平成31年3月末時点の「原子力災害に備えた島根県広域避難計画」の付属資料が公開されました。
それによると、島根原子力発電所で何らかの大規模放射能漏れが発生した場合には、島根原子力発電所から30km圏内の住民は全て避難対象となっているようです。
その数、121,460人。
その中で、県内避難先として益田市、津和野町、吉賀町も入っており、益田市が17,950人、津和野町が1,970人、吉賀町が1,430人を受け入れる計画になっています。
原発事故による避難はほぼ着の身着のままで生活物資も殆ど持たずに逃げ出すことになることが多いので、この数の人がもし避難してきたとしたら、その人達に対する支援はどうなるのでしょうか?
現在の人口の2割から4割くらいの人が避難してくるわけですから、それまでの生活物資の流れのままでは、そこに住む住人達の通常の生活ですら破綻することになってしまいます。
東日本大震災で広域避難自体がそこまで大きな騒ぎにならなかったのは、背後に首都圏という超巨大な物資集積地があり、避難者の数も避難先の住人の数に比べれば少なく、太い物流を活用できたためで、中国地方では岡山市や広島市も含めて首都圏ほどの太い物流網はありませんから、避難先の土地でさまざまな物資が不足することが簡単に予測できます。
居住民の物資が欠乏するとその恨みは物資を消費する避難者に向けられるわけで、これに対する対策も事前に決めておく必要があります。
どうしたら物流を滞らせずに増えた人口を安定して食べさせることができるのか? 避難所のトイレやライフラインの問題はどうすればいいのかなど、検討し、決めておかなければいけない問題は 山積みのはずです。
もちろん行政機関だけの問題ではありません。受け入れ先として予定されている学校などの各施設は、避難者を収容するとその間授業などの通常業務はできなくなると考えた方がよさそうです。
渋滞や犯罪の問題も起きるでしょう。自治会や自主防災組織、学校、企業など、それぞれに検討しておく課題は存在します。
今現在、去年くらいからようやく広域避難の訓練が始まりましたが、受け入れ側の受け入れ訓練はまともにされているとは言えません。
いざというときにトラブルが起きないように、付属資料の避難受入候補地を確認していただいて、受け入れた後どうしたら地域に問題が起きずにすむのかを考えておく必要があると思います。
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水の運び方
災害が発生すると、ライフラインの復旧が問題になってきますが、一般的に地面の中に埋まっているものは復旧に時間がかかるものです。
中でも水は他に代替手段がないため井戸が無い限りは復旧まで給水車に頼ることになりますが、給水車は各戸に回って水を供給してくれるわけではありません。
指定される近所の給水所まで水をもらいに行くわけですが、その給水所から家までどんな風に水を運ぶのかを考えたことがありますか?
水の重量は500mlで500g。1リットルならほぼ1kgです。
国の試算では、1日に成人が必要とされる飲料水は料理用も含めて最低3リットルですが、給水所から家まで3kgのものを抱えて移動することを考えてみてください。
そのとき、どんな容器で運ぶことを考えていますか?
例えばよく出てくるのはバケツですが、そのとき使えるバケツが常に清潔だとは限りません。
こんなときにはバケツの内側にきれいなビニール袋を二重に入れれば、バケツを洗浄しなくてもきれいな水を運ぶことが可能です。
また、バケツがなくても同じ方法で段ボール箱でも運ぶことができます。
気をつけるところは、ビニール袋の持ち手があるものを使うこと。ビニール袋の中の7割程度に水を入れて口を縛れば、段ボール箱を濡らさずに運ぶことができます。
例えば、燃えるゴミの袋などはどの家庭にでもあってこういう使い方もできる便利な袋です。製造元はこういった使い方は推奨しないと思いますが、非常時なので許してもらうことにしましょう。
そして、輸送用の台車があると子どもや高齢者でも安心して運ぶことができます。わずか3kgと思われるかもしれませんが、これを抱えて移動するのは結構大変ですから、何らかの道具が使えると便利です。
また、ここからは支援者側の問題になりますが、被災者の輸送能力、給水を待つ人数、給水能力を考えると、給水所は半径500mごとくらいをカバーできるくらいで作るのが理想です。
そして、給水装置の形によりますがなるべくこぼさないようまたこぼれた水が利用できるような準備、例えば下に水受けを用意するなどしておく必要があります。
最近では5リットルや10リットル入りの給水袋に入れた水をそのまま提供することもあるようですが、給水時の給水方法を事前に周知しないと水を入れる容器と給水袋を抱えて途方に暮れるような辞退が起きないとも限りません。
速やかに受け渡しができるような整理をしておく必要があると思います。
そして避難所の場合は避難所として飲料水を確保することになるので、予定避難者に見合うだけの水を確保できる20リットル灯油缶などの専用道具が必要です。
どのように貯水するのかについては、事前にしっかりと検討をしておかないといけません。
いずれにしても、普段のように蛇口をひねれば水が出る状況ではありませんので、そういう事態に備えた準備をきちんとしておきましょう。
虫対策を考える
災害が発生した後、どこで過ごすにしても虫に悩まされることが多くなります。
さまざまな腐ったものから発生するハエやその他の虫、あちこちに貯まった汚水から発生する蚊など、普段はあまり気にしないような虫がたくさん発生します。
この対策として、虫除けや殺虫剤などを用意しておく必要があります。
例えば避難所には網戸がないことが多いです。そして、特に夏場では熱がこもってしまうので窓を開けないと熱中症になる危険性があります。
網戸のない窓からハエや蚊、その他の虫が避難所を飛び回ることによって、衛生環境や不快感が出て、そうでなくても先の見通しがはっきりしせずにいらいらしている避難者達をよりいっそういらいらさせてしまうことになります。
対策としては、個人としては非常用持ち出し袋には虫除け薬及び虫刺されに効く薬を入れておくことが第一です。
そして、避難所を準備・運営する側は蚊取り線香等の虫除け・虫取り・殺虫剤を準備しておくことを考えておいた方がいいでしょう。
また、衛生環境を維持することからも消毒用の消石灰の準備をしておくとよりよいと思います。
もちろん、避難所での生活において生ゴミなどから虫が発生しないような対策を行っておくことも大切です。
災害後、なかなかそれまでの衛生環境を取り戻すことは時間がかかります。ですが、資材によってある程度防ぐことが可能な部分でもありますので、事前準備をしっかりとしておきましょう。
非常用持出袋の作り方・その1
災害に備えて飲料食を含む生活用品を最低7日間は用意しておこうというのが、最近の国の方針ですが、これをどのように準備したらよいのか。
災害対策の準備として、3段階に分けて考えてみてください。
1段階は、何らかの理由で避難しなくてはいけない場合。だいたい1日程度過ごせるものを用意します。
2段階は、とりあえず避難しなければいけない状況が終わってから落ち着くまで。3日から1週間程度の用意です。
3段階は落ち着いてから生活再建の準備が始まるまで。ここでもおよそ1週間程度考えておけば大丈夫です。
まずは第1段階。何らかの理由で避難しなくてはならない場合です。
基本的には自宅避難が一番なのですが、その立地と発生する災害によっては避難しないといけない場合が発生します。そのときに、国の推奨する1週間分の災害用品を持って移動するのはまず無理です。
1日程度避難先で生活できるものをリュックサックに詰めて非常用持ち出し袋として用意します。リュックサックが背負えて歩ける年齢であれば、一人に一つ、持てる範囲のものを詰めて自分で持たせるようにします。
また、歩けない年齢の子どもの場合には、保護者のリュックサックに詰めることになりますが、保護者の数分散して詰め込むようにします。
これはリュックサックが駄目になったとき、その子どものものが全て無くなることを防ぐためです。
では、必要なものをリストアップしてみましょう。
まずはその非常用持ち出し袋を使う人はどんな人ですか? めがねをかけていれば換えのめがねが必要です。飲んでいるお薬があればそのお薬を入れておかないといけません。
乳児であればほ乳瓶やミルク、離乳食や紙おむつが必要になりますし、汗などの臭いが気になる人は無香料タイプの消臭スプレーがいるでしょう。
入れ歯の人は洗浄セットがいるでしょうし、まくらが変わると寝られない人は、まくらも持って行く必要があるでしょう。
人によって必要とするものが異なりますので、それを考えて洗い出すことが大切です。
次は排泄物の処理です。トイレが使えないことを想定して1日分の携帯トイレを用意します。自分が普段一日に何回トイレに行っているかを基準にして、大小ともに準備をしておきます。臭い消し機能のあるゴミ袋も忘れずに準備しましょう。
それから、次は飲料食です。保存ができてそのままで食べることができ、自分が食べやすいものを用意します。ゼリー、ようかん、チョコレート、おかきやポテトチップス、ナッツ類など、カロリーを重視したものを用意しましょう。
また、飲み物については水またはお茶を用意します。自分が普段どれくらい水を飲んでいるかを基準にして考えますが、水の入ったペットボトルは重たいので、500ミリリットルのものを2~3本用意して移動しやすいようにしておきましょう。
あとは着替えです。下着も含めて1セットを準備します。また、夏場でも長袖は1着必ず入れるようにします。1日程度の品の準備なので、たくさんの着替えは不要です。
そしてできればで構いませんが、タオルケットとエアマットがあると、寝るときに快適に過ごせます。避難所で毛布が配られる場合でも、基本は一人一枚です。また、枚数が少ない場合には力と声のでかい人から取っていくケースも多いですので、自分のものを自分で準備しておくと困らなくてすみます。
さて、ここまでで個人がそれぞれ必要なものを準備することができました。あとは全ての避難者に共通の避難用品を入れていきますが、それはこの次にご紹介します。
頭を守る方法
頭を守るというとまず第一に出てくるのは「ヘルメット」です。きちんと頭に合わせて設定し、あごひもをきちんと締めることができれば、かなり安全度は高いと思われます。
丈夫なヘルメットは置く場所もとりますので、折りたたみのできるさまざまなものも作られています。
防災ずきんも有効です。防炎素材、難燃素材であることは絶対的に必要ですが、これをかぶることで頭へのダメージを格段に減らすことができます。
視界が悪くなるのが難点ですが、断熱効果も期待できるのである程度の寒さを防ぐこともできるでしょう。
身近なものでは帽子があります。前頭部に耐衝撃素材を埋め込み、首元を守る難燃性素材で作られた防災帽子も売られていますが、サイズが選べないのが難点です。
普通の帽子でも、中にタオルを入れ、端っこを首元に垂らせば簡単な衝撃対策ができます。
なにもなければ、上着を頭からかぶったり、タオルをほっかむりするだけでもけがを防ぐことができます。
大事なのは、頭をむき出しにしないこと。
ガラスや建物の破片が頭や首に当たらないように、なんらかの形で対策をしておくことが大切です。
あなたが食べられるものを非常食にしよう
当研究所でも「非常食を食べてみた」でぽちぽちと災害時の非常食について検証をしているところですが、災害が発生した後、自分が何を食べるのかについて考えたことがありますか?
一昔前であれば「乾パン」、最近なら「アルファ米」や「レトルト米」が上げられるでしょうか。保存食としてある程度の期間保存が利くものが上げられるのではないかと思います。
準備していないのは論外ですが、準備している人でも「実は食べたことがない」という人も多いように感じます。
災害時には、最初は気が高ぶっていますからなかなかお腹も空きませんが、かといって何も食べないというわけにもいきません。
いざ食事をしようとしたときに、持ち出し袋の中に入っていた非常食が食べられなかったとしたら?
実際にあった例では、入れ歯の避難者の方が非常食として持っていた乾パンが食べられずに難儀をしたというのがあります。
今の乾パンは、以前のものに比べると随分と食べやすくはなっていますが、堅いことには変わりありません。我が家の小さな研究員達はぼりぼりと食べていましたが、歯の悪い人がこれを食べられるかと考えると「無理」という答えになりました。
細かくすりつぶして水でも加えれば、それでも食べることが可能になるかもしれませんが、そのままの形では水を吸わないのが乾パンという食べ物なので、年寄り向けであればビスケットの方が向いているねという結論になりました。
また、温めが必要な食べ物を用意することも多いと思いますが、避難所では火気厳禁が徹底されていますので、火以外でそれを温める手段、例えばヒートパックやカイロなどといった火を使わずに温める道具を準備しておく必要があるでしょう。
とにかく、一度でいいからそれを食べてみること。食べてみることで、どういう風にしたら自分が食べやすいのかを考えることができます。
我が家の場合、例えばアルファ米の変わりご飯なら白飯と半分ずつ混ぜれば好みの味になるということがわかっていますからそういう風な準備をしています。
災害という非常事態であっても、できれば普段の食事に近いものを食べられるような準備をしておいた方が元気が保てます。
そのためには、普段から「自分が食べられるもの」で「自分の好みに合ったスタイル」を研究しておいたほうがいいでしょう。
ちなみに、災害時に何も備えがない場合には、政府や自治体などの行政からの支援に頼ることになりますが、この場合、3日目から5日めに配給される乾パン二個などという哀れな食事になる可能性があります。また、アレルギーなどには配慮されない配布方法が殆どですので、アレルギーを持っている人ほど自分の食べられるものを用意しておく必要があるのです。
ともあれ、気力と体力を維持するためにも、自分がおいしいと思う非常食を準備しておく必要があると思います。
公衆電話の使い方
東日本大震災後、「災害時には被災地区外からは171に集中するが、肝心の被災地区内から171番への発信があまり利用されていなかった」ことが東京消防庁のサイトに掲載されています。
以前に「ダイヤル171」を使って上手に通信環境を維持しようという記事を書いたことがありますが、通信回線をパンクさせないためにも、被災地区内からの安否情報の発信がより積極的になされるといいなぁと思っています。
ところで「公衆電話の使い方がわからない人がいる」というお話がありましたので、今回は公衆電話の使い方について確認しておきたいと思います。
大前提として、停電時にはテレホンカードは使えないことに留意してください。
1.受話器を上げる
2.受話器を耳に当てて「ツー」という音がしていればそのまま発信可能。
3.受話器を耳に当てても何の音もしない場合は硬貨を投入する。
4.プッシュボタンを押して相手の番号を打ち込む。
5.呼び出し音が鳴れば成功
とても簡単なのですが、携帯電話と違うのは、自分で電話番号を入力する必要があることです。
また、滅多にありませんが、ピンクのダイヤル式硬貨専用公衆電話に出くわすことがあるかもしれません。
その時は、ダイヤル内の対象の数字の穴に指を入れ、ダイヤル右下の金属の部分まで回して指を離します。ダイヤルが最初の位置まで戻ったら、次の対象番号の穴に指を入れてまた回し、それを繰り返して通話したい番号を入れてください。ダイヤルを回し終わったら、普通の電話と同じです。
いざというときに備えて、たまには公衆電話から誰かに電話をかけてみるのもいいのではないでしょうか?
ただ、やるときには事前に相手に了解を取っておいた方がトラブルにならなくていいと思います。公衆電話から携帯電話にかけた場合、携帯電話の表示は「公衆電話」で出ますので、怪しむ人もたくさんいますので。
電話機の種類や使い方については、総務省のサイトにもリンクを貼っておきますので、どんな電話が使えるのかを確認しておくといいと思います。
家にある飲料水を探そう
大規模災害が発生した後、まっさきに問題になるのはトイレです。そして、その次には飢えと渇き。
これは地震でも水害でも台風でも同じことで、ライフラインが寸断されて発生する共通の問題となります。
そのとき、飲み水の確保が一番の問題となったことをご存じでしょうか。
今回は密かに家の中にある飲料水について考えてみたいと思います。
飲料水というのは「飲んでも人体に影響のない水」で、災害に備えることを考えたときにはPETボトルで売られている保管可能な水や、光触媒を利用して水が腐らないようになっているポリタンクなどを備えることが一般的ですが、おうちによっては普通に飲むことの可能な水が隠れている場合があります。
一カ所目はトイレの水洗タンク。水道管直結タイプでなくタンクに貯めるタイプで毎日利用されているのであれば、そのタンクの中に最低2~5リットルは必ず飲める水があります。
気分的には乗り気がしないかもしれませんが、ここに保管されている水は大抵の場合は水道水。毎日何度も入れ替わっているので新鮮な水が入っている理屈になります。
もっとも、この水を使うためにはこのタンクに注ぐ水では手を洗わないなど、水を汚さないようにする必要になります。ですが、災害が発生した後、トイレの水を流さなければ、簡単に手に入る水です。
二カ所目は、電気温水器。これは給湯施設を電化している人に限られますが、このタンクの中には180リットル以上の水またはお湯が入っており、最近のものであれば、災害時に水が供給できるようなコックがついているものもあります。
普段から使っているのであれば、これはかなりの量の水を確保していることになります。
三カ所目は太陽光温水器。最近は太陽光発電施設の普及で見かけることも減りましたが、もしこの装置があるのなら、ここにも電気温水器と同様の水の量が確保されていることになります。
もっとも、太陽光温水器で作ったお湯については「あくまでも生活用水」というメーカーの説明もありますので、飲食に使う場合には自己責任でお願いします。
さて、ここまで読んでいただいて気づかれたと思いますが、電気温水器と太陽光温水器はどちらもお湯を作るための装置です。
災害時でも、しばらくの間はそれなりのお湯を確保することも可能ですので、これらを利用して飲料水を上手に確保してください。
職場からの避難場所を知っていますか?
あなたは自分の家以外で災害にあったとき、例えば勤務先の周囲の避難場所や避難所を意識してみたことがありますか?
災害を意識している人でも、家以外で災害に遭遇したときどこへ避難するのかは決まっていないということが多いです。
自治会や自主防災組織の訓練でも自宅から避難することがほとんどで、それ以外の場合の訓練や避難先の確認というのはされていないことが殆どです。
また、お勤め先で防災訓練をされるとき、どこへ避難するか、どこが避難場所なのかということは意識されていないと思います。
これは別にお勤め先の防災担当者がサボっているわけではなく、その地域に住んでいる人以外は基本的に避難所に待避することは考えられていないことに原因があるからです。
最近騒がれている首都直下型地震や東海・東南海地震に備えている自治体からは、地域の職場に対して職場を避難所にするため備蓄などを行うように依頼を行っています。
お勤め先の建物が災害に耐えられれば、そこでとりあえずしのぐことは可能です。ただ、飲料食や排泄処理、環境がその場で待機できるようになっていないと、そこから避難所へ人が流出し、本来は地元の住民に対して準備されているさまざまなものを消費してしまうことが十分に予測されます。
東日本大震災時、大規模な被害は受けなかった首都圏で、職場で飲料食を持っていなかった人たちがコンビニエンスストアに群がって店舗が空っぽになったことを思い出してみてください。
また、大量の帰宅者が路上にあふれて交通が麻痺し、これからの防災対策に不安を残す結果になったこともありました。
本来は雇用主が従業員の生命を維持するためのインフラを整備すべきだと思いますが、残念ながら職場の準備は進んでいないのが現状です。
そうなると、自分で準備するしかありません。
首都直下型地震や東海・東南海地震では、職場に3日間はいるようにという政府の依頼が出ていますが、そこまで行かなくても、せめて1日分くらいは職場で立てこもれるような飲料食やトイレの準備はしておいた方がよさそうです。
また、家に帰る際にも大規模な災害の場合には自分の足に頼ることになります。
そのことも考えて、安心して歩ける運動靴を一緒に備えておいてくださいね。
電気は何に使う?
災害時に備えて、さまざまな施設では自家発電機や蓄電池を持っています。
では、そこで準備した電気は何に使うかということはきちんと整理されているでしょうか?
何に電気を使うのかによって、必要とされる発電機や蓄電池の種類、発電量や蓄電量、備蓄しなければならない燃料量などが決められます。
パソコンや医療機械などの精密機械を使うのであれば、発電機は正弦波タイプでなければ使えませんし、電子レンジやエアコンを動かすのであれば瞬間出力に耐えうるだけの蓄電量が必要です。
そして、照明に使う程度であれば発電機の能力が大きすぎるということもあり得るでしょう。
逆に利用する機材に比べて発電量が小さいと言うことも起こりうるかもしれません。
電気がないと機能が維持できない施設はたくさんあります。どこに使う電気を止めるわけにいかないのかをあらかじめ確認しておくことで必要な電力量を把握することができます。
その電力量をカバーできる発電機を準備しておけば、貴重な燃料を無駄にせずにすみます。
もちろん、定期的に発電機や蓄電池の運転試験を行って、その電気を使ってみることも大切です。
最近は発電機や蓄電池も小型化してきていて家庭用として使えるようなものもたくさんあります。また、太陽光発電などで電気を供給することも可能になっています。
でも、準備した電気を何に使うのかをきちんと決めておかないと、結局無駄になってしまうことも多いです。
あなたのところでは何に電気が必要なのか、そしてその発電量はどれくらい必要なのか。時間のあるときにでも洗い出しておくといいかもしれませんね。