非常用持ち出し袋のことは防災の話をするときには必ず出てくるものですが、あなたは準備をしていますか。
市販品もさまざまな種類や内容で作られていて、それさえ備えれば準備ができたような感じがして安心できます。
もちろん、一つ一つ自分が吟味したアイテムで作る非常用持ち出し袋なら、何が入っているのかが把握できているので安心できます。
ただ、どちらにしても大切なことが一つ。
それは「そのアイテムはちゃんと使えますか」ということです。
非常用持ち出し袋ではさまざまな便利アイテムが入れられていますが、多機能すぎてどうやって使うのかわからないものや、それなんで入ってるのといったものがセットされていることがあります。
非常用持ち出し袋の一覧表には、基本的にそのアイテムをどうやって使うのかまでは書かれていないことが多いので悩んでしまうこともあるのですが、自分が使いかたのわからないアイテムは使わないと考えてください。また、居住環境によって備えないといけないアイテムもさまざまに変わっていきます。
市販品であれ、オーダーメイドであれ、非常用持ち出し袋を作る時にはそれがどんな時にどんな使い方をするものなのかをきちんと確認して、自分が納得してからアイテムに加えるようにしてください
カテゴリー: 非常用持ち出し袋
非常用持ち出し袋に関するあれこれです。
【試してみた】牛丼缶を食べてみた
牛丼缶というのがあります。
牛丼で有名な吉野家さんが販売しているものですが、「非常用保存食」となっているとおり、災害時の食事としても使えるように冷たいままでも食べられるようになっているそうです。
冷めた牛丼というとべっとりとして油が固まっていて食べられないという印象なのですが、本当においしく食べることができるのか。
気になったので買って食べてみることにしました。
お値段は、牛丼として考えるとかなり高いですが、非常食として考えたら妥当かなと思うくらい。
缶切り不要のプルトップ缶で、開けるのは簡単です。
開けてみると、イメージしたような冷たくなった牛丼が登場。
温めたほうがよかったかなと思いながら、食材を箸で持ち上げてみると、案外と簡単に持ち上がります。
たれはごはん全体にまぶされているような感じです。
食べてみると、最初の一瞬、油のざらっとした触感を感じるものの、口内の体温で油が溶けてちゃんと牛肉の味がします。
非常食なので、栄養のバランスを考えてのことだと思いますが、ご飯は麦飯。食感はプチプチします。
筆者は麦飯が大好きなのでご機嫌でしたが、苦手な人は食べにくいかもしれません。それくらいしっかりと麦飯です。
おやつくらいの分量かなと思っていたのですが、食べてみると結構満足感があります。ご飯が麦飯なのでしっかりと噛むというのもあるのかもしれません。
缶詰なので、汁漏れを気にせずどんなところでも食べることのできる牛丼。
麦飯好きな人、牛丼好きな人は非常食として一度試してみてはいかがでしょうか。
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睡眠をしっかりとれる準備をしておこう
最近の市販品の非常用持ち出し袋には、かなりの高確率で寝るときに使用するエアマットが入っています。
これは避難所または避難場所で睡眠をとる必要がある時に床との間に空気による層を作ることで、寝る姿勢を楽にすると同時に床からの冷気を防ぐ断熱と、床に舞っているほこりを吸い込む確立を少しだけ減らせるという効果があります。
ただ、これだけでは快適な睡眠には程遠く、寝袋や毛布、あるいは布団など自分がしっかりと眠ることのできるための道具を追加しておく必要があります。
一日だけならエマージェンシーシートでもなんとかなりますが、やはり専用に作られた寝具にはかないませんので、できるだけ快適に過ごすためにもしっかりとした準備をしておきましょう。
また、避難所では防犯上夜間も照明がついているので非常にまぶしいですし、周囲の知らない人のさまざまな生活音が聞こえると寝にくいところがあります。
そこで、アイマスクや耳栓などを準備しておくと、寝るときにある程度の快適さは担保されると思います。
余裕があるなら、自立型のテントを持参しておくと、場合によってはテントを展開して中で寝ることもできるのでさらに快適になります。
非常時において、給水、食事、排せつと並んで睡眠は自分の体調を保持するために非常に重要なものです。
平時に、どんな道具なら自分が快適に寝られるのかを調べておいて、非常時に備えて準備をしておいてくださいね。
【終了しました】第2回「はじめての防災キャンプ」を開催します
2022年11月5日から6日に、島根県益田市の北仙道公民館で「初めての防災キャンプ」を開催します。
これは実際に体育館で宿泊をして、避難生活で起きそうなさまざまな出来事を体験したり、防災活動を学んだり、近くを散策して自然観察をしたりするもので、8月に開催した第1回は参加者に好評をいただきました。
新型コロナウイルス感染症の蔓延で参加できなかった方や参加した方から「次回はいつやるの?」というお問い合わせをいろいろといただきましたので、冬に向けて第2回を開催することとしました。
対象は小学生、中学生で、地域は限定しません。
先着15名となっておりますので、興味のある方のご参加をお待ちしております。
また、当日のお手伝いをしてくださるボランティアも募集しています。
短時間でも手伝ってくださる方がおられれば、事務局までご連絡いただければと思います。
食材管理はしっかりとしておこう
非常用持ち出し袋や防災ポーチの中に入っているものは割とよく点検するのですが、備蓄庫に入っている食料品はあまり点検していません。
というのも、我が家では備蓄庫のものはローリングストックということで普段の生活の中で管理しているということになっていて、期限切れは起こさないと考えていたからです。
もちろん、長期保存できるものばかりなので、あまり気にしていないということもありますが、先般、久しぶりに中の片づけをしてみたら、期限間近、期限切れのものがごろごろと出てきてびっくりしました。
普段ローリングストックをしていると考えていても、日ごろの調理ではあまり使わないものは、そのまま備蓄され続けます。魚などは普段は生のものを普通に使っているので、なかなか缶詰の出番がないということもあります。
また、大好きだけど高価でなかなか食べられなかったというのもありました。
缶詰はともかく、他のものは劣化が進んでいくので、思い付きで消費のディキャンプをすることに。
「これ、どうやって使う気だったっけ?」と買った当時のことを思い出しながら、調理しておいしくいただきました。
非常用持ち出し袋や防災ポーチの中身は意識することが多いと思いますが、普段使いしているはずの備蓄品も、時にはチェックすることが必要だなと思いました。
避難所のごはんの現実
非常用持ち出し袋を作っておいて、避難が必要な時にはそれを持っていくということは、災害が起きるたびにさまざまなところで言われていることですが、でも、実際に自分が対象になると何も持たずに身一つで避難する、あるいはいつものカバンだけ持って避難するという人がまだまだたくさんいらっしゃいます。
災害が発生した後での避難の場合には仕方がありませんが、避難所に避難した後、避難所には何もないということを初めて知る方もたくさんいて、そこで揉めることも多いです。
毎回ここでも書くことですが、避難所には原則として何もありません。
毛布や非常食の備蓄はいくらかあるかもしれませんが、避難者全員に行き渡るようなものはとてもありません。
そんななかで、自分の居場所や生活を確保していかないといけないので、かなり厳しい条件になっているということを理解しておいてください。
居・食・住のいずれも厳しいのですが、今回はごはんについてのリアルです。
地震のように突然発生する災害ではなく、大雨や台風などであらかじめ避難ができるような災害の場合には、自治体および避難所によっては避難食ともいうべき軽食が支給されることはあります。
菓子パン、おにぎり、お茶、水またはスポーツドリンク。これが提供されるものの全てです。
当然アレルギー対応などは考えられていませんから、アレルギーを持っている人はそれらを食べることには覚悟が必要になります。
そして、避難が長時間に渡る場合、食べられる避難食は毎回同じものになるので、だんだんと食べられなくなってしまう場合もあります。
特に高齢者の方にはそれが顕著にでますが、あらかじめ自分が食べるものを用意しておかない限りは、与えられるものでやっていくしかありません。
災害後は、通常の物流は止まりますので何もしなければ、数日間は食べるものがない生活になります。
やがてプッシュ式で送られてくるのはお弁当になりますが、油ものや練り物などで占められよく冷えた(たまに凍ったままの)お弁当が三食となります。
正直なところ、これではどんなに元気な人でも体調を崩すよねと言いたくなるような不健康な食事が数週間、下手するとひと月以上続くことになりますが、それが理解できているでしょうか。
そんなとき、自分の好物が一つでもあれば、随分と気分が変わると思います。
非常用持ち出し袋に入れておく食料品には、そういったものも入れておく必要があると思っています。
自分が好きな味付けの防災食を準備しておいて、同じ食事が続くときには追加して目先を変えたり、不足するビタミン類や繊維質のものを加えておいたり。
人口が少なかったり、農業地域なら自分たちでの毎食の炊き出しもできると思いますが、そうでない場合には、しっかりと備えておくようにしてください。
防水リュックの功罪
水害時の避難では、防水リュックは使わないほうが安全かもしれません。
このように書くと「?」となる方も多いと思います。水が出るような状況だから、中のものを濡らさないために防水リュックが必要なのではないか。
そう考えるのは無理のないことなのですが、 水のある状況での避難では、防水リュックをそのまま背負うと、背中に浮袋が付いた状態になっていると思って行動してください。
浮袋は空気が入って水の中で浮く仕組みになっています。
防水リュックは、その構造上、外から水が中に入らない代わり、中の空気も外に出ることはありません。つまり、浮袋と同じです。
それを背中に背負って、もしも流されたり転んだりしたらどうなるでしょうか。
背中に浮袋があるわけですから、背中が水面になって浮きます。つまり、顔は水の中。流されるときにリュックを外すのはかなり大変です。
防水リュックを抱っこしていればよいのですが、そうすると動きが鈍くなりますので標準での抱っこはお勧めできません。
そういう理由から、中のものは濡れないのですが、あなたの安全を考えるとお勧めできないのです。
もしも防水をするのであれば、リュック本体ではなく、中に詰めるものをチェック付きビニール袋などに入れて個別に防水処理をし、しっかりと空気を抜いておくことで、万が一水に流されてもある程度の自由は効きます。
もちろん防水リュックが悪いわけではありません。中のものが絶対に濡れない防水リュックは非常に便利ですし、中のものを気にしなくてもいいのは本当に助かります。また、防水リュックは防塵リュックでもあるため、地震などの避難では、中に砂が入らずに非常に重宝します。そして、防水リュックはそのままで大きな水袋になりますので、断水状態のときにもかなり助かるのは確かです。
もし、水害のときに防水リュックを使うのであれば、水があふれる前に避難完了をしておくことが重要になります。
妙な言い方になりますが、防水リュックを使うのは災害前、そして水の災害が起きたなら、防水リュックはとりあえず使わない。
そう覚えていてほしいと思います。
非常食がなぜいるのか
非常食がどうして必要なのかについて、たまにご質問をいただくことがあります。
答えから行くと「プッシュ型支援で食事が届くようになるまでの間、自分の命をつなぐため」なのですが、あまりピンときていない方も多いと思います。
田舎だと、野菜は畑からとってくる、コメは倉庫にたくさんある。水は井戸、というようなご家庭も多いので、非常食がなくても食事はできるのですが、何らかの理由でそれらが手に入らなくなることがあるかもしれません。
例えば、野菜のある畑が断層に飲まれたり、流れてきた土砂に埋まったり。あるいはコメの入っている倉庫がつぶれてしまったり、火事で燃えたり。停電でポンプが止まって水のくみ上げができなかったりといった事態が想定されます。
そういったときにでも胃袋に食べ物が入るというのは、非常に気分が落ち着くものです。そのために準備するものだと考えておけばいいと思います。
また、災害発生から72時間はどの組織も物資の輸送ではなく救助に集中しています。72時間を過ぎると生存確率がかなり落ちるということが言われていて、この間はほかのすべてを止めてでも救助が優先されています。
つまり、避難者に食事が回ってくるのは早くても72時間経過後ということになるのです。
それから、大規模災害だと道路の開削から始まりますから、食料が届くのに1週間以上かかる場合が出てくるかもしれません。
そのことを見越したうえで、最低3日分、できれば1週間分の食べ物をストックしておくようにさまざまなところで広報がされているのです。
どんな人であれ、食事をする以上はある程度の準備は必要だということを認識したうえで、せめて自分が食べやすいと感じるものを準備しておいてください。
TPOで判断は変わる
災害や置かれた条件で、取るべき行動の正解はかなり変わってきます。
同じ災害でも、いる場所や置かれた条件によっては、正解が真逆になっていることもありますので、置かれた状況を判断する力をつけておく必要があると思います。
例えば、非常用持ち出し袋。
水害や台風など、災害が起きることが予測される状況であれば、必ず持って避難すべきですが、地震に伴う津波がくるような状況だと、非常用持ち出し袋を持つよりも高台への避難行動が優先されます。
また、地震の時に机の下にもぐるのは、落下物が少ない場所なら有効ですが、建物が崩れそうなら屋外への避難を最優先にしないといけません。
どれが正解かなのではなく、いる場所と置かれた状況によって正解が変わってくるのです。だから、判断を間違えないためには、普段想定している状況ではなく、今遭遇している現状を受け入れることが大切です。
今優先すべきはなんなのかをしっかりと考えたうえでの行動となりますが、優先度の判断というのは慣れていないと非常に困難を伴います。
普段の生活のちょっとした判断を求められる状況で、判断とそう考えた根拠を意識する練習をしておきましょう。
この判断というのはなかなか難しいものですが、正しくても違っていても、よくわからなくても、判断をする練習をしておくことで、いざというときの判断も的確になる可能性があがります。
災害時に優先されることは常に同じではなく、いる場所や状況で変わるということ。
そしてそれを踏まえたうえで、自分の命がどうやったら守れるのかを常に考えるようにしてくださいね。
食べ物と水
高齢者の避難においてネックになるものの一つに、飲料水があります。
非常用持ち出し袋を作ったことのある人であればわかると思いますが、一番重量があり、そして量もある程度必要という水は、推奨されている量1日3リットルを持って避難するのは非常に難しいです。
ただ、少し視点を変えると問題が解決することがあります。
地震のときはともかく、災害が起きると予測のできるときの避難では、避難から災害発生までに時間の余裕があります。
そのため、避難するときには避難中に飲むだけの水を持ち、避難した先で水袋や空のペットボトルに避難先の水道から補充するという方法をとることが可能です。
もちろん避難先の施設管理者の同意は必要ですが、重量物を抱えて避難することを思えば、避難先で水を確保するというのも一つの手です。
この方法であれば、食料をアルファ米にしておいても戻すための水が確保できるので、水と食料が軽い状態での避難が可能になります。
避難後の命をつなぐのに優先度の高いものは、状況が許せばあらかじめ避難先に置いておく方法もあります。
大規模避難所では難しいかもしれませんが、集会所や公民館などの小さな地域単位であれば、可能な場所もあるかもしれません。
避難時に気を付けるのは、命をつなぐアイテムを可能な限り持参することですが、避難の途中で動けなくなっても困るので、さまざまな代替え手段を考えておくといいと思います。