災害時にどうやって主食のご飯を炊くかという問題があります。
支援物資として入ってくる弁当は食中毒対策のため冷えた状態で支給されますし、毎回炊き出しに頼るわけにもいきません。
水が確保できればご飯は炊けるわけですが、大きな鍋だとなかなか上手に炊くのは難しい。ましてや、カセットガスが使えない状態を仮定すると直火で炊くのはかなり難しいのではないか。
第一、安全に鍋が載せられる炉が作れない。
そんなことを考えていたのですが、先日、江津市の少年自然の家で開催された「わくわくちびっこでー」に出かけて一つのヒントをもらうことができました。
ここはセルフご飯炊きを体験できるのですが、使われていたものにびっくり。
地面で直火を焚き、その上に使う炉として「プランタースタンド」が使われていたのです。
そりゃなんだと思われる人がいらっしゃるかもしれませんが、要は植木鉢を支える台のことで、上の植木鉢を載せる部分に土鍋を載せてご飯を炊くという方法を取っていました。
職員さんに尋ねると、土鍋もプランタースタンドもどちらも百円均一ショップで仕入れてきたものだとのこと。
簡単に手に入り、しかも使いやすいということで、現地で実証実験した後、当研究所でもやってみることにしました。
土鍋は以前にダイソーさんで売っていたのを覚えていたので行ってみたのですが、季節商品だったのですでにありませんでした。
また、ダイソーさんのプランタースタンドは、高さが25cm。炉に使うには少し高いです。また、足の部分が皮膜されているので燃やすと大変そうです。
イオンの中のseriaさんで100円で売ってた「ポールプランタースタンド6号用」を買ってきました。
これは高さが約17cmで、たき火の上に置くのにちょうどいいサイズです。seriaさんでは鍋の取り扱いは終了したそうで、安く土鍋を仕入れようとすると、冬のダイソーさんで仕入れるしかなさそうです。
試しに我が家の一人用土鍋を載せてみました。うまく収まります。
スタンドの鉢が載る部分にはいろいろなサイズがあるので、自分が使う土鍋に合わせて準備したらいいと思います。
ここからは、先日江津市の少年自然の家のわくわくちびっこでーでやってみたご飯炊きの写真を使います。
まずはお米を研ぎます。災害時にはきれいに研ぐのは難しいかもしれませんが、ここではおいしいご飯が食べたいのでしっかりと研ぎます。
水加減はお米の1,5倍を目安に注ぎ、水を吸わせたいので10分待ちます。
で、プランタースタンドに置き、下に丸めた新聞紙と廃材を組み合わせ、新聞紙にライターで火をつけて火を起こします。
着火したら、しばらくは木をくべて火力が落ちないようにします。
すると、やがて沸騰して蓋の周囲にぽこぽことした泡がでてきます。
泡が出なくなったら火をどけて10分以上蒸らします。
うまくできたか、蓋を開けるときのどきどき感がたまりません。
ふわりとした湯気があがり、白く光るお米が姿を見せてくれました。今回は成功です。水加減を間違えたり、火加減を間違えると黒焦げになってしまいますが、そこは練習あるのみです。
スプーンを使ってご飯をよそいます。
きれいになくなりました。今回は文句なしの出来で、底のお焦げもちょっとしかできませんでした。
残ったお米も水に漬けてきれいに刮ぎ、最後までおいしくいただくことができました。ちなみに、直火では底が真っ黒になるので洗うのが大変だと言うことを付け加えておきます。これを防ぐには、あらかじめ中性洗剤や自動車用のガラスコーティング剤などを塗るとよいですが、土鍋の素材によっては使えない場合もありますのでご注意ください。
しかし、思ってもみなかったところに炉として使える道具がありました。
もちろん販売元はこんな使い方は想定していないですので、これをされるときには自己責任でお願いしますが、いざというときにちょっとしたアイデアで快適な生存環境を作ることができるということを再確認できました。
ちなみに、最近ではなかなか直火で料理するのが難しくなってきています。
初めてやる人は、ぜひ少年自然の家の「わくわくちびっこでー」で職員さんから教わりながらやってみるといいと思います。