停電時の寒さ対策

 最近の住宅はかなり電化が進んでいて、何をするのも電気がないと困る状態のおうちも多いのではないでしょうか。
 ただ、何らかの原因で停電になってしまうと、途端に何もできなくなるという怖さはあります。
 寒波の来ているようなときに停電になってしまうと家の中は冷蔵庫になってしまうので、低体温症や凍死を防ぐために、自分の体を冷やさないための対策が必要になります。今日はその方法を考えてみたいと思います。

1.発電機や蓄電器を使う

最低限の暖房器具が動かせるような発電機や蓄電器があれば、それを使うことで家の暖房器具を動かすことができます。
ただ、発電機は十分な酸素がないと一酸化炭素が発生してしまいますので、風通しの良い屋外でのみ使うようにして、屋内では絶対に使わないでください。
毎年1件以上の死亡事故が起きているくらい頻発していますので、屋外でも、風通しの悪い場所では使わないようにしてください。
蓄電池の場合には、その蓄電池が使える定格出力を超えない範囲で使うようにしてください。

2.別の熱源を使う

 ちょっと前までは割と普通に複数の熱源が家の中で使われていました。
 例えば、調理はガスで、暖房は石油ストーブ、灯りは電気という風に。
 少なくとも、暖房としてカセットガスストーブ、または石油ストーブを準備しておくようにすると、とりあえずをしのぐことができます。
 火を使って熱を作る暖房器具の場合、多くは調理にも使えるようになっていますので、停電時には暖と調理のできるありがたい器具となります。
 ただし一酸化炭素中毒になる危険性がありますので、30分に1回程度は換気をするようにしてください。
 炭や練炭などは大量に酸素を必要とするため一酸化炭素が発生しやすいです。そのため、屋内での使用はお勧めできません。
 また、お湯が作れるなら湯たんぽや、使い捨てカイロも暖を取るための優秀な道具です。

3.体の熱を逃がさない

 人間の体はかなりの熱量を出していますので、これを逃がさなければしっかりとした暖を取ることができます。
 例えば毛布や羽毛布団など、中に大量の空気を閉じ込められるようなものに包まれば、かなり寒さをしのげます。また、ウインドブレーカーや、何もなければ大きなゴミ袋を着ても、寒さしのぎはできます。
 ただ、体が冷え切ってしまうと熱を作りにくくなってしまうので、いくら着込んでも温かくなりにくいです。もしも着込むのであれば、停電してから部屋の熱が逃げるまでの間にしっかりと着込むようにしてください。
 また、汗をかくと冷えてしまうので、汗をかかない程度に着込む調整をすることも大切です。

 他にもあるとは思うのですが、停電時に暖を取る方法はあらかじめ準備をしていないといざというときに使うことができません。
万が一に備えて、しっかりとした準備をしておきましょう。

暖房器具と災害への備え

カセットガスを使ったファンヒーター。電源不要で暖かい。カセット1本で1時間~1時間半程度持つ。

 だんだんと冬らしくなってきました。
 気象庁の1か月予報によると、西日本は気温も降水量も平年並みのようですが、暖冬とはいえ、冬への備えはきちんとしておいたほうがよさそうです。
 といっても、大したことではありません。
 暖房器具の熱源に使うエネルギーの多重化、つまり電気だけに頼らず、灯油ストーブやカセットガスストーブなどを準備しておくということです。
 薪や炭は、家の中で使うのにはかなりハードルが高いのでお勧めしませんが、さまざまな事情で発生する停電対策はきちんととっておいたほうがいざというときに安心できると思います。
 電気とそれ以外の熱源の一番の違いは、熱源を調理などにも使えるかどうかということ。電気の場合には暖房にしか使えないものがほとんどですが、他のエネルギーの場合にはほぼ煮炊きが可能です。
 また、そこまで大げさにしなくてもという方は、せめて使い捨てカイロや白金カイロの準備をお勧めします。
 万が一極寒の時に停電してしまうと、室温は一気に下がり、エマージェンシーシートや毛布などを羽織っても、かなり寒いことは間違いありません。
 また、人によっては自分で十分な体温を作れない場合もあると思います。
 そういうとき、自分の体温に頼らずに熱を作ってくれる使い捨てカイロなどのアイテムは非常に貴重です。
 体温の低下は死ぬことに直結しますので、熱源の確保だけは考えておくようにしてください。

【活動報告】「はじめての防災キャンプ冬の陣」を開催しました

去る11月5日から6日にかけて、益田市北仙道公民館において「はじめての防災キャンプ冬の陣」を開催しました。
今回は13名の子供たちが参加してくれ、一泊二日で疑似避難所での避難体験をしました。
当日の夜はかなり冷え込み、子供たちもなかなか眠れなかったようですが、それでも最後まで元気いっぱいにさまざまな企画に挑戦していました。
「またやってほしい」というご意見をいただきましたので、春になったらまた企画してみたいと考えていますので、興味のある方はご参加ください。
今回参加してくれた子どもたち、参加を許可してくださった保護者の皆様、忙しい中を手伝ってくれたスタッフの皆さん、北仙道公民館様をはじめ、さまざまな形で支援してくれた皆様にこころから感謝します。
本当にありがとうございました。

冬の防寒対策を考える

ダウンベストは服の下に着るととても温かい。

 急に寒くなってきましたが、あなたの体調は大丈夫ですか。
 のんびりと構えていた筆者の家では、慌てて冬物を出して衣替えといった感じですが、防寒対策として一つ知っておくといいことがあります。
 それは『空気は最高の断熱材である』という事実です。
 例えば、毛布や布団では、ぺったんこになっているものよりもふわふわのものの方が温かく感じます。
 手触り肌触りがよいということもありますが、ふわふわの部分にしっかりと空気がため込まれていて、それが体温を逃がさないために温かくなるのです。
 防寒対策では、一枚の厚手の服を着込むことを考えてしまいがちですが、間に空気の層がしっかりとできるのであれば、薄手の服を重ねて着るほうが厚手の服一枚よりも温かくなります。
 登山などで体温調整するときの常識になっていますが、薄手の服の脱ぎ着でもずいぶんと暖かさをコントロールできるのです。
 これから冬に入り、非常用持ち出し袋の中身を入れ替えることがあるかもしれませんが、嵩張る厚手の服をたくさん入れなくても、重ね着できる服ならかなり体温調整が可能です。
 寒さ対策を考えるときには、断熱材である空気をいかに上手に使うかに気をつけて、災害時に限らず、快適にお過ごしくださいね。

くどいようですが、防寒の考え方

 日中日差しがある間はまだ暑いときもありますが、だんだんと寒くなってきました。
 寒い時期に災害が起きると、その寒さが最大の敵となります。
 寒さを感じないためには、焚き火などの大きな熱源の近くにいるか、暖かい食事や飲み物などで体内から暖めるか、それとも体から発生する熱を逃がさないようにするかというどれかになりますが、避難所の運営開始時点では、一番有力なのは体から発生する熱を逃がさないことが自分でできる一番の寒さ対策です。
 そのためにはどうすればいいのか。
 それは体の周りに空気の層を作り、その空気を体温で暖められるように風が当たらないような対策をしておくことです。
 よくある羽毛のジャケットなどは、別に羽毛尾が暖かいわけではなく羽毛の間にある空気が体温で暖められて暖かく感じるのです。ですから、羽毛の入っている防寒着を着るのであれば、その羽毛を潰さないような着方をしないと意味がないということになります。
 風が当たらなければ体の周りの空気の層は逃げないわけですから、雨合羽でも充分に保温ができます。使い捨て雨合羽で激しい動きをした後にカッパの中が蒸し風呂になってしまうのでは保温がしっかりとできているからなわけで、これを利用しない手はありません。
 薄い服でも、重ね着をすれば服と服の間に空気の層ができるので、分厚い服一着よりも保温効果が高いこともありえます。
 もしそれもなければ、大きなゴミ袋に頭を出す穴を開けてそれを上着としてきてみたり、新聞紙を着てみることもいいかもしれません。
 とにかく風を防ぐことと、体から出る熱を逃がさないこと。
 頭なども面積が広く毛細血管も多いですから、しっかりと保温をしておきましょう。
 この対策をした上で、できることなら体がしっかりと熱を作れる食べ物や飲み物を取れば、ある程度までなら充分に防寒ができていると思います。
 飲み物は、あまり取り過ぎると用足しの回数が増えてそのときに排泄物が体の熱を持って出たりするので、取り方に気をつける必要があります。
 ドラマなどで出てくるような肌を合わせて体温を確保するという方法は、あまり現実的ではありませんのでご注意ください。
 また、毛布やエマージェンシーシートがある場合には、体→毛布→エマージェンシーシートという風に、空気の層を確保できる順番で身にまとうようにしてくださいね。