【活動報告】高津小学校の防災クラブを開催しました

「階段で地震が起きたらどうするか?」を本人たちで考えて身を守るポーズをしてもらった。考えて動いてみることがとても大切。

 2022年11月30日に益田市立高津小学校で11月の防災クラブを開催しました。
 この防災クラブは学校のクラブ活動の一つとして取り入れてもらっているものですが、今回は校内に設けられたチェックポイントに準備された問題を解いたり、演習をしたりしてもらう「校内オリエンテーリング」を開催しました。
 去年のチェックポイントは問題だけだったのですが、こちらの想定よりも相当早く帰ってきてしまって時間が余ってしまったという経験から、今回は消火器の使い方や胸骨圧迫を交代で2分行うこと、そして階段で地震に遭遇した時の防御法について実際に動いてみてもらいました。
 結果としてはかなり楽しんでもらえたようですが、このオリエンテーリングは当日の準備が大変なので、いかに当日の手間を減らすかがこれからの課題となりそうです。
 今回参加してくれた子どもたち、快く支援してくれた先生方、そして毎回手伝ってくれるスタッフの皆様に感謝します。

あるものでなんとかするには

ゴミ袋と養生テープで防寒着を作る。ここまで本格的である必要はないが、やってみると結構楽しい。

 災害が起きた後は、とりあえずあるものでなんとかするしかありません。
 ですが、あるものでなんとかするには、あるものの活用法を知っておかないとなんとかすることができません。
 一番いいのはあるものでなんとかする羽目にならないような準備がされていることなのですが、なかなかそこまで準備のできている人は少ないような気がしています。
 あるものでなんとかするためには、その場にないが必要になったものの特徴を考えてみる必要があります。
 その特徴を満たすような代替品を探すと、案外となんとかなったりします。
 例えば、座布団で考えてみます。
 座布団の機能は床の固さの緩和、床の冷気の遮断といったところになると思います。
 そうすると、その場にビニール袋と新聞紙があれば新聞紙をくしゃくしゃにしてビニール袋の中に入れれば、とりあえずの代替品になるかもしれません。
 大き目のボールがあれば、その空気を抜くことで代替品ができるかもしれません。
 緩衝材があれば、袋にいれれば手軽に座布団ができるでしょう。
 こんな風に、機能を考えることで代替品を用意できることがあります。
 もちろん代替品の候補がどんな機能を持っているのかを知っていないとそもそもどうにもならないので、いろいろなアイテムの機能や特徴を調べて知っておくといいと思います。
 例えば、極端な例ですが、穴が開いているからと言ってちくわをストローの代わりにすると、ちくわストローを使って飲んだ飲み物はみんな魚の味に染まってしまいます。
 つまり、素材の特徴も知っておかないといけないということです。
 あるものでなんとかすることは、ないに越したことはありません。
 あくまでも代替品を作ることができるという前提で、必要なものの準備を怠らないようにしてください。

自助と共助と公助の関係性

 最近の災害対策で言われているのが「自助」「共助」「公助」です。
 考え方はいろいろとあるのですが、災害時には「自助」→「共助」→「公助」の順番に自分の身を守る対策が行われることから、一番最初に来るのが自助となります。
 では、普段はどうでしょうか。
 「自助」だから自分で、と言われても、何から手を付けたらいいのか、災害対策に興味のある人でもない限りはわからないとなると、自助は全く進みません。
 そのために「共助」としての自主防災組織づくりが言われているわけですが、これもコロナ過で地域のつながりが薄れてしまったことや高齢化などでうまくいかないという現実があります。
 また、自主防災組織単独で研修や講習をするのは難しいかもしれません。
 そこで「公助」の出番となります。
 さまざまな研修や呼びかけ、訓練開催などを通じて何をしたらいいのか、何から手を付けるべきなのかを明確化し、実行するための後押しをします。
 例えばその相手が自主防災組織だったり、地域だったり、個人だったりするわけですが、誰が何をすべきなのか、どのようにすればいいのかについての交通整理も公助の仕事かもしれません。
 災害対策は、平時には「公助」→「共助」→「自助」という、災害時とは逆の動きをする必要があるのです。
 「公助」を行政単独でするのが難しいなら、消防や社会福祉協議会、当研究所も含む災害対策のNPO等に支援を要請してもいいと思います。
 大切なのは災害対策に対する備えや心構えなどがきちんとすべての人に伝わることです。
 理想論かもしれませんが、最初はできることが小さくても、さまざまな災害対策を見たり訓練したりすることでできることが増え、結果として地域の防災力の向上につながっていくと思います。
 災害対策は発災前と発災後では「自助」「共助」「公助」の矢印が変わると考えると、案外と関係性がわかりやすくなるような気がするのですが、あなたはどう思いますか。

あなたは地図が読めますか

普段住んでいるところでも案外とわからないところがある。写真は防災マップを作る一シーン。

非常用持ち出し袋のアイテム類の一覧を見ると、多くのものに「地図」が入っています。
田舎に住んでいる人にはピンとこないアイテムなのですが、普段公共交通機関で移動している人の場合には、いざ歩いてときに道がわからないという大問題があるため、地図が必要だと考えられているのです。
ただ、この地図にもさまざまなものがあり、それぞれに特徴があります。
どのような地図を準備してもいいのですが、その地図がきちんと読めないと何の役にも立ちませんので、せっかく地図を準備するのであれば、その地図に書かれているものがどのようなものを意味するのかをきちんと理解しておきましょう。
例えば、自分のいる現在位置がわからないとそもそも地図が使えません。
また、場所がわかっていたとしても、自分がどの方向に向けて移動すればいいのかが理解できていなければ、全く違った方向に移動してしまうことになります。
最近都会地では「避難用マップ」というような名称で徒歩避難者向けの地図も販売されているようですが、地図を用意するのであれば、方位磁針もセットで準備したほうがいいと考えます。
例えば、日本で作られて日本で使う地図の場合には、基本的に上側が北になっているはずです。そうでない場合には地図面のどこかに方位が記載されていますので、それを確認してください。
では、方位磁針がない状態で自分がいま見ている方向を当ててみてください。
次に、30分ほどその地図で歩いてみて、今見ている方向が東西南北のどの方向なのか、もう一度当ててみてください。
結構な確率で方向がわからなくなっていると思います。
平時にはさまざまな目標や目印があって移動もわかりやすいですが、災害時にはそれらが燃えたり崩れたりしてわからなくなるかもしれません。
地図を準備するなら、方位磁針も併せて準備し、そのうえでそれを読み取ることが可能な程度には見慣れておく必要があります。
現在はスマホやカーナビが充実しているため、地図を見ることはあまりないと思います。
地図は普段から見慣れていないと内容を読み取ることは難しいですので、特に長距離を公共交通機関で通勤・通学している人は機会を作って地図と方位磁針に慣れるようにしておいてください。

【活動報告】防災講習会で非常用持ち出しについての講師をしました

 去る11月19日、益田市の市民学習センターで開催された南町自治会様・同自主防災組織様の防災講習会の一コマで非常用持ち出しについて講師をしました。
 災害時、自分の避難が完了してから支援物資が届きだすまでは自分の持ち込んだ非常用持ち出し品を使ってしのがなければなりません。
 その際にどのようなものを用意しておくのかやちょっとしたコツなどについてお話をしました。
 皆さん熱心に聞いていただき、こちらの説明がいざというときに備えた非常用持ち出しを上手に作るための参考になるとよいなと思います。
 お声がけくださった南町自治会の皆様にこころからお礼申し上げます。
 なお、当日カメラを忘れて写真がありませんことをご了承ください。

逃げるべきか留まるべきか

当研究所のある益田市市街地のハザードマップ。あなたのおうちは避難が必要ですか?

 避難という言葉を調べてみると、「災難を避けてその場から立ち退くこと」といった意味になるそうです。
 防災対策でよく使われるこの避難という言葉ですが、その中身を見ると「垂直避難」「水平避難」「その場で待機」という大きく3つに分けられています。
 「水平避難」は言葉の意味のとおり、災害が発生するであろう場所から災害が起きない場所への水平移動のことを指します。
 「その場で待機」は、そもそも避難の必要がない場合に使われるもので、自宅待機ともいわれます。
 そして、「垂直避難」は、「その場にいるが、なるべく高いところへ移動する」ということで使われています。


 確かにその場から移動はしているのですが、危険地帯から移動しているわけではないので、避難に該当するかどうかは正直疑問ですが、それでも例えば1階にいたら間違いなく溺れてしまうような場所の場合には、2階以上の場所へ逃げるのは一つの考え方なのかなと思います。
 ただ、垂直避難には限界があります。都会の何十階建ての建物ならともかく、田舎の一戸建てだとせいぜいあっても3階くらいまで。そんな場所で垂直避難することは、果たして正しいのだろうかとも考えてしまいます。
 自分が垂直避難でもなんとかなりそうかどうかは、お住いの場所のハザードマップを確認して判断するしかありません。ハザードマップを100%信用することは危険ですが、それでも一つの判断基準にはなります。
 さまざまな条件でそこから遠方へ逃げられない人や、逃げ損ねた場合には、上層階に逃げることで命をつなげるかもしれません。
 基本は水平避難ですが、もしも垂直避難になった場合に備えて、どのような条件だと危険なのかについて確認しておくことをお勧めします。

使うか使わないか、使えるかどうか

子供用非常用持ち出し袋の一例。必要なものは入っているが、個人装備としたら足りないものがたくさんある。市販品も自分にあわせたカスタマイズが必要。

 非常用持ち出し袋のことは防災の話をするときには必ず出てくるものですが、あなたは準備をしていますか。
 市販品もさまざまな種類や内容で作られていて、それさえ備えれば準備ができたような感じがして安心できます。
 もちろん、一つ一つ自分が吟味したアイテムで作る非常用持ち出し袋なら、何が入っているのかが把握できているので安心できます。
 ただ、どちらにしても大切なことが一つ。
 それは「そのアイテムはちゃんと使えますか」ということです。
 非常用持ち出し袋ではさまざまな便利アイテムが入れられていますが、多機能すぎてどうやって使うのかわからないものや、それなんで入ってるのといったものがセットされていることがあります。
 非常用持ち出し袋の一覧表には、基本的にそのアイテムをどうやって使うのかまでは書かれていないことが多いので悩んでしまうこともあるのですが、自分が使いかたのわからないアイテムは使わないと考えてください。また、居住環境によって備えないといけないアイテムもさまざまに変わっていきます。
 市販品であれ、オーダーメイドであれ、非常用持ち出し袋を作る時にはそれがどんな時にどんな使い方をするものなのかをきちんと確認して、自分が納得してからアイテムに加えるようにしてください

できることとできないことを見極める

できることを増やすのも一つの方法。小さい子でも、理解できていればたき火を安全に使うことはできる。

 災害が起きたとき、絶対にやってはいけないことが「無理をする」ということです。
 「非常時だから」といって人に頼ってはいけないと思ってしまうのは非常に危険です。非常時だからこそ、自分にできることをしっかりと見極めて、できない部分をできる人に助けてもらうということが必要なのです。
 誰しも得意なこと不得意なことがあり、できることできないことがあります。自分ができないことは助けてもらい、自分ができることで誰かを助ければいいのです。
 例えば、自主防災組織というのがありますが、筆者はこれができる範囲でお互いを助け合うために作られたものだと考えています。
 だから、何でもかんでも自主防災組織にやらせるのは間違っていると思っていますし、現在自主防災組織で機能不全を起こしているところが多い理由も、その辺にあるのではないかと思っています。
 できることとできないことの見極めとお互いに助け合うという前提。
 これが災害時には普段以上に必要となると思っています。

【活動報告】「はじめての防災キャンプ冬の陣」を開催しました

去る11月5日から6日にかけて、益田市北仙道公民館において「はじめての防災キャンプ冬の陣」を開催しました。
今回は13名の子供たちが参加してくれ、一泊二日で疑似避難所での避難体験をしました。
当日の夜はかなり冷え込み、子供たちもなかなか眠れなかったようですが、それでも最後まで元気いっぱいにさまざまな企画に挑戦していました。
「またやってほしい」というご意見をいただきましたので、春になったらまた企画してみたいと考えていますので、興味のある方はご参加ください。
今回参加してくれた子どもたち、参加を許可してくださった保護者の皆様、忙しい中を手伝ってくれたスタッフの皆さん、北仙道公民館様をはじめ、さまざまな形で支援してくれた皆様にこころから感謝します。
本当にありがとうございました。

11月5日は世界津波の日です

 11月5日は「世界津波の日」に指定されています。
 2015年の国連総会で決定されたそうですが、この日は1854年の安政南海地震(M8.4)とそれに伴う大津波が紀伊半島を襲った日です。
 収穫したばかりの「稲むら」に火を放ち、村人達を高台に導いて多くの命を救ったという「稲むらの火」という逸話もこのときに誕生したのですが、この出来事に因み、11月5日を「津波防災の日」として選んだとのこと。
 日本では「津波」という言葉でほとんどの人が何が起きるのかをイメージできると思いますが、海外でもかなりの地域で「TSUNAMI」とよばれる自然現象になっています。
 ちなみに、太平洋地域で大きな地震が起きた時にニュースなどに登場する、ハワイにある太平洋津波警報センターの名称も「 Pacific Tsunami Warning Center(略称:PTWC)」となっていてやっぱり「津波」が正式名称になっています。
 ともあれ、あなたがお住いの場所がもしも海や沿岸部にちかい川に面しているようであれば、津波の影響はあるかもしれません。
 万が一に備えて、津波が起きた時にはどこへ逃げるのかについて、考え、そして実際に避難訓練もしてみてくださいね。

津波防災特別サイト(内閣府防災のウェブサイトへ移動します)