目の悪い人にとって、コンタクトレンズや眼鏡などの視力矯正具は身体の一部になっていると思います。
目が見えないというのは不安ですし、危険です。その上、見えないことがストレスになることもありますので、どんな状況であれ視力矯正具を複数確保しておくことは大切なことだと思います。
ただ、気をつけておいて欲しいのが、コンタクトレンズの場合。
災害時や災害後は、平常時に比べると衛生環境が悪化することが多いです。
流水で手を洗ったりすることができない場合、コンタクトレンズの脱着時に目に汚れが付着して目に傷をつけたり目の病気になったりすることも起こりえますので、コンタクトレンズ派の人も、普段持ち歩くカバンや非常用持ち出し袋には眼鏡を用意しておくことをお勧めします。
ちなみに、さまざまな理由でコンタクトレンズも眼鏡もなしになってしまった場合には、紙に小さな穴をあけてその穴を通して周りを見ると、ちょっとだけですが視力が良くなります。
よく知られていることではあるのですが、こういったときに使えるというのは意外と知られていないので、念のため覚えておくといいと思います。
月: 2021年11月
充電池と乾電池
乾電池には大きく分けると一度しか使えない一次電池と、何度も充電して使える二次電池とに分かれます。
一般的には一次電池を「乾電池」、二次電池を「充電池」と呼ぶことが多いようですが、繰り返して使える二次電池は環境負荷が少なくお財布にもやさしいということもあって、割といろいろなところで目にすることがあります。
ただ、同じサイズのこの二種類の電池ですが、異なる部分もあるので取り扱い時には気をつけておく必要があります。
一番大きいのは出力の違い。一次電池では「1.5V」が殆どだと思いますが、二次電池では「1.2V」になっています。そのため、電池に出力を求めるような場合には、二次電池では力不足と言うことになりますので注意が必要です。
また、二次電池でもアンペアアワーが異なるものがあり、機械によっては動かなくなる場合もありますので注意してください。
余談になりますが、当研究所が使っているフィールドカメラで充電池の種類によっては動かなくなるものがあり、それに気づかなかったことから、現場に充電池を持参しているのに乾電池を買う羽目になったことがありました。
充電池をその機械で初めて使う場合には、あらかじめ動作確認しておく必要があるなと反省したのですが、その点乾電池はどれを使っても安定して機械が動いてくれます。
また、乾電池ではそのまま10年保存できるようなものもありますが、充電池では満タンにしたままだと劣化が早まってしまいます。
さらには回線がショートしたとき、乾電池はあまり影響を受けませんが、充電池では発熱して膨らんだり発火したりすることがあります。
環境の温度変化に強くショートにも強い乾電池。何度も使えて環境負荷の少ない充電池。
状況に応じて使い分けていきたいですね。
【活動報告】高津小学校防災クラブを開催しました
去る11月17日、益田市立高津小学校で第6回目となる高津小学校防災クラブを開催しました。
今回は防災オリエンテーリングと題して、校内のさまざまな安全設備や場所、そして道具などについてチェックポイントにある問題を解きながら回ってもらいました。
これは参加してくれている子どもからリクエストがあったもので、地図を片手にそれぞれが校内に散って、いろいろな場所に貼ってあるチェックポイントの問題を探して回答を考えていました。
AEDや消火器のある場所、図書館での安全な場所の見つけ方、避難場所になる災害が何かなど、結構考えるような問題も多く、30分くらいを想定していたのですが、「おさない・走らない・しゃべらない」の「おはし」を守りながら、一番早い子は10分、もっとも時間のかかった子でも15分程度で全部のチェックポイントを回って戻ってきたのには驚きました。
最後に答え合わせをしていったのですが、思ったよりも子ども達がいろいろなことを知っていて、彼らがいろいろと教えてくれ、また想定していなかったものが出てきたりと、こちらも驚いたりすることのできた回となりました。
校内を走り回ることや各部屋の立ち入りについて、いろいろと調整してくださった担当の先生、それをこころよく承諾してくださいました管理職の皆様、そして楽しんでくれた子ども達に感謝します。
AEDにご注意ください
いざというときに備えて設置されている「AED」。
正式名称は「自動体外式除細動器」といって、心蔵がけいれんを起こしているような状態を正常化し、心蔵の正常な活動を再開させるために使う道具です。
これは年齢を問わずに発症しますが、早期に除細動すればほとんど助かるため、誰にでも簡単に使えて除細動できるAEDが普及しています。
さて、AED用のパッド、あるいは設定モードには「小児用」と「大人用」があるのですが、「小児用」と聞いて、あなたはどんな年齢の人まで使えると思いますか。
医療関係では「小児」というと15歳未満を指すことが多いのですが、このAEDパッドの「小児用」は「未就学児」を指していて、これが緊急の時に判断を迷わす要因になっているようです。
小児用パッドは大人用よりもパッドの大きさを小さくし、パワーを1/3にしています。未就学児に設定をあわせていることから、6歳から14歳までの子どもには「小児用」ではパワーが不足していて充分な除細動ができないのです。
日本赤十字社や消防署などがやっているAEDの訓練では、パッドが大人用しか無い場合には未就学児にも大人用パッドを使っても問題ないとされていますので、判断に迷ったら大人用パッドを使うようにしてください。
また、パッドが同じで本体の設定で小児用と大人用に切り替えるAEDもありますが、こちらも小児用は未就学児です。
学校に行くようになったらAEDは「大人用」を使うこと。
新しいAEDでは「未就学児」と「小学生~大人用」という書き方に変わってきているようですが、殆どのAEDでは「小児用」「大人用」という表示です。
迷ったときは「大人用」。忘れないようにしてくださいね。
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便利になると不便になる
世の中はどんどん便利になっているのですが、その便利さはさまざまな技術によって維持されています。
特に電気やガス、水道、通信といったライフラインは安全で確実に提供されていて、できるだけ危険が起きないように設計されています。
ただ、災害が発生すると、普段は「安全で確実」に守られているため、自分ではライフラインの確保ができずに途方に暮れてしまうことになってしまいます。
例えば、災害が起きて火を焚こうとしたとき、あなたはどうやって火をつけますか。
普段なら、ガスコンロのスイッチを入れれば火は簡単につきますが、災害時にガスが使えなければ、たき火を作らないといけません。
阪神淡路大震災や東日本大震災では、あちこちに喫煙者がいてマッチやライターもたくさんありましたが、最近の嫌煙の流れを考えると、今は事前準備しておかないと簡単に火をつけられないと思います。
非常用持ち出し袋に、通常の保管でも劣化のしにくいファイヤスターターや火打ち石などを準備している方もいると思いますが、それを上手に使うことができますか。
それらの道具があっても、実際に作ったことがないと災害時に作ることはかなり難しいと思います。
缶詰はどうでしょうか。最近はほとんど缶切り不要のものになっているのですが、大規模災害で海外から届く缶詰では、缶切りが必要なものがまだまだ主流です。
では、あなたは缶切りを使うことができますか。
こんな風に、世の中が便利になるのはありがたいことなのですが、非常時にはそれが自分の生活の質を落とすことになるかもしれません。
いざというときに備えて、いろいろな道具は使えるようになっておきたいですね。
絆創膏で滑り止め
タイル張りの床や濡れている路面などでは、滑って転んでしまうことがあります。
以前「雪道の歩き方」の中で「滑り止めに包帯を使う」というのを書いたことがありますが、絆創膏も使えるのだとか。
また、靴底がビブラムソールなど凹凸の大きなものは絆創膏は剥げてしまうので使えませんが、パンプスや紳士靴など靴底が平たいものには有効なようです。
ポイントは絆創膏を貼る部分の靴底の泥や水滴をしっかりと取って絆創膏がしっかりと貼り付くようにすること。
泥や水滴があると、絆創膏の接着力がなくなってあっという間に剥がれてしまうので、これだけはしっかりとやるようにしてください。
つま先やかかと付近に1枚貼ることで滑りにくくなるそうですので、雨の日や凍った路面を歩くとき、滑るようなら試してみてはいかがでしょうか。
大掃除と災害対策
だんだん年末に近づいてきていますが、あなたは大掃除をする人ですか。
大掃除は普段やらない場所まで徹底的に掃除をすることが多いですので、普段動かさないタンス等の家具や家電製品も移動させているのではないかと思います。
それらを元の場所に戻すとき、ちょっとだけ手間をかけて地震対策をしてみるのはいかがでしょうか。
落下防止、転倒防止のための対策をするだけなので、たいした手間はかかりません。
例えば、タンスの下に転倒防止用の新聞紙を入れたり、人がいる場所に倒れてこないように向きをかえたり、張り替える障子をちょっとだけ丈夫なものにしたり。
掃除のついでにやってしまうと、新年はすっきりした気持ちで、そして安全に迎えることができると思います。
せっかく大がかりにものを動かすのですから、そのついでに災害対策も一緒にしてもらって、お正月も安全にお過ごしください。
冬用タイヤの準備はしていますか
雪がいつ降ってもおかしくない時期になりました。
もしあなたが車をお持ちで降雪や圧雪、路面凍結など普通タイヤでは危険な状態になる場所にお住まいだったりお出かけするようなことがあるのなら、冬用タイヤの準備をすることをお勧めします。
暖冬とはいいますが、雪が降るときには一気に降って動きが取れなくなるような大雪になることも多いです。
今年はラニーニャ現象が発生しているということで、いつもの年よりも冷え込むのではないかという話もありますので、早めに装備しておいた方がいいかもしれません。
四輪駆動車に乗っているからといって普通タイヤのままの人もいますが、オールシーズンタイヤで無い場合にはいくら四輪駆動車でも雪道は走れません。
接地面であるタイヤが滑るのですから、駆動形式はあまり関係ないのです。
ちなみに、冬タイヤは交換してもいきなり全性能が発揮できるわけではなく、ある程度走って皮を剥いておかないと、カタログどおりの性能は期待できません。
早めに交換して慣らし運転をしておくことで、いざ降ったときにもきちんと性能が発揮できます。
また、冬タイヤは普通タイヤよりも寿命が短いですから、交換しようとしたときにゴムが劣化していたり溝が浅くなっていたりして期待している性能が発揮できない状態になっている可能性もあります。
早めに交換することで、そういったタイヤで発生する問題にも余裕をもって対応することができます。
安全に車を運行するためにも、早めのタイヤ交換をお勧めします。
イメージは異なるもの
「雪が積もる」と聞いて、あなたはどんな光景をイメージするでしょうか。
よく雪の降る地方の人であればメートル単位の雪を想像するでしょうし、雪の降らない地域の人だと、屋根がうっすらと白くなっている状態を想像するのではないでしょうか。
「雪が積もる」という一言でも想像する光景が異なるのですから、しっかりとした会話をしない限りは人によって災害のイメージが異なってくるのは仕方が無いことなのかもしれません。
水害になる可能性が高まる「時間雨量50mm」という基準も、言葉で聞いて雨の降り方が想像できる人はほとんどいないのではないでしょうか。
人によって、使っている言葉のイメージは千差万別です。
防災のことを地域等で取り組むときには、まずは参加してくれた人の持つイメージを統一しておくこと。
それが災害対策を地域で進め、継続していくための第一歩ではないでしょうか。
災害対策の準備は地域で異なる
個人の防災では非常用持ち出し袋や避難所のことがかなり頻繁に言われますが、非常用持ち出し袋や避難所の準備について都会と田舎では異なっているのはイメージできますか。
以前に聞いた話ですが、大雨でとある田舎の集落が孤立したとき、数日後にその集落に救援部隊がたどり着いたら、住んでいた人達は特に困っていなかったということがあったそうです。
もちろん電気は止まっているのですが、水は井戸から取っていて、熱源はプロパンガス。トイレはくみ取り。そして米は備蓄していて野菜は庭から取ってくるというような生活で、冷蔵庫と照明が使えないくらいでそこまでの不自由はなかったということのようでした。
もしこれが都会地だと、停電は水も熱源も人の生活から奪ってしまいますし、食料の備蓄もそこまでの量はないのではないでしょうか。
ライフラインが集中管理されている状況だと、一つのダメージが致命的な影響を与えることになりますが、普段の生活ではそこまで意識はしていないと思います。
都会地と田舎での防災に対する準備の違いや意識の違いは、こういった普段の生活環境にもあるのではないかと思っています。
実際、防災のご相談をいただくときにはよくライフラインと備蓄の話になって、そこまで非常食の準備をしないといけないのかと言われることがあります。
災害への備えは住んでいる環境によって大きく異なるので、必要なものを選んで準備していただくような話になるのですが、都会基準で作られているマニュアルに完全に従うと、過剰準備になるのかもしれないと思うことがあります。
もちろん、井戸が枯渇したりする可能性もありますから最低限の命を維持するための道具は必要なのですが、お住まいの環境や条件によって、準備するものを切り替え、命を守れるようにしてほしいなと思います。