天井が落ちてくる?!

建物の中の落下物と聞くと、どんなイメージがありますか?
照明器具、高いところに置かれた本や食器、テレビや窓ガラス、いろんなものが浮かぶと思います。
その中に「天井」が落ちてくるという意識があったでしょうか?
一般家屋ではあまり問題にならないのですが、施設では天井そのものが危険ではないかという認識が持たれています。

1.天井が問題になっている理由
天井のうち、「吊り天井」と呼ばれる構造のものが問題になっています。

吊り天井内部
吊り天井内部。石膏ボードをビスやクリップで支えています。

「吊り天井」とは本来の天井から下がったワイヤやシャフトに下げられた鉄骨にビスやクリップで別の天井が作られているもので「安価で音の遮断や断熱、防炎効果」ができ、天井裏の配線などを隠すことができることからあちこちの施設で採用されています。

ここに使われている主な素材は石膏ボードでは7kg/㎡程度、ロックウールでは4.9kg/㎡と重量のあるものです。
地震や経年劣化によりこの天井素材と鉄骨を止めるビスやクリップが外れ、素材が落下することにより事故が発生するもので、東日本大震災では東京の九段会館で2名の方が亡くなっています。

天井用石膏ボード
天井用石膏ボード。持ってみると結構重いです。

建物の耐震基準では、柱や梁は倒れたり落ちたりしないことが絶対的な要件になっていますが、天井は内装物とされ、とくに基準がありませんでした。
平成28年に建築基準法が改正され、初めて吊り天井の強度や構造について決められましたが、それまでに建てられた建物については「増改築時に基準として適用すること」という取り扱いになっています。
2.解決する方法
一番手っ取り早いのは、吊り天井を撤去してしまうことです。構造物が無くなれば問題は解決します。

天井用ワイヤメッシュ
石膏ボード落下対策のワイヤメッシュ

とはいえ、防音防炎断熱をここまで安価にできる代替素材もありませんので、その機能が必要な場合には落下防止対策をする必要があります。
石膏ボードの下にネットやメッシュワイヤーを置くことで、破壊されたときに大きな破片がいきなり落ちることは防げます。
また、軽量化された代替品も出ているようですので、それらに置き換えていくのも一つの方法です。

いずれにしても、施設では天井の落ちる可能性があると言うことを頭の中において行動することが必要なようです。

通電火災を防ごう

地震が起きると、電力会社は被災した一帯の送電を止めます。
発災後、電柱や電気施設の確認をした上で通電を再開するわけですが、この時、地震で壊れた電化製品や断線した電気コードがショートしたり、電気ストーブなどの暖房器具が倒れてきた洗濯物や本など可燃物と接触したりして火災が起きることがあります。
これを通電火災と呼びますが、1995年の阪神淡路大震災で起きた出火はこの通電火災が原因とされているものが数多くあります。
また、東日本大震災でも、発生した火災の6割が通電によるものとされ、中には避難所として使われていた施設も、通電火災により閉鎖になったケースもあります。
電力会社でも対応は進めていて、2016年4月の熊本地震では通電火災は0件となっています。
これは通電前に通電予定箇所を広報して回ったり、倒壊した家屋への引き込み線を撤去することにより達成できたものです。
とはいえ、規模が大きくなったり被災範囲が広範囲になってしまった場合には、全ての場所に電力会社が対応できるとは限りません。
そのため、自衛手段として配電盤を「感震ブレーカー付き」にしておきましょう。
感震ブレーカーと言ってもさまざまな種類があり、配電盤内に感震装置を内蔵しているものや設定した揺れが起きた段階でボールやバネの力によりにブレーカーのスイッチを切るするものなど、いろいろあります。


GV-SB1 リンテック21 感震ブレーカーアダプター【簡易タイプ】 YAMORI(ヤモリ)



簡易型感震ブレーカー「スイッチ断ボール3」 SWB03


感震ブレーカーはその名の通り地震に対して有効な電源切断装置ですが、他の災害では機能しません。
そして、地震以外の災害時でもブレーカーで電気を遮断しなくてはいけないことは変わりません。
ただ、いきなり来る地震ではブレーカーによる電気遮断のことを忘れがち。
そのため、自分の財産を守るためにも、周囲を燃やさないためにも、感震ブレーカーを設置するようにしましょう。
また、当たり前ですが普段から電気ストーブやファンヒーターの周りには可燃物を置かない、使っていない電化製品はプラグを抜いておくといったことも意識しておくようにします。
東京消防庁の調査では、東京消防庁管内で発生したストーブ火災のうち、電気ストーブによるものが実に7割を占めていたそうです。
災害時だけでなく、普段からも火災を出さないように意識したいものですね。

り災証明書・被災証明書の使い道

災害が発生すると、地元自治体に申請することでり災証明書や被災証明書がもらえます。
これは「被災しました」という証明書なんですが、この証明書、何に使うのかご存じですか?
今回はり災証明書使い道について確認してみます。

1)準備

り災証明書の申請に限りませんが、被災した建物、家財用品その他、自分が持っていて被災したものの写真は全て角度を変え複数枚写真を撮っておきましょう。
写真があると、り災証明書の申請だけでなく、地震保険などで手続きする際にも重要な資料となります。

2)り災証明書・被災証明書の発行手続き

「り災証明書」は建物が被災したとき、「被災証明書」は建物以外で被災したときに発行されるものですが、自治体によっては全ての被災証明を「り災証明書」にしている場合もありますので、窓口で何が罹災したのかを説明して必要な証明書の手続きを行ってください。
なお、り災証明書の発行手続きについては以前触れたことがありましたので、そちらも参考にしてください。

3)り災証明書・被災証明書が必要なもの

行政などで行う各種減免手続きに必要となります。
減免手続きとは「こんな被害を受けたから○○を支払うことを減額して(免除して)」というもので、例えば「各種税金」「国民健康保険」があります。
また、災害関連の「見舞金や助成金」を受ける場合にもこの証明書が必要となります。
住宅ローンなどローン関係は、り災証明書を提出することで金融機関ほかの貸付条件が変更になる場合があるようです。
また大規模災害の指定をNHKがした場合には、このり災証明書他の書類を揃えて提出することで、受信料の減免がある場合もあるようです。
自治体以外の手続きについては、発生した災害によりその都度適用される場合とそうでない場合があるようですので詳しくはそれぞれが発信する情報を確認するしかなさそうです。

4)り災証明書・被災証明書が必要ないもの

行政への手続きではないものは殆どの場合不要です。
代表的なものが「地震保険」。これは各保険会社の規定で支払われるものなのでり災証明書があってもなくても、独自に判定が行われます。
建物だけでなく家財も対象となる場合がありますので、加入している保険会社に状況を説明し、写真や現物などで確認をしてもらうことになります。
火災保険や生命保険についても、り災証明書や被災証明書は原則として不要です。

証明書の申請は手間がかかる上に時間もかかります。
そのため、自分がなんのためにそれを取得するのかについてよく考え、優先順位をつけて手続きを行うようにしましょう。
また、り災証明書の申請受付は自治体により差はありますが受付期間が決まっています。手続きを忘れると、本来受けられるはずの行政関係の各種申請ができなくなりますので、忘れずに手続きをするようにしてください。

自分がやるべきことと他人に任せることを決めておく

 災害が発生すると、災害対応で自治体や企業は通常の仕事とは異なる仕事が極端に増えます。
 そして災害が収まると、あちこちから来てくれる応援部隊や手伝ってくれるボランティアが復旧や復興に携わってくれることになります。
 人手が増えるのはありがたいことなのですが、その時に支援を受ける側が「自分たちでないと出来ない仕事」と「任せても大丈夫な仕事」の整理をしておかないと、せっかく来てくれた人達が遊んでしまう上に自分たちの仕事は増える一方という事態になってしまいます。
 平時に仕事の整理をしておくことで、支援してくれる人達に効率よく仕事がしてもらえ、自分たちも自分たちにしか出来ない仕事に集中できるというメリットを生むことができるのです。
 仕事の整理は「災害時・災害後になにをしなくてはいけないのかという仕事の洗い出し」と「自分たちでないと出来ないこと」「自分たちがやった方が効率がいいこと」「他の人に任せても大丈夫なこと」「他の人に任せた方が効率がいいこと」にわけて考えます。
 そして、任せる部分はマニュアルを作ってそれを見ればできるようにしておくこと、そして、任せるべき相手が決まっているのならその相手を交えて事前に練習をしておいたほうがよいでしょう。
 自治体の場合だと、例えば罹災証明書はその自治体の職員でないと基本は作成ができません。また、方言の強い地域では応援部隊が電話の内容を理解できない事態も発生しうるでしょうから、それらも被災自治体職員がやったほうが効率的かもしれません。
 逆に避難所の運営や物資の備蓄と配布、資機材の手配といった部分はマニュアルの整備と手順さえ決めておけば、自分たちでやらずに誰かにお任せした方が効率がいい場合が多いです。
 企業だと、会社の根幹に関わる部分は他人任せにできないとしても、インフラの復旧やお得意様先の機材の修理や更新手続き、物資の供給などは協力関係にある他社にお願いすることはできるはずです。
 物資の備蓄や配布といった作業は、普段から作業になれている運送屋さんやホームセンター等に任せた方がうまくいくでしょうし、被災者の安否確認は地元の自治会に任せるのも手です。
 「どこでだれに何をいつ任せるのか」を決めておいてお互いに了解していると、いざ災害が発生したときにさまざまなことが自動で動くことになり、自分たちはやらないといけないことに専念できます。
 いかに自動で物事が動くのかという仕組み作りをしておくことで、さまざまな人的・物的資源を上手に使うことができるのです。
 これは個人でも同じで、被災した後一人で被災家屋を片付けるのはかなり困難ですので、知り合いやボランティアにお片付けを手伝ってもらうのに、どこまで何をお願いするのかをあらかじめ決めておくと、入ってもらったときにすぐに作業にかかることが可能になり、復旧が早く行えます。
 仕事自体を何も情報無しで「丸投げ」では困ります信用をなくします。かといって、全部抱え込んだら精神的に持ちません。
 ポイントを押さえて、任せられる部分は全て応援部隊やボランティアにお任せしてしまう。
 そのことで、いち早い復旧と精神的な落ち着きを取り戻すことが可能です。
 破滅的な大災害で無い限り支援は必ず入ってきますので、受け入れるための準備を怠りなくしておきましょう。
 また、自治体や企業の場合、支援をしてくれる相手との支援協定を結んでおくことも大切です。

プレート境界型地震と活断層型地震

今話題の南海トラフ地震ですが東日本大震災と同じプレート境界型地震で、確率的には30年以内に起きると言われているようです。
わかっているのは確実に起きるということだけで、それがいつかは誰にもわからないというのが今の状態です。
そして、南海トラフ地震が騒がれている中、2018年は島根県西部地震、大阪北部地震、胆振東部地震など大きな地震が続きました。
こちらは活断層型地震でいずれも予測されていなかったところで起こりました。
今回はこのプレート境界型地震と活断層型地震について整理してみたいと思います。

1)プレート境界型地震の起こる原因

日本は4つの大陸プレートがぶつかる場所に存在しており、これらのプレートの動きによって日本では地震がよく起きます。
このうち、太平洋プレートとフィリピン海プレートが北アメリカプレートとユーラシアプレートに潜り込んでおり、この境界部分で潜った地面が壊れたり元に戻ろうとしたりすることで地震が発生します。
これがプレート境界型地震と呼ばれるものですが、海底で起きるためこの時の反動が海に伝わり大きな津波も起こることがあります。
特に太平洋プレートとフィリピン海プレートは動きが活発なため、地震が発生する周期は数十年から数百年と割と短く、規模の大小はあれ確実に起きることがわかっています。
また、北アメリカプレートとユーラシアプレートの境でも衝突が起きているのですが、お互いに押されている力がさほど強くないため、そこまで頻繁に大きな地震が起きるところまでは行かないようです。

プレート境界型地震のイメージ図

2)活断層型地震の起こる原因

これらのプレートが互いに押し付けあうことで陸地のあちこちには歪みが生じます。その歪みに耐えられなくなったことにより発生するのが活断層型地震です。
十万年以内に動いた形跡のある活断層帯には名前が付いていますが国内だけで約2000カ所あり、まだ見つかっていない活断層もあることから日本国内のどこで起きてもおかしくないとされている地震です。
割合表層で起きることが多いことも特徴です。

3)地震の規模と被害の起き方

プレート境界型の地震は一般的に巨大です。激しい揺れが数分間続き、かつ数十年から数百年という短い期間で再発するものが多いようです。
日本の場合は海底で起きることが殆どのため、直接的な揺れよりもそれに付随する津波の方が危険かもしれません。
対して活断層型の地震はプレート境界型ほどの強さと揺れる時間の長さはなく、発生する間隔もかなり長いのが特徴です。
活断層型は「正断層」「逆断層」「横ずれ断層」の3つのパターンがあり、日本列島ができた経緯によるものか、フォッサマグナから東では「正断層」「逆断層」タイプが、西では「横ずれ断層」が多いようです。
「正断層」「逆断層」はその場で上下にずれるため、局地的に激しい揺れと被害がでます。
また「横ずれ断層」は理論的にはどこまでも伸びることが可能なので、一定方向に向けて被害が拡がる傾向があります。

断層の動きは東と西でかなり違うようです。

4)どこまで予測できるか

プレート境界型地震の場合は震源からある程度距離があるため、緊急地震速報が有効です。
また、発生する間隔が数十年から数百年ごとのため、誤差は生じますが起こる時期の予測もある程度は可能です。
ただ、深々度で発生したプレート崩壊による地震は予測が難しく、緊急地震速報が鳴る前に揺れ始めることが多いです。
活断層型地震は表層で起きることが多いため、震源直上周囲では緊急地震速報が鳴る前に揺れ始めることが殆どです。
また、再発する間隔が数十年から数十万年とまちまちなため、次にいつ起きるかは誰にもわかりません。

日本に住んでいる以上、どこに住んでいても地震に遭う確率は0%ではありません。
そして、予測できない地震がどこで起きてもおかしくない以上、備えも必要だということなのでしょうね。

灯りを作ろう~サラダ油の場合~

灯りというのは人が人であるために必要不可欠なものの一つなのでは無いかという気がします。
普段は電気を使った照明で明るく闇のない生活をしているわけですが、災害が発生すると、途端に真っ暗な世界が誕生します。
そんなとき、手近なもので灯りを作ることができたなら、気持ちがほっとするのではないでしょうか。
そんなことを考えて、さまざまな家でありそうな材料を使って灯りを作ってみようという研究をしてみることにしました。
今回は割と定番のサラダ油を使って灯りを作ってみることにします。
材料は次のとおり
1.お皿
2.ティッシュペーパー
3.アルミホイル
4.サラダ油
5.ライター

サラダ油ランタンの材料
良く時代劇に出てくる菜種油の行灯の中身を作ります

まずはティッシュペーパーを一枚取り出し、半分にちぎって、そのまた半分をこより状にします。

ランタンの芯作り
ランタンの芯作り。たこ糸やなんかの方が楽かもしれません。

細く切ったアルミホイルでティッシュペーパーの芯をくるみます。

ランタンの芯作り2
細く切ったアルミホイルを二つ折りにし、ティッシュペーパーの芯を包みます

お皿にサラダ油を入れます。実験なので、燃焼が確認できる程度、大さじ一杯半ほどにします。

お皿に油をいれます
耐熱性のある背の低いお皿に油をいれます。

ティッシュペーパーの芯を油に浸します。吸い上げるかなと思ったら、いつまでたっても芯の方に油が上がってこないので、全体を油に浸しました。

芯に油を回します
ティッシュペーパーの芯にはサラダ油は上がりにくいみたいです。

そして点火。芯の部分がいい感じに燃えてくれます。

芯に火がついた
芯の部分はアルミ箔の上に出ているところだけ燃えてます。

芯を伸ばしてみると、火も大きくなります。

芯を伸ばすと火も大きくなる
アルミ箔の上の芯を伸ばすと、火が大きくなりました。

アルミ箔を外すとどうなるのかやってみます。

アルミ箔を外して芯だけにしてみた
アルミ箔を外して芯だけにしてみるとどんな燃え方をするのだろう?

芯がどんどんと燃え、大きな火になってしまっています。サラダ油なので、簡単には火がつきませんが、ティッシュペーパーの芯だと激しく燃えてしまいます。

芯が大きく燃えている
芯がかなり大きな火になって燃えています

というわけで、アルミ箔があることでそれ以上芯は燃えず、そこでサラダ油がうまいこと温められ、いい感じに気化しているのではないかと考えられます。

芯にはアルミ箔がいるのかも?
芯をアルミ箔で支えると安定して燃えてくれるようです。

もっとも、油の量が多くて芯の太さが一定であれば、恐らくは昔の行灯のような燃え方をしてくれるのではないかなと思いました。

また、芯が長くなると、芯が燃えて煙が立ち上ることもあり、あまり芯の長さは伸ばさない方が良さそうです。

臭いは殆どありませんでした。

ろうそくよりも温度が低そうなので、炉に使うには火力は弱そうですが、手近な素材で簡単に灯りを作ることは可能なようです。

阪神淡路大震災に思う

1995年1月17日午前5時46分。
淡路島北部の明石海峡を震源とする阪神淡路大震災が発生しました。
その時は益田の地でもぐらりとした揺れがあり、寝ていた私も目が覚めて何が起きたのかわからずにきょろきょろと辺りを見回したものです。
その後、どうやら神戸の方で大きな地震があったらしいという話が聞こえてきたものの、特に被害の話は聞かなかったのでそのまま関東地方へ出張に出かけました。
「鉄道は止まっている」という情報は入っていましたが、そんなに甚大な被害とは思わず飛行機で東京へ。
神戸の惨状を知ったのは、出張先で仕事を終えて入った宿の食堂のテレビからでした。
大阪や神戸から来ていた人達もその場にいたのですが、テレビから流れてくる映像に言葉もなく茫然となっていたのを今でもはっきりと覚えています。
その後、彼らと一緒になんとか現地の情報がわからないかと画策するのですが、今と違って携帯電話やインターネットがさほど普及していたわけではありませんからとにかく情報がない。
国や政府ですら、全容が把握できていない感じでした。
この時に思ったのが、災害については「情報が無い=問題ない」ではなく「情報が無い=発信できないほどの被害を受けている」ということなのだということです。
情報が出せない地域にどのように情報を取りに行くか。
マスメディア、特にテレビは「絵として使えるひどい状況」ばかりを伝える性格を持っています。
直接影響のなかった人達への見世物としてはいいのかもしれませんが、被災者がその映像を見てさらに落ち込むという悪影響は残念ながら現在も配慮されていない気がします。
今はSNSが発達しました。そのおかげで、さまざまな情報が発信されるようになり、丹念に拾っていくと早い段階で全容が見えるようになっています。
また、行政側もいかに素早く情報を出していくかという努力を続けてきたので、かなり早い段階でそちらからも全容がわかるようになっています。
ただ、あちこちからさまざまな情報が発信されるようになった結果、今度は欲しい情報が埋もれてしまうという事態が起きるようになりました。
あの「情報が無い」という焦燥感からすると隔世の感がありますが、どうやって必要な情報を手に入れていくか、今はそれを模索している状態です。
阪神淡路大震災当時、私の知り合い達も神戸や大阪、その近郊に住んでいました。
連絡手段が限られていたこともあり、現地の知り合いの安否が全て分かったのは数ヶ月後。
私の知り合い達は怪我くらいで済みましたが、その知り合い達は殆ど何らかの形で自分の知人や友人を亡くしていたことも聞きました。
あれから24年が経ちますが、災害への対応力というのは挙がったのでしょうか。
建物はその後も続く地震により耐震性がより強化され、ちょっとやそっとでは崩れないものになっています。
でも、住んでいる私たちの考え方や備えはどうだろうか。
当時は「想定外」といえたことも、今は「想定内」になっています。
災害への備えと、生き続けるための段取り。
この日が来るたびに、自分にその準備が出来ているかを問いかけています。

アルファ米を試してみるその1

防災用品の中でよく出てくるアルファ米。
有名なところでは、尾西食品、アルファ食品、サタケなどがありますが、あなたは食べたことがありますか?

アルファ米の写真
アルファ米も種類があってメーカーごとに味も違います。好みのものを見つけましょう。

当研究所で研究員のうちの子3人にそれぞれのアルファ米の五目ご飯を食べてみてもらうことにしました。
第一弾は、尾西食品の五目ご飯。
災害イベントでは割と良く出てくる定番のアルファ米で定番のメニューです。

尾西食品の五目ご飯
尾西食品の五目ご飯。防災イベントの常連です。

中に入っている乾燥剤とスプーンを取り出し、お湯を注いで待つこと15分。
できあがりは、どんぶりに軽く一杯という量。パッケージには「お茶碗軽く2杯分」と書かれています。

五目ご飯のできあがり
できあがりはこんな感じです

五目ご飯をお皿に盛ったところ
五目ご飯をお皿に盛るとこんな感じです

お茶碗に半分ずつ、4等分して試してみた子ども達の感想は
「味がしっかりしてる、というか、濃い」
「ちょっと堅い。お年寄りは食べづらいと思う」
「んまい」
とさまざま。
少し芯があるような堅さに仕上がっているのは、お湯の量の問題かもしれません。
規定量で作ると堅めに仕上がる感じですので、柔らかいのが好みの方は、お湯を気持ち多めに注げば、うまく食べられるのではないでしょうか。また、五目ご飯は全体的に味が濃いというコメントを他の人からももらったことがありますので、薄味が好みの方は、白ご飯と合わせて作るのもよいと思います。
若い人や汗をかくような仕事をした後などは、恐らくかなりおいしいのではないかと思います。
ここのメーカーさんはいろいろな味を出しているので、自分の好みにあったものを見つけてみるのもいいかもしれません。
最後に詰め合わせセットをご紹介しておきますので、興味がある方はぜひ一度試してみてください。

尾西食品のアルファ米12食全種類セット ★最安値挑戦中!★賞味期限5年以上をお約束!

価格:3,348円
(2019/1/16 21:10時点)
感想(9件)

新聞紙は万能選手だ

新聞紙は万能アイテムです。
もしも普段配達してもらっているなら、一週間分くらい手元に置いておくと、いざ災害が起きたときにいろいろなことに使えます。
また、非常用持ち出し袋にも1日分くらいいれておくと、本当に便利です。
どんなことに使えるのか、いくつか例をあげてみることにします。

1)敷物になる

野外では湿気てしまってあまり長くは使えませんが、体育館などに避難したとき、新聞紙が1日分あれば、床に敷くことで断熱材の代わりをしてくれます。
あるのとないのとでは大違い。ブルーシートだけでは寒い日でも、さほど床の温度を気にすることなくしのぐことができます。

2)添え木になる

一日分の新聞紙を四つ折りし、四つ折りの真ん中に折れた腕や足を入れてガムテープなどで固定すると、簡易型の添え木になります。
週刊誌や雑誌でも可能なのですが、柔らかさや使いやすさでは、新聞紙の方が上です。

3)燃料として使う

新聞紙は紙ですから、非常によく燃えてくれます。
くしゃくしゃにすればたき火をするときの焚き付けに使えますし、しっかりと堅く丸めれば、薪のようにしても使うことができます。

4)簡易トイレの吸収剤として使う

断水すると、トイレは基本的に使えなくなります。
大きなビニール袋にちぎったたくさんの新聞紙を入れて便器にはめると、簡易トイレができます。
大小問わず対応できるので、とても使いやすいです。
終わったら、ビニール袋の蓋をきつく縛れば、可燃ゴミとして処理が可能な場合もあります。
自治体によって異なるようですので、気になった方はお住まいの自治体にご確認ください。

5)防寒具として使う

新聞紙を下着の上に挟むと、断熱材の代わりになり、とても暖かく過ごせます。
また、大きなビニールのゴミ袋を加工して上着代わりに着込んで併用すると、かなりの寒さにも耐えることが可能です。
新聞紙は湿気を吸いますので、湿気を逃がさないゴミ袋を着込んでいても、快適に過ごすことが可能です。

6)日用品になる

新聞紙を折り紙すると、スリッパや食器、ゴミ箱など、さまざまなアイテムを作ることができます。

7)退屈しのぎになる

新聞記事を読んだりちぎったり折り紙するのに使えるので、思ったよりも時間がつぶれます。

他にもちょっとしたことでも使えるのが新聞紙です。
最近は新聞をとらないというお宅も増えているようですが、非常持出用防災セットに1日分、家の保管ボックスに2日分くらいを入れておくと、何かと重宝すると思います。
いろいろと試してみてくださいね。

避難所と避難場所と福祉避難所

避難所と避難場所と福祉避難所。
よく似た名称ですが、中身はちょっと違います。
今回は、この3つについて、その違いや中身について触れてみたいと思います。

1.避難所と避難場所の違い

避難場所と避難所。同じじゃないかと思いませんか?
少なくとも、防災のことをやり始めるまで、私はそう思っていました。
災害対策基本法の中でこの二つの違いについては、実はきちんと定義されています。
「避難場所」は法律上は「指定緊急避難場所」となっていて、該当する災害に対して安全な建物や公園などとりあえず逃げ込める「場所」が指定されています。
「避難所」は法律上は「指定避難所」となっていて、災害後、家が壊れたりして住む場所を確保できない人に提供される「施設」のことです。
同じ場所が指定されていることも多いのですが、例えば益田市の場合には「避難場所」は「校庭」、「避難所」は「屋内運動場」というような整理をしているようです。
益田市吉賀町は避難場所及び避難所は施設と住所の一覧表になっていましたが、津和野町は一覧表の他に位置図も作っていて、わかりやすいなと感じました。

2.避難所と福祉避難所の違い

避難者のうち、高齢者、障がい者、乳幼児、妊産婦、傷病者、内部障がい者、難病患者など特別の支援が必要な人(これらの人は「要配慮者」と呼ばれています)のために支援が受けられる施設を避難所として指定するのが福祉避難所です。
避難所と異なるのは、福祉避難所は災害発生当初から自動で設置されるものではなく、被災自治体からの要請で開設されるということです。
福祉避難所として指定できるのは一般避難所内の一部、老人福祉施設、障害者支援施設、保育所等の児童福祉施設、保健センター、特別支援学校、宿泊施設となっています。
自治体と各施設の間で協定を結ばなければ福祉避難所として指定できないのですが、災害時、収容する被災者支援に必要な職員数や資機材を確保できないことから難色を示している施設も多く、なかなか指定が進まないようです。
そのため、福祉避難所という名前は存在しますが、実際に運用できるのかという大きな問題があります。
また、要配慮者に対する配慮は配慮の必要な内容によって収容できる施設が変わるはずですが、現在のところそのような考え方はされておらず、妊産婦も障がい者も高齢者も一緒に収容するような感じになってます。
石西地域では吉賀町のみ福祉避難所の指定を確認できました。

3.支援はどう異なる?

食料や物資などの支援は「指定避難所」に対して行われることが原則になっています。
そのため、自治体の定めた「指定避難所(福祉避難所)」以外に避難した場合、そのままは物資やその他の支援が受けられない事態が発生します。
例えば、地域や有志で設置した「避難所」は支援の対象から外されることが多いようです。津和野町ではこれを「一時避難所」とし「行政の支援がない避難所」と定めていました。
ただ、災害対策基本法では避難所以外の被災者に対しても支援は行わなければならないと決められていますので、実際には自分たちの避難しているところから指定避難所に物資を受け取りに行くような形になると思われます。
また、避難場所に多数の避難者がいる場合には「指定はされていないが指定避難所扱いされる」場合もありますので、細かい運用は各自治体によって変わってきます。
ところで、人工透析や酸素吸入などの医療設備を必要とする人達への支援は、優先度は高いのですが支援はかなり遅れます。できれば被災地外に域外避難して安全を確保するほうが良いでしょう。
妊婦については、かかりつけの病院での出産が不可能な場合、最悪避難所での出産という可能性があります。
かかりつけの産婦人科医に、どのようなものが必要なのか、どのような支援が受けられるのかについて確認しておきましょう。