危険を予知する

 子ども達と話をしていると、年齢が高くなるに従って危険の予知力が落ちてきている気がします。
 小さい子だと素直に危ないと感じることでも、年齢が高くなるといろいろな理由を考えて「危なくない」という結論を出そうとしているように見えるのです。
 「怪我は許さない」「危険な目に遭わないように」という世の中の方針が間違っているとは思いませんが、ありとあらゆる危険を排除して生活していると、危険を感じる能力が低下してしまいます。
 子どもだけでなく大人も同じで、危ないということが理解できない人達が増えています。
 その結果が、増水する川の中州でバーベキューしたり、雨の山の鎖場で滑落したりすることに繋がっているのではないでしょうか。
 筆者個人としては、無防備な危険は避けるべきだと思いますが、制御された危険は小さいうちにしっかりと体験しておくべきだと考えています。
 死なない程度の危険を繰り返して体験しておくことで、自分で安全か危険かの判断ができるようになっていきますから、危険なことは危険であることを教えた上で体験させておく必要があるのではないでしょうか。
 「刃物は危険だから使わせない」が進むと、いざ刃物を使うときにやってはいけない危険で致命的なことをやってしまいがちです。
 川や水の流れの怖さを知らないと、増水している川で平気で遊んだりします。
 危険を予知する能力は、ある程度危険な体験をしないと育たない。そのために制御された危険をしっかりと体験すべき。
 災害対策も同じで、そのために体験型の防災センターや起震車などが活躍しています。体験をしておけば、いざというときに必ず役に立ちます。
 危険を予知する能力を上げるためにも、さまざまな野外活動に参加したり、防災体験をしてほしいと思います。

紙鍋でお湯を沸かしてみる

 被災後の気力維持で重要なものの一つにいかに暖かいものを口にすることができるかというものがあります。
 とりあえず安全な場所に避難してから、しっかりとした支援物資が来るまでの間、暖かいものが口にできていれば気力は案外としっかり持てるもの。
 お湯を沸かす道具がきちんとあれば何の問題もないのですが、何か足りないのが非常時の常。
 今回は紙を鍋にしてお湯が沸かせないかを試してみました。

水がしみない紙ならなんでもいいみたいだが、今回は安全を考えて食品に使えるクッキングシートを採用。

 準備したものは、小さめのざるとクッキングシート、それに燃料としてのまつぼっくりです。
 まつぼっくりはしっかりと乾かしてあるので、火力は充分なはずです。
 紙はクッキングシート。クッキングペーパーは水を吸い取ってしまうので火にかけるのには向きません。
 水を吸わなければどんな紙でもいいのですが、今回は食の安全を考えて普通に食用に使っているクッキングシートを使います。
 紙鍋だけだと、水を入れたときに強度が不足して壊れてしまうので、支えるためにざるが必要です。

 まずはクッキングシートを手頃な大きさに切ってざるの中に入れます。きれいな形にはなりませんが、そこはそんなもんだと割り切ります。
 水を注いで五徳の上に載せ、まつぼっくりに火をつけます。

 まつぼっくりはしっかりと燃えてくれますが、全体にうまく火が回らない・・・。
 仕方が無いので助燃剤を使ってお湯沸かしを継続します。
 松ぼっくり+助燃剤で10分。まつぼっくりはうまく燃えてくれず、やっぱりうまくいかない・・・。

 あまり長いこと指をつけていることができなかったので、水温は60~70度までは上がったと考えられますが、燃料が尽きて沸騰まではいかず。


 面白くないので、自宅のガスコンロにかけてみました。
 弱火から中火だと、燃えずにうまくお湯が沸きそうです。
 紙鍋が燃えない理由は水のある部分が熱を持って行ってしまい、紙が燃えるための温度まであがらないからなのですが、早くお湯を沸かそうと思って火力を少し上げると・・・。

 火が水のない部分に当たってしまい、見事に燃えてしまいました。

泡のように見えるのは沸いたお湯。ちゃんとお湯は沸いていた。

 終わってみると、鍋の水面を境に見事に水のあるところだけが燃え残りました。

 中のお湯を出して底を見てみると、それでも焦げたようになっています。
 普通の小鍋用燃料ならしっかりお湯が沸いたのかなと考えましたが、今回はこれで終了となりました。
 被災後にはあるもので何とかしなければなりません。
 こういった知識が直接役に立つかどうかはわかりませんが、知っておいて損は無いと思います。

企業や施設におけるBCPで考えておくべきこと

 大きな災害が続くと、企業や施設などの防災対策に注目がされるようになります。
 その中でも、BCPと呼ばれる事業継続化計画についてはある程度までは簡単にお金をかけずにできることからそれぞれの企業や施設で準備されてきているようです。
 ただBCPを作成するときによく忘れられているものの一つに「利用者にいかに不便を感じさせないか?」というものがあります。
 企業や施設において、利用者がいなくなることは致命的な問題を生じさせますから、利用者の確保は通常時、被災時を問わず大切な問題となっています。
 利用者を確保し、利用し続けてもらうために作成するのがBCPの重要な役割の一つであることは間違いありません。
 そして、自分のところの復旧を急いで利用を再開してもらうことは重要ですが、利用者が可能な限り早く利用再開ができる手段も講じておく必要があるのです。
 利用者目線で見れば、あくまでも利用が再開できることが重要なのであって、利用先がどこなのかということはそこまで大きな問題にはなりません。もし利用先にこだわっている人であれば、説明できれば再開まできちんと待ってくれています。

 自分のところの復旧が遅れそう、もしくは再開の目処が立たないときに利用者をどのようにするのか。つまり利用者の扱いを決めておくかどうかでその後の流れが変わってきます。
 企業や施設が利用者よりも先に自分のところの状況を説明し、代替手段を提供できれば、利用者が自分のところが再開したときには戻ってきてくれる可能性が高くなります。でも、利用者自身が新たな利用先を見つけて動いた場合、自分のところが再開しても利用者が帰ってきてくれないでしょう。
 利用者は放置されたという負のイメージに加えて、新しいところを見つけるという自分がかけた手間が正しいと感じるからです。
 もし自分のところが利用先を紹介し、再開時にはまた案内すると言っておけば、利用者も納得しますし紹介した利用先もそれなりに配慮してくれるはずなので、誰も不幸にならない選択肢が選べます。
 つまり、BCPの中には自分のところの復旧、復興用件だけで無く利用者に対してどのように情報提供し、どのように利用再開してもらうのかという視点も必要になると言うことです。

 災害対策に関して言えば、ライバル企業やライバル施設であってもお互いに協力できる体制作りをしておかなければいけません。
 自分のところを守るためにライバルと協調するというのは不思議な気がするかもしれませんが、大切なのは利用者の利益を確保することです。
 そこのところに注意してBCPを作成しておきたいですね。

可能な限り体験してみる

 今年度はコロナ禍でさまざまな行事やイベントが中止の憂き目に遭っています。
 災害関係のイベントも例外では無く、コロナウイルスの流行が始まってから9月くらいまではほぼ全てといっていいくらい中止の話ばかり耳にしていました。
 10月に入って少しずついろいろな防災の研修会やイベント、体験会が増えてきてはいますが、必須ではありますが見方によっては不要不急な内容でもあり、ちょっとずつ様子を見ながらの開催になっていくのかなと感じています。
 ところで、防災に限りませんが、さまざまな行動が可能になるのは頭だけで無く実際に身体にしみこませているからだと考えています。実際に災害を体験した人は、しばらくは素早く動くことができることから考えても、しっかりと身についていると考えて良いと思います。
 そのため、体験型の研修会が増えてきているのですが、あなたはこれまでにどれくらいの防災関係の研修会に参加されたことがあるでしょうか。
 「対策しても役に経たない」「訓練に参加するのはかっこわるい」「必要だと思わない」「理解できているからやらなくていい」など、やらない理由はさまざまですが、やることを知っているのと実際にやってみるのとではかなり感じが異なります。
 やってみないとできるかどうかがわからないというのが、さまざまな防災の研修会や訓練に参加してきた筆者の乾燥です。
 例えば火事のとき「なるべく低い姿勢で呼吸は浅く移動しましょう」ということは消防署などの研修では必ず教わります。でも、そこで理解できたことと、人為的に作った「煙避難トンネル」を実際に経験してみるのとでは感じることが全く異なります。
 幸いにして、防災訓練は殆どがただかただに近い値段で開催されるものです。
 もし見かけたら、全部出なくて良いので少しでも参加してみてください。知っていることを行動に移すことがどれ位大変か、一度やってみると理解が可能だと思います。
 災害対策はやろうと思えば一人でもできます。ある部分はキャンプみたいなものなので、ハイキングやキャンプと同じ感覚でやってみればいいと思います。
 思わぬものが必要になったり、必要だと思っていたものが全く必要なかったりと、一度やるだけでもいろいろと出てきます。
 訓練や研修を重ねていくと、自分にとって必要な防災対策がわかってくるので無駄な備えや作業をしなくても済むようになります。せっかくあちこちで開催されている防災訓練なのですから、できる範囲で構いませんから、参加していろいろなことに気づいて欲しいと思います。

水を持って歩こう

 自分の水筒を持って歩く人をよく見かけます。
 新型コロナウイルス対策や経済的なもの、好みの飲み物を手軽に飲みたいなど、さまざまな理由があると思いますが、防災という視点から見るととてもいいことだなと感じます。
 災害が発生すると、一番最初に困るのがトイレ、そして次に困るのが水の確保です。汗や尿など水分が身体から出ていくことを止めることはできませんから、身体が失った分の水分をなんらかの形で補給してやらないと脱水症状を起こしてしまいますが、そんなときに自前の水筒が一つあると精神的に落ち着きますし、脱水症状に悩まなくてもすみます。
 自動販売機やコンビニエンスストアなどで買えば良いじゃ無いかと言われることも多いのですが、災害が起きると水分の確保が必要と言うことは割とよく知られているようで、一番最初に姿を消すのが水、そして次がお茶というのが災害後のいつもの風景になっているなと感じています。
 それを考えると、自分の持ち歩くカバンに水筒があるというのは安心感があります。
 中はできればお水またはお茶がよいのですが、中身がなくならないように気をつけていただければ好みの飲み物で十分だと思います。
 もっとも、コーヒーや紅茶は利尿作用を起こすカフェインが入っていますので、できれば避難中に飲むことは避けたいところです。そういった飲み物が好きな人は、小さくて良いので別に水のペットボトルを持ち歩くとよいと思います。
 重さの問題もあるので、無理のない範囲でということにはなりますが、好きな飲み物で気分を落ち着かせて、身体の渇きは水で対応と考えていただければいいと感じます。
 ともあれ、渇きは身体へのダメージが大きいですし、判断力も鈍ります。脱水症状が続けば命の危険の問題も発生します。
 自分の水筒には常に飲み物が入っている状態を維持していただいて、災害の時に慌てなくて済むようにしておきたいですね。

冬の災害とカセットガス

屋内用カセットガスストーブの「風暖」(イワタニ製)。ファンヒーター方式のため、暖かくて安全に使えるがカセットガス1本で2時間は持たないため、ガスの補充が課題。軽くて楽に持ち運べるのもメリット。

寒くなってきました。とはいえ、災害はいつ起きるかわかりません。
あなたは寒いときに災害が起きたら、どのようにして暖を取るかを考えていますか。
最近はやっているのはカセットガスを使ったガスストーブ。カセットコンロと燃料が共用できて保管も容易、取り扱いも簡単と言うことでいろいろなものが販売されています。
元々は屋外用のみ取り扱いだったように記憶していますが、最近では屋内でも使えるように安全性にも配慮したものもたくさん登場しています。
ただ、カセットガスストーブはいくつかの問題点があります。取り扱いに際してはその問題点を充分に理解した上で使うようにしてください。
また、できればたまに動かしてみて、実際に自分の生活スタイルに合っているのかについて確認しておくことをお勧めします。

1.燃料を大量に必要とする

 カセットガスストーブはカセットガス1本でおよそ1時間から2時間程度しか使えません。
 もちろん機種や燃焼効率によっても異なりますので一概には言えないのですが、カセットコンロに比べるとかなり燃料を使いますので、カセットガスを備蓄する時にはそのことを計算に入れて準備する必要があります。

2.換気に気をつける

 カセットガスストーブに限らず、燃焼機関を持っている暖房器具全てに言えることですが、充分な換気をしなければ一酸化炭素中毒になることがあります。
 特に高断熱住宅といわれるような建物の場合には、しっかりと換気を意識しておかないと危険な状態になりかねませんので一時間に一回程度は換気を行うように気をつけることが必要です。

3.やけどに気をつける

 カセットガスストーブは燃焼部分や吹き出し口が非常に熱くなりますので、触るとやけどをすることがあります。
 高齢者の方や乳幼児のいるご家庭では特にカセットガスストーブに近づかないように配慮しておく必要があります。

4.暖まるエリアが狭い

 カセットガスストーブは暖まるまでが早いのですが、構造上暖まる範囲が石油ストーブなどに比べるとかなり狭いです。
 ファンヒーター装備のものもありますが、思ったほど暖かくはならないことを意識しておいてください。

 繰り返しになりますが、カセットガスストーブには屋内用と屋外用があります。
 屋内用は屋外用に比べるといろいろと安全に配慮された作りになっていますので、屋内で使うのであれば必ず屋内用を選んでください。
 屋外用のものを屋内で使うことのないように、充分気をつけてください。
 カセットガスストーブは、取り扱いが簡単で燃料の保管も容易で危険が少ない便利なものです。
 特にオール電化住宅の停電などの場合には、非常に威力を発揮してくれる道具だとも思います。
 もし備えるのであれば、問題点をしっかりと考えた上で、どうやったら適正に暖を取る方法を使って考えてみてくださいね。

おうちの災害対策をやってみよう

 単身世帯でも大家族でも災害は等しくやってきますから、日本に住む以上はどんな人でも災害対策は必要です。
 定期的に自分やおうちの災害対策について見直し、検討しておきませんか。
 例えば、住んでいる家や部屋は、どのような災害になったときに避難をすべきなのかということは確認しておく必要がありますし、避難先についても経路も含めて確認しておく必要があります。
 また、避難の時に持参すべきものは準備できているか、劣化や期限切れで使えなくなっていないかなどの点検も定期的にしておく必要があります。
 単身者の場合には家においてある食べ物は酒のつまみだけ、飲み物はビールだけなどという人もいらっしゃるかもしれませんが、長期保存水に加えて、避難するときにはおつまみだけでもよいので持って逃げられると避難先で飢えに苦しまなくて済みます。
 災害対策はおうちの数だけ異なる準備があります。どんなおうちにもそのおうちオリジナルの災害対策が存在するものです。
 例えばアイテム。普段の生活の中でどんなものを使っていてどんなものが必要なのかを確認し、非常用持ち出し品のリストにそれを追加しておいてください。そうすることで、避難先での生活でもある程度快適に過ごすことが可能です。
 ちまたで大きな災害が起きると「こんなはずではなかった」となり、災害後には全国的に非常用持ち出し品の売れ行きがよくなります。でも、しばらくしてまた災害が起きたら「こんなはずではなかった」という方が少なからずいるのは、準備だけして安心してしまってそのうち準備したことも忘れてしまうからです。
 準備したら、定期的に見直して必要なものを入れ替えたり追加したりすることで、いざというときに非常用持ち出し品を思い出すことができ、持ち出すことも可能になります。買って安心してタンスの肥やしにするのではなく、準備し続けることが大切です。
 これ以外にも、ライフスタイルの変化で対策や準備はどんどん変化していきますから、せめて1年に1回はおうちの災害対策として、日を決めて災害対策の見直しをすることをお勧めします。

災害対策で考えておかないといけないこと

 災害対策で個人が考えておいた方がいいことは、災害に遭わなくて済む場所を選ぶと言うことです。
 例えば住家を始めとする生活の場なら、ある程度は自分の意思で決めることができます。住む地域を災害に遭いにくい場所にすることで、いざというときでも家に立てこもれば数日は凌げるという状態にしておくことが理想です。
 それからトイレと水の備え。飢えは我慢できても、排泄を我慢することは非常に困難ですし身体にもよくありません。
 災害に遭っても排泄が確保できるトイレを考えておくといいでしょう。
 それから渇きにも耐えるのが難しいですから、飲料水も準備しておきます。住んでいる地域によって準備すべき量は異なり、田舎で水場が多ければ一日から数日分、都会地で水道に頼る環境であれば一週間は確保したいところです。
 暑さ寒さや濡れることにも備えておいた方がいいですから、簡単に使える保冷パックや携帯カイロ、タオルや替えの服などもあると便利です。
 まずは身の安全。そしてどうやれば衛生的に命を繋ぐことができるのかを考えておくと、災害時にも安心して生活することが可能です。
 災害対策でいろいろなものを準備するように言われるところではありますが、全て準備することが困難な方は、とりあえず安全な環境、トイレ、水、季節により保冷パックや携帯カイロ、タオル、そして下着を含む替えの服を準備しておけば避難先でも困ることはあまりないと思います。
 災害発生後に送り込まれてくる救援物資は誰もが必要としているものしか運ばれてきません。
 自分には必要だが全ての人が必要としているわけではないものについては、自分で準備しておくようにしてください。

絆創膏と応急処置

 先日とある小学校の防災クラブで応急処置の練習をさせていただきました。
 怪我と手当の方法を考えてきてもらったのですが、その中で「擦り傷は洗ってから絆創膏を貼る。持っていなければ人からもらう」というのがありました。
 その子自身は絆創膏は持っていないとのことで、ではどれくらいの子が絆創膏を持っているのかを聞いてみると、参加者14人中、持っていたのは1人でした。
 ハンカチで止血処置をするということでハンカチを持参してもらうようにお願いしておいたのですが、うまく伝わっていなかったようでハンカチを持っていない子が数人いました。
 少し気になったのが、この子達は怪我をしたときにどのように手当をする気なのだろうかと言うことです。
 自分が子どもの頃には、絆創膏を普段から持って歩いている子が結構いたように記憶しています。当然それだけ擦り傷や切り傷などの生傷が絶えない状況だったのでしょうが、今の子はあまり生傷に縁がないのかもしれないなと感じます。
 怪我をしなければ怪我の手当もする必要はないのですが、怪我をしたときにいざ手当をしようと思っても、手当をするための部材がなければ手当が難しいように感じます。
 今回の練習では、ガーゼを用意して傷口の圧迫止血を行い、その後に包帯を巻いて応急処置をするということを行いました。
 ガーゼや包帯は普段の生活ではあまり使うことはないと見えて最初はかなり手こずっていましたが、慣れてくるとくるくると包帯を巻き、上手に留めるところまでできていました。

初めて巻いた包帯。初めてにしては上出来な巻き方。

 いきなりでは無理だと思いますが、練習していれば本番でもきちんとできるということだなと思っています。
 普段の生活ではさまざまな形で守られているので、応急処置についてもあまり意識することはないかもしれませんが、いざというときには誰かに頼ることはできません。
 自分が主役となって自分や周囲の人を助けていかないといけないことを考えると、クラブだけでなく学校の授業の一つとして取り組んでみてもいいのかもしれないなと思います。

災害遺構を訪ねて12・石碑「未曾有の豪雨哀と潤を産む」

 益田市、津和野町、吉賀町から構成されている石西地方の災害遺構を探していると、大きく分けて「水害」と「飢饉」の碑がよく建てられています。
 この碑も水害の碑で、益田市美都町と浜田市三隅町の市境の民家の庭に、道路に向かって建っているものです。
 昭和の水害ということで、昭和18年9月20日、昭和47年7月13日、昭和58年7月23日、昭和63年7月20日の4つの水害のあった日が刻まれています。
 実は、碑には平成元年10月建とあるのですが、この碑の来歴がよくわかりません。

 裏側を見ても、ただコンクリートが浸食されているのがわかるような部分しか無く、由来を書いたようなものはありませんでした。
 調べた限りでは、この碑がここにあることが書かれたものはあったのですが、これが建立された理由や経緯に触れたものはありませんでした。


 あまりに奥地に唐突にある碑なので見たらびっくりするかもしれません。
 碑を構成している外側のコンクリートの浸食が進んでいるのがちょっと気になりますが、この碑は風雨に耐えて現在も過去の水害の起きた日を伝えています。