災害時にしないといけないこと

 災害時にしないといけないことはいろいろとありますが、もっとも大切なことはあなたの命を守ることです。
 非常用持ち出し袋は、あなたの命を守り、つなぐために準備するものですが、それを持って避難することが最優先ではありませんから、状況によっては、非常用持ち出し袋を取りに行くことが危険につながることもあると思います。
 優先すべきはあなたの命を守ることであり、緊急時にはそれを前提にして行動を決定する必要があります。
 よくあることですが、例えば水害などで早めに避難した後、まだ大丈夫だからと自分の大切なものを取りに戻れるのではないかと考えてしまうことがあります。
 この時の思考は、自分の命は守れているから、次に優先されるものをどうやって守るかというものになっていますが、状況が収まっていない以上自分の命を守ることを最優先することは変わっていません。
 ここを勘違いしてしまうので、安全地帯から移動して被災してしまう人が出てしまうのです。
 災害時に最優先でしないといけないことは、あなたの命を守ること。
 そのことを、特に災害発生時には忘れないようにしてください。
 ひょっとすると自分が死ぬかもしれないという想定で、行動を考えてほしいと思います。

大掃除と地震対策

固定しないとこうなる

あなたのおうちでの大掃除は終わりましたか。
もしまだであれば、お正月までの間に家をきれいにするついでに、家具が倒れないような加工をしたり、窓ガラスにフィルムを貼ったりといった地震発生時に怪我をしないような対策をしておきましょう。
一気に全部やってしまうのは理想ですが、とりあえずはいる時間の長い場所、そしてすぐに逃げられない場所の対策だけでもしておきます。
脱衣場やふろ場、トイレの高い場所のものを撤去したり、扉の開閉がスムーズにできるようにしたりといったことをしておきましょう。

新聞紙をタンスの下に入れて壁側に傾斜をかけると、揺れても手前に倒れるリスクを減らせる。


また、タンスの下に新聞紙を織り込んでみたり、冷蔵庫に突っ張り棒を取り付けたりといった揺れ初めに倒れない処置をしておくことも大切です。
それから、タンスなどが倒れた時に寝ている場所がつぶれたり、外に逃げるための扉の開閉がきちんとできるかどうか確認しておきます。
普段はなかなか手が回らないと思いますが、大きなものを動かしたりすることの多い大掃除の時期に、地震が起きても怪我をしないような部屋のレイアウトや耐震対策を一緒にしておいてくださいね。

枕元に着替えを置こう

 ちょっと前くらいまでは、お年寄りが子や孫に「枕元に着替えを置くこと」を口を酸っぱくしていっていたのではないかと思います。
 かくいう筆者の家も、祖母が健在のころにはやはり着替えをすぐに着ることのできる場所に置いておくように言われていましたが、着替えの話とセットでよく空襲や災害の話をしていましたので、これは戦争時に何か起きたら、すぐに着替えて避難できるように準備しておくようになったのかなと思っています。
 突発した非常時に逃げなければいけなくなったとき、寝巻のままで避難をするのはいろいろな意味で危険だなと感じます。枕元に着替え、そして避難用の靴を置いておくことで、いざというときに迅速に行動ができると思います。
 また、これが準備できていると、夜間に停電して暗いときにでも着替えがあるのはわかっているので慌てなくてすむことも利点です。
 寝る前のちょっとした工夫で、災害時や翌日に迅速に行動ができる習慣として、枕元に着替え、そして非常時に履いて逃げるためも靴を備えておくといいと思います。
 ちなみに、非常用の靴は普段使いのものとは異なります。まっさらな靴を準備しておいて、今履いているのがダメになったら買っておいたその靴を使い、また新しいのを非常用の靴として使います。
 使っている靴を枕元に置くと、雑菌が辺りに舞うことがありますので、靴を準備するときにはその部分について気を付けてください。

【活動報告】研修会「持ち歩き防災セットを作ろう!」を開催しました

自分が必要だと考えるアイテムを選んで持ち歩き用防災セットを作っていく

 2022年12月18日に益田市の益田市民学習センターにおいて、研修会「持ち歩き防災セットを作ろう!」を開催しました。
 当日は雪の舞う寒い中、5名の方にご参加いただき、持ち歩くための防災セットの考え方や実際に用意してあるさまざまなアイテム類の中から自分が必要だなと思うものを選んでもらって自分用の防災セットを作ってもらいました。
 これらの防災セットを普段使いのカバンなどに入れてもらって使ってもらい、しっかりとアップデートしていってほしいなと思います。
 寒い中、熱心に参加してくださった皆様にこころからお礼申し上げます。

【お知らせ】「北海道・三陸沖後発地震注意情報」の運用が始まりました

 2022年12月16日12時から、北海道三陸沖後発地震に関する注意情報の運用が始まりました。
 これは北海道三陸沖でマグニチュード(Mw)7程度の地震が発生した際、その後1週間以内にそれ以上の大規模な地震となるマグニチュード(Mw)8以上の地震が起こる可能性があることから、大きな地震の後により大きな地震に備えるための注意を促すためのものだそうです。
 最近では2016年4月14日、16日と立て続けに大きな地震が起きた熊本地震がこのケースにあたるのかなと考えますが、マグニチュードが1上昇すると揺れる力は32倍になるので、とてつもない地震が起きる可能性があるということが言えます。
 そういった事態に備えて、大きな地震が起きた後、より大きい地震が起きる可能性があるということを周知するのが、この北海道三陸沖後発地震注意情報なのだそうです。
 報告書では実際に北海道三陸沖地震が起きて、その後1週間以内にさらに大きな地震が起きる確率は100回に1回とされていますが、たとえ空振りになっても危険性を周知したいということで、こういった注意情報が発表されることになりました。
 ただ、これを受けてどうするかは各人に任されていますので、避難するもより強い地震への対策をするも、そして何もしないのもすべてそれぞれの考え方や判断に任されることになります。
 そう考えると、大きな地震の際に気象庁が出す「今後1週間程度は大きな揺れに警戒する必要がある」という発表とどこが違うのだろうかというのがいまいちよくわからないのですが、地震が発生したらより大きな地震が来る可能性があることは事実。
 どこで起きる地震についても、大きな地震の後にはより大きな地震が来るかもと考えて備えをしておいたほうがよさそうです。

日本海溝・千島海港沿いの後発地震への注意を促す情報発信に関する検討会報告書(気象庁のウェブサイトへ移動します)

【お知らせ】1月開催のイベントのご案内

 石西防災研究所では、1月に一般向けワンコイン研修会を2回開催します。
 1回目は1月14日で、「ハザードマップの読み方を知ろう」。
 これはハザードマップに書かれている情報はどのようなものがあるのかということに始まるハザードマップの見方の研修会です。
 2回目は1月24日で、「マイタイムラインを作ろう」。
 これはハザードマップを読める人向きの研修会で、ハザードマップを元に、自分が置かれた状況や環境からどのような行動をすべきなのかについて時系列に整理し、それを行動計画書、防災ではマイタイムラインといわれるものですが、それを作って行動手順をみてわかるようにしていきます。
 どちらも災害への備えに対して有効な研修会ですので、興味があって都合のつく方はぜひご参加ください。
 参加費は500円/人。
 いずれも準備の都合上事前申し込みをお願いします。
 詳細は付属のチラシをご覧いただくか、事務局までお問い合わせください。

シェイクアウトのススメ

 地震はいつくるかわからないものですが、地震対策はいろいろとすることができます。その中で、簡単であなたの命を守ることができることの一つにシェイクアウト訓練があります。
 シェイクアウトの発祥はアメリカだそうですが、地震が起きた時の行動をたった3つに集約しています。
 「まず低く、頭を守り、動かない」なのですが、これができるだけで怪我から身を守る重要な行動がしっかりとできています。
 「まず低く」は、地震の揺れで自分の体が転倒することを防ぐために、できるかぎり低い姿勢をとることです。
 人間の頭は、普段はあまり意識しないと思いますが、非常に重たいものです。
 重心が高いと、揺れた時の揺れ幅が大きくなって転倒する危険が高まりますから、しゃがむ、座る、寝るなどして、できるだけ低い姿勢をとることが重要です。
 次の「頭を守り」ですが、意識がはっきりしている限り、地震によって発生するさまざまな危険から身を守る行動をとることが可能です。
 でも、もし落下物などで頭を打ってしまったら、意識不明、または混濁することになってしまい、その後に起きるかもしれないさまざまな危険から身を守ることが困難になります。
 最後の「動かない」は、安全な場所や姿勢を確保したら、状況が落ち着くまではその場でじっとしていることです。
 危険な場所であればそうも言っていられませんが、やたらと慌てて動くよりはじっとしているほうが安全なことが多いです。
 特に、日本の場合には建物や地下街であれば、よほどの地震でない限りは屋外よりも安全だとされていますので、動かないほうが得策な場合が多いと思います。
 これをまとめたものが「シェイクアウト」と呼ばれるもので、一人でも簡単に訓練ができます。
 地震が起きたと想定して、まずは姿勢を低くし、頭を守る姿勢をとってじっとしていること。
 たったこれだけですから簡単にできますし、非常に効果も高いと思いますので、ちょっとした時間にでも折に触れてやってみることをお勧めします。

ハザードマップが読めますか

 市町村などが作っているハザードマップですが、完成したり改訂があると、多くの場合は各家庭に配られているようです。
 ただ、その中身の説明がないために、次の資源回収日には大量に出されているケースもあるとか。
 本来なら災害から身を守るために作られたはずのハザードマップがただの資源になってしまっているのは、ようするに見方がわからないからです。
 見方さえわかれば結構役に立つのですが、配られているハザードマップに書かれている解説を読んでも、よくわからないという方が多いのではないでしょうか。
 研修会などで説明すると「ああそういう意味なのか」と言ってもらえることも多いのですが、わからないから資源にされているのです。
 また、中途半端に細かいサイズになっているため、かなり使いにくいものも多いです。見やすいだろうと思って冊子にしていても、実際には非常に使いにくくわかりにくくなってしまっている残念なケースもよくあります。
 見方さえわかれば、あとは更新されても改訂されても大きく表示方法が変更されることもないですから、見方をしっかりと周知してほしいと思います。
 見方と用語。
 これがきちんと理解できるような機会の提供が少ないような気がするので、結果として理解が進まないという状態が続いている気がします。
 せっかく大金をかけて作ったハザードマップです。
 しっかりとハザードマップが役立つような、そういった心配りがいるのかなと感じています。

「大丈夫」という情報の大切さ

 災害が起きた時に自分に大きな被害がなかった場合には、あえて自分は大丈夫という情報発信はしないという方が多いと思います。
 特に大きな災害の場合には、短時間で相当数の安否確認の電話やメールが集中してしまうので、通信環境への負荷を防ぐという意味でも発信を控えるということはよくあることだと思います。
 ただ、心配している人から見ると情報発信がないというのは「大丈夫」だから発信していないのか、それとも「発信できないような状況」になっているかがわかりませんので、不安に駆られて相手が出るまで電話やメール等を送り続けて通信環境を悪化させてしまうことが発生します。
 被災地外で被災地にいる人の心配をする人は、とりあえず無事なことがわかればいいのですから、とりあえず被災地にいる人は自分が大丈夫である旨の情報は発信したほうがいいわけですが、電話やメールでやりとりしていると状況はあまり変わりません。
 SNSや災害時伝言ダイヤル、災害用伝言版などを活用して、なるべく通信環境に負荷をかけずに大丈夫なことが伝えられるといいと思います。
 SNSであればいいのですが、災害時伝言ダイヤルや災害用伝言版では一つ気を付けておかないといけないことがあります。
 それは「鍵となる電話番号を決めておくこと」です。
 「J-Anpi」というシステムによって、固定電話、携帯電話会社に関係なく、登録されている伝言はどこからでも見たり聞いたりできるようになっていて、いちいち探す手間はかなり減りました。

※注 災害時伝言ダイヤルとweb171は連携しており、相互に情報確認ができる。

 ただ、J-Anpiの伝言を聞くためには鍵となる電話番号が必要となります。
 「もし自分が被災したとき、安全だったら伝言を出しておくから、〇〇番で検索してくれ」という情報を連絡してくるであろう相手に伝えておくことで、いざというときに通信環境に負荷をかけずに安否が確認できます。
 これは家族間でも同じことで、いざというときにどの番号で伝言をやりとりするのかについては事前に決めておくようにしてください。
 また、災害時伝言ダイヤルや災害時伝言版は平時でも訓練用に開放されているときがありますので、そういった機会を使って、実際にやりとりする練習をしておいてください。
 「私は大丈夫です」ということを伝えることは大切な情報です。
 自分が無事だから発信しなくても大丈夫、ではなく、無事だからこそ大丈夫だという情報を早めに発信するようにしてください。

J-Anpi(J-Anpiのウェブサイトへ移動します)

NTT西日本の災害への備え・対策サイト(NTT西日本のウェブサイトへ移動します)

【活動報告】高津小学校の防災クラブを開催しました

「階段で地震が起きたらどうするか?」を本人たちで考えて身を守るポーズをしてもらった。考えて動いてみることがとても大切。

 2022年11月30日に益田市立高津小学校で11月の防災クラブを開催しました。
 この防災クラブは学校のクラブ活動の一つとして取り入れてもらっているものですが、今回は校内に設けられたチェックポイントに準備された問題を解いたり、演習をしたりしてもらう「校内オリエンテーリング」を開催しました。
 去年のチェックポイントは問題だけだったのですが、こちらの想定よりも相当早く帰ってきてしまって時間が余ってしまったという経験から、今回は消火器の使い方や胸骨圧迫を交代で2分行うこと、そして階段で地震に遭遇した時の防御法について実際に動いてみてもらいました。
 結果としてはかなり楽しんでもらえたようですが、このオリエンテーリングは当日の準備が大変なので、いかに当日の手間を減らすかがこれからの課題となりそうです。
 今回参加してくれた子どもたち、快く支援してくれた先生方、そして毎回手伝ってくれるスタッフの皆様に感謝します。