災害対策を考えるとき、できるだけ多くの人が一堂に会して対策について話し合うことが必要です。
とはいえ、こと災害対策に関しては否定的な意見を言う方が非常に多く、そういった人たちは全てを行政の責任にするか、自分以外の何かに責任を押し付けたがるもの。
そういった方を相手にするのは疲れますし時間の無駄なので、災害対策を前向きに考えられる人を集めて話し合いはすべきです。
否定的な人のことを考える必要はありません。災害対策を前向きに考えられる人達がどうやって命を守るのかについて検討し、行動をしてください。
行政機関や自治会ではそういうわけにいきませんが、自主防災組織や地区防災計画では、あくまでもそこに参加する人が対象となるので、あまり難しく考える必要はありません。でも、なぜか自主防災組織も地区防災計画も自治会と同じ考え方で構成しようとするので無理がくるのです。
あくまでも自分の命を効率的に守りたい人が集まって構成するのが自主防災組織なので、他人に文句しか言わずにすべてお任せの人は放っておいて問題ありません。
現在福祉と防災を連携させて災害時に支援の必要な人に対してどのような支援をするのかという個別支援計画を策定するようになっていますが、これも同じこと。
対象者の全てではなく、必要と考えている人に対して行動すればいいのです。
個人情報や世間体を気にしている方は、それぞれ自分で対策をしてもらえばいいわけで、全ての人が対象者である必要性もないのです。
行政がこの部分に大きくタッチしない理由は、行政はその地区にいるすべての人を助けなければならない義務があるからです。
不平・不満・思考停止・他力本願の方を救う能力は、行政にはありません。なので、わざわざ自治会ではなく自主防災組織、あるいは地区防災計画という形で災害時の対応をすることになっているのです。
かなり極端なことを書いていますが、実際のところ助かりたい人だけが自分たちの命を救う行動をとれば済む話で、否定的な人は何をどうやっても否定されるので、そもそも声をかけるだけ無駄なのです。
やっているうちにやっている人たちの方を向いてくれれば、そのときに初めて一緒に対策を考えていけばいいので、そうでない間は放っておいてください。
最終的に災害から助かるかどうかは運次第のところもあります。
たすかりたい人は、その運をできる限り助かる側に傾けるために努力しているのです。否定的な人を助けるのは行政や宗教に任せて、まずは助かりたい人たちから行動を始めるようにしてください。
月: 2023年5月
地震が起きた後
石川県珠洲市を中心とする地域の地震が頻発しているようで、現地の方は落ち着かないと思います。
規模の大きな地震の場合、発生後数日~数か月は揺れが断続しておきますので、怪我をしないように十分気を付けてください。
おうちのお片付けのときには、なるべく高いところに荷物を片付けないようにすることや、壊れやすいものはなるべく低いところに置く、寝るところには家具や落下物になりそうなものは置かないなど、怪我をしないことに注意してください。
また、被災家屋の応急判定がされていると思いますが、貼られた張り紙の色が赤だけでなく、黄色のおうちも続く揺れに耐えられないことがありますので、十分に気を付けてください。
それと、家と家の周りの点検も必要です。
揺れが何度も起きると、柱や屋根にも損傷が起きることがあります。特に屋根は損傷すると雨漏りが発生し、そうなると家自体にも悪い影響が出ます。雨漏りしないようにしっかりと点検をし、損傷があるなら手当をしておきましょう。
家の周りでは、亀裂などの変化に気を付けてください。庭や家の基礎が上がったり下がったり動いたりしている場合には、続く揺れで思わぬダメージが発生することがありますので、早めに業者さんに点検してもらうようにしてください。
地震だけであれば、現在の日本の建築基準にあっていれば大きな損害は起きにくいです。慌てずに、落ち着いて状況を確認して、自分の安全確保を第一に行動するようにしてください。
我が家のBCPを作ろう
防災用語として割と定着した感じのあるBCP、事業継続化計画といわれますが、何か不測の事態が起きた時にでも事業を継続できるような段取りを可視化しておくものです。
学校や施設、企業などで作っているはずですが、行政や業者の作ったひな型に文字を入れて、内容の確認も検証もせずに備えていますというところが山ほどあります。
実態に即していないBCPはいざというときに助けにならず、逆に邪魔になることが多いのですが、今回はそれに対する文句を言いたいわけではありません。
今回は、おうち版のBCPを作ってみないかというお話です。
おうち版BCP、一時期FCP(ファミリー・コンティニュー・プラン「家族継続化計画」)と呼ぶ人もいましたが、結局定着していないようなのでおうち版BCPとしてここでは説明をします。
内容は「誰がどこにいるのか?」「どこにいるときにはどこへ避難するのか?」「災害が落ち着いたら、どこで合流するのか?」「連絡手段はどうするか?」「収入はどのようにするか?」など、被災しても家族が安心して避難し、災害後、日常生活を取り戻すまでに必要な段取りをきちんと決めておくことです。
これを作ることによって、いざというときに自分がどこへ避難するのかや他の人がどこに避難するのか、どうやって連絡を取り合うのか、どこで家族がまた一緒になるのかといった、災害後に問題になる部分が解決できます。
家族と普段から生活している場合には、災害発生時にどうしても自分以外の家族が気になるものです。
子どものいるおうちだと、子どもを引き取りに学校などに出向くということがあるかもしれませんが、迎えに行く人や迎えを待っている人が被災するかもしれません。
でも、もしも災害発生時に子どもがどこかへ避難することを決めているのであれば、子どもはそれに従って避難しますし、危険を冒して迎えにいかなくても、状況が落ち着いてから避難先に迎えにでかけてもいいのです。
BCPと避難計画が決定的に違うのは、避難計画は避難完了までが目的であるのに対して、BCPは避難完了後、日常生活を取り戻すまでの手順を作っておくことが目的であることです。
作る時には、ご家族みんなであれこれ話しながら作ってください。そうすることで、参加した人は自分のこととして受け止めることができ、いざというときにもきちんと行動をしてくれます。
我が家のBCP、作るのは結構大変ですが、ご家族の行動範囲や活動内容、生活習慣を再確認することができるので、作った後は悩んだり迷ったりする必要がかなり減ります。
作ることが難しいなと感じたら、BCPについて書かれた書物を調べたり、BCPを取り扱っている業者などに相談してみてもいいと思います。
当研究所でもお手伝いできますので、興味のある方がおられたらご連絡をください。
我が家のBCP、作ってみてくださいね。
一日一度は楽しい時間を作る
避難生活が続くと、楽しいことやにぎやかなこと、特に笑うことが不謹慎だと言われる方もいらっしゃいますが、気力を維持するためには楽しいことやにぎやかなこと、そして笑うことが何よりも大切だと筆者は考えています。
被災者となった人にこそ、一日のうちのどこでもいいのでその人が楽しいと思える時間を作ることが未来への気力を生む力だと思います。
携帯ゲーム機でも、スマホでも、麻雀でもおしゃべりでも、パチンコでもいいと思います。普段から自分が楽しいと思っていることを楽しむ時間を確保してください。
笑わなければ、だんだんと気が滅入るようになり、未来への気力も失われていきます。自分を楽しませることは、生きる力を生むことではないでしょうか。
大規模災害だと、最初は生きるので精いっぱいな状態かもしれません。でも、そういった時期をすぎたら、できるだけ自分が楽しめる時間を作る努力をしてください。
とはいえ、被災地ではできることできないことがありますから、平時に作っておいた「自分が楽しいと思うことリスト」を使って、その場でできる自分が楽しいと思ったことを片っ端からやってみてください。
どれかがはまればしめたもの。きっと夜は気持ちよく寝られますし、翌日もすっきりと目が覚めると思います。
ただ、一つだけ気を付けてほしいことは、お酒だけはダメです。お酒は自分のそのときの気分を極端化にする飲み物なので、どこか心に不安を抱えた状態で飲むと、悪酔い&深酒&からみ酒となってロクなことにはなりません。お酒は、自分が本当に楽しいと思う気分のとき、その気分をより楽しくするために飲むのだと思ってください。
不謹慎で結構。被災地だからこそ、自分が楽しまなければ気力は続きません。
自分を守ると思って、自分が楽しいこと、時間を作って楽しむことを忘れないでくださいね。
とりあえず備蓄する
災害などの非常事態に備えるために、生活に必要なものについては3日~1週間程度は備蓄するように政府は推奨しています。
ただ、普段はあまり使うことのない水のストックやアルファ化米、災害食などは長期保存できる分値段も高いですし、どうかすると使わずにそのままダメになってしまうこともあると思います。
備蓄するためには場所も必要ですが、単身の方でワンルームなどにお住いの場合などは、そもそも備蓄品を置く場所がないという場合も想定されると思います。
だからといって何も備えなければ、非常事態が発生した時にはどうにもならなくなりますので、とりあえず1日分の備えをすることをお勧めします。
1日分で考えると、例えばペットボトルは2リットルですので、500mlのボトルで4本あればいいことになります。これくらいなら、しまう場所は見つけられると思いませんか。
また、アルファ化米も3袋なら、さほど場所は必要ありません。
そして、それくらいの量なら、賞味期限が来ても使うことはさほど難しくはありません。例えば昼食で500mlの水のボトルとアルファ化米を一つ使えば、3日で消費できる計算です。
また、一口ようかんやカロリーメイトなどの栄養補助食品、スニッカーズといったチョコレートといったものがあれば、ひもじくはなりますが数日は命をつなぐことができます。
家で調理をする人なら、普段から一食分程度材料を多めに買っておくと、非常事態でもそのまま1食は確保できる計算になりますので、それもお勧めです。
肝心なことは、まず備蓄することです。備蓄があれば、消費量を調整すればある程度は持たせることができます。
備蓄がなければ何もできません。
まずはあなたの周りにある備蓄品を確認してリスト化してみてください。リスト化してみると、案外と手元にあるもので1週間くらいはなんとかなるかもしれませんよ。
日のあるうちに避難する
災害の発生が予測されるようなときや災害発生後、自分の住んでいる場所に不安がある場合には避難をすることになります。
避難先は避難所だけではなく、ホテルや旅館、友人宅などいろいろとあると思いますが、共通して言えるのは、日中、太陽が出ているうちに避難を完了することです。
避難するのを迷っているうちに周囲が真っ暗になり、そのなかで避難をしなくてはならなくなった場合、足元も周囲も見にくくて状況がつかみにくくなります。
そうすると、日中避難の何倍も危険度が増し、避難速度も遅くなるために災害に巻き込まれてしまう場合も出てきます。
数時間で一気に水かさが増すようなゲリラ豪雨などの場合は仕方のない場合もありますが、可能な限り明るいうちに安全な場所への避難を完了させてください。
そして、避難完了後は翌朝までそこにいるようにしてください。
確実に危険性がない場合には夜間の帰宅もできると思いますが、確実性がない場合には夜明けまで待ってからの帰宅をするようにしてください。
自分の安全確保を安全に行うためには、できるだけ明るい状態での避難が望まれます。夜間に地震などが起きた場合にはどうにもなりませんが、予測できる災害では、迷ったらとりあえずは避難する。日のあるうちに避難を完了する。
該当する災害で避難をする必要がある場所に住んでいる場合には、それを徹底するようにしてください。
地震のときには安全確保
能登半島を中心として大きな地震があったようで、詳細がまだわかりませんが、大きな被害がでないことを願っています。
地震では、とにかく身を守ることが最優先となります。地震そのものでは、心臓が弱い方が驚いて心停止ということでもなければ死ぬことはありませんが、地震に伴って建物倒壊に巻き込まれたり、何らかの落下物などに当たったりすると大けがをすることがありますので、耐震補強や家具などの転倒防止対策はしっかりと行わなければいけません。
そして、今回の地震でもそうですが何回か連続して地震が起きることもありますので、揺れが収まったら、まずは安全な場所に移動して状況を確認してください。建物内部のお片付けは、安全が確認されてから始めても遅くはありません。まずは安全確保ということを忘れないようにしてください。
また、万が一に備えて、普段生活しているところや寝ている場所について、誰か知っている人を最低一人作っておいてください。
もしも建物が倒壊した時、その時どこにいたのかがわかるだけで、救助の速度は格段に上がります。どこにいるのかがわからなければ、建物全体を丁寧に探さなければならないので、時間が非常にかかって助けられるものも助からなくなるので、自分が助かりたい人は自分がいそうな部屋を知っている人に伝えておきましょう。
安全確保は自分自身で行うものです。自力でする安全確保と、周囲に助けてもらって行う安全確保。
これから来るかもしれない大地震に備えて、しっかりと準備しておいてください。
マニュアルはできるかぎり具体化する
学校や施設、企業などでは、基本的には災害時の対応マニュアルが作られているはずですが、あなたはそれに目を通したことがありますか。
もしも目を通したことがあるなら、書き方がどうなっていたのかを思い出してください。例えば避難なら「近くの公園や施設に避難」といった抽象的な書き方か、「〇〇公園の〇〇に避難」といった感じで具体化されていたでしょうか。
面倒くさいことと時間が取れないこと、そしてわからないことや責任問題に発展することを恐れてだと思うのですが、防災マニュアルではとにかく抽象的な書き方をすることが非常に多いです。
ただ、抽象的に書くと、いざ災害の時には非常に悩むことになってしまいます。例えば、具体的にどこへいつまでにどのように避難するのかがしっかりと明記されていないと、避難すべきタイミングを失ってずるずると逃げ遅れることになります。
緊急時に備えたマニュアルでは、より具体化し、単純化しておくことが大切です。
防災マニュアルを備える前提は「命を守ること」、そして「被害を軽減化する」ことですので、何を最優先するのかを取り決めたうえで内容を具体化してマニュアルは作成しておきましょう。
作るまでは非常に手間がかかりますが、一度作ってしまえば毎年きちんと見直すだけで災害時の行動基準となるマニュアルが手元にあることになり、災害時から復旧、復興時の手順がはっきりとわかり、手順が組みやすくなります。
また、もしもその防災マニュアルを使うことがあったなら、状況が落ち着いてから内容に足りないものがなかったかや段取りはうまくできていたかなど、次回に備えた検証と反映をしっかりと行っておきましょう。
担当する各省庁がそれぞれの所管に応じて防災マニュアルのひな型を作っていますが、あれは必要最低限の記載がされているだけですので、実際には自分のところにあわせたカスタマイズが必要になります。
ひな型に文字を入れて出来上がり、ではなく、その内容も含めてしっかりと検討し、自分のところにあった具体化されたマニュアルを備え付けるようにしてください。
マニュアルができたなら、そのマニュアルはしっかりと所属する全職員に情報を共有化しておかなければなりません。全部覚えることができないとしても、マニュアルがどこにあってどのページを使うのかがわかれば、非常時には心強い存在になりますので、作成から共有化する作業までを一連の流れとして、しっかりと整えてほしいなと思います。
おうちテントで避難訓練
ゴールデンウィークに入りましたが、お休みの方、お仕事の方、それぞれだと思います。前半は天気が割とよいとのことなので、外のイベントに参加する方も多いのではないでしょうか。
ただ、後半は天気が悪くなり、ところによっては大しけになるという予報が出ていますので、外あそびが難しい日もありそうです。
もしもお手元に自立型のテントがあるなら、それを使って家の中でおうちキャンプをやってみてはいかがでしょうか。
手持ちのキャンプ用品を使って、家にいながら家の道具は基本的に使わない、屋内でのキャンプ体験です。
電気やガス、水道、トイレなどは、その気になればいつでも普段の生活に戻すことができますし、その気になれば手持ちのキャンプ用品だけで家の中でのキャンプ生活を体験することもできます。
子どもさんがいれば、多くの場合は大喜びして楽しんでくれると思いますので、お出かけが難しい方でも、おうちレジャーとしてやってみたらどうでしょうか。
実は、これは災害時の避難訓練にもなっています。
雨漏りや窓ガラスなどの飛散、物の散乱などで自宅では普通の生活ができない場合でも、テントがあればちょっとした片付けさえできればそのまま家を避難所として使うことができます。
平時にいろいろと試しておけば、災害時にも慌てずに自宅にそのまま住み続けることも可能になるのです。
発災後の避難所は、その地域の人がすべて避難してきた場合にとても全員を収容することはできません。ましてや、快適な環境などは得ようもありません。
テントやちょっとしたおうちキャンプを重ねていれば、いざというときでも家や庭などで避難生活をすることができますし、避難所に避難しても、敷地やその周りでのテント生活がさほど抵抗なくできると思います。
「おうちテントで避難訓練」
面倒も難しくもなく、簡単にできてかなり効果のある楽しい訓練。あなたも一度試してみませんか。
安心リストを作っておこう
人間というのは普段からさまざまな不安を持っているものです。
そして、その不安を解消するために、さまざまな行動をしていることもご存じのとおり。
こと、災害になるとそういった不安がさまざまな形で精神に悪影響を及ぼしますので、そうならないために対策を考えておかなければなりません。
そこでやっておいてほしいことが一つあります。
それは、普段から自分が安心できる状態になれる「モノ」「コト」「場所」「人」などを考えてリストアップしておくことです。
数が多ければ多いほど、いざというときに役立ちますので、思いつく限りのことをリストアップしておいてください。
出来上がったそのリストは、非常時に持ち歩くものの中に入れておきます。スマートフォンのメモ機能などでもいいのですが、電源確保が不安ですので、できれば紙に書きだしておきましょう。
そして、避難完了時や被災後に自分が不安な気持ちになったときは、そのリストを見てその時の自分のコンディションに応じた安心できる状態を探して試してみましょう。
記憶しているから大丈夫なような気がしていても、いざというときにはなかなか思い出せませんから、可視化したものでチェックをしていくと、意外に気持ちが安定してくるものです。
また、普段から意識していることで、自分が安心だと思える傾向も見えてきますから、不安にならないための行動をあらかじめとることもできるようになると思います。
災害からの復旧・復興は意外と長期戦になりますから、気持ちが落ち込んだりくじけたりすることが恐らく出てくると思います。
そんなときに役に立つ「安心リスト」。災害時でなくてもこころの不安時には必ず役立ちますので、普段から意識して作ってみてくださいね。