熱中症対策で摂る飲み物あれこれ

 熱中症対策と言うことで、毎年夏はさまざまな飲み物が飲むべきとか飲まない方がいいとか言われ、同じ飲み物でも評価が分かれることがあります。
 もうそろそろ夏も終わると思いたいのですが、今回は熱中症対策で誰がどんな飲み物を飲むべきなのかと言うことについて考えてみたいと思います。

1.スポーツドリンク

 ポカリスエットやアクエリアスと言ったスポーツドリンクは、熱中症対策としてまずあげられる飲み物ですが飲むべきという人と飲むなと言う人がいる飲み物でもあります。
 浸透圧が調整されているため体に吸収されやすく、水分だけで無く他に体に必要な塩分や糖分といったものも入っているので熱中症対策としては一番手近で一番飲みやすい飲み物です。
 問題になっているのは、その糖分です。元々スポーツドリンクですので、運動している人に必要とされる糖分がしっかりと入っています。そのため、体を動かさない人が多量に飲むと、糖分の過剰摂取が起こってしまうのです。
 糖分の過剰摂取が起きると吐き気や腹痛、意識がもうろうとしたりするペットボトル症候群になるのですが、これを熱中症の症状と勘違いしてさらにスポーツドリンクをがぶ飲みし、救急搬送されてしまったケースもあるようですので、炎天下で大汗を流して仕事をする方や走り回っている人には向いていますが、屋内の冷房の効いたところで飲む場合には、あまり向いているとは言えません。

2.経口補水液

 割と最近登場したスポーツドリンクよりも糖分を押さえ、ナトリウム分などの電解質が強化された飲み物です。
 元々下痢や嘔吐、発熱と言った病気に伴う脱水症状に対して使われているため医師の指導の下で使用するようになっている製品もありますが、そうでないものもあってちょっとややこしいです。
 医療用のものがあるくらいなので、正しく使えば非常に効果的。ポイントはちょっとずつ定期的に飲むことです。
 最も、経口補水液を口にしたときにこれがおいしく感じる状態であれば、軽度の自覚の無い脱水症状を起こしていることが考えられますので多めに飲むことをお勧めします。
 スポーツドリンクとは逆に、炎天下で激しい活動をしている人には糖分が不足しているので向きませんが、屋内の冷房の効いたところでの水分補給には非常に向いた飲み物です。
 市販品も多いですが、「水・1リットル、砂糖・40g、塩・3gを合わせてかき混ぜる」と経口補水液を手作りすることもできます。

3.麦茶

 夏場の飲み物の代表格というとこの麦茶です。割と最近までは「麦湯」と呼ばれていて夏場の滋養によいと飲まれていました。麦茶の原料は大麦で、体温を下げる働きがあることが知られています。
 塩分以外のミネラル分が豊富ですが、塩分と糖分が不足しており、今はどうかわかりませんが、30年前の運動部などではこの麦茶に塩をひとつまみ加えたものが定番アイテムとなっており、糖分を補うためにはレモンや梅干しのハチミツ漬けがよく出てきていました。
 安価で飲み過ぎても体調を崩さずに済むという点では安心して飲むことができ、誰でも安心して利用することが可能です。

4.水

水分のみ補充することができます。安心して飲むことができますが、飲み過ぎると下痢したりします。塩分やミネラル分、糖分といったものを何らかの形で補う必要がありそうですが、塩分飴などが摂取できれば、水で充分という考え方もできます。

5.ビール、コーヒー、紅茶、日本茶

 これらの飲み物は脱水症状を助長します。ビールはアルコール、コーヒー等はカフェインに利水作用がありますので、いくら飲んでも脱水症状がひどくなるだけです。よく「最初の一杯をおいしくするために汗をかいて水分は摂らない」という飲んべえの猛者がいらっしゃいますが、下手するとビールにありつく前に倒れますし、ビールを飲んでも体の脱水症状を助長するだけですのでお勧めはしません。

6.清涼飲料水

 さまざまなものが発売されていますが、いずれも糖分過多です。飲み過ぎるとペットボトル症候群になる確率が高いですし、乾きが満たされることもありませんので、熱中症対策としてはお勧めできません。ただ、水気のものがとりにくいときに自分が好きな味のものを飲むことで脱水症状を遅らせることはできるかもしれません。

7.甘酒

塩分を始めとするミネラルや糖分を効率よく摂取することができ、飲む点滴という方もいます。ただし水分の補給にはなりませんので、別途何か水分の取れる飲み物が必要です。

以上、いろいろと書きましたがそれぞれの飲み物の得手不得手があると思います。
一種類に固執するのではなく、いろいろな飲み物を組み合わせて上手に脱水症状を回避するようにしたいものです。
そして、調べられる範囲では調べていますが、ここに書いたのはあくまでも私見ですので、書いてある内容は鵜呑みにせず、裏付けを確認した上で自己責任で摂取してくださるようにお願いいたします。

アルファ米の白飯を野菜ジュースで戻してみた

 アルファ米というのは便利なもので、水を含む液体であれば一応は戻せるようです。
 いろいろな防災関係のホームページでさまざまな飲み物を使ってアルファ米を戻す実験をしているのですが、その中で目を引いたのが、野菜ジュースやトマトジュースで白飯を戻すというもの。
 アルファ米は製造会社さんがさまざまな努力をされており、発売当初に比べると格段に味はよくなっているのですが、どうしても特有の香りや食感があります。
 ですが、野菜ジュースやトマトジュースで戻せるなら、ひょっとしたらおいしいケチャップライスのようなものができるのではないだろうか。
 というわけで、実験してみることにしました。
 実験は防災マップ作りの最中、昼ご飯の一つとして作成することにしました。ケチャップライスは割と子ども達に好まれる味だと思うので、評判を確認したいということもあったからです。
 今回使ったのはアルファ食品の白飯。それにデルモンテの野菜ジュース170gを使います。

野菜ジュースを慎重に注ぐ子ども達

 注ぐ水の量は160gということなので、内部に引かれている線まで野菜ジュースを注ぎます。

入れるとこんな感じ。水よりも粘度が強いのが気になるところ

 あとは、口を止めて1時間ほど待つだけ。
 しかし、ここで問題発生。お昼前の空腹時間ですからとても1時間も待てやしない。というわけで、白飯+野菜ジュースはそのまま放置されて炊き込みご飯の食べ比べ+じゃがりこのポテトサラダに缶詰のデザートのお昼ご飯となりました。
 食後、入れ物を少しもんでみると、なにやらザリザリとした手触り。

口を開けるとまだら状態
ひっくり返してみると、アルファ米のままの部分が底にあった

 中を覗いてみると、どうやら野菜ジュースを吸い込んでいるところとジュースが届いていないところがあったみたいです。
 口を閉めて上下をひっくり返し、手で揉んでしばらくすると、ザリザリ感がなくなっていい感じになってきました。ただ、中を覗くと、色がまだらです。

できあがりはケチャップライスそのもの

 野菜ジュースを使うときには、注ぐ量は指定量よりも多めに加えてアルファ米がジュースを吸い込みやすいように中をかき混ぜる必要があるかなと感じました。
 さて、できあがった野菜ジュースご飯ですが、子ども達の3時のおやつとして試食してもらいましたが、適度な酸味が効いていて、水で戻した白飯よりもおいしいという意見をいただき、結局完食となりました。トマトが苦手で無ければ非常においしいです。
 この方法でいいなと思うのは、目先の変わったご飯を食べることで食事に変化を持たせることができることと、被災後に圧倒的に不足するビタミン類をさほど苦労せずに摂取することができること。
 今回は赤い野菜ジュースで試してみましたが、今度は緑の野菜ジュースでやってみようかなと考えています。

非常食を使う羽目になった

 本日は当研究所の川遊びの日でした。
 いつもの川のいつも遊ぶ場所に到着し、一同で思い切り遊んだ後で昼食となりましたが、ここで驚くべき事実が発覚。
 なんと、本日の昼食の主食である食パンを忘れてきてしまったのです。
 クーラーボックスに入っていたのはパンに挟むためのハムや卵サラダ、ポテトサラダ、チーズで、これではとてもお腹がいっぱいにはなりません。
 とはいえ、周囲10km圏内には食料品店は無く、非常用持ち出し袋や非常用備蓄品も持ってきてはいませんので、お腹の足しになるものは殆ど無い状態です。
 急遽非常用にと車に積んでいた、先日買ったフリーズドライのあんこ餅&黒みつきなこ餅の出動となりました。

あんこ餅と黒みつきなこ餅。「IZAMESHI」ブランドの高級品ではある。

 どちらも一袋ずつなのでお餅の数は正味12個。
 今回の参加者は6人でしたので、一人2個は食べられる計算になります。
 さっそく、あんこ餅の方を開けてみました。
中には乾燥餅が6個、あんこの元1袋、戻す用の水(40g)一袋、そして割り箸が入っていました。

 戻すための水が入っていないものが多いので、こんな風にオールインワンになっていると、いざというときに助かりますね。
 餅を戻すため、レトルトパウチの袋を破って中の水を加えます。

 水を注ぎながら餅の説明書を見ると「片側のトレーに添付のあん顆粒に水を小さじ一杯分(約5cc)を注いでよく混ぜてあんこを作ります」と書かれています。

裏には作り方が丁寧に書かれています。ろくに読みもしないで作ったのが間違いの元でした。


「もしかして作り方間違えた?」
 はいえ、もう作り出してますので修正も難しいです。結局、もちはそのまま戻し、戻した水のあまりを使って餡をこねることにしました。

簡単お汁粉の素に餅をまぶすような状態になりました。水が多すぎたのが敗因です。

 できあがったのは「かなり薄いあんこ」。「あんこ餅」というよりも「冷たい、小豆の入ってないぜんざい」を餅にまぶして食べるような感じでしたが、空腹は最大の調理人。皆さんご機嫌で食べることができました。

次は黒みつきなこ餅です。こちらも封を開けるとあんころ餅と同じように、フリーズドライの餅とそれを戻すための水がついています。そして、黒みつときなこの袋。

 こちらは水で普通に餅を戻し、トレーから水を切って黒みつときなこを振りかけます。この場合、黒みつが先なのかきなこが先なのかはかなり深刻な議論がされるところですが、お腹が減っているときには関係ないので適当に作って一同に配り、これまたご機嫌で胃袋に収まってくれました。
 このお餅のおかげか、午後からも元気に川遊びをすることができ、なんとか無事に終了することができました。
 今回は、まさかこのような事態になってしまうとは思っていなかったので「非常用持ち出し袋」を持ってきておらず、また非常用備蓄品として準備してあるアルファ米やその他非常食もまったく使えなかったわけですが、災害もたぶんこんな感じで予測していないときに来るのだろうなと思い、普段から持ち歩くものについてもう一度考え直す必要があるなと深く反省しました。
 あなたはこんな経験、ありませんか?

日常の中のローリングストック

 夏になるといろんな食べ物の傷みが早くなり、弁当の作り方や野菜などの保管に頭を悩ませることにになります。
 防災の中では食材をローリングストックして数日分は保存できるようにしましょうということがよく言われていますが、冷蔵庫や冷凍庫に頼りきりだと、停電の時に食材が全滅してしまうこともありえます。常温で安全に保管できて手をちょっと加えると食べられるものがあれば、それをストックしておくのも手です。今回はわが家でのローリングストックの一部をご紹介します。
 例えば、常温保存が可能なロングライフ牛乳というのがあります。紙パックの内張にアルミが使ってあり牛乳を長期保存できるようになっているのですが、学童保育に出かけているうちの子はこのロングライフ牛乳を持っていくことがあります。
 一般的に、牛乳は夏場に常温保存をすると確実に腐りますが、長期保存が目的のロングライフ牛乳であれば開封しない限りは常温保存ができますので、学童保育の時のお昼ご飯で持参したロングライフ牛乳をそのまま安心して飲むことができるのです。冷やした方がおいしいのは間違いありませんが、常温のロングライフ牛乳もさほど味は悪くないらしく、特に文句も言わずに持って行っています。
 こうすることで、ロングライフ牛乳を定期的に更新することができますし、こどももその味に慣れているためいざというときに違和感なく飲むこともできます。
 他には、糸こんにゃくがあります。売り場では冷蔵保存の場所にありますが、裏面の保存方法を見てみると「直射日光を避け、常温で保存」と書かれていることが多いですので、普通に常温で保存することが可能です。
 これを定期的に使って更新していくと、いざというときの大切な食物繊維として活用することが可能です。
 日々の生活の中で普段使いしているものはどのような保管方法なのか、それを確認してみると非常食をたくさん用意しなくてもなんとかなりそうだという気になってくるから不思議です。
 自分の生活で食べたり飲んだりしているものを上手にやりくりすれば、さほどお金をかけなくてもしっかりとしたローリングストックができるのではないかと思います。

お中元に非常食?

 先日、益田市内の贈答品のお店に出かけてちょっとびっくりしました。
 お中元で溢れる店内の中の一角に、ずらりとならんだ非常食の数々。
 お中元商品の一つとして、味がよく品質の高い非常食を送ってみませんかという提案のようでした。置かれていたのは一社の製品でしたので、ひょっとしたらメーカーさんからの提案なのかもしれませんが、非常食セットとして作られているわけでは無く、個別の商品をお好みに応じて組み立ててオリジナルのセットを作るシステムです。
 「お店からの提案」として作られていたセットでは、レトルトの非常食に缶詰一つ、そしてお酒とおちょこの組み合わせで、防災を意識しない「お中元」として成立しており、非常食を好きな組み合わせで箱詰めにしたものを大切な方へ送るというのは面白い発想だなと感心してしまいました。
 ここ最近、ずいぶんと非常食の品数も増え、味も普通のレトルトと同等以上に良くなっている非常食。お中元で送られたなら、防災意識のある人にとっては思わずにやりと笑ってしまうでしょうし、防災意識の無い人は、普通に賞味期限の長いレトルト食品として食べていただくことができると思います。
 大半のものは1年程度の賞味期限でしたが、ものによっては3年から5年といったものもあります。

思わず買ってしまった非常食。あんこ餅と黒みつきなこ餅で、賞味期限は3年くらいありそう。
このセットは戻すための水がついているのが秀逸。

 お中元を送る習慣のある方は、いつもの定番商品ももちろん喜ばれると思いますが、たまにはこういったものを送られても、目先が変わって面白いのかなと思いました。

【お知らせ】夏休み企画のご案内

 趣味の範囲でやっている当研究所ですが、夏休みに合わせていくつかのイベントを計画しています。
 興味のあります方は、ぜひお申し込みください。

1.大人と親子の着衣水泳体験

日時:2019年7月28日(日) 10:00~11:00
場所:益田スイミング 屋内プール
内容:着衣での水泳体験、浮き方の練習、履き物による歩き方比較他
対象:大人及び親子(子どもさんは自力で泳げる方に限ります)
講師:益田スイミング様講師
参加費:1,200円(会場使用料、保険料)
準備するもの:水着、水泳帽子、ゴーグル、タオル、長ズボン、長袖シャツ
申し込み締切:応募定員に達し次第
申込方法:参加される方の住所、氏名、年齢を申込時にお知らせください。当研究所へお申し込みの場合は、お問い合わせフォームの件名を「着衣水泳申し込み」としていただき、参加される方の住所、氏名、年齢をお知らせください。
申込先:益田スイミング様受付
    石西防災研究所(お問い合わせフォームに飛びます)

2.地域防災マップを作ろう・高津上市地区編

日時:2019年8月7日 13:30~16:30
   2019年8月8日  9:00~16:00
場所:高津公民館(旧高津地区振興センター)
内容:高津上市地区を回っていろいろなものを点検して防災マップを作成します。
   また、二日目の昼食では防災食を体験していただきます。
対象:小学生
講師:石西防災研究所・伊藤
参加費:無料
準備するもの:筆記具、飲み物(持ち歩きできる状態で)、帽子、カメラ(あれば)
申し込み締切:7月31日(水)17時
申し込み方法:お問い合わせフォームの件名を「防災マップ申し込み」とご記入いただき、参加される方の住所、お名前、学年、所属する小学校をお知らせください。
申込先:石西防災研究所(お問い合わせフォームに飛びます)

避難先では暖かいものを口にする

 梅雨に入ってから、あちらこちらで大雨が降っています。先日の雨では、九州南部で降り始めからの雨が1000mmを超えたところもあるそうで、大規模な避難勧告も出されていました。
 ところによっては、現在も避難継続中の方がおられるかもしれませんが、体調管理には十分に気をつけていただければと思っています。
 さて、大雨で避難所に避難したとき、例えば今回のような梅雨前線によるものだと避難が長期化することがあります。
 そのとき、気の利いた避難所で無い限りは自分が持参した食料や飲料などで過ごすことになりますが、できればその中に「暖かいものを一品」加えるようにしてください。
 暖かいものは、飲み物でもご飯でもおかずでも構いません。暖かいものが一品あると、それだけで人間は安心することができ、仮に災害で被害を受けても、そこまで気力が萎えることは起きにくくなります。
 避難所が電気、ガス、水道が通じている状態であれば、暖かいものを作るのはそんなに難しいことではありませんが、意識していないと温かい食べ物があること自体を忘れてしまっていることもありますので、意識して暖かいものをとるように心がけてください。
 ただ、避難先が学校の体育館のような給湯施設を持たない場所だと、少し準備が大変かもしれません。

 大規模災害でよく見るタイプの直火かまど。災害後の避難所生活なら使えるが、災害が起きている状態でこれをやるのはあまり現実的ではない。

 例えば電気ポットや炊飯器があれば何らかの暖かいものを作ることができますので、そういった家電製品を持ち込むことも必要になってくるでしょう。
 また、土間や昇降口、建物の外周でコンクリートなどの引火しない材料で作られている場所があれば、そこを使って固形燃料やカセットコンロを使った調理もできるでしょう。
 何も無い場合、使い捨てカイロでも、常温のものを暖かいと感じる温度にまですることは可能です。

火が使えないときに便利なのが水を注ぐだけで発熱してくれる発熱剤。まったなしの赤ちゃん用ミルクを調製するためのお湯を作るのに役立つ。また、液体ミルクの温めの可能。

 そうでなくても不安になってしまう災害時、暖かいものが一口でも口にできると、それだけで緊張をほぐすのに有効です。
 非常用持ち出し袋には暖めるための道具が入っていないことも多いですが、避難が長期戦になりそうなときには、非常用持ち出し袋に飲料食を暖めることのできる道具も一緒に持ち出しておきましょう。
 また、自主防災組織や自治会などで避難所の運営を行う際には、準備品の中に必ず何らかの飲料食を暖めることのできる道具を準備しておいてください。

消耗品は短期で入れ替えていく

アルファ米の写真
非常食の代表であるアルファ米。当然ではあるが、普通のお米よりも高い。

 非常用持ち出し袋や非常用備蓄品を準備しようと考えたとき、市販の情報誌や研修などでは「災害用の食料や水、消耗品などを備えなさい。ローリングストック方式の他に長期保存もできる災害用のものもありますよ」という感じの紹介をされることが多いです。
 そして、災害用備蓄品として3年から5年は保存がきくものがたくさん出ていて、備えようと考えたときにはやはり長期保存できるもので作ってみようと考えるものです。
 さて、あなたがこれから災害後、流通網が復旧するまでの命を繋ぐための非常用備蓄品を準備すると考えてみてください。
 長期保存ができるもので食料を選んだときに、普段から食べ慣れているものがどれくらい含まれているでしょうか。
 災害時などの非常時には、いかに普段の生活に近づいた環境を維持できるかが気力と体力を維持していく重要なポイントになります。特に食事はその傾向が顕著にあらわれます。
 例えば、アルファ米は非常に軽くて保存もきく便利な食料品ですが、普通に炊いたお米と比べるとやはり違いがあります。普段から食べ慣れていればさほど気にはならないでしょうが、そうでない人は地味に気力が削られていくことになってしまいます。
 アルファ米では無くて、無洗米を用意して普通のご飯を炊けるようにしておけば、災害前と同じものを食べることができることになります。
 また、特有の臭いはありますが、普通のお米でも研がなくても食べられます。
 いつも使うものを少し多めに買って在庫しておき、その在庫を入れ替えていくことで意識せずに常に新しい備蓄がある状態を維持することが可能になります。
 これは「ローリングストック方式」と呼ばれている方法で、あまりお金をかけずに生活を守ることができるということで積極的に取り入れてもよいと思います。
 ここで注意しないといけないことは、普段作っているおかず類に、たまにでよいので缶詰や乾物など保存がきくものを取り入れて使うということです。
 おかず類が生鮮食料品だけで構成されていると、いざ流通が絶たれてしまったときに提供される缶詰や乾物がひどくひもじく感じてしまうものになって、気力が削がれてしまいます。週に1回くらいでいいですので、保存食品を使った1品を作っておくと、舌も慣れるし在庫もちゃんと入れ替わり、自分にあったお気に入りを見つけることもできると思います。
 ところで、なぜ「災害用」飲料食は長期保存がきかなければいけないと感じるのでしょうか?
 これは、今までの災害の経験値から来るものだと考えています。
 災害時に配られる非常食や飲料水は会社や行政機関が緊急的に配布するもので、これらの品物が必要になるときは、一度に大量に必要になるためにすぐに準備することはとてもできません。そのため、大量に、長期間備蓄できるものが要求されていたということです。
 であれば、わざわざ賞味期限は長いけれど値段が高くて忘れやすい非常食を備えるよりも、非常用持ち出し袋や非常用備蓄品を普段から食料品の置き場としておくことで、普段から意識して管理できるようになるのではないかと思います。
 どんなものであれ、いつかは使えなくなる期限が来ます。せっかく用意した非常用持ち出し袋や非常用備蓄品ですから、意識して使うようにすることで期限切れを防ぎ、そしていざというときにさっと取り出して避難が開始できるような状態にしておくこと。
 この考え方で備えていきたいものですね。

飲むおにぎりを食べてみた

 いつぞや、どこかでみたテレビで忙しいときに便利な食事特集というのをやっていて、その中に「飲むおにぎり」というのが紹介されていました。
 片手で飲めて手も汚れず、保存期間も長めという夢のような食事だというような触れ込みだったように記憶しているのですが、これは水不要の災害食として使えるのでは無いか、きっとそのうち地元のコンビニでも売ることになるのだろうなと思っていたのですが、その後特に見かけないまま忘れていました。
 ある日、ネットショッピングでたまたまこの「飲むおにぎり」を見つけてしまい、当時忙しかったこともあるので朝ご飯代わりに使えると便利だなと思って、購入ボタンをぽちりと押して買ってみました。

飲むおにぎりはよくドリンクなどであるラミネートパウチに入っている。

 届いたものは写真の二種類。味は「梅カツオ」と「梅昆布」で賞味期限は1年くらい残っています。
 6パックセット、送料込みで3,000円ちょっとでしたので、一つが500円くらいでしょうか。コンビニのおむすびの4個分の値段なので、備蓄品なら許容範囲と感じます。カロリーは280kcal、分量は通常のおにぎり1.5個分だそうです。

 さっそく蓋を開けて覗いてみます。おにぎりというよりも、海苔の佃煮という感じです。

 お皿に出してみました。あまり食欲をそそるような見た目ではありませんが、口から直接飲むものなので問題なしとします。
 さっそく飲んでみました。
 ・・・塩辛い。味が均等にされているせいかどこまで飲んでも同じ味。お米の芯が残ったような感じもなんとも言えず、途中で少し気持ち悪くなりました。ご飯は上手にたかなければということと、おにぎりの塩気の濃い部分薄い部分が食欲を増進させていたんだなぁと感じさせられました。
 半分ほど飲んだのですが、どうにも受け付けなくなってギブアップ。
 通りかかった当所の研究員達が興味を示したので、「梅昆布」を提供して飲んでみてもらいました。
 その結果。薄味好きのS研究員は「味が濃い」として一口で終了。濃い味好きのH研究員はぺろりと嘗めた後、お茶碗にご飯をつけて佃煮代わりに使っていました。最後のM研究員は、一口食べてちょっと考えてからおもむろにお水を飲んでいました。
何でこんなに塩辛いんだろうと言うことで、改めて成分表を見てみると、梅昆布の食塩含有量は3.37g。

写真はうめかつお。食塩相当量は3.47gで、梅昆布よりも食塩量が多い。

 厚生労働省が推奨する一日の摂取目安が7.0g~8.0gですから、それは塩辛いはずです。
 貴重な水なしで食べられるかと考えていたのですが、このまま飲んだらのどが渇いて仕方が無いという結論になりました。
 ただ、アルファ米白米に混ぜれば、おいしいご飯ができるかなとも思います。
 また、汗をかいた時や濃い味が好きな人なら、ひょっとしたらおいしく食べられるのかもしれません。当研究所の所員はみな薄味になれていることもあると思います。味の好みは人それぞれですので、よかったら一度飲んでみてください。

広域避難の受け入れ計画は大丈夫ですか?

 平成31年3月末時点の「原子力災害に備えた島根県広域避難計画」の付属資料が公開されました。
 それによると、島根原子力発電所で何らかの大規模放射能漏れが発生した場合には、島根原子力発電所から30km圏内の住民は全て避難対象となっているようです。
 その数、121,460人。
 その中で、県内避難先として益田市、津和野町、吉賀町も入っており、益田市が17,950人、津和野町が1,970人、吉賀町が1,430人を受け入れる計画になっています。
 原発事故による避難はほぼ着の身着のままで生活物資も殆ど持たずに逃げ出すことになることが多いので、この数の人がもし避難してきたとしたら、その人達に対する支援はどうなるのでしょうか?
 現在の人口の2割から4割くらいの人が避難してくるわけですから、それまでの生活物資の流れのままでは、そこに住む住人達の通常の生活ですら破綻することになってしまいます。
 東日本大震災で広域避難自体がそこまで大きな騒ぎにならなかったのは、背後に首都圏という超巨大な物資集積地があり、避難者の数も避難先の住人の数に比べれば少なく、太い物流を活用できたためで、中国地方では岡山市や広島市も含めて首都圏ほどの太い物流網はありませんから、避難先の土地でさまざまな物資が不足することが簡単に予測できます。
 居住民の物資が欠乏するとその恨みは物資を消費する避難者に向けられるわけで、これに対する対策も事前に決めておく必要があります。
 どうしたら物流を滞らせずに増えた人口を安定して食べさせることができるのか? 避難所のトイレやライフラインの問題はどうすればいいのかなど、検討し、決めておかなければいけない問題は 山積みのはずです。
 もちろん行政機関だけの問題ではありません。受け入れ先として予定されている学校などの各施設は、避難者を収容するとその間授業などの通常業務はできなくなると考えた方がよさそうです。
 渋滞や犯罪の問題も起きるでしょう。自治会や自主防災組織、学校、企業など、それぞれに検討しておく課題は存在します。
 今現在、去年くらいからようやく広域避難の訓練が始まりましたが、受け入れ側の受け入れ訓練はまともにされているとは言えません。
 いざというときにトラブルが起きないように、付属資料の避難受入候補地を確認していただいて、受け入れた後どうしたら地域に問題が起きずにすむのかを考えておく必要があると思います。