避難所ではよほど天気が悪くならない限りは窓や扉は開けられていることが多いです。特にここ最近の新型コロナウイルス感染症対策を考えると、換気用の開口部が設けられていることはほぼ絶対条件です。
その開口部に網戸がきちんと準備されていればいいのですが、体育館や学校の講堂などには虫除けの網戸が設けられていないケースが結構あります。
そこで登場するのが虫除けなのですが、蚊取り線香や忌避剤は定番ですが喘息持ちやアレルギー持ちにとってはつけることが命に関わるケースもありますので、あちこちで焚くというわけにはいきません。
虫除けスプレーや虫除けリングなど、各個人で虫除けをするしかないという事態になります。
非常用持ち出し袋には、虫の忌避剤を入れておくのを忘れない方がよさそうです。
そして、もし咬まれたり刺されたりしたときに備えて、虫刺され用かゆみ止めも救急箱に入れておくようにしましょう。
体質的に合う合わないや好みの問題もありますので、自分にあったかゆみ止めを持参して下さい。
最近は夏場だけで無く、通年で蚊やダニがあちこちにいますから、標準装備として非常用持ち出し袋に入れておくようにしておくと安心です。
大規模な避難所では、案外と個人を守るべき装備はおろそかになっているものですから、できるだけ自分にあった虫除けやかゆみ止めを準備しておいてくださいね。
カテゴリー: BCP
持っていると便利な懐中電灯
災害時に困ることの一つに停電があります。
夜に地震などが起きたとき、家や普段生活している場所であればある程度見えなくても動きは取れますが、出掛けた先や移動中などの場合には、見えないことは恐怖につながります。
ちょっと前であれば、それでもライターやマッチなどを持っている人もたくさんいましたのでそれなりの灯りがあったと思いますが、禁煙や電子たばこが普及している現在では、火をつける道具を持っている人は殆ど居ないのと思います。
真っ暗で何も見えない状態のとき、普段使っているカバンに懐中電灯が一つあると、どれくらい心強いでしょうか。
防災用の大出力の懐中電灯でなくても、百円均一ショップで手に入るようなキーホルダータイプの小さな懐中電灯で十分です。
真っ暗な中での小さな灯りは、どれくらい安心感を与えてくれるかわかりません。また、灯りがあることで周囲のパニックをさけることもできるかもしれません。
ちょっとしたお守り代わりに、カバンの中に一本の懐中電灯。滅多に使わないかもしれませんが、あると便利なアイテムです。
【活動報告】防災マップづくりを開催しました
去る9月25日、益田市高津上市地区で小学生向け防災マップづくりを開催しました。当日は開催できる場所の確保ができず、青空教室になってしまいましたが、晴天のもと、総勢8名の子が集まってくれてタブレットを使った「地震」に対する防災マップづくりをしてくれました。
対象地区は割と狭かったのですが、2班にわかれた子ども達はさまざまな「危険なところ」「安全なところ」「役に立つところ」を探してくれ、予定していた1時間半では時間が足りないというくらいに一生懸命やってくれました。
コロナ禍の関係で完成させるところまではできず、後日これを取りまとめる作業をしますが、出来上がった地図は「小学生のぼうさい探検隊マップコンクール」に応募して、評価を受けたいと考えています。
また、参加してくれた子ども達にも配布し、それぞれの災害対策に役立ててもらいたいと思います。
参加してくれた子ども達、支援してくれたスタッフの皆様、そして取材に来たのにお手伝いしてくださった益田市市民活動支援センターの方に心からお礼申し上げます。
常時と非常時の判断
台風や大雨など、ある程度早めから被害が想定される場合には、どのように対処するか悩ましいときがあります。
公共交通機関では基本的にBCPが準備されていて、その計画に従って計画運休することも増えてきました。
ただ、結果として何も起きなかった場合には、公共交通機関は計画運休したことを責められます。
困ったことに、何も無かったという事実は存在していますから、運休で困った人達だけでは無く、専門家という人達もマスメディアも喜んでバッシングをするわけです。
災害が起きたかもしれないという予測は、そういったときには完全に無視されます。
ただ、公共交通機関の場合、もし災害に伴って事故が起きるとその被害はけっして許容できるレベルではありません。
どのタイミングで常時と非常時のスイッチを切り替えるのかは、本当に判断に迷うと思います。
実はこの判断を迷わせずに実行するためにBCPが存在しているのですが、あまりバッシングすると、今度は現場の判断でBCPに従わないという選択肢が登場してしまうことになります。
そうすると、非常時に備えた計画そのものが破綻してしまいます。
公共交通機関は常に安全確実に利用者を目的地に連れて行くのが仕事です。
その目的を考えれば、災害時により安全な対応を判断することはおかしいことではないと思います。
計画運休は、数日前から予告されるものですから、それに従ったそれぞれの対応を取ることが正しい姿なのではないでしょうか。
日常生活を非常時にシフトすることは難しいものです。
特に通勤通学している人達にとっては、その所属する組織が「非常時とは」という定義をきちんと示しておく必要があります。
以前、大阪北部地震では、鉄道が止まったにもかかわらず会社や学校が通常どおり活動しようとして、あちこちで問題が発生しました。
判断に迷うときに日常を継続するのか、それとも非常時にシフトするのか。この判断、公共交通機関だけではなく、それぞれの組織や個々人もできるように準備しておきたいですね。
あっても、やっぱり判断には迷うのでしょうが。
二つの水の問題
災害時に断水すると、飲料水と生活用水については確保をいろいろと考えるような話がでます。
では、使い終わって生じた汚水はどうでしょうか。
トイレが使えない状態であれば、通常排水管も使うことができません。できるだけ汚水を出さない努力は必要ですが、生活する以上は完全に0にすることはできませんので、処理の方法を考えておく必要があります。
これはトイレの問題も同じ事で、便座に大きなビニール袋を敷いて用を足すだけでは、発生した汚物が衛生環境を脅かすことになりかねません。
仮設トイレが便座に大きなビニール袋を敷いた後、その中に吸水材と脱臭剤を投入するのは水分を吸着することでひっくり返ったときに中身が散らからないようにするのと同時に、腐敗を可能な限り遅らせるという意味もあるのです。
家のトイレでやる場合も、ビニール袋の中に新聞紙、あるいは吸収ポリマーや猫の砂など、水分を吸収させるものを入れることである程度までは衛生的な生活を送ることができるのです。
生活排水にしても同じ事で、ポリタンクなどに貯めることができない場合には、吸水させて腐敗を防ぐ対策をしておかないといけません。
便利なのはにおい消しと吸水材がセットになっている猫の砂なのですが、災害対策のためにだけ準備すると普段は結構邪魔になりますので、ご家庭に応じて吸水できる方法を考えておくといいでしょう。
水の問題を考えるとき、清潔な水のことは頭に浮かびますが、同じくらい使用後の水についても気を遣う必要があると言うことを、頭の片隅に置いておいて欲しいと思います。
台風への備え
台風は、雨と風で毎年大きな災害をもたらしますが、事前に気象情報が提供されているのでしっかりとした対策が可能です。
インターネットやテレビ、ラジオなどで配信される気象情報に十分注意し、台風の危険がありそうだと思ったら、影響が出始める前に備えを確認し、きちんと対策をしておきましょう。
1.家の周り
・風で飛ばされそうなもの(植木鉢、バケツ、物干し竿、網戸など)は、屋内に取り込む。取り込めない場合にはなるべく低い位置に置いて固定しておく。
・側溝や雨樋、排水溝を確認し、詰まっていれば掃除をして水はけを良くしておく。
・窓や雨戸は飛散防止フィルムを貼る。無理なら布テープや段ボールなどで覆い、風で飛んできたものが当たっても壊れないようにしておく。
また、しっかりとカギをかけて動かないようにしておく。
2.家の中
・カーテンやブラインドなどはおろしておいて万が一ガラスが破損しても屋内に破片が飛び込まないようにしておく。
・蓄電池や乾電池、カセットボンベなどの消耗品の残量がしっかりあるかを確認し、足りなければ補充しておく。
・懐中電灯、携帯ラジオ、蓄電池&乾電池、着替え、非常用飲食物、カセットコンロ&カセットボンベ、鍋、貴重品などをコンパクトにまとめておく。
・断水に備えてやかんやペットボトルに飲料水を確保し、浴槽に水を張るなどして生活用水も確保しておく。
3.避難の判断
・家と避難先のどちらがより安全かを考え、より安全な方へ事前に待避しておく。
・避難が必要になる場合に備えて、避難場所として指定されている所への避難経路は確認しておく。そのとき、避難先が台風による雨や風に対応していることを確認しておくこと。
・どうなったら避難するのかを事前に決めておく。
・避難するときは、持ち物をリュックサックなどに詰め、両手が使えるようにしておく。
・避難先で時間を消化できる本やカードゲームなども準備しておく。
自宅待機する場合でも、万が一に備えて非常持ち出し品は用意しておいたほうが安心です。普段のあなたの生活で何気なく使っているさまざまな日用品のうち、毎日使うものについては非常用持ち出し袋にも入れておくようにしましょう。
また、災害が夜を越えそうな場合には、寝袋や布団なども準備しておいた方が安心です。それから、缶詰やレトルト食品といったものを持参するときには、お箸やスプーン、フォークといったカトラリー類やコップも忘れないように持って行きたいですね。
【開催報告】防災研修会を開催しました。
去る9月18日、益田市民学習センターにおいて防災研修会を開催しました。
内容は「災害ってなんだろう?」ということで、災害の種類と基本的な逃げ方についてお話をさせていただきました。
今回の参加者は当研究所の会員様ばかりで、講師をする側にとっては授業参観のようで非常に緊張しましたが、講義後に出席者の皆様からさまざまなご指摘をいただき、今後よりよいものを提供できるのでは無いかと自信をつけることができました。
今回は土曜日の夜と言うことで、忙しく、そしてお疲れの中、参加していただきました皆様にお礼申し上げます。
また、今後も不定期になると思いますが、小さな防災研修会を開催していきたいと思っていますので、興味があってご都合のつく方は是非一度参加してみて下さい。
お待ちしております。
お店にハザードマップを貼っておこう
あなたのお宅では、ハザードマップは壁に貼ってありますか。
家だけでなく、避難経路についても赤線などでわかるように書いて、避難先まで問題ないかを確認するようにしてください。
ところで、不特定多数の人が集まる食堂やレストランなどの飲食店では、災害が起きたときにどこへ避難すべきか知らない人が多くやってきて利用します。
いざというときに安全な避難先がわからないとパニックになってしまいますし、少ない従業員の方で完全な誘導をすることも難しいですから、お店の位置と近くの避難所がわかるハザードマップを貼っておくといいと思います。
貼る場所は、トイレの中。
小便器を使っているときに目線がある場所や、個室の場合には扉の内側。用を足しているときは案外としっかり見てくれますから、そこへ掲示しておくとかなり効果的です。飲食店に限らず、不特定多数の人が利用する施設では掲示するようにしておくと、ある程度の混乱を避けることができると思います。
ハザードマップは大事にしまっておくものではありません。活用してこそ作った意味があります。
掲示したからといってお客様に何かが訴求できるわけではありませんが、いざというときに少しでもお客様の生存確率を上げることができる簡単な取組です。
広告に混じっていても構いませんので、お店のどこかにお店の位置と避難場所を記載したハザードマップを貼り出してみませんか。
土のうと水のう
水の浸水害を防ぐ方法の一つとして、土のうまたは水のうを積むというのがあります。玄関などの簡易な浸水防止手段として使えたり、堤を作ることで害の少ない方向へ水の流れを誘導することに使ったりします。
ただ、どちらも事前に準備していないと使えないものですから、あらかじめその場所で浸水害が発生するのかどうなのかということを知っておく必要があります。
周囲に比べて低地であったり、雨の際には水たまりや水の流れができやすい場所であれば、土のうや水のうは準備しておいた方がいいと思います。
最近では吸水素材を使った土のうなどもありますから、ご自身の都合や保管場所にあわせて選択しておけばいいと思いますが、それぞれの利点と欠点を考えてみましたので参考にしてみてください。
1.土のう
排水性のある袋に土砂を入れて積み重ねることで水を防ぎます。
主に河川の決壊対策や土砂崩れを防ぐためなど、大規模な対策に使われますが、それ以外にもさまざまな場面で使われています。
簡単に作れて設置も楽ですが、中に詰める土砂をあらかじめ準備しておかないといけないことと、詰め方や積み方にコツがあって人手が必要というところが問題点です。
2.水のう
ポリ袋を二重にして中に水を詰め、それを置くことで家の玄関や排水溝などからの浸水を防ぎます。
土のうに比べるとサイズが小さくなるため、家庭や事業所など小規模な浸水対策に使います。
ポリ袋のため比較的形状が変わりやすく、複数の水のうを積み重ねて抑えることで、土のうに比べると浸水量を少なくすることが期待できます。
また、水を詰めて置くだけなので、土のうに比べると技術が必要とされないところもメリットです。
水は重いので大きな袋で作ると破れてしまうため、水のう用のポリ袋が大量にいることと、土のうに比べて作るのに時間がかかることが問題点です。
3.吸水土のう
吸水ポリマーを使うことで、普段は保存場所を取らず必要な時に水を含ませることでしっかりとした土のうを作る災害対策用の土のうです。
土のうに近い性格を持っていますが、吸水させるだけで形ができて誰でも取り扱えるという点で土のうよりも優れています。
よく誤解されていますが、浸水時に浸水箇所にこの吸水土のうを配置しても吸水している間に流れてしまいますので、浸水箇所のところで吸水が終わるまでしっかり押さえておくか、あらかじめ吸水したものを使う必要があります。
土のうや水のうに比べて割高なこと、そして使い終わった後の吸水土のうの処分が問題点です。
他にもゴムチューブを使った簡易堰(「ゴム引布製起伏堰」と呼ばれるそうです。)などもありますが、個人では殆ど使うことがないと思いますのでここでは触れません。興味がある方は「ラバーダム」や「タイガーダム」などで検索してみてください。
最後に、土のうにしても水のうにしても非常に重たいので、運ぶときには腕や腰を怪我しないようにしてください。
また、浸水が始まってから設置しようとしても遅いですから、浸水する可能性があると考えたら、天気が落ち着いているうちに設営しておくことをお勧めします。
災害になって慌てても遅い
台風や大雨による越水、氾濫などによって自宅などが浸水したときになってから、慌てて市町村や消防、警察などの行政機関に救援を求める人が相変わらず多いです。
特に「水に浸かるはずがない」とか「うちは絶対大丈夫」といった根拠に基づかない楽観論で構えていた人ほど慌てるようです。
そういった災害時には、行政機関は被災地域での被害をできる限り小さくすべく頑張っているわけですが、その中で避難遅れによる「助けてくれ」の連絡はあらゆる仕事の邪魔になります。
自分の住んでいる場所は自分で選択しているわけですから、本来はその場で発生することが予測される危険性は知っておかないといけないですし、いざというときの対応もきちんと考えておかないといけません。
助けてもらおうと電話する人は、被災者が自分だけと思っているのですが、そういった人達が大量に発生することが殆どですので、救助の手は非常に遅くなると考えてください。
身の安全は自分で確保しておく必要があるのです。
そのためのハザードマップであり、避難訓練や防災研修会だったりするのです。
災害時に慌てて避難先を行政機関に電話して聞くような愚かなことはしないでください。
もしも避難が必要な場所に住んでいるのであれば自分の避難先や避難方法、避難開始判断の鍵はきちんとわかるようにしておいて、災害が発生してから慌てることがないようにしておきたいですね。