災害遺構を訪ねて9「昭和58年7月水害の氾濫水位の表示」

 益田市で大規模な水害自体は昭和58年以降起きていません。
 水害のあと、益田川堤防の強化や排水の整備、益田川ダムが建設されたことなどがその理由として挙げられると思いますが、以前は20年から30年に一度は大きな水害に見舞われていた地域でした。
 今回の災害遺構は平成15年に設置された昭和58年水害の最大水位の位置表示です。人の記憶というのは風化するようにできていますので、過去にどのような災害が起きてどうなったのかについては世代が変わってしまうときちんと伝え切れていることはまれです。そのため、碑や記録を残して後世に伝えていこうとするわけですが、それだけではなかなかイメージすることが難しいことも確かです。

 この表示は、昭和58年に実際に使った水位の位置を浸かったおうちにそのまま表示してあります。そのため、実際に垂直避難しても大丈夫なのかどうなのかが一目で分かるようになっています。
 以前は益田市役所にも表示されていたのですが、耐震補強工事の時に外されてそのままになっています。代が変わって建物も建て変わるうちにこれらの表示もだんだんと消えていっていますが、七尾町や本町といったエリアには、探すとまだいくつかの表示が残っています。
 実際にそれらの表示を探して確認しながら、いざというときにどのように避難すれば助かるのかを考えてみるのもよいのではないでしょうか。