにもならない場合には、車中泊ということで高台の駐車場に移動し、車で一晩過ごすという方法もあります。健康に不安のある方にはお勧めできませんが、危険を回避するという点では一つの選択肢です。
 避難方法や避難先はいろいろとありますが、可能な限り日のある明るいうちに避難を完了しておくことが肝心です。
 夜間はまったく見えない、移動はできないという前提で、自分の行動計画を考えるようにしたいですね。

あふれた水には触らない

 あちこちで大雨が続きさまざまな被害が出ているようですが、あなたのお住いの場所はいかがですか。
 洪水時には、基本は早めの避難ですが、外に出ることができないくらいの激しい雨が降っているケースも増えてきていますから、そんなときには二階以上に避難する垂直避難も避難時の検討に加えておいたほうがいいと思います。
 よく、あふれた水の中を避難する人たちの映像が出ていますが、このあふれている水は普通の川の水とはかなり異なることを知っておいてほしいと思います。
 一番の違いは、汚水が混じっているということ。あちこちが浸かると、浄化槽や下水管などの汚物も一緒にあふれてきます。こういった汚物が混じった水は、雑菌が繁殖しやすく、破傷風菌などもかなり増えていますので、万が一怪我をしたり、傷口が浸かるようなことがあればそこから化膿することや死に至る場合があります。
 よく防災講演会などでは水の中を歩くときには杖を使ってなどと説明されますが、どうしても避難が必要な場合を除いては、水があふれてきたら水の中は歩かないという風にしたほうが安全です。
 サンダル履きではなく、靴を履けといった話がありますが、それ以前に汚れた水の中は歩かないこと。
 それを前提にしてどのような避難ができるのかを検討してほしいと思います。

危険がわかるかどうか

動物園で見るとこんな感じだけど、実際に出会うとかなり怖く感じるのがクマという生き物。

 ラジオを聞いていたら、恐怖体験として「山でこぐまに出会ったので必死に逃げた」という話をしていました。
 パーソナリティーの方は「子供でもくまですからね。小さいけど」といった感じだったのですが、それを聞いていて、クマの生息域に住んでいる人やそういうところを登山する人ならこの話の本当の怖さがわかるのになと感じ、わからないというのはこういうことなのかと妙に納得しました。
 「子グマがいる」というのは、別に子グマが脅威なわけではありません。いえ、子グマでもよほど小さな個体でない限りは人間よりも力が強くて十分脅威なのですが、それ以上に怖いのが、その子グマのすぐ近くに母グマがいて、状況によっては問答無用で襲われるということなのです。
 たぶん、山に登る人も同じような印象を持つのではないかと思いますが、子グマは無警戒にいきなり現れます。そして、理不尽なのですが母グマは人を見ると子グマに対する脅威と見なしてかなり警戒していて、ちょっとでも母グマが子グマが危険だと感じたら、即座に攻撃をしかけてきます。
 話をしていた人はそのことを前提にしていたと思うのですが、子グマには気を荒くしている母グマがついているということを知らなければ、単に「かわいい小さなクマがどうして怖いんだろう?」という印象になってしまうのでしょう。特に動物園ののんびりしたクマしか知らない人もいるわけで、そうなると怖いということが理解できないのかもしれません。
 人が危険を感じるためにはそのことが危険であるということを知っておかないといけないのだなと、今回の話でちょっと考えさせられました。
 危険を知ること、できれば危険な目にあってみること。
 人が的確な判断をするためには、そういった経験が重要なのかもしれません。