積もった雪の処分法

 このたびの寒波ではかなり多くの地域で雪が降ったようですが、大雪が降った後は雪かきが待っています。
 普段から降っている地方の方はともかく、そうでない地方で大雪に見舞われたら、まずは道具の準備からすることになります。
 雪かきでは、まずはスコップが必要ですが、スコップの違いについては、「除雪用スコップあれこれ」と題して以前に触れたことがありますので興味のある方はご一読下さい。
 さて、雪かきは重労働です。その上、雪の上という足場で作業を行うことになりますから、危険も伴います。
 雪かきをするときには、必ず複数で声を掛け合いながら行い、疲れる前に休憩をこまめに取るようにしてください。
 また、屋根の上などの高いところで作業する場合には、可能であれば命綱をつけておくことをお勧めします。
 それから人通りがあるような場所で行う場合には、雪を捨てる地点を必ず確認してから作業しないと、そこを歩いていた誰かを巻き込むことになるかもしれません。
 例年、この雪かきで屋根から落下したり、落ちてきた雪の下敷きになったりして人が亡くなっていますので、屋根の雪かきでは充分に気をつけて下さい。
 ところで、屋根から落とした雪や歩くために除雪した雪はどのように処分していますか。
 雪の少ない地域だと、道路の上に撒いたり、道路側溝に流したりすることが多いですが、どちらも問題を引き起こす可能性があるのでやめておいた方が無難です。
 道路に雪を撒くのは、通る車が雪を潰して水に変えていくことを期待しているわけですが、道路を走っている車がその雪を踏んでしまうと、スリップしてしまうことがあります。
 それから、道路側溝などに流してしまうと、あちこちで雪が氷になってしまって側溝が詰まってしまう事態になることがあります。
 気温が高ければ側溝を流れている水で雪が溶けてくれるのですが、量が多かったり気温が低かったりすると、側溝に放り込まれた雪が圧縮され、そこにに水がしみこんで氷になり、側溝を止めてしまう事態も予測されます。
 そうなると、道路上の雪が溶けても側溝は詰まっているために辺り一面が水たまりになりかねませんので、側溝に雪を放り込むのもできれば止めた方がいいでしょう。
 一番良いのは、豪雪地帯ではよく設けられている雪捨て場を作ることです。
 雪はやがて溶けるのがわかっていますから、使わない場所に集めておけばそのうちに無くなります。
 一気に溶けて水害が起きることも考えにくいですから、普段あまり雪が積もらない地域であれば、それで対応ができると思います。
 いずれにしても、自分の身の安全を確保しながら作業をすることが大切です。
 無理はせず、出来る範囲で安全に雪かきをするようにしてください。

地域を知ることから始めよう

 NPO法人には定款という活動する範囲を定めたものが存在し、その定款の範囲でさまざまなアクションを起こしています。
 当研究所の定款の中には、防災関係のものに混じって「自然体験活動」と「有害生物対策」という二つが加えてあって、恐らく他の防災活動をしている団体様にはない特徴だと思っています。
 災害対策はお住まいの地域、お住まいの場所、そしてお住まいの方によってやり方が変わってきます。同じ地域で隣り合うおうちであっても、備えなければいけない対策は異なっているのです。
 このことを理解してもらった上で対策のお話をしないと、聞いている側には内容がイメージできません。イメージできないから備えが進まないし、何かが起きたときには「こんなはずでは・・・」という方を産むことになってしまうのです。
 当研究所の自然体験活動は、地域を知るために必要だと考えて定款に加えてあり、山登りや雪遊び、川遊びなどを行っています。住んでいる地域の地質、山、森、川、海、気象条件、そして過去に起きた災害や最新のデータに基づく危険な場所まで、一緒に地域で遊びながらどのようなものかを体験し、そこから災害対策を考えているのです。
 海に面していなくても津波は来るかもしれませんし、山の中でも低い場所は大雨では浸水したりもしますが、それは地域を知らなければ体験的に理解できないことだと思っています。
 災害対策は、まずはその地域を自分の目で見て理解することがスタートです。できれば地域の人みんなでその地域で身体を使って見て回ることで、初めて災害対策の目線あわせができるのではないでしょうか。
 「そこに住んでいるから、その地域のことはわかっている」という常識はとりあえず疑ってみてください。地域で遊ぶ時間がないようなら、せめて地図を持って散歩してみて下さい。
 そうすることによって、あなたが命を守るために必要な条件が見えてきます。
 もしあなたが災害対策を本気で考えようとしているのであれば、まずは住んでいる地域を知ることから始めて下さい。
 それから、通学先や勤め先、普段よく行くところなど、手を広げていくと、いざというときにあなたが自分の命を守る前提条件を揃えることができるはずです。

言葉と群集心理

 現実はどうであっても、言葉によって多くの人が行動を起こすと、それが事実になってしまうことがあります。
 例えば、身近なところでは新型コロナウイルス感染症流行時のアルコール消毒液がありました。
 マスメディアがアルコール消毒液が不足していると言い出すや、全国の店頭からアルコール消毒液が消え去ってしまって、普段の生活でアルコール消毒液を必要とする人達が非常に困ってしまったことがありました。結局、多くの人のおうちに大量のアルコール消毒液が不良在庫になって残っているという現実があります。
 過去にはオイルショックの時のトイレットペーパーや、不作時のお米などもありますが、一人一人が冷静に必要な分だけその都度調達すれば大きな問題にはならないはずなのに、なくなるかもしれないという不安が買い占めを誘発した結果、本当に店頭からなくなるという現実になってしまうのです。

空っぽになった棚。

 店頭に無くなると、本当に手に入らないのかと不安になってまた買い占め、それを見た人がまた不安になって・・・、の悪循環になってしまいます。
 冷静に考えて欲しいのですが、いくら消耗品でも一度に使える量には限りがありますし、腐らないとは言っても、場所はとりますし劣化もしていきます。
 足りなくなるかもという不安に負けず、その時に自分が最低限必要な量だけを調達すれば、多くの人が困らなくて済みます。
 問題になるのは、足りなくなることでは無くてそれが最低限どれだけ必要なのかを知っておくことです。
 今の日本の供給体制だと、足りないとはいっても一時のことですぐに生産・調達体制が確立されて量は確保されます。
 他人の言葉に踊らされず、必要な量を常に頭の中において必要な資材を購入するようにしたいですね。

大雪に備える

 今年の冬はホワイトクリスマスになるかもしれないという予測が出ていますが、その後の天気はかなり激しいものになりそうだとも予測されています。
 大雪になると、あらゆる交通が麻痺するのは予想されていると思いますので、急がない用事であれば、お出かけはしないほうが無難です。参考までに、島根県作成の動画を添えておきます。

 ところで、家にいる場合でも、停電が起きる可能性がありますが、あなたのおうちの暖房器具はどのようなエネルギー源を使っているでしょうか。
 もしも電気のみである場合には、停電に備えて冷えないための準備をしておいたほうがよいと思います。
 それなりの蓄電池を準備しておけば、電気座布団や電気毛布であれば蓄電池を使って熱を作ることができます。
 コンロがIHしかないのであれば、カセットガスコンロを準備しておくと、いざというときに湯たんぽが作れますし、調理もできて暖かいものが安心して食べられます。
 普段使いするものに少しプラスすることで、生活の質を必要以上に落とさなくて済みますので、寒さをしのぐための対策について、大雪になる前に備えておいてくださいね。

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大地震の予測と占い

 大地震が来る可能性の予測や「大地震が〇月〇日に起きます」といった占いなどが出される度に「来るぞ」といった風潮になるのが不思議で仕方ありません。
 大地震の予測は、あくまでも起きる可能性があるということで、地震の起きる確率を〇〇%と出してはいますが、0%でなければ起きるかもしれないと思えばいいだけの話で、例えば30年以内に70%の確率で大地震が起きるといっても、30%は起きないかもしれないのですから、そんなに神経質になる必要はありません。
 ただ、起きるとわかっているのですから、耐震補強や逃げる準備などは当然やっておかなければいけないはずなのですが、騒いでいる人達は案外と備えていないのではないでしょうか。
 「また外れた」といって喜んでいる人もいますが、まずはご自身の備えを確立して、その上で怖がったり喜んだり楽しんだりしていただければと思います。
 日本列島に住んでいる以上、地震はどこにいても必ず遭遇します。規模の大きなものに出会う可能性も高いと思います。
 ここまでさまざまに「起きる!」と言われているのですから、起きた後の「想定外」はあり得ません。
 自分自身が生き残り、生き続けることができるための備えを、きちんとしておくようにしてください。

避難時にはお湯も持って行く

 災害で避難をしなくてはいけなくなったときに、避難グッズとしてあったほうがいいなと思っているものの一つに「お湯」があります。
 一時的に避難を行う避難場所は、単なる場所の提供なので自分に必要なものは自分で持って行く必要があるのですが、避難場所で暖かいものを食べたり飲んだりするのはかなり困難です。
 場所の提供なので、居所だけで火気厳禁という場所が非常に多く、火を使うことが許されているとしても、大勢の避難者の前で火を使っているとなんらかのトラブルに巻き込まれる可能性が高くなります。
 そこで、避難するときにもし余裕があるのなら、保温できるタイプの水筒にお湯を入れて持って行くようにしてください。
 不安や緊張は暖かいものを摂取することでかなり緩和されます。お茶やコーヒーを作ったり、インスタントラーメンを食べるときにも役に立ちます。
 また、寒いときにはペットボトルに注ぐことで簡易な湯たんぽを作ることもできますし、使わなくても水に戻るだけなので使い勝手がよいです。
 避難時の飲料としてお水を持って行くことは多いと思いますが、もし余裕があればそれに追加してお湯を持って行くと、いろいろと役に立ちますよ。

応急処置ができますか

あっぱくんを使った心臓マッサージの訓練。
保育園年長組でも、技術があれば大人の心臓マッサージをすることは可能。

 年末になって、いろいろなところで事故やけがをしている場面に遭遇することがあると思いますが、あなたは応急処置をすることができますか。
 例えば、ひどい出血をしている人や心臓が停止している人に処置ができるだけで、その人の生存確率は格段に上昇します。
 救急車や医師が到着するまで命を繋ぐことができれば、あとは専門家がなんとかしてくれます。
 救急車や医師は、死ぬか生きるかの瀬戸際の人を救命することはできるかもしれませんが、死んでしまった人をよみがえらせることはできません。
 つまり、その場にいる誰かが専門家が到着するまでの命を繋ぐ必要があるのです。
 怪我の手当は無理でも、心臓マッサージなら誰でもできます。たとえやる人が子どもであったとしても、やり方を知っていれば心臓マッサージをすることはできるのです。
 どんなことでも構いません。あなたが誰かを助けるために、何か一つでもいいので応急処置の技術を身につけておいてください。
 それが土壇場で誰かの命を救うことになります。

災害時に助けてもらえる人になるには?

 災害時に助けのいる人達については、各地区の作る地区防災計画の中の個別避難計画により対応を決めることになっています。
 とはいえ、地区防災計画が作られていないところが圧倒的に多いですし、個別避難計画についても同様で、作らないといけないのはわかっていても、対象者が多くてなかなか先に進まないというのが実際のところなのかなと思っています。
 でも、何もしないままでは災害時に助けてもらうことはできませんから、なにか助けてもらうための手立てを考えておく必要があります。
 今回は災害時に助けてもらうためにはどうすればいいかを考えてみたいと思います。

1.存在をアピールしておく

 同じ町内に長いこと住んでいても、意外と知らない顔がたくさんあるものです。
 そして災害時に知らない人は絶対に思い出してもらえませんから、まずはあなたの存在をアピールしておくことが大切です。
 そのためには、天気の良い日だけでいいので近所を散歩し、出会った人には必ずあいさつをして何か一言添えること。
 話の時間の長さよりも、話をした回数で人を覚えるという方は多いのではないでしょうか。
 ちょっとした会話をすることで、相手があなたに興味を持ってくれ、近所に住んでいることを認識してもらえば、第一段階は完了です。

2.助けて欲しい内容を整理しておく

 一口に「助けてほしい」と言っても、それだけでは助ける側は何をしたらいいのかがわかりません。
 1から10まで全部やらされると思うと、誰でも面倒くさいと感じるのでは無いでしょうか。
 そのため大切なのは「自分で出来ることとできないことを整理しておくこと」です。
 例えば、外は歩けないけれど家の中の移動はできるというのであれば、いざというときには玄関まで出ているから避難をさせてほしいと具体化すると、助ける側は何をすれば良いのかわかるので手伝いがしやすくなります。
 また、あなたが出来ることによっては、助けてもらいたいあなたが誰かを助けることができることがあるかもしれません。
 繰り返しますが、できることとできないことを整理してできない部分を具体化し、それを助けてもらうように伝えるようにしましょう。

3.助けて欲しい人に声をかけておく

 無理にご近所でなくてもいいかもしれませんが、いざというときに備えて、自分が助けて欲しい人にあらかじめ助けて欲しいとお願いしておきましょう。
 一人では無く複数の人に頼んでおくと、助けてもらえる公算が高くなります。

4.助けてあげたいと思う人になる

 これが一番重要で、一番難しいところなのですが、周りの人が気になって助けてあげたくなる人になっておくと、何か起きたときに真っ先に気にしてもらえます。
 毎日のほんのちょっとしたことで好感度を上げておくと、いざというときに助けてもらえます。

 他にもいろいろとあるとは思うのですが、共助で考えると、どうしても地域の他の人との良好な人間関係を作っておく必要があります。
 さまざまなしがらみがあっていろいろと難しい部分はあると思いますが、少しだけで良いので周りが助けたいと思うような人になれるといいですね。

空気は最良の断熱材

 空気は最良の断熱材だというと首を傾げる人もいるかもしれません。
 例えば、今からの時期に着るような服は、基本的にふわふわもこもこしていることが多いと思います。
 これはふわふわもこもこしている部分に空気が溜まって、それを体温で温めることにより温かく感じるのです。
 また、冬にテント泊したことのある人は経験したことがあると思いますが、寝袋の下に敷くマットがエアマットかそうでないかで、夜寝ているときの快適性が全く違います。エアマットを敷くと寒くありませんが、そうでないと地面の冷気が身体に伝わって、寒くて目が覚めます。
 段ボールなどが温かいのもこの理屈なので、いろいろと実験してみると面白いと思いますが、気をつけないといけないのはあなたの身体を冷やさないことです。
 空気を断熱材として使えるのは、身体の周りにまとった空気が体温で暖められるからなので、体温が低い状態だと、いくら着込んでもちっとも温かくはなりません。
 暖まろうと思ったら、まずは身体を冷やさないことが絶対条件になるのです。
 でも、身体が冷え切ってしまうと低体温症になるかもしれません。そうなると焚き火にあたったり、お風呂などに入って身体を温めることで体温を上げていくしか方法がありません。
 温かい砂糖湯などを飲んでもよいと思いますが、すぐに熱に変換できるものでないと、食べたり飲んだりしても胃が機能せずに戻してしまいます。
 そうならないように、とにかく身体は冷やさないこと。そうすれば、風を通さないものを羽織るだけで温かい環境を作り出すことができます。
 エマージェンシーシートは、自分の体温でシートの中の空気を暖め、身体を冷やさないようにする道具ですので、シートそのものが発熱するわけではありません。
 災害時にはあらゆるものが不足しますが、身体を冷やさないために、どうやったらその場にあるもので空気を断熱材にできるのかを、いろいろと考えてみると面白いと思います。

避難の場所を考えておく

車内での保管は、クーラーボックスに入れて非常食と飲料水を保存しておくといろいろ便利。

ハザードマップなどに記載されている避難所や避難場所に避難するのに自動車がないと無理、というおうちは多いのではないかと思います。
特に地方に行けば行くほどその傾向が強くなるので、自治体が開設する避難所や避難場所に避難を考えているのであれば、避難レベル3が発表された時点で避難を開始しないと、避難できなくなる可能性が高いです。
でも、あなたの住んでいる場所に災害発生危険箇所、いわゆるハザードがないのであれば、家にいた方が安全です。
また、遠くにいかなくても、近くに安全な場所がないかを確認しておいて、いざというときにはそこへ避難するのもいいと思います。
避難するための施設がなければ、その安全な場所へ車で移動して、車で過ごしてもいいと思います。
車を避難施設と考えて、車の中に防災グッズを載せておけば、避難先でも安心して過ごすことができると思います。