避難所の寝具について考える

段ボールに納まって寝るのも案外暖かい。

 避難所に避難して最初に供与されるのは、恐らく毛布だと思います。
 一日以上避難所で生活しなければならなくなると、睡眠はかなり大切な問題となるのですが、小さな畳の集会所ならともかく、板張りやコンクリートの床に毛布一つで寝るのは、非常につらいです。
 そのため、非常用持ち出し袋には枕とマットは用意しておいた方がいいと思います。
 旅行用の空気枕ならコンパクトになりますし、就寝に使うマットも、アウトドア用のコンパクトなものが出ていますから、そういったものを準備しておくといいでしょう。
ささやかなことなのですが、毛布一枚で寝るのと比較すると格段に快適に睡眠を取ることができます。
 また、寝るときに足下が冷える場合には、非常用持ち出し袋の中に着替えやタオルなどをぐちゃぐちゃに突っ込んで足を入れると、それなりに暖かくすることができます。
 寝不足では、災害後の生活に耐えることができませんから、寝る環境をしっかりと維持するためにも、非常用持ち出し袋には枕とマットをいれておくようにしましょう。
 ちなみに、段ボールを敷いてマットとして使うという内容を見ることがありますが、使う段ボールの質によって睡眠環境は相当変化します。
 ぐっすりと寝たいのであれば、数枚重ねて厚みを作るようにしてください。
 また、全身を収めることができない場合でもお尻から肩までが載るくらいのサイズは確保したいところです。

「ありときりぎりす」

 災害が起きて避難をしたとき、備えていた人と備えていなかった人には明確な差が発生します。
 備えていた人は非常用持ち出し袋を持ってきていて、避難所でもある程度は衣食住の保証された生活が送れますが、備えていなかった人は非常時に持ち出せる物もなく、着の身着のままで避難してくることになります。避難所では災害備蓄がされていない場所も多いですから、そういった人達は空腹や寒さ、情報枯渇等、ないないづくしに苦しむことになります。
 まさに自業自得なのですが、そういった人に限ってなぜか自分以外の何かを悪者にして攻撃をよくしています。その相手は行政だったり、避難所運営委員会だったり、自分の家族だったりするのですが、その中で、災害に備えていた人も標的にされるケースがよくあります。
 そういった人は「備えていることが悪」のような言い方をするのですが、自分が備えていなかった間抜けなのだと言うことに気づかない哀れな人ですから、相手にしてはいけません。
 「ありときりぎりす」のお話ではないですが、いざというときに備えていた人をそれまでさんざん馬鹿にして自分が備えなかったのですから、完全な自業自得。身体で備えるという大切さを覚えてもらうと思って下さい。
 ちなみに、行政が備蓄している災害支援物資は、何らかの理由で非常用持ち出し袋が持ち出せない人用に準備されているものです。
 住まいの市町村役場の防災計画には備蓄数量がきちんと明記されていますのでご確認いただきたいのですが、とても避難者全員に行き渡る量はありません。
 このことを理解しておかないと、避難さえすれば衣食住は保証されていると考えてしまうかもしれません。
 空腹と飢え、寒さで震えるきりぎりすにならずにすむように、今からでも遅くはないので非常用持ち出し袋の備えを行ってくださいね。

母乳と乳児用ミルク

液体ミルクの一例。消費期限や内容量、味などがかなり異なるので普段使わない人は事前に試しておいた方がいい。

 災害発生後、母乳で子育てをしている方の中には被災したという精神的なストレスから母乳が一時的に止まってしまうことがあります。
 また、摂取する水分量が少なくなると、母乳が詰まりやすくなって出にくくなることもあります。
 そんなときに備えて、平時に乳児用ミルクが飲めるかどうか、どこのメーカーのどんな種類が好きなのかを試しておくことをお勧めします。
 母乳育ちの子に限りませんが、乳児も自分の好きな味や嫌いな味があります。大人でも食べ物の好き嫌いがあるのですから、乳児も好き嫌いがあって当たり前です。
 各メーカー、それぞれに特色のある乳児用ミルクを販売していて、味もかなり違いますのでお子さんの好みの味を見つけておくようにしましょう。
 また、水が手に入らないときには液体ミルクを使用することがあるかもしれません。災害支援物資として、乳児用ミルクは最初液体ミルクが送られてくることが多いようなので、各社の液体ミルクを手に入る範囲で試しておくことも忘れないでください。
 災害時だからこそ、母乳でも乳児用ミルクでも乳児にしっかりと飲んでもらって、普段と異なる環境のなかでもしっかりと育ってもらうことが重要となります。
 また、離乳食も同様で、普段手作りのおうちでも避難所では手作りすることは難しいですから、平時に市販の離乳食を試してみることで、被災時でも食べてくれる離乳食を準備することができます。
 離乳食もメーカーによって味が全く異なるので、ぜひお子さんの好みの味を見つけてください。
 筆者の家でも、離乳食の時期にはさまざまなメーカーのものを試してみましたが、よく食べるもの、まったく食べないものがいろいろとあってとても面白かったのを覚えています。
 乳幼児は成長段階に応じて、飲むもの食べるものの種類や量が変わっていきますから、一度決めて終わりではなく、その都度いろいろと試しておくことをお勧めします。

非常食で気力を維持するには

 当研究所のS研究員が防災キャンプに参加した感想で二つの感想を言っていました。
 一つは「新聞紙食器だとテンションが下がる」ということ。
 そしてもう一つは「防災食では量が足りない」というものでした。
 災害時にはいかに自分の気力を維持できるかが結構重要な問題としてあるのですが、気力維持の源の一つである食事で気力を維持するために必要なことについてちょっと考えさせられました。
 今回は非常食でどうやって満足度を上げるかということについて考えてみたいと思います。

1.食器類を考える

容器直食いもちょっと悲しくなる。

 防災訓練だと、新聞紙食器の作り方とそれを使っての試食というのはかなりよくある内容です。
 新聞紙食器は、そのままでは湿気で新聞紙が濡れて用をなさなくなるので、内部にビニール袋を入れて食器として使用します。
 でも、ビニール袋から食事を取るというのは、普段経験がないことですし、気分が上がるようなことでもありません。
 そこで考えたのは、やはり食器類はきちんと準備しておくということです。プラスチックの食器類+ラップであれば、新聞紙+ビニール袋よりも貧しさは格段に減りますから、非常用持ち出し袋には食器とラップを加えておくとよさそうです。
 新聞紙食器+ラップにならないのは、新聞紙食器はラップの引っ張り強度に耐えられないからです。そのため自立するビニール袋が重宝されています。
 ちなみに被災時には水道が使えなくなるという前提で、食器類にラップやビニール袋をつけることで洗い物を出さず、ゴミを減らすという働きを狙っています。
 お湯を沸かすことやコップのことも考えると、アウトドア用のコッヘルを準備するのもありかもしれません。

2.量の問題を考える

アルファ米+レトルトカレー+市販のごぼうチップスで満足感UP!

 自分が食べる量というのは案外と把握していないものですが、普段自分がどれくらいの量を食べているのかを知ることは、非常食を準備する上では非常に重要なことになります。
 よくあるアルファ米は1食が230gから300gになるのですが、小食な人には多いですし、食べる人には物足りない量です。
 最近のコロナ渦ではあくまでも自分の非常食は自分で準備し、自分で食べるという設定になっていますので、、結果的に余る人と足りない人が発生することになります。また、余る人の場合には、ジップロックなど密閉できる容器に分けて作ればいいですし、足りない人は大盛り設定のあるアルファ米もあります。
 非常食ではあまり考えられていないみたいですが、副菜をつけることで満足感も栄養バランスも取ることができたりもしますので、缶詰やフリーズドライの汁物などを準備しておくとよさそうです。
 重量物をあまり持てない人でも、ふりかけくらいはあるといいと思います。

 非常食は文字通り非常時に食べるものと言うことで、カロリーがあって食べられればいいというイメージになりがちですが、食事で満足することは気力の維持に非常に重要です。
 軍隊の携行食がわざわざバラエティーに富んでいる理由は、食べる楽しみを知っているから。
 非常事態に使う非常食だからといって、普段食べ慣れない美味しくないものをわざわざ準備するのではなく、自分が知っていて自分がおいしいと感じる非常食を準備しておきたいですね。

車のワイパーを冬期に上げる理由

 自動車に乗らない人には関係のない話ではありますが、冬場の冷えが予測される日には車のワイパーブレードは上げておくことをお勧めします。
 また、リアワイパーに関してもワイパーがリアガラスの下にある場合には、上げておいた方が無難です。
 理由は二つ。一つは窓が凍ったときにワイパーブレードが窓に貼り付いてしまう危険性があること。凍っている状態でワイパーを動かすと、ブレードのゴムがちぎれたり傷ついたりしてガラスの拭き取りがうまくいかなくなってしまいます。
 もう一つは、ワイパーの破損です。特にリアワイパーは重たい雪が降り積もった場合、窓に降り積もった雪の重さがワイパーのアームにそのままかかってししまい、その重さに耐えきれずに折れたり曲がったりすることがあります。
ワイパーを上げておくことによって、アームの損傷を防ぐことができます。

雪をどけると凍っていることもよくある。

 最後に、凍結や降雪を溶かすため、たまに熱湯をガラスにかける方がいらっしゃいますが、急激に熱を加えるとガラスが割れてしまうことがあります。
 かけるなら、ぬるま湯。お風呂の残り湯などを使うといいと思います。
 また、外側のガラス面に凍結防止用シートなどをかけるのもいいと思います。
 いずれにしても、車の破損を防ぐようにきちんと対策をしておくようにしたいものですね。

羽毛のベストの暖かい着方

 強烈な寒気のせいで一気に寒くなっていますが、あなたのところの暖房は大丈夫ですか。
 暖房器具で部屋をしっかりと暖めることは大切ですが、もしも停電などで暖房がうまく使えないときや寒い中を過ごさなければならない状態になったとき、手元に羽毛ベストがあれば試してみて欲しいことがあります。
 それは、羽毛ベストを下着の上に着て、その上に服や外套を着るということです。

こんな風に肌着の上に羽毛ベストを着込む。この上に服を着ると服の上にベストを着るよりも格段に暖かい。

 羽毛は体温で温めることによって膨らみ、羽毛の間に空気を貯めて冷気を遮断する構造になっています。
 体温を感じられるところに近づけば近づくほど冷気を遮断しやすいので肌の上に着るのが一番なのですが、羽毛系の着る物は簡単に洗濯できないという欠点があるので、下着の上に着込んでください。
 それからその上に服などを着て羽毛ベストが外気に触れないようにすると、かなり暖かくなります。
 寒くてたまらないときには、一度試してみて下さい。

除雪用スコップあれこれ

 除雪用スコップは素材と形状で異なる使い方をする必要があります。
 ご存じだとは思うのですが、今回はこの除雪用スコップについて整理したいと思います。

1.形状

 スコップの形状は2種類あります。
 一つが「平スコップ」と呼ばれる先端が平らになっているもの。
 もう一つが「剣先スコップ」と呼ばれる、尖っているものです。
 平スコップは柔らかいものを大量に運ぶのに向いており、逆に剣先スコップは堅いものを突いて破壊し、掘り出すのに適した形になっています。
 積もりたてなどの柔らかい雪であれば平スコップ、圧雪や凍結で堅くなっている場合には剣先スコップが向いています。

2.素材

 剣先スコップは殆どが金属でできています。これは堅いものを突いて破壊し掘り出すために使うため、必然的に金属を使わないと役に立たないからです。
 平スコップは、柔らかいものをたくさん運ぶという目的から、除雪用スコップではいくつかの素材があります。

1)プラスチック

耐久性はありませんが、とにかく軽くて取り回しがしやすいです。
少し堅い雪や氷だとまったく歯が立ちませんし、掘ったら壊れてしまうこともありますが、先端が金属で補強されているものであれば、それなりに使えます。

2)ポリカーボネート

プラスチックと同じく軽く、プラスチックよりも丈夫に作られており割れにくいのが特長です。ただ、プラスチック同様圧雪や氷には歯が立ちません。

3)鉄

とにかく丈夫。曲がっても叩けば直せますし、少々手荒く使っても大丈夫です。ただ、重たいのが難点。

4)アルミ

 鉄には劣るがやはり丈夫。重量は鉄に比べると軽いが、耐久性も鉄には劣る。

 金属製のスコップは、全部が金属でできているものと持ち手や柄の部分が木や他の素材のものがあります。
 全金属製のものは持ち手や柄が木製のものに比べると重量が軽くてよいのですが、持つときに凍傷にならないように断熱のしっかりとした手袋などを着用してください。

 除雪用スコップはさまざまなものがあります。自分の住んでいる地域の雪質にあわせて準備しておきましょう。

奇妙なランタン

 先日とある百円均一ショップで面白いものを見つけました。

 商品名は「ベースライト」。ペットボトルの下に置くと、ペットボトルをランタンにしてくれる道具だそうです。
 単4電池3本で48時間連続点灯可能だそうなのですが、私が買った物はスイッチが甘く、offにしてもたまに点灯しているという不思議な状態になってます。
 これはどんな目的に使うのかよくわからなかったので一つ購入して考えていたのですが、ひょっとして災害対策商品なのかなと気がつきました。
 台風などで停電したとき、懐中電灯をランタンに変える道具としてペットボトルとの組み合わせがあったことを思い出したからです。
 ただ、あれはあくまでも懐中電灯しかなくてそれをランタンに変えるために急場しのぎでつくられたものであって、予め準備できるのであれば、こういう道具よりも素直にランタンを勝った方が早いし使い勝手もいいのではないかと考えてしまいました。

表面は鏡面加工がしてあって、水の反射を上手に利用できる加工がしてある。

 もっとも、これをジュースなどの色水でやってみたら面白そうではあります。
 どんな目的で作られたのかはよくわかりませんが、いろんなことを考える人がいるものだと感心してしまったので、ちょっと取り上げさせていただきました。

ベースライトを使ってできたランタン。それなりに明るい。

大掃除と地震対策

よくある転倒防止用の突っ張り棒。天井の強度によっては天井と突っ張り棒の間に板を一枚入れると安全。

 そろそろ年末の大掃除を始めているご家庭も多いと思いますが、大掃除のついでに少しだけ家具の地震対策をしてみてはいかがでしょうか。
 大掃除では、普段やらないような場所まで掃除をすることが多いです。家具の上や壁との隙間、場合によっては家具を移動させての掃除をすることがあるかもしれません。
 そんなときに、家具の上部に転倒防止用の金具や空き箱の段ボール箱、壁への固定などの地震対策用の器具を取り付けてみませんか。

棚の中身が飛び出してこないようにロックをつけるのも有効

 一度に全部するのは難しくても、台所と寝室だけでもやっておくと、安心感が違います。
 最近あちこちで少し強めの地震が増えてきています。だからといって大地震が来るとは限らないのですが、来たときに家具などが倒れたり落ちてこないようにしっかりと対策をしておきましょう。
 なお、地震対策用の器具については、ホームセンターや百円均一ショップなどでも取り扱っています。
 自分のところにあった道具を見つけて、できれば複数の組み合わせで対策をしておいてくださいね。

眼鏡は予備を準備しておこう

 視力矯正具を必要とする人が眼鏡を作りに行ったとき、予備の眼鏡を進められたことはありませんか。
 あれは万が一のとき、あなたが困らないように進めてくれているのですが、あなたは予備の眼鏡がわかるところにしまってありますか。
 というのも、災害はいつもあなたが起きているときに起きるとは限りません。過去の災害を見てみると、寝ているときや明け方などに起きているものも多いのです。
 つまり、眼鏡やコンタクトレンズを外している状態で被災することもあり得るわけですが、そんなとき、あなたの眼鏡やコンタクトレンズがすぐに使える場所に置いてありますか。そして、それらが駄目だったときに備えて、非常用持ち出し袋などに予備のものがしまってありますか。
 いざというときに、物がきちんと見えている場合と見えていない場合では、行動がかなり変わってくると思います。
 視力矯正具なしでは行動が制限されてしまいますし、避難後のさまざまな情報は文字や映像で提供されることが多いので、非常に困ることになります。また、知り合いなどを探したりすることも困難でしょう。
 そして、被災地で新たに眼鏡を作ろうとしても、恐らくは相当な期間待たされることになると思います。
 そう考えると、普段使いしている眼鏡に加えて最低もう一つ、異なる場所に眼鏡を保管しておいた方がいいと思います。
 ちなみにコンタクトレンズしか使わない方の場合でも、被災地では衛生的な水が手に入りにくいですから、必然的にある程度の期間は眼鏡に頼らざるを得ない状況になりますので同じように予備の眼鏡を作っておいた方が安心です。
 最近ではデザインや能力を考えなければずいぶんと安く眼鏡を作れるようになっています。あなたの安全を守るためにも、まだ持っていないのであれば、眼鏡屋さんで予備の眼鏡を作っておくことをお勧めします。