避難所では、生活空間は土足禁止にしたほうが健康を保ちやすいのでお勧めです。
というのも、避難所の就寝場所がすべて床面から20cm以上の高さがある場所ならいいのですが、そうでない場合、土靴から落ちた汚れやごみ、ウイルスや雑菌などを吸い込んでしまい、呼吸器系の病気を発症することが多くなります。
日本では床に直接寝る習慣があるために靴を脱いで生活空間に入るという習慣ができたのだと思いますが、これは理にかなっています。
地表に舞っている病気の元であるゴミやほこりなどを吸い込まないために、靴を脱ぐ習慣になっているのです。
逆に靴を脱ぐ習慣のない国では、寝る場所の高さを上げてベッドというものになっていて、地表で舞っているさまざまな雑菌から呼吸器系を守るようになっています。
とはいえ、避難所は人の出入りも多く、土足を禁止してもしっかりとした衛生面の確保は難しいと思います。できるなら土足は禁止したうえで、床から少しでも高さを上げたところで寝ることにするようにしてほしいと思います。
避難所の生活空間での土足を禁止することは、避難所で大きな病気を出さないためには大変重要なポイントです。
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【お知らせ】1月開催のイベントのご案内
石西防災研究所では、1月に一般向けワンコイン研修会を2回開催します。
1回目は1月14日で、「ハザードマップの読み方を知ろう」。
これはハザードマップに書かれている情報はどのようなものがあるのかということに始まるハザードマップの見方の研修会です。
2回目は1月24日で、「マイタイムラインを作ろう」。
これはハザードマップを読める人向きの研修会で、ハザードマップを元に、自分が置かれた状況や環境からどのような行動をすべきなのかについて時系列に整理し、それを行動計画書、防災ではマイタイムラインといわれるものですが、それを作って行動手順をみてわかるようにしていきます。
どちらも災害への備えに対して有効な研修会ですので、興味があって都合のつく方はぜひご参加ください。
参加費は500円/人。
いずれも準備の都合上事前申し込みをお願いします。
詳細は付属のチラシをご覧いただくか、事務局までお問い合わせください。
留守表示のジレンマ
避難を促す人たちにとって、その家にまだ人が残っているのか、それとも避難が終わっているのかという情報は非常に大切です。
避難が終わっている家に対して呼びかけを行うのは時間の無駄ですし、下手をすると避難を促している人の避難が遅れてしまうことになりかねませんので、避難したという情報がきちんと伝わるようにしておく必要があります。
玄関への張り紙や軒下に印を出しておくなど、地域によってさまざまな形で避難したことを知らせる方法が決められているのですが、困ったことに、その方法が家に誰もいないということを教えている状態のため、空き巣にとってはこれ以上ないくらい仕事がしやすい状態を作っていることになります。
ましてや、普段の留守であればいるかもしれないペット達も一緒に避難しているのですから、そういった人たちから見ると非常に仕事がしやすい状態にあるのです。
かといって、普段通りの状態で避難をすると、避難してるのかどうかがわからないので、避難を促す人たちが困ることになります。
避難区域を立ち入り禁止にして人も車も一切入れないこと。そして、立ち入り禁止区域に入ったものは問答無用で逮捕、というくらいの対応ができるとよいのですが、立ち入り禁止区域で出入りを規制する人をどうするのかという問題が発生します。
緊急時には消防や警察は対応にかかりきりになりますので、なかなかこういったことにまでは手が回りません。
一昔前なら消防団という地域をよく知っている人たちがいましたが、現在ではそこまでの力を持っているところは少ないと思います。
手っ取り早いのは、避難するときに避難する人が、避難を呼びかける人に声をかけるようにすることです。そうすることで、避難したことがわかりますので、呼びかけるほうも楽になります。
自己責任な世の中ではありますが、こういった避難確認をするようなところでは、地域コミュニティが生きていると思います。「一声かける」という文化も残っていると思いますので、お互いに安全な方法で対処ができるといいなと思います。
ペットの避難先を考える
住んでいる場所から避難すべき地域のお住いの方でよく問題になるのが飼っているペットの扱いです。
実際に避難を呼びかけた時、ペットがいるからという理由で避難をしない人やペット連れで避難所に避難してトラブルになるケースもよくありますので、平時にしっかりと話を決めておかないといざというときに逃げ遅れることになってしまいます。
実際、環境省などの呼びかけではペットとの同行避難が推奨されていますが、同行避難は同じ避難所に避難できるというだけで、同じ空間にいることができるわけではありません。
そして、一緒の空間で避難ができる同伴避難を受けいれている避難所は、そんなに多くないのが現実です。
最近ではペットのみ受け入れるペット用の避難所も出てきていますが、絶対的な受け入れ数が少ないことと有償であることが基本なので、事前にきちんと打ち合わせをしていない限り、いきなりの受け入れはかなり難しいものがあります。
一緒に過ごすという点では「車中泊」という選択肢もありますが、しっかりした宿泊設備がない状態だと、飼い主にもペットにもかなりの負担を強いることになってきます。
そして、一番の問題はペットの種類が非常に多岐にわたること。
ペット可の避難所でも、想定は犬や猫で、例えば蛇や昆虫といったものを想定しているところはないと思います。
ではどうするか。
正直なところこれだという解決策はないですが、まったく違う場所に住んでいる人とお互いに応援協定を結んでおくか、それとも安全な場所をもう一か所確保しておくか、いずれにしてもペットが安全に避難できるための場所を確保しておく必要があります。
自分の身を守るために、ペットの行き先についてもしっかりと考えておいてほしいと思います。
機内モードとモバイルバッテリー
災害が発生すると、被災地内では輻輳を防ぐために通信規制が行われます。
そのため、なかなか電話やメールがつながらない状態になるのですが、基地局の電池設備が使えなくなると同時に通信そのものができなくなります。
ただ、スマートフォンや携帯電話は基地局の電波を探そうとしますので、電池をいつも以上に消費することになり、繋がるようになったころには電池切れというパターンが多くなります。
それを防ぐためには、モバイルバッテリーを持ち歩くことです。
できれば2回以上フル充電できるくらい大きな容量のものがあると安心できます。
また、携帯電話は通信が使えなくなったらスイッチを切っておくようにすると電池の持ちがよくなります。スマートフォンの場合には、画面の明るさを見られる範囲で暗くするのと同時に、できるだけ機内モードにするようにしてください。
機内モードにすることで、スマートフォンは基地局の電波を探しに行かなくなりますので、その分電池の消費を抑えることができます。
スマートフォンや携帯電話はさまざまな形で情報を集める手段として有効なアイテムです。このアイテムを活かすために、まさかの電池切れを起こさないように、二重三重の対策をしておいてください。
ちなみに、乾電池式の充電器はスマートフォンへの充電はしっかりとはできないことが多いです。ただ、支援物資として乾電池が届くことがありますので、荷物にならないようであれば乾電池式の充電器も用意しておくと安心だと思います。
シェイクアウトのススメ
地震はいつくるかわからないものですが、地震対策はいろいろとすることができます。その中で、簡単であなたの命を守ることができることの一つにシェイクアウト訓練があります。
シェイクアウトの発祥はアメリカだそうですが、地震が起きた時の行動をたった3つに集約しています。
「まず低く、頭を守り、動かない」なのですが、これができるだけで怪我から身を守る重要な行動がしっかりとできています。
「まず低く」は、地震の揺れで自分の体が転倒することを防ぐために、できるかぎり低い姿勢をとることです。
人間の頭は、普段はあまり意識しないと思いますが、非常に重たいものです。
重心が高いと、揺れた時の揺れ幅が大きくなって転倒する危険が高まりますから、しゃがむ、座る、寝るなどして、できるだけ低い姿勢をとることが重要です。
次の「頭を守り」ですが、意識がはっきりしている限り、地震によって発生するさまざまな危険から身を守る行動をとることが可能です。
でも、もし落下物などで頭を打ってしまったら、意識不明、または混濁することになってしまい、その後に起きるかもしれないさまざまな危険から身を守ることが困難になります。
最後の「動かない」は、安全な場所や姿勢を確保したら、状況が落ち着くまではその場でじっとしていることです。
危険な場所であればそうも言っていられませんが、やたらと慌てて動くよりはじっとしているほうが安全なことが多いです。
特に、日本の場合には建物や地下街であれば、よほどの地震でない限りは屋外よりも安全だとされていますので、動かないほうが得策な場合が多いと思います。
これをまとめたものが「シェイクアウト」と呼ばれるもので、一人でも簡単に訓練ができます。
地震が起きたと想定して、まずは姿勢を低くし、頭を守る姿勢をとってじっとしていること。
たったこれだけですから簡単にできますし、非常に効果も高いと思いますので、ちょっとした時間にでも折に触れてやってみることをお勧めします。
ハザードマップが読めますか
市町村などが作っているハザードマップですが、完成したり改訂があると、多くの場合は各家庭に配られているようです。
ただ、その中身の説明がないために、次の資源回収日には大量に出されているケースもあるとか。
本来なら災害から身を守るために作られたはずのハザードマップがただの資源になってしまっているのは、ようするに見方がわからないからです。
見方さえわかれば結構役に立つのですが、配られているハザードマップに書かれている解説を読んでも、よくわからないという方が多いのではないでしょうか。
研修会などで説明すると「ああそういう意味なのか」と言ってもらえることも多いのですが、わからないから資源にされているのです。
また、中途半端に細かいサイズになっているため、かなり使いにくいものも多いです。見やすいだろうと思って冊子にしていても、実際には非常に使いにくくわかりにくくなってしまっている残念なケースもよくあります。
見方さえわかれば、あとは更新されても改訂されても大きく表示方法が変更されることもないですから、見方をしっかりと周知してほしいと思います。
見方と用語。
これがきちんと理解できるような機会の提供が少ないような気がするので、結果として理解が進まないという状態が続いている気がします。
せっかく大金をかけて作ったハザードマップです。
しっかりとハザードマップが役立つような、そういった心配りがいるのかなと感じています。
「個別支援計画」ってなんだろう
災害時に命を守る行動をとるのは自分自身です。
ですが、例えば妊産婦や乳幼児、障碍者の方、お年寄りなど、自分ではすべての行動ができない人もいると思います。
そういった支援が必要な場合には、あらかじめ周囲の人や介護事業者、民生委員などに助けてもらうための段取りをつけておきましょう。
この段取りを「個別支援計画」と呼んでいますが、防災と福祉の狭間にあることや個人情報保護の観点から、なかなか計画作成が進んでいないようです。
つまり、放っておくといつまでも自分を助けてもらうための計画ができませんので、支援が必要な人が自身で自分を助けてほしいこと、そしてなにをどんな風に助けてほしいのかについて、支援をしてくれそうな人に伝えておく必要があります。
普段からさまざまな支援を受けていると、災害時にも支援がしてもらえると思いがちですが、非常時には非常時の段取りをつけておかないと誰も助けてくれません。
普段助けてくれている行政は、災害時にはそちらの対応で手いっぱいになってしまい、支援が必要な人の救助まではとても手が回りません。
ですから、普段から支えてくれている介護事業者や民生委員といった人たちや、地域の人たちに助けてもらうようにお願いしておくのです。
それが個別支援計画であり、これなしに災害時に必要十分な支援は受けられないと考えてください。
もちろん、災害の情報収集や避難のタイミング、避難先の選定から避難後の生活に至るまで、全部自分でできるという人は個別支援計画などは作らなくても問題ありません。
でも、助けが必要な場面で助けがないと、生活をするのに困難が生じてしまうと考えられる人は、すぐにでも個別支援計画を作るようにしてください。
個別支援計画は、普段やり取りをしている介護事業者やケアマネジャー、民生委員といった方に相談すると段取りをしてくれます。また、地域の自治会や自主防災組織などが機能していれば、そちらにも相談をしておくとやりやすくなります。
自分が自分の命を守る行動が取れなくても、段取りをつけて助けてもらえるように準備をしておくこと。
それをしておくことが、自分の命を守ることにつながりますが、あなたは大丈夫ですか。
自主防災組織のお悩み
防災の仕事をしていると、自主防災組織の方から組織運営について相談をいただくことがあります。
最初は地域の人を災害から守るという熱い思いで結成された自主防災組織も、時がたって災害が起きなければ、だんだんと熱も冷め、次世代への承継もうまくいかないことが多いようです。いただくご相談は、今後どうやればうまく活動ができるのかとか、人がいない、集まらない、動けないといった内容で、あまり明るい内容ではありません。
ただ、聞いていると不思議に思ってしまうことが一つあります。
それは、なぜ身の丈にあった計画に変更しないのかということ。
ご相談いただくときの前提が「この活動計画ができなくなっている」というのが大半なのですが、できないのであれば、できるような活動計画に変更すればすむのではないかと思います。
自主防災組織の中には、非常に立派な行動計画を作って毎年それを更新しながら組織をうまく運営しているところもあります。
でも、地域によってはその行動計画を実行するだけの力がなくなっているところもありますので、そういった状況で持っている行動計画をやろうとするとどうしても無理が来ます。
自主防災組織はあくまでも「共助」のために結成されている地域のボランティア的な組織ですから、実行することが難しい行動計画でできないというのであれば、行動計画自体を変えてしまえばいいのです。
基本的な考え方は「できることをできる範囲で」です。
理想を掲げても物理的にできない場合にはできませんので、できることをできる範囲で設定しなおすことで、無理のない自主防災組織の運営が続けられることになります。
もちろん、人が増えたりやる気のある人たちがたくさんいる状況になれば、活動計画を組み替えて大きなものにすればいいだけなので、その時々に応じてやる活動を変動させるくらいの気持ちでいればいいと思います。
よく誤解されているのですが、自主防災組織は自主防災組織に所属する人たちを守るために存在しています。
自治会や自治体とは異なる任意組織ですので、あくまでも自主防災組織に加入している人をどうやって守るのか、を基礎にしてください。加入していない人を相手に考える必要はないのです。
自主防災組織に加入している人達が、お互いにできる範囲でできることをして助け合うだけでいいと考えると、何となく肩の荷がおりませんか。
自主防災組織を難しく考える必要はありませんん。地域の人間関係がしっかりと生きているなら、存在しなくてもいいくらいの組織であり、あくまでもお互いをできる範囲で助け合うために作られているのです。
できることをできる範囲で、無理なくやり続けること。
これからの自主防災組織はそれを前提にして活動計画を作ったほうがいいのではないか。そんな風にお話をしています。
「大丈夫」という情報の大切さ
災害が起きた時に自分に大きな被害がなかった場合には、あえて自分は大丈夫という情報発信はしないという方が多いと思います。
特に大きな災害の場合には、短時間で相当数の安否確認の電話やメールが集中してしまうので、通信環境への負荷を防ぐという意味でも発信を控えるということはよくあることだと思います。
ただ、心配している人から見ると情報発信がないというのは「大丈夫」だから発信していないのか、それとも「発信できないような状況」になっているかがわかりませんので、不安に駆られて相手が出るまで電話やメール等を送り続けて通信環境を悪化させてしまうことが発生します。
被災地外で被災地にいる人の心配をする人は、とりあえず無事なことがわかればいいのですから、とりあえず被災地にいる人は自分が大丈夫である旨の情報は発信したほうがいいわけですが、電話やメールでやりとりしていると状況はあまり変わりません。
SNSや災害時伝言ダイヤル、災害用伝言版などを活用して、なるべく通信環境に負荷をかけずに大丈夫なことが伝えられるといいと思います。
SNSであればいいのですが、災害時伝言ダイヤルや災害用伝言版では一つ気を付けておかないといけないことがあります。
それは「鍵となる電話番号を決めておくこと」です。
「J-Anpi」というシステムによって、固定電話、携帯電話会社に関係なく、登録されている伝言はどこからでも見たり聞いたりできるようになっていて、いちいち探す手間はかなり減りました。
ただ、J-Anpiの伝言を聞くためには鍵となる電話番号が必要となります。
「もし自分が被災したとき、安全だったら伝言を出しておくから、〇〇番で検索してくれ」という情報を連絡してくるであろう相手に伝えておくことで、いざというときに通信環境に負荷をかけずに安否が確認できます。
これは家族間でも同じことで、いざというときにどの番号で伝言をやりとりするのかについては事前に決めておくようにしてください。
また、災害時伝言ダイヤルや災害時伝言版は平時でも訓練用に開放されているときがありますので、そういった機会を使って、実際にやりとりする練習をしておいてください。
「私は大丈夫です」ということを伝えることは大切な情報です。
自分が無事だから発信しなくても大丈夫、ではなく、無事だからこそ大丈夫だという情報を早めに発信するようにしてください。
J-Anpi(J-Anpiのウェブサイトへ移動します)
NTT西日本の災害への備え・対策サイト(NTT西日本のウェブサイトへ移動します)