灯りを作ろう~サラダ油の場合~

灯りというのは人が人であるために必要不可欠なものの一つなのでは無いかという気がします。
普段は電気を使った照明で明るく闇のない生活をしているわけですが、災害が発生すると、途端に真っ暗な世界が誕生します。
そんなとき、手近なもので灯りを作ることができたなら、気持ちがほっとするのではないでしょうか。
そんなことを考えて、さまざまな家でありそうな材料を使って灯りを作ってみようという研究をしてみることにしました。
今回は割と定番のサラダ油を使って灯りを作ってみることにします。
材料は次のとおり
1.お皿
2.ティッシュペーパー
3.アルミホイル
4.サラダ油
5.ライター

サラダ油ランタンの材料
良く時代劇に出てくる菜種油の行灯の中身を作ります

まずはティッシュペーパーを一枚取り出し、半分にちぎって、そのまた半分をこより状にします。

ランタンの芯作り
ランタンの芯作り。たこ糸やなんかの方が楽かもしれません。

細く切ったアルミホイルでティッシュペーパーの芯をくるみます。

ランタンの芯作り2
細く切ったアルミホイルを二つ折りにし、ティッシュペーパーの芯を包みます

お皿にサラダ油を入れます。実験なので、燃焼が確認できる程度、大さじ一杯半ほどにします。

お皿に油をいれます
耐熱性のある背の低いお皿に油をいれます。

ティッシュペーパーの芯を油に浸します。吸い上げるかなと思ったら、いつまでたっても芯の方に油が上がってこないので、全体を油に浸しました。

芯に油を回します
ティッシュペーパーの芯にはサラダ油は上がりにくいみたいです。

そして点火。芯の部分がいい感じに燃えてくれます。

芯に火がついた
芯の部分はアルミ箔の上に出ているところだけ燃えてます。

芯を伸ばしてみると、火も大きくなります。

芯を伸ばすと火も大きくなる
アルミ箔の上の芯を伸ばすと、火が大きくなりました。

アルミ箔を外すとどうなるのかやってみます。

アルミ箔を外して芯だけにしてみた
アルミ箔を外して芯だけにしてみるとどんな燃え方をするのだろう?

芯がどんどんと燃え、大きな火になってしまっています。サラダ油なので、簡単には火がつきませんが、ティッシュペーパーの芯だと激しく燃えてしまいます。

芯が大きく燃えている
芯がかなり大きな火になって燃えています

というわけで、アルミ箔があることでそれ以上芯は燃えず、そこでサラダ油がうまいこと温められ、いい感じに気化しているのではないかと考えられます。

芯にはアルミ箔がいるのかも?
芯をアルミ箔で支えると安定して燃えてくれるようです。

もっとも、油の量が多くて芯の太さが一定であれば、恐らくは昔の行灯のような燃え方をしてくれるのではないかなと思いました。

また、芯が長くなると、芯が燃えて煙が立ち上ることもあり、あまり芯の長さは伸ばさない方が良さそうです。

臭いは殆どありませんでした。

ろうそくよりも温度が低そうなので、炉に使うには火力は弱そうですが、手近な素材で簡単に灯りを作ることは可能なようです。

阪神淡路大震災に思う

1995年1月17日午前5時46分。
淡路島北部の明石海峡を震源とする阪神淡路大震災が発生しました。
その時は益田の地でもぐらりとした揺れがあり、寝ていた私も目が覚めて何が起きたのかわからずにきょろきょろと辺りを見回したものです。
その後、どうやら神戸の方で大きな地震があったらしいという話が聞こえてきたものの、特に被害の話は聞かなかったのでそのまま関東地方へ出張に出かけました。
「鉄道は止まっている」という情報は入っていましたが、そんなに甚大な被害とは思わず飛行機で東京へ。
神戸の惨状を知ったのは、出張先で仕事を終えて入った宿の食堂のテレビからでした。
大阪や神戸から来ていた人達もその場にいたのですが、テレビから流れてくる映像に言葉もなく茫然となっていたのを今でもはっきりと覚えています。
その後、彼らと一緒になんとか現地の情報がわからないかと画策するのですが、今と違って携帯電話やインターネットがさほど普及していたわけではありませんからとにかく情報がない。
国や政府ですら、全容が把握できていない感じでした。
この時に思ったのが、災害については「情報が無い=問題ない」ではなく「情報が無い=発信できないほどの被害を受けている」ということなのだということです。
情報が出せない地域にどのように情報を取りに行くか。
マスメディア、特にテレビは「絵として使えるひどい状況」ばかりを伝える性格を持っています。
直接影響のなかった人達への見世物としてはいいのかもしれませんが、被災者がその映像を見てさらに落ち込むという悪影響は残念ながら現在も配慮されていない気がします。
今はSNSが発達しました。そのおかげで、さまざまな情報が発信されるようになり、丹念に拾っていくと早い段階で全容が見えるようになっています。
また、行政側もいかに素早く情報を出していくかという努力を続けてきたので、かなり早い段階でそちらからも全容がわかるようになっています。
ただ、あちこちからさまざまな情報が発信されるようになった結果、今度は欲しい情報が埋もれてしまうという事態が起きるようになりました。
あの「情報が無い」という焦燥感からすると隔世の感がありますが、どうやって必要な情報を手に入れていくか、今はそれを模索している状態です。
阪神淡路大震災当時、私の知り合い達も神戸や大阪、その近郊に住んでいました。
連絡手段が限られていたこともあり、現地の知り合いの安否が全て分かったのは数ヶ月後。
私の知り合い達は怪我くらいで済みましたが、その知り合い達は殆ど何らかの形で自分の知人や友人を亡くしていたことも聞きました。
あれから24年が経ちますが、災害への対応力というのは挙がったのでしょうか。
建物はその後も続く地震により耐震性がより強化され、ちょっとやそっとでは崩れないものになっています。
でも、住んでいる私たちの考え方や備えはどうだろうか。
当時は「想定外」といえたことも、今は「想定内」になっています。
災害への備えと、生き続けるための段取り。
この日が来るたびに、自分にその準備が出来ているかを問いかけています。

アルファ米を試してみるその1

防災用品の中でよく出てくるアルファ米。
有名なところでは、尾西食品、アルファ食品、サタケなどがありますが、あなたは食べたことがありますか?

アルファ米の写真
アルファ米も種類があってメーカーごとに味も違います。好みのものを見つけましょう。

当研究所で研究員のうちの子3人にそれぞれのアルファ米の五目ご飯を食べてみてもらうことにしました。
第一弾は、尾西食品の五目ご飯。
災害イベントでは割と良く出てくる定番のアルファ米で定番のメニューです。

尾西食品の五目ご飯
尾西食品の五目ご飯。防災イベントの常連です。

中に入っている乾燥剤とスプーンを取り出し、お湯を注いで待つこと15分。
できあがりは、どんぶりに軽く一杯という量。パッケージには「お茶碗軽く2杯分」と書かれています。

五目ご飯のできあがり
できあがりはこんな感じです

五目ご飯をお皿に盛ったところ
五目ご飯をお皿に盛るとこんな感じです

お茶碗に半分ずつ、4等分して試してみた子ども達の感想は
「味がしっかりしてる、というか、濃い」
「ちょっと堅い。お年寄りは食べづらいと思う」
「んまい」
とさまざま。
少し芯があるような堅さに仕上がっているのは、お湯の量の問題かもしれません。
規定量で作ると堅めに仕上がる感じですので、柔らかいのが好みの方は、お湯を気持ち多めに注げば、うまく食べられるのではないでしょうか。また、五目ご飯は全体的に味が濃いというコメントを他の人からももらったことがありますので、薄味が好みの方は、白ご飯と合わせて作るのもよいと思います。
若い人や汗をかくような仕事をした後などは、恐らくかなりおいしいのではないかと思います。
ここのメーカーさんはいろいろな味を出しているので、自分の好みにあったものを見つけてみるのもいいかもしれません。
最後に詰め合わせセットをご紹介しておきますので、興味がある方はぜひ一度試してみてください。

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感想(9件)

新聞紙は万能選手だ

新聞紙は万能アイテムです。
もしも普段配達してもらっているなら、一週間分くらい手元に置いておくと、いざ災害が起きたときにいろいろなことに使えます。
また、非常用持ち出し袋にも1日分くらいいれておくと、本当に便利です。
どんなことに使えるのか、いくつか例をあげてみることにします。

1)敷物になる

野外では湿気てしまってあまり長くは使えませんが、体育館などに避難したとき、新聞紙が1日分あれば、床に敷くことで断熱材の代わりをしてくれます。
あるのとないのとでは大違い。ブルーシートだけでは寒い日でも、さほど床の温度を気にすることなくしのぐことができます。

2)添え木になる

一日分の新聞紙を四つ折りし、四つ折りの真ん中に折れた腕や足を入れてガムテープなどで固定すると、簡易型の添え木になります。
週刊誌や雑誌でも可能なのですが、柔らかさや使いやすさでは、新聞紙の方が上です。

3)燃料として使う

新聞紙は紙ですから、非常によく燃えてくれます。
くしゃくしゃにすればたき火をするときの焚き付けに使えますし、しっかりと堅く丸めれば、薪のようにしても使うことができます。

4)簡易トイレの吸収剤として使う

断水すると、トイレは基本的に使えなくなります。
大きなビニール袋にちぎったたくさんの新聞紙を入れて便器にはめると、簡易トイレができます。
大小問わず対応できるので、とても使いやすいです。
終わったら、ビニール袋の蓋をきつく縛れば、可燃ゴミとして処理が可能な場合もあります。
自治体によって異なるようですので、気になった方はお住まいの自治体にご確認ください。

5)防寒具として使う

新聞紙を下着の上に挟むと、断熱材の代わりになり、とても暖かく過ごせます。
また、大きなビニールのゴミ袋を加工して上着代わりに着込んで併用すると、かなりの寒さにも耐えることが可能です。
新聞紙は湿気を吸いますので、湿気を逃がさないゴミ袋を着込んでいても、快適に過ごすことが可能です。

6)日用品になる

新聞紙を折り紙すると、スリッパや食器、ゴミ箱など、さまざまなアイテムを作ることができます。

7)退屈しのぎになる

新聞記事を読んだりちぎったり折り紙するのに使えるので、思ったよりも時間がつぶれます。

他にもちょっとしたことでも使えるのが新聞紙です。
最近は新聞をとらないというお宅も増えているようですが、非常持出用防災セットに1日分、家の保管ボックスに2日分くらいを入れておくと、何かと重宝すると思います。
いろいろと試してみてくださいね。

避難所と避難場所と福祉避難所

避難所と避難場所と福祉避難所。
よく似た名称ですが、中身はちょっと違います。
今回は、この3つについて、その違いや中身について触れてみたいと思います。

1.避難所と避難場所の違い

避難場所と避難所。同じじゃないかと思いませんか?
少なくとも、防災のことをやり始めるまで、私はそう思っていました。
災害対策基本法の中でこの二つの違いについては、実はきちんと定義されています。
「避難場所」は法律上は「指定緊急避難場所」となっていて、該当する災害に対して安全な建物や公園などとりあえず逃げ込める「場所」が指定されています。
「避難所」は法律上は「指定避難所」となっていて、災害後、家が壊れたりして住む場所を確保できない人に提供される「施設」のことです。
同じ場所が指定されていることも多いのですが、例えば益田市の場合には「避難場所」は「校庭」、「避難所」は「屋内運動場」というような整理をしているようです。
益田市吉賀町は避難場所及び避難所は施設と住所の一覧表になっていましたが、津和野町は一覧表の他に位置図も作っていて、わかりやすいなと感じました。

2.避難所と福祉避難所の違い

避難者のうち、高齢者、障がい者、乳幼児、妊産婦、傷病者、内部障がい者、難病患者など特別の支援が必要な人(これらの人は「要配慮者」と呼ばれています)のために支援が受けられる施設を避難所として指定するのが福祉避難所です。
避難所と異なるのは、福祉避難所は災害発生当初から自動で設置されるものではなく、被災自治体からの要請で開設されるということです。
福祉避難所として指定できるのは一般避難所内の一部、老人福祉施設、障害者支援施設、保育所等の児童福祉施設、保健センター、特別支援学校、宿泊施設となっています。
自治体と各施設の間で協定を結ばなければ福祉避難所として指定できないのですが、災害時、収容する被災者支援に必要な職員数や資機材を確保できないことから難色を示している施設も多く、なかなか指定が進まないようです。
そのため、福祉避難所という名前は存在しますが、実際に運用できるのかという大きな問題があります。
また、要配慮者に対する配慮は配慮の必要な内容によって収容できる施設が変わるはずですが、現在のところそのような考え方はされておらず、妊産婦も障がい者も高齢者も一緒に収容するような感じになってます。
石西地域では吉賀町のみ福祉避難所の指定を確認できました。

3.支援はどう異なる?

食料や物資などの支援は「指定避難所」に対して行われることが原則になっています。
そのため、自治体の定めた「指定避難所(福祉避難所)」以外に避難した場合、そのままは物資やその他の支援が受けられない事態が発生します。
例えば、地域や有志で設置した「避難所」は支援の対象から外されることが多いようです。津和野町ではこれを「一時避難所」とし「行政の支援がない避難所」と定めていました。
ただ、災害対策基本法では避難所以外の被災者に対しても支援は行わなければならないと決められていますので、実際には自分たちの避難しているところから指定避難所に物資を受け取りに行くような形になると思われます。
また、避難場所に多数の避難者がいる場合には「指定はされていないが指定避難所扱いされる」場合もありますので、細かい運用は各自治体によって変わってきます。
ところで、人工透析や酸素吸入などの医療設備を必要とする人達への支援は、優先度は高いのですが支援はかなり遅れます。できれば被災地外に域外避難して安全を確保するほうが良いでしょう。
妊婦については、かかりつけの病院での出産が不可能な場合、最悪避難所での出産という可能性があります。
かかりつけの産婦人科医に、どのようなものが必要なのか、どのような支援が受けられるのかについて確認しておきましょう。

おんぶと抱っことベビーカー

災害でいざ避難というとき、小さな子をどうやって移動させるかということは割と悩む部分です。
「おんぶ」「抱っこ」「ベビーカー」が3大避難方法のようですが、どれも一長一短です。
今回はおんぶとだっことベビーカーでの避難について考えてみます。

1)おんぶ

避難させるときにもっとも楽で危険が少ないのはおんぶです。
背中に背負っているので、背負っている人の重心があまり狂わず、両手も空いて素早く移動ができるからです。
ただ、最近の小さな子はおんぶされ慣れていないせいか、おんぶ紐で背負うと仰け反ってしまうようで、「避難時のおんぶは危険」としているところもあるようです。
そういえば、抱っこやベビーカーはよく見ますが、おんぶで移動している親子はあまり見なくなったような気がします。
でも、非常時におんぶができるとさまざまなメリットがあります。
食事の準備や家事をするとき、おんぶ慣れさせておくと、いざというときに役に立ちそうです。
また、背中が使えないので、非常持出用防災セットはウエストポーチやベストにセットすることになり、さほどたくさんの資材は持てないのが欠点です。

2)抱っこ

避難時には手だけで抱っこして移動すると衝撃や振動などにより子どもを落としてしまう危険性がありますので、必ず大人の身体に固定する道具を使います。
抱っこひもやスリングといったものを使って移動することになりますが、なにぶん重心が前にあるためおんぶほど軽快に動くことはできません。
また、片手は固定具を支えなければいけませんので原則両手を空けるということも無理です。
ただ、首の据わらない新生児になるべく負担を掛けずに輸送する方法はこれが一番だと思います。
また抱っこで避難する場合、非常持出用防災セットをリュックサックで背負えるのがメリットと言えます。
おんぶ慣れしている子どもが少ないことを考えると、抱っこで避難所まで移動できるような訓練をしていた方がいいかもしれません。

3)ベビーカー

一度に複数の子どもを移動させるときには、ほぼ唯一の手段がベビーカーです。
親も非常持出用防災セットを背負って移動することができ、ベビーカーによっては子どもの資材を載せることも可能です。
ただ、タイヤの半径以上の障害を越えることができないことやベビーカーを押すことで両手がふさがってしまうことが難点だといえます。
また、大量の避難民がいる都会地では、ベビーカーが邪魔者扱いされて破壊される場合も考えておかなければいけません。
避難した先ではベビーカーを子どもの居場所として使うことが出来るので、それもメリットと言えるでしょう。

小さな子どもが大勢いる保育園では輸送用のお散歩車・避難車や多人数用乳母車を使って一気に避難所まで輸送するという方法を取られることが多いですが、これらの運搬車はいずれも車輪の径が大きく少々の障害物は乗り越えられるようになっています。
どの方法も良いところ悪いところがありますので、あなたとあなたの住んでいる地域の実態にあわせて準備しておくことをお勧めします。

リュックサックについて考える

防災セットの準備の中でよく「リュックサック」に触れていますが、なぜだかわかりますか?
リュックサックを使う「理由」は、「両手が空くこと」と「動きを妨げないこと」それに「防災セットが入ること」「ある程度の重さでも持って移動できること」です。
例えば、手提げカバンや肩掛けカバンに非常持出用防災セットを入れてすぐに走れるかというと、かなり難しいと思います。
でも、身体にしっかりと固定できれば、走るのはそんなに難しくありません。
ようは荷物を入れて両手が空いて、自分の動きが妨げられなければよいのです。
そうすると、背負子やボディーバック、普段使いの肩掛けかばんでも、紐やテープなどで身体に固定できれば使えそうだという判断ができます。
子どもを抱えて移動するのであれば、必要なものを詰め込んだベストやヒップバックでも問題ないでしょう。
ここであえてリュックサックを勧めているのは「誰でも使い方を知っていて準備や装備に手間がかからず、たくさんの荷物を入れて運べる道具」だから。
また、リュックサックは大小さまざまなものが市販されていますので、自分にぴったりのものを選ぶことが可能です。
お勧めのメーカーを聞かれることもあるのですが、いろいろなメーカーのものを試してみて一番自分にしっくりくるものがお勧め品です。
その上で、縫い目がしっかりとしているかどうか確認してください。
そして、肩紐の幅が太くて、できればクッションの入っているものにすると長時間背負っていても痛くなりません。
また、背中が当たる部分にはパット、腰と胸に留め具がついているものだと、よりしっかりと身体に固定ができるので楽に移動ができます。
非常持出用防災セットを詰め込むときには、軽いものを下、重たいものを上にして詰めていきます。
着替えや毛布は底に、水や食料品などは上に詰め込みます。左右のバランスを気にして詰め込んでください。
恐らくは一番の重量物となる水は、大きなボトル1本ではなく500ミリリットルのボトル数本にわけると詰め込みやすくなります。
また背中側には新聞紙や敷物を詰めておくと、荷物のでこぼこが気になりません。
この状態で背負ってみると、驚くくらい軽いことに気づくと思います。
試しに、次は重たいものを下、軽いものを上で詰め直して背負ってみてください。
同じ重量のはずなのに、今度は恐ろしく重たく感じると思います。
背負うものに関しては、重心が高い方が自分の体の重心との誤差が少なくなるため軽く感じるのです。
この中には生活用品のストックが入っていて、モノがなくなるたびに入れ替えをするはずですから、いろいろと中を組み替えてみて背負ってみて、自分が一番軽いと思う詰め方を見つけてください。

ゴミ問題を考える

災害が発生すると、やがて大きな問題になってくるのが「ゴミ」です。
災害の後片付けが始まると、一斉に粗大ゴミが集積場に出されます。
また、避難所など多数の人が生活する場では、一カ所で大量の生活ゴミも発生することになります。
上手に処理しないと、臭いや害虫、害獣の巣になったり処分場がなくなったりして環境が不衛生になってしまいますので、ゴミ処理についてどうするかを考えてみます。

1.粗大ゴミと生活ゴミ

災害で発生するゴミは、大きく分けると二つにわかれます。
一つは被災した建物等からだされる「粗大ゴミ」、もう一つが人が生活していく上で発生する「生活ゴミ」です。
どちらも普段から出されるものではあるのですが、災害時にはそれが極端に増えることになります。

2.粗大ゴミの処分

タンスや食器棚、テレビといった粗大ゴミは通常であればそれぞれに回収され、それぞれリサイクルや焼却処分に回されています。
ですが災害時にはその仕分けが難しいため、集積場にいろいろなものが一緒くたに出てくるのが普通です。
少し前までは集積場から直接埋立場に運び込み、すべて埋め立てゴミとして始末していましたが、支援自治体の受入体制不備や処分場のパンク、有害物質の流失という問題が発生することがありました。
そのため集積場から仮置き場へ運んで、本当に埋め立てるしかないゴミと燃やしたりリサイクルできるゴミを仕分けることで、かなりの問題を防ぐことが可能になりました。
ただ、仮置き場に一気に粗大ゴミが入ってくるので、スムーズな仕分け作業にはそれ相応の人手と時間が必要となります。
そのため、ゴミを仕分けるボランティアが募られるようになってきています。
また、生活の糧のなくなった避難者にもここで仕事をしてもらうことで、ある程度の収入を確保してもらうことも可能です。
問題としては、仕分けを行う広大な敷地が用意できるかどうかという点でしょう。

2.生活ゴミの処分

生活ゴミは普段の生活でも出てくる「暮らすために出るゴミ」です。
書類や手紙などの紙ゴミ、食事で使った弁当の空き容器や割り箸、残飯や余った食材のような生ゴミ、トイレやおむつで出された汚物などがこれにあたります。
紙ゴミは、環境的には問題がありますが、暖を取る燃料として現地で燃やすことも可能ですし、弁当の空き容器や割り箸は、供給業者に回収もお願いすれば済みます。
問題になるのは生ゴミと汚物で、これらのゴミは放っておくと悪臭を放ち、非常に不衛生になります。
そのため、廃棄するルール作りと処分するための回収計画を作っておかなくてはなりません。
廃棄するためには、面倒でも普段と同じように各自治体の回収方法に沿ってゴミを区分する必要があります。
生ゴミと汚物の取り扱い、あなたの住む自治体はどのようになっていますか?
処理方法について事前に確認しておき、きちんと回収してもらえるようにしておきましょう。
生ゴミと汚物については、二段階で処理をします。
まずは発生したら必ず新聞紙に包んでビニール袋に入れ、その口をしっかりと縛ります。そのとき、袋の中の空気をしっかり抜くと悪臭をかなり防ぐことができます。
これらのゴミは大きなゴミ袋と大きな蓋付きバケツで作られたゴミ箱に入れますが、このゴミ箱は昼夜使うので、居住区からは少し離れた、でも人目につくところに置きます。
そして、中身が一杯になったらゴミ袋の口をしっかり縛り、居住区画から離れた風下でかつ人家のない場所に作った保管場所に収めておきます。
保管場所は野生動物等に荒らされないように密閉できる容器、もしくはゴミに触れないような容器で作るようにしましょう。
そしてこららのゴミがどういうタイミングで回収されるのかを、自治体とつめておきます。
避難所以外で生活している人は、同じように仕分けしたゴミを避難所の保管場所に集めることで、回収する手間を省くことができます。

人が生きて行くには、どうしてもゴミが出来ます。
特に災害時には、衛生の問題からどうしても使い捨てのものが増え、あわせてゴミも増えることになります。
紙皿にラップをかけて使うことや、ペットボトルの再利用、ゴミの出にくい食事や災害用品をパッケージから出して備えておくことなど、なるべく災害時にゴミを出さないように考えて準備しておくことが大切です。

お湯の確保について考える

 災害が発生すると、ライフラインの復旧までは自力でなんとかしないといけません。
 ですが、冷たい非常食が続くとそれだけで気力が無くなっていきます。
 寒い中や、緊張しているに温かい飲み物を飲むだけで、元気になったり安心したり。
 温かい食べ物や飲み物が気力に与える効果を考えると、どれくらい早く温かい食事にありつけるかというのは、結構重要な問題だと感じます。
 今回は温かい食事や飲み物を作るのに使うお湯について考えてみたいと思います。

1.お湯をどう確保するか

災害が発生し、状況が見えない中でも腹は減ります。
特に乳児はミルクを飲ませないわけにはいきませんが、乳児用ミルクを冷たいまま飲ませるとお腹を壊してしまう可能性があります。
また、ほ乳瓶の消毒にもお湯が必要です。
お湯を沸かすためには、次のものが必要です
(1)水
(2)水を入れる容器
(3)水を温めるための道具
もしも非常持出用防災セットの中に鍋と携帯コンロが入っているのであれば、簡単にお湯を作ることができます。
また、発熱・加熱剤を持っていれば、やはりお湯を作るのは難しくありません。
ただ、持って出られない場合もありますし、コンロがあっても「燃料がない」ということもありえます。
その場合にはどうしましょうか。
もし何らかの熱源があれば、それを借りてお湯を作ることにします。
例えばたき火、ストーブといった暖房器具なら簡単にお湯が作れます。
ローソクや油、純度の高いアルコールとマッチやライターがあるなら、空き缶を使ってコンロを作りお湯を沸かすことが可能です。
油やアルコールを使った手作りコンロについては、インターネットのさまざまなところに作例がありますので、見てみてください。
また、そのうちに当研究所でも研究してみようと思っています。

2.お湯をどう保温するか

沸かしたお湯はそのままにしておくとあっという間に冷めてしまいます。
保温用ポットがあればよいのですが、そうでない場合にはどうするか。
クーラーボックスがあれば、その中に容器毎納めることである程度の保温が可能です。
その時には、食べたいレトルト食品や缶詰なども一緒に入れておくと、次の食事の時にある程度温かいものにありつけます。
また、空のペットボトルに入れてタオルを巻くことで即席の湯たんぽを作ることが出来ます。
これで人を温めると、どちらも温度が維持できて一石二鳥です。
このとき使うペットボトルは「ホット専用」「ホットコールド両用」と書かれたものを使うようにしてください。
表示がない場合には、肉厚のものであれば利用可能です。簡単にくしゃくしゃにできるようなものは熱に耐えられず、変形したりして事故が起きますのでご注意ください。
せっかく作ったお湯なので、できるかぎり無駄遣いしないようにしましょう。

3.保管はなるべく水に近いもので

お湯を作ると、すぐにお茶にしたがる人がいます。
やかんなどでお湯を沸かした後そのまま茶葉を放り込むと一度に大量に作れるため便利なのですが、一度お茶にしてしまうと他のものへの転用が効きません。
お湯であれば、乳児用ミルクやインスタントラーメン、スープにも使えますし、冷めてもただの水に戻るだけなので、お茶を作るときには面倒でもその都度容器を変えて入れるようにしましょう。
余談ですが、粉末タイプのお茶であれば必要な量を必要なだけ使うことが可能な上ゴミも出ないのでお勧めです。

トイレ問題を考える

簡易トイレとトイレ用テント。あるのとないのではずいぶんと違う

食べたり飲んだりしたら、必ず起きるのが排泄です。
お腹が減ったのはなんとか我慢できますが、排泄要求を我慢することはなかなか困難です。
そして、災害が発生したときくみ取り式以外のトイレは基本的に使えないと考えてください。
小便や大便をどこへ出してどうやって処理するのかは、実は食事以上にやっかいな問題なのです。
そして、実はこの部分は過去の災害から殆ど状況が変わっていない部分でもあります。
大きな視点でこのトイレ問題をどうするのか、ということはとりあえず置いておいて、あなたの排泄について「自助」でなんとかすることを考えてみましょう。
こういう場合、トイレが使えないので、携帯式トイレかおむつを使うことになります。
あなたの手間と準備の都合でどちらを選ばれても構わないと思いますが、自分が普段1日に何回くらいトイレに行っているかを考え、携帯用トイレや紙おむつをその数×日数+αで準備しておきます。
これらの道具はあなたと品物の相性がありますので、必ず一度使ってみて、あなたに合うかを試してみてください。
施設等人が多いところでは、簡易トイレセットもありますので、そちらを準備した方が経済的かもしれません。
使用した携帯トイレを入れるゴミ袋や臭いや害虫を防ぐために蓋付きバケツもあった方が安心です。
臭いを防ぐ加工のされた袋もありますし、それらを上手に使って避難した先の自分の環境が衛生的であるようにしましょう。
また、手元にありそうなもので作る簡易トイレがありますので、その作り方を載せてみたいと思います。

■簡易トイレの作り方

用意するもの
1.大きめのレジ袋(15号くらい)
2.新聞紙2ページ
3.猫のトイレ用砂(あれば)

■作り方

材料はレジ袋(15号・普通もらえる一番大きなやつ)と新聞紙2ページ

2.レジ袋を拡げて上半分を外側に折り曲げ、箱状にして、中にくしゃくしゃにしてちぎった新聞紙を入れる
3.便座にセットして用を足します。
4.用足しが終わったら、猫の砂を加えてレジ袋を取り出し、口を堅く縛って汚物用のゴミ袋へ。

もしも手元に高分子吸収体があれば、小便の時には新聞紙の代わりにそれを使ってもいいと思います。
吸水力は当然新聞紙以上ですから、使い勝手は非常にいいです。
ただし、大便の時は大便が見えなくなる新聞紙の方が相性が良さそうです。
他にもいろいろな方法があると思います。
その時にあるもので、いかに快適に排泄をするか。
平時からいろいろ考えておいた方がよさそうです。