新型コロナウイルスと備蓄食料

 新型コロナウイルスでは、政府が学校閉鎖まで打ち出してきましたが、それに伴ってか、インスタント食品の売れ行きがすごくなってきているそうです。
 家に籠もってウイルスをやり過ごそうと言うことなのでしょうが、生鮮食料品はウイルスで汚染されているかもしれないから買わないというような極端な話もあるやに聞きましたので、今回は備蓄食料について考えてみることにします。

1.備蓄食料とは?

 備蓄食料とは、災害など何らかの理由で流通が途絶または滞りがちになったときに命を繋ぐための保存型食料のことです。、
 備蓄食料には大きく分けると二つのタイプがあります。一つは非常用持ち出し袋に入れていつでも持ち出せるようにしてある非常食。そしてもう一つは状況が落ち着いて安定した食糧供給が再開されるまで食べ繋ぐための備蓄品です。また、長期保存ができるタイプのものとそうでない普通のものがありますので、これらを組み合わせて命を繋ぐための食料を備蓄しておくことになります。防災教室などでよく言われているローリングストック方式は、賞味期限が数ヶ月から一年程度の普通の保存食や乾燥食品を普段の食生活に組み込むことで日常生活の中で食料の更新をしていくという考え方です。また、長期保存タイプは保存期間満了までは点検不要で楽なのですが、単価が高いことと、保存期間が長すぎて逆に点検を忘れてしまうような事態がよく起こりますので、自分の生活スタイルにあわせた備蓄を検討すればいいと思います。

2.備蓄食料に向いているもの

 備蓄食料の候補としてまっさきに上げたいのはお米です。水や電気、ガスがきちんと供給されていれば簡単に白ご飯が炊けますし、雑穀を混ぜると栄養価も高い食事にできます。住んでいる人数に合わせて一月分位残るように補充していけば、主食として困ることはまずないと思います。
 あとはパスタやうどん、そばの乾麺、干し大根や高野豆腐といった乾物、缶詰などを組み合わせると繊維質と栄養がしっかりととれるでしょう。ビタミン類の補充を考えると、マルチビタミン錠や粉茶なども用意しておくといいと思います。
 インスタント食品、とくにインスタントラーメンは塩分が多く繊維質が不足するため、単品で備蓄品にすることはお勧めできません。備蓄する場合には、何らかの乾燥野菜を組み合わせて使えるような方法も考えておいてください。

3.新型コロナウイルスに対する備蓄食料

 どうやらWHOの見通しよりも感染力は遙かに強いようで、新型コロナウイルスは災害であることは間違いないと思います。
 人が集まるイベントや集会が片っ端から中止され、学校も4月前半まで休校して欲しいという要請の出るような状態だと先が見通せませんので、不安になってしまうのも当然です。
 ただ、イベントや集会が中止されたからといって物流が完全に止まってしまっているわけではありませんし、お店での食料品販売がなくなるというわけでもありません。これが他の自然災害と異なる部分で、物流が生きている限りは生鮮食料品が手に入ります。それを考えると、最悪の事態に備えてインスタント食品を準備するのは必要だと思いますが、現時点で備蓄食料に切り替えて生活する必要はまったくないと思います。
 今から備蓄品に手をつけていては、本当に物流が途絶えたときに食べられるものが無い状態になってしまいます。ある程度保存の効くものを準備しながら、当面は通常の生活を送ればいいと考えます。
 また、野菜は汚染されている可能性があるので買わないという極端な意見があるそうです。生野菜をそのままで食べるのはいろんな意味で問題があると思いますが、水でしっかりと洗浄すれば他のウイルスや菌、汚れと同じように洗い流すことは可能です。また、新型コロナウイルスも他のコロナウイルスと同じように熱には弱いようですので、しっかりと加熱した料理であれば感染することはまず無いと思われます。果物などは洗浄して皮を剥けば安全に食べられると思いますし、ビタミン類や繊維質などが安全にしっかりと取ることもできます。
 野菜不足になると、身体のあちこちに問題が出てきます。大規模災害では野菜不足から口内炎で苦しんだ方もたくさんいらっしゃいますので、野菜はなんらかの形で摂取することをお勧めします。どうしても生野菜が信用できないという場合には、缶やパックになっている野菜ジュースもありますので、それらの活用を検討してください。

  最後に、ウイルス対策は結局のところ身体の免疫システムに頼るしかありません。そのため、睡眠時間をしっかりととることと栄養のあるものをきちんと摂取すること、そしてしっかりと身体を動かすこと。要するに健康を維持するために必要な行動をどれだけ維持できるかにかかっていると思います。
 身体の健康をしっかりと維持しながら、万一に備えて備蓄食料を準備しておく。それにより、いざというときでも生活の質をさほど落とさずに乗り切ることができると思います。