ラジオの準備をしておこう

 災害時にもっとも頼りになるのは、個人的にはラジオだと思っています。
 携帯タイプのラジオであれば、非常用持ち出し袋に入れていても、普段使いでもさほど邪魔にはなりませんし、地震や何かが起きたときでも避難しながらリアルタイムの情報を得ることができます。よく災害時にはラジオが一番と言われるのは、持ち運びが楽で場所も取らず、ある程度精度のある災害情報を確実に受け取ることができるからです。
 では、災害の時に頼りになるラジオというのはどのようなものなのでしょうか。ラジオに限らず、電化製品は電気を使うことが前提で作られていますので、乾電池や蓄電池の持ちがいいか、あるいは手回し式や太陽パネルをつけて自分で発電できるものが重宝されます。
 災害時には環境が極端に悪くなることも多いですので、防水防塵あたりの装備はあったほうが安心です。
 また、ラジオとしてはAM、FMの両方が拾えるタイプでないといけません。近距離であればFM波で充分ですが、大規模災害などの場合には、それなりの距離でも聞くことのできるAM波が入るラジオが有効です。
 よく災害用ということでライトやランタン、携帯電話の充電器や時計などがついていて多機能を謳っているものも多いのですが、ラジオの電池の出力がなければそれらの装備は充分に使えませんので、あまり多機能にしないほうが無難だと思います。また、手回し充電器でも機械によってずいぶんと効率が異なるので注意してください。一般的には、それなりの値段でよく売れているものだとそれなりの機能を有していると思っています。
 ラジオは非常用と言うことで、買ったらそのまま非常用持ち出し袋に詰めておしまいという人も多いと思いますが、使い方をしっかりと覚えておかないとあとで面倒なことになりますので、ラジオを買ったら、まずは使い方と電池交換の仕方、電池の規格と必要な本数を確認しておき、できればスペアを用意しておきましょう。
その上で、実際に電源を入れて、そのラジオが聞き取りやすいのか聞き取りにくいのか、チューナーは使いやすいか否か、もし発電機を搭載しているのであれば、その発電能力でどれくらいの間ラジオが聴けるのかも一つの基準となるでしょう。
 災害時には、ラジオは貴重な情報源となります。そのラジオがきちんと使えるように、しっかりと使い方を覚えておいて欲しいものです。

わからないことは聞いてみる

 災害発生後、やらないといけないことがたくさんあります。緊急を要するものから、急がないけれどやっておかないといけないこと、とりあえずやらなくていいことまで、さまざまなものがごちゃごちゃになってあなたに判断を迫ってきますが、
そんなときに限って、優先度をどうつけるべきかの情報を持っていなかったり、何をどうどこへ頼んだらいいのかがわからなかったりするものです。
 そういうときに、処理が進む人と進まない人の大きな違いは、「自分がわからないことが聞けるかどうか」です。
 災害復旧の一歩を踏み出すためには何から手をつけたらいいのかが自分でわかる人など、何度も被災した人でも無い限りはまずいません。どうしたらいいのかがわからなければ、わかる人に聞けばいいというだけのことです。
 災害後には社会福祉協議会、NPOをはじめとするさまざまな団体がいろいろな分野で被災者の助けになりたいと技術や知識を持って被災地へやってきますので、 それらを上手に活用すればいいのです。
 そのためには、まず自分が何に困っているのかをはっきりさせて、それに対する支援や助言がどうやったら受けられるのかを確認します。自治会や社会福祉協議会の窓口、地域NPOなどが御用聞きに回るボランティアも最近は出てきていますので、そういったきちんとした伝手がある人たちに困りごとを相談して助けてもらうということです。
 わからないことを聞くことは恥ずかしいことではありません。「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」ということわざもありますが、わからないことはわからないと素直に教えてもらうことで、それぞれのプロが適切な支援や助言がもらえ、最終的に一人で考えるよりもそうとう早く復旧をすることができるようになるのです。災害の復旧は、まずわからないことをわからないと知ること、そして次にわからないことを教えてもらうこと。これだけで復旧の速度と正確性は飛躍的に上がりますので、わからないと落ち込む前にわからないと声を上げるようにしてください。
 ちなみに、御用聞きボランティアと似たものに必要のない修理を高額で押しつける詐欺グループや、人のいない家を狙ってボランティアのように振る舞いながら活動をする空き巣がいますが、両者の違いはあなたの困りごとにどう答えてくれるかです。あなたのいろいろな困りごとを一気に相談して、きちんと答えて段取りが説明でき、できることできないことがはっきりと言えるなら大丈夫かもしれませんが、そうでなければ、怒るか文句を言うか、それとも脅しにかかるかの行動を取ることが多いですので、その場合には速やかに警察に出動を依頼してください。

水を確保する

 防災グッズについては本当にさまざまなものがあり、何から揃えればいいのか非常に目移りします。ですが、どうしてもこれだけは準備しておいてほしいものを一つあげろと言われると、私は水をあげます。
 他のものは代用品がいろいろとあるのですが、こと水に関して言うと代用品がないのです。ついでに書くと、非常食は基本的に乾燥しているものが多いため、アルファ米のように戻すにしても、乾パンやクラッカーのようにそのまま食べられるものでも、どちらにしても水は必要となります。
 飲用だけではありません。けがをしたときの傷口の洗浄にも、手や顔を洗うのにも、調理、洗濯。掃除など、すべての生活の基礎に水が存在するのですが、この水を作り出そうとすると非常な困難が伴うのです。
 最近は高性能な浄水器がいろいろと登場していますが、マニュアルをよく読んでみると化学物質の濾過はできなかったり、泥水や海水が使えなかったり、いろいろと制限があります。
 水を作るのであれば、浄水器以外にも、濾過器や湯沸かしの蒸気を冷ましたり、夜露や雨を集めたりといろいろとやり方はありますが、どれも非効率的です。
 水道が破損して使えない場合には、井戸を頼るしかありませんが、使っていない井戸だと、水が痛んでいないか、汚染されていないかをしっかりと確認しておく必要があります。
 そんなこんなを考えていくと、結論として水は水のまま確保して保管しておくのが一番早いし手間もかからずコストも安いということがわかりました。
 宅配水のウォーターサーバーを使っているのなら、予備の水タンクを一つ準備しておくとか、2リットルのペットボトル6本組みを準備しておくとか、何らかの形で水を保存しておくといろいろと使えます。
 面倒くさければ水道水をペットボトルに詰めて密封すれば、数日は持たせることができますし、18リットル入りの灯油缶を水専用として準備しておくのもありでしょう。
 水道に関して言えば、被災してもすぐには止まらないことが多いですから、被災したときにいかに水をためておくかを考え、道具を準備しておくことも忘れないようにしたいですね。
 また、機会を作って、普段自分たちが一日にどれ位の水を使っているのかを調べてみるのもいいと思います。節水できるところはするとして、一日に必要な水の量を調べて、それを三日分準備しておけば、とりあえずはなんとかなります。日常生活で仕事や学校などにいるときには、さすがに大量の水を持ち歩くわけにはいかないと思いますが、200mlくらいでもいいので、いざというときに備えた飲用水を準備して持ち歩くようにしたいものです。


 普段どれ位水を使っているのかを知り、準備しておくことは自分の安心にもつながります。機会を作って、是非一度自分や家族の水の使用量と最低限必要な量を調べ、知っておくようにしてくださいね。

津波てんでんこ

 東日本大震災で有名になった言葉に「津波てんでんこ」があります。
 この言葉、定期的に起きる大津波の時の対応を伝承したものかと思いきや、意外に新しく1990年にできたものなのだそうです。
 意味は「津波が来たらてんでばらばらに逃げろ」ということで、自分さえ助かればいいのかという批判的な意見も結構聞くのですが、本来の意味は「津波が来たらまずはそれぞれに自分の命を確保する。親、子、その他気になる人たちもそれぞれに自分の命を確保しているので、心配せずに逃げなさい」という感じになります。
 もう少し詳しく書くと、津波に対する防災対策は究極的には高いところに逃げるしかありません。万里の長城と呼ばれた超巨大な防波堤が、東日本大震災であっけなく壊れてしまったことを覚えている方もいらっしゃるのではないかと思いますが、自然災害、こと津波に関しては防ぎようがないのが現実でいかに早く高台に逃げるかが鍵となります。津波が来るからと言って家族などを迎えに行っていると、全員が津波に飲まれて死んでしまいますから、それぞれがお互いを待つことなく高台へ避難することをルールとして決めておこう、ということなのです。
 こういった決めごとは、いろいろな災害の時に素早く動くためにあらかじめ家族で話し合っておく必要があります。
 表面的な話ではなく、それぞれが自分の命を確保し、状況が落ち着いてからあらかじめ決めておいたやり方に従って合流することを決めることで、無用な心配も無謀なお迎えもしなくてすみます。
 何もないときだからこそ、家族や親しい人同士でいざとなったらどうするか、そして状況が落ち着いたらどんな風に合流するかをしっかりと決め、確認しておきたいものですね。

訓練はうそをつかない

 以前に子どもの絵本を読んでいたとき、東京消防庁の標語の一つとして「訓練はうそをつかない」という言葉があることを知りました。
 そのとき「なるほどな」と思ったのですが、経験していないことや想定していないことをいきなりやれと言われても、なかなかできるものではありません。
でも、さまざまな想定を考えてそれに対処する方法を決め確実にできるための訓練をしていれば、いざというときでも想定したことが起きるだけなので、慌てず粛々と対応をすることが可能です。
 最近はさまざまな単位で防災訓練が行われていますが、お仕着せの訓練ではなく、地域でしっかりとした防災計画を持ち意識を持った防災訓練をおこなっているところは、さまざまな被害が出るとしても人的被害は限りなく0に近い数値になっている気がしています。
 訓練参加者がどこまで真剣に考えているかという問題はありますが、少なくとも参加することで流れを知り覚えることはできます。安全な避難先まで時間がどれ位かかって、途中どんな障害があってどういった対応をすればいいのかといったことは現地を知らなければ考えることはできませんが、訓練に参加することで問題点を理解しやすくなり、対応も考えやすくなります。そして訓練の時にさまざまなことを考えて修正を加えていくことで、災害本番の時の生存確率はどんどん上げることができます。
「訓練はうそをつかない」
 お散歩に出る前に最寄りの避難所を調べ、避難経路を作り、天気のいい日にお散歩の一環として一度歩いてみる。これは立派な避難訓練です。できれば複数の避難所まで歩いて、かかる時間や問題点を知っておくだけでも全然違います。
 一人でも家族でも友人とでも地域でも、簡単なものでよいので防災訓練を習慣化しておくことをお勧めします。

医療行為と常備薬

 大規模な災害が発生すると水が手に入りにくくなります。
 そのため、大量のきれいな水を必要とする医療行為は規模縮小や閉鎖を余儀なくされてしまうことがあり、例えば透析を受けている人などは透析が受けられなくて困ったことになり、命に関わる問題が起きますので、平常時にかかりつけのお医者様と非常時の対応についてきちんと詰めておくことをおすすめします。
 また、常備薬の必要な方もいますが、これも災害時にはなかなか手に入らないものになりますので、1週間分くらいは手元に置くことをかかりつけのお医者様に相談されておくといいと思います。災害後の支援物資として送られてくるものの中には薬もあるのですが、基本的には誰でも使えるようなものに限定されますし、特殊な薬や種類が多くなると、手に入らないものも増えてきます。
 状況が落ち着いてくると災害派遣医療チームが避難所などに入ってきて簡単な診察などの医療行為をしてくれるわけですが、普段のかかりつけのお医者様ではありませんので、「いつもの薬」といっても全く通じません。薬の名前を覚えているといいのですが、自分の症状は言えても使っている薬の名前までは言えないものです。そこでお薬手帳の登場です。
 お薬手帳は飲んでいる薬の種類や分量がわかるように書かれたもので、これがあると災害派遣医療チームのスタッフも対応が早く確実になります。自分の命を守るためにも、お薬手帳またはそのコピーを非常用持ち出し袋や普段の鞄にいれておくことをお勧めします。
 余談ですが、お薬手帳は一人一冊です。医療機関ごとや薬局ごとに作るのではありませんのでご注意ください。
 あとは、自分の病気にはどのレベルの医療行為が必要なのかをきちんと把握しておくことです。特殊な設備や頻繁に交換の必要なものがある人などは、かかりつけの病院の再開を待っているわけにいきませんので、被害にあっていない場所まで避難して医療行為を継続する必要があるでしょう。
 寝たきりや、支援がいる人も、できれば被災地区外まで避難した方が手厚い介護が受けられると思います。
 被災した場所には、通常の生活はありません。
 支援が必要な方は、支援が受けられる場所まで移動する。それによって自分が生き残る確率も上がりますし、被災地でひどい目にあうこともありません。
 何事も起きていないときだからこそ、非常時の段取りについて決めておく必要があるのです。

自分の命は自分で守る

 災害対策でもっとも重要なことは、「あなたの命を守るのはあなただ」ということであることをご存じでしょうか。
 例えば、いくら行政が災害対策をしても、それはあくまでも面的な整備ですし、整備がされたからといって絶対に安全だと言えないことは、東日本大震災の津波対策が証明しているところです。どんなに立派な堤防を作っても、巨大な防波堤を作っても、軟弱地盤の地盤強化をしたとしても、想定以上の災害が襲ってくればひとたまりもありませんし、想像できる最悪の事態に備えて施設整備を行ったとすれば、その金額と工期はいずれも天文学的な数字になってしまうことでしょう。そして、災害対策で行われる施設整備はあくまでも一つの災害に対してであり、複合的に災害が起きてしまうと、手の打ちようがない事態が起きることも考えられます。
では、なぜ巨額の予算をかけて行政がさまざまな災害対策をしているのかと言えば、少しでも人命や財産が失われる確率を下げること、そして避難するための時間を作り出すためです。
 この想定は、住民が安全な場所に避難することが含まれています。つまり、あなたが自分で安全に避難する経路と、身の安全を保証してくれる場所をきちんと決めているということが前提条件になっているということです。
 何がどうなったらどこへどんな手段で避難を開始するのかということと、状況が収まり、自分の避難を解除するタイミングもあらかじめ決めておくと、いろいろと悩まなくてもすみます。
 あまり意識されていないとは思いますが、自治会や消防団、行政機関があなたの命を守ってくれるのは、災害が収まった後の復旧・復興部分であって、災害時に「逃げろ」と声かけに回ってくれることはあるかもしれませんが、あなたの命を守りきる責任は、当たり前ですが負っていません。
 命さえ無事であれば、あとはなんとかなります。まずは安全な場所に逃げて自分の命を守ること。
 これだけは忘れないようにしておきたいものです。

災害で死んではいけないわけ

 大きな災害が起きて避難が必要なとき、高齢者の方などには「どうで死ぬからほっといてくれ」と言われる方がいますが、こういった人たちはもし災害で本当に人命が失われると、その後何が起きるのかについて考えたことがあるのかなと思います。
 例えば、もし避難の必要な状態に置かれているのに避難に抵抗していたら、地域によっては自治会や消防団といった人たちが避難させようとして説得をするでしょう。そして「死んでも構わない」という主張をいくらしても、助けようとする人はぎりぎりまで説得を続けてしまいます。結果としてそういった人たちを巻き込んで死んでしまうことになるでしょう。現に東日本大震災ではそういうやりとりの中で多くの消防団員や行政・福祉関係者の方が殉職されました。
 また、災害に巻き込まれて行方不明になってしまえば、この国では遺体が見つかるまでできる限りの人や資材を投下して探す文化がありますから、それをするため、本来は生存者に向けられるべき人や資材が行方不明者の捜索に当てられてしまいます。
 生き残った人に十分な人的戦力が回せないわけですから、場合によってはせっかく生き残ったのに支援不足で亡くなって人が出てきてしまうかもしれません。
 さらには、遺体が見つかるまでは慎重に土砂などの撤去作業を行うことになりますから、復旧復興が相当遅れることにもなってしまいます。
 避難中や避難途中のトラブルで残念ながら亡くなってしまうことがあるのは避けられないかもしれませんが、自らの意思で、災害で死ぬことは周囲に多大な迷惑をかけることになってしまうのです。
 ざっとしたイメージしかできないとは思いますが、こと災害に関しては、災害で生き残るためのできるかぎりの努力をしなければならないことを覚えておいていただけるといいなと思います。

遊び方を身につけておこう

 どんな災害であれ、一度被災するとそこからの復旧は長期戦になります。
 かつては電気はすぐ復旧すると言われていましたが、ここ最近の災害を見ていると必ずしもそうとは言えない状況になってきています。
 大人子ども問わず、電気の必要なスマートフォンやゲーム機で遊ぶのになれていると、災害で電気がない状態は非常に長くそして退屈になってしまいます。
 では、停電時に退屈しない・させないためにはどうすればいいでしょうか。
 それはカードゲームやボードゲームなど、電気を必要とせず、人が集まっても困らない遊びを用意しておくことです。
 ルールがわからないと面白くありませんし、そもそも興味もわかないと思いますから、普段からそういったゲームに親しんでおくことが必要ですが、何か集中できる楽しいことがあると、その間は不安や退屈を忘れることができますから、時間を見つけて、家族や友人たちと遊んでルールを覚えておくようにしましょう。
 また、非常用持ち出し袋にもトランプや携帯式ボードゲームなどを入れておくことをおすすめします。

災害後は人間関係が極端化する

 災害が起きた後、被災地域を中心としてDVなどの暴力は増加する傾向があります。その暴力は、見知らぬ関係ではなく、よく知っているはずの夫婦、家族や兄弟、近所の人など、顔見知り同士であることが多いようです。
 犯罪に関していえば、家屋侵入を除くとどちらかといえば減少傾向(平成23年度の犯罪情勢ー警視庁)ようなので、災害によって人心がすさんだ結果というわけでもなさそうです。
 ただ、さまざまな報告書を見ていくと、一つの傾向として「それまでの人間関係で押さえてきたものが噴き出した」ような印象を受けます。
 暴力を振るっていた人がひどくなるのはなんとなく予想ができますが、それまでおとなしく家族思いだったお父さんが災害後には家族に暴力をふるったり、自分以外の家族にお金を渡さないといった事態が起きて、突然変貌したお父さんに家族が戸惑うというケースがたくさんあったようです。(「減災と男女共同参画研修推進センターの記事」より)
 これは普段何があっても文句の言えず家族の意見に従っていたお父さんが、災害による不安やストレスで抑えが効かなくなったのかもしれません。
 普段自分の感情や思いを押さえ込んでストレスをため込んでいる人は、災害という大きな外部ストレスに耐えきれず、感情や衝動に抑えが効かなくなってしまうことが起きます。つまり、普段の生活の中で我慢していたちょっとしたことの積み重ねが爆発してしまったといってもいいでしょうが、こうなってしまうと、それまでの生活を取り戻すことは不可能に近いですから、そうなるまえに対策をしなくてはいけません。
 その対策はたった一つ。「普段から夫婦や親子間で腹を割ってしっかりと話し合うこと」です。
 これにより、普段の生活にはちょっとした波風が立つかもしれませんが、ストレスの蓄積をなくすことで災害という極端に大きなストレスに耐えることが可能になります。また、普段から家族同士がしっかりと話し合えてれば、そこまで極端な不安に陥ることもないと思います。
 災害後には、普段我慢しているさまざまな人間関係への思いが一気に噴き出してきます。そうならないためにも、節度は絶対に必要ですが、夫婦、家族、兄弟同士でお互いに言いたいことが言える環境を整えておくことが大切です。

2019年10月29日追記
 今回引用した「平成23年度の犯罪情勢-警視庁」では検挙率も低下していることが書かれていますので、実態としてどうだったのかということには議論の余地があると思います。
 また犯罪が減少した理由として「みんな我慢している」という妙な連帯意識による窃盗や性犯罪の隠蔽もあるのではないかという気がしますが、ここではそこには触れていないことを書き添えておきます。