レンタルで試してみる

 以前災害対応用品とアウトドア用品は非常に親和性が高いということを書きましたが、災害に備えるための装備を準備をするにあたって、自分にどのようなものがいるのか確認ができていますか?
 いろいろなアイテムが出てきたと思いますが、その中にアウトドア用品が出てきたとしたら、一度借りて試してみてください。

 アウトドア用品というのは、やはりそれなりのお値段がするので買ってはみたが自分には合わなかったというときのダメージは結構大きいものです。
 よく知っている道具ならともかく、初めて使う道具が自分にあっているかどうかを確認するためには、持っている人に借りてみるのが一番です。

 最近のキャンプ場ではレンタル用品が充実しているので、身につけるものを除いたら大概借りることが出来ますから、いろいろと試してみて、その中から自分にあったものを見つけて買いそろえていくというのも楽しいものですよ。
 また、キャンプ場まで行かなくても、家に届けてくれるレンタルもできるようになってきているみたいです。
 特にレインウェアなどは「値段=性能」ですから買える範囲で予算をケチらないことがよいのですがやっぱり相性があります。
 人によっては何万もするレインウェアよりも数千円の雨合羽の方が使い勝手がよいと言う人(私のことです)もいらっしゃいます。
 また、寒さを凌ぐだけならウインドブレーカーを使うという方法もありますよね。とにかく一度試してみて、なるべく自分にあうものを購入するようにしたいものです。
 さまざまなアウトドア用品をレンタルしてくれるお店で郵送対応してくれるお店をご紹介しておきます。
 レインウェアなどもありますので、成長の早い子どもさんやお試しで使ってみるといった使い方が出来そうです。
 ちょっとお値段は張りますが、買って後悔することを考えれば安いもの。
 借りてみて、ぜひ使い勝手を確認してみてくださいね。

キャンプ用品レンタルならそらのした

「おはしも」と避難先

学校や保育の現場では、数年前から避難訓練時に子ども達と「「お・は・し・も」を守りましょう」という約束をしているようです。
「お」は「押さない」
「は」は「走らない」
「し」は「しゃべらない」
「も」は「もどらない」
避難する際にとても大切なことがわかりやすく端的に書かれています。
人を押せば将棋倒しになってけが人が出るかもしれませんし、走れば転んで怪我するかもしれない。
しゃべっていると逃げる速度が遅くなってしまいますし、せっかく助かったのに「まだ大丈夫」や「もう収まった」と判断して戻り、災害に巻き込まれてしまった人のなんと多いことか。
この標語、子ども達だけでなく地域の大人達にも普及していけばいいなと感じます。
ところで、避難訓練はどこまで逃げる訓練をしているのでしょうか。
学校では校庭まで避難して全員を点呼することになっていることが多いようですが、校庭が全ての災害に対して安全かどうかの検証がされているかどうか、私にはどうにも疑問です。
火事の避難訓練では校庭まで逃げて点呼で終了でも大丈夫かもしれませんが、他の災害に備えるためにはもう一歩先まで訓練しておく必要がありそうです。
具体的には「確実に安全だと判断できる場所まで逃げること」。
洪水や地震、津波、竜巻など、災害によって避難すべき安全な場所は変わります。
それぞれの想定で安全な場所を決め、そこに避難する訓練まではやっておくこと。
そして「なぜその避難行動をするのか」ということを徹底して教えておくこと。
そうでないといざ本番のとき、高手に逃げなければいけない洪水で校庭に逃げ出すという妙なことになってしまいます。
避難する先の判断と悲観開始の決断、それに避難指示はあらかじめ判断基準を決めておき、校庭の次の避難先までとりあえずきちんと避難すること。
仮にそこまでのことが必要なかったとしても、それは結果論で安全を確保することを最優先に行動しないといけません.
せっかく素敵な約束をしているので、安全で的確な避難が出来るような訓練までしておきたいものですね。

チェーン規制導入

 山陰地方を始めとする早朝から始まった大雪は峠を越えたようですが、久しぶりに集中的に山間部を始めとする場所では雪が積もっているようですので、雪道を走行される方はどうぞ気をつけてください。
 ところで、今年の冬から「冬用タイヤ規制」に加えて「チェーン規制」が作られました。
 全国で13区間が指定され、近くの浜田道の「大朝IC~旭IC間」が該当しています。また、県内では島根県と広島県を結ぶ国道54号線の赤名峠も該当しているようです。
 この「チェーン規制区間」では「大雪特別警報や大雪に関する緊急発表が行われるような降雪時」にはスタッドレスタイヤでは駄目でタイヤチェーン装着者のみが通行可能になるとのことで、道路交通情報などでも言い回しを変えるといった話も聞きました。また、高速道ではそこまで厳しくないという話もありますが、念のためにタイヤチェーンは用意しておく方がよさそうです。

チェーン規制区間を示す看板
国土交通省の報道発表資料から抜粋


 ところで、あなたは車のタイヤチェーンをきちんと巻くことができますか?
 過去、チェーンを着用した車が、そのチェーンによって損傷を受けるケースがかなり出ているようです。
 原因は、チェーンの装着方法。
 指定されたとおりの装着ができていなかったため、チェーンがタイヤハウス内で跳ね回ってあちこちダメージを受けてしまうようです。
 事前に一度装着練習をしておけば防げたトラブルですね。
 また、制限速度以上の速度で走ったために切れてしまったというケースもあるようですので、 チェーンをつけたらいつも以上に慎重に運転した方がいいですよね。
 ところで、今回の規制にあわせて私も久しぶりにゴム製のタイヤチェーンを買いました。
 で、練習でつけてみようとしたら車のタイヤよりもタイヤチェーンの方が小さいのですね。どうやらサイズを間違えて買ってしまったらしく、数字が覚えられない自分に思わず苦笑い。
 今回は事前に練習しようとしたからそれがわかりましたが、いざ本番のときにそうなっていたらと思うとぞっとします。
 タイヤチェーンを準備する、そしてシーズン前には一度取付の練習をしてみる。
 たったそれだけでたくさんの事故が防げます。
 シーズン前の習慣にしたいものですね。

暑さ寒さをしのぐ方法

災害は季節を選んでくれません。
春や秋であれば凌ぎやすいかもしれませんが、真冬や真夏でも災害は発生します。
そして避難した先では、暑さ寒さに悩まされることになります。
暑さと寒さを和らげる方法、いくつか提案してみたいと思います。

1.寒さを和らげるには?

 寒さを和らげるには、冷やさないことです。
 つまり、体温をいかに逃がさないかがポイントで、風に当たらないことと身体から熱を逃がさないかを意識するようにします。
 風に当たらないようにするだけで体感温度は随分と変わります。風に当たると熱と水分を持って行かれますのでなるべく風の当たらないところにいるようにします。
 また、温度は空気の層により決まりますので、体温を維持するためには身体の面積の広い部分の保温を行えばよいということになります。
例えば、どんな薄着でも重ね着するとそこに空気の層が出来ます。これを上手に使うと、厚手の服よりもしっかりとした保温ができます。
 また、体の胴体部に新聞紙を重ねて巻くという方法もあります。これは新聞紙の間に空気の層ができて保温効果が期待できるからです。もちろん梱包材に使われているぷちぷちのついたシートなども有効です。
 使い捨てカイロがある場合には、大きな血管が流れているところを温めることで身体全体が暖まります。
 例えば首の根元、みぞおち、背中の肩甲骨の間、太股などです。
 もしも温かいものが飲食できるのであれば、ほうじ茶やお湯など温かいものを少量ずつ飲むようにします。
 発汗作用のあるものは一時的にかなり暖まりますが、そのあと汗をかいて冷えるので避けた方が無難です。
 緑茶やコーヒーなどカフェインを含む飲み物は利尿作用があります。排泄物はかなりの熱を身体から奪うので、できるだけ飲むのは避けるようにします。

2.暑さを乗り切るには?

 直射日光をさけて風の流れるところを探すのが一番です。
 屋外でも、つば広帽子や長袖シャツなど肌を直接日光に当てないような通気性のよい服を着ます。
 水が確保できるなら、手のひらや足の裏を冷やすことで体温を下げることができます。
 もし保冷剤や冷感スカーフなどが使えるなら、首元や脇の下を冷やすことで、身体全体の体温を下げることが可能です。
 また、暑いときには汗をかきますので、水分の補給は必須です。
 スポーツドリンクや経口補水液などが推奨されています。
 私自身は塩分や糖分のことがありますのでスポーツドリンクよりも水+塩飴をお勧めしますが、この辺りは好みになりますので平時に自分に合う水分補給の方法を見つけておきましょう。
 寒さ対策でも触れましたが、緑茶やコーヒーなど、カフェインを含むものは利尿作用があるので摂っても水分補給にはなりません。

 せっかく災害から生き延びても、暑さや寒さで死んでしまってはなんにもなりません。
 風と体温を意識して、可能な限り自分の快適な環境を維持できるように心掛けましょう。

高齢者などの要支援者ほど事前訓練をしっかりしておこう

 最近あちらこちらで自主防災組織の立ち上げが進められています。
 地域のことは地域で行うという前提の自主防災組織が編成されると、まずはその地域の避難についての計画や訓練がされるようになります。
 その避難計画や避難訓練、避難所運営訓練には、いったいどんな人の参加が予定されているでしょうか。
 多くの場合は自治会役員や地域の元気な人達が中心だと思いますが、高齢者や障害者といった支援の必要な方もちゃんと参加していますか?
 自主防災組織が作る避難計画書では、多くの場合「避難準備・高齢者避難開始情報」が発令された段階で、高齢者や障害者と言った要支援者を最初に避難所に移動させることになっているからです。
 つまり、避難所に一番最初に避難してくるのは要支援者の方々であり、恐らく一番長い時間避難所にいることになる方々なわけです。
 この最初に避難してくるはずの人達も訓練にきちんと参加していますか?
 「寝たきりだから」とか「足が悪いから」とか、「人が多いところへいくと何が起きるかわからないから」といって、要支援者が参加を拒んだり、参加を見送ったりしていませんか?
 でも、要支援者が実際に参加しないとどんな支援や準備が必要なのかわかりません。
 やってみたら、設備や資機材の関係でその要支援者がその避難所では受け入れることができないということもあるでしょう。
 それは実際にやってみないとわからないことなのです。
 要支援者によっては「家以外は病院でないと無理」という方がいるかもしれません。 そんな人は、ちゃんと非常時に病院に収容してもらえる手はずを整えているか、受け入れてもらえない場合はどのタイミングでどこへ移動させるのかを決めているか確認しておかないといけません。
 また、避難してくる要支援者の人たちは、ちゃんと持出用防災セットを準備して持ってくることができるでしょうか?
 彼らが身一つで避難してきた場合、食料や寝具といった物資の準備は避難所に備わっていますか?
 準備できていない場合、どこから誰がいつまでに用意するのか、きちんと取り決めてありますか?
 また、避難所内を安全に移動したり、トイレを使ったりすることができますか?
 食事や寝ることが問題なくできますか?
 それらはやっぱり実際にやってみないと分からない部分なのです。
 いざというとき、助かろうと思って避難してきたが、自分が生きるために必要なものが何も無い避難所で死ぬことになってしまったというのでは悲しすぎます。
 立場の弱い要支援者の人たちほど事前訓練が必要だと言うことを、自主防災組織の方は基本的な事項としておいてほしいなと思います。

 余談ではありますが要支援者の方は生活弱者でもあるので、行政の人間が一緒に参加することで地域に隠れている、本来行わないといけないさまざまな支援ニーズを掘り起こすことも可能になります。
 行政、特に福祉関係の方が参加してもらえれば、要支援者が避難所に避難できない場合の受け入れ先の問題も考えてもらえると思いますので、避難計画を作るときや避難訓練をするときには、防災関係だけで無く、福祉関係の部署にも声をかけてみてください。

り災証明書・被災証明書の使い道

災害が発生すると、地元自治体に申請することでり災証明書や被災証明書がもらえます。
これは「被災しました」という証明書なんですが、この証明書、何に使うのかご存じですか?
今回はり災証明書使い道について確認してみます。

1)準備

り災証明書の申請に限りませんが、被災した建物、家財用品その他、自分が持っていて被災したものの写真は全て角度を変え複数枚写真を撮っておきましょう。
写真があると、り災証明書の申請だけでなく、地震保険などで手続きする際にも重要な資料となります。

2)り災証明書・被災証明書の発行手続き

「り災証明書」は建物が被災したとき、「被災証明書」は建物以外で被災したときに発行されるものですが、自治体によっては全ての被災証明を「り災証明書」にしている場合もありますので、窓口で何が罹災したのかを説明して必要な証明書の手続きを行ってください。
なお、り災証明書の発行手続きについては以前触れたことがありましたので、そちらも参考にしてください。

3)り災証明書・被災証明書が必要なもの

行政などで行う各種減免手続きに必要となります。
減免手続きとは「こんな被害を受けたから○○を支払うことを減額して(免除して)」というもので、例えば「各種税金」「国民健康保険」があります。
また、災害関連の「見舞金や助成金」を受ける場合にもこの証明書が必要となります。
住宅ローンなどローン関係は、り災証明書を提出することで金融機関ほかの貸付条件が変更になる場合があるようです。
また大規模災害の指定をNHKがした場合には、このり災証明書他の書類を揃えて提出することで、受信料の減免がある場合もあるようです。
自治体以外の手続きについては、発生した災害によりその都度適用される場合とそうでない場合があるようですので詳しくはそれぞれが発信する情報を確認するしかなさそうです。

4)り災証明書・被災証明書が必要ないもの

行政への手続きではないものは殆どの場合不要です。
代表的なものが「地震保険」。これは各保険会社の規定で支払われるものなのでり災証明書があってもなくても、独自に判定が行われます。
建物だけでなく家財も対象となる場合がありますので、加入している保険会社に状況を説明し、写真や現物などで確認をしてもらうことになります。
火災保険や生命保険についても、り災証明書や被災証明書は原則として不要です。

証明書の申請は手間がかかる上に時間もかかります。
そのため、自分がなんのためにそれを取得するのかについてよく考え、優先順位をつけて手続きを行うようにしましょう。
また、り災証明書の申請受付は自治体により差はありますが受付期間が決まっています。手続きを忘れると、本来受けられるはずの行政関係の各種申請ができなくなりますので、忘れずに手続きをするようにしてください。

自分がやるべきことと他人に任せることを決めておく

 災害が発生すると、災害対応で自治体や企業は通常の仕事とは異なる仕事が極端に増えます。
 そして災害が収まると、あちこちから来てくれる応援部隊や手伝ってくれるボランティアが復旧や復興に携わってくれることになります。
 人手が増えるのはありがたいことなのですが、その時に支援を受ける側が「自分たちでないと出来ない仕事」と「任せても大丈夫な仕事」の整理をしておかないと、せっかく来てくれた人達が遊んでしまう上に自分たちの仕事は増える一方という事態になってしまいます。
 平時に仕事の整理をしておくことで、支援してくれる人達に効率よく仕事がしてもらえ、自分たちも自分たちにしか出来ない仕事に集中できるというメリットを生むことができるのです。
 仕事の整理は「災害時・災害後になにをしなくてはいけないのかという仕事の洗い出し」と「自分たちでないと出来ないこと」「自分たちがやった方が効率がいいこと」「他の人に任せても大丈夫なこと」「他の人に任せた方が効率がいいこと」にわけて考えます。
 そして、任せる部分はマニュアルを作ってそれを見ればできるようにしておくこと、そして、任せるべき相手が決まっているのならその相手を交えて事前に練習をしておいたほうがよいでしょう。
 自治体の場合だと、例えば罹災証明書はその自治体の職員でないと基本は作成ができません。また、方言の強い地域では応援部隊が電話の内容を理解できない事態も発生しうるでしょうから、それらも被災自治体職員がやったほうが効率的かもしれません。
 逆に避難所の運営や物資の備蓄と配布、資機材の手配といった部分はマニュアルの整備と手順さえ決めておけば、自分たちでやらずに誰かにお任せした方が効率がいい場合が多いです。
 企業だと、会社の根幹に関わる部分は他人任せにできないとしても、インフラの復旧やお得意様先の機材の修理や更新手続き、物資の供給などは協力関係にある他社にお願いすることはできるはずです。
 物資の備蓄や配布といった作業は、普段から作業になれている運送屋さんやホームセンター等に任せた方がうまくいくでしょうし、被災者の安否確認は地元の自治会に任せるのも手です。
 「どこでだれに何をいつ任せるのか」を決めておいてお互いに了解していると、いざ災害が発生したときにさまざまなことが自動で動くことになり、自分たちはやらないといけないことに専念できます。
 いかに自動で物事が動くのかという仕組み作りをしておくことで、さまざまな人的・物的資源を上手に使うことができるのです。
 これは個人でも同じで、被災した後一人で被災家屋を片付けるのはかなり困難ですので、知り合いやボランティアにお片付けを手伝ってもらうのに、どこまで何をお願いするのかをあらかじめ決めておくと、入ってもらったときにすぐに作業にかかることが可能になり、復旧が早く行えます。
 仕事自体を何も情報無しで「丸投げ」では困ります信用をなくします。かといって、全部抱え込んだら精神的に持ちません。
 ポイントを押さえて、任せられる部分は全て応援部隊やボランティアにお任せしてしまう。
 そのことで、いち早い復旧と精神的な落ち着きを取り戻すことが可能です。
 破滅的な大災害で無い限り支援は必ず入ってきますので、受け入れるための準備を怠りなくしておきましょう。
 また、自治体や企業の場合、支援をしてくれる相手との支援協定を結んでおくことも大切です。

おんぶと抱っことベビーカー

災害でいざ避難というとき、小さな子をどうやって移動させるかということは割と悩む部分です。
「おんぶ」「抱っこ」「ベビーカー」が3大避難方法のようですが、どれも一長一短です。
今回はおんぶとだっことベビーカーでの避難について考えてみます。

1)おんぶ

避難させるときにもっとも楽で危険が少ないのはおんぶです。
背中に背負っているので、背負っている人の重心があまり狂わず、両手も空いて素早く移動ができるからです。
ただ、最近の小さな子はおんぶされ慣れていないせいか、おんぶ紐で背負うと仰け反ってしまうようで、「避難時のおんぶは危険」としているところもあるようです。
そういえば、抱っこやベビーカーはよく見ますが、おんぶで移動している親子はあまり見なくなったような気がします。
でも、非常時におんぶができるとさまざまなメリットがあります。
食事の準備や家事をするとき、おんぶ慣れさせておくと、いざというときに役に立ちそうです。
また、背中が使えないので、非常持出用防災セットはウエストポーチやベストにセットすることになり、さほどたくさんの資材は持てないのが欠点です。

2)抱っこ

避難時には手だけで抱っこして移動すると衝撃や振動などにより子どもを落としてしまう危険性がありますので、必ず大人の身体に固定する道具を使います。
抱っこひもやスリングといったものを使って移動することになりますが、なにぶん重心が前にあるためおんぶほど軽快に動くことはできません。
また、片手は固定具を支えなければいけませんので原則両手を空けるということも無理です。
ただ、首の据わらない新生児になるべく負担を掛けずに輸送する方法はこれが一番だと思います。
また抱っこで避難する場合、非常持出用防災セットをリュックサックで背負えるのがメリットと言えます。
おんぶ慣れしている子どもが少ないことを考えると、抱っこで避難所まで移動できるような訓練をしていた方がいいかもしれません。

3)ベビーカー

一度に複数の子どもを移動させるときには、ほぼ唯一の手段がベビーカーです。
親も非常持出用防災セットを背負って移動することができ、ベビーカーによっては子どもの資材を載せることも可能です。
ただ、タイヤの半径以上の障害を越えることができないことやベビーカーを押すことで両手がふさがってしまうことが難点だといえます。
また、大量の避難民がいる都会地では、ベビーカーが邪魔者扱いされて破壊される場合も考えておかなければいけません。
避難した先ではベビーカーを子どもの居場所として使うことが出来るので、それもメリットと言えるでしょう。

小さな子どもが大勢いる保育園では輸送用のお散歩車・避難車や多人数用乳母車を使って一気に避難所まで輸送するという方法を取られることが多いですが、これらの運搬車はいずれも車輪の径が大きく少々の障害物は乗り越えられるようになっています。
どの方法も良いところ悪いところがありますので、あなたとあなたの住んでいる地域の実態にあわせて準備しておくことをお勧めします。

ゴミ問題を考える

災害が発生すると、やがて大きな問題になってくるのが「ゴミ」です。
災害の後片付けが始まると、一斉に粗大ゴミが集積場に出されます。
また、避難所など多数の人が生活する場では、一カ所で大量の生活ゴミも発生することになります。
上手に処理しないと、臭いや害虫、害獣の巣になったり処分場がなくなったりして環境が不衛生になってしまいますので、ゴミ処理についてどうするかを考えてみます。

1.粗大ゴミと生活ゴミ

災害で発生するゴミは、大きく分けると二つにわかれます。
一つは被災した建物等からだされる「粗大ゴミ」、もう一つが人が生活していく上で発生する「生活ゴミ」です。
どちらも普段から出されるものではあるのですが、災害時にはそれが極端に増えることになります。

2.粗大ゴミの処分

タンスや食器棚、テレビといった粗大ゴミは通常であればそれぞれに回収され、それぞれリサイクルや焼却処分に回されています。
ですが災害時にはその仕分けが難しいため、集積場にいろいろなものが一緒くたに出てくるのが普通です。
少し前までは集積場から直接埋立場に運び込み、すべて埋め立てゴミとして始末していましたが、支援自治体の受入体制不備や処分場のパンク、有害物質の流失という問題が発生することがありました。
そのため集積場から仮置き場へ運んで、本当に埋め立てるしかないゴミと燃やしたりリサイクルできるゴミを仕分けることで、かなりの問題を防ぐことが可能になりました。
ただ、仮置き場に一気に粗大ゴミが入ってくるので、スムーズな仕分け作業にはそれ相応の人手と時間が必要となります。
そのため、ゴミを仕分けるボランティアが募られるようになってきています。
また、生活の糧のなくなった避難者にもここで仕事をしてもらうことで、ある程度の収入を確保してもらうことも可能です。
問題としては、仕分けを行う広大な敷地が用意できるかどうかという点でしょう。

2.生活ゴミの処分

生活ゴミは普段の生活でも出てくる「暮らすために出るゴミ」です。
書類や手紙などの紙ゴミ、食事で使った弁当の空き容器や割り箸、残飯や余った食材のような生ゴミ、トイレやおむつで出された汚物などがこれにあたります。
紙ゴミは、環境的には問題がありますが、暖を取る燃料として現地で燃やすことも可能ですし、弁当の空き容器や割り箸は、供給業者に回収もお願いすれば済みます。
問題になるのは生ゴミと汚物で、これらのゴミは放っておくと悪臭を放ち、非常に不衛生になります。
そのため、廃棄するルール作りと処分するための回収計画を作っておかなくてはなりません。
廃棄するためには、面倒でも普段と同じように各自治体の回収方法に沿ってゴミを区分する必要があります。
生ゴミと汚物の取り扱い、あなたの住む自治体はどのようになっていますか?
処理方法について事前に確認しておき、きちんと回収してもらえるようにしておきましょう。
生ゴミと汚物については、二段階で処理をします。
まずは発生したら必ず新聞紙に包んでビニール袋に入れ、その口をしっかりと縛ります。そのとき、袋の中の空気をしっかり抜くと悪臭をかなり防ぐことができます。
これらのゴミは大きなゴミ袋と大きな蓋付きバケツで作られたゴミ箱に入れますが、このゴミ箱は昼夜使うので、居住区からは少し離れた、でも人目につくところに置きます。
そして、中身が一杯になったらゴミ袋の口をしっかり縛り、居住区画から離れた風下でかつ人家のない場所に作った保管場所に収めておきます。
保管場所は野生動物等に荒らされないように密閉できる容器、もしくはゴミに触れないような容器で作るようにしましょう。
そしてこららのゴミがどういうタイミングで回収されるのかを、自治体とつめておきます。
避難所以外で生活している人は、同じように仕分けしたゴミを避難所の保管場所に集めることで、回収する手間を省くことができます。

人が生きて行くには、どうしてもゴミが出来ます。
特に災害時には、衛生の問題からどうしても使い捨てのものが増え、あわせてゴミも増えることになります。
紙皿にラップをかけて使うことや、ペットボトルの再利用、ゴミの出にくい食事や災害用品をパッケージから出して備えておくことなど、なるべく災害時にゴミを出さないように考えて準備しておくことが大切です。

トイレ問題を考える

簡易トイレとトイレ用テント。あるのとないのではずいぶんと違う

食べたり飲んだりしたら、必ず起きるのが排泄です。
お腹が減ったのはなんとか我慢できますが、排泄要求を我慢することはなかなか困難です。
そして、災害が発生したときくみ取り式以外のトイレは基本的に使えないと考えてください。
小便や大便をどこへ出してどうやって処理するのかは、実は食事以上にやっかいな問題なのです。
そして、実はこの部分は過去の災害から殆ど状況が変わっていない部分でもあります。
大きな視点でこのトイレ問題をどうするのか、ということはとりあえず置いておいて、あなたの排泄について「自助」でなんとかすることを考えてみましょう。
こういう場合、トイレが使えないので、携帯式トイレかおむつを使うことになります。
あなたの手間と準備の都合でどちらを選ばれても構わないと思いますが、自分が普段1日に何回くらいトイレに行っているかを考え、携帯用トイレや紙おむつをその数×日数+αで準備しておきます。
これらの道具はあなたと品物の相性がありますので、必ず一度使ってみて、あなたに合うかを試してみてください。
施設等人が多いところでは、簡易トイレセットもありますので、そちらを準備した方が経済的かもしれません。
使用した携帯トイレを入れるゴミ袋や臭いや害虫を防ぐために蓋付きバケツもあった方が安心です。
臭いを防ぐ加工のされた袋もありますし、それらを上手に使って避難した先の自分の環境が衛生的であるようにしましょう。
また、手元にありそうなもので作る簡易トイレがありますので、その作り方を載せてみたいと思います。

■簡易トイレの作り方

用意するもの
1.大きめのレジ袋(15号くらい)
2.新聞紙2ページ
3.猫のトイレ用砂(あれば)

■作り方

材料はレジ袋(15号・普通もらえる一番大きなやつ)と新聞紙2ページ

2.レジ袋を拡げて上半分を外側に折り曲げ、箱状にして、中にくしゃくしゃにしてちぎった新聞紙を入れる
3.便座にセットして用を足します。
4.用足しが終わったら、猫の砂を加えてレジ袋を取り出し、口を堅く縛って汚物用のゴミ袋へ。

もしも手元に高分子吸収体があれば、小便の時には新聞紙の代わりにそれを使ってもいいと思います。
吸水力は当然新聞紙以上ですから、使い勝手は非常にいいです。
ただし、大便の時は大便が見えなくなる新聞紙の方が相性が良さそうです。
他にもいろいろな方法があると思います。
その時にあるもので、いかに快適に排泄をするか。
平時からいろいろ考えておいた方がよさそうです。