梅雨時期に入ると大雨と、それに伴う土砂崩れや洪水への警戒が呼びかけられます。
それはそれで正しいことなのですが、もう一つ、地震に対しても気をつけておく必要があることを知っておいてください。
大雨や長雨では、地中に水がしみこんでいますので、斜面は割と不安定な状態になっています。
そこにちょっとした地震による揺れが与えられると、不安定だった斜面の土砂が一気に崩れてしまう危険性があるのです。
これが怖いのは、いくら天気が晴れていても、土砂が水を含んで不安定になっている限り、土砂崩れが起こりうるということです。
そしてこの土砂崩れは土砂災害警戒区域や特別警戒区域といった指定地域以外でも発生する危険性が十分にあり得ます。
雨と揺れ、これが重なるときには、いつも以上に周辺環境の変化に敏感になっておいたほうがいいと思います。
カテゴリー: BCP
ペットと避難所
ペットと一緒に避難するということは、ここ最近さまざまなところでPRされていることもあって割と知られてきています。
では、避難所の受け入れの方はというと、案外と体制ができていないというのが現実のようです。
ペットといっても、避難所運営側のイメージは犬や猫、小鳥といった感じで、とりあえず場所を一つ準備しておけばといった感じで、そこまで熱心ではないようです。
ただ、一口にペットといっても飼っている生き物はさまざまで、犬や猫、鳥だけではなく、は虫類や両生類、魚、虫といったものまで、飼っている人の趣味の幅がかなり広いので、実際に受け入れるとなると大事になります。
例えば、避難者と避難したペットを別々に収容する同行避難で考えてみます。
避難してきた小鳥と猫を一緒の部屋に入れたとすると、鳥はかなり落ち着かないでしょうし、猫も大騒ぎになるでしょう。
犬と猫を同じ部屋に入れたとしたら、恐らく鳴き声や威嚇の声で聞いている人達が落ち着かないと思います。
では、ペットの数だけ部屋を準備すればいいのかと言えば、そもそもどんな生き物が避難してくるのかがわからないので準備のしようがありません。
地域の避難訓練で避難してくる予定の人にどのようなペットをつれて避難してくるのかという情報を集めることはできますが、ややこしいペットを飼っている人ほど、こういった場には出てこないことが多いので、あとで揉めることが予想されます。
そうすると飼い主と一緒に避難所のスペースにいる同伴避難ということになりますが、今度は生き物が苦手な人との間で対立が生まれてしまいます。
蛇を飼っている人が蛇を連れて避難所のスペースにいたとしたら、蛇が嫌いな人は卒倒してしまうかもしれません。
こんな風に、一口でペットと一緒に避難するといっても、簡単には事前準備ができないということを、避難する側も避難所を運営する側も知っておかなければいけません。
その上で、どのようなペットを受け入れないといけないのかや、自分の飼っているペットは避難所以外に避難する先が本当にないのかといった調査や調整もしておかないといけないでしょう。
また、避難先をペットによって分けたり、ペットを収容する避難所と収容しない避難所を分けたりといった事前の準備も必要です。
ペットを飼っている人は、ペットを生き残らせる責任がありますから、きちんと自分とペットが災害時にどのようにするのかについて、しっかりと考えて対策をしておいてください。
アウトドアと防災
最近はアウトドアブームだそうで、あちこちでキャンプ用品や山道具をみかけるようになりました。
これらのアイテムは、災害時にもとても役に立つものなので、ぜひ道具類の使い方を覚えておいて欲しいなと思います。
防災の視点で見ると使い終わったこれらのアイテムをそのまま収納するのでは無く、すぐに使えるように整備してから目につくところに置いておいてほしいのですが、かさばるものですからどうしても押し入れや倉庫に収納されてしまいがちです。
あと、電池や燃料といった消耗品も、使い終わって整備をするときに補充しておくといいと思います。
また、せっかくのアウトドアですから、何か一つだけ代用品を考えてみると面白さが増すかもしれません。
例えば、ランタンを使わないでどうやって照明を作るかやコンロを使わずにごはんを炊く方法など、ちょっとだけサバイバルの要素を取り入れてみると、災害時にも慌てなくて済みますよ。
アウトドア用品はほとんど防災用品と重なるものです。防災用品を買ってしまい込んでいるのであれば、アウトドア用品として遊びでどんどん使ってみてほしいと思います。
アイテム類は馴れていないと使えませんし、使えないアイテムは存在しないのと同じです。防災用品もアウトドア用品もいろいろなアイテムがありますから、いろいろと試してみて、自分が被災してもキャンプの延長線と思えるくらいになっておけたらいいなと思います。
災害発生後に起きること
いろいろな災害がありますが、日常生活に影響の出るレベルの災害が発生するとまずライフラインと物流に問題が出てきます。
電気、ガス、水道、下水道、そして食料や日用品などの物資の輸送。
これらが無くなってしまうと命にかかわりますから、再開するまでは自前でなんとかしないといけないことになります。
指定避難所であっても、消耗品、特に食料品や水がしっかりと備蓄しているところはまれですので、非常用持ち出し袋と備蓄品は命をつなぐためのマストアイテムということになります。
地方だと3日~1週間、人口の多い都会地だと1週間から10日程度は凌げる装備があったほうがいいと思います。
国や他の地方自治体から最初に送り込まれる支援物資はある程度量が決まっているので、人口の少ない場所であれば全員に行き渡っても、人の多い都会ではそういうわけにいきません。
また、発災から支援開始までは最低2、3日はかかりますので、その間のあれこれは自前で何とかしなければいけないわけです。
このために、非常用持ち出し袋や備蓄品をきちんと準備しておくようにいわれているのです。
市町村で備蓄している食料品などはたいした量はありません。それを当てにするよりは、自分で自分の食い扶持をしっかりと用意しておく方が精神衛生上いいと思います。
災害後に考えないと行けないのは、まずは自分の命を繋ぐ方法です。
元気に命を繋ぐために、まずは非常用持ち出し袋と備蓄品をわかるように揃えるところから始めて見て下さい。
代用品は代用品
防災の研修では、「○○がないときに××が使えます」といった代用品の話が出ることがあります。
意外なものが意外なところで使えたりして、結構驚くこともあるのですが、一つ注意してほしいのが、それはあくまでも代用品だということ。
その目的用に作られた製品にはかないませんので、代用品が必要なくらい普段使いするものであれば、やはり現物をきちんと準備しておくことをお勧めします。
例えば、紙おむつ。
「ビニール袋とタオルで作れます」という記事を見かけることも多いのですが、これはあくまでも非常用。
蒸れるし吸水力は低いし、おまけに使用後の始末にも非常に困る状態になりますので、本当に最後の手段と考えて下さい。
基本は紙おむつをしっかり準備してあれば知識だけで使うことはないと思います。
代用品はあくまでも代用品。
それを当てにして準備に手を抜くようなことにならないようにしてくださいね。
判断をするのは誰?
そろそろ梅雨入りしそうですが、あなたは大雨に備えた準備はできていますか。
あなたがいる場所の危険性の有無や避難先と避難経路の確認、非常用持ち出し袋の設定、避難先での情報確認や待機の仕方など、準備にもいろいろとあるのですが、もし避難が必要な場所にお住まいなら、一つだけ決めておいて欲しいことがあります。
それは、「避難開始の判断は自分でする」ということです。
行政が避難情報を出そうが出すまいが、自分の命は自分で守らなければなりません。
そのためには、事前に何がどうなったら自分は避難を開始する、ということを決めておきましょう。
例えば、線上降水帯が頭上で発生したら、とか、家の前の水路から水が噴くようになったらとか、自分にとって危険を感じたときを避難開始の判断にしておくのです。
そうすることで、もしもその状況になったら何も考えずに避難を開始することができます。
避難をするかどうか迷っている間にも、時間はどんどん経過していって、避難しようと思った時には避難できない状況になっていることもよくあります。
避難の判断はあくまでも自分がすること。そして、その条件を満たしたなら、悩まずにすぐに避難行動に移ること。
あなたの命を守るのはあなたしかいません。
そのために、さまざまな備えをしていってほしいと思います。
水害時には床下の換気口も土のうを積んでおく
水害対策として土のうや水のうを積むということは聞いたことがある方も多いと思います。
あまり水の勢いが強くなく、水量も多くない場合には、正しく積むと家屋の床下浸水をある程度防ぐことができるので、出水期の前などに作り方や積み方を確認しておくといいと思います。
その中で、忘れがちなのが床下の換気口。
玄関や勝手口などは土のうを積んで水を防いでも、換気口が開けられたままだと、そこから水が入って床下が浸水してしまいます。
そのため、こういった部分もきちんと土のうを積んで水が入らないようにしておく必要があります。
床下の水分で床板などが腐ってしまうので普段からふさいでおくわけにはいきませんが、換気口から水が入ると汚泥が床下に溜まってしまうので、床下の掃除と乾燥が必要となります。
これは結構な手間になりますので、できるなら換気口も忘れずに土のうで守るようにしてくださいね。
損したくない人達
「損しないか」、「損するかもしれないが得をするかもしれないか」で考えたとき、かなりの確率で損しない方を選ぶ人が多いそうです。
災害に対する備えも、ひょっとしたらそんな「損をしない」という思考の枠の中にあるのかもしれません。
さまざまな備えをしていても、ひょっとしたら生きているうちには大きな災害は来ないかもしれません。
食料、水を初めとする消耗品には消費期限のあるものが多いですから、使わずに期限切れを迎えると「損をした」と感じてしまいます。だったら最初から準備しなければ損はしない、ということで、備蓄や備えをしない人は、結構いるのでは無いかと思います。
でも備えとは万が一に対する対策のことです。
最近では「任意だから」や「掛け損」という理由で自動車の任意保険を掛けない人が一定数いるそうですが、そう言った人達が大きな事故を起こした場合には、金どころか人生が積んでしまうことも起こってしまうのです。
「備えあれば憂いなし」なのですが、起こり得るかもしれない未来よりも、今目の前の現実に対して行動することが多いのは仕方の無いことです。
日本に住んでいる以上、必ずなにがしかの災害に出くわすことは間違いありません。
それが1時間後なのか、それとも30年後なのかがわからないだけなのです。
目の前の状態で損得を考えるのでは無く、長い目で見て、さまざまな備えをしておきたいものですね。
土砂災害に気をつける
これから梅雨を迎え、雨に対する対策を準備しておくことをお勧めします。
雨への対策は大きく分けると二つ。
一つは水で、もう一つは土砂になります。
水は直接的に河川氾濫や内水氾濫が起きて水害となりますが、雨が降ることで地盤が緩み、山や崖が崩れてきたり、動いたりする土砂災害も起きることがありますから、対策をしておかなければいけません。
とはいえ、土砂災害は水害以上にどのタイミングで発生するのかが読みにくいものです。
ハザードマップを見てもらい、土砂災害が起きそうな場所に入っている場合には、普段から対策をしっかりと考えておく必要があります。
土砂災害の前兆となるような出来事をまとめたものを少し手を加えてみましたので、それをみてご自身の土砂災害への備えを万全にしておいてほしいと思います。
被災したら、後片付けを始める前に
さまざまな災害で被災すると、できるだけ早く日常生活を復旧する必要がありますので、可能な限り早く片付けを始めようと考えるものです。
ただ、その前にやっておいて欲しい事が一つあります。
それは、被災状況の写真をしっかりと撮っておくということです。
被災した家屋やその他被災したあらゆるものを写真に撮影しておいてください。
それも、いろいろな角度から撮っておくこと。そして、巻き尺など数値のわかるものや比較対象となるものを一緒に撮しておくことです。
これらの被災写真は、被災後に必要となる罹災証明書の作成に非常に役に立ちます。被災地域によっては、写真があれば現地調査不要で罹災証明書が発行される事もあり、いろいろな角度からの写真があれば、現地調査の代わりをしてくれるのです。
基本的に罹災証明書の発行は現地調査の後でされるのですが、人がやる都合上、どうしても時間がかかります。
そのため、必要なときに罹災証明書が手元に無いという事態も考えられます。
また、家財保険や火災保険の災害特約などを請求する場合にも、写真がしっかりと撮られていればそれだけで手続きが開始できる場合があり、迅速な保険金の支払いにも繋げることができます。
近くや遠くや角度を変えてなど、写真を撮る手間はありますが、最近ではデジタルなので場所も現像代もかかりませんから、こんなものまでといった感じの写真まで撮っておくといいと思います。
被災したときの写真は、あなたの復旧の手助けをしてくれます。可能な限りたくさんの写真を撮って、それから復旧作業にかかるようにしてくださいね。
余談ですが、罹災証明書の申請手続きや保険請求の手続きは難しくありません。書類の作成については、行政や保険会社に確認すればきちんと教えてくれます。
せっかくの保険金や見舞金が奪われてしまうこともありますので、間違っても飛び込みの代行業者などに任せないようにしてください。