被災して困ることはいろいろとありますが、どうにも我慢できないのは排泄とのどの渇きです。
排泄は最悪その辺の陰で失礼することができるとしても、のどの渇きはどうにもなりません。
特に保水力のない子どもとお年寄りに関して言えば、水の切れ目が生命の切れ目になってしまう可能性もあります。
対策としては、普段持ち歩くカバンの中に水筒や水のペットボトルを入れて持ち歩くことくらいしかないと思います。
そんなにびっくりする量でなくても構いません。自分が持てる範囲の重さの水でいいので、できる限り持ち歩く習慣をつけておくようにしておきましょう。
無理に長期保存水やペットボトルを買って持つ必要はありません。空きペットボトルに水をいっぱいまで詰めておくと、2~3日はきれいな状態で飲むことができますから、こまめに入れ替えることでお財布にもやさしい災害対策になると思います。
あめ玉や梅干しなどの酸っぱいものを持って歩くのもいいと思いますが、脱水症を防ぐためにも、自分の呑む水は準備しておきましょう。
余談ですが、準備した水を災害で使うときには、一気に飲むとすぐに水がなくなってしまいます。
45分から1時間ごとにキャップ一杯程度を飲むようにして、脱水症状になる前に水を補給しましょう。
また、少量の水でも定期的に摂取するとある程度は感染症を防ぐことも可能という話もあります。
お出かけの際にはカバンに水を持って歩くことを、生活習慣にできるようにしたいですね。
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初期消火と消火器
大規模な火災があちこちで起きています。
被災された方にお見舞い申し上げるとともに、いち早い生活の再建ができることを願っております。
ところで、あなたの家には消火器が準備されていますか。
また、その消火器はきちんと管理されていますか。
そして、その消火器を正しく使うことができますか。
大きな被害を与える大規模火災も、最初から大規模なわけではありません。
最初はみんな小さな火で、それがさまざまな要因によって大きくなり、あちこちに類焼して大規模火災となります。
つまり、小さな火のうちに消火することができるのであれば、大規模火災にはならないということで、消火器はそのための重要なアイテムとなります。
消火器の使い方については以前触れたことがありますが、最近の家庭用消火器は能力が上がっていますので、使い方さえ間違いなければ、ある程度までの火ならば消すことが可能な能力も持っています。
ただ、気をつけておかないといけないのは、使用期限が切れていること。
家庭用消火器ではよくあることですが、高圧ガスを使って消化剤を噴霧する構造上、使用期限が切れた消火器は危険ですので、期限を見て更新をしていく必要があります。
消火器の維持管理と使い方の習熟。
これができれば大規模火災の発生を減らすことが可能です。
また、あなたの周りで火災が起きたとき、周囲への延焼を防ぐことができるかもしれません。
あくまでも消火器で消せるサイズの火ということになりますが、まずは家庭に消火器を備え付けることと、機会を見つけて消防署などが開催する消火訓練や防災センターで行われている消火訓練などで使い方の習熟を図って下さい。
そうすることで、あなたの命も財産も、守れる確率があがります。
地味なアイテムですが、ご家庭に最低一本、備えておくようにしたいですね。
日常と非日常の境界線
普段の生活である日常と災害などが発生しそう、または発生した際の非日常の境界線はどこにあるのでしょうか。
妙に哲学的な話になりますが、日常と非日常を切り替えるための境界線を決めておくことが災害対応の鍵となります。
いきなり来る地震はともかく、その他の災害については何らかの事前の予兆がありますから、その予兆のどこで非日常に切り替えるのかを決めておくことで、行動の遅れを防ぐことができます。
そして、決めたらその境界線をとりあえず愚直に守ってみること。
災害では、ほんの数分の判断の遅れが致命的な事態を招くことが多々あります。
「まだ大丈夫」や「とりあえず様子を見る」といった判断は、非日常になったと判断する基準を超えたら考えず、まずは事前に決めておいた行動を取ることです。
修正や反省や改善は災害が終わった後でも充分な時間をとることができます。
行動を取って状況が終了してから、あらためて非日常に切り替わる条件を見直せばいいだけの話。
普段から緊張していても身体が持ちませんし、非常時に日常を押し通そうとすると危険です。
日常と非日常との境界線を決めておくことは、災害対策の基本の一つだと思います。
普段使う道の安全点検
新学期になり、入学式もあり、さまざまなところで生活環境が変わっている方も多いと思います。
住むところや通勤・通学路が変わった方もいるのではないでしょうか。
せっかくなので、散歩や周辺の調査も兼ねて、お住まいの地域や通勤・通学路の安全点検をしておくことをお勧めします。
普段はあまり意識しない道路ですが、よく見ると同じ道路でも安全な場所危険な場所があることに気づくと思います。
危険な場所は誰でも気づくと思いますが、身を寄せることのできる安全な場所は、点検のときでも案外と見落としていたりするものです。
安全点検では、危険な場所、安全な場所、そして役に立ちそうなものを見つけて確認していきます。いざというときにいきなり安全な場所や役に立ちそうなものを見つけるのは難しいですから、最初にしっかりと調べておいて、いざというときに備えておきたいものです。
また、もしお子様がいらっしゃるのであれば、ぜひ一緒に通学路の点検をしておいてください。そうすることで、安全や危険について同じ目線を持つことができます。
災害が起きたとき、どこでどうやり過ごし、どこで合流するのか。
常に大人の目があるとは限りませんし、周囲の大人が正しい判断をするとも限りません。
どんなに小さくても、自分の判断で自分の命をしっかりと守れるように、しっかりと安全点検をしておいて欲しいと思います。
在宅避難のメリットデメリット
新型コロナウイルス感染症対策で元々存在していた避難所の問題がクローズアップされるようになってきました。
元々、行政の設定する避難所の収容人数はかなり無理のある数字があげられていたのですが、新型コロナウイルス感染症対策でパーソナルスペースを確保しなければならなくなった結果、本来の収容予定人数の半分以下、ひどいところになると当初計画の10%程度しか収容できない避難所も発生しています。
そして、現在推奨されているのが在宅避難。
避難所ではなく、できるだけ自宅で過ごせるように手を打っておきましょうという方向へ方針転換をしています。
「在宅避難」とは文字通り災害後も家で過ごすということなのですが、避難していないというといろいろなところに問題が発生するため、在宅避難と定義しています。
在宅避難では、避難所と比べて次のようなメリットデメリットがあります。
1.在宅避難のメリット
メリットで最も大きいのが、生活空間を従来通り維持できるということです。
被災前も住んでいた家をそのまま使うのですから、自分の生活空間は今まで通り。プライバシーも守れて他人に気を遣う必要もありませんからストレスは少なくてすみます。又、感染症に対するリスクも低くて済みます。乳幼児や高齢者、障害者で支援の必要な人やペットのいるご家庭では、基本的にこちらを選択できるような状況を整えておくと慌てなくてすむと思います。
2.在宅避難のデメリット
在宅避難のデメリットは、避難所への避難に比べると支援情報が入りにくくなることです。
現在のさまざまな災害支援体制は避難者支援に重点が置かれているので、在宅避難者への情報提供はどうしても遅れ気味になります。
そして、支援物資が提供されにくいという問題もあります。
在宅避難者だろうが避難所避難者だろうが、被災者には変わりないので支援物資についてはきちんと提供する義務があるのですが、集積基地となっている指定避難所の運営者がそのことを理解していないケースが割とあって、在宅避難者が支援物資の提供が受けられないということが起こっています。
それから、周囲が避難所避難を選択した場合、さまざまなことを気軽に相談できる相手がいないという事態が想定されますので、避難先などをあらかじめ聞いておくようにしておくと安心です。
全ての災害に対して安全な家や環境にお住まいなら在宅避難で問題ないのですが、そうでない場合には、避難すべき災害と避難しなくてもいい災害とを知っておく必要があります。
ハザードマップや過去の被災事例を確認し、お住まいの家や建物の状況を確認して、想定をしておくようにしてください。
災害が起こりにくい時期だからこそ、しっかりと確認して備えておきたいですね。
【お知らせ】環境省から「人とペットの災害対策ガイドライン 災害への備えチェックリスト」が出されました
災害時における人とペットの問題はいろいろとあり、実際のところ誰が何をどうすればいいのかが未だにはっきりとされていないというのが現状です。
そんな中、動物愛護管理法を所管する環境省から「人とペットの災害対策ガイドライン 災害への備えチェックリスト」が発表されました。
内容は、同行避難してきた人とペットを受け入れる側がどのように対応したら良いのかについて、さまざまな検証とチェックリストが掲載されています。
また、中にペットを飼っている人が事前に行っておいたほうがよい対応準備についてもチェックリストが作成されていて、事前準備の一つの目安になると思います。
ペットにも犬や猫だけでなくさまざまな種類があって、そのペットごとに取り扱いが変わりますので、避難所を設置する側はそのことも頭に入れた上で避難所運営を考えていかなくてはいけません。ここに掲載されている図上訓練の様子などは役にたつのではないかと思います。
屋内での愛玩動物が増えている現在、どのような動物がいつ誰とどうやって避難してくるのかはその時になってみないとわからないかもしれません。
ただ、いざというときに備えて、さまざまな準備はしておいた方がいいと思います。
ペットを飼っている人や避難所を運営する立場の人は、とりあえず一読しておくことをお勧めします。
「人とペットの再議対策ガイドライン 災害への備えチェックリスト」(環境省のウェブサイトへ移動します)
ラジオを使いこなせるか
災害時に情報収集で役に立つのはラジオだということで、非常用持ち出し袋には携帯ラジオを入れることが必須になっているようです。
さまざまなメディアでもそのような動きなのですが、あなたのお住まいの地域ではAM・FMが聞き取れる感度で受信ができているでしょうか。
都会地ならともかく、田舎ではAM・FMラジオ波の不感地帯というのが案外と多いもので、住まいの地域が不感地帯なら、ラジオの優先度はかなり低くなります。
非常用持ち出し袋にラジオを入れる前に、どの程度受信できるのかを知っておいた方がいいと思います。
また、手動発電機付きのラジオも多く発売されていますが、そのラジオの内蔵蓄電池の充電時間と受信可能時間を確認していますか。
通常乾電池駆動が前提となっている携帯ラジオの場合、ものによっては手動発電機を動かしていないと受信できないものも存在します。
ついでに書いておくと、携帯電話等への充電機能付きの手動発電機付きラジオもありますが、充電機能の出力は何アンペアですか。
携帯電話やスマートフォンでは、充電するために必要な最低限のアンペア数が決まっていますので、それ以下だと充電の役に立ちません。
最後に、地元で放送しているラジオ局の周波数を知っていますか。
感度が低くても、周波数が合っていれば聞き取れることもありますから、放送される周波数を知っておくことも大切です。
一口にラジオといっても、お住まいの環境によって準備すべき優先度は変わるということをしっておいて下さいね。
情報のウソを見抜く方法
今日は4月1日。一部の人達はエイプリールフールとして人を騙してやろうとする日のようですが、災害時にも意図したウソ、意図しないウソが多く飛び交うものです。
時間の経過と共に情報量は加速度をつけて増えていくので、真偽を見抜けないと混乱に巻き込まれることになってしまいます。
今日は情報のウソの見分け方をいくつか書いてみたいと思います。
1.複数のアングルからの写真があるか
熊本地震で「ライオンが逃げだした」とウソの情報を流した人が逮捕されましたが、その時には拡散した情報の全てが同じ写真を使っていました。
それが事実だとすると、時間の経過と共にさまざまな角度や距離からの写真が増えていきます。
同じ写真ばかり大量に出てきている場合には、情報源を疑った方が無難です。
2.発信者は誰か
正しい情報では、多くの場合には行政機関や報道機関の名前がついています。
「知り合いの自衛官によると~」や「市役所の防災担当の知り合いの話によると~」「ある番組のプロデューサーによると~」などという書き方がされている場合には、殆どの場合ウソだと思って良いです。
「いつ」「どこで」「だれが」「どのように」がはっきりしていない情報は、基本的に疑ったほうが安全です。
特に時系列が明確でないものは、信用しないようにしてください。
3.極端な情報は疑ってみる
混乱時には、普段自分が思っていることがさも事実であるかのように広める人が思った以上に多いものです。
特に特定の人や民族、宗教などが攻撃される場合には、とりあえず扇動には乗らず状況を見て下さい。
多くの場合は、極端な情報はデマです。
4.確認が取れない情報は転送しない
災害時には、何よりも情報の正確性が求められます。
自分の耳や目で確認できていない情報は、シェアしないようにしてください。
混乱時にはなぜか必ず人を混乱させようとする愉快犯が現れて情報を引っかき回しますので、災害時に信じることができるのは、自分の目と耳だけです。
そう考えて、あなたが直接見たり聞いたりしたことだけを自分が責任を持って発信するようにしましょう。
また、長い話の一部を切り取って悪意のある部分を強調しようとする輩もいますので、何か脊髄反射する前に全文をきちんと確認して下さい。
脊髄反射でシェアするのは被害を増幅させるだけです。
他にもいろいろとあるのですが、混乱時にはSNSはより混乱するのが前提です。
落ち着くまでは、SNSではなく一応の情報の裏取りができている報道機関発表の情報を優先するようにしてください。
SNSは状況が落ち着いてから、あなたの現状をあなた自身があなたの意見として発信するようにしてください。
ウソをウソと見抜けないことは案外よくあるものですから、普段から情報の取捨選択をするように心がけたいですね。
いろいろ便利なセームタオル
先日、とある研修会でセームタオルというものがあることを参加者の方に教えていただきました。
調べてみると、軽量コンパクトで給水しても絞るとまた吸水力が復活し、渇きも早いという便利なタオルです。
スポーツ・アウトドア用に開発されたようですが、普段使いにも、そして防災用にも使えそうないいタオルですのでご紹介しておきます。
サイズ的にそこまで大きいものはないみたいですが、水害や津波からの避難時に濡れた身体を乾かすのにはかなり重宝すると考えますので、非常用持ち出し袋に一枚入れておくといざというときに役に経つのではないかと思います。
災害時や被災後に、身体の濡れは大敵です。こういったアイテムを上手に使って、体温の維持に気をつけたいですね。
教えて下さった方にこころから感謝します。
価格:1,617円 |
支援が必要な人を支援する方法
災害対策基本法が改正され、その中に避難行動に支援が必要な者に対する支援計画の作成と福祉避難所の災害発生前からの開設についてが市町村の努力義務として明記されることが閣議決定されました。
個別避難計画と仮称されていますが、避難行動に支援のいる人に対して、支援を行う人や避難先などの情報を記載した計画を作れということになっています。
市町村、社会福祉協議会、自治会や民生委員、介護事業者等まで巻き込まないとこれらの計画を作ることができませんが、ここで問題になるのは「個人情報」という分厚い壁。各機関がよりよい連携を取るには、避難行動に支援のいる人の情報共有をかかすことができませんが、個人情報の保護が情報共有を阻害することになっています。
いくら支援が必要だと周囲が判断しても、各機関はお互いが持っている情報を本人の許可なく開示できませんし、開示するにしても全て開示することは無理です。また、本人やご家族が情報開示そのものを拒否したり、市町村や介護事業者はいいが自治会に情報提供したくないといった情報開示の限定的拒否など、さまざま制限がつけられてしまうこともよくあります。ただ、個人情報がうまく共有できないと、そもそも避難計画の策定ができないのはなんとなくイメージできるのではないでしょうか。
不完全な支援計画を策定しても、いざ災害のときにそれがうまくいかないと、支援が必要な人を支援する人や避難先が関係者から責められることになってしまいます。
支援が必要な人は、自身が支援を必要とする情報を支援者に開示する義務があり、それが提供されて、初めてまともな個別避難計画(仮称)が策定できるのではないかと思っています。
筆者は、正直なところ関係する人達に情報開示できない人を助ける義務はないと思っています。マンパワーは有限ですから、助けてくれと言っている人だけ個別避難計画(仮称)を策定して支援をおこなえばいいのです。
全ての人を助けるのは理想ではありますが、自らの命を守るための努力、この場合は個人情報の開示になりますが、それを怠っている以上、助けない、助けてもらえないと言うことも選択肢として準備しておかないとうまく行かないと思っているのですが、あなたならどう考えますか。
災害基本法などの一部を改正する法律案が閣議決定されました(内閣府のサイトへ移動します)