液体ミルクと母乳

 災害に限らず、環境が変わって不安になると母乳は出にくくなるようです。
 そうは言っても、赤ちゃんはおっぱいを飲むのがお仕事。お腹が空くと大声で泣きますし、泣かれても母乳が出ないとやるせない悲しさで情けなくなります。
 そんなときに役に立つのが液体ミルクで、国産メーカーでは現在グリコと明治の2社が製造しています。この液体ミルクは常温保存でき、調製済みですので最悪そのまま飲ませることも可能な便利なアイテムです。
 ただ、赤ちゃんに限らず、人間は環境が変わったときに正体不明のものは食べたくないものですから、平時に一度飲ませてみることをお勧めします。
 製造している2社は味がずいぶん異なりますので、飲む赤ちゃんも好みが出るのではないかと思います。飲ませてみてご機嫌な方を1日分程度ストックしておくと、取りあえず気分的にはずいぶんと楽になると思います。
 また、母乳が出ない理由には母親の水分不足が原因であることもありますから、避難の際には液体ミルクと合わせて、お水や湯冷ましを持って行くのを忘れないようにして下さい。
 どうしても母乳が出ない場合には、最悪お母さんが液体ミルクを飲むという手もあります。かなりの荒技ですし、それで確実に母乳が出ると確約できるわけでもないのですが、少なくとも筆者のところはそれで母乳が出せていましたので、やはり平時に一度試して見るといいかもしれません。
 母乳100%での育児は理想かもしれませんが、何が起きるか分からないのも現在の世の中です。
 赤ちゃんが生き残れるために、平時に粉ミルクや液体ミルクなどを試して見て、子どもの好みの味のものをストックしておいてくださいね。

二つの水の問題

お勧めの仮設トイレセット。猫の砂は水分を吸うと固まるので取り扱いがとても楽。

 災害時に断水すると、飲料水と生活用水については確保をいろいろと考えるような話がでます。
 では、使い終わって生じた汚水はどうでしょうか。
 トイレが使えない状態であれば、通常排水管も使うことができません。できるだけ汚水を出さない努力は必要ですが、生活する以上は完全に0にすることはできませんので、処理の方法を考えておく必要があります。
 これはトイレの問題も同じ事で、便座に大きなビニール袋を敷いて用を足すだけでは、発生した汚物が衛生環境を脅かすことになりかねません。
 仮設トイレが便座に大きなビニール袋を敷いた後、その中に吸水材と脱臭剤を投入するのは水分を吸着することでひっくり返ったときに中身が散らからないようにするのと同時に、腐敗を可能な限り遅らせるという意味もあるのです。

トイレの便器を使う場合の一例。水分は吸わせないと臭いがひどくなってくるので注意。


 家のトイレでやる場合も、ビニール袋の中に新聞紙、あるいは吸収ポリマーや猫の砂など、水分を吸収させるものを入れることである程度までは衛生的な生活を送ることができるのです。
 生活排水にしても同じ事で、ポリタンクなどに貯めることができない場合には、吸水させて腐敗を防ぐ対策をしておかないといけません。
 便利なのはにおい消しと吸水材がセットになっている猫の砂なのですが、災害対策のためにだけ準備すると普段は結構邪魔になりますので、ご家庭に応じて吸水できる方法を考えておくといいでしょう。
 水の問題を考えるとき、清潔な水のことは頭に浮かびますが、同じくらい使用後の水についても気を遣う必要があると言うことを、頭の片隅に置いておいて欲しいと思います。

避難所の食事に足りないもの

 避難所の食事では、どうしても食物繊維とビタミン類が不足してきます。
 それらを補うためには、野菜や果物を取る必要があるのですが、炊き出し以外ではなかなか充足したものを取るのは難しい状態です。
 食中毒のことを考えれば、生野菜の選択肢はありませんし、また、薄味というわけにもいきません。
 一食あたりの単価も決められており、そこまで高いわけでもないようですので、どうしても揚げ物が多い弁当になってしまいます。
 果物でも支給されればいいのですが、発生する生ゴミの処理の問題もあって、なかなか気軽に支給するわけにもいかないようです。
 ただ、食物繊維やビタミン類が不足すると便通は確実に悪くなりますし、身体の抵抗力も落ちてきますから、できるなら何か手を打ちたいものです。
 ビタミン剤や食物繊維の錠剤が手に入るのであれば、それらを使って補充すればいいですし、普段それらを使わないのであれば、粉茶を用意しておくといいようです。
 お茶にはビタミン類が含まれていますし、粉茶として摂取することで食物繊維も取ることができます。
 賞味期限はありますが、もし普段から緑茶などのお茶を飲む習慣があるのであれば、粉末茶をぜひ用意して置いてください。
 非常用持ち出し袋に一パック入れておき、ローリングストックすることでいつも管理のできている粉茶を飲むことができます。
 お茶の効能についてはいろいろな場所で書かれていますのでここでは触れませんが、体調管理用に一パック、準備しておくといいのではないでしょうか。
 ちなみに、防災ポーチに数本入れておくと、本当の緊急時にも使うことができて安心ですよ。

今日は救急の日です。

 本日は9月9日、語呂合わせで救急の日です。
 救急というと、まっさきに思いつくのが救急車。でも、石見の西部地方は面積が広くて距離があるので、救急車をお願いしてから到着するまでに数十分から1時間はかかります。
 そのため、救急車の到着までどのようにして救急車が必要な人の命を繋ぐのかが問題となります。
 簡単な傷の手当てや心肺蘇生、AEDの所在地や使い方など、ちょっとしたことを知っておくだけでも、いざというときに命が助かるか助からないかといった違いを生み出しますから、できればそういった学習をする機会を設けて、しっかりとした技術を身につけて置きたいものです。
 新型コロナウイルス感染症の関係で日本赤十字社や地区消防本部が開催する救命講座は殆ど行われていませんが、知識だけでも知っておいて欲しいと思います。
 youtubeの東京消防庁公式チャンネルで提供している心肺蘇生と怪我への応急手当の動画をリンクしておきますので、救急の日にあわせて見ていただけるとうれしいです。

避難所に入る順番

 災害では避難者が二種類にわかれます。
 一つは元気で避難後の生活の復旧も早い人。もう一つは年齢や障がいなど何らかの理由で生活再建に支援の居る人、いわゆる生活弱者といわれる方です。
 自主防災組織や自治会が機能している地域だと、水害や台風と言った予測される災害時には事前に生活弱者の方を避難所あるいは福祉避難所に搬送して事前に安全を確保する光景が見られます。
 地域のつながりがしっかりとしているところも、比較的早めに生活弱者の方の避難は早いような気がしています。
 おおざっぱになりますが、事前に予測できる災害の場合だと、生活弱者→健常者の流れで避難所に人が増えていく構図です。
 ですが、これが地震になると光景が逆転します。
 発災後、まず最初に避難してくるのは健常者の方。そしてこういった人達が避難所を埋めたころ、生活弱者の人達が避難してくるといった光景になります。
 それがいけないというわけではないのですが、避難所に避難できる、または入れる順番を決めて地域で共有しておかないと、元気で声のでかいおっさんが避難所の一番いい場所で多くの面積を確保し、支援のいる人は避難所に入れないという光景が発生してしまうことになります。
 こういった光景は、田舎よりも都会で見られることが多いような気がします。
 顔見知りであればそれなりに遠慮や譲り合いもありますが、見知らぬ人であれば何の関係もありませんので、お互い様という意識も沸いてこないかもしれません。
 災害時にその場に居た人は誰もが被災者です。その被災者の中でも、生活への支援がないと生きていけない人もいて、そういう人達が避難所に優先して入れるような環境が作れるといいのですが。

避難判断は自分で決めておく

 大雨や台風であちこちで浸水や土砂災害の被害が起きています。
 被害に遭われた方にお見舞い申し上げるとともに、一刻も早い復旧復興を願っております。
 普段であれば災害支援ボランティアとして出動するところですが、昨今のコロナ禍でそういうわけにもいかず、ただ願うだけとなってしまっているのが少しだけ歯がゆいところがあります。
 ところで、災害が起きると毎回問題にされるのが行政からの避難指示です。
 マスコミ報道やSNSで「避難指示が早い、遅い、出ない、出ても何も無かった」と、自治体が何をしても叩かれてしまっている現状を見て、なぜ自治体が避難を判断しないと個人が避難しなくていいと考えられるのか、正直なところ理解に苦しむところがあります。
 避難指示はその地域に住んでいる該当の災害で危険な場所に住む人に対してその場から避難するようにという指示ですが、避難指示が出るまで対象地域で災害が起きないという保障はありません。
 地域という「面」では異常が無くても、あなたの家という「点」では事態が異なっているかもしれないのです。
 言ってしまえば、行政の出す避難レベルがどうあれ、危険かどうかは自分で判断基準を持っておくしかないということです。
 判断基準を作るためには、ハザードマップや過去の伝承、地域の地形や普段の天気での変化など、さまざまなことを知っておかないといけません。また、自治体が避難情報を出すために参考としている気象情報や土砂災害警戒情報、河川情報といった基礎情報は、今はインターネット上で誰でも見ることができますから、情報がないから判断できないという話はできないと思っています。
 逆に、現在は読み込めないくらいさまざまな情報が提供されていますから、その中から自分がどのような状態であれば被災するのか、そして避難しなければいけないのかを考え、そして避難が必要であれば避難開始の鍵をきちんと決めておくことは事前に準備ができることです。
 あなたの命はあなたが守るのです。自治体や町内会が守ってくれるわけではありません。避難するかどうかの判断は、あくまでもあなたの中にあります。
 避難しないのなら避難しないという選択をしても構いません。ただ、災害に巻き込まれたときに「想定外だった」とか「思ってなかった」という台詞が出ないようにしておいて欲しいと思います。

エアコンなしで暑さをしのぐには

 日中35度越えもある最近の夏ではエアコンは必需品です。
 ただ、この時期に停電が起こると途端に暑さにさらされてしまい、体調を崩したり熱中症になったりすることもあります。
 今回は停電などでエアコンが使えないときにどのようにして暑さをしのぐことができるかを考えてみます。

1.日影を作る

当たり前のことかもしれませんが、直射日光の下にいたら体温はあっという間に上昇していきます。
それを防ぐためには、まずは直射日光に当たらないことです。
つまり、日影を作ることが一番重要だということになります。

2.風を起こす

 日影に入ったら身体の周囲に風を感じられるようにしましょう。
 例えば、うちわや扇子などで身体の周囲の空気を動かすことで、熱がその場に滞留していくことを防ぐことができます。
 また、汗をかいていればそれに風が当たることで気化熱が発生し、身体の冷却効果も期待できます。
 屋内の場合には、室内は熱がたまりやすいですので、風の流れを作り出しておく必要があります。窓や扉を複数箇所開け、風の通り道を作るとよいでしょう。

3.放熱する

 もし冷たい水があるなら、手のひらや足をつけることで身体の熱を逃がすことができます。瞬間冷却パックや冷却スプレーなどでも似たような効果が期待できるので、手元にあれば使ってみてください。

4.冷感素材などを利用する

 最近は汗を使って身体を冷やせる冷感素材を使った衣類が増えてきます。
 それらを着用することで、身体を冷やすことができます。

5.冷たいものを食べる

 これはおまけになりますが、体内に熱が籠もっている場合には表面をいくら冷やしても身体が冷えない場合があります。
 もし水や氷など冷たいものが手に入るのであれば、それを食べることで体内から冷やすことができます。
 ただ、冷たいものは内臓にダメージを与えることがあるので、食べ過ぎないようにしてください。

 暑さをしのぐための基本は「熱をその場に貯めないこと」ですので、いる場所の温度を上げない、そして排熱するということが重要になります。簡単に言うと、日影を作って熱を貯めない、そして風で熱を動かすことを念頭考えるといいのかなと思います。

ボランティア保険と破傷風対策

 新型コロナウイルス感染症のおかげで災害ボランティアの動きも鈍くなってしまっていますが、参加できる地域の方はできる範囲でボランティア活動をしていただけるといいなと思っています。
 ところで、ボランティアセンター経由で災害ボランティアに参加する場合には、社会福祉協議会でボランティア保険に加入することが前提となります。
 このボランティア保険、基本は活動日の前日までにお住まいの地域の社会福祉協議会窓口で手続きをしておいてくださいね。
 大規模災害の場合には、現地のボランティアセンターに保険の受付窓口が設置されて保険をかけたその日から適用してもらえる場合もありますが、あくまでも例外対応です。せっかくボランティアに出かけたのに保険に未加入で参加できなかったというのでは悲しいと思いますので、そこは気をつけておいてほしいなと思います。
 また、災害ボランティアは活動内容が多岐に渡りますが多くの場合は泥出しや洗浄といった汚染除去という仕事になります。
 汚泥にはさまざまな菌が居ますが、その中でも破傷風菌はけがをしたり傷口があった場合等に感染しやすくなりますし、感染すると死亡するリスクもかなり高くなりますので、怪我をしない対策が必要です。
 具体的には、ゴーグルをかけ、マスクを着用すること、作業時には肌の露出はできるだけしないこと、履いている靴はがれきや破片、釘などが貫通しないように安全中敷きを入れる、手袋も防刃のものを使うなど、リスクをできるだけ下げるようにしておきます。
 ただ、それでも怪我をするときにはしますので、破傷風ワクチンの接種もしておくようにしてください。
 破傷風ワクチンは正しく接種すると10年は免疫が続き、効果も大です。
 なお、すぐにワクチンが無い場合もあるようですので、接種について詳しくはあなたのかかりつけ医に相談してください。
 せっかくボランティアに出かけたのに破傷風にかかって大事になるのは避けたいですから、怪我しない対策と、怪我しても破傷風が発症しないようにしておくことはとても大切です。事故のないボランティア活動になることを願っています。

汗ふきシートと身体ふき

 災害時に身体の衛生状態を維持するのは割と大変なことですが、あなたはどのような準備をしていますか。
 口腔衛生用として歯ブラシや歯磨きシート、そして身体をさっぱりさせるのには身体ふきシートを、それぞれ準備しておくといいと思います。
 身体ふきシートでは、よくノンアルコールのお尻ふきを準備するように書かれたものを見ますが、身体をきれいに保ち、かつ誰にでもどこでも問題なく使えるという点で非常によいものだと思っています。
 ただ、さっぱりとはしますがすっきりとはしないので、よりすっきり感が必要だと思われる方は、よく学生さんが使っている汗ふきシートを利用することをお勧めします。
 かくいう筆者は、先日山に登った際にこの汗ふきシートで汗を拭いてみて、その効果にびっくりしました。
 べたつきがすっきりと取れ、少しの間でしたが汗がしっかり止まり、つかの間ではありますが非常に快適な時間を過ごすことができたのです。

汗拭きシートの一例。さまざまな種類が出ているので、好みのものを探すのも楽しいのでは?


 夏場の避難所では、エアコンのない場所も非常に多いですが、そう言った場所でこういった汗ふきシートが使えれば、思ったよりは快適に過ごせるかもしれないなと感じました。
 汗ふきシートはお尻ふきほどしっかりとしたものではありませんが、両方を上手に使うと身体がかなり衛生的に維持できるのではないかと思っています。サイズも量も持ち歩くにはちょうど良い感じで、夏場の出掛けた先での汗対策を兼ねてローリングストックしてもいいかなと、筆者自身は考えています。

医療と薬

 災害が起きたときに、どうかすると医療行為が止まってしまうことがあります。
 現在の医療行為はさまざまな場面で機械が無いとどうにもならなくなっているので、災害用の発電機が設置されてはいるのですが、災害の種類によってはその発電機が使えなくなることがあります。
 そうなると、医療機械だけでは無くて手続きや電子カルテに至るまで全てが止まってしまい、まともな診療ができなくなります。
 でも、例えば透析が必要な方などは待ってくれとなると生死の問題になります。
 そう言った場合には被災地以外の場所へ広域移動してもらって医療行為を受けてもらうのが現実的なやり方でしょう。
 被災した医療システムを復旧しようとしても、とても数日間で何とかなるものではありませんから、医療機器を使わないと命の危険がある方のために、医療機関は広域で連携しておいた方がいいと考えます。
 また、避難所での生活になったとき、医療体制が安定するまでの間は診察も検査も投薬もしてはもらえません。
 そのため、持病を持っている人は自分の薬をある程度非常用持ち出し袋に入れて置く必要があります。
 1週間から10日分くらいは予備があると安心です。
 かかりつけのお医者様に相談すれば、そう言った配慮をしてもらえることがありますので、ないと命にかかわるような薬を飲んでいる人は、事前に準備しておいた方がいいと思います。
 その上で、お薬手帳があれば、万が一かかりつけの医師や薬剤師との連絡が取れなかったとしても、そのお薬手帳に書かれている薬を見ることで、あなたを診てくれる医師や薬剤師はどのような症状でどのように薬を使っていたのかが分かって事故を防ぐことができます。
 生命に関するような医療行為や薬は、災害に対していくつも対策をしておいて無駄にはなりません。
 自分だけで対策をするのは難しいかもしれませんが、できる手を考えて打っておくことをお勧めします。