あなたの防災知識を試してみませんか

 2018年から期間限定で株式会社Yahoo!が全国統一防災模試というのを開催していましたが、今年は、期間を区切らずに「ヤフー防災模試」としてサイトが開設されています。
 この防災模試、クイズ形式であなたの防災力が確認できるもので、もし間違っていてもその場で正しい知識を得ることができるようになっていますので、ちょっとした腕試しとして、一度挑戦してみてはいかがでしょうか。
 また、これとは別に東京都が2020年12月21日までの期間限定で「東京都防災模試」もやっています。
 東京都特有の設問もあったりしますが、こちらも非常に楽しめる内容となっており、最後には得点と回答傾向を教えてくれるあなたの防災タイプも確認できるようになっています。
 防災の情報については、以前正しかったことが変わっていることもよくありますから、こういったサイトを通じて今現在の正しい知識を学ぶことは大切ではないでしょうか。

ヤフー防災模試(株式会社Yahoo!のウェブサイトへ移動します)

東京都防災模試(東京都の特設サイトに移動します)

ダンゴムシのポーズをやってみよう

 いろいろ言われることも多いのですが、地震の時に身を守るための「ダンゴムシのポーズ」は理にかなっていると思っています。
 頭と首、お腹、そして手首、足首、ももの付け根の太い血管を守り、揺れにも転がらなくて済むポーズなのですが、正しくポーズを取らないと逆に怪我をするかもしれません。
 身体が硬いととっさにできないポーズでもありますので、まずはゆっくりと練習を兼ねてやってみるといいと思います。

机の下でダンゴムシ
机の下でダンゴムシはお約束です


 最初は正座をします。
 それから背中を丸めながら前に倒れます。
 頭は片手で後頭部、反対側の手で首筋を隠します。その時、手首が露出しないしないように注意してください。
 足首はくじかないように気をつけてください。
 この姿勢は縦揺れにも横揺れにも耐えられる非常に安定した姿勢ですので、素早くできるように練習しておくといいと思います。
 一つ注意しておきたいのは、この姿勢を取っても屋根や天井が落ちてきたり、家具が倒れてきたりすると怪我をしてしまったり死んでしまったりします。ダンゴムシのポーズはあくまでも小さなものの落下などから身を守るためのポーズですので、家具の固定や耐震補強が必要なことは言うまでもありません。
 ところで、足の不自由な人や身体が動かしにくい人はダンゴムシのポーズを取るのが難しいかもしれません。
 そういったときは、とにかく重心を下げることです。

身体が振られないようにすることが大切。場所があるなら「メタボパンダのポーズ」(当研究所命名)をとると転がらなくて済むかも?

 具体的には、座ったりしゃがんだり、なるべく頭を地面に近い位置に下げること。
 頭は体重の1/10の重さがあり、首という細い部分で支えられているので揺れで振られると転倒しやすくなりますので、身体が振られないような姿勢を考えておくとよいでしょう。
 地震はいつどこで遭遇するかわかりません。とっさの時に自分の命を守れるのは自分自身ですから、とっさの時に身体が動かせるように練習しておいてくださいね。

ご近所さんに顔を売る

 災害後の避難所の運営は、多くの場合地元の自治会が担うことになりますが、あなたは自分の住んでいる地域の自治会の人の顔が分かりますか。
 というのも、避難所の運営は行政が長期間に渡って関わることはかなり難しいからです。地元住民で運営をすることになると、どうしても自治会組織というのが出てきます。避難所運営は普段地域を構成している組織が運営に深く関与すると言うことは忘れないようにしてください。
 そこで確認しておきたいのですが、あなたは自分のいる地域の自治会や地元の人の顔と名前がどれくらい一致するでしょうか。
 特にアパートや借家に住んでいると地域との関わりは少なくなってきますし、単身家庭では余計にその傾向が強くなりますが、住んでいる地域にどんな人がいるのかくらいは知っているでしょうか。
 もし誰も分からない、そしてたぶん誰も自分を知らないという状態だと、ちょっとまずいことになります。顔見知りがだれもいない状態で避難所に避難すると、一時避難であればよいのですが、避難所に継続して避難し続けようとしたときに必ずもめ事が起きます。
 というのも、被災後は非常時ですから顔を知らない相手は普通に警戒されますし、その結果として、避難所で受け入れてもらえなかったり、支援物資を受け取ることができなかったりといった事態が起きるのです。
 地域とのつながりは無くても普段の生活はできますが、非常時にはさまざまなものが先鋭化されます。地域にかかわらず生活していた人は、非常時には地域から拒絶されてしまうこともあるのです。
 大きな都市ではそこまでひどくないかもしれませんが、小規模な街だと、地域に住んでいる人の殆どが顔見知りと言ったケースもよくあります。そういったところでは、「顔を知らない人=警戒すべき相手」として避難所を運営している人達から追い払われてしまうことも起こりえるのです。
 地域の多くの人と顔を繋ぐことができれば理想ですが、せめて住んでいる地域の人数人にでよいので、自分がその地域に住んでいることを知っておいてもらうことが必要だと考えます。
 例えば、もし地域で奉仕活動などがあるのであれば、そう言った場にたまにで良いので顔を出しておくと、とりあえずこの人がいるという認識はしてもらえると思います。
 地域のコミュニティを維持する協力をしない人はいざというときに地域コミュニティから弾かれる。
 自分が困ったときほどそういった状況に陥ってしまうことが多いので、地域にある程度の顔は売っておくようにしましょう。

車の冬支度は大丈夫ですか

 暑くなったり寒くなったり落ち着かない毎日ですが、それでも朝晩はかなり冷え込むようになってきました。
 あなたがもしお車をお持ちでしたら、車の冬支度にそろそろ取りかかった方がいいかもしれません。
 夏タイヤをスタッドレスタイヤに履き替えることや、ウォッシャー液の濃度を変更するといった機械的な作業に加えて、冬場に山越えをする方についてはタイヤチェーンの確認もしておいてくださいね。
 冬場、急カーブの続く場所や凍りやすいところ、傾斜の厳しい場所などでは冬タイヤ規制が行われます。
 それから、いくつかの条件が揃うとタイヤチェーンを装着していない車は走行ができないチェーン規制区間も存在しています。

チェーン規制区間のマーク。普段は隠されているので見かけることはないが、もし見たら規制中。


 近くでは浜田道の「大朝IC~旭IC」間。それから国道54号線の赤名峠も対象になっていますから、そういった道路を利用する人はきちんと備えておきましょう。
 また、持っているだけでは駄目で、タイヤチェーンの装着ができるかどうかを、チェーンの点検もかねてシーズン前に試しておきましょう。
 それから、自分の車が雪や氷に備えていても、他の車や大雪による道路封鎖によって動きがとれなくなることがあるかもしれませんので、余裕があれば毛布や非常食、使い捨てカイロなどを準備しておくと、より安心だと思います。
 いざというときに困らないように、しっかりと準備しておきましょう。

支援物資の物流について考える

 災害後の復旧が速やかに進むかどうかは被災者の安心をいかに獲得するかにかかっています。
 必要なものがきちんと手に入る、衛生環境が確保できるといった条件が満たせれば、とりあえずの混乱は防ぐことが可能です。
 そのためには、支援物資を輸送するための物流網を確保する必要があります。
 大量に支援物資を運び込み仕分けをして被災地へ輸送する物資集積拠点、そして被災地内で小分けし、各避難所へ配送する物資集積基地、最後は避難所にできるデポ。
 これらが上手につながることが必要となってきますが、こういった物流網を行政が設計・管理することは、人的にもノウハウ的にもほぼ無理です。
 立て続けの災害のおかげで、物資集積拠点や物資集積基地の指定や運用は運送業者さんに任せた方が効率的だと言うことが認識されてきたようですが、物資集積基地からもよりのデポ、そしてデポから被災地の住民に物資が渡る部分が現在うまくつながっていないところが多いです。
 運送屋さんが避難所まで持ってきた物資をいかに早く確実に必要とされる人の手に届けられるのかというところは、被災前にどれくらい物流について真剣に考えてきたかに比例しますから、避難所運営委員会がそこまで考えて運営設計をしているかどうかが鍵になります。
 避難所は物資と情報の両方が集積する場所ですから、それらを避難所への避難者だけではなく、被災地域の人達に物資や情報を届ける必要があります。
 災害対策のラストワンマイルと呼ばれる避難所から地域の被災者への物資や情報の伝達方法を、一度検討してみて欲しいと思います。

家の周りのお片付けと防災

 突然ですが、あなたのおうちの外回りはきれいに片付いていますか。
 水害や台風といった大きな災害がくるとわかっているときには来るまでのところできれいに片付けて風で飛びそうだったり水で流されそうなものは片付けたりしますが、できれば普段から片付けておきたいものです。
 というのも、竜巻や突風といった予告なしにくる強い風が吹くと、無防備に散らかしていた様々なものが風で吹き飛ばされてあちこちに散らかってしまいます。
 その中には道路に落ちて通行を妨げたり、飛んでいった先で建物を壊したりガラスを割ったり、へたをすると人にぶつかって怪我をさせることになっているかもしれません。そういったことを防ぐためにも、普段から家の周りはきちんと片付けておくことをお勧めします。
 全部を片付けるのが難しい場合には、風の吹く方向を確認して、風の影響を受けそうな場所だけでも片付けておくとかなり状況が違うと思います。
 風だけで無く、地震の際にも、片付いていない場所では大きな損害が起きる可能性がありますから、片付いておいて損はありません。
 もう少しすると年末大掃除をされることもあるのではないかと思いますが、その際に風にものが飛ばされないようにする対策についても考えておいてくださいね。

防災マップは見えるところに貼っておこう

 あなたは防災マップを作っていますか。
 防災マップというのはハザードマップのことではありません。ハザードマップに地域の安全な場所や危険な場所、避難経路、避難先などを記入して作るあなたの命を守るための防災マップです。
 この防災マップを一度作っておくと、自分のいる場所の情報が一目で確認できるため、現在の安全度や避難についてイメージがしやすくなります。
 もしも作っていないのであれば、一度DIGをやって作成してみてください。
 そして、それができるまではとりあえずのつなぎとしてハザードマップを見やすいところに貼っておきましょう。
 見やすいところに貼ってあると、いざというときにすぐに確認ができます。また、普段から見るところに貼ってあれば、無意識に周辺の状況を覚えていたりするものです。
 ハザードマップにしても防災マップにしても、見てすぐに片付けてしまうのでは何の役にも立ちません。
 こういった地図は使い込んでこそ価値が出てきますから、例えば玄関やトイレ、廊下や居間など、普段から目につきやすいところに必ず貼っておいて、いざというときに大切にしすぎてしまったところがわからないというようなことがないようにしたいものですね。
 余談ですが、災害対策に意識のある地域では、例えば居酒屋のトイレや駅、地域の掲示板などさまざまなところにハザードマップが貼ってあることに気づくと思います。
 災害対策については、知らなかったということを正当化できる理由はありませんから、普段からの意識付けの一つとして、自宅の中だけでなく、さまざまなところに貼っておくといいと思います。

備えるべき災害を知っていますか

 あなたがお住まいの地域やお仕事や勉強をしているところではどのような災害に気をつけたら安全が保てるのかについて考えたことがありますか。
 防災の第一歩は、まず自分のいる場所がどのような災害に弱いのかを知るところから始まります。
 低地であれば水害や高潮などに気をつけないといけないですし、山や崖の近くであれば山の崩壊や地すべりに注意しないといけないでしょう。
 そんな地域の様子を知るのに役に立つのがハザードマップと過去の伝承です。
 ハザードマップでは、ある想定下においてどこでどのようなことが起きるのかについてが整理されて地図を作っていますから、これを見ることである程度の予測がつきます。その上で、地域の過去の災害伝承を調べてみると、思いもよらなかったところで災害が起きていたりして備えるべき災害が増えたり変わったりすることもあります。
 もちろん災害対策が取られて昔ほど大騒ぎしなくてもよくなっているところもたくさんあるのですが、よく起きる災害の参考にはなるでしょう。
 その上で、あなたが備えるべき災害を確認し、その災害対策を優先的に準備するようにすると、効率的に用意をすることが可能です。
 最後に一つだけ。地震だけは日本のどこに住んでいても備えておく必要があります。
 日本の国土が地震からは逃れられない構造になっているので、地震対策だけはどこに住んでいてもしっかりと行うようにしてください。
 命を守ることが最優先です。あなたのいるところの災害を確認するところから始めてくださいね。

DIGをやってみよう

地図に情報を書き足していくことで防災マップが出来上がる。写真はとある仮想町を使っての演習。

 DIGというのをご存じですか。参加する人が地図を囲み、ゲームのように災害時の対応策を考える図上訓練のことで、Disaster(災害)、Imagination(想像)、Game(ゲーム)の頭文字をとってDIGと呼ばれています。
 一枚の大きな地図を用意してそこにハザードマップの内容や道路や水路、危険に見える建物や構造物、病院や薬局といった施設などを書き込みをしながら地域の強みや弱みを洗い出していきます。
 対象とする災害やテーマを絞れば短時間でもできますし、一人でも複数人でも楽しみながら作ることができます。
 また、情報を一枚の紙にまとめて図化するので誰でも理解できるものができますから、参加した人だけでなくその地図を見る人達の防災力の向上も期待できます。
 聞くと少しだけ取っつきにくい感じがしますが、実際にやってみると非常に面白く、意外な発見があったりしますから一度やってみることをお勧めします。
 参考までにDIGの作り方について記載したウェブサイトをご紹介しますので、興味のある方はぜひ覗いてみてください。

DIGってなぁに?」(静岡県庁のウェブサイトへ移動します)

マイタイムラインを準備していますか

 災害というのを大きく分けると、地震のようにいきなりやってきて被害が発生するものと、台風や大雨のようにある程度被害が来るのが予測できる時間があるものがあります。
 地震の訓練はシェイクアウトから安全な場所への避難という一連の流れが訓練されていることが多いのですが、被害が来るのが予測できる時間があるはずの台風や大雨の訓練というのはあまりされていない気がします。
 短時間に大量の雨が降って排水量を超えたことによる内水面越水のような事態ならともかく、そうでない場合には安全を確保して備えるための時間が与えられています。
 この時間をどのように使うのかということと、自宅の危険性、そして避難が必要だとするとどの時点で避難を開始すべきなのかといったことを事前に決めておくことをタイムラインといいます。
 なくても問題ないという人もたくさんいらっしゃるのですが、いざその時になってみると例えば避難の開始などのタイミングを決めかねてしまって、結局救助をしてもらわないといけなくなったといったことがよく起こりますので、安全なときにこそ災害時の自分の動き方の計画を立てておきましょう。
 タイムラインでは、「いつ」「誰が」「どこで」「どうなったら」「どんな行動をとる・どんな準備をする」ということを決めておきます。
 作るときのポイントは、資材の調達などは少し早めに行動をするということ。
 例えば大型台風による被害が想定される場合に、台風の来る前日、前々日にガムテープを用意するとタイムラインに書き込んだとしても、お店になければ調達ができません。
 一例を挙げてみますと、令和2年8月31日に大型の台風10号が発生しました。
 9月2日くらいから気象庁が警戒を呼びかける情報発信を始めます。9月3日には特別警報級の勢力になって沖縄・九州奄美地方に接近上陸する恐れがあるとの情報も発信されました。
 9月4日夕方には925hpaまで気圧が下がり、台風が西日本を直撃するという進路予測も出、マスコミがこぞって取り上げたせいでしょうか、台風に備えてさまざまなところが計画休業などを行うところがかなり出てきました。
 9月3日から、とあるホームセンターの養生テープとガムテープの棚の動きを定点観察していたのですが、3日は通常どおり、4日には棚に空欄が目立つようになり、5日には在庫がなくなっていました。
 このことから考えると、人が動く前に必要な部材を確保しておく必要があるということがわかると思います。
 その資機材の調達タイミングは意識しなければ殆どの人が同じ時期に集中してしまいますから、わかっているのならばそれ以前に調達しておくことで確実性を揚げることができます。そういったさまざまなタイミングを決めておくのが、マイタイムラインというものなのです。
 条件を満たしたら、そこでは考えずに定めてある計画どおりに行動をする。決めてないから迷うので、スイッチと行動を決めておけば確実に安全を確保することができます。
 タイムラインは簡単にできて絶大な効果のあるものですから、ぜひ一度作ってみることをお勧めします。