【終了しました】【お知らせ】サヒメルで「あなたのとなりのエイリアン展」が開催されます。

 当研究所では有害生物対策をメニューの一つにあげていますが、では、有害生物というのはどのようなものかご存じですか。
 読んで字のごとく、有害生物は人に不利益を与えて害をなす生物の総称なのですが、この有害生物の中には外来種が含まれています。
 日本の生態系を破壊することから、これら外来種は積極的に駆除しなくてはいけないことになっており、アライグマやヌートリアなどは基本的にその場で処分が義務づけられています。
 また、河川敷などでよく見るオオキンケイギクやアメリカセンダングサなどっもこの外来種のカテゴリーに含まれる生物です。
 ただ、ぱっと見てもそれが日本の在来種なのかそれとも外来種なのかは判別がかなり難しいと思います。
 そこで、3月19日から三瓶自然館サヒメルで開催される企画展「あなたのとなりのエイリアン」をぜひ見学して下さい。
 この展示ではさまざまな外来種が紹介されていて、みるだけでも相当知識を得ることができ、山歩きなどをする人にとってはかなり参考になると思います。
 5月29日まで開催しているそうなので、外来生物をしっかりと覚えていただき、見つけたら適切な処分を行えるようにしておきたいですね。

あなたのとなりのエイリアン」展(三瓶自然館のウェブサイトへ移動します)

避難所と避難場所

 避難所と避難場所。一文字違いですが、内容はずいぶんと異なる性格を持っています。ただ、この二つ、普通の住民だけで無く、災害担当をしている行政職員でもごっちゃになっているケースがあり、ややこしい問題が大規模災害の後で毎回起きています。
 では、この二つはどう違うのか。
 避難場所は災害が発生しそうな状況から災害が収まるまで、自分の安全を確保するための場所です。場所と書かれているとおり、必ずしも施設の中というわけでは無く、公園や大きな駐車場、校庭といった場所もよく指定されています。
 そして、避難所は、災害によって何らかの事情により生活を送るべき場所が失われてしまった人が新しい住居が見つかるまでの仮の生活空間として準備されるものです。
 そのため、避難所は施設が指定されています。
 ただ、避難所で生活するにはかなりの気力と体力が必要だということに、いい加減に気づいて欲しいと思います。
 というのも、日本の避難所には基本的にプライバシーは無視されています。他人の視線を遮るような布や生活空間を仕切る段ボールがあったとしても、自分がほっとできる空間を作れているわけではありません。
 最近の新型コロナウイルス感染症のおかげでようやく避難所内に家族で過ごせるようなテントが配備されるようになってきましたが、基本的には24時間自分の行動が誰かの目にさらされているということになります。
 知らない人の目があるのに毎晩ぐっすりと眠れる人はそういないと思います。結果として、睡眠不足による活動量低下が起きてしまいます。
 それから、食事の問題。

 気力や体力を維持するためには温かな食事は必須なのですが、実際のところはおむすびや菓子パン、油ものたっぷりの配給弁当という冷たい食事のローテーションが行われていて、仮に避難所に台所があったとしても、食中毒を恐れて避難者に調理は一切させないというのが現実です。
 せめてキッチンかーなり炊き出し班なりが毎食作ってくれれば良いのですが、資金、場所、資材、そしてさまざまな平時の法規がその手の活動を妨害しています。
 「避難者に贅沢をさせると避難所から出て行かない」ということを言われる偉い人がいますが、避難者は誰も避難したくて避難しているわけではありません。
 仕事がなくなったり、住む場所が再建できなかったりといった、事情を抱えて行き場のない人達が最後まで残るだけなのです。
 自分だけの安心できる空間と睡眠、そして暖かでおいしい食事。これが的確に供給されれば、今のような避難所地獄は消えていくのではないかと思っています。
 そうでなくても年をとると環境の変化に弱くなるのですから、気力や体力がきちんと維持されるような対策を平時にしっかりと行っておきたいですね。

【お知らせ】地域防災力強化の講演を見ることができます

 一般財団法人日本防火・防災協会様の主催で、地域防災力の充実強化のための講演について、オンラインで見ることができますのでご紹介します。
 日本防火・防災協会は毎年防災に関する講演会をやっているのですが、新型コロナウイルス感染症が流行していることから、今年度はオンラインでの開催になったようです。
 講演の内容は自主防災組織や女性と災害史などさまざまですので、リンク先からあなたが聞いてみたい講演を選んで聞くのもよいのでは内かと思います。
 詳細はリンク先をご覧下さい。

地域防災力の充実強化のための講演(日本防火・防災協会のウェブサイトへ移動します)

災害とパニック

 火災や緊急事態を題材にした映画やドラマでは、ほぼ100%パニックが起きる描写がされていますが、実際のところはどうなのでしょうか。
 試しに、大きな地震の場面、または大規模な火災に遭遇した人達を撮影した映像を探して見てみて下さい。
 そこに映っているのは、パニックになって我先に逃げ出す人では無く、お互いに顔を見合わせたり状況を確認するために周囲を見回したりする人が殆どだと思います。言い方を変えると、ほぼ100%パニックは起きていないことがわかります。
 個別には、出入り口に人が殺到したりすることはありますが、概ね落ち着いた雰囲気で避難を行っているものが殆どで、どちらかというと、その場で地震の感想やお互いの   安否確認が始まったりして、すぐに安全確保をしないことが問題になりそうです。
 もちろん地震が起きると怖くて泣いてしまう人はいると思います。
 ただ、それも全体から見るとごく少数。多くは冷静に状況を見ているか、もしくは茫然自失、あるいはちょっとした興奮状態になっています。
 施設管理者や避難誘導担当は、パニックになるかもと情報を規制してしまうことが多いみたいですが、実際には正しい情報を伝えても案外と冷静な判断をしてくれるものです。
 逆に正しい情報が与えられない方が混乱を生み出すことになると思います。
 怖いのはパニックでは無くて情報不足による判断の停止ですので、パニックを本当に防ごうと考えているのであれば、積極的に正しい情報を提供することをお勧めします。
 ちなみに、正しい情報というのは「現在は状況がわからない」というのも含みます。
 今、施設管理者や避難誘導担当者が把握している情報はさまざまだと思いますが、憶測では無く現在把握できている範囲の情報をきちんと整理できるような、そういった訓練をしておくといいと思います

広域避難の受入先を準備する

 大規模災害により被災地域での生活が困難になると、生活に支援のいる人達は被災地外へ広域避難をすることになります。
 ただ、田舎から大都市へ避難する場合には都市にある様々な施設で人を受け入れることが可能なのですが、その逆が起きた場合、田舎では都会の被災者を受け入れる能力がありません。
 食料にしても、住居にしても、その他の物資にしても、そもそも流通線が細いので被災者を受け入れても共倒れになってしまうのがオチです。
 まったく影響のない地域まで分散避難できればいいのかもしれませんが、輸送手段を考えるとかなり厳しい気がします。
 広域避難の想定は、現在は主に原子力発電所が被災して放射性物質が漏れ出した場合のものとなっていて、多くても数万人程度の避難計画ですが、訓練の結果、これでもかなり問題が起きることがわかっています。
 広域避難するなら、とにかく早く避難して落ち着き先を確保することが大切です。
 例えば、どこかの田舎と交流してみるとか、知り合いを作っておくとか、もし自分が広域避難することになったとき、受け皿となってもらえるような場所の準備をしておくようにすると、いざというときに安心できます。

【活動報告】第2回外遊びごはんの会を開催しました

 コロナ禍で知らない子ども達との遊び方や身体を動かした外遊びの楽しみ方、ご飯づくりや人との一緒に食べるご飯の楽しさを思い出してもらおうと企画したこのイベントも第2回目になりました。
 前日に生じたとある事情から参加できなくなった子ども達のキャンセルが相次ぎましたが、総勢12名で無事に開催にこぎ着けることができました。
 当日は、ご挨拶の後でビニール袋を使ったご飯を炊き、それからブルーシートと木がらを使った秘密基地づくりとレトルト野菜とサバ缶で作ったサバカレーに別れて活動を行いました。


 子ども達は合間を見て野球のようなものをしたり、おにごっこをしたり、出来上がった秘密基地で寝転がったりと思い思いに時間を過ごしてくれていました。
 カレーに添えるサラダとして、お菓子のじゃがりこを使ったサラダを各自で作ってお昼ご飯に食べましたが、意外においしかったという感想をたくさんいただきました。


 昼からも野球のようなものや鬼ごっこなどをして過ごし、中には木がらと紐、それに養生テープを組み合わせて弓矢を作る人まで現れて、ちょっとしたアイデアでいろいろなことができるんだと感心しました。
 少し肌寒い中ではありましたが、今回も無事に終了することができました。
 参加できなくなった子ども達、事情で参加できなくなった子ども達、保護者の皆様、スタッフの皆様に厚くお礼申し上げます。
 次回は3月13日、今回の外遊びごはんの会の最後になりますが、怪我がなく無事に終わることができることを願っています。

災害時に胸を張って助けてもらうには

 災害が起きたとき、さまざまな理由から自分一人では自分の命を守ることができない人がいます。
 そういった人達を災害死から守るため、災害時要支援者個別対応計画を策定する努力義務が災害対策基本法に明記されました。
 法律に書かれていなかったとしても、可能な限り人の命は守られないといけませんが、災害時に助けてもらうのは抵抗があるという人もいると思います。
 でも、災害時に自分一人で何とかしようとして結局命が失われると、さまざまな場所にそれが影響してきます。
 助ける側はただ助かって欲しいと思って手をさしのべるので、助けてもらう人が卑屈になる必要はまったくないのですが、かといってふんぞり返ってもよくありません。
 安心して助けてもらう、安心して助けることができる、そういった関係を作らないといけないのです。
 では、どうすれば災害時に自分が胸を張って助けてもらうことができるのか。
 まずは助けてもらう人は自分の命を何が何でも守るという意識を持つことです。
 助けてくれる人はなんとかして助けようとしますが,助けてもらう側が助けることに抵抗すると、それだけで貴重な時間が失われてしまいます。
 「死ぬ」という行為はその人の権利だとは思うのですが、原因が災害なのは駄目です。災害では死んではいけません。何が何でも助かって生き抜いて下さい。
 次に、助けてもらう人が自分にできることを自分でやることです。自分にできない部分を助けてもらうのです。
 例えば、歩けない人でも家の中で移動して玄関口までは出られるかもしれません。それなら、助ける人に玄関まで迎えに来てもらえばいいので、お互いに時間を無駄にしなくて済みます。
 助ける人は何を助けて欲しいのかがわかりません。だから、助けてもらう側が助けて欲しいことをきちんと伝えないと、一から十まで助ける人がすることになります。
 もしも自分で何もできないことがわかっていれば、助ける人を増やすとか、来てもらう優先度を上げてもらうとか、やりようはいろいろとありますので、できることとできないこと、やってほしいことをきちんと助けてくれる人に伝えておきましょう。
 助ける人に段取りがあることはみんなわかっていると思いますが、助けられる側こそ事前の段取りをしっかりとしておく必要があるのです。

避難口の表示の有無

避難口や避難経路を示す誘導灯。
いざというときにあなたが屋外に逃げ出すのを手助けしてくれる大切なものですが、この誘導灯、ある場所とない場所があることをご存じですか。
例えば、大きなホテルには必ずついていますが普通のおうちで見ることはあまりないと思います。
この誘導灯は火災などの非常事態が発生したとき、その場にいる人を安全に屋外へ誘導するための装置です。
誘導灯は避難口誘導灯、通路誘導灯、階段通路誘導灯、そして映画館などでよく見る客席誘導灯があり、それぞれに設置基準が作られています。
今回は避難口誘導灯と通路誘導灯に絞って考えてみたいと思います。

廊下から避難口誘導灯が見えないので通路誘導灯がついている。

1.避難口誘導灯

 避難口誘導灯はその場所から外部に通じる扉や開口部に設置されているもので、避難すべき出口を表していて、基本的には緑地に白色の開口部が描かれています。
 不特定多数の人が利用する場所では100㎡以上、また、特定の人が使う場合でも400㎡を超える部屋の場合には設置する必要があります。
 どこからでも目立つように高い位置についていて、誘導音が出るタイプのものもあります。

2.通路誘導灯

通路誘導灯はいまいる場所から避難口がどこにあるのかを指し示すための誘導灯で不特定多数の人が利用する施設の場合には、この表示が見えないところを作ってはいけないことになっています。
また、停電時にも消えることがないように、照明を維持するためのバッテリーがセットされていて、最低20分は点灯するようになっています。
白地に緑で避難方向を示す矢印と避難口のマークが書かれています。場所によっては文字で「避難口」や「非常口」と書かれているものもあります。
煙に紛れてもしっかり見えるように床や壁の低い位置につけられていることが多いです。

避難口誘導灯と通路誘導灯の関係図

この基準を満たしていない場合には、避難口誘導灯や通路誘導灯をつけなくてもいいということになります。
そこに普段から住んでいれば、どこに出入口があるのかはわかっているでしょうし、出入口が目視できる場所であるなら、わざわざ誘導灯がなくてもたどり着けるだろうということです。
普段あまり意識していないと思いますが、知っておくと何かの役に立つかもしれませんので、出かけた場所で確認してみてください。

ボランティアでの怪我対策

 現地に出かける災害ボランティアというと、泥やがれきを片付けるイメージが非常に強いと思います。
 実際にはさまざまなボランティアがあって、中にはボランティアを支えるボランティアというのもあったりしますが、誰にでもできて、人手がたくさん必要であることから「ボランティア=片付け」というイメージが持たれているのではないかと思います。
 ところで、この災害ボランティアは基本的に全て自己完結する必要があります。飲み物、食べ物、おやつなど、自分が必要とするものは全て現地に持参します。道具は被災地にあるボランティアセンターの備蓄基地で借りることができますが、ない場合にはそれも持ち込みです。
 さすがにトイレは行政等によって仮設が設置されることが多いですが、そういったものが無い場合には、トイレも持参する必要がありますので、現地の事前情報はしっかりと入れておきましょう。

現地に設置された簡易トイレ。


 格好ですが、長袖長ズボンは絶対必要です。片付けをすると、どうしても腕やすねなどに泥や石などが当たります。そのとき、擦り傷や切り傷ができてしまうことがあり、そこから破傷風菌などの雑菌が入ってしまうことがあるため、肌を露出させないことが基本になります。
 次に手袋はできるだけ刃物を通さない防刃タイプの丈夫なものにすること。割とお手軽に軍手を使うことが多いですが、軍手は編み目が粗いため釘や木のささくれなどが刺さることがあります。
 軍手が必要な場合には、防刃手袋の上からつけるようにするといいでしょう。
 そして、足回りは長靴やマリンシューズ、スパイク長靴などで踏み抜き防止処置がしてあるものを選びます。踏み抜き防止インソールなどもありますので、普段お使いの長靴にそういったインソールを入れてもよいと思います。
 頭部にも守るためのアイテムを着けます。ヘルメットが理想ですが、帽子でも構いません。大切なのは露出させないことなので、頭部をカバーできるものを頭に被るようにしてください。
 万が一怪我をした場合に備えては、防水タイプのカットバンと傷口を洗うためのきれいな水を用意します。カットバンは大きさの違うものをいくつかセットし、水は500mlペットボトル1本あれば大丈夫だと思います。
 流水で傷口を洗い流し、傷口がきれいになってから防水タイプのカットバンを貼り、傷口を保護します。また、大きい怪我の場合には速やかに救急車を呼んでください。
 最後に、感染してもっとも恐ろしい破傷風菌についてはワクチンがありますので、被災地に災害ボランティアに出かけるときには破傷風ワクチンを事前に打っておくとより安心です。
 破傷風ワクチンの効果は概ね10年程度とされていますが、主治医の先生と相談した上でどのような接種をするのかを決めることをお勧めします。
 せっかく被災地支援に出かけたのに自分が怪我をして現地の医療体制に負荷をかけてしまっては何にもなりません。できる限りの怪我をしない準備をして、現地に赴くようにしてください。

紙コップで授乳する

 個人装備の中では普通のコップが入っていればいいと思いますが、ミルクを飲む子どもさんや衛生面で気を遣わないといけないような場合には、紙コップを準備しておくといいと思います。
 この紙コップと使い捨てスプーンがあれば、ほ乳瓶がない場合でもミルクを飲ませることが可能になります。
 ほ乳瓶は利用後に、「洗浄」→「消毒」→「乾燥」という手順を踏んでまた使うわけですが、災害後に水が不足する場合には、洗浄するための水が確保できないとほ乳瓶の衛生環境が保てないという問題が発生します。
 使い捨てタイプのほ乳瓶もありますが、一つの単価が高いことと、数日分の使い捨てほ乳瓶を持ち歩くのは、他のものを持って移動することを考えると現実的ではありません。
 そこで、紙コップに入れたミルクをスプーンで飲ませるという代替案が登場してきます。
 紙コップも使い捨てスプーンもさほど場所はとりませんし、衛生的にも管理がしやすいものです。
 ただ、これはあげる親ももらう子も練習しないとうまく行きませんので、普段の授乳の中で取り入れてやってみてください。
 母乳の方も同様で、災害後には心労やストレスから母乳がでなくなることもありますので、ミルクを飲んでくれるのかもあわせてやってみて欲しいと思います。
 紙コップでの授乳はあくまでも非常手段です。
 ただ、このテクニックを知ってできるかどうか試しておくことで、その後準備するものがいろいろと変わってきますので、できる範囲で試してみてくださいね。