災害が予測されるために避難所に避難した場合、いつ帰宅する判断をすればいいのでしょうか。
大概の場合は、災害が起きる可能性が低くなって各種警報が解除されたときになると思うのですが、ここで一つだけ気をつけて欲しいことがあります。
それは、大規模な災害は起きていないが、あなたの住んでいる地域や住んでいる場所で災害が起きなかったという意味ではないということです。
避難を要するような大規模な災害に対する警報が解除されるのは、けっこうな確率で夜中になることが多いのですが、解除されたからすぐに安全が確保されるというわけではありません。
避難所の状況にもよりますが、可能であるならば避難所から自宅に戻るのは太陽が出て周辺が明るくなってからにした方が安全です。
避難所によっては、「警報解除=避難所閉鎖」として避難者を追い出すところもあるようですが、避難するということは避難した人の安全を確保するという目的で避難しているので、解除後帰宅途中で被災しては目も当てられません。
避難所に行くときにはできるだけ明るいうちに移動しようということは割と言われるようになってきましたが、避難所から帰るときも、できるだけ明るくなったからにするようにしてください。
そして、避難所を運営する場合には避難者がそのような行動をとることを前提にして避難所開設・運営を準備するようにしてください。
繰り返しになりますが、避難行動は身の安全を確保するために行われる行動です。そのことを前提にして、避難・避難解除の行動をしていきたいですね。
月: 2021年3月
災害に慣れること、慣れないこと
宮城県や岩手県の方では大きな地震が起きて津波注意報も出たようですが、大きな被害が出ないことを願っています。
さて、地震にしても大雨にしても津波にしても、とてつもなく大きな被害を出すようなものはそこまで多くはありません。
ですが、普通の生活をしているとそれなりの揺れやそれなりの大雨、また津波の予測が出るのに出くわすこともよくあります。
災害に慣れるという点では、これらが起きると防御姿勢や避難誘導、避難準備の早さなど良いことがたくさん起きるのですが、それなりの災害というのは、結果的に人の生活に影響のある災害が起きないことが殆どです。
不思議なもので、そうなってくると何か災害の予兆があっても「どうせ何も起きっこない」と考えて身の安全を守る行動を取らなくなってくるのです。
災害の予兆が当たり前になって、普段の生活に影響が出ないと信じ込むようになった頃、大きな災害というのはやってくるような気がします。
99回避難して何も起きなかったからといって、100回目もそうだ誰が決められるのでしょうか。
100回目でも1000回でも、愚直に命を守るための行動をすること。
災害に慣れるなら、「何も起きない」と考えるのではなく、命を守る行動を取ることに慣れたいですね。
防災無線端末の電池は大丈夫ですか?
各戸に防災無線端末を配置して一斉放送するというのがここ最近の防災無線の流れのようですが、石西地域でも益田市、津和野町、吉賀町それぞれに防災無線端末が各戸に設置されています。
益田市の防災無線端末に限定したお話になってしまうのですが、普段はコンセントから給電しているこの端末は、単3の乾電池を4本セットして停電に備えることになっています。
停電時でも情報を伝えてくれるのは非常にいいところなのですが、問題は乾電池の寿命です。
目安では一年毎の交換が推奨されていますが、いつ交換したのかを覚えている人がどれくらいいらっしゃるでしょうか。
防災無線端末の説明書きによると、普段緑色に点灯している電源ランプが不規則に点滅すると電池の交換時期なのだそうです。
たまにチェックして、肝心なときに電池切れで情報伝達がされなかったということがないようにしておいてくださいね。
交換の仕方など、詳しくは益田市のウェブサイトを見て下さい。
ズボラか災害対策か
我が家の廊下の壁にはお菓子の入った袋がぶら下げてあります。
中身はスナック菓子やあめ、チョコレートなどで、家族全員が満足できる量はありませんが軽いお菓子パーティーができるくらいにはバリエーションが揃っています。
それなりに大きな袋になるので目立ちますし、中身を知っている人からは「みっともないからどこかへ収納したら?」と言われることもあるのですが、その都度「これは非常用持ち出し袋です」と返事をしています。
非常用持ち出し袋というと生活用品が全て揃った厳ついものを家族全員分揃えて並べてあるというイメージの人もいるみたいですが、誰もが知っていて何かあったら持ち出せるようになっていて、当座の生活を維持できるものが入っているなら、それは立派な非常用持ち出し袋になると思っています。
もちろん、この中に携帯トイレや飲み物、着替えやエマージェンシーシートなどを入れておけば言うことはありませんし、持ち歩きしやすいようにリュックサックに入っていれば、もっといいと思います。
でも、目的はあくまでも非常時にすぐに持ち出せるかどうか。ついでに書くと、普段の生活の中で不自由がないようにしておくことも大切です。
我が家の場合には、そのバランスを取った場所が廊下のお菓子袋だということです。
非常用持ち出し袋も準備はしてありますが、小分けで持ち出せるものの数が多ければ多いほど生存確率はあがります。
ぱっと見にはズボラに見えても、見方を変えれば立派な災害対策になるということを知っておいてくれるとうれしいです。
【お知らせ】「しまねいきいきねっと」で紹介されました
公益財団法人ふるさと島根定住財団様の機関誌である「しまねいきいきねっとvol.154」で新設NPO法人として紹介していただきました。
同財団様が運営するウェブサイト「島根いきいき広場」に団体として登録させていただいたのですが、そのおかげでご紹介いただけたようです。
最後の方にちょこっとだけなので、よく見ないと見落としてしまうかもしれませんが、よかったらご覧下さい。
「しまねいきいきねっとvol.154」(ふるさと島根定住財団様のウェブサイトへ移動します)
車の燃料に気をつける
車の燃料の量と行動の自由は直結しています。
特に車が普段の生活に必要な地域に住んでいる人にとっては、車の燃料はある意味生命線を握るといってもいいでしょう。
もしあなたが車が普段の生活に必要な地域に住んでいるとしたら、あなたは車の燃料をどんなタイミングで注いでいるかを考えてみて下さい。
もしもあなたが燃料警告ランプがついて補給する癖がついているようなら、できるだけ早めにその癖を直すことをお勧めします。
できれば、燃料計が半分を切ったら燃料を注ぐ癖をつけておきましょう。
大規模災害に襲われると、当面の間は燃料が届きません。そして、車が無事だった場合には、本来の用途以外にもいろいろと使われることになります。
例えば止まるための簡易寝床として。あるいは暖房・冷房器具として。それから発電機としても使われることがあるでしょう。
非常に便利な道具なのです。
でも、基本は燃料があるからそれらに使うことができるわけで、燃料が切れてしまうとただの金属の塊と化してしまいます。
被災地だけではありません。
どこかで大規模な災害が発生すると、それ以外の地域の燃料供給が途切れがちになることも多いですから、燃料があると言うことは自分の自由を保障するという意味でも大切なのではないかと思います。
東日本大震災では、発生から半年くらいは燃料輸送用のタンクローリーが不足したことから被害のなかった離れた地域でも燃料の給油制限が行われていました。
災害が直接起きていない地域であっても、燃料不足が起こる可能性があるのです。
万が一に備えて、車の燃料はできるだけ残量があるようにしておいてくださいね。
災害支援用語集ができました
災害支援ではさまざまな専門用語や略語が飛び交います。また、何か起きるたびにいろいろなことが変更され、同じ言葉でも意味が変わることがあるかもしれません。
ベテランの災害支援団体の方々はそういう内容も織り込み済みで普通に会話をしているわけですが、普段専門に災害対策をやっていない自治体職員や現地支援組織の方にはなんのことだか話が通じず、一から説明していると時間がいくらあっても足りないという状態になってしまいます。
今回、そういった状況を踏まえて特定非営利活動法人岡山NPOセンターが災害に関する専門用語を解説する「サイガイペディア」を公開しました。
運用が開始されたばかりで、分からない言葉がここに全て出ているかはわかりませんが、少なくともここで調べてみる価値はあると思います。
リンクを貼っておきますので、興味のある方は是非一度覗いてみてください。
災害支援用語集「サイガイペディア」(サイガイペディアのウェブサイトへ移動します)
防災備蓄は生活備蓄
災害対策用の備蓄はしていないという方はそれなりにいると思いますが、家に保存できる食料が何も無いというお宅はそんなにたくさんはないのではないかと思います。
お米、インスタント食品、レトルト食品、乾物、缶詰など、保存が利く食料というのは普段の生活の中でもいろいろと使っていると思いますが、それは防災備蓄と条件が同じものだと気づいていますか。
つまり、大抵のおうちには潜在的な防災備蓄品はあるということです。
まずはそれを認識してください。
では、それらの備蓄品はどのように保管されているでしょうか。
もしも置き場がばらばらになっているのであれば、何カ所かに分けて置く場所を決めておくといいと思います。
置く場所を決めるとき、目についてすぐに持ち出せるようになっていると忘れずにすみ、そして賞味期限切れを起こすことも減ると思います。
置く場所を袋やカバンの中などにしておくと、何かあったときにすぐに持ち出せて助かります。
最後は、場所を家族みんなが知っていること。
そうすることで、災害が起きて逃げ出すときにも食料品を持ち出せる確率が上がります。
食料品を入れる袋を上と下にわけ、下側に寝具などの生活用品や飲料水などを納めておくと、非常用持ち出し袋が完成します。
日常と非常を明確に区分けして準備しようとすると、なかなか大変ですし肝心な時に使えないという情けないことも起こり得ますが、一部を普段使いしていると、いざというときにもきちんと使えて安心です。
それが面倒くさいのであれば、せめてお菓子を持ち出せる袋に入れて廊下などにかけておいてはどうでしょうか。
それを持ち出せる状態になっていれば、普段使いもできていざというときにも何が入っているか悩まずに持ち出すことができて助かります。
防災備蓄は生活備蓄の一部です。わざわざ別に準備する必要はありません。
ポイントは、目立つところに違和感なく持ち出せるようになっていることです。
災害対策で備蓄品を準備する際には、まずは自分たちの持っている保存食を整理して、いざというときにどこにあるのかをわかるようにするところから始めましょう。
「出す」「飲む」「寝る」に「遊ぶ」「食う」
昨日はストックすべきアイテムと数量がわかるウェブサイトをご紹介しましたが、多すぎてよくわからないという方のために、考え方を少し整理してみました。
現在、当研究所で非常用持ち出し袋の研修をするときの考え方の基本は、この「出す・飲む・寝るに、遊ぶ・食う」をイメージするようにお話をさせてもらっていますので、今回はこの順番に何を用意すべきなのかを簡単に書いてみます。
最初に極論しておくと、昔はやった「カウチポテト族」ができるような装備をイメージしてもらうといいと思います。
1.出す
最初の「出す」は文字通り排泄物のこと。トイレが高度化されればされるほど、災害時には役にたちません。
古いボットン便所や下が単なる便槽になっている簡易水洗などでない場合には、汚物を流すための水が使える見込みが立つまではトイレが使えません。
でも、トイレは我慢できません。そのために、排泄できるための道具を準備しておこうということです。
百円均一ショップなどでも携帯トイレは売っていますが、殆どが小専用です。
非常用持ち出し袋にいれるなら、大小兼用タイプのものが荷物が減ってよいと思いますので、そういう目で探してみてください。
生理用品やパンティーライナーといったアイテムもここに入ります。
また、排泄物を捨てるためのにおい消しの効果のある袋と、汚物が外から見えないように捨てられる袋も準備しておきましょう。あと、いろいろ使えるトイレットペーパーもお忘れなく。
2.飲む
ここで飲むのは飲料水のことです。水は重量物なので、自分が一日にどれ位飲むのかを考えて用意しておきましょう。
水は生活の仲で非常に汎用性が高いアイテムです。できるだけ水の形で持ち歩くようにし、コーヒーや日本茶などは粉末やティーパックになったものを用意しましょう。
また、折りたたみ式の小さなウォータージャグを用意しておくと、避難生活が続く場合でも水の確保がしやすくなります。
3.寝る
意外と置き去りにされがちですが、寝るのは気力を維持するために非常に重要なことです。
一番良いのは避難先に布団を持ち込むことですが、布団は非常用持ち出し袋には収まらないと思うので、床との断熱をするエアマット、枕、上にかける毛布、そして耳栓や明るさを防ぐ目隠しを準備しておきましょう。
避難所でも、可能であれば床からは少しでも高い位置に寝るスペースをセットできると粉じんを吸い込まなくて済むので安心です。
4.遊ぶ
忘れられがちですが、避難している時間は案外とすることがないものです。
寝るにしても限度がありますから、気を紛らわせるためにもカードゲームや本、スケッチブックやおもちゃなど、屋内で退屈しなくても済むものを準備しておきましょう。
携帯ゲーム機やネットゲームなどもいいとは思いますが、電源と通信環境は自前で用意する必要がありますので、そこのところには注意してください。
5.食う
文字通り食べることです。食事であれば暖かくて普段の食事からあまり極端に変化しないものがいいと思いますが、とりあえず一日のことだと考えると、ポテチやスナック菓子、おせんべいなどもここに入れていいと思います。
インスタント食品やレトルト食品もいいですし、そのまま食べられるレーションのようなものもいいと思います。
自分がおいしいと思えるものを入れておくといいと思います。
ざっくりと書いてみましたが、これに沿ってアイテムを準備していけば、とりあえずの避難準備はできることになります。
お気づきの方もいらっしゃると思いますが、多くが家のどこかに収納されているアイテム類ですから、その置き場の一部を非常用持ち出し袋にしておけばいいと言うことになります。
そうすることによって、非常用持ち出し袋も普段から目につくところに置かれることになるので、いざというときに慌てなくても済みます。
ちなみに、普段リュックサックを背負わない人が持とうとすると、5kgでも結構重く感じると思います。
背負って走ることのできる量がその人にとっての適正重量なので、それを考えながら準備していくといいと思います、
まずは一日分をセットしてみてください。
災害に備える備蓄、何がどれくらいいる?
災害に備える備蓄はいろいろ取り混ぜて最低3日分、できれば一週間分は備えておいて欲しいというのが最近の流行です。
年を経るごとに備蓄量が増大している気がするのですが、ともあれ、実際に備蓄しようとすると何がどれ位いるのかピンとこないというのはよくあることです。
そのため、準備ができていないという方も多いのでは無いでしょうか。
今日ご紹介するのは、そういうときにとりあえず何をどれ位用意すればいいのかの目安になる数字を出してくれるウェブサイト。
一つは東京都が運営している「東京備蓄ナビ」(https://www.bichiku.metro.tokyo.lg.jp/)です。
家族や性別、年齢構成などを入力すると必要量をはじき出してくれます。どれくらいの期間に備えた数字なのかがわからないのが難点ですが、とりあえず何を準備したらいいのかという一つの目安になると思います。
次は日本気象協会が運営している「トクする!防災」(https://tokusuru-bosai.jp/info/info_list.html)です。
備蓄品が一覧表になっており、年齢や性別ごとにどのようなものが必要になるのかが書かれています。また、備蓄にまつわるクイズもあるので挑戦してみてもいいと思います。
「トクする!防災」のアプリでは「わが家の備蓄計画」や「わが家の避難計画」などもあり、家族の人数などを入れることで避難計画や備蓄計画について確認することもできます。
他にも東京海上日動のウェブサイトには非常食や水の数量の確認ができるページがあったり、「本当に必要とされた備蓄品」などというタイトルで読み切れないくらいたくさんのウェブサイトを確認することができます。
表示される必要量を見ると、ひょっとしたらびっくりされる数量になっているかもしれませんが、これは全てを一切の補給なしに自前で乗り切ろうとした場合の数字ですから、田舎で田畑や倉庫、井戸などでさまざまなものを手に入れる環境にあるのならば、その環境に応じて適宜修正すれば良いと思います。
まずは計算してみて、とりあえずの数量を知っておくこと。
準備はそこから始まります。