AEDは機械の指示をしっかりと聞く

 AEDは現在ではかなりメジャーな救命器具となりましたが、あなたは使ったことがありますか。
 AEDは自動体外式除細動器といい、心臓を動かす電気信号がおかしくなっているのを正常に戻すための道具で、現在の救急救命法の講習会では、ほとんどの場合、心臓マッサージと併せてこのAEDの取り扱いを実施しています。
 複数回、違う主催者の訓練で使われた方はお気づきかもしれませんが、AEDはさまざまなメーカーから発売されていて、それぞれに特長があります。
 そして、AEDの作られた時代によっても扱い方が異なりますので、AEDを使ったことがあるからと教わった手順でAEDを被害者に取り付けても、そのAEDと手順が違うことも起こりうるのです。
 ただ、AEDは機械が起動すると、すべて作業手順を機械が教えてくれるようになっていますから、その手順通りに作業すればAEDは正常に仕事をしてくれますから、どんなに慌てていてもAEDの手順をしっかり聞いてそのとおりに作業を行うことがもっとも重要なことになります。
 慌てずに、AEDの指示をしっかりと聞いてそのとおりに手順を行っていくこと。そうすることで、AEDは最大限の効果を発揮します。
 まずは電源を入れる。あとはAEDの指示通りに作業する。
 この手順を忘れないようにしてください。
 ちなみに、最近のAEDはAEDが収まっている入れ物の蓋を開けると自動で電源が入り、電極パッドの設定が終わると自動で電気ショックを与えてくれるものも出てきています。
 逆に電源ボタンを人が押さない限り起動しないAEDもまだまだ残っていますので、電源が入るかどうかだけは機械を気を付けてみてほしいと思います。

体温調整には血管を使う

 体温の調整システムがうまく機能しなくなると、体にさまざまな障害が発生します。代表的なものだと、熱中症は体の排熱調整がうまくいかなくなって熱がたまってしまい発生するものですし、低体温症は体の熱生成機能がうまく働かなくなって熱を作れなくなってしまい発生するものです。
 どちらもそのまま放っておくと死に至ってしまうかもしれない危険な状態なので対処をしなければいけないのですが、すぐに病院に搬送ができないときには、血管を使って体温の調整をしてみてください。
 体の中のおおきな血管を冷やしたり温めたりすることで、体の体温がある程度調整できますので、緊急時に打つ手の一つとして知っておいて損はありません。
 大きな血管は首やわきの下、鼠径部といった場所で体表に近いところに露出しています。そこに向けて熱中症であれば冷たいものを、低体温症であれば暖かいものを置いてやることで、外部から効率的に体温の調整ができます。
 もちろん体内の温度は簡単に変動しませんので、冷たいものや暖かいものを飲む必要はありますが、外部からと内部からの両方で体温調整をしてやることで、本来持っている体の恒常性を取り戻すことができるのです。
 余談ですが、低体温時には体で熱を作ることが難しくなっていますので、例えばエマージェンシーシートや毛布などで体を覆っても体温は上がりません。
 もしも体が濡れていればすぐに乾いたものに着替えさせること、そして外部から暖かな熱を与えることが必要になりますので、対処するときには気を付けてください。

アイススラリーってなんだろう

熱中症のニュースを連日聞くようになって結構立ちますが、あなたは熱中症対策にどのようなことをしていますか。
いろいろとあると思いますが、最近の考え方では、体表温度と身体の奥の深部温度の両方を下げないと危険な状態になることがあるということのようです。
体表面は水浴びをすれば取りあえずは下がりますが、身体の奥の深部温度はなかなか下げるのが難しいようです。
アイスクリームや氷菓子などを食べて体温を中から下げるのはいい手なのですが、氷が溶けながら体内に入っていくので、身体の奥ではすっかり常温になって、思ったほどの冷却効果は期待できません。
また、冷たい飲み物も同様で、飲み過ぎると胃の温度が下がって深部温度が下がる前にお腹が下ってしまうようなことも起こります。
そこで登場してきたのがこのアイススラリーなるものだそうで、直訳すると「泥状の氷」といった意味になりますが、細かく破砕した氷と冷やしたドリンクを混ぜ合わせることで氷が深部まで届き、効果的に冷やすことができるそうです。
このアイススラリー、メーカーとしては大塚製薬が「ポカリスエットアイススラリー」というものを、主に通販で取り扱っているようですが、手間を惜しまなければ自分でも作ることができます。
おおざっぱに書くと、凍らせたスポーツドリンクをかき氷器などで細かく粉砕し、冷やしたスポーツドリンクを注ぐというもの。氷が2~3に対して液体が1の割合だと飲みやすいと思います。
飲んでみるとわかりますが、お腹の中が涼しくなる感覚がはっきりとわかります。
飲み過ぎるとお腹が急降下しますので、経口補水液と同じように、ちょっとずつ飲むのが正解のようですが、その辺りに放置するとあっという間に常温になってしまいますので、持ち歩く場合にはしっかりとした魔法瓶に詰めてください。
夏、身体の表面温度を下げる工夫はいろいろすると思いますが、体内温度を下げる工夫も、考えてみると楽しいと思います。
ただ、繰り返しになりますが、お腹が冷え過ぎると下痢で苦しむことになりますので、冷やしすぎにはご用心ください。

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屋内での熱中症に気をつけて

お手製の経口補水液を作っておくのもよい。その時は砂糖の量を調整すること。

 暑くなってきましたが、あなたの体調に変わりはありませんか。
 屋外での作業時には、小まめな休憩や補水を意識するものですが、熱中症は屋内でも起こりますし、案外と屋内で熱中症で倒れている人は多いようです。
 政府からは節電要請が出ていますが、節電した結果、熱中症で倒れてしまっては何にもなりませんので、しっかりとエアコンの冷房を効かせておくようにしてください。
 どうしても節電に協力したいという方は、午前中の涼しい時間に図書館などにでかけて夕方まで過ごすようにすれば、節電と熱中症の両方の対応ができます。
 また、コンクリート住宅では、日中熱せられた外壁がなかなか冷えずに、屋外が涼しくなったからといってエアコンを切ってしまうと、あっという間に室温が上がってしまいますので、気をつけて下さい。
 室温は28度を超えたとき、湿度は70%を越えたときがエアコンを起動させる一つの目安になります。
 そして、エアコンを使うのと同時に、水分補給を忘れないようにしてください。
 のどが渇いたときに飲むのではなく、2時間間隔くらいで時間を決めて、しっかりと取るようにしてください。また、飲むときにはコーヒーや紅茶、緑茶などの利尿作用のあるものやジュースなどの糖分の高いものは避け、水や麦茶といったものにしてください。
 家の中にいると、他人の目が届かない分倒れるとかなり危険です。屋内にいるときにも、熱中症対策をしっかりと取るようにしてください。

魔法瓶は必ず持っていこう

 小さい子ども、特に乳児のいるご家庭では、非常用持ち出し袋には必ず魔法瓶を入れておき、災害が起きて避難するときには、できればその魔法瓶にお湯を詰めて避難して下さい。
 ご存じとは思いますが、ミルクやお尻拭きの温め、湯たんぽに使うお湯など、お湯があるだけで乳児の快適さはかなり違ってきます。
 普段母乳が出る人でも、避難による緊張や不安で充分に母乳が出ない場合もありますので、乳児のいるご家庭では母乳の子でも飲めるミルクを調べておいた方がいいです。
 仮に発熱剤やガスコンロを持っていたとしても、お湯の準備は必要です。
 避難する状況はさまざまですが、常にお湯が手に入る環境にいるとは限りません。
 火気厳禁の避難所もありますし、発熱剤が使わせてもらえない場合もあります。
 お湯は手に入るときにしっかりと手に入れておくことが、乳児がいるときの避難の鉄則になります。
 また、お湯があるといろいろと使えて安心ですので、可能であるなら魔法瓶にお湯を入れることを忘れずに準備するようにしてください。

ちょっとだけやってみる

やったことがなければ、アウトドア団体などが主催する日帰りキャンプなどに参加してみるのもいい。

 防災関係では、さまざまな経験値が命に直結しますが、体験をしようと思うと、なかなかに難しいものです。
 慌てていっぺんにあれこれやろうとしてもうまくいかないことが多いですし、わからないことや失敗ばかりが続くと、やっていて嫌になるものです。
 災害対策は慌ててやってもいっぺんにあれこれできるようになるわけではありません。あくまでも日常生活の延長線上でちょっとだけ不便な条件を設定し、実際に体験してみることが大切です。
 例えば、家族でお出かけするときにいつもは車で出かけるところを歩いてみるとか、お昼ごはんを外で作ってみるとか、ほんのちょっとだけ非日常を加えて、経験を重ねていけばいいのです。
 ちょっとしたことでも、成功体験は次に繋がります。難しいことは必要なく、できることをできるようにやってみればいいのです。
 この「ちょっとした」はやるだけ無駄という人もいます。きちんとした訓練でないと意味が無いという人もいます。
 ただ、普段ならしないことを体験することで、やったことがなくてもできるという成功体験があれば、何も無いと絶望しなくてもすみます。
 まずは体験してみること。自分の災害対策はそこから始まります。

【活動報告】高津小学校の防災クラブを開催しました

2022年5月15日に益田市立高津小学校で令和4年度第2回目の防災クラブを開催しました。
今回は「助けよう、助かろう」ということで、以前購入した心臓マッサージ練習機のあっぱくんライトとスクーマン2を投入して、心臓マッサージとAEDの使い方、そして傷の手当てと担架搬送をやってみることにしました。

 ただ、実習主体でやったため、今回は心臓マッサージとAEDの使い方で時間が終了してしまい、ケガの手当と担架搬送は秋にもう一度やることにしました。
心臓マッサージでは、実際に2分間、二人一組で交代しながら心臓マッサージを続けてもらい、「同じリズム、同じ強さで続けるのは取っても大変」ということを理解してもらいました。
 その後は、AEDの実機を見てもらい、それからAEDの訓練機で実際に心臓マッサージとAED、そして救急通報までを数人の子ども達にやってみてもらい、今回のクラブを終了しました。

 訓練では省略されがちですが、実際には救急車が来るまでは自力で心臓の拍動が再開されない限り、心臓マッサージを続けることになります。その大変さと、周囲の人の協力を得ることが重要であることがわかってもらえたら嬉しいです。
 現在はコロナ禍ですので人工呼吸はしないようですが、緊急時に命を繋ぐための心臓マッサージ、少しでも記憶に残っているといいなと思います。
 今回参加してくれた子ども達、そして毎回無理難題を聞いて下さる担当の先生、支援してくれた研究所の会員の皆様に、こころからお礼申し上げます。

災害発生後に起きること

 いろいろな災害がありますが、日常生活に影響の出るレベルの災害が発生するとまずライフラインと物流に問題が出てきます。
 電気、ガス、水道、下水道、そして食料や日用品などの物資の輸送。
 これらが無くなってしまうと命にかかわりますから、再開するまでは自前でなんとかしないといけないことになります。
 指定避難所であっても、消耗品、特に食料品や水がしっかりと備蓄しているところはまれですので、非常用持ち出し袋と備蓄品は命をつなぐためのマストアイテムということになります。
 地方だと3日~1週間、人口の多い都会地だと1週間から10日程度は凌げる装備があったほうがいいと思います。
 国や他の地方自治体から最初に送り込まれる支援物資はある程度量が決まっているので、人口の少ない場所であれば全員に行き渡っても、人の多い都会ではそういうわけにいきません。
 また、発災から支援開始までは最低2、3日はかかりますので、その間のあれこれは自前で何とかしなければいけないわけです。
 このために、非常用持ち出し袋や備蓄品をきちんと準備しておくようにいわれているのです。
 市町村で備蓄している食料品などはたいした量はありません。それを当てにするよりは、自分で自分の食い扶持をしっかりと用意しておく方が精神衛生上いいと思います。
災害後に考えないと行けないのは、まずは自分の命を繋ぐ方法です。
 元気に命を繋ぐために、まずは非常用持ち出し袋と備蓄品をわかるように揃えるところから始めて見て下さい。

【活動報告】救急救命法講習会を開催しました

座学と実技、3時間、密度の濃い研修会でした。

 2022年5月22日に益田市のジャストホールで、日本赤十字社島根県支部の方を講師にお招きして応急処置法を学ぶ救急救命法講習会を開催しました。
 当日は7名の方にご参加いただき、水難事故の防ぎ方や心臓マッサージ、AEDの取り扱い方法、安全な体位の作り方や毛布を使った搬送法など、さまざまなことを座学、実技を交えて教えてもらいました。

AEDの使い方の訓練。消毒はしっかりとしています。

 もしも応急処置の必要な現場に居合わせたとしたら、応急処置を的確にできるかどうかは普段からの意識と訓練にかかっています。
 一人でも多くの人にこういった場で経験を積んでいただき、一人でも多くの人が救えるようになるといいなと考えています。
 今後もこういった講習会を開催していきたいと思っていますので、興味のある方は是非ご参加下さい。
 今回お忙しいところ講師をしてくださった日本赤十字社島根県支部の方、そして参加者の皆様に厚くお礼申し上げます。

暑熱順化しておこう

 だんだんと暑くなってきましたが、暑いのが苦手だったり、暑いのが嫌な人は、割と早めにエアコンを使っているのではないでしょうか。
 普段であればそこまで問題にならないかもしれませんが、暑さに慣れておかないと、屋外へのお出かけ時や、もしも災害で停電してしまったときには暑さに耐えられずに熱中症になってしまうので注意が必要です。
 無理をする必要はありませんが、暑さに身体を慣らすことで身体の熱ストレスへの耐性があがり、熱中症になりにくくなります。
 これを暑熱順化といいますが、ちょうどだんだん暑くなってくる今の時期に暑さを身体に慣らしておくと、その後の夏がある程度過ごしやすくなると思います。
 暑さへの身体の慣らし方としては、軽い運動をすることです。
 暑熱順化は、身体の冷却機能を身体に思い出させる作業なので、身体を動かすことで汗をかいたり血流による体温調整がしやすくなったりし、結果的に熱中症を防ぐ効果が期待されます。
 本格的に暑くなってくるこれからに備えて、運動をして熱に強い身体を作る、暑熱順化をしておくようにしてくださいね。