水遊びとライフジャケット

ライフジャケットが正しく着用できているかをペアで確認中。

 新型コロナウイルス感染症は屋外では移りにくいということで屋外でのさまざまな遊びが脚光を浴びているようですが、暑くなってきましたから水遊びしたいと考えている人も多いのではないかと思います。
 プールのように監視がしっかりとしていて流れのない場所ならともかく、川や海、湖で遊ぶときに必ず着用して欲しいのがライフジャケット。
 何をどうしても浮くようにできていますので、正しく着用していれば溺れる可能性はかなり低くなります。
 呼吸する口や鼻が水の上に出ていればとりあえずなんとかなりますので、子どもだけでなく、水遊びをするときには大人もライフジャケットを着用して起きたいですね。
 また、身体の本体を覆うような構造のものが多いので、胴体の日焼けを防ぐこともできますし、体型が気になる人にも最適です。
 ただ、ライフジャケットは構造上断熱効果が非常に高いので、陸上で休憩やご飯の準備をしているときにも着用したままでいると熱中症になる危険性がありますので注意が必要です。
 ところで、気をつけたいのが事故が起きたときです。
 ライフジャケットをつけた人、特に子どもは流されると慌てて救援を求めることがあるかもしれませんが、その声を聞いても慌てて飛び込んではいけません。
 ライフジャケットは浮きます。浮いて声が出せているということは、溺れてはいないということですから、慌てる方が危険です。
 慌てて救助に向かうと、ヘタすると二重遭難してしまうことがあります。
 遭難していると思っている人は必死です。
 もし救助者が来てくれたなら、ほぼ100%救助者にしがみつきます。
 そうすると、救助者は自由が聞かなくなるので溺れてしまうし、ライフジャケットの浮力も不足することになるので一緒に沈むことになりかねません。
 まずは遭難者を落ち着かせ、救助者も落ち着くこと。
 ライフジャケットの浮力があれば、滝でもない限りとりあえずは大丈夫ですから、まずは落ち着きましょう。
 ちなみに、ライフジャケットを着用していると泳ぐことは結構難しいですので、とりあえずは浮いて流されるままにします。
 浅瀬があればそこで上陸すれば助かりますし、浅瀬がない状態でも、泳いで体力を無駄に消耗するよりは流れに任せた方が無難です。
 携帯電話が通じるのであれば、119番通報して救助装備を持つ消防の出動を要請します。
 もしも手元に空のペットボトルと長くて軽い紐があるのであれば、紐をくくっておもり代わりの水を少し入れたペットボトルを投げて遭難者に掴ませ、たぐり寄せて救助ということも可能ではあります。
 見落としがちですが、釣り用の釣り糸も案外丈夫で使うことが可能です。リール付きであればペットボトルをより遠くに飛ばすことも可能ですから、念のため覚えておいてください。
 楽しい水遊びで悲しい事故が起きないように、水遊びではライフジャケットを身につける習慣を身につけたいものですね。

【活動報告】水遊び&水難事故防止講習会を開催しました。

 令和3年7月18日、益田市匹見町の広見川で水遊び&水難事故防止講習会を開催しました。
 当日は小雨の降るちょっと冷える天気で、予定していた沢登りは中止し、水遊びしながら水難事故防止について説明をさせてもらいました。
 ライフジャケットの着方から、水遊びの諸注意を行い、岩からの飛び込みをした後、少しだけ水に流されたときの方法について説明をしました。
 参加した人からは「着衣水泳と一緒だね」というお話をいただきましたが、基本は着衣水泳と同じです。
 ライフジャケットがあって浮力がある分、気持ちに余裕が生まれるため、生存率が上がることは間違いありませんので、ちょっとした水遊びでもライフジャケットは必ず着用してほしいと思います。

 前回の水遊びに参加してくれた子ども達は、今回は各自網を持参して魚取りを一生懸命にやっていました。ハヤ類やゴギの小さいのがたくさん取れて、やまめを捕まえると息巻いていましたが、残念ながらヤマメは簡単には捕まりません。寒さに震えながらの魚取り大会となりました。

 途中から気温・水温ともに下がってきましたので、1時間あまりで水遊びは終了し、その後用意した豚汁などのお昼ご飯を食べて終了となりました。
 今シーズンは会員及び会員のお友達に限定しての企画となっていますが、親子で一緒に水の怖さと楽しさを知ってもらえたらうれしいです。
 参加していただきました皆様にお礼申し上げます。

【活動報告】二条公民館で防災教室を開催しました。

備蓄品リストを作っているところ。皆さん真剣です。

 去る7月15日、益田市二条公民館の二条公民館お楽しみ教室の一コマとして防災教室を開催させていただきました。
 ご依頼のテーマは「大雨」。
 前半では大雨とハザードマップを使った安全確認について、後半は自分の備蓄という二本立てでやらせていただき、なるべく「参加者の方の場合」という視点で作業ができるようにしてみました。
 平日の夜ということで、皆様お疲れだったのではないかと思いますが、参加者された皆様は非常に熱心に受講され、さまざまなご質問もいただき、講師としては非常に楽しい、あっという間の1時間半でした。
 また、非常食や非常用持ち出し袋の展示もさせていただき、実際に目で見てどのようなものかの確認もしていただけました。
 「段取り7割」という言葉がありますが、災害対策も事前準備があるのとないのではその後の対応にも雲泥の差が出ます。
 誰が聞いても同じ内容の研修なのではなく、地域や人に応じて内容を細かく変え、より災害対策を身近に、自分のものとしてもらえるといいなと思っています。
 今回の防災教室に参加してくださった皆様が災害時に安全に過ごせるように、こころから願っています。
 参加してくださった皆様、そしてお声がけくださった二条公民館の皆様にお礼申し上げます。

防災と減災

 当研究所の名前は「石西防災研究所」ですが、実は防災が完璧にできるとは思っていません。
 どういうことかというと、日本は災害列島と呼ばれるくらい災害の多いところであり、どこに住んでいても何かの災害は必ず起きます。
 安全な場所がない以上、災いが起きるのを限りなく0%に近づけることはできても、100%防ぐことはできません。
 例えば何十億円というインフラ投資を行っても、それ以上の自然の力が加わればかならず被害は出るわけで、もし完璧な防災ができるのなら、災害時の「想定外な事態」は発生しないのではないでしょうか。
 では、「災いを減らす」減災はどうか。
 発生した災害から受ける被害をできる範囲でなくしていくこと。
 全てを守るのではなく、できる範囲でできることを行い、結果として被害を小さくすること。
 例えば、事前にどんな災害が起きたらどこへ避難するのかや、逃げ出すタイミング、
それが減災で、これならさほどお金や労力をかけなくてもできるような気はします。

 発災しても一切の生活を変えないように備えるのが「防災」、発災したときに自分の命を守り、自分が生活し続けることができるようにすることが「減災」です。
 100%を目指さないのであれば、別にどちらでも構わないと思いますが、もしあなたが自分の財産を使って行動するとしたら、どちらを目指しますか。

【活動報告】第3回高津小学校防災クラブを開催しました

 去る7月14日、益田市立高津小学校で第3回の防災クラブを開催しました。
 身体を動かすような活動がしたいとのリクエストが子ども達からあったので、今回はグループ分けして目隠し避難とあるものテント設営を体験してもらいました。
 目隠し避難は、目隠しをした子どもを他の子ども達が拍手や声で避難口まで誘導するもので、途中に机や椅子があって素直に移動できない状態にしてあり、あちこちにぶつかりながらの避難を体験。

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 目隠ししている人も誘導する人も見ている人も、「見えない」ということが結構大変なのだということを感じてもらえたようです。
 後半では、ツェルトと呼ばれる非常用簡易テント、それとレジャーシートを使って教室内にあるものを使っての居場所作り。
 テントを屋根にして机や椅子で壁を上手に作り、それぞれに魅力的なテントが設営されましたが、途中でゴミ箱を2つの班で取り合い、横倒しになった拍子に中の液体が漏れて周囲が大惨事に!
 「避難所あるある」ということで、資材は中身まで確認した上で設営に使うことや取り合いをすることによって雰囲気が殺伐となった避難所はその後も非常にトラブルが起きやすいことなどを説明しました。

レジャーシートと机と椅子で居場所づくり。いろいろとアイデアが出てくる。

 また、ツェルト班は高学年で編成していたのですが、途中卒業写真の撮影が入ったりして設営まで至らず、ちょっとだけ残念な状態で終了しました。
 最後にちょっと聞いてみたのですが、前回一緒に作った経口補水液を家に帰ってから作ってくれた子が結構いたことがわかり、ちょっとうれしかったです。
 もうすぐ夏休み。体調管理をしっかりして、夏休みを楽しんでもらいたいなと思いました。参加してくれた子ども達、そして担当の先生にお礼申し上げます。

【活動報告】有害鳥獣対策への対応、その後(~7月14日)

 住宅地に出没するイノシシを防除してほしいというご依頼で、ご依頼主に誘因物撤去をお願いしたところ、その場所にはイノシシは出なくなったのですが、その後周囲の住宅地に出没することから捕獲してほしいというご依頼がご依頼主と市役所様の双方からあり、箱わなを展開して試行錯誤。
 えさを変え、わなを工夫し、イノシシに壊され、イノシシに遊ばれ、またわなを工夫してと、当研究所の猟師とイノシシとの知恵比べが続いていましたが、このたびやっと一頭捕まえることができました。
 監視カメラの映像ではかなり大きそうな感じでしたが、捕獲後に測定したところ70kg超の雄でした。

箱罠のトリガー部。下が普通の状態。上はイノシシにひん曲げられたもの。

 同じような大きさのイノシシが後2頭確認されているので、施主様及び市役所様からは引き続き捕獲作業を行ってほしいとのご依頼をいただき、引き続き捕獲業務を行うことになりました。
 今回は防除、捕獲の条件が非常によかったので対応ができていますが、そんな場所ばかりではありません。
 イノシシに限らず、野生動物は一度居着くと排除するのがかなり大変です。
 事故を防ぐためにも、不要な果樹の撤去や伐採、生ゴミを放置しないなど、えさとなるものを出さないような対策が必要だなと考えています。

水は低いところへ流れていく

 大雨による水の被害は、大雨が降ったことにより内水氾濫が起きる直接的なものと、上流部で大雨が降って河川が溢れることにより発生する氾濫があります。
 その場で降ってくれる大雨は目で見てわかるものですが、上流部の大雨による河川氾濫については、被災地は雨が降っていないにもかかわらず河川が氾濫してしまうことがありますので、雨雲レーダーや気象情報には気をつけておいたほうが安心です。
 大きな河川になると、降ってすぐに増水するわけではなく、時間差で増水してきますので、雨が止んだからと言って安心しないようにしてください。
 また、日が暮れてから避難指示が解除になったときには、可能であれば夜が明けるまでは避難所で過ごし、夜が明けて周囲が見えるようになってから帰宅するようにしてください。
 水は高地から低地、山から谷へと流れていきます。
 当たり前だと思われるかもしれませんが、これは大雨でも洪水でも変わりません。
 そして、周囲に比べての低地というのは、調べれば事前情報としてきちんと確認できるものです。
 もしも周囲に比べて低い場所にいるのであれば、大雨だと感じたら高い場所に早めに避難を開始すること。
自分の安全確保の方法として、周囲との高低差はしっかりと抑えておきたいですね。

【終了しました】防災研修会を開催します。

 最近あちこちで災害が起きていますが、あなたがお住まいの地域の避難所はどのように準備し、どのように立ち上げたらいいか決まっていますか?
 避難所運営のイロハについてはさまざまなところで研修がされていますが、では、避難所設営の方法やどのような事前準備をしたらいいのかについて考えてみたことがあるでしょうか?

 今回はわかりきっているようで、改めて確認してみると割と漏れのある避難所の設営について「避難所設営、基本の「き」」というタイトルで、座学で一緒に勉強してみたいと思います。
 よく「段取り7割」といいますが、避難所の設置者が事前準備をきちんとしておくだけでいざというときに慌てなくて済みます。
 また、自分が避難所に避難したときに、設営方法を知っておくと段取りよく混乱なく開設をすることもできます。
 内容の詳細や申し込みにつきましては、当研究所のお問い合わせメールによりお願いいたします。

開催日時:2021年 8月28日(土)10:00~11:45
開催場所:益田市市民センター第103会議室(益田市元町)
募集人員:10名
募集方法:事前申し込み。定員になり次第締め切りとします。

参加費:500円(会場使用料、資料代)
携行品:施設運用をされる予定の方は避難所・避難場所予定施設の各部屋の寸法のわかる見取り図をご持参ください。
    
開催内容:1.避難所・避難場所の違い
     2.避難所を作るための下準備(個人編・施設編)
     3.実際に運用してみよう(HUG体験)

講 師:石西防災研究所・伊藤(防災士)

安否の確認方法を決めておく

公衆電話は災害時優先電話のため、つながる可能性は他の電話よりも高い。ただ、公衆電話を見つけるのが今の時代では困難になっている。

 地域の避難訓練のようにいつも家族単位でまとまって避難ができればいいのですが、実際に災害が発生するときには、家族の全員が揃っていてすぐに安否確認ができるという状況はあまりないと思います。
 家族の誰かが欠けている状態、へたすると自分一人で自分の安全確保をすることになるのですが、自分が安全だと分かった後、家族の安否についてどのように確認するのか、あなたは決めていますか。
 確認の方法はさまざまですが、電話やメール、ショートメールサービスやFacebookやLINEといったソーシャルネットワーキングサービスなどが代表的なものになると思います。
 確認方法はいくらあってもいいので、さまざまな手段を確保しておけばそれだけ安全度は上がりますが、発信する時間については少しだけ注意が必要です。
 というのも、大規模災害になると発災からしばらくの間は通信制限がかかってうまく連絡が取れなくなる可能性があるから。
 東日本大震災や熊本地震ではソーシャルネットワーキングサービスは比較的つながりやすかったという話が出ていますが、人口密集地では、パケット通信も飽和状態になる可能性が高いため、時間がかかるか、または発信できないという事態も想定できます。
通信規制がされている状態でいくら発信しようとしてもうまく行かない確率が高いですし、どうかすると電池ばかり消耗してしまうという結果になってしまいます。
 そこで、お勧めするのは発信する間隔をある程度空けてみること。
 30分に1回とか、1時間に1回に発信を制限することで、電池の消耗を押さえることができます。もし家族同士でやりとりをしようと考えるのであれば、とりあえず時間を決めておくとうまくつながる確率が上がるかもしれません。
 基本的には、通信環境がおかしなときには送受信時以外は電源そのものを切っておくこと。そうすることで電池の消耗をある程度までは押さえることができます。通信環境が悪い状態で普段の同じようなスリープ状態にしてしまうと、基地局の電波を常に探している状態になるため、電池が馬鹿みたいに消耗することを覚えておいてください。
 通信環境がまともなのが一番ではあるのですが、停電などで電源供給が停止すると、半日から1日程度で基地局が機能しなくなって携帯電話もパケット通信もつながらなくなります。
 停電状態で途中で通信環境がおかしくなった場合には、基地局の停止を疑うといいと思います。この場合にも携帯電話やスマートフォンは電源をオフにしておくことです。
家族の安否は、複数の通信手段で確認するようにし、合流する場所や時間も決めておくと、出会える確率はかなり高くなります。
 誰かの安否がわからないのは非常に不安なものですし、それが家族であればなおさらだと思います。家族や親しい人達の間で確認手段をしっかりと持って、早く安心ができるようにしておきたいものですね。

洪水と移動とリスクコントロール

 島根県東部を中心として大雨が降ったようで、被害に遭われた方にこころからお見舞い申し上げます。
 また、避難されている方が安心して一夜を過ごせますように願っております。
 さて、今回の大雨の中継を見ていて気になったことが一つ。
 それは、不用意に水の中を移動する人がかなりいたということです。
 車や人があまり考えなしに水の中を移動する映像を見て、「大丈夫かな?」と他人事ながら気になりました。交通規制していなければ安全というわけではないのですが、規制されていなければ移動するのでしょう。水没した道路を車輪半分が水に浸かった自転車が移動していく映像がありました。
 また、高校生の通学(?)の中継では、短パンで膝まで水に浸かった高校生達が手に靴を持って歩いている様子が映し出され、コメントを求められたら「水の下に何があるのかわからない恐怖がすごくて」というようなことを話していました。
 もしこの映像が映像資料ではなく、本気でこんな行動をしていたのだとすると、リスクマネジメントやリスクコントロールは大丈夫かと思ってしまいます。
 溢れた泥水には破傷風菌などがしっかり泳いでいますから、怪我をしていたら破傷風や化膿する危険性があります。
 また、短パンと言うことは素足が出ているわけですから、水中を何かが流れていたり、ひっかかったりすれば当たって怪我をする可能性があります。
 さらには、靴を履かずに靴下で移動しているとしたら、足の裏をいつ怪我してもおかしくないという状況になっています。
 水没した状態で通学をさせる学校、水没した道を無防備に歩く高校生。
 雨が止んでいるうちに移動させたいという学校の気持ちはわかりますし、学校に留め置いた結果何かトラブルが起きたら困るというのもわかります。
 学生にしても、通学しろと言われたので移動するのでしょうし、服が濡れるのが嫌だというのも、靴を濡らしたら嫌だというのもわかります。
 でも、たまたま水に流れが無く、たまたま足下が安全で、たまたま無事に泥水を越えることができただけで、何か一つ狂ったらけが人、あるいは死者が出てしまうこともあり得ます。
 学校としてのリスクマネジメント、そして学生達のリスクコントロール。
 これから災害が増えることはあっても減ることはないと思いますので、一度きちんと考えてみる必要があるのではないかと思います。

参考映像「また大雨に…山陰各地で冠水 雲南市と飯南町では一時警戒レベル5「緊急安全確保」発令
(YouTubeの「ちゃんねるテレポート山陰」に移動します)