一口に避難所や避難場所といっても、災害の種類によってはその場所が危険な地帯にあることもよくあります。
そのため、事前に地域防災計画やハザードマップを確認して目的の避難先がその災害に対応しているかどうかを確認しておかなければならないのですが、実際のところそこまでしていない人が多いです。
かつては避難所の入り口にはそこが避難所であることを示すことがわかるものがあればいいといった感じでしたが、現在では避難所・避難場所名とそこがどのような災害に対応しているのかを示す表示が統一規格として日本工業規格(JIS規格)に掲載されました。
全国統一の表示なので旅先で被災したり、日本語がわからなくても絵を見れば避難できるかどうかが分かるようになっているのですが、この規格に従っていない自治体もあるようです。
ともあれ、お住まいの地域の避難所・避難場所と避難可能な災害についてはあなた自身がきちんと把握しておかないと、いざというときに慌てることになります。
避難してみたら、避難所が内水氾濫で水没していたというようなことでは困りますので、地域で起きそうな災害と、その災害で避難が可能な避難所についてはきちんと把握するようにしてくださいね。
そして、できれば複数の避難所・避難場所の確認と、そこに至るまでの避難経路についても決めておいた方がいいと思います。
決めたとおりになるとは限りませんが、いざというときにあまり頭を使わなくてもすむようにしておくと、避難の時には安心できますよ。
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家具の転倒防止対策はしてますか
おうちの中の災害対策としてよく言われるものに家具の転倒防止対策があります。
割と簡単で効果が高く、費用対効果もよいのでお勧めしているのですが、なぜかなかなか普及しないのが現実です。
借家やアパートの場合、返すときに現況復旧条件がついている場合に、家具の固定をビスなどの穴が空くものでしていると、穴の痕を補修しなければいけないケースも多いようで、なかなか実際にするのは難しいとも聞きます。
ただ、固定しなくても家具の転倒防止は可能です。
もちろん壁や天井にビスなどでしっかりと固定してあるのが一番安全ではあるのですが、突っ張り棒を使えばある程度の安全を確保することも可能です。
突っ張り棒で止めるときのコツは、突っ張り棒の天井などに面している部分を板などで補強してやることです。
そうすることによって、突っ張り棒の棒の部分だけで無く、板全体で家具を支えることになるので、天井板が弱くても転倒を防ぐことが可能です。
場所によっては突っ張り棒ではなくチェーンやL字金具などを使う場合もあると思いますが、しっかりと止めてあると地震のときだけでなく、水害で浸かったときにも家具が浮いて建物を壊すのを防ぐことができます。
他にも、家具と天井の間に荷物を入れて家具が揺れないようにする方法もあります。
一番良いのは普段居る場所に家具を置かないことなのですが、日本ではなかなか難しい条件ですので、寝室には背の高い家具は置かない、倒れる方向を考えて配置するなど、あなたが怪我しないような方法を考えてみて下さい。
突っ張り棒やそれに使う板などは普通にホームセンターで売っていますので、少しずつでも固定を進めて、もし地震が来たときに家具の下敷きにならないようにしておいてくださいね。
常時と非常時の判断
台風や大雨など、ある程度早めから被害が想定される場合には、どのように対処するか悩ましいときがあります。
公共交通機関では基本的にBCPが準備されていて、その計画に従って計画運休することも増えてきました。
ただ、結果として何も起きなかった場合には、公共交通機関は計画運休したことを責められます。
困ったことに、何も無かったという事実は存在していますから、運休で困った人達だけでは無く、専門家という人達もマスメディアも喜んでバッシングをするわけです。
災害が起きたかもしれないという予測は、そういったときには完全に無視されます。
ただ、公共交通機関の場合、もし災害に伴って事故が起きるとその被害はけっして許容できるレベルではありません。
どのタイミングで常時と非常時のスイッチを切り替えるのかは、本当に判断に迷うと思います。
実はこの判断を迷わせずに実行するためにBCPが存在しているのですが、あまりバッシングすると、今度は現場の判断でBCPに従わないという選択肢が登場してしまうことになります。
そうすると、非常時に備えた計画そのものが破綻してしまいます。
公共交通機関は常に安全確実に利用者を目的地に連れて行くのが仕事です。
その目的を考えれば、災害時により安全な対応を判断することはおかしいことではないと思います。
計画運休は、数日前から予告されるものですから、それに従ったそれぞれの対応を取ることが正しい姿なのではないでしょうか。
日常生活を非常時にシフトすることは難しいものです。
特に通勤通学している人達にとっては、その所属する組織が「非常時とは」という定義をきちんと示しておく必要があります。
以前、大阪北部地震では、鉄道が止まったにもかかわらず会社や学校が通常どおり活動しようとして、あちこちで問題が発生しました。
判断に迷うときに日常を継続するのか、それとも非常時にシフトするのか。この判断、公共交通機関だけではなく、それぞれの組織や個々人もできるように準備しておきたいですね。
あっても、やっぱり判断には迷うのでしょうが。
お店にハザードマップを貼っておこう
あなたのお宅では、ハザードマップは壁に貼ってありますか。
家だけでなく、避難経路についても赤線などでわかるように書いて、避難先まで問題ないかを確認するようにしてください。
ところで、不特定多数の人が集まる食堂やレストランなどの飲食店では、災害が起きたときにどこへ避難すべきか知らない人が多くやってきて利用します。
いざというときに安全な避難先がわからないとパニックになってしまいますし、少ない従業員の方で完全な誘導をすることも難しいですから、お店の位置と近くの避難所がわかるハザードマップを貼っておくといいと思います。
貼る場所は、トイレの中。
小便器を使っているときに目線がある場所や、個室の場合には扉の内側。用を足しているときは案外としっかり見てくれますから、そこへ掲示しておくとかなり効果的です。飲食店に限らず、不特定多数の人が利用する施設では掲示するようにしておくと、ある程度の混乱を避けることができると思います。
ハザードマップは大事にしまっておくものではありません。活用してこそ作った意味があります。
掲示したからといってお客様に何かが訴求できるわけではありませんが、いざというときに少しでもお客様の生存確率を上げることができる簡単な取組です。
広告に混じっていても構いませんので、お店のどこかにお店の位置と避難場所を記載したハザードマップを貼り出してみませんか。
【終了しました】防災マップ作成会を開催します
毎年当研究所が行っている小学生向けの防災マップ作成会を開催します。
期日は9月25日10時~12時。場所は高津地区です。
今回は損保協会様のぼうさい探検隊マップコンクールからタブレット端末をお借りしてデジタルマップによる防災マップ作成をやりたいと考えています。
集合場所や具体的な防災マップ作成エリアなど、詳しい内容につきましては、当研究所メールからお問い合わせ下さい。
また、見学についても若干名ですが受け入れ可能です。
興味のある方のご参加もお待ちしております。
なお、今回作成したマップは損保協会様主催のぼうさい探検隊マップコンクールに応募することになりますので、ご了承いただければと思います。
それから、防災マップを作ってみたいとお考えの方がいらっしゃいましたら、そのお手伝いもできると思いますので、ご連絡いただければ幸いです。
避難所に入る順番
災害では避難者が二種類にわかれます。
一つは元気で避難後の生活の復旧も早い人。もう一つは年齢や障がいなど何らかの理由で生活再建に支援の居る人、いわゆる生活弱者といわれる方です。
自主防災組織や自治会が機能している地域だと、水害や台風と言った予測される災害時には事前に生活弱者の方を避難所あるいは福祉避難所に搬送して事前に安全を確保する光景が見られます。
地域のつながりがしっかりとしているところも、比較的早めに生活弱者の方の避難は早いような気がしています。
おおざっぱになりますが、事前に予測できる災害の場合だと、生活弱者→健常者の流れで避難所に人が増えていく構図です。
ですが、これが地震になると光景が逆転します。
発災後、まず最初に避難してくるのは健常者の方。そしてこういった人達が避難所を埋めたころ、生活弱者の人達が避難してくるといった光景になります。
それがいけないというわけではないのですが、避難所に避難できる、または入れる順番を決めて地域で共有しておかないと、元気で声のでかいおっさんが避難所の一番いい場所で多くの面積を確保し、支援のいる人は避難所に入れないという光景が発生してしまうことになります。
こういった光景は、田舎よりも都会で見られることが多いような気がします。
顔見知りであればそれなりに遠慮や譲り合いもありますが、見知らぬ人であれば何の関係もありませんので、お互い様という意識も沸いてこないかもしれません。
災害時にその場に居た人は誰もが被災者です。その被災者の中でも、生活への支援がないと生きていけない人もいて、そういう人達が避難所に優先して入れるような環境が作れるといいのですが。
耐震補強、しないとどうなる?
地震が頻発する日本では、大きな地震が起きるたびに耐震化の必要性が言われています。なぜなら、他の災害と違って、地震は起きたときには勝負がついているからです。
揺れ始めてから慌てても耐震化工事は絶対に間に合いません。
そのため、事前に揺れても家がつぶれないように耐震化工事をきちんとしてくださいということが言われているのです。
新築される建造物については、よほどの手抜き業者でない限りは耐震補強がされた状態で建設されているはずですが、古い建物だとどのように作られているのかがわからないので耐震補強が必要だと考えた方がいいでしょう。
では、耐震強化をしなければどうなるのか。
それについて、防災科学技術研究所が同じ建物で耐震補強された場合とそうでない場合の比較を実物を使って実験していますのでご確認下さい。
この実験から言えるのは、一階よりも二階の方がいくらかは安全と言うことでしょうか。
耐震補強する気が無い、またはしたいけれどすぐには無理という場合には、寝るところだけでも二階にしておくと、それなりに命が守れそうです。
とはいえ、古い建物はメンテナンスをしないと劣化が進みます。その作業のついでに、耐震強化も考えてみるといいのではないでしょうか。
消火器を備えていますか
火災の時にとても大切だと言われているのが初期消火です。
どんな火でも最初は小さいですから、他に燃え移る前に消せれば火事になることを防ぐことができます。
消火方法はいろいろと言われていますが、誰にでもできて確実に消そうとすると消火器が一番確実です。
後片付けの問題はありますが、火事でさまざまなものを失うことを考えれば許容範囲だと思いますが、あなたの家には消火器が備えてありますか。
また、備えている消火器の使用期限は大丈夫ですか。
使用期限を過ぎたり、外観が痛んでいるものは速やかに交換をしてください。
最近では消火器を取り扱っているホームセンターなどでも回収してくれるみたいですから、更新するときに相談してみてもいいと思います。
そして、使い方も覚えておきましょう。
慣れると簡単なのですが、間違って消火剤を撒かないように、消火器はその手順を守らないと消火剤を発射できないようになっています。
備えて使えるようにしておくことで、おうちの安全を高めることができますから、一家に一本、備えてみてはいかがでしょうか。
地震の時には頭上に注意
地震の時に怖いのは、とにかく落下物です。
頭は非常に重たい上に支えている首は細いので、何か重たいものが頭に当たるとそれだけで首が折れてしまいます。
また、頭に怪我をするとその後の避難判断や行動にも支障が出てきますので、とにかく頭を守る行為をしておくことが大切です。
手持ちにカバンなどがあれば頭の上にかざして頭を守るようにし、ない場合には、手で守るようにします。
揺れ始めたら頭上を最初に確認し、ものが落ちてきそうにないことを確認してからダンゴムシのポーズなどの防御姿勢を取るようにして下さい。
ちなみに、ビルなどでは天井が吊られているつり天井になっていることがありますが、この場合天井が落下してくることが予測されますので、充分に注意して下さい。
必ずとはいえませんが、天井に点検口が作られていたり、照明が天井に埋め込まれている場合にはつり天井であることが多いので、一つの目安にしてみてください。
劇場や映画館など、天井が高い建物では落下する速度もつきますのでより危険になります。その場合には、座席の間に身を隠すなどして、落下してくる天井の直撃を避けるようにしてください。
【終了しました】防災研修会を開催します。
最近あちこちで災害が起きていますが、あなたがお住まいの地域の避難所はどのように準備し、どのように立ち上げたらいいか決まっていますか?
避難所運営のイロハについてはさまざまなところで研修がされていますが、では、避難所設営の方法やどのような事前準備をしたらいいのかについて考えてみたことがあるでしょうか?
今回はわかりきっているようで、改めて確認してみると割と漏れのある避難所の設営について「避難所設営、基本の「き」」というタイトルで、座学で一緒に勉強してみたいと思います。
よく「段取り7割」といいますが、避難所の設置者が事前準備をきちんとしておくだけでいざというときに慌てなくて済みます。
また、自分が避難所に避難したときに、設営方法を知っておくと段取りよく混乱なく開設をすることもできます。
内容の詳細や申し込みにつきましては、当研究所のお問い合わせメールによりお願いいたします。
開催日時:2021年 8月28日(土)10:00~11:45
開催場所:益田市市民センター第103会議室(益田市元町)
募集人員:10名
募集方法:事前申し込み。定員になり次第締め切りとします。
参加費:500円(会場使用料、資料代)
携行品:施設運用をされる予定の方は避難所・避難場所予定施設の各部屋の寸法のわかる見取り図をご持参ください。
開催内容:1.避難所・避難場所の違い
2.避難所を作るための下準備(個人編・施設編)
3.実際に運用してみよう(HUG体験)
講 師:石西防災研究所・伊藤(防災士)