家庭科でやりたい災害食

 農林水産省が「災害時の食」をテーマにした中学家庭科向けの指導集を作成したそうです。
 内容は過去の避難所での食事やその状況、災害に備えて準備しておく物やその調理方法など、一通りやれば非常食の考え方が身につくものになっています。
 災害対策教育については、大人よりも子どもにした方が効率的だなと筆者は感じていますが、内容は中学家庭科向けとあっても汎用性があり、料理できる年齢であればいろいろと使えそうですね。防災教育が必須とされてきている状況ですので、こういった資料を上手に活用して学校教育に活かして欲しいなと思います。
 授業で使えるようにパワーポイントの資料も作られていて至れり尽くせりですが、利用報告も求められていますので、お使いの際には農林水産省に使用報告もお忘れ無く。

中学校家庭科向け学習指導案「災害時の食」(農林水産省のページへ飛びます)

地震から命をまもる方法

 地震の時に命を守るポーズとして有名なのはダンゴムシのポーズですが、このポーズにもさまざまな流派があります。
 基本的なところは変わらないのですが、両手で頭を押さえたり、片手が頭、もう一方の手が首だったり、足首を立たせていたり寝かせていたり、どれもそれらしいもので、どれも間違いではないよなと思います。ただ、ダンゴムシのポーズを取ることができる前提条件は、ものが倒れてこない、ものが飛んでこない、ものが落ちてこないこと。つまりは周囲の安全確認が最初となります。そして、ある程度安全だと判断して初めてダンゴムシのポーズを取ることになります。
 もしもその場所が危険なところであったなら、より危険が少ない場所まで移動するしかありませんが、そのときに一月をつけて欲しいことがあります。それは、地震が来たらとにかく自分の重心を下げること。
 人間はその構造上どうしても頭が重いので、どんな人でも揺れで足下が不安定になると転倒する危険性が高くなります。そこで、まずは身体の重心を下げること。
捕まる場所があれば捕まっておくとより安定しますし、安全圏まで逃げられたなら、ダンゴムシのポーズをとればより安全を確保できます。
 学校や事務所などでは、上からものが落ちてきたりしそうであるなら、緊急避難として机の下に隠れるという方法もありますが、机がひっくり返ったりすることもありますので、その場合にはしっかりと脚を支えておくことをお勧めします。
 発生した場所によりますが、海溝型地震の場合には警報から数秒は余裕があります。その数秒でいかに自分の安全を確保するかが、そのあとに続く揺れで怪我しない、死なないための大切な手段がとれますので充分に気をつけておくようにしましょう。
余談ですが、直下型地震の場合には警報はまず間に合いません。異常を感じたらすぐにしゃがんで重心をさげるくらいしか対抗する方法がないのが現状です。

石西地方のAEDマップのご紹介

 応急手当の講習会に行くと、100%と言ってもいいくらい出てくるのがAEDです。簡単な操作で誰でも取り扱うことができ、心臓マッサージとこのAEDの併用で助かる命が出てくるとなれば、しっかりと講習を受けて使えるようにしておいて損はありません。
 ただ、いざというときにそのAEDがどこにあるのかを知っていないと、使うことができません。
 このAEDの設置場所というのは案外とわかりにくくて、いろいろな団体がAEDマップを提供しています。石西地方では益田広域消防本部が管内のAED設置情報をホームページで提供しています。定期的に更新もされているようですので、お住まいの場所の近くではどこにあるのかを確認しておくのも大切なことだと思います。
 ただ、一つ注意しておかないといけないのは、AEDが置いてあるところが24時間開放されているわけではないということ。殆どの場合施設の中に置かれているため、その施設が開いている時間でないと使うことができません。
 場所の確認と同時に、そこから持ってくることができる時間も合わせて確認しておくといいと思います。

「命を守る」とは?

 地震や津波などが起きる際には、マスコミ報道等では必ず「命を守る行動をしてください」という言葉が入ります。「命あっての物種」ですから、とにかく生き残らないことにはその後の準備をいくらしていても何の役にも立ちませんので、マスコミ報道の伝えていることは完全に正しい内容だと思います。
 では、命を守るとはどういうことなのかというと、まずは「死なないこと」です。そして「怪我をしないこと」。
 当たり前のような話です。
 では、もし今地震が起きたとしたら、あなたはどうやって自分の命を守るのか、その方法と理由を説明することができますか。
 机のある学校や職場ではとりあえず机の下に潜るようにと指導を受けますが、なぜそうするのかをきちんと知っている人はあまりいません。頭、そしてできれば身体全部を落下物から守るために、机の下に潜るという行動が推奨されているわけです。
 でも、机の下に潜る「理由」ではなく「行動」しか教えていないため、安全な校庭にいる子ども達が緊急地震速報の音で慌てて危険な校内に避難するようなことが起きているのが現状です。最近では「ダンゴムシのポーズ」を教えることも多いようですが、これもやっぱりなぜこのポーズをするのかについての説明がされていません。逆に言えば、なぜそうするのかという理屈さえわかっていれば、それが災害時の行動規範になります。その結果、助かる確率があがることになるのではないでしょうか。
 例えば、家の耐震補強をするのは、地震が起きたときに家に潰されないようにするためです。どんなに命を守る訓練をしていても物理的に潰されてしまったら死んでしまいますから、潰されないように対策をしておくことが必要です。同じ理由で「家具の固定」も行っておく必要があります。他にも高いところに重たいものを置かないようにするとか、窓ガラスが割れて飛び散らないようにフィルムを貼るといった行為も自分が死なない、怪我しないために行う準備なのです。
 まず命が助かること。災害を生き残るためにはそれが一番最初であり、一番大切なことなのです。
 もしもあなたが災害対策にかける予算が少なくて何をするのかを迷っているようでしたら、まずは寝室のお片付け、そして家具の固定、できれば耐震診断をして家の耐震補強をするところから手をつけてみてください。
 また、学校や勤務先等ではものが落ちないように対策をしたり、頭や身体を守れるように身を隠す場所を決めたりしておきましょう。
 災害時にしっかりと命を守ることから、災害対策が始まるのです。

避難所の区画整理について考える

体育館が避難所になる場合は、最初は大きな空間しかない。ここを区画整理する。

 避難所で最初に決めないといけないことは、区画整理です。
 これを最初に行っておかないと、避難した人たちが好き勝手に場所を占拠してしまうため、移動をさせられずに後で四苦八苦する羽目になります。
 では、区画整理でどんな場所を決めなければいけないのか。
 最初は通路です。どんな場所であっても通路の確保は最優先に行います。さもないと、導線が混乱して非常に使い化っての悪い状態になります。
 次に、本部と資材置き場を確保します。これらはある程度しっかりとした面積と空間を確保する必要があります。避難者で施設が一杯になっても、そこを運営する場所がないと大混乱を招くことになりますので、最初に本部の設置場所を確保してください。避難所の出入口付近で、人の出入りが監視できる場所が望ましいです。また、掲示物の掲示場所も近くに作れるとよいです。

 資材置き場は運ばれてくる資材ごとに分類できるように、ある程度広いスペースが確保できると作業がしやすくなります。例えば避難所が学校の体育館なら、資材が勝手に持って行かれないように周囲から見通しのきくステージなどに置くとよりよいと思います。
 施設によっては仮設トイレの場所を確保する必要があります。人目につきやすく、明るさを確保でき、かつプライバシーが守られるような場所が選択できるとベストです。


 あとは談話スペース。足の不自由な方や独りで避難された高齢者の方などがそこで時間を過ごせるような空間を作っておきます。いすや机を置き、誰でも使えるようにしておくとよいと思います。

 また、授乳やおむつ替えできるスペースも確保したいです。診療エリアとしてそのうちに回ってくる医療者を受け入れられる場所を確保しておき、そこを使えるようにしておくと当座をしのぐことができます。
 洗濯物を干す場所や学習をする場所など、他にもさまざまな必要な施設がありはしますが、とりあえずはこれくらいの場所を確保した上で、初めて避難者にエリアを割り当てていきます。
 本番時にこんなことを決めていてはとても対応が間に合わないので、これらのレイアウトは事前にきちんと形にしておくと作業が早くなります。

区画の中をさらに家族単位で過ごせるように段ボールで仕切る。これだけで快適性が格段に変わる。

 さて、避難者への区画の割り方ですが、できれば地区ごとにしておくと後でいろいろと作業がしやすくなりますので、大ざっぱでいいので地区ごとの割り当てを考えていきます。もしも収容者が多数になってくるようなら、空いている区画を割り当てるなど、別にゾーンを設定するとよいでしょう。また、各区画ごとに代表者を決めて貰い、その人が本部と避難者との間でいろいろな連絡用務を請け負ってもらうことになります。
一口に避難所と言っても、運営開始までには決めることがたくさんありますし、ここで上げたことが絶対とも思いません。避難所の数だけ事前に準備した方がいいことはあると思います。災害の時に決めたとおり運用できるとは限りませんが、いきなり本番で避難所を開設をしてもごたごたしてうまくいきませんので、できる限り事前にさまざまな段取りを詰めておくようにしましょう。

避難訓練と本番の違い

 避難訓練と本番では、やる内容が大きく異なるなと思うことがあります。
 避難訓練での子ども達への合い言葉は「お・は・し・も」で、これは「押さない」「走らない」「しゃべらない」「戻らない」の頭文字を取ったものです。
 でも、いざ本番の時にこれをこなしたらどうなるかというと、逃げ遅れたり周囲の人が気づかなかったりすることが起きるでしょう。
 災害時の避難は「身を守る」「急いで逃げる」「周りを巻き込む」「戻らない」が基本となると思います。まずは身を守り、そして安全な場所に逃げる、そのときにはできるだけ周りの人も避難するように声かけて巻き込み、避難した後は安全確認ができるまで絶対に戻らない。東日本大震災では、釜石の子ども達がこの行動をとり、多くの人たちを救うことができました。
 ではなぜ避難訓練では「お・は・し・も」になってしまうのでしょうか。
 これは訓練を実施する側の都合と、近所から紛らわしいという苦情が入るからではないかと思われます。
 訓練する側は、できるだけ統制のとれた避難をしたいと考えます。そのため走らせないししゃべらせないのだと思います。また、単独訓練で「津波だ、逃げろ!」と子ども達が騒ぐと、学校の周囲のお宅はパニックになってしまうかもしれません。いっそのこと、ご近所も巻き込んだ避難訓練を行えば実戦さながらの訓練になると思うのですが、なかなか準備が大変なようで、そこまでの訓練を大規模校でやっているところは少ないのではないかと思います。
 避難訓練というと、訓練のための訓練になってしまいがちです。できれば専門家を交えてより実戦的な訓練を行ったり、そこまではしないまでも、訓練の様子を見てもらって講評を受けるだけでも緊張感は変わると思います。もちろん当研究所でもそういった業務を行っていますので、お気軽に相談いただきたいと思いますが、せっかく避難訓練をするのですから、「問題なし」で終わるのではなく、小さな問題でもいいので見つけて改善していくようにしていければなと思っております。

災害時の子どもの安全

緊急時に子どもがどこへ避難するのか知っていますか?

 災害時には自分の身を守ることを最優先で行うことが大切だと思っているのですが、自分の身を守った後、あなたと家族はどのような行動をするのかを決めていますか。
 大人であれば、とりあえずは安全な場所に移動するというところでしょうが、学校や保育園、幼稚園に通っている子ども達の場合、それぞれの施設がどういう判断でどんな行動をとるのか、きちんと把握していますか。
 学校や保育園、幼稚園などの教育機関の場合、子ども達は教師や保育士といった大人の指示に従って行動することになりますが、子ども達が何が起きたらどこにいるのか、どこへ避難するのかについて、きちんと教育機関側に確認が取れていますか。災害が発生したとき、または発生が予測されるときには、原則として教育機関まで保護者が迎えに行くということになっているところが殆どだと思いますが、どんな状況なら保護者に引き渡しがされて、どんな状況なら引き渡しを中止するのかについて、きちんと把握していますか。
 というのも、学校やこどもたちが無事であっても、お迎えに行った保護者がその途中で被災する可能性が非常に高いからです。東日本大震災では、災害時には保護者に子どもを引き渡すという取り決めに固執してしまったため、お迎えに向かう途中で被災したり、お迎え後の避難中に被災した方もいらっしゃったようです。
 災害時に教育機関から保護者に子どもを引き渡すことができるのは、状況が落ち着いて安全に引き渡しが可能な状態がそろっている必要があります。逆に、そろっていない状態では引き渡しはせず、学校で安全を確保する必要があるのだと思います。
 むろん、先生方に全ての責任を取れというわけではありません。災害時の避難や引き渡しについてきちんと保護者との間で取り決めをしておくことが大切だということが言いたいのです。保護者が同意するなら、自分で判断できる年齢の子ども達であれば、災害時の避難について自主的に行わせるというのも選択肢としてはありだと思っています。危険から逃げるという能力については、ひょっとしたら大人よりも子どもの方が優れているのではないかと思うこともあるからです。
 子どもが自分のいる場所で状況が落ち着くまできちんと命を守ることができること。そして子どもが自分の命を守っていることを信じることで、保護者もまた自分の安全を確保することができます。
 これこそが「津波てんでんこ」なのではないでしょうか。
 自分の身の安全というのは、結局のところ自分にしか守ることができないのですが、災害時に教育機関として集団行動をするのであれば、先生方が日々の災害対策についてきちんと学習し、訓練や教育を継続して行っていく必要があります。でも、それがきちんとできているでしょうか。
 「釜石の奇跡」は防災教育を受けた中学生達の自主的な行動の結果でした。あなたがお住まいの地域の子ども達の災害対策はきちんとできていますか。
 そして、あなたの子どもは、災害後にどこであなたを待っていますか。

消火器の使い方を知ろう

 昨日は「災害時には早めに手を打つ」という内容を書きましたが、その中で、かなり重要な位置を占めているのが初期消火です。
 今回は消火器の使い方と、消火器を使った消火の方法について少しだけ書きたいと思っています。
 あなたは消火器を使ったことがありますか。本番でなくても構いません。例えば職場や地域、あるいはお祭りなどに出店している消防署や消防団のブースなどで消火器の操作体験をしたことがあれば大丈夫です。というのが、消火器は構造は簡単なのですが、使用するための手順を知って、実際にやっていないと、本番で使えないという状態が起こりうるからです。

(1)消火器を持ってくるまでの手順

 さて、消火器を持ってくる手順として、次の順番になります。
 まず火を見たら、大きな声で「火事だ」と叫びます。周囲の人に火事であることを知らせると同時に、自分や周囲に状況を確認させる意味もあります。
 次に消火器を取りに行きます。消火器が普段どこに置いてあるのかをしっかりと把握しておかないと、消火器を探してうろうろする羽目になります。
 最後に、消火器を持って火元へ移動します。このとき、消火器はハンドルの下を持って移動してください。消火器を抱っこして移動すると、転んだときに大けがをします。そして、消火器をもって火元に来たら、次は消火器を使って火を消しますが、消火作業に入る前に自分の退路が確保されていることをしっかりと確認してください。目の前の火だけに気を取られてはいけません。

(2)消火器の使い方

1.まずは上部の黄色いピンを抜きます。これが安全装置ですので、ここを外さない限りは消火液は出ません。
2.ホースを留め具から外してノズルを火元に向けます。このとき、できるだけ火の根元を狙っておきます。
3.噴射装置を握り、火に向けて消化剤を吹きかけます。通常、およそ15秒程度で空になります。
4.火の周りを移動しながら、火元の根元にしっかりと消火液がかかるように撒きます。

(3)消火器の使える範囲

 通常置いてある消火器で消せる火の大きさは、およそ目の高さくらいまでだそうです。少し前までは天井に届いたらあきらめて避難という指導がされていたのですが、天井に燃え移ると火の周りが格段に早くなってしまうことから、現在は目の高さという指導をされているところが多いようです。

 初期消火がうまくいけば、さまざまな人が助かります。もしもやったことが無い方は、是非一度消火体験をしてみてください。
 また、職場や学校、地域などでも人数と日程があえば、消防署や消防団の方が来て指導もしてもらえますので、防災訓練の際には、ぜひ初期消火を取り入れるようにしてください。

訓練用の水消火器。使い方は普通の消火器と同じ。


 最後に、いくら消火器を使いこなせるようになっても、肝心の火元に消火器がないのでは何にもなりません。万が一に備えて、家庭にせめて1台は消火器を備えるようにしましょう。
 消火器の使い方や詳しい手順などは、以下のリンク先を確認していただければと思います。

消防防災博物館・消火器の使い方

災害対策は「早く手を打つこと」が基本です。

 災害対策は、何事も「早く手を打つこと」が基本です。災害が発生してから起こるさまざまな問題は、時間が経っていくとどんどん増えていきます。
 ですが、問題が発生した時点、もっと言えば問題が発生する前に対処しておけば、問題を一つ消すことができてそれに投入しなくてはならない力を他のことに振り分けることができます。
 例えば、大地震が起きたと想定します。そこで発生するのは倒壊した家屋、多くのけが人、火災で、これらに対応するのは全て消防となります。地域の消防力はそんなに多くありませんから、これに全部対応しようとすると手が回らずに全てを中途半端にするか、または心を鬼にして最優先事項以外の全てを切り捨てるかということになるでしょう。現に阪神淡路大震災では、消防力の不足からそのような事態になりました。
 でも、全ての家屋が耐震補強され倒壊しなければ、また、家具の固定やガラスの飛散防止などの対策がしてあれば、緊急に救助を要する人の数は格段に減らすことができますし、各家庭に消火器が備えてあってそれをきちんと使うことができていれば、発生する火災の件数もぐっと減らせるはずです。そうなれば、消防はそれでも必要とされる怪我や火災にのみ対応すればよくなりますから、誰も何もしていない状態よりもずっと手早く確実に仕事をこなせます。
 病院などで問題になるのは電気と水ですが、例えば水は井戸からくみ上げて浄水できるようにしておき、電気は自家発電機だけでなく、太陽光発電システムや蓄電池などを併用することで、電気や水がないことにより起きうる病院の受け入れ中止を防ぐことができます。電気や水の復旧は年々遅れる傾向にありますから、場合によっては普段から敷地内で発電したものを使うようにしてもいいのかもしれません。
 また、普通の人たちも家庭や職場、学校に非常用持ち出し袋が置いてあれば、それをもって避難すればいいので、当座の水や食料、衣類やトイレなどの心配はしなくてもすみますし、さまざまなものを持っている人と持っていない人の間で発生するであろういざこざも防ぐことが可能です。
 こんな風に、起きる前に手を打っておくことで、そこから発生するであろうさまざまなリスクを消滅あるいは軽減することが可能になり、発生するさまざまな問題を少なくすることが可能になります。
 ここまでお話ししてきたのは事前準備になりますが、発災後に問題が起きたときも、放置せずすぐに対応できればそれ以上問題が大きくなりません。
 例えば、避難所のトイレが閉鎖前に使われてしまって汚物で汚染されていたとして、その場で掃除して消毒した上で閉鎖すれば、その後トイレが汚染源になって発生するさまざまな問題を防ぐことができます。照明についても、生活リズムが異なる人たちが一緒に生活すると明るい暗いというトラブルが必ず起きます。そのとき、それを放置せずに同じような就寝リズムの人たちで部屋や場所をまとめて照明を調整するようにすれば、そこから発生する睡眠不足やさまざまな病気、トラブルを避けることができるでしょう。
 災害に限らないことですが、問題を先送りすると大概の場合にはさらに問題が大きく深刻化するものです。物理的に解決できないことは仕方がありませんが、工夫ややり方で解決できることはその場で解決してしまうこと。そうすれば、その先に広がるさまざまな問題の発生を防ぐことができます。それに対処するため、予測できることをあらかじめ準備しておくのが「BCP」といわれる「事業継続化計画」で、これがあるのとないのでは災害が発生した後の対応が驚くほど違います。
 作るのは事業に限りません。家庭でも、学校でも、あなた自身でも、自分が被災してから復旧するまでの計画を一度きちんと作ってみてください。そうすることで、本当に災害が起きたとき、驚くほど早く日常を取り戻すことができると思いますよ。

階段を使っていますか

 あなたがお住まいのところや通勤、通学をしている先、遊びにいくところなど、ある程度の高層階になるとエレベーターやエスカレーターがあり、多くの人はそれを利用すると思うのですが、それらの施設の階段の位置を、自信をもってわかりますと言える方はどれくらいいらっしゃるでしょうか。
 また、行き先が階段しか無い施設だとして、いざというときに普段使っている階段以外の階段がどこにあってどこに通じているのかをきちんと把握していますか。
 災害時に避難で使うのは基本的に階段になりますが、階段の場所を知っていないと途方に暮れることになります。よくあるのが、商業施設や病院などで職員以外は全てエレベーターやエスカレーターしか使えないようになっているもの。非常灯の誘導に従えばちゃんと非常階段にたどり着けるようにはなっているはずですが、普段から階段を意識していないと、エレベーターだけの施設だと閉じ込められたと感じるでしょうし、止まっているエスカレーターに人が押し寄せると、群衆雪崩や、最悪の場合エスカレーターが外れて落下することも考えられます。
 よくいくところ、よく使う施設であるなら、たまにでいいので階段の位置や、できれば階段を使って移動してみてください。そうすると、いざというときに階段で逃げるという選択肢が思い浮かぶと思います。
 人の心理として、非常時になるほど知っているところを使おうとするものです。よほど場数を踏んでいるか、冷静な方でも無い限り、混乱している中で使ったことの無い非常階段を使おうとは思わないのではないでしょうか。また、階段しか移動手段のない施設の場合、普段自分が使わない階段を意識して使うようにしてください。そうすることで、混乱の中でも自分の持つ選択肢が増えて助かる確率が上がります。
そうでなくても、地震発生時にはエレベーターでは閉じ込められる可能性が、エスカレーターでは緊急停止による将棋倒しが起きる可能性が高いです。
 よく「健康と省エネのために階段を利用しよう」と言われますが、いざというときに自分の身を守るためにも、普段から階段の位置を意識して、できれば使っていきたいですね。