とりあえずは一度動いてみよう

 「失敗は人を育てる」という言葉がありますが、災害対策についてもこれは当てはまります。
 普段何もないときに訓練をして、いろいろな気づきや失敗を積み重ねていくことで、本番では失敗なく動けるものなのです。
 緊急時に活動しなければならない消防や警察、自衛隊は日々訓練をしていますが、プロである彼らでさえ普段から訓練をしているのですから、素人である私たちが訓練なしでいざというときに動けないのは当たり前だと思います。
 災害対策訓練というと、いろいろと敷居が高いようなイメージがありますが、普段の暮らしの中で、例えば散歩の経路を避難所への避難経路にしてみるとか、月に一度でいいのでハザードマップを見てみるとか、家族でピクニックやキャンプに出かけて、防災グッズを使ってみるのもいいのではないでしょうか。
 普段の生活の中で、いかに災害対策の視点を入れていくかというのが鍵となると考えます。
 災害はもはや他人事ではありません。最近の千葉のように、何度も立て続けに災害に襲われることも普通に出てくるでしょう。
 そのときにあなたの命を守るのはあなた自身しかいないのです。
 どんなことでもいいので、何かをするときに「もし災害が起きたなら」ということを頭に思い浮かべ、実際に行動してみてください。
 そのとき、思った以上に自分が動けないことに気がつくと思います。
 訓練の時の失敗は当然あるものなのですから、その失敗に対してどうすればうまくいくのかを考えることが、本番で自分が生き残る確率を上げる大切な手順になると思います。
 自分の命を守るために取らなければいけない行動は、その人のいる環境やその人の状態によってかなり変わります。ですから、こうすれば正解というものも存在しません。 ただ、「考えない」や「頭の中だけ」ではいざというときに途方に暮れることになってしまいます。
 とりあえず、まずは一度動いてみること。
 それを忘れないでくださいね。

イエローゾーンとレッドゾーン

 一昨年くらいから、石西地方でも土砂災害特別警戒区域、これを「レッドゾーン」と呼ぶそうですが、その指定についての説明会が進められています。
 現在は土砂災害警戒区域というのが指定されているのですが、このうち家などの建築物に損害がでそうな区域を土砂災害特別警戒区域として指定をし、建築制限などの規制を行うことになったそうです。
 現在の土砂災害警戒区域を「イエローゾーン」、土砂災害特別警戒区域を「レッドゾーン」として指定し、被害を未然に防ぐ対策を取っていくとのことで、人的被害の防止を最優先に取り組んでいくとのことでした。
 自分が住んでいる場所や地域がイエローゾーンやレッドゾーンに当たっているかどうかは、市町役場や支所、一部公民館、島根県の各県土整備事務所に備え付けてある地図で確認ができるそうです。
また、島根県の運営する島根県危険箇所検索システム内の「土砂災害警戒区域・土砂災害特別警戒区域」でも地図の確認が可能だそうですので、一度確認をしておくことをおすすめします。
 イエローゾーンやレッドゾーンは大雨が降ったときなどに土砂崩れや地滑りが起きる可能性の高い地域ですので、もしもあなたの住んでいる場所や避難経路にこれらの土地が含まれていた場合には早めの避難や避難路に組み込まないなどの対策が必要となってきます。
 なお、イエローゾーン、レッドゾーン等、土砂災害防止法の細かい内容については島根県土木部の該当ページのリンクを張っておきますので、そちらをご確認いただければと思います。

避難するときには周りを気にしない

  「正常性バイアス」という言葉があります。
 異常を感じたとき、その異常を無視して現状は問題ないと判断してしまう人の心理状態のことですが、自分の命を守るという点では、異常を感じる部分にこそ注意を向ける必要があります。
 正常性バイアスの大きな問題点は、周辺の人の行動を観察し、自分の判断の裏付けにしてしまうことで、周囲の人も同じ反応をしているため、結果として異常が無視されてしまうと言う不思議なことが起こってしまいます。
 正常性バイアスの話では、よく大邱地下鉄火災が例としてあげられますが、ここで起きた悲劇の原因がまさにこのお互いの様子を窺い合って誰も動かなかったことにあるからです。
 詳しい内容はウィキペディアにゆずりますが、このようなことが、災害時にはわりと日常的に起こります。
 パニックが発生するのも同じ原理で、閉鎖的な空間で煙を感じたとき、「火事だ!」というかけ声と誰かが非常口の一つに走り出すと、つられてその場にいた人たちも他の非常口を無視して誰かが向かった非常口に押し寄せる現象が発生します。これは逃げることが周囲への同調となるので、行動してしまうことになるのです。
 上手に使えば、「釜石の奇跡」といわれる釜石鵜住居地区で東日本大震災のときに実際にあった大規模な避難のように避難するきっかけとすることも可能です。
 ともあれ、「災害時には避難する」と決めていても、「どのタイミングで」というトリガーが決まっていないと、つい周辺の状況を見てしまいます。その結果として、避難できたはずの大規模災害で被災地に取り残されてしまった人がでてしまうわけですから、「どのタイミングか」を決めておくことは非常に大切なことだと言うことがご理解いただけるのではないでしょうか。
 あらかじめ「いつ」「どのタイミングで」「どこへ」「どうやって」避難するのか、ということを起こりえる災害ごとに想定しておけば、いざというときに周りを気にせずに避難が開始できます。
 素早い避難は、周囲からあれこれ言われてしまうこともあるかもしれません。また、馬鹿にされるようなこともあるかもしれません。ですが、自分の命を守ることが目的であって、他人の視線を気にする必要はまったくないのです。笑いたい人は笑わせておけばいい。いざというときに何かあったら、その時に笑うのはあなたなのですから。

安全を比較して避難する場所を決める

 自分の住んでいるところがどのような災害に対して弱いのかを考えたことがありますか?
 最近の災害では「避難所への避難」をやたらと呼びかけていますが、避難しなくてはいけないかどうかは、お住まいの環境や条件によって異なります。
 隣り合う家でさえ、避難すべきかどうかの条件が異なるのですから、周囲のことは全く参考になりません。あくまでもあなたがお住まいの家がどのような災害に弱いのかをあらかじめ知っておくことが大事なのです。
 ハザードマップやお住まいの建物の強度や補強状況、土地の成り立ち、避難経路の危険箇所や避難所の状況などを確認して、家にいるのか避難所にいくのか、「より安全な方」を選択すること。
 そして、「安全な方」をより安全にするためにはどのようにしたらよいかを考えてください。
 マスメディアなどでよく取り上げられているように「災害発生予測=早めに避難所へ避難」というのは間違いではありませんが、避難所によってはお住まいのところよりも危険度が高いという場合もあります。
 また、家にはなんの被害もなかったのに、避難途中で遭難してしまうようなケースもあります。
 もちろん家の耐久度が低い場合や水没しそうな地域の場合には早めの避難が必須ですし、台風のような大規模災害が予測されるような場合なら、いっそのこと勢力圏外へ避難するのも大切なことです。
 安全は自らが確保するもので、誰かが守ってくれるものではありません。
 どの災害ならどこが強いのか、どの災害はどこへどうやって避難したらいいのかを何でも無いときに確認し、いざというときに備えておきたいですね。

大風に対する準備をしよう

 大きな台風19号が本州直撃と言うことで大騒ぎになっているようですが、あなた備えは大丈夫ですか?
 石西地方はどうやら直撃コースではないようですが、それでも雨と風への備えは念のためにしておいた方がよさそうです。

 さて、これだけしょっちゅう台風が来ているので、風と雨に対する準備はできていると思いますが、天気が荒れる前にもう一度家庭や職場などの施設を確認しておいてくださいね。

 台風と言えば風。風に対する被害は、ものが飛ぶことにより起こることが殆どです。今回は風に特化して対応を考えてみたいと思います。
 屋根では、強い風により屋根の弱い場所に力がかかって、そこから破損していきます。そのため、まずは屋根の表面に隙間がないことと、ひさしの部分など、風が巻く部分が壊れたり痛んだりしていないかを確認しましょう。
 雨樋も同様です。雨に備えて清掃することはもちろんですが、外れたりずれたりしているとそこから壊れていきますのであらかじめの修繕が重要です。
 網戸も、強風下では外れて飛んでいく可能性があります。しっかりとした取付で無い場合には、外して家の中に閉まっておきましょう。
 テレビアンテナは、腐食していないかどうかを年に一回は点検しておくことが大切です。腐食が進むと壊れるだけで無く、アルミ製のアンテナが風に飛ばされて人に当たると大けがをさせてしまうことがあります。
 物干し竿は物干し台から外して床に置くか、建物の中に収納します。あまり風を受けるイメージのないものですが、大風が吹くと物干し台から離れてとんでいくことがあり、これが人やものに当たると大変危険ですので十分な注意が必要です。
 家の周りでは、植木鉢や牛乳の配達用の箱、郵便受け、自転車といったものは片付けておきましょう。しっかりと固定されているものは大丈夫でしょうが、そうでないものは家の中に入れるか、あるいはしっかりしたものに丈夫なひも等でしっかりと固定します。
 飛ばなければ、他所へ与える損害をなくすことができます。それぞれが気をつけることで、周囲に与えるダメージを減らすことが可能です。
 次に、被害を受けないようにします。
 しっかりとした雨戸やシャッターがもしあるのであれば、それを展開して飛んでくるものからの被害に備えます。
 窓ガラスは飛散防止フィルムを貼ることは当然として、念のために窓ガラスに段ボールを貼り付けたり厚手のカーテンをかけたりしてガラスの飛散を防ぐようにしましょう。
 また、建物が耐えられないかもしれないと思ったら、お近くの安全と思われる建物に暴風圏内に入る前に避難を完了させてしまいましょう。万が一建物が破損したとしても、最低限命を繋ぐことはできます。その際には、念のために保険証や通帳、印鑑、現金と言った簡単に持ち運びできる貴重品は身につけて避難を行ってください。

 何事も無いのが一番ですが、何かあると想定して、どこにいれば一番安全かを考えながら準備してくださいね。

「00000JAPAN」(ファイブゼロジャパン)を知っていますか?

 大規模災害になると、スマートフォンを始めとする携帯電話での通信は繋がらなかったり通信が不安定になったりします。
 そのため、携帯電話の通信に頼らずWi-Fiによる公衆無線LANサービスが提供されるようになりました。
 これが「00000JAPAN」と言われるもので、提供されている間はWi-Fi接続できる端末であればどこのものでも誰のものでも自由に接続して使うことができます。もちろん外国人旅行者も利用することができます。

1.提供される目安

 大規模災害発生後72時間以内に無線通信ネットワークの復旧が困難と判断された場合に提供が開始されます。最近では台風15号による大規模な通信障害が発生した千葉県全域でKDDIやソフトバンクが自社の回線を開放しました。「00000JAPAN」は、一斉に開放されるものでは無く、開放すべきと判断した事業者が設定するもののようです。

2.使い方

 設定画面でWi-Fiのスイッチを入れ、ネットワークの選択で「00000JAPAN」を選択します。IDやパスワードの入力は必要ないので、そのまま接続して使うことができます。
 携帯電話のネットワークと違うのは、Wi-Fiスポットがある場所でないと繋がらないこと。
 コンビニや道の駅など、携帯電話サービスなどでWi-Fiが提供されている場所などで利用が可能です。

3.注意点

 この「00000JAPAN」、使い方のところでIDやパスワードは不要というということを書きましたが、非常用に使われるものですので、セキュリティにはかなり甘いところがあります。
 公衆無線LANサービスの常として、ネットバンキングサービスやネットショッピングなど、個人情報を入力しないといけないものには使わないことをお勧めします。

 田舎ではWi-Fi環境のある場所は少ないですが、万が一に備えてWi-Fiが提供されている場所と、その使い方を知っておくと情報収集に使うことができて便利です。
 動画などの大規模なデータは送ることが難しいかもしれませんが、メールやSNSを使うことはできると思いますので、参考にしてもらえるとうれしいです。
 なお、「00000JAPAN」について詳しいことが知りたい方は一般社団法人無線LANビジネス推進連絡会のホームページをご覧ください。

車を簡易避難所として使う

 公共交通機関が少ない石西地方では、ほぼどの家にも自動車があると思います。
 それも一家族に一台ではなく、一人一台。どうかすると一人二台三台というお宅もあると思いますので、それを防災倉庫として使ってみてはいかがでしょうか。
 普段使いの車のトランクスペースに非常用備蓄品を積み込んでおけば、非常時に積み込みの心配をせず、そのまま逃げることもできますし、車自体に冷暖房設備が積まれていますので、いざというときには簡易避難所としても使えます。
 積み込んでおくのは、毛布や着替え、非常用持ち出し袋。温度変化が激しいので、非常食や水は温度変化に強いものをクーラーボックスに入れて、また、燃料のガスボンベや蓄電池は積みっぱなしにしない方が無難です。
 一般的な自動車の場合、電気の出力は12V/100Wくらいなので、シガーソケットからの携帯電話の充電くらいしか使えませんが、PHV等のハイブリット車では100V/1500W、つまり出力の小さな電子レンジを使うくらいの電気のパワーがあり、エンジンを発電機にして車から電気を家庭に回すこともできるようになっています。電気自動車の場合も、ハイブリット車と同じ100V/1500Wの出力ができますが、蓄電池の能力から考えると災害時にはそこまで役には立ちませんので気をつけてください。
 ところで、自動車を簡易避難所として使う場合に気をつけておかないといけないことが二点あります。
 一点目は、自動車の燃料はできるだけ満タンにしておくこと。燃料があれば、一番長く使えるハイブリット車の場合、2日程度は給電できるようです。
 それと、寝る場所がフラットにできるようにあらかじめ準備をしておくことです。車内であれ車外であれ、無理な姿勢を取らずに寝られるようにしておかないと、エコノミークラス症候群になる可能性があります。
 荷物を増やすと燃費が悪くなるという話もありますが、非常用備蓄品を積載してもたいした重量にはなりませんので、備えておいて損はありません。
 非常用持ち出し袋を家庭に備えたら、自動車を防災倉庫にして、より確実に命を繋ぐことができるようにしておきたいものですね。

シェイクアウト訓練をやってみよう

姿勢を低く、頭を護って、動かない、がシェイクアウトの基本。ダンゴムシのポーズはその上級編。

 「今、地震が来たら?」と想定したとき、すぐに身を守る行動ができる人がどれくらいいるでしょうか?
 先日、小学校の学童保育で小学校1年生から4年生を相手にストローハウスを作るという企画をやったとき、試しにその場にいた子ども達に「地震が来たら、君たちはどうする?」と聞いてみました。
 1年生はすぐに「ダンゴムシのポーズ!」と元気よく答えてくれましたが、2年生以上の子ども達は「机の下に隠れる?」という感じで顔を見合わせるばかり。
 では、というので、手を叩いたら地震に備えるポーズをしてもらうことにしました。
 結果はというと、1年生は全員ダンゴムシのポーズを上手に取ってくれましたが、2年生以上は、二人を除いてその場の座卓の下に一斉に潜ろうとして押し合いへし合い。

知っていても状況的にそれができないこともある。そのときどうやって応用を効かすのかが生死の分かれ目になることもある。

 結局頭が出ていたり体の半分が出ていたりと、ちょっと危険な状態になっていました。
 座卓の下に入らなかった二人のうち、一人はダンゴムシのポーズを、もう一人はお山座りして頭にそのへんにあった箱を載せており、なぜその行動を取るのかについて理解ができているようでした。
そこで「低い姿勢になること」「頭を護ること」「安全な場所でじっとしていること」について少しだけお話をしました。
 実はこの訓練、「シェイクアウト訓練」といい、世界各地で行われている地震に対する訓練です。
 日本の地震に対する避難訓練では、まず最初に「机の下に隠れろ」という教え方をするのですが、「なぜそうするのか?」ということは教えられていません。
 そのため、いざというときには頭を護るのでは無くまず机を探すことになり、しなくてもいい怪我をすることになってしまいます。
 「姿勢を低く」「頭を護り」「動かない」を身につけることがまずは大事で、これを身につけるのがシェイクアウト訓練ということになります。「ダンゴムシのポーズ」は、シェイクアウトの基本を守った上で体の重要な部分を守るという上級編だと思っています。
 日本では、「効果的な防災訓練と防災啓発提唱会議」がこのシェイクアウト訓練を推進しており、ここ数年でずいぶんと聞くようになりました。
さまざまなサンプルややり方についてサイト内で説明されていますので、一読して、ぜひ一度やってみてください。
家でも、学校でも、職場でも、やることで経験値が貯まります。そして人は準備して経験したことしかとっさの行動に移すことはできません。
ぜひ機会を作って、シェイクアウト訓練をしてみてください。
それまでとは違ったものの見方ができるようになると思いますよ。

防災から見た「衣・食・住」

 衣食住は人の生活の根幹を支えているものだといってもいいと思います。
 一般的には「着る物」「食べるもの」「住む場所」を揃えることが大切とされているようですが、これを防災という視点で見てみたら、思ったよりも面白いなと思えるようになりました。

 まずは「衣」。
 これは文字通り「着る物」のことなのですが、防災の視点で見ると「適切な体温調節」という風に考えることもできます。冬場にTシャツと短パンで屋外へ放り出されたら寒くて仕方ないでしょうし、逆に夏場にコートやセーターしか着替えが無ければこれまたつらいと思います。
 季節に応じて防災セットに備える服も衣替えをしていく必要があるなと考えました。 薄手の長袖シャツやズボンを重ね着すれば季節に関係なく対応ができるかなとも考えたりしましたが、いずれにしても適切な衣類がないと体温調節が難しくなることから、これは大切な視点だと思います。


 次は「食」。
 「食」=「食べ物」と言われるものですが、防災の視点では、これは「食べ物・飲み物・排泄」を含めた一連の流れを考える必要があります。
 「排泄」が追加されているのは、出さなければ食べられなくなるためで、例えばトイレなどがうまく流せずに汚物まみれになった避難所では、不衛生なのと同時に食事や水分摂取を制限することによるさまざまな体調不良が発生していました。
 防災においての食はまず「排泄」を考え、次に「飲み物」、そして「食べ物」をどうするか考えていきます。
 この順番は人が生きるために我慢できなくなる順番に並べたもので、排泄は「出物腫れ物所嫌わず」と言われるくらい我慢できないものですし、水分補給が途絶えると、3日以上の生命維持はかなり困難なものになります。食事は1~2週間は摂らなくても体に蓄えられたものを分解して生命維持を行えるため、この順番で準備しておくのが得策です。
 今までは3日~1週間分を用意しておくような話が出ていましたが、都会地が大規模に被災したときには状況が落ち着くまでに2~3週間はかかりそうだという話も出始めていますので、災害時に自宅避難を行う方は、自宅のトイレの構造を考えた上で、準備しておくようにします。同様に水や食料も再検討しておきましょう。

 最後は「住」。
 これは住むための家をさすのですが、防災的に見ると「安心できる場所」という風に考えられます。
 避難所で生活していても、そこで安心した生活が営めないのであれば、これは住環境が満たされていないと判断できるのではないでしょうか。
 自分や家族が安心できる環境はどのようなものか、それはどのようにしたら確保できるのかについて考えておくことが必要です。
 災害で被災したからといって、指定避難所で生活しないといけないというわけではありませんので、自分や家族が安心できる場所を見つけるようにしましょう。

 防災での「衣食住」は、被災後に落ち着いて生活するための基準と考えてもいいかなと感じます。

 また「衣食足りて礼節を知る」という言葉もあります。これは衣服、食事が満たされて初めて礼儀を知ることができるのだといった意味合いですが、これは避難後にも言えることです。
 衣食住と同じ定義で考えれば、衣類は体温調節がうまくできるものとなりますが、この場合には下着類も含めた適切な着替えと考えます。
 災害により身一つで逃げ出した人は着たきりになりますので、それだけでもげんなりしてきます。着替えが一セットあるだけで、服や下着を洗濯することが出来、さっぱりとした気持ちで前向きになれるのではないかと思います。
 また、この場合の「食」は命を繋ぐだけでなく、生きる気力を生み出すためのものでないといけません。
 具体的には、暖かく、自分が食べ慣れた食事をいかに確保していくのかということを考えていくということです。
 過去の事例でいけば、阪神淡路大震災では、送られてきた支援物資の衣服を取り合ったという話もありましたし、東日本大震災や熊本地震で避難所で配られる弁当は食中毒を配慮して冷たいか、ひどいときには凍っているような、味の濃い、油ものの多い弁当になり、その結果、その弁当が食べられない人が体調を崩してしまうようなことも頻発してした。

 発災後には「生活再建」と言うことが声高に言われますが、まずはそれぞれの体と気持ちを身近なところから通常生活に戻していかないと、生活再建という視点にまでたどり着くことが難しいと思います。

 被災した人が生活を取り戻すためにはどういった道筋をつけていけばいいのか、特に高齢者や日常生活で支援を必要とする人たちがどうやったら前向きになることができるのかを、こういった視点で整理していくことができないのかなと考えます。

日焼けについて考える

日焼けで真っ赤になった所長の腕。割と繊細らしい。

 今年も暑かったですね。まだ暑さが続くかもしれませんが、もう9月半ばなのでとりあえず過去形を使ってみます。
 気温もそうですが、日差しの強さ。ひなたに出るとあっという間に干からびそうなくらい強烈な日差しでした。
 で、熱中症対策は言われ続けていたわけですが、日差し対策についても意識しておかないといけません。
 美容としてもそうかもしれませんが、夏場の災害での日焼け対策は非常に重要です。
 強烈な日差しのもとで復旧作業などを行っていると、あっという間に日焼けします。
 日焼けは、要するに肌がやけどしている状態なので、状況がひどくなると火ぶくれを起こしたりして病院での処置が必要になる場合がありますが、被災地域内の病院では満足なケアができない可能性があります。
 日焼けは事前に対策が可能な外傷ですから、事前にしっかりと対策をして災害復旧に当たりたいものです。

【本日のお品書き】
1.なぜ日焼けは起きるのか
2.日焼け対策の方法~事前準備~
3.日焼け対策の方法~事後対策~

1.なぜ日焼けは起きるのか

 日焼けが起きるのは、太陽光に人体に有害な紫外線が含まれるためです。
 紫外線が肌に当たると、体の防御システムとして皮膚の表面にメラニンが沈着して肌の色が濃くなり、これを防ぐ効果があります。
 ただ、普段日に当たらない人や肌の弱い人などは、メラニンの沈着が間に合わず、皮膚の内部が紫外線によって焼かれた状態になり、日焼けで起きる「火傷」という状態になります。

2.日焼け対策の方法~事前準備~

 よく言われるのは「日焼け止めを塗る」ですが、日焼け止めは使う人によって体質に合う合わないがありますので、使うのならば事前に目立たない場所に塗る「パッチテスト」を行ってください。
 また、塗り忘れた部分がないように、塗るときにはしっかりと塗っておきます。首の後ろや耳、鼻の頭などは塗るのを忘れやすい上、日焼けするととてもいたい場所でもありますのでご注意ください。
 確実なのは「直射に当たらない」こと。
 長袖、長ズボンはもとより、つばの広い麦わら帽子等を被り、首の後ろはタオルや手ぬぐいなどで直射に当たらないようにします。発汗製素材+冷却素材を使った服であれば、暑いさなかであってもさほど問題なく過ごすことができると思います。
 特に災害復旧をする場合には、日焼けだけで無く怪我の防止のためにも、肌の露出は防ぐ必要がありますので、肌を出さないように意識しておきましょう。

3.日焼け対策の方法~事後対策~

 日焼けしてしまうことはよくあることではありますが、例えば焼けた場所が真っ赤になったりひりひりしたりする場合があると思います。
 これは日差しによる火傷ですので、まずは冷やすことが基本になります。保冷剤や氷などで赤くなったりひりひりしたりしている場所をしっかりと冷やしましょう。
 火照っている程度でも油断は禁物。炎症が起きている状態なので、とにかく冷やすことを心がけてください。よく使われているジェルタイプの冷却剤、たとえば「冷えピタ」などは、人によってはかぶれを起こしたりすることもあるので、こういうときには使わない方が無難です。
 また、水ぶくれになったりすることもありますが、うかつに破ると感染症の心配がありますので、しっかり冷やした後は病院の受診をお勧めします。
 火照りやひりひりがある程度収まったら、保湿効果のある化粧水などをたっぷりと肌にやさしく付けていき、肌荒れしないようにケアしておきます。
私自身は面倒くさがりなので、以前は痛いまま放っていたのですが、肌の状態を見かねた知り合いの薬剤師さんに勧められ、資生堂の「カーマインローション」というのを冷やしておいて、真っ赤になったりひりひりしたり、火照っていたりする場所にしっかりと塗るようにしています。

この「カーマインローション」、炎症を抑える成分も配合されているそうで真っ赤になった部分も割としっかり痛みが取れます。
体質によるものもあるのでしょうが、私の場合にはあっているようで、日焼けしたときにはよくお世話になっています。値段も安くて非常にいい製品だと思うのですが、なぜか周りでは見かけることがないのが残念です。

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 繰り返しますが、日焼けは火傷と一緒です。
 日に焼けるのは仕方ありませんが、なるべくひどいことにならないように防護を忘れないことと、日焼けした後のケアをしっかりすることで、日焼けによる体へのダメージを減らすことはできます。
 きちんとしたケアをして、今シーズンの残りと、来シーズン以降の酷暑も乗り切るようにしたいものですね。