ペットたちも自助共助?

 ペットを飼っているおうちでは、自分が避難しなければならないときにペットをどうするのかということを考えることが出てきます。
 人によっては、ペットがいるから避難しないという選択をする人も出てくるので、ペットを連れて避難してもいいですよということに、最近はなりつつあります。
 ただ、ここで想定されているペットは、犬や猫、せいぜい鳥くらいまで。
 その他のペットについては、まったく考えられていない状況です。
 最近ではさまざまな生き物がペットとして飼われていますが、最低限、ペットの種類ごとに収容場所を作らないと大きなトラブルが発生します。
 その他のペット、というひとくくりにしてしまうと、例えばカエルと蛇とコオロギを同じ部屋に置くというとんでもない事態が発生してしまうのです。
 避難所あるあるですが、その存在が少数であればあるほど、避難所の運用想定からは除外されることが多いです。
 人間でも、身体障がい者の方や精神疾患を持つ方、補助具や装備がないと動くのに制限がある人などであっても、避難所での収容では特別な配慮はされません。
 一般の人と同じ扱いになってしまうので、そういった人にとってはさまざまな困難が発生するのですが、少数意見のために「我慢しろ」で終わってしまいます。
 これがあまりにひどいので、福祉避難所を最初から作って、支援のいる人や何らかの補助がいる人をそちらへ収容するという風に法律は変わりましたが、現状、ほとんどの自治体がさまざまな理由から対応していないと思います。
 これと同じで、ペットも多数派である犬や猫、鳥は恐らく避難所でも飼育スペースが確保されると思います。しっかりと検討されているところなら、一緒に生活できる同伴避難になっているかもしれません。
 でも、ほとんどの避難所では犬、猫、鳥くらいのくくりでしかしわけられていないので、その他の生き物はそもそも想定されていないという事実があります。
 そうすると、ペットもその飼い主も避難所に避難するという選択肢はなくなります。
 安全な場所にあるペットホテルや獣医など、ペットを安全に収容してくれる施設にお願いするか、あるいは知り合った同好の士が安全な場所に住んでいるなら、そこに避難するか。あるいは、キャンピングカーやワンボックスカーなどでの車中避難をするか。
 かなりの自助や共助が必要となっています。
 ペットも自分も、安全に災害をやり過ごしたいですから、自分たちが少数派であることを考えての、自助や共助を準備しておくようにしてください。

ペットと人

キャリーケースに素直に入ってくれることが、屋外避難が必要な時の基本になります。

 避難や避難所において、ペットという存在は無視できないものになっています。
 ペットは家族の一員と考える飼い主と、動物と人は別と考える飼い主以外の人の思いが錯綜した結果、避難や避難所におけるペットの扱いというのが難しくなっているのではないかと思います。
 ペットがいるから避難しないという話になったり、ペットと人を同列で対応するように無茶振りしたり、ペットを飼っていない人からみると「ペット様」にしか見えない状態になり、相互理解ができない状態になっているような気がします。
 ただ、ペットも生きているわけであり、その命は守るべきものですから、できる限りにおいて対応を考える必要があります。
 現実的には、できる限りペットの飼い主は自宅から避難しなくてもすむようにしておいた方がペットも人も安心ですので、まずは自宅のあり方について考えておいた方がいいでしょう。
 そして、ペットが家族だという考え方は、ペットを飼っている人以外には納得してもらえないものだということを理解しておくべきです。
 そうすると、自宅が被災した時の避難先は、避難所よりもペットを飼っている知り合いやペットホテル、獣医などいった選択肢が出てきますから、そういった人たちに受け入れの確認をしたり、どのように世話をしてもらうのかについての確認をしておくといいでしょう。
 避難所に避難するのは最終手段と考えて、まずはそれ以外の選択肢を探してみることが重要になります。特にエキゾチックアニマルと呼ばれる犬、猫以外の生き物については犬猫以上に取り扱いが難しいですから、できる限り普段飼っている環境を維持できる方法、つまり自宅が被災しない方法を考えることが重要です。
 もちろん避難所に避難した時に備えて、犬や猫の場合にはキャリーケースなどに素直に入ることだったり、むやみに鳴かないといった日ごろのしつけはしっかりとしておく必要がありますが、そうならない手段も検討しておく必要があるということです。
 ペットも人も命という存在としては同じものです。
 避難というのは命を守ることと考えれば、ペットも人も命を守るためにはどうすればいいのかを考え、検討しておく必要があると思います。

ペットの避難所問題

 岡山県総社市でペットとの共生を掲げてペット避難所を作ること、そして行方不明になったペットの捜索を掲げた条例が議会で否決されたそうです。
 記事によれば、市長さんは「ペットの問題で毎回現場が揉めるので明文化しようとした」ということだったのですが、議会では「人命救助に支障が生じる」「人的資源がない」などといった理由で現状維持でいこうという判断をしたようです。
 避難所の収容人員がコロナ禍でかなり減っており、この上ペットの収容まで考えるとパンクするという考え方も、そうでなくても手が足りない災害時に行方不明になったペットの捜索をするのは物理的に無理です。
 ただ、ペットと避難については、いつの災害でも必ず避難所運営者を悩ませる問題になってしまっていて、関係性を明文化しておくということは大切なことなのではないでしょうか。
 その避難所がペット避難可なのか、ペット可だとして、同行避難なのか同伴避難なのか、収容する場所や収容できる動物は何かなど、考え出すと結構問題がたくさんあるのですが、現状でうまくいっていない状態はどうにかしないといけないと思います。
 とはいえ、ペット問題は本当に多岐に及ぶので、一律的に決めるのも難しいことは事実。さまざまな団体や避難所運営者が試行錯誤していますが、なかなかこれだという解決策は出てきていません。
 ペットは家族の一員であり、人によっては家族以上の存在になっている場合もあります。そしてペットの避難ができいのであれば自分も避難しないという人が多いのも事実です。
 人間が一時避難所で難を避けた後、指定避難所に移動するように、ペットも一時避難したあと、しばらく過ごせるような場所について選択肢を作っておくのは一つの方法なのではないかという気がしています。