自分ができる地震時の安全な姿勢を決めておく

 地震が起きたとき、まず最初に周囲の安全を確認してからダンゴムシのポーズを取る、というのが最近の耐震姿勢のはやりのようです。
 ただ、何らかの事情でダンゴムシのポーズがとれなかったり、周囲の安全確認に時間がかかったりする人がいることも事実ですので、自分がすぐにとれるできるだけ安全な姿勢というのを確認しておきましょう。例えば高齢者の方などは素早い行動を取るのが困難な人も多いですから、安全確認しているうちに揺れで転んで怪我をしてしまうかもしれません。それを防ぐためには、普段歩くコースに危険なものがないかを意識しておくことです。
 それから、転倒しないためには重心を下げる必要があります。人間の身体は構造上異常に頭が重たくなっていますので、なるべく低い姿勢を取ることが大切です。しゃがんだり、座ったりすると揺れに対して転んでしまうリスクはかなり下がります。階段では、必ずてすりをつかんで移動し、揺れを感じたら手すりをつかんだまましゃがむこと。そうすれば何もせずに立ったままよりもかなり安全になります。
身体が揺れを感じたらすぐに低い姿勢をとること。もし地震でなかったとしても、転倒する危険は防げます。
 地震そのもので死ぬことは殆どありません。揺れによる転倒や倒壊、崩落などに巻き込まれて死ぬのですから、その原因をなくせばいいのです。
 普段からの生活スペースの片付けや移動経路にものを置かないことなどしなければいけないことはたくさんありますが、ちょっとした意識の変化で生存確率を変えることはできます。あなたにあった地震時の安全な姿勢を見つけ、その姿勢が無意識にでも取ることができるように、見つけて練習しておいてください。

災害時の情報にはどんなものがあるだろう

 災害で危ない目に遭わないようにするためには、災害が起きる前に自分の安全を確保することが大切です。その判断基準の一つとして、行政機関が発表する各種情報がありますので、今回はこの情報について確認してみることにします。

1.情報の種類

情報の種類には、大きく分けると3つあります。

(1)気象庁が出す気象情報

 気象庁や各気象台が出す情報で、早期天候情報、各種注意報、各種警報、各種特別警報など、おそらく一番よく見聞きする情報です。テレビやラジオ、インターネットなどで確認できます。

(2)気象庁と関係自治体が出す河川情報及び土砂災害情報

 国、都道府県が管理している河川の水位とその水位に基づく河川情報、雨や水量の状況によって起きる土砂災害に関する土砂災害情報があります。
これらの情報は重複して提供されていたり、管理区間だけ提供されていたりとややこしいので注意が必要です。
 河川情報は国土交通省の各河川事務所、土砂災害情報は各都道府県の砂防事業を担当している部署のホームページ、または都道府県の防災ポータルでも確認できます。

(3)市町村が出す避難情報

 上記(1)や(2)の情報を元に、市町村が集めた情報を総合的に判断した上で避難情報を出しています。市町村からは防災無線や防災メール、一部ではSNSでも提供されています。

 ご覧のように、さまざまな行政機関がいろいろな情報を出しているため、去年情報の緊急性を示すレベル表示が導入されたのですがこのレベルだけではなんのことかわからないということで、現在はレベルと避難情報を併記した状態情報が提供されています。
 次に各レベルと対応する各種情報を並べてみます。

2.発表されるレベルと情報の関係

(1)レベル1

 気象庁が天気でなんらかの危険の兆候が見られるときに出す早期天候情報。これが発表されると「レベル1」になります。
 ラジオやテレビの気象コーナーでも触れられることがありますが、1週間程度前から危険が予測されそうな場合には情報が出されます。精度的は低めですが、これが発表されたら非常用持ち出し袋の中身や備蓄品の確認をして、不足しているものがあったら買い足しておくようにしてください。

(2)レベル2

 気象庁の「大雨注意報」や「洪水注意報」、国や都道府県の「河川洪水注意報」や「土砂災害注意情報」などが発表されたときに「レベル2」になります。
 これが発表されると、この先危険になる可能性があるということですので、あらかじめ決めてある避難経路を確認して、いつ、どこを通って、どのような手段で、どこへ避難するのかを見ておいてください。
 また、気象情報に意識を向けるようにしてください。

(3)レベル3

 気象庁の「大雨警報」「洪水警報」国や都道府県の「河川氾濫警戒情報」「土砂災害警戒情報」が発表され、住民通報や道路などの状態から危険が迫っていると判断されると「レベル3」が発表されます。
 「レベル3」は避難情報では「避難準備・高齢者避難開始」といい、災害が起きる可能性があるから避難準備を始めること。乳幼児がいたり、高齢者の方や障害者の方など、避難に時間のかかりそうな人や土砂災害警戒区域・土砂災害特別警戒区域に住んでいる人は、準備ができ次第すぐに避難を始めてくださいというお知らせです。
 ここからはだんだんと緊急性を帯びてきますが、「レベル3」は比較的早い段階で発表されるので、避難に車を使うことが可能です。家に不安のある人や、孤立しそうな場所の人も、できれば避難した方がいい情報です。

(4)レベル4

 市町村の発表する「避難勧告」や「避難指示(緊急)」がこれに当たります。
 国や都道府県では「河川氾濫危険情報」や「土砂災害警戒情報」の発表も判断基準の一つとなっていますが、これが発表されるときには小さな災害は発生しています。危険地域に住んでいる人は何を置いても避難してください。避難に時間のかかる人がいる場合には、二階に避難するなど屋内での垂直避難も考えるような状態です。これが発表されたら、原則として避難に自動車ではなく徒歩での避難になりますので注意が必要です。

(5)レベル5

 市町村では「災害発生情報」の発表となりますが、これが出るような状況だと多くの場所でいろんな災害が起きている状態です。
 気象庁が出す「大雨特別警報(浸水害)」「大雨特別警報(土砂災害)」、国や都道府県では「河川氾濫発生情報」がレベル5の判断基準となっていることからも分かるとおり、完全に災害となっています。
 もしこの発表があったら、その時点・その場所でもっとも安全と思われる場所へ直ちに避難をしてください。

 ここまで読んで気がついた方もいらっしゃると思いますが、「避難命令」は災害の避難情報には存在しません。最上位でも「避難指示(緊急)」ですので、避難に関する情報については気をつけていただければと思います。

 今まで説明した内容を一覧にするとこの表になります。(出典:気象庁HP)
 自分は避難すべきかどうか、避難するとしたらどの情報が出たときに避難を開始すればいいかを、今までの説明とこの表、そしてあなたの状況を考えて決めておいてください。
 また、この表の色は、そのまま「土砂災害情報」や「河川情報」のメッシュ地図で使われているものです。紫が一番ひどい状態だと言うことを覚えておくといいと思います。ただ、一つ例外があるのは気象庁の雨雲レーダーです。これは一番強い雨雲を赤で示すことになっていますので、そこだけ注意してください。

3.避難の判断基準

 避難の判断基準はあなたの状態や避難先、そして気象条件により変わるため、一概にこうだということは言えません。
 おおざっぱに書くとレベル3からレベル4の間で避難の開始から完了まで済ませることができれば、概ね安全だと言えるでしょう。
ただ、現在起きている、または起きそうな災害に対応している避難先でなければいけませんので、そこだけは注意するようにしてください。
 もし避難所(一時避難所、避難場所含む)に避難されるときにはその避難所がどんな災害に対応しているのかを事前に確認し、避難先を決めておくことをお勧めします。避難所の性格についてはこちらでご確認ください。

意識と行動

 災害対策が必要だと思っている人は多いと思いますが、あなたはいかがですか。
 地震、台風、大雨、洪水、雷に猛暑と、特にここ最近あらゆる形で襲いかかってくる災害。自分が安心して過ごすためには、災害対策をきちんとしておかなければいけません。
 では、災害対策で何か準備をしているかと尋ねると、ちょっとしたことまで含めると、結構な確率でそれなりに準備しているという回答をいただけるようになってきており、災害対策の普及をしている身としては少しだけ喜ばしいことだと思っています。
 ただ、問題になるのは災害対策は一度備えればOKというものではなく、定期的にいろんなものを見直して準備し続けるという行動が必要となります。
 これはなかなか難しいようで、災害でひどい目に遭ったところでさえ、十年も経つと備えていたものがみんな駄目になってそれっきりというようなことになっていることが殆どなので、災害対策を意識してもらった後は、継続して意識してもらえるような仕掛けを作る必要があります。それが地域や行政が行う避難訓練であり、3.11や1.17といった災害を忘れない日として毎年取り上げられている日です。
 家庭でも、意識し続けることは非常に難しいと思います。でも、年間計画で一年に一度、キャンプと安全な場所までの避難訓練を行えば、災害対策を意識し続けることは無理なくできると思います。
 備えているから安心、ではなく、備え続けるから動けるという意識でいたいものですね。

まずは安全確保から

 地震にしても、水害にしても、津波や台風にしても、まずは自分の安全を確保するところから始まります。いくら生き残った後の避難訓練や復旧手順の確認をしても、災害時に死んでしまっては何の役にも立ちません。でも、どのように安全確保すると生き残る確率が上がるのかについては、案外とまじめには考えられていないものです。
 例えば、学校や施設では、生徒や入居者の安全確保についてはうるさいくらいに言いますが、肝心の教員や職員は安全確保が非常におざなりだと感じています。普段指導する側やお世話する側なので、そうなってしまうのは仕方が無いことなのかもしれませんが、正直なところうるさく指導する人ほど自分の安全対策はないがしろにしているなと思います。どのような人であれ、災害が起きたときにはその災害が特定の人だけ避けてくれるわけではありませんから、他人に指導しながら自身も安全確保をするための行動を取る必要があります。
 さまざまな訓練を見てきていますが、指導するときには格好の指導はしますが、なぜその行動を取らなければいけないのかという説明は殆どされていません。
 防災訓練での前提となる「安全確保」について、当たり前だとは思わずにきちんと対象者に説明すること。そして言っている本人も自分の安全確保はきちんと意識し、行動すること。
 まずは生き残る確率を上げるためにどのように安全確保したらいいのかについてしっかりと意識し、確認し、自分の中や周囲の人と、しっかりと共有して行動するようにしてくださいね。

防寒着は身体に近いところに着る

 ここ数日、ちょっと寒くなっています。某量販店の見た目ダウン、中身は綿のなんちゃってダウンベストを家庭では着込んでいますが、着込む場所によって感じる体感温度がずいぶん違うということを感じています。
 去年までは服の上に着込んでいたのですが、今年買い換えたので、試しにと古いくたびれたベストを下着の上に直接着込んでみたら、体感温度が数度以上違ってびっくりしました。身体の発熱をベストの中綿が作る空気の層がしっかりと保持してくれるので、少々寒くてもご機嫌で活動ができます。
 熱が逃げる面積としては、胴は非常に大きな部分を占めていますので、ここが暖かいと身体全体の暖かさが違います。

下着と上着の間に着込む。動きは少し鈍くなるが、暖かさは段違い。


 難点と言えば、熱が逃げないので激しい運動をしたり暖房が効いている部屋にいたりすると暑くなりすぎて困ること。文字通り汗までかいてしまいます。
 ただ、防寒対策としてこの手のベストを着るのであれば、アウターとしてではなくインナーとして使うべきなんだろうなと感じています。

【活動報告】こどもメディカルラリーに参加しました

 あなたはこどもメディカルラリーというのをご存じですか。元々は大人に対して応急手当、胸部圧迫(心臓マッサージ)、119番通報、AEDの使用方法について学ぼうという目的で作られたそうですが、こどもでもしっかり学べるということで、子ども用に作った企画だそうで、島根県内でも去年から開催されるようになっています。
 今回、去る2月8日に島根県職員会館で開催されると言うことで、当研究所の誇る研究員達4名がチャレンジしに行きました。本来は3名一組でチームを組んでシナリオに従った実戦的な演習もあるようなのですが、この日は子どもがなかなか集まらず、基礎的な内容をみっちりと教えていただきました。

講師やDVDの説明を聞く。真剣そのもの。

 まずは「push」と呼ばれる胸部圧迫とAEDの使用法についてDVDを見ながら説明を聞き、実際にやってみました。訓練で使うのは心臓を模したハート型のクッション。うまく圧迫ができるとクッションから音がします。

なかなかクッションから音が出ない。自棄になって叩いても音はでない。

 さすがに小学校低学年では立て続けに音を出すことは難しかったですが、それでもしっかりと胸部圧迫について教わり、次いでAEDの装着について教わっていました。

わかりやすいイラストと丁寧な説明で真剣に学ぶ

 続いて応急手当。鼻血のときの処置、切り傷など出血時の処置、そして骨折時に折れた部分を仮固定する方法などを教えてもらいました。

スタッフの人を練習台に、新聞紙と紐を使って脚の骨折部の固定をする訓練をする

腕を骨折した場合の仮固定の方法についても教わって、どのようにするのかも理解していました。
最後は倒れている人を発見したという設定で、119番通報とマネキンを使った胸部圧迫、そしてAEDの使用方法を試験器を使って実際にやっていました。

AEDがOKを出すか、救急隊員が来るまでは胸部圧迫を続ける
根気と体力が必要

 全部で2時間弱という非常に長く、そして暖房なしという寒い環境ではありましたが、研究員達は普段からもっている知識をしっかりとアップデートしていたようです。そのうちに島根県西部地域でもできるといいなと思いながら、今回の参加が終了しました。ちなみに研究員の感想は「119番通報の練習が一番面白かった」「心臓の圧迫を続けるのが難しかった」「身の回りにあるもので応急処置できそう」といった感じで、普段やらない部分をしっかりとマスターしたようでした。
 最後に、こどもメディカルラリーでお世話いただきましたスタッフの皆様に、改めてお礼申し上げます。

キッチンペーパーでマスクを作ってみた

 新型コロナウイルスやらインフルエンザウイルスやら、花粉やらPMやら。
 ひょっとしたら全世界的にマスクが不足しているのかもしれない。どこにいっても使い捨てタイプのマスクがない。使い捨てどころか、マスクがない。見つけられるのは防塵マスクか防毒マスク、もしくは塗装用のカップタイプのマスク。これは通気性が悪いので長時間の着用は難しい。
 すでに花粉が飛んでいるようで目がしぱしぱする。しばらくはマスクは手に入りそうにない。相方は子ども用に手作り布マスクを作成しているのですが、こちらも資材が滞りがちだとか。
 そういえば、前にどこかでキッチンペーパーを使った使い捨てマスクの作り方があったような気がする、ということで、リンク先の作り方(備える。jpのサイトへリンクしています)に従ってマスクを作成してみました。

下線部のところが破れてしまった。付け心地はよい。

 これは口元に空間ができるタイプで、非常に使いやすくよくできているのですが、私のように取り扱いが雑な人間だと、簡単に破れてしまうことが判明。その上、耳元が輪ゴムでは長時間の着用はつらい。そういうわけで、使い終わったマスクをばらして耳のゴムを転用してみたのですが、なんとなく不細工になってしまって不採用。
 ちょっとやけ気味に、そのまま折って作ってみた。

キッチンペーパーを二つ折りして四隅にステープラでマスクの紐を取り付けただけのマスク。
下のマスクと比べると、一回りくらい大きいが、いちおうできた。

 サイズ的には問題なし。というかでかい。
 鼻周りに隙間ができてしまうので、使い終わったマスクから鼻のところを締める金具を持ってきてステープラで止めてみた。

マスク上部に見えるのがステープラで止めた鼻当ての部分。
市販品ほどしっかりとは止まらない。

 なんとなくそれっぽくなったけれど、どうにもイマイチ。お掃除用の不織布を買ってこようかなぁと思いつつ、とりあえずこのマスクを使ってみます。
 このマスク、欠点はいろいろとあるのですが、口元に隙間がないので唇から水分が持っていかれます。しゃべるとより顕著。
 やはり最初の作り方のとおりプリーツタイプにして外側の周りを強化するか、鼻当てを工夫して口元に隙間を作るか、ちょっと考えています。

災害遺構を訪ねて9「昭和58年7月水害の氾濫水位の表示」

 益田市で大規模な水害自体は昭和58年以降起きていません。
 水害のあと、益田川堤防の強化や排水の整備、益田川ダムが建設されたことなどがその理由として挙げられると思いますが、以前は20年から30年に一度は大きな水害に見舞われていた地域でした。
 今回の災害遺構は平成15年に設置された昭和58年水害の最大水位の位置表示です。人の記憶というのは風化するようにできていますので、過去にどのような災害が起きてどうなったのかについては世代が変わってしまうときちんと伝え切れていることはまれです。そのため、碑や記録を残して後世に伝えていこうとするわけですが、それだけではなかなかイメージすることが難しいことも確かです。

 この表示は、昭和58年に実際に使った水位の位置を浸かったおうちにそのまま表示してあります。そのため、実際に垂直避難しても大丈夫なのかどうなのかが一目で分かるようになっています。
 以前は益田市役所にも表示されていたのですが、耐震補強工事の時に外されてそのままになっています。代が変わって建物も建て変わるうちにこれらの表示もだんだんと消えていっていますが、七尾町や本町といったエリアには、探すとまだいくつかの表示が残っています。
 実際にそれらの表示を探して確認しながら、いざというときにどのように避難すれば助かるのかを考えてみるのもよいのではないでしょうか。

土砂災害ってなんだろう?

NHKニュースのサイトから抜粋

 先日、神奈川県逗子市で土砂災害警戒区域に指定されていた斜面が突然崩壊して一人の方が亡くなったというNHKニュースを見ました。(記事リンク先はNHKニュースのページです)
 亡くなった方のご冥福をお祈りいたします。
 ところで、今回の事故でいろいろなニュースを見ていると、「土砂災害警戒区域」と呼んでいたり「イエローゾーン」と呼んでいたりとまちまちで、知らない人が聞くと内容がさっぱり分からない記事になっているものもありました。
今日は土砂災害について簡単に考えてみたいと思います。

1.土砂災害の種類

 土砂災害は大きく分けると「崖崩れ(急傾斜地崩壊)」「土石流」「地すべり」の3つに区分されます。

1)崖崩れ(急傾斜地崩壊)

大田市ホームページから抜粋

何らかの理由によって急激に斜面が崩れ落ちる現象。

2)土石流

大田市のホームページより抜粋

大雨など急激な水量の増加によって山や川の石や土砂が水と一緒になって激しく流れ下る現象。

3)地すべり

大田市のホームページから抜粋

表土の地下の粘土層の間に水が入り、斜面が滑り出す現象をそれぞれ指します。

2.土砂災害警戒区域とは

 土砂災害警戒区域とは、土砂災害防止法により土砂災害が起きる恐れのある場所を指定したものです。平成11年6月に広島で発生した豪雨災害で広島市内の山沿いであちこちが崩れて31名の方が亡くなった事故をきっかけに、危険な場所をきちんと住民に知らせて避難の目安にしてもらおうと設定がされているものです。
 「イエローゾーン」と呼ばれる土砂災害警戒区域と、「レッドゾーン」と呼ばれる土砂災害特別警戒区域があり、「イエローゾーン」は土砂災害の恐れがある区域、「レッドゾーン」は土砂災害の恐れがあり、土砂災害が発生した場合には建築物に損壊が生じて住民等の生命または身体に著しい危害が生じるおそれのある地域として、さまざまな制限がかけられています。
指定される諸条件や規制の内容など、詳しくは国土交通省の土砂災害防止法を簡単に説明しているPDFファイルをリンクしておきますのでご確認ください。

 この土砂災害警戒区域・土砂災害特別警戒区域は都道府県の砂防事業を管轄している課のサイト、そして市町村が作成しているハザードマップに必ず記載がありますから、該当部分を必ず確認しておいてください。
 この区域にお住まいの方は、大雨時には他の場所よりも早めに避難行動を開始する必要があります。また、避難所までの避難経路にこういった場所が含まれている場合には、同様になるべく早めに避難してしまうことをお勧めします。
 今回の神奈川県逗子市のケースを見ても思いますが、指定されている区域のうち、崖崩れについてはいつどんなタイミングで起きてもおかしくありません。
 雨だけでなく、地震などの揺れでも簡単に崩壊しますし、どうかすると大型車が通行するときの振動でさえきっかけになる可能性もあります。天気がよくても気をつけて通行するようにしましょう。
 また、普段と異なるような兆候を見たり感じたりするときには、念のために避難しておくことをお勧めします。何もなければ、何もなかったねと言う笑い話で済みますので、面倒くさがらずに自分の身を守るようにしてください。

乾電池と温度

 乾電池は停電時には非常に大切な電源となります。
 ですが、冬場の災害ではいざ使おうとすると電圧が不安定だったり、新品の電池のはずなのにうまく動かなくなることがあります。
 これは、電池が冷えているため。アルカリ電池やマンガン電池は5度から45度の間が能力を発揮できる温度になっていますから、もしも寒い中で使っているのであれば、電池を暖めてやらないと動きません。乾電池は化学反応により電気を作っていますので、温度が下がると化学反応が起きにくくなり、電圧が不安定になったり動かなくなったりするのです。乾電池の保温というのはちょっと難しいかもしれませんが、温度をなるべく下げないようにして使うようにしてください。
 なお、夏場には45度越えの環境で使われることがあると思います。この場合には電池から液漏れしたりすることがありますので、気温の上昇にも気をつけておく必要があります。
 ちなみに、充電池として使われるリチウムイオン電池も同様で、温度が下がれば機能低下します。温度が高くなると規定以上の出力が出せますが、寿命が急激に短くなる特性を持っています。適正温度は20度から25度だそうですので、意識しない状態の普段使いでも寿命は縮まっているのかもしれません。
 最後に、乾電池にも使用期限があります。最近の乾電池には使用期限の入っているものも増えてはきましたが、古い電池は爆発や液漏れの可能性が高いですので、なるべく新しい電池を使うようにし、備蓄品も定期的に入れ替えていくようにしてください。