消火器は備えていますか

 災害時に限らず、日常生活でも火事を誘発するようなちょっとしたミスをすることがあります。
 実際、どのタイミングでどんな場所から出火するかはわかりません。
 消火用水バケツを用意している人もいるとは思いますが、てんぷら油などの油火災や漏電、ショートによる電気火災では水での消火は厳禁です。
 消化能力やさまざまな火災に対応しているところを考えても、消火器は必須のアイテムだと思っています。
 書いている筆者自身も、ある時立て続けにボヤを出し、スプレー缶タイプの携帯消火器がなかったら、家が丸焼けになっていたかもしれないという事態になったことがあります。
 消火器は粉末式でなくても構いません。スプレー缶の炭酸ガス式のものでも初動であればしっかりと消せます。
 気を付けるのは、できる限り普段火を使う場所に近いところに置くことと、冷静になることです。
 そして、火が見えなくなってもスプレー缶からガスが出なくなるまでは徹底的に火元に吹き付けること。
 どうせ中途半端に残っても使い道に困るので、完全に無くなるまで吹き付けてやりましょう。
 本式の消火器は少々火が強くてもしっかりと消すことができます。
 スプレー式の簡易消火器と、しっかりと消せる消火器。
 それぞれに準備して、いざというときに備えておきたいですね。

避難所支援で必要なもの

 避難所ではさまざまな物資が欠乏することが多いのですが、これは時期によってどんどん変わっていくもので、情報が出されたときにはすでに充足している場合もかなりあります。
 SNSで支援要請を行うときには「いつ時点」という表記を入れるようにするということがだいぶ浸透してきてはいますが、正直なところ「もの」を送るという行為に対しては素直に喜べないなと思うところがあります。
 もちろん支援物資を抱えて自力で被災地に持ち込み、そして被災者に直接配布するのであれば、必要なところを探して回れますので、物資の配布という点だけなら、極端に大きな問題にはならないと思います。
 ただ、「〇〇が不足」という情報を元にしてその「〇〇」を宅配便などで送りつけるのは止めた方が無難です。
 これを行うと、そもそもいつ届くかわからない上に被災地までの物流に極端な負荷をかけることになり、届いた後は被災地での配布で人的・場所的資源を取られてしまいます。正直なところ、届く時期が「未定」や「1週間程度」となっている場合には送らないほうが無難です。
 善意から出た行為が現地の負荷になってしまっては何の意味もありませんので、それを考えた支援が必要だと思います。
 足りない物資を届けたいなら、自分で買い付けて自分で送る必要はなく、例えばアマゾンの「ほしいものリスト」などを選択して送ることは一つの手です。
 また、被災している行政機関や支援団体に現金を寄付するのも手です。
 例えばある避難所で水が足りないからと言って、被災地全体に水が足りないとは限りません。別の避難所では水が余っているのかもしれません。
 そういった調整をせずに水が避難所に送り付けられる頃には、水の余っていた避難所から水が届けられて充足していて、あとは届いた大量の水が倉庫や保管場所を圧迫するという状態になってしまいます。
 こういった事態を防ぐために現地で支援物資の調整を行っているのが被災している自治体や支援団体ですので、そういった人たちに支援金が届くと、かなり効果的にお金を使ってもらえます。
 避難所支援というとどうしても物資に目が行きがちなのですが、それを届けるための物流や保管場所がどうなっているのかについてもきちんと確認してほしいと思います。

仮設トイレで気を付けること

仮設トイレでもパーテーションで区切ることで入り口を別にすることができる。

 大きな避難所になると、トイレ問題を解決するのに仮設トイレが設営されることがありますが、その時に意識しないといけないことの一つに、男性と女性の入り口を分けるというものがあります。
 日本の公共施設のトイレでは、多くの場合出入口が男女同じ、またはすぐ近くにあることが多く、人目がない場合には平時でも危険な状況になることがあります。
 災害後に仮設トイレが必要な状況というのは、非常にストレスが発生しやすい環境にあると考えて間違いありませんので、性的なトラブルの発生を予防する意味でも、トイレは男女完全に引き離すことが必要です。
 そのほかにも、トイレの周囲は常に明るくしておくことや、人目のある場所に作るなどいろいろとあるのですが、事前にしっかりと検討しておかないといざというときにはそこまで意識が向かないものです。
 一般的に避難所において、寝床とトイレは、さまざまなトラブルが発生しやすいところですので、トラブル防止のためにも平時にしっかりとレイアウトを検討しておくことをお勧めします。

二種類のポリ袋

耐熱性がある場合には、パッケージのどこかに上限温度の表示がされている場合が殆ど。されていないものは、湯せんには使えないと思ったほうが無難。

非常時に一つの道具にさまざまな機能を持たせておくのは大切なことだと思います。
なかでも、ポリ袋は非常にいろいろなことに使えるので準備をしておくことをお勧めします。
調理や洗濯、保存、臭いの出るものの処分、空気で膨らませれば断熱材など、あっても困るものではありませんので、ある程度数を準備しておくことが重要です。
ただ、準備する際に気を付けてほしいことがいくつかあります。
一つは、耐熱温度を確認しておくこと。
現在市販されているポリ袋は低密度ポリエチレンと高密度ポリエチレンに分かれています。
低密度ポリエチレンの場合、耐熱温度は80度程度であり、湯せんに使うことができません。また、酸素を透過することから酸化しやすいものの長期保存にも向きません。
高密度ポリエチレンは耐熱温度が100度以上あるため湯せんに使えますし、酸素の透過も少ないことからある程度の保存にも使うことができます。
どちらも低温の耐性はありますので、袋の温度表示が低温のみの場合には、低密度ポリエチレンと考えたほうが無難です。
高密度ポリエチレンの場合には、耐熱温度の表示があることが多いですので、そういった商品を選ぶといいと思います。
高密度ポリエチレンはその特性上若干白みがかっていて完全な透明ではありません。また、触ったときにカサカサ音がしますので、ちょっと音が気になる人がいるかもしれません。
ちなみに、食品保存などでよく出てくるジップロックですが、袋のものは低密度ポリエチレンのため湯せんには向きません。
ポリ袋の特性を知ったうえで、非常用持ち出し袋などに常備するようにしたいですね。

チョコとようかん

 甘くて高カロリーで持ち歩きが容易ということで、非常食などに準備されていることの多いチョコレートとようかん。
 お好みにより準備すればいいと思いますが、チョコレートは糖分と脂分、ようかんは糖分の補給が可能です。
 体調が万全であれば高カロリーのチョコレートがエネルギー補給にはいいと思いますが、低体温になっていたり体調が弱っている場合には、チョコレートは体に負荷をかけてしまいますので注意が必要です。
 ようかんは糖質で構成されているので体への負荷はチョコレートに比べると軽いです。熱にも強く、ある程度の期間保存することも可能なことを考えれば、非常食として準備するのであればようかんの方が向いている気がします。
 ただ、ようかんは苦手という方もいらっしゃいますし、どうかするとお茶が欲しくなったりしますので、準備をするときにはようかん単品で自分がそれを食べられるかどうかを試しておく必要があるでしょう。
 練りようかんよりも水ようかんの方が単品での接種はしやすいと思いますが、保存期間は水ようかんの方がかなり短いので悩ましいところではあります。
 ともあれ、非常時に手軽にエネルギーを摂取することのできるチョコレートやようかん。非常食の一つとして準備しておくといいと思います。

72時間と備蓄のこと

 災害時の各家庭の備蓄について、最低3日間準備しろという話は聞いたことがあると思います。
 南海トラフ巨大地震などの話が注目されてからは7日間に延ばされていますが、この最低3日間というのにはきちんとした意味があります。
 3日間とは72時間。現在トルコ・シリア国境付近で起きた大きな地震でも取り上げられていますが、人命の救命率が極端に低下するのがこの72時間なのだそうで、発災から72時間は行政の全ての機能は人命救助に振り向けられます。
 国際緊急援助隊が被害甚大とわかってすぐに出発したのは、とにかく早く現地入りして一人でも多くの人を救助するためで、生き残った人に必要となるテントや各種資機材はそのあと準備が整い次第送られることになっています。
 つまり、どこの国であれ、怪我無く生き残れた人はとりあえず置いておいて、怪我をした人たちや生き埋めになった人たちを救助することに全力が注がれることになるのです。
 怪我無く生き残れた人たちへの対応は、けが人の処置が終わって、恐らく生存者はもう期待できないという状況になって初めて本格化します。
 ですので、人命救助に行政の機能が注がれている間は怪我無く生き残れた人は自力でなんとかするしかありません。
 そういった理由から、最低3日間自助でなんとかできるだけのものを準備しておく必要があるのです。
 とはいえ、実際に大災害が起きると3日ではどうにもならない場合も出てくるでしょう。そのため、現在内閣府防災では7日間程度の備蓄をするように国民に呼びかけているのです。
 たすかった人たちの命を守ることも重要ですが、そのまま放置すれば失われる命をなんとか助けなければなりません。
 あなたが準備している非常用持ち出し袋や備蓄品で、最低3日間の生活維持ができますか。また、もしものときにはどういった行動をとりますか。
 トルコ・シリア国境での地震の状況は毎日マスコミ報道がされていますので、もしこのような事態が自分の周りで起きたら自分がどうするのかをしっかりと考えておきたいですね。

体の熱を逃がさない

 寒くなってくるとさまざまな暖房器具を使って暖をとろうとします。
 ただ、電気を始めとする光熱費がかなりの勢いで上昇していて、思ったように暖房を使えていない方もいると思います。
 身体を暖めるという点だけで考えると、外部を暖めるよりも体の内部の熱を逃がさないようにする方が手っ取り早いかもしれません。
 やり方は簡単で、生地の薄い服を重ね着するだけ。
 薄着の重ね着が温かい理由は、服の間に空気の層ができ、その空気の層が体の熱を外部に逃がさないから。
 厚いダウンなどの上着を着こむよりも動きやすくて暖かいのではないかと思います。
 もしダウン素材のベストを着るのなら、服の上ではなく内側に着るほうが温かさの効果が高くなります。

下着と上着の間にダウンベストを着るとかなり温かい。

 ただ、身体が温まると汗をかいてしまうので、肌着は発汗素材でできていることが理想です。多くの人が使うようになってきた発熱素材の下着でも、発汗機能を持っているものと持っていないものがありますので、買うときには確認したほうがいいと思います。
 上着は、ウインドブレーカーなど風を通さないものを使うとさらに暖かくなります。
 また、半纏やドテラなどを着るのも、内部の厚い綿が外部の空気を遮断してくれるのでお勧めです。
 身体は一度冷やしてしまうと温めるのには非常に苦労します。
 身体を冷やさないこと、つまり体の熱を逃がさない方法を考えてみるといいと思います。

避難所での生活臭を押さえる方法

避難所での生活は精神的にくたびれてしまうものです。
生活リズムの違いや他人の視線、そしてさまざまな生活臭。
特に避難所によっては施設内に靴を持ち込むことになるところもあるので、その場合にはさまざまなにおいが入り混じることになりますから、ひょっとすると消臭スプレーも必要なアイテムの一つになるのかもしれません。
とりあえず身近なものでにおいをなんとかしようと考えたとき、10円玉を使うことができることを知っておいてください。
10円玉は銅でできていますが、この銅には臭いのもととなる菌を殺菌・除菌する効果があります。
なぜそうなるのかはわかっていないようですが、例えば靴の中が臭う場合には、10円玉を5~10枚入れておくと、数時間で臭いは確実に消すことができますので、普段の生活の中でも臭いが気になる時には使ってみるといいと思います。
ちなみに、10円玉は人体には無害ですので、人への影響を考えずに殺菌除菌できるところもいいと思います。
ただ、臭いの発生源に湿気がある状態が続くと、カビが生えたりすることもありますので、靴の臭いけしをするときには併せて新聞紙などで靴の中の湿気を取り除くようにしてください。
ともあれ、見知らぬ人同士が一緒に生活するときにはいろいろと臭いが気になるもの。
こういった消臭方法もあるということを知っておいてほしいと思います。

ヘッドライトと懐中電灯

懐中電灯類

 防災グッズとして必ず登場するのが懐中電灯です。
 非常用持ち出し袋などに入れて準備している人も多いのではないでしょうか。
 でも、もしも避難しなくてはいけない場所にお住まいであるなら、懐中電灯の他にヘッドライトを準備しておくことをお勧めします。
 ヘッドライトは文字通り頭のおでこのところにつける懐中電灯で、これがあると両手が空くために夜間に徒歩で避難する場合や夜間の避難所で作業をする場合などに安全が確保しやすいです。
 ただ、ヘッドライトは性能や大きさがほぼ値段に比例しているため、高額なものほど明るさ調整や照らす面積の増減など使い勝手がよく、大きさもコンパクト。逆に値段が下がるほど明るさが一定になったり、かなり大きかったり重かったりします。
 とはいえ、ヘッドライトは懐中電灯の代わりをすることができるので、どちらか一つ持つということであれば、手持ち式の懐中電灯よりもヘッドライトにすることをお勧めします。
 最近ではホームセンターやプチプライスのお店でもいろいろな種類を取り扱っていますので、余裕がある時に自分にちょうどいいものを探してみるといいと思います。

体の保温で気を付けること

体が冷える前に毛布を使うことで、周りは冷えていても体温がしっかり保持できる。

 寒波が続きますが、あなたの体調は大丈夫ですか。
 寒さは体にさまざまな変調を起こしますので、調子がおかしいなと思ったら、早めに病院を受診するようにしてください。
 特にお風呂と脱衣場では温度差がひどくてヒートショックといわれる症状を引き起こすことがあります。あまり寒いようなら、お風呂ではなく足湯で体を暖める方法を考えてもいいと思います。
 ところで、身体の保温で気をつけないといけないことが二つあり、一つは体から出る熱を逃がさないこと、そしてもう一つはできる限り体を濡らさないことです。
 足湯で体全体がぽかぽかしたら、お湯につかっていた足は水気をしっかりと拭き取ってください。そうしないと、今度は濡れた足から体の熱が逃げていくことになります。
 他にも、例えば寝るときに使う布団は、できるなら入る前に暖めておきます。温めることによって、冷えた布団で体温が奪われるのを防ぎますし、しっかりとした睡眠をとることもできます。
 また、暖かいからと言ってこたつで寝るようなことは避けてください。
 汗などをかいて体が濡れてしまうとその水分が蒸発するときに体の熱を奪っていき、体が冷えるのと同時に脱水症状になってしまうことがあります。
 こたつなどで暖を取る時には、心地よい温度を維持するようにし、絶対に中で寝ないようにしてください。
 それから、今回の寒波でも出てきたエマージェンシーブランケットは、体の体温を反射してブランケット内の空気を温め、体を冷やさないようにするものです。
 体が冷えてから羽織っても温かくはなりませんので、停電したり、車のエンジンを切ったら、空気が温まっているうちに体を覆うように羽織ってください。また、頭から熱が逃げていきますので、ニット帽などをかぶっておくことも有効です。
 繰り返しますが、体が冷える前に熱を逃がさない工夫をすることが、体の保温のためにはとても重要になります。
 まだまだ寒い時期が続きますので、体の上手な保温をするように意識してください。