防災マップを作ろう・自分の部屋編

 防災研修会をやると必ずといっていいほど出てくる防災マップ。
 地域の危険な場所やものを調べて地図に書いていき、安全な場所や安全な避難経路を確認するために大切なものです。
 ただ、地域をどんなに点検しても外に出ることができなければ、せっかく作った地域の防災マップは何の役にも立ちません。
 自分のいる場所から外に出るまでの経路もきちんと点検しておかないといけませんよね。
 そこで、今回は自分の部屋の防災マップを作ってみようと思います。

 まず、準備するものは方眼紙。書きやすく、部屋の見取り図が書きやすいものを用意してください。
 次にメジャー。5m計れれば十分だと思います。
 この二つを使って、部屋の見取り図を作っていきます。
 記入をする方眼紙は一マスのサイズが何cmかを決めておかないといけませんが、ここではとりあえず1マス10cmとして作成をすることにしましょう。
 まずは部屋の大きさを方眼紙に黒色で落とし込みます。外枠だけ書いてあれば大丈夫です。扉やガラス窓の位置がわかるようにしておきましょう。
 次に、家具の大きさを測って記入していきます。テレビ等も記入します。
 見取り図には幅と奥行きだけを書いていきますが、高さもメモしておいてください。

所長が試しに書いてみた部屋の間取り。四角一つが10cmで作成している。

 書き終わったら、今度は赤色を使って先ほど記入した家具のうち、安定の悪い面に倒れたと想定して、メモしておいた高さに従って倒れた部分を書いていきます。
 中には倒れないものや動かないものもあると思いますが、それはそのままで大丈夫です。
 次にガラス窓が割れたことを想定して飛散する区域を斜め線で書きます。窓から30cm程度斜め線を入れておいてください。
 そして、その状態で出入り口の扉が動かせるかどうかを確認してみます。
 さて、ここまで書いてもらったのは、地震に遭ったときに最悪どのような被害が出るのかを試しに書いてみたものです。
 その絵の中に、普段自分が寝ているであろう場所に青色でマークをつけると、現在のこの部屋とあなたの危険度を教えてくれる図のできあがり!

ざっくりとだが部屋の中の危険な状態はこれでわかる。あとはいかに赤い部分を減らすことに力を入れるかだ。

 どうですか? 寝ているときに地震に襲われたとき、あなたは何かの下敷きになっていませんでしたか?
 もし下敷きになっていたり脱出路が塞がれていたのであれば、どういう風にすれば安全が確保できるかを考えてください。
 例えば、家具の向きを変えてみたり、寝る場所を変えてみたり、より低い家具に変えて転ばないようにするというのもできますよね。
 一番の理想は部屋の中に寝具以外何も無い状態ですが、それが困難であるなら「落ちない」「壊れない」「倒れない」を考え方の基本にして考えてみてください。
 また、ここまでは触れていませんでしたが、部屋の照明にも注意が必要です。天井直付けの照明器具なら大丈夫ですが、釣り下げ式のものだと激しく揺れたときにはどこかにぶつかって割れてしまう可能性があります。
 例えば笠を固定して動かないようにすれば、破片で怪我をしなくてもすみます。
部屋に限らず、自分が長く過ごす場所の安全は非常に大切です。
 一度「部屋の防災マップ」を作って、どういう風にしたら自分の身が守れるのかについて考えてみてはいかがでしょうか。

被災者支援の「平等と公平」

 日本の被災者支援では「平等」が求められるようで、そのため、支援物資が入ってきても全員に配れないものは配布されなかったり、一部の人にしか必要とされないものはいらないと断られたりすることも、過去の災害では起きています。
 でも、「命を守る・命をつなぐ」という視点で見ると、平等は「不平等」だと感じます。
 例えば、健康な成人男性と3歳児が飲まず食わずでどれくらい持ちこたえられるかを想像してみてください。
 恐らく、成人男性の方が3歳児よりも長く生きることができるはずです。
 平等という考え方でいけば同じ量が同じ時期に支給されない限りは食事は配れないということになりますから、放っておくと3歳児は成人男性より先に死んでしまうことになります。
 また、生理用品については女性は必要としていても男性にとっては必要の無いものですので、人によっては「こんなものいらない」と運営者が返品してしまうことも起きえますし、実際に東日本大震災で起きたとも聞いています。
 「全ての人に全てのものを」という発想で行くと、必要の無い人にいらないものが届き、必要とする人には必要数に足りない量が配られるという悲しい事態になってしまいます。
 ところで、似たような条件の難民支援では「必要なものを必要な人に優先順位に従って届ける」ことがルール化されています。
 生命力の弱い人を始めとする支援の必要な人から優先して必要な物資を届けることで、無駄もなくなり、安心して命をつないでいくことができるからです。
 避難所運営においては、あちこちから届くさまざまな支援をどのように分配するのかが必ず問題となりますが、その際の視点は「平等」ではなく命をつなぐための「公平さ」が必要なのではないかと考えます。
 避難所を開設して運用をするとき、その避難所にどのような人が居るのかを把握し、届けられる物資をどのように配分すれば避難者全てが命をつなぐことができるのかに配慮した視点をもち、物資を配布する前に配布の仕方をルール化しておくことは絶対条件です。
 声の大きな人や気づいた人が優先的に物資や支援を受けるのではなく、必要な人に優先度に応じてきちんと物資や支援を届けることが、避難所の運営ではなによりも重要だと考えます。
 ただ、この公平さは行政機関では対応ができない部分です。日本の行政機関は「住民全てに平等に」という原則がありますので、できれば避難所の運営を行政職員以外の自治会や自主防災組織が行った方がトラブルが防げます。
 さまざまな支援に対して、自分に必要ないから拒否するのではなく、その支援が必要なのはどのような人なのだろうかという視点にたって使い道を考えていきたいものですね。

ホイッスルは何に使うの?

 非常用持ち出し袋のリストの中に必ず入っているのがこのホイッスルです。
 このホイッスル、何に使うのかというと「閉じ込められたときに位置を教えるため」とされているのですが、普段から非常用持ち出し袋を持って移動する人がどれくらいいるのかなと考えてしまいました。
 地震はいつ起きるかわかりませんし、いつ倒壊した建物に閉じ込められてしまうかもわかりませんが、そのときに自分の位置を知らせて救助を求めるのであれば、少なくとも身につけていないと役には立たないでしょう。
 キーホルダーにつけたり、薄型のものをお財布や名刺入れ等普段持ち歩くものに入れることで、いざというときに使うことができます。
 最近では軽量で持ち歩きのしやすい薄型のホイッスルも出ていますから、それらを上手に使ってなるべく持ち歩くようにしましょう。

百円均一で購入した笛。左側は玉無しでLEDライト付き。右側はよく見る玉入りの笛。
普段持ち歩けるようなコンパクトなものの方が忘れなくて良い。

 また、位置を知らせるという点では防犯ベルでも構わないわけですから、大きな音が出る道具を上手に使って、万が一の閉じ込めに備えるようにしてくださいね。
 余談ですが、ホイッスルには中に玉の入ったものと玉の入っていないものがあります。より大きな音が出るのは玉の入ったものですが、粉や水が詰まりやすく、玉が動かないと音が出ません。
 防犯・防災用にこれから準備するのであれば、玉の入っていないものをお勧めします。

防塵マスクあれこれ

 災害時に付きものなのが粉塵です。
 東日本大震災や熊本地震の時には地上から1mくらいは粉塵で満たされました。
 水害などでは被災後はそうでもありませんが、ヘドロが乾いてくると車や人が通るたびに粉塵が舞い上がります。
 気管支の弱い方だけでなく、普通の人でも喉が痛くなるような環境となりますので、それに備えてマスクを用意しておきましょう。
 普通のマスクでも問題ありませんが、気管支が弱い方などはN95やDS2といった防塵効果の高い高規格のものを用意しておくと安心です。
 ちなみに、N95もDS2も防塵・防護マスクとしての基準で、N95は米国労働安全研究所(NIOSH)が、DS2は日本の厚生労働省がそれぞれ定めたものですが、能力としては殆ど互角のものです。

DS2規格とN95規格の使い捨て防塵マスク。医療用マスクだと市中では手に入りにくいが、ホームセンターに行くと普通に売っている。N95の方が単価は安い気がする。

 このマスク、防塵対策だけではなく、PM2.5やインフルエンザウイルスを吸い込みにくい効果もありますから冬場や春先でも威力を発揮します。
 ただ、せっかくのよいマスクを買ってつけていても自分の顔にちゃんとフィットさせられていないとマスクの本来の能力は発揮されませんので、あらかじめきちんとつけられるように練習しておくことが大切です。
 非常用持ち出し袋には数個、家の備蓄としては2週間程度準備しておくことで、気管支のトラブルを防ぐことができますよ。

非常用持ち出し袋には小銭を入れておこう

 以前に公衆電話について災害時に活用する方法について書いたところですが、実際のところ、公衆電話を使うためには10円玉、100円玉が必要です。
 NTTが災害指定するまでは料金がかかりますので、少なくとも公衆電話を使うためには10円玉は持っていないといけません。
 また、自動販売機やコンビニエンスストアなどで買い物をする場合でも小銭でないとお断りとなる場合があります。
 停電でレジシステムが動かなくなった場合などには店員さんが自力で計算しておつりを出すことになりますので「料金ぴったりに支払えないなら売らない」などという場合も過去の災害ではあったように聞いています。
 そう考えると、10円玉と100円玉をある程度準備しておかないと、お金はあるのに何もできないという悲しい状態になってしまいます。
 とはいえ、あまり高額の小銭を非常用持ち出し袋に詰めると、重たいですし盗難の心配もありますので、1000円から2000円程度を10円玉と100円玉で準備しておくと安心です。

【活動報告】初めてのワークショップを開催しました。

 令和元年5月3日にワークショップ「空き缶でご飯を炊こう」を開催しました。
 最初ということもあって会員限定で行いましたが、当日は天気にも恵まれ参加していただけた皆さんも楽しんでいただけたようです。
 途中、空き缶コンロの火が消えてつかないというハプニングもありましたが、なんとか上手に炊きあがり、参加した皆さんでおいしくいただくことができました。

今後ともいろいろなワークショップを開催していきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

○ワークショップ「空き缶でご飯を炊こう」
 350mlの空き缶を二つ用意して、鍋とコンロを作ってみました。

・材料
350mlの空き缶二個、アルミホイル、缶切り、カッターナイフ、きり、燃料
炊くためのお米とお水

・作り方
1.まずは二つとも飲み口のある側を缶切りで切り取ります。

2.そのうちの一つの胴部分にカッターで穴を開けます。

これでコンロのできあがり。

3.空き缶一つでおよそ1合のご飯が炊けます。ご飯を入れて研ぎます。

4.炊くためのお水を注ぎます。お米よりも2.5cmくらい多めにします。所長は自分の人差し指の第一関節までと決めてます。


5.アルミホイルで包みます。お腹が減っていなければ、ここで1時間くらい水を吸わせるとさらにおいしいご飯になります。

6.コンロに燃料を入れます。今回は料理屋さんの一人鍋についている固形燃料を使います。

7.火をつけてご飯の入った缶を上にのせます。

木をくべてみるが、風の通りが悪いせいかうまく燃えてくれなかった。

7-1.固形燃料の火が消えました。慌ててその辺にあった木ぎれをくべましたが、火がなかなか続きません。吸排気がうまくいっていない感じなので、上部に排気口をきりで開けてみます。

 新しい固形燃料を入れると、今度はうまく燃えてくれました。
8.うまくいくと、やがて「チリチリ」「グラグラ」といった小さな音が聞こえてきますので、
その音が止むまで火にかけたままにします。

9.音が消えたらご飯の入った缶を火から外してひっくり返して蒸らします。
10.10分くらいしたら元に戻してアルミホイルを外します。

火力調整が悪かったのか、ちょっとだけ堅かった。

11.きらきら白ご飯の炊きあがり。

一人スプーン二杯程度しか食べられませんでしたが完食でした。そこにもお焦げはできなかったので、終了後は水で洗ってリサイクルに出せました。

 ご飯を炊くときにはお米の量と水加減、火加減によって炊きあがりがさまざまに変化しますが、空き缶でやるととくに顕著ですので、いろいろと試してみると面白いと思います。

 アルミ缶は非常に薄いので、卓上コンロなどのガスを使うと高温で溶けてしまう可能性があります。
 また、炊きあがりは非常に缶が熱くなりますので、手袋などを使ってやけどしないように気をつけてください。
 なお、アルミ缶のこういう使い方は製造元では想定していませんので、真似してトラブルが起きたときの責任はされた方の自己責任でお願いします。

広域避難の受け入れ計画は大丈夫ですか?

 平成31年3月末時点の「原子力災害に備えた島根県広域避難計画」の付属資料が公開されました。
 それによると、島根原子力発電所で何らかの大規模放射能漏れが発生した場合には、島根原子力発電所から30km圏内の住民は全て避難対象となっているようです。
 その数、121,460人。
 その中で、県内避難先として益田市、津和野町、吉賀町も入っており、益田市が17,950人、津和野町が1,970人、吉賀町が1,430人を受け入れる計画になっています。
 原発事故による避難はほぼ着の身着のままで生活物資も殆ど持たずに逃げ出すことになることが多いので、この数の人がもし避難してきたとしたら、その人達に対する支援はどうなるのでしょうか?
 現在の人口の2割から4割くらいの人が避難してくるわけですから、それまでの生活物資の流れのままでは、そこに住む住人達の通常の生活ですら破綻することになってしまいます。
 東日本大震災で広域避難自体がそこまで大きな騒ぎにならなかったのは、背後に首都圏という超巨大な物資集積地があり、避難者の数も避難先の住人の数に比べれば少なく、太い物流を活用できたためで、中国地方では岡山市や広島市も含めて首都圏ほどの太い物流網はありませんから、避難先の土地でさまざまな物資が不足することが簡単に予測できます。
 居住民の物資が欠乏するとその恨みは物資を消費する避難者に向けられるわけで、これに対する対策も事前に決めておく必要があります。
 どうしたら物流を滞らせずに増えた人口を安定して食べさせることができるのか? 避難所のトイレやライフラインの問題はどうすればいいのかなど、検討し、決めておかなければいけない問題は 山積みのはずです。
 もちろん行政機関だけの問題ではありません。受け入れ先として予定されている学校などの各施設は、避難者を収容するとその間授業などの通常業務はできなくなると考えた方がよさそうです。
 渋滞や犯罪の問題も起きるでしょう。自治会や自主防災組織、学校、企業など、それぞれに検討しておく課題は存在します。
 今現在、去年くらいからようやく広域避難の訓練が始まりましたが、受け入れ側の受け入れ訓練はまともにされているとは言えません。
 いざというときにトラブルが起きないように、付属資料の避難受入候補地を確認していただいて、受け入れた後どうしたら地域に問題が起きずにすむのかを考えておく必要があると思います。

ペール缶コンロを作る

 災害が起きると、大概の場合、どこからともドラム缶やペール缶が現れてたき火用のコンロになっていたりします。

これはドラム缶を切ったやつ。石見地方の屋外神楽会場ではよく見るアイテムの一つ。

 でも、そのままだと非常に燃え残りが多く効率が悪いです。
 ちょっとした工夫で効率よく燃やせるようになるのですが、今回は良く燃えるペール缶コンロを作ってみることにします。
 用意するものはペール缶。手に入れるのには何やらルートがあるようですが、お友達にお願いして分けてもらいました。

俗に言う”ペール缶”。オイルが入っていることが多い。よく見かけるが、入手経路は私に取っては謎。

 まずは底を抜きます。最初は缶切りでできないかと思ったのですが、思った以上にサイズが大きくて、缶切りでは歯が届きませんでした。

底を抜くのは案外大変。道具があればすぐだが、無いと相当手こずる。

 仕方が無いので金属切断用のジグゾーを用意。 穴を開けて、缶の縁に沿って歯を回し切り取っていき、無事に底が抜けました。グラインダーでやるのも良くやる方法ですが、火花が散るのでカットするときには場所に気をつけてください。

ドリルで穴を開けるのは滑るので結構大変。
今回は対角線上に4カ所穴を開けたが、入れる木が重たいのであれば、ボルトはもっと増やした方が安定はしそう。

 次に全体の三分の一の場所に穴を開けて、火を支える網を止めるためのボルトを4本対角線上に差し込んでおきます。

買ってきたボルトと網。全部で600円程度だった。網の大きさは直径30cm。ペール缶の直径と全く一緒。
ペール缶に網を載せたところ。このままバーベキューでもできそうなくらいぴったりのサイズ。

 次は火を支える網です。市販品では30cmの丸い網がありましたが、ペール缶のサイズも30cmでうまく入りません。

 ジグゾーで切ってちょっと怖かった。あればニッパーが断然楽。
切り取った丸い部分で網を支えているので、外すとばらばらになりそうな雰囲気。

 再びジグゾーで周囲を切り取り、ペール缶にはまるサイズに加工し、切り取ったものをペール缶に填めてできあがり。

コンクリートブロックで風穴を確保。不慮の事故に備えてぶっかける水も用意した。

 下の部分は通気をよくするためにコンクリートブロックで支えます。

下側に着火剤代わりの新聞紙の丸めたの。上に端材を載せる。

火をつけます。火種の新聞紙と、上に廃材を載せて点火。
数枚くしゃくしゃにして敷いたのですか゛、新聞紙一枚で十分だったみたいです。

 火がつくと炉の中に空気を吸い込むので非常に良く燃える。
あっという間に火がついた。着火は下の吸気口から新聞紙に向けて行った。

あっという間に火が起きました。
ところで、このペール缶には取っ手がついていて、握り手の部分はプラスチックで握りやすいように加工されていましたが、それに気づきませんでした。

組み立てをする前に、プラスチック製の部品はきちんと外しておかないといけなかった。
どろどろになってしまって、冷えたら完全に固まってしまっていた。

 気がついたらどろどろのべたべたになってしまっていましたので、後で切り取っておくことにします。
 これでペール缶コンロができあがりました。上で鍋を作るのであれば、上側にもなんらかの支えが必要となります。
手っ取り早いのは、さっき中に敷いた網をもう一枚買ってきて上に載せることですが、燃料となる木材の出し入れを考えると、ちょっと手間を感じます。

燃え尽きた後のコンロの中。網の上に載っているのは、新聞紙を丸めて固めたものがそのままの形で残っている。上に載せた木はきれいに燃焼終了した。

 さて、このペール缶コンロは少量の木材でもかなりの火力を出すことが出来、鍋で簡単にお湯を沸かすことが可能です。
 自主防災組織や自治会で避難所運営を予定されているのであれば、一個から数個、このペール缶コンロを作っておくことをお勧めします。
 余裕があるときに作っておくと、いざというときに慌てなくて済みますよ。

 ■後日談(2019.5.20追記)

出かけた先のコメリさんでペール缶よりも一回り小さい網を見つけました。

サイズは28cmでペール缶よりもちょうど一回り小さい。

中に填めてみたら、割ときれいに収まりました。わざわざカッティングしなくてもしっかりした状態で網が使えるので助かります。もしペール缶コンロを作ろうとお考えの方は、アウトドア用品の充実している今の時期に資材を揃えておくといいかなと思います。

見た感じではわからないが、若干ペール缶が変形しているようですっぽりとは収まらなかった。
ただ、火の台としての仕事はきちんとできるレベルの収まり方ではある。

水の運び方

 災害が発生すると、ライフラインの復旧が問題になってきますが、一般的に地面の中に埋まっているものは復旧に時間がかかるものです。
 中でも水は他に代替手段がないため井戸が無い限りは復旧まで給水車に頼ることになりますが、給水車は各戸に回って水を供給してくれるわけではありません。
 指定される近所の給水所まで水をもらいに行くわけですが、その給水所から家までどんな風に水を運ぶのかを考えたことがありますか?
 水の重量は500mlで500g。1リットルならほぼ1kgです。
 国の試算では、1日に成人が必要とされる飲料水は料理用も含めて最低3リットルですが、給水所から家まで3kgのものを抱えて移動することを考えてみてください。
 そのとき、どんな容器で運ぶことを考えていますか?
 例えばよく出てくるのはバケツですが、そのとき使えるバケツが常に清潔だとは限りません。
 こんなときにはバケツの内側にきれいなビニール袋を二重に入れれば、バケツを洗浄しなくてもきれいな水を運ぶことが可能です。
 また、バケツがなくても同じ方法で段ボール箱でも運ぶことができます。
 気をつけるところは、ビニール袋の持ち手があるものを使うこと。ビニール袋の中の7割程度に水を入れて口を縛れば、段ボール箱を濡らさずに運ぶことができます。
 例えば、燃えるゴミの袋などはどの家庭にでもあってこういう使い方もできる便利な袋です。製造元はこういった使い方は推奨しないと思いますが、非常時なので許してもらうことにしましょう。
 そして、輸送用の台車があると子どもや高齢者でも安心して運ぶことができます。わずか3kgと思われるかもしれませんが、これを抱えて移動するのは結構大変ですから、何らかの道具が使えると便利です。
また、ここからは支援者側の問題になりますが、被災者の輸送能力、給水を待つ人数、給水能力を考えると、給水所は半径500mごとくらいをカバーできるくらいで作るのが理想です。
 そして、給水装置の形によりますがなるべくこぼさないようまたこぼれた水が利用できるような準備、例えば下に水受けを用意するなどしておく必要があります。
 最近では5リットルや10リットル入りの給水袋に入れた水をそのまま提供することもあるようですが、給水時の給水方法を事前に周知しないと水を入れる容器と給水袋を抱えて途方に暮れるような辞退が起きないとも限りません。
 速やかに受け渡しができるような整理をしておく必要があると思います。
 そして避難所の場合は避難所として飲料水を確保することになるので、予定避難者に見合うだけの水を確保できる20リットル灯油缶などの専用道具が必要です。
 どのように貯水するのかについては、事前にしっかりと検討をしておかないといけません。
 いずれにしても、普段のように蛇口をひねれば水が出る状況ではありませんので、そういう事態に備えた準備をきちんとしておきましょう。

虫対策を考える

 災害が発生した後、どこで過ごすにしても虫に悩まされることが多くなります。
 さまざまな腐ったものから発生するハエやその他の虫、あちこちに貯まった汚水から発生する蚊など、普段はあまり気にしないような虫がたくさん発生します。
 この対策として、虫除けや殺虫剤などを用意しておく必要があります。
 例えば避難所には網戸がないことが多いです。そして、特に夏場では熱がこもってしまうので窓を開けないと熱中症になる危険性があります。
 網戸のない窓からハエや蚊、その他の虫が避難所を飛び回ることによって、衛生環境や不快感が出て、そうでなくても先の見通しがはっきりしせずにいらいらしている避難者達をよりいっそういらいらさせてしまうことになります。
 対策としては、個人としては非常用持ち出し袋には虫除け薬及び虫刺されに効く薬を入れておくことが第一です。
 そして、避難所を準備・運営する側は蚊取り線香等の虫除け・虫取り・殺虫剤を準備しておくことを考えておいた方がいいでしょう。
 また、衛生環境を維持することからも消毒用の消石灰の準備をしておくとよりよいと思います。
 もちろん、避難所での生活において生ゴミなどから虫が発生しないような対策を行っておくことも大切です。
 災害後、なかなかそれまでの衛生環境を取り戻すことは時間がかかります。ですが、資材によってある程度防ぐことが可能な部分でもありますので、事前準備をしっかりとしておきましょう。