救急セットの作り方

 今日は9月9日、救急の日です。
 災害時、警察、消防、救急には救助の電話が殺到しますが、いずれの機関も人数には限度があるため、緊急性の高い案件から対応していきます。
 特に救急は、対応する救急車の台数も限られており、医療機関も重傷者優先対応になりますので、ちょっとしたけがは後回し、もしくは対応してもらえません。
 ですが、怪我した本人からしてみたら、痛いですしそのままにしておくと状況が悪化する可能性もありますので、できる範囲は手持ちの道具を使い、自分で救急措置をすると考えた方が間違いないですし、精神衛生上もいいと思います。
 とりあえず自分で処置しておいて、状況が落ち着いてから医療機関であらためて手当てしてもらうようにすることで、医療機関は重傷者対応に集中できるので、救える命が増えます。
非常用持ち出し袋や災害用備蓄品のチェックリストには必ず「救急セット」が入っているのは、可能な限り応急処置は自分でする必要があるために組み込まれているのですが、救急セットの中身について考えたことがありますか?
 今回は、みんな必要性は認識しているけれどどうやって作ったものか悩んでしまう救急セットの作り方について考えてみたいと思います。

1.救急セットの意味

 本文でも触れましたが、軽傷者をなるべく早く的確に措置することで怪我の悪化を防ぐとともに、医療機関への負担をかけないために用意するものです。
 災害時には怪我をしないことが大原則ですが、それでも切ったり擦ったり折れたりということは起こりうるものですから、それに備えて準備しておきましょう。

2.救急セットの中身

救急セット
防災用の救急セットもいろいろとあるが、完璧なものは無いので、結局自分でいろいろと買い足すことになる。

 救急セットに必要なものは、大きく分けると二種類あります。
 一つが被災してすぐに使う外傷対応に使うもの。
 もう一つは、避難が長期化したときに必要な常備薬やビタミン剤といった内服薬です。
 とはいえ、持ち歩くアイテムと分量は考えないとそれだけで非常用持ち出し袋の中が一杯になってしまうので、どうしても必要となるであろうものを準備します。

1)外傷対応

 まずは絆創膏です。いろいろな種類がありますので、二種類用意します。
 一つは普通にカットバンと呼ばれているもので、指に巻くタイプが数枚あればいいと思います。
 もう一つはハイドロコロイド素材のもの。キズパワーパットと書く方が通りがいいかもしれませんが、これのコロイド面が大きいものを数枚準備します。ハイドロコロイド素材だけのシートもありますので、面の大きいシートを一枚用意して、体には包帯やテープで貼り付けるという方法でもいいかもしれません。
 用途ですが、カットバンは切り傷用。ハイドロコロイド素材のものは擦り傷や深い傷に使います。
 次は滅菌ガーゼと包帯。これは数枚あればいいです。止血に使います。
 「目薬」。埃などが入ったときに差して目を守るのに使います。
 あとは「三角巾」が一枚。これがあると、包帯、止血帯、ガーゼなどいろいろな働きをしてくれます。
 そして、はさみ、毛抜き、ピンセット、使い捨て滅菌手袋といった医療器具も一緒にしておきます。
 また、使い道がいろいろとあるのでマスクと消毒用アルコールがあると助かります。

包帯と止血帯の機能を併せ持っているイスラエルバンテージ。
通販で取るのが早いが。割とお勧め。

2)内服薬

 まず絶対に忘れてはいけないのが持病の薬です。
 通常は必要とされる日数分しか処方されませんが、救急セットを作る目的をかかりつけのお医者様に伝えると、数日分多めにもらえることがありますので、差分を救急セットにいれ、新しい薬をもらうたびに入れ替えておけば、いざというときに持病の薬がないという騒ぎを防ぐことができます。
 次が「ビタミン剤」。市販されている総合ビタミン剤のようなものがあれば充分です。
 それから「整腸剤」くらいがあればいいと思いますが、季節によっては「総合感冒薬」などをセットしておいたほうがいいかもしれません。
 あとは「水」ですが、これは救急パックではなく、普通に非常用持ち出し袋に入っていると考えて、ここでは割愛します。

お薬手帳の表紙
お薬手帳も忘れずに持って逃げよう。最近は「e-お薬手帳」などのアプリもある。

 これらをパッキングすると、そんなに大きくない袋に収めることができます。
 市販の防災用救急セットにはもっといろいろと入っており、もっとさまざまな怪我や病気に対応できるようにはなっていますが、最低上記のものがあれば大概のことはなんとかなると思います。
 どちらかというと、問題になるのは救急セットに何を入れるかよりも、あなたが何を使えるか、ということです。
 例えば、海外から輸入される軍用救急セットには、コンパクトでより多くの資機材が詰められており、状況によってはその場で簡単な手術ができるくらいに充実したものもあります。
 ですが、それらの優秀なアイテムも使い方を知らなければ単なる重しにしかなりません。
 それよりは、自分が使い方をよく知っているもので救急セットを構成し、いざというときに迷わずに中の資機材が使えるように習熟しておいた方がいいと考えます。
 毎回触れていますが、ものを揃えればよしではなく、それを何も見なくても使えるくらいに練習しておくことが大切です。特に怪我に使う道具は、暇を見て使い方を確認しておかないと本当に必要なときに大慌てすることになりかねません。
 せっかく揃えるのですから、箱から出して使ってみて、使い勝手を確認するようにしてくださいね。

トイレの問題を考える

 さまざまな災害がありますが、いずれの災害でも出てくる問題が「トイレ」と「水の確保」です。
 今回は災害時、そして被災後のトイレについて考えてみたいと思いますが、災害が発生したら、大前提としてトイレが使えない可能性が高いと言うことは覚えておいてください。そして、飲み食いは我慢できても排泄は我慢することが困難ですから、自宅や避難先のトイレ事情をまずは確認して備えるようにしましょう。

1.建物で違うトイレ事情

 一戸建て、二階建て、アパート、高層マンションなどなど、人が生活する空間はいろいろありますが、それぞれ対応が変わります。
 また、処理方法が下水管なのか、浄化槽なのか、それともくみ取りなのかによっても事情が異なります。
 基本はこれらのかけ算の数対応方法があるのですが、おおざっぱな対応は次のとおりです。

大前提)2階以上にあるトイレは使用禁止です。

テープで出入口を閉鎖したトイレ
災害が来たら、最初にトイレを閉鎖しないと汚物で大惨事となります
写真は消防科学総合センターのHPから転載。

 被災後、汚水管の安全が確認されるまではトイレは使えません。
 特に地震だと建物内部にある配管が外れていることが考えられ、その状態でトイレを使うと下の階に汚水があふれてしまいます。
 アパートやマンションで他者に損害が発生した場合、あとで損害賠償請求されることもありますので、くれぐれもご注意ください。

1)下水管で処理している場合

 洪水等で配管に泥などが詰まっていることが考えられます。施設の点検が完了するまでは、原則トイレは使えません。

2)浄化槽で処理している場合

 下水管と同じで、原則は施設の点検が終わるまでは使わない方が無難です。
 電気が来ている場合には浄化槽を機能させることができるため、トイレを使うことは可能です。ただし、洪水などで水没してしまった場合は浄化槽内には汚泥などが貯まっているので、清掃整備が終わるまでは使用できません。

3)くみ取り式の場合

 災害後も基本的には普通に使うことができます。ただ、洪水等の場合には汚物槽が水でいっぱいになっていますので、くみ取りが終わるまでは利用することができません。また、落ち着いたら汚物層が破損していないか点検をしてもらってください。

2.怖い逆流

洪水等水による被害の場合には汚水管から水が逆流してくることがあります。
そうなると便器から汚物混じりの汚水が噴き上げて、のちのちの片付けに支障をきたすことになりますので、便器の排水部分を塞いでおいた方が無難です。
そのため、便器の排出口を押さえるように水のうを積むことをお勧めします。
材料は大きくて丈夫なビニール袋2枚とひも、それに水です。

■水のうの作り方

材料:大きくて丈夫なビニール袋2枚、ひも、水
作り方:
1.ビニール袋を二重にあわせます。
2.1で作ったビニール袋に水を注ぎます。袋の7分目くらいまでなら入れても大丈夫ですが、持てる重さにしましょう。
3.注いだらひもで口を縛ります。ひもがなければ、注ぐ水の量を半分くらいにして袋の口を縛り上げます。
4.それを便器の排出口にしっかり乗るように置きます。水のうは一つ、ないし二つで十分です。

水のうは土のうがないときには土のうの代わりに使うこともできますが、土のう袋に比べるとビニール袋は破れやすいので取り扱いには十分気をつけてください。

3.トイレが使えないときのトイレ

 水のうを積んだり、水没したりするとトイレそのものが使えません。
 そんなときにでも排泄は止められませんので、仮設トイレが必要となります。
 いろいろな方法がありますが、ここでは2つほど方法をご紹介します。

前提)仮設トイレの考え方

 家族の状況によって準備するものが変わってきます。
 和式が使えない場合には、座ってできるような設備が必要となりますし、排泄物を無事に処理できることは当然として、排泄時にたとえ家族であっても見られないような装備も必要です。
 以前に「携帯トイレと一緒に持つもの」でも触れましたが、例えば着替え用に使うテントやポンチョなど目隠しできるものを準備しておく必要があります。
 小さなこどもが居る場合には、おまるを準備しておくのもよいと思います。
 そしてできれば一度使ってみて、使い勝手を確認して、自分や家族が使いやすい形にしていけばいいと思います。

座るタイプのおまるなら、ある程度子どもが大きくなっても使うことが可能

1)携帯用トイレ

 100均でも見ることの増えてきた携帯トイレを準備をしておくことをお勧めします。
 携帯トイレにもさまざまな種類があり、小用、大用、大小用、男性用、共用とありますので、家族構成によって準備するものを考えましょう。
 また、家族の一日のトイレの利用状況を確認しておいて、その3日分程度は準備しておくといいと思います。
 大小用の共用の中には組立式便座のついているものもありますが、これは持って避難するようなサイズではないので、家庭での備蓄品として備えておくといいと思います。

携帯トイレ各種
携帯トイレは大用もあるが、便座にセットするタイプが殆どのため、水害では使えなくなることもある。使い方を確認しておきたい。

2)トイレを作る

 トイレで問題になるのは「水分」と「臭い」で、これがなんとかなれば理屈上はどこでもトイレを作ることが可能です。

■おすすめは「猫の砂」

 お勧めは「猫のトイレ用砂」
 これは水分を吸収し臭いも取ってくれる作りになっていますので、これがあるとかなり快適な仮設トイレを作ることができます。
 使った後は大も小も周りに砂がついて固まりますので、固まったものをBOS等消臭効果の高いビニール袋にいれてゴミ袋に入れるだけ。
 基本的には可燃ゴミで処分も可能です。

■吸水ポリマーや新聞紙も使える

 また、携帯トイレやおむつなどにも使われている吸水ポリマーがあれば水を確実に吸収できますし、新聞紙もしわくちゃにして丸めることでそれなりの吸水量を確保することができます。
 ただ臭いについては完全に消すことができないので、排泄後は速やかに消臭効果の高いビニール袋に入れるくらいでしょうか?
 吸水ポリマーを使う場合には、可燃ゴミとして出せない場合もあるのでお住まいの自治体のゴミ処理担当課に確認をお願いします。

地震で汚水管が破損した可能性があるだけなら、トイレの便器にビニール袋をセットしてその中に猫の砂や吸水ポリマー、新聞紙を入れて排泄するという方法もある。

 トイレの問題は健康管理とも密接に関係しています。災害時だからこそ、トイレを我慢しなくても済みように、あらかじめ準備しておくことが大事ですね。

ろうそくと火災

 昨日は災害における死因について書きましたが、消防研究センターの調査によると、被災後に起きる火事の原因では、「通電火災」「ろうそくによるもの」「カセットコンロによるもの」「その他」に分かれるようです。
 最近は殆ど見ないような気のするろうそくが原因の火災が、消防研究センターから注意が出るくらいには起きているということで、今回はなぜろうそくによる火災が起きているのかについて考えてみたいと思います。

 最近でこそ電池式ランタンが普及していますが、ちょっと前までは普通にろうそくを使っていました。
 市販されている「防災缶」でも照明器具としてろうそくが入っているくらい、ろうそくは災害後の生活ではメジャーなものです。

市販の「防災缶」の中身。小型のペンライトと、背の低いろうそくが一緒に入っている。

 灯りだけでなくある程度の暖を取ることもできますし、なによりもろうそくの火は安心感を与えてくれます。
 非常にありがたい道具ではあるのですが、裸火であるが故に地震の際には非常に危険なものにもなるのです。
 地震ではしばらくは余震が続きます。重心の低いろうそくを使ったり、風防でろうそくを囲ったりと、いろいろと気をつけていても、強い余震がきたら飛んだりはねたり転がったりして、周囲にあるものに引火することがありますし、ろうそくは動かなくても、他の可燃物が倒れたり落ちたりすることもあるでしょう。
 他の災害時はともかく、地震ではろうそくに限らず屋内の裸火は危険であると言うことを覚えておいてください。

防災缶の中のろうそく。このサイズで3時間程度は燃えるらしい。
缶の表面に書かれている案内文には、たき火の火種にも使えるとある。

 ところで、災害備蓄ではランタンを勧めているのになぜろうそく火災が増えるのか。
 お仏壇があるようなお宅だと、たいがいろうそくとマッチが一緒に置いてありますので災害時にはそこから持ってきて使うということが多いようです。
 普段使わずどこにしまってあるかわからない電池式ランタンよりも、すぐに取り出せて普段使い慣れているろうそくを使うのはある意味で当然です。
 そうであるなら、例えばろうそくをしまってある場所に「災害の時はランタンを使う」という張り紙をしておいたり、ロウソクと一緒にランタンをしまっておいたり、家族で一緒に一年に一回くらいはランタンを囲む日を作ってもいいかもしれません。なんらかの形でランタンを意識し、使うという気にさせるような仕掛けを作っておけば、ろうそくを使う確率を下げることができるのではないかと思います。
 ろうそくは便利であるけれど、地震の時には屋内では使わない。その意識を持ってランタンを準備しておくようにしましょう。

防災備蓄品を考える

 8月31日の読売新聞に、広島の企業さんが益田市役所に非常食を5000食分寄贈したという記事が出ていました。
 この非常食は防災センターに備蓄され、災害時に提供されるとのこと。
 大変ありがたい話だなと思いつつ、ちょっと不安に感じたことがありました。
 それは「5000食もあるのなら、わざわざ自分の食料を準備しなくても大丈夫」と考え出す人がいないかということです。
 5000食というとかなり多く聞こえますが、実が避難者が5000人でると、1回分の食事でしかない分量ということで、政府が推奨している備蓄3日分にはほど遠い数字です。
 本来、行政の持っている災害備蓄品は何らかの理由で自身の備蓄品を持ち出すことができない人に対して提供されるものであり、被災者全てに無条件に提供されるものではありません。
 現在の防災で命を守る方法は、「自助、共助、公助」と言われており、まずは「自助」として、自分で自分の命を守るための準備を整えておくことが要求されています。
 次に「共助」。その地区や地域全体で地区や地域の人たちを守る準備をすることになっており、行政の手は「公助」として、「自助」や「共助」ではどうにもならない部分に対応することになっています。
 つまり、自分の準備は自分でしておかないと誰も助けてくれないよということを政府を始めとする行政機関が言っているのです。
 確かに、防災用備蓄品を税金で全住民の3日分を購入しておけばいいのかもしれません。
 でも、準備しても使わないこともあり得るわけです。そうすると、それら期限の切れたもしくは切れそうな備蓄品の処分をどうするかという問題が起き、結局のところ、誰がどうやってもどこかから必ず文句が出る状態になってしまうのです。
 それを考えると、防災備蓄品は各自で揃え、足りない分がもし発生すれば、まずは地区・地域の自治会や自主防災組織から提供を受け、それでも不足するなら行政の備蓄を消費するという流れにした方が、余計な金や労力を使わなくても済むことになるでしょう。
 面倒くさいですし、身一つで避難できればそれに越したことはありませんが、避難時には非常用持ち出し袋は必ず持って行動を開始するということが徹底できるといいなと思います。

自分の体を補助してくれる道具は予備を準備しておこう

 災害はいつ何時起きるかわかりません。
 そして、避難するときに慌てているとさまざまなものを忘れていくものです。
 その忘れ物を防止するために非常用持ち出し袋を準備するわけですが、案外と忘れやすいのが普段使っているさまざまな補助具です。
 例えば眼鏡。それから入れ歯、補聴器、杖等々。
 以前に「眼鏡と入れ歯はスペアを用意しよう」と書いたことがありますが、避難所で不自由なく過ごすには普段から使っている、自分の生活をサポートしてくれるアイテムが必須です。
 自分の生活に必要な補助具は必ずスペアを用意して非常用持ち出し袋に入れておくようにしましょう。
 わざわざ新しいものを非常用持ち出し袋に入れる必要は無く、補助具を買い換えたときに今まで使っていたものを非常用持ち出し袋に入れるだけで大丈夫です。
それらのアイテムは、確かに「少々不便」で交換したものでしょうが、もしそれすら無い状態だと動きがつかないくらい不便になってしまいます。
一番いいのは今使っているものを持って避難できるのが理想ですが、慌てて逃げないといけなくなったときに備えてスペアを用意しておくことで、最悪非常用持ち出し袋さえあればなんとかなるという状態にすることができます。
地震でぐちゃぐちゃになったなかからさまざまなものを探すのは困難ですから、探しているとどうしても避難が遅れてしまいます。
避難した後で身動きが取れないと言うことがないように、自分の行動を補償する補助具は必ず予備を用意しておきましょう。
それがあなたを助けてくれます。

気になるガサガサ音

 避難所で一夜を過ごすときには、他人の立てる音がかなり気になるものです。
 眠りの浅い人だと、誰かが音を立てるたびに目が覚めて寝られなくなってしまうということもよく起きるようです。
 足音や寝返り、いびきなどはある程度仕方がありませんが、防げる生活音は防ぐに越したことはありません。
 そこで、非常用持ち出し袋を作るときには、ガサガサと音のしない袋に入れるようにしましょう。
 よく買い物などに使うビニール袋は結構ガサガサしますので、身近にあって便利ではあるのですが、できればもっと柔らかいビニール袋だといいですね。ゴミ袋も行政が売っている可燃ゴミの袋ではガサガサ音を立てるものが多いので、昔ながらの黒い厚手のものを用意しておくといいと思います。
 また、非常用に準備されていることの多い保温用ブランケットも、ものによってはものすごくガサガサという音を立てるものもありますので、購入した後、一度確認してみることをお勧めします。
 非常用持ち出し袋にセットするときには、割と買ったままの状態で入れておくことが多いようですが、そうするとごみが増えて、何かものを袋から取り出すときにはガサガサどころではない音を立てる羽目になってしまいます。
 いろいろな道具はきちんと箱や袋から取り出し、使いかたを確認した上で非常用持ち出し袋に収めていくようにします。
 そしてその際には雨や水に濡れてもいいように、それぞれを防水袋に入れておくようにします。この防水袋も音のするものしないものがありますので、用意するときにはその辺を意識しておくとよいでしょう。
 そうでなくても不安な一夜です。なるべく神経に障る音は立てずに、いらいらせずに過ごせるといいですね。

アルファ米の白飯を野菜ジュースで戻してみた

 アルファ米というのは便利なもので、水を含む液体であれば一応は戻せるようです。
 いろいろな防災関係のホームページでさまざまな飲み物を使ってアルファ米を戻す実験をしているのですが、その中で目を引いたのが、野菜ジュースやトマトジュースで白飯を戻すというもの。
 アルファ米は製造会社さんがさまざまな努力をされており、発売当初に比べると格段に味はよくなっているのですが、どうしても特有の香りや食感があります。
 ですが、野菜ジュースやトマトジュースで戻せるなら、ひょっとしたらおいしいケチャップライスのようなものができるのではないだろうか。
 というわけで、実験してみることにしました。
 実験は防災マップ作りの最中、昼ご飯の一つとして作成することにしました。ケチャップライスは割と子ども達に好まれる味だと思うので、評判を確認したいということもあったからです。
 今回使ったのはアルファ食品の白飯。それにデルモンテの野菜ジュース170gを使います。

野菜ジュースを慎重に注ぐ子ども達

 注ぐ水の量は160gということなので、内部に引かれている線まで野菜ジュースを注ぎます。

入れるとこんな感じ。水よりも粘度が強いのが気になるところ

 あとは、口を止めて1時間ほど待つだけ。
 しかし、ここで問題発生。お昼前の空腹時間ですからとても1時間も待てやしない。というわけで、白飯+野菜ジュースはそのまま放置されて炊き込みご飯の食べ比べ+じゃがりこのポテトサラダに缶詰のデザートのお昼ご飯となりました。
 食後、入れ物を少しもんでみると、なにやらザリザリとした手触り。

口を開けるとまだら状態
ひっくり返してみると、アルファ米のままの部分が底にあった

 中を覗いてみると、どうやら野菜ジュースを吸い込んでいるところとジュースが届いていないところがあったみたいです。
 口を閉めて上下をひっくり返し、手で揉んでしばらくすると、ザリザリ感がなくなっていい感じになってきました。ただ、中を覗くと、色がまだらです。

できあがりはケチャップライスそのもの

 野菜ジュースを使うときには、注ぐ量は指定量よりも多めに加えてアルファ米がジュースを吸い込みやすいように中をかき混ぜる必要があるかなと感じました。
 さて、できあがった野菜ジュースご飯ですが、子ども達の3時のおやつとして試食してもらいましたが、適度な酸味が効いていて、水で戻した白飯よりもおいしいという意見をいただき、結局完食となりました。トマトが苦手で無ければ非常においしいです。
 この方法でいいなと思うのは、目先の変わったご飯を食べることで食事に変化を持たせることができることと、被災後に圧倒的に不足するビタミン類をさほど苦労せずに摂取することができること。
 今回は赤い野菜ジュースで試してみましたが、今度は緑の野菜ジュースでやってみようかなと考えています。

日常の中のローリングストック

 夏になるといろんな食べ物の傷みが早くなり、弁当の作り方や野菜などの保管に頭を悩ませることにになります。
 防災の中では食材をローリングストックして数日分は保存できるようにしましょうということがよく言われていますが、冷蔵庫や冷凍庫に頼りきりだと、停電の時に食材が全滅してしまうこともありえます。常温で安全に保管できて手をちょっと加えると食べられるものがあれば、それをストックしておくのも手です。今回はわが家でのローリングストックの一部をご紹介します。
 例えば、常温保存が可能なロングライフ牛乳というのがあります。紙パックの内張にアルミが使ってあり牛乳を長期保存できるようになっているのですが、学童保育に出かけているうちの子はこのロングライフ牛乳を持っていくことがあります。
 一般的に、牛乳は夏場に常温保存をすると確実に腐りますが、長期保存が目的のロングライフ牛乳であれば開封しない限りは常温保存ができますので、学童保育の時のお昼ご飯で持参したロングライフ牛乳をそのまま安心して飲むことができるのです。冷やした方がおいしいのは間違いありませんが、常温のロングライフ牛乳もさほど味は悪くないらしく、特に文句も言わずに持って行っています。
 こうすることで、ロングライフ牛乳を定期的に更新することができますし、こどももその味に慣れているためいざというときに違和感なく飲むこともできます。
 他には、糸こんにゃくがあります。売り場では冷蔵保存の場所にありますが、裏面の保存方法を見てみると「直射日光を避け、常温で保存」と書かれていることが多いですので、普通に常温で保存することが可能です。
 これを定期的に使って更新していくと、いざというときの大切な食物繊維として活用することが可能です。
 日々の生活の中で普段使いしているものはどのような保管方法なのか、それを確認してみると非常食をたくさん用意しなくてもなんとかなりそうだという気になってくるから不思議です。
 自分の生活で食べたり飲んだりしているものを上手にやりくりすれば、さほどお金をかけなくてもしっかりとしたローリングストックができるのではないかと思います。

気になる看板を調べてみた

本来は「益田県土整備事務所」の下に電話連絡先が記載されているが、ここでは割愛した。

 ちょっと前から道路を走っていて気になったのがこの看板。
 土砂崩れマークがついていて、なにやら記号と連絡先が記載されており、連絡先には島根県の道路管理部門の電話番号が記載されています。
 数年前に起きた大規模な土砂崩れの後で、広島県の県管理区間に据えられた危険度を示す看板と同じなのかと思ったのですが、それにしてはサイズも小さいし、向いている方向もまちまちで、ドライバーに注意を促しているようにも見えません。

国道191号線の三段峡分岐の広島側のところにかなり大きく表示されているのがこの看板。
連絡先はやっぱり割愛。

 なんだかよくわからなかったので、道路管理者である県土整備事務所に聞いてみました。
 その回答によると、この看板は利用者に対するものでは無く、管理者が落石の警戒区域を目で分かるようにつけている目印なのだそうです。
 確かに「起点」「終点」とかかれた看板が立っているので、その看板の間が落石の警戒区域なのでしょう。
 広島のように危険度を大々的に知らせるものでは無いが、落石の起きやすい区域ではあるので通行には十分注意してくださいとのことでした。
 答えが分かってみると大したことのない話だったのですが、改めて意識してみると、石の落ちやすい場所というのはたくさんあるんだなとわかります。
 道路を走行するときにこれらの看板を見かけたら、石が落ちてるかもしれないということに気をつけて運転した方がよさそうですね。

【活動報告】着衣水泳体験会を実施しました。

服を着てプールに入るのはやはり勝手が違うらしく、皆さん微妙に緊張した表情でした。

 去る7月28日午前10時から益田スイミング様で着衣水泳体験会を実施することができました。
 当日は久しぶりの良い天気にもかかわらず10名の方にご参加いただきましたことに感謝いたします。
 益田スイミング様の原田コーチと石川コーチにご指導いただき、柔軟体操の後はまずは浮き方から教わりました。

まずは浮く方法から。頭ではわかっていても、なかなか体は動きません。

 息を吸い込み、両腕を大きく拡げて体の力を抜いて浮く、ということだったのですが、試してみた所長はさっそく水没してしまいました。
 体に力が入っており、腰を中心に体が「く」の字に曲がっていたため浮力が足りず沈んでしまった、とのコーチの指摘。
 何度かやっているうちに、なんとか体を浮かせることができました。
 その後は、そのまま安全な場所へ泳いで移動するのですが、これまた力が入って沈没。久しぶりに水に入ったと言うこともあるのですが、やはりかなり勝手が違います。
 泳ぎ達者な参加者の皆様も、着衣だとかなり勝手が違うらしく四苦八苦。

なるべく顔をつけないで周りを見ながら泳ぐことが助かる秘訣です。

 水の中にいるときには服のおかげで浮力はできるのですが、服やズボンの生地がまとわりついて動きにくいのです。そして、水からあがると途端に服がまとわりついて重たくなります。
 着衣のままがいいのか、それともなるべく脱いだ方がいいのか、判断に迷う感じでした。
 その後は水に落ちてしまったときの安全な脱出方法についてレクチャーをしていただきました。
 落ちてしまったら、まずは周囲の確認。そしてなるべく体力を温存できる泳ぎ方で陸地を目指すということで、実際に事故を想定してプールサイドからプールへ落としてもらい、安全な場所まで泳ぐという体験をし、違いを確認すると言うことで靴とズボンを水中で脱いで泳いでみるという体験もしました。

危険は無いとはわかっていても、落ちる瞬間はやっぱりびっくりする。

 着衣水泳をしているときははっきりとわかりませんでしたが、靴とズボンを脱いだだけで格段に泳ぎやすくなり、それまで苦戦していた参加者の皆様もすいすいと泳いでいました。
 そして最後に救助の方法を教えていただきました。
 基本は溺れている人には近づかない。道具を使って救助すること、ということで、ペットボトルを遭難者に投げて浮かんでもらうという方法を教わりました。
 試しにペットボトルに水を少し入れて投げてみるのですが、なかなか上手に飛びません。これも経験が必要だなと感じました。
一番最後に、おまけとして水を一杯に満たした長靴を履いて歩くという体験をしていただきました。

思わぬ重たさによろけてしまう。長靴の重さは、水込みで片方2kg弱。

 今回の着衣水泳体験会では運動靴を履いてやりましたので、期せずして運動靴と長靴で水の中を歩いたらどうなるかを実体験していただくことができました。
 一番最初に履いた人はうまく歩けずによろけてしまいましたが、それを見ていた他の方は上手に歩いてみたり、中には水が入ったまま飛び跳ねる人がいたりと、普通では見られない体験ができました。
 体験された皆様からは「服を着たまま水に落ちたら、泳げると思っていてもけっこう難しい」「なるべく早く服を脱ぐほうが助かる可能性が高い」「泳げないけれど浮くことはできそうだ」「水害の避難の時には長靴より運動靴だね」「益田スイミングで体幹トレーニングしてるから水入り長靴のジャンプも余裕!」などといったご意見をいただき、賑やかに終了させていただくことができました。
 子どもさんは学校で着衣水泳をやる機会が増えていますが、大人の方はあまり体験する機会のない着衣水泳。私自身もそうでしたが、「知っている」ということと「体験している」ということはまったくの別次元の話だなとしみじみと感じました。
 なるべくたくさんの大人たちに体験していただきたいと思いますので、来年またできることを目指して頑張ります。
 今回の体験会の実施にあたって、ご参加いただきました皆様、そして開催に関して全面的にご協力いただきました益田スイミングの皆様に改めてお礼申し上げます。本当にありがとうございました。また、今回の趣旨に賛同してご寄付いただきました皆様にも感謝いたします。収支報告につきましては、別途個別にご案内いたしますことをご了解ください。