去る10月17日、益田市高津町の生協益田支所様にて、おたがいさま益田様の防災研修会の講師をさせていただきました。
テーマは災害から命を守るにはということで、ハザードマップと防災と聞いて思いつくアイテムを一つご持参いただき、それについて参加者同士で話をしてもらいました。
また、実際の音声を聞きながらの避難訓練や、非常時に使われる警報音を聞いていただいたりと、盛りだくさんの内容でやらせていただきました。
ただ、研修よりも展示物のほうが興味をもっていただけたようで、展示していた簡易トイレやエマージェンシーシート、非常用のアイテムの入ったボトルなどをについてあれこれとご質問をいただきました。
次回があれば、今度はそういったアイテム類の見方や使い方、準備などについてやってみるのも面白そうだなと思いました。
今回お声がけいただきましたおたがいさま益田様、そしてご参加いただきました皆様にこころから感謝いたします。
諸般の事情で写真がありませんので、記事にて報告させていただきます。
カテゴリー: 行動
避難ピクニックのススメ
秋晴れの良い天気のお休みのときには、ご家族でお弁当を持って近くの避難所までお出かけしてみませんか。
実際に歩いてみることで、さまざまな気づきがありますし、思ってもみなかった発見があることもあります。
もしも避難所がすぐ近くにあるのなら、その避難所が使えなかった場合を想定して、近くの他の避難所におでかけしてみましょう。
お弁当を持って歩いて避難所まで行き、避難所またはその近くの気持ちのいい場所で家族でちょっとしたピクニックを楽しむと考えれば、案外と面倒くさくはないものです。
災害対策は命を守るために行うものですが、かといってそればかりで生真面目にやるだけでは、そのうちに飽きてしまいますが、なにか楽しいことにくっつけて、ちょっとした訓練をしてみると、本番でも絶対に役に立ちますよ。
ちなみに、車でないと避難所までいけない人は、自分の近くにある安全な場所を探してみるといいと思います。
涼しくなって、日中の日差しはしっかりと残っているこの時期に、しっかりとおでかけしてみてくださいね。
事業継続化計画を行動に落とし込む
さまざまな企業や団体で、現在一通りできたといわれているのが事業継続化計画、いわゆるBCPと呼ばれるものです。
ただ、このBCP、綿密に作りすぎていて一つ状況が変わるとまったく対応できないようなものから、全て管理者に判断を丸投げしている計画と呼べないようなものまでさまざまで、いざというときに本当に大丈夫かなと思うことがよくあります。
「うちはきちんとした計画を作ってるから」というところのBCPを見せてもらうこともたまにありますが、一度作った計画を見直しも確認も訓練もせずにそのまま棚に飾ってあるようなものが多いです。さらには、困ったことにそのBCPを職員や従業員の方が存在すら知らないということも非常に多くあります。
本来、BCPは各種訓練を行う毎に進化を続けていくものです。そして、その内容が訓練の基本となるため、職員や従業員が存在を知らないということは、そもそもあってはならないことなのですが、BCPと訓練が切り離されているとこういったことが起こります。
もっとも、BCPが訓練にきちんと取り入れられているところは筆者の知る限りでもあまり多くはありません。
多くは火災や災害からの避難訓練くらいで、安否確認や復旧訓練まではやっていないと思います。火災や災害からの避難訓練だと、何をすればいいのかわかっていますし、確認や講評は近くの消防署にお願いできるので、大した手間が必要なく、手直しもしなくていいのでお手軽なのだと思います。
でも、せっかくBCPを作っているのであれば、それを基本にした訓練計画をぜひ一度作ってみてください。訓練時にはBCP担当だけでなく、BCPを読み込んだ人何人かが訓練をみてどう思ったかを講評すれば、次の訓練でそれがきちんと反映できます。
それを続けていれば、実際に必要なものやできるできないがよくわかりますし、事業を継続するためにはどうすればいいかを考え直すきっかけにもなります。
いざというときに廃業しなくてもすむようにきちんと整備し、使えるものを策定しておいてください。
予知と対策と備え
南海地震、東南海地震については毎日誰かが数日以内に起こりますとか、〇日が危ないとかいった情報をyoutubeなどでよく見ます。
いろいろなもっともらしい根拠は書かれていますが、結果だけ見たら今のところみんなはずれてます。
もっとも、どれか一つが当たれば、「大地震を的中させた!」などと言って、それまでの外れはきれいに忘れられてもてはやされるのだと思いますが、この予知は何のためにするのでしょうか。
たぶん、「〇日に地震が起きるからちゃんと準備をしておけ」というのがスタートだと思うのですが、こういった予知に興味がある方に限って、なぜか本当に起きた時に備えた準備ができていないような気がするのは、筆者の気のせいでしょうか。
地震予知は難しくても対策と備えは誰にでもできますし、また、起きた時にはあなたの身の安全をある程度保証してくれるものでもあります。
いつ起きるかはわからなくても、いつかは必ず起きるのがこの南海地震、東南海地震です。
対策を備えをしっかりとしたうえで、予知が当たるかどうかを楽しんでもらえたらと思います。
睡眠をしっかりとれる準備をしておこう
最近の市販品の非常用持ち出し袋には、かなりの高確率で寝るときに使用するエアマットが入っています。
これは避難所または避難場所で睡眠をとる必要がある時に床との間に空気による層を作ることで、寝る姿勢を楽にすると同時に床からの冷気を防ぐ断熱と、床に舞っているほこりを吸い込む確立を少しだけ減らせるという効果があります。
ただ、これだけでは快適な睡眠には程遠く、寝袋や毛布、あるいは布団など自分がしっかりと眠ることのできるための道具を追加しておく必要があります。
一日だけならエマージェンシーシートでもなんとかなりますが、やはり専用に作られた寝具にはかないませんので、できるだけ快適に過ごすためにもしっかりとした準備をしておきましょう。
また、避難所では防犯上夜間も照明がついているので非常にまぶしいですし、周囲の知らない人のさまざまな生活音が聞こえると寝にくいところがあります。
そこで、アイマスクや耳栓などを準備しておくと、寝るときにある程度の快適さは担保されると思います。
余裕があるなら、自立型のテントを持参しておくと、場合によってはテントを展開して中で寝ることもできるのでさらに快適になります。
非常時において、給水、食事、排せつと並んで睡眠は自分の体調を保持するために非常に重要なものです。
平時に、どんな道具なら自分が快適に寝られるのかを調べておいて、非常時に備えて準備をしておいてくださいね。
トイレは我慢しない
人間の三大欲求として「食欲」「性欲」「睡眠欲」があるそうですが、排せつしたいという要求はひょっとしたら、この三大欲求よりも強いのではないかと思うことがあります。
排せつしないという選択肢は存在しないので、トイレは絶対に必要なのですが、実はあまり重要視されていないのかなと思うことがあります。
最近でこそトイレトレーラーの配備が自治体で始まっていますが、自治体はまだまだトイレ問題には取り組む気がないように見受けられます。
でも、トイレは我慢できません。というよりも、トイレは絶対に我慢してはいけません。
体から不要なものを外に出す作業が排せつですので、これを我慢すると体調不良を簡単に引き起こします。
また、避難所など人がたくさんいる場所でその辺にしようものなら、汚物と臭いで大惨事になることは間違いありません。
災害が起きてから仮設トイレが来るまでの間、トイレをどうするかという問題は真剣に考えておく必要があることだと思います。
最近は携帯トイレや簡易トイレにもさまざまなものがありますが、自分が使いやすいものを用意しておきましょう。
そして、できれば便座を使わなくても済むタイプの簡易トイレを準備しておくといいと思います。
というのも、トイレの便座を利用した簡易トイレはたくさん出ていますが、トイレが被災しないとは言えないからです。
トイレが被災すると便座が使えませんから、せっかく準備した簡易トイレが使えないという事態になります。
それに備えて、座る場所付きの簡易トイレを準備しておいてほしいのです。
もちろん避難所にそういった準備があるなら、便座を使うタイプの簡易トイレで問題ありませんので安心して使うこともできると思います。
災害時にはさまざまな問題が起きますが、自分が無事だった場合に最初に直面するのがこのトイレの問題です。
水や食料だけでなく、携帯トイレや簡易トイレについても、3日~1週間程度の準備をしておいて、できるだけトイレの質も落とさないようにしたい
一番長くいる場所の安全を確保する
どんな人もそれぞれに自分が一番長く過ごす場所というのがあると思います。
長くいるということは、そこで過ごす時間が当然長いわけで、そこで被災する可能性が高いと考えていいと思います。
そのため、まず最初に長くいる場所の安全を確保するようにしてください。
例えば、自分がその場所で普段いる姿勢より背の高い家具を置かないとかその姿勢よりも高い場所に重量物を置かない、背の高い家具や重量物を置くならしっかりと固定することが要求されます。
多くの人は寝室で寝ている間が一番長くその場所で過ごすことになると思いますので、寝る場所にはものをなるべくおかないのが基本と考えてください。
そして、できればドアはスライド式または外開きにして扉の外側にはものを置かないこと。
窓は飛散防止フィルムを貼り、厚手で長めのカーテンまたはブラインドをかけておく。照明は天井に直付けするか、あるいは壁の間接照明とする。
これだけでかなりの安全度が確保できます。
難しいようにも見えますが、やってみると割と簡単にできます。
もう少しすると大掃除を始めるご家庭も多いと思いますので、そのときお掃除と一緒にお部屋の安全確保もしてみてください。
【終了しました】第2回「はじめての防災キャンプ」を開催します
2022年11月5日から6日に、島根県益田市の北仙道公民館で「初めての防災キャンプ」を開催します。
これは実際に体育館で宿泊をして、避難生活で起きそうなさまざまな出来事を体験したり、防災活動を学んだり、近くを散策して自然観察をしたりするもので、8月に開催した第1回は参加者に好評をいただきました。
新型コロナウイルス感染症の蔓延で参加できなかった方や参加した方から「次回はいつやるの?」というお問い合わせをいろいろといただきましたので、冬に向けて第2回を開催することとしました。
対象は小学生、中学生で、地域は限定しません。
先着15名となっておりますので、興味のある方のご参加をお待ちしております。
また、当日のお手伝いをしてくださるボランティアも募集しています。
短時間でも手伝ってくださる方がおられれば、事務局までご連絡いただければと思います。
どこに避難しているのかを知る
あなたは津波などで避難が必要な状況になったとき、自分がどこへ避難すればいいのかを知っていますか。
また、ご家族がどこへ避難するのかを知っていますか。
学校や施設などにいるとき、そこからどこへ避難しているのかについては、案外と知られていないことが多いですので、どこに避難するのかをしっかりと確認しておきましょう。
できれば避難経路もあわせて確認しておくといいと思います。
どのような判断でどこへどんな経路で避難しているのかを知っていると、いざというときにもある程度どこにいるのかが予測がつきます。
そして、探しに行ったり迎えに行ったりするときにも迷わなくて済みます。
また、自分の子供が遊んでいるときに避難すべき状況が起きた時にはどこへ避難すれば安全なのかを、子供と一緒に現地で確認しておくと安心です。
誰がどこにいてどうなっているのかがわからないことは、人の心に不安を招きます。
その結果、その不安を解消するために助けに出かけて遭難するというケースは過去の災害でもたくさん起きています。
いざというときに誰はどこに避難しているのかを事前に知っていることで、そういった不安を排除することができますから、お互いにどのような行動をするのかについて、しっかりと話をしておくようにしてください。
自分で判断する基準を作る
災害後の避難行動というのは基本的には自己責任です。
状況を判断し、そこから避難する必要があれば誰が何と言おうと避難する。
自分の命は他人に預けないことが非常に大切です。
ただ、学校に関して言えば、なぜか「先生の言うことに従いなさい」という風に教えています。前提としては、日常で教員の判断が常に正しいという認識が多くの人にあるからではないかと思うのですが、これは非常に危険なことで、指導者が誤った判断をした場合には全滅してしまう愚かな事態を招きます。
はっきりと書きますが、現在学校がやっているような定型の訓練のための訓練では、本番で迅速な避難が必要な場合何の役にも立ちません。
正直なところ、大人よりもよほど子供の判断のほうが正しいということは、「釜石の奇跡」と呼ばれる子供たちの行動と教員の判断の遅れで発生した「大川小学校の悲劇」ではっきりと証明されています。
災害について、先生が一番怖さを知らないのかもしれないと思うこともありますが、せっかく避難訓練するのであれば、迅速に安全と判断する場所まで自分の判断で避難するものにしてほしいです。
もしもそうしていれば大川小学校の悲劇は防げたのではないかと思います。
地震と津波の組み合わせによる災害は正確な判断よりも迅速な行動が要求されます。
迅速な行動をするためには、子供たちが各自で判断して避難行動をとることが大切ですので、整列や点呼を徹底するよりも、避難行動を開始するための判断基準を作ることを徹底したほうがいいと思います。
現在の訓練のための訓練を是とする限りは、予定調和を乱すような自己判断の訓練は永遠に認められないとは思うのですが。